【ミリマスSS】田中琴葉はイケメンらしい

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1 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:07:12.22 ID:Pb5RWNl50
アイドルマスターミリオンライブ!のSSです。
地の文があります。ギャグ時空ですのでキャラ崩壊にご注意下さい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1615129631
2 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:08:49.20 ID:Pb5RWNl50
 
「プロデューサー、相談があるんですけどお時間ありますか?」

 事務所のPCで調べものをしていると、背筋の良く伸びた澄んだ声が聞こえてきた。
 琴葉は業務中に何か相談をしたいときは必ずこちらの都合を確認してくれる。アイドルと話すのも仕事のうちだから気にしなくて良いと伝えているのに、どうやら琴葉の気が済まないらしい。

「大丈夫だよ、どうしたんだい」

 ちょうど今、昼過ぎのメール処理が一段落して、アイドルの名前が付いた飲食店を検索していたところだ。今度「味処ななお」に行ってみようと思う。
 どうやら、仕事以外のことをしている時はいつも以上に真面目な顔をしているらしい。申し訳なさそうな顔をしている琴葉を促すために椅子を彼女に向けてクルリと回す。ブラウザを消してメールソフトを開くのを忘れずに。
 
3 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:09:48.09 ID:Pb5RWNl50
 
「えっと……」
「外しましょうか?」
「いえ、大丈夫です」

 なかなか話し出さない琴葉に気を遣って美咲ちゃんが声を掛ける。
 話の内容が分からない以上、私が判断できることではないが、どうやら他人に聞かれても大丈夫な相談のようだ。
 言いにくそうに胸の前で指をクルクルさせながら「その……」と繰り返していた。
 言い出すことに時間がかかることはあれど、必要なことを言わない選択をする彼女ではない。プレッシャーをかけないように口角を上げながら待つ。
 
4 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:10:26.14 ID:Pb5RWNl50
 
「最近、よくファンレターを頂くんです」
「そうだな。目立つ役を演る機会も増えてるし、良い調子だ」

 ファンレターをもらうこと自体は恥ずかしがることではない。むしろ誇るべきことだ。
 亜利沙なんてこの前、ファンレターをデータ化して保管したり、アルバムに整理して書棚に貯めていると報告してきた。流石にやり過ぎだと思う。
 ただ、こと琴葉に関してはそれは何ともむず痒いのだろう。いじらしいことだ。
 
5 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:10:53.06 ID:Pb5RWNl50
 
「オペラセリア煌輝座や、ミリオン女学園が公開されてからは特に、女性の方から頂くことが増えて」

 うんうん、と頷きながら、自分の内容チェックに問題が無かったかどうか、頭をフル回転させる。
 様子のおかしなものや、不快に感じるものは琴葉に見せないように除外したはずだ。いや、確か「結婚してくれ」という内容のものがあったか。差出人が女性だったからそのまま渡してしまったが、アレが良くなかったのだろうか。

「それで私、思ったんです」

 いや、大丈夫だぞ琴葉。その「結婚してくれ」は女性ファンからの最上級の好意であって、深い意味は無いんだよ。琴葉が気を病むことは何も無いんだよ。
 そう告げようと口を開いた瞬間だった。
 
6 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:11:25.26 ID:Pb5RWNl50
 
「わ、私ってもしかして、イケメンなのかなぁって……」
 
 あぁ違う。
 彼女は調子に乗っているだけだった。
 しかし、琴葉が調子に乗るなんて、入社以来見たことが無い。
 ここで彼女を調子の波に乗らせずに、何がプロデューサーか。
 
7 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:11:54.72 ID:Pb5RWNl50
 
「あぁ、琴葉はイケメンだよ。間違いない。もしそうじゃなかったらこんなに女性からファンレターが来るわけ無いからな」
「そう、でしょうか。それなら、もっとそういった演技にも磨きをかけていった方が良いのかどうか悩んでいて、プロデューサーはどう思いますか?」
「なるほど、ふむ……」

 どうやらただ調子に乗っていただけではなく、アイドルの方向性について悩んでいたらしい。なんか悪ノリしちゃってごめん。
 慌てて思考を愉悦から業務に切り替える。思考を切り替える時はどうやら真面目そうな表情になるのが常らしい。琴葉が心配そうに俺の顔を覗き込む。

「演技の幅を広げることは良いことだ。でも、今の頑張り方でしっかり認められてるんだから、無理に偏重する必要は無いんじゃないかな」
「そうですか、そうですよね……」
 
8 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:12:44.23 ID:Pb5RWNl50
 
  
「おぉっと、それは聞き捨てなりませんね!!!」
 
 
9 : ◆ivbWs9E0to [saga]:2021/03/08(月) 00:13:16.01 ID:Pb5RWNl50
 
 バーン!と良い音を響かせながら事務室の扉が開いた。
 その青い編み込みが目立つ本を抱えた少女は、思ったより勢いが付いてしまったのか、自分が響かせた音に一瞬身を縮めた後、再びキリリと前を向き直った。

「私たちはイケメン琴葉さん大好き委員会の者です! 話は聞かせてもらいました!」
「百合子さん、もっとこう、良い名前は無かったんですか」
「いいのよ志保。百合子はいつもこうだから」

 いつも通りノリノリの百合子の横には、こういった悪ふざけをするイメージが無い志保と静香が立っていた。しかし彼女たちも立派なドヤ顔を放っていた。なんでだ。
 
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