【はいふり】亡国のブルーマーメイド

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 17:34:56.45 ID:sQLUaSwy0
始める前にアンケート

1明乃たちの磯風がホ・ヨンファたちに乗っ取られる(主人公は明乃と。明乃以外のキャラはほぼでなくなる)

2ましろたちが磯風の乗員であり、明乃の仇を取るためにホ・ヨンファを受け入れる。(明乃は名前のみ。他のキャラも出てくる)

※どっちを選んでもましろたちは海洋学校を卒業して、一般のブルマーの仕事についている設定。
※このSSでは対艦噴進弾、対空防御噴進弾が開発されている設定。

下5までで多かった方を採用

分からないことがあったら聞いて

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1614587696
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 17:41:21.96 ID:FICJEGhTO
どうせエタる
3 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 17:44:59.56 ID:sQLUaSwy0
>>2エタらせないのでご安心を。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 18:29:39.19 ID:2Ok0IgDkO
このあとの命運はどうなる!投げ槍みたいな感じの安価方式だろ❓

そんな他人の目が気になるの❓

とマジレス
5 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 18:37:23.10 ID:sQLUaSwy0
安価は最初だけなんだけどね…書き方が悪かったな…
すまん
6 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 18:50:41.83 ID:sQLUaSwy0
申し訳ないけど7時30までこんかったら勝手に自分で決めるので
7 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 19:30:38.33 ID:sQLUaSwy0
締め切りました
8 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 19:31:17.54 ID:sQLUaSwy0
2で行きます。

これ以降安価はありません。
9 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 19:59:47.28 ID:sQLUaSwy0
『「イージス」ギリシャ神話の無敵の盾の名を持つイージス艦こそ専守防衛を掲げるブルーマーメイドの最も具体的な形でさえある。しかし、あえて言おう。国家としての在りようを失い、語るべき未来も見えないこの国を守る盾に、何の意味があるのだろうか。
現状のままでは守るに値する国家を失った「亡国の盾」でしかない。この国の未来を背負う無垢なる命たちに、今、我々は何を手渡し、何を託すことができるのだろうか。この日本という国を彼らの受け継ぐに値する国にするために、我々は何をなすべきであろうか』






一台のスキッパーが高速で航行中に転覆する。操縦者は強く海面に叩かれると意識を失い、海の底に沈んでいく。後ろを追っていたものは慌てて飛び込むみ沈んだものを助けるも、海面に強く体を打ち付けたことにより、死亡していた。




海上安全整備局庁舎の一室

モニター「グソーは我々の制御下にある。そちらが奪還の挙に出た場合、我々は直ちにそれを開放する」

真霜「音声上げて」

モニター「我々の行動は祖国の意思とは全くもって無関係であることを宣言しておく。なお、我々の覚悟を知らしめるため、彼はこの場でグソーにて自決する」

モニターの中の男が煙草を吸うと、倒れて動かなくなった。

真霜「……」

真冬「レコーダーの声は『ホ・ヨンファ』だ」

真霜「辺野古基地は何をやっていたんだ!」

真霜は机を叩いた。
10 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 20:08:29.52 ID:sQLUaSwy0
ブルーマーメイド横須賀基地係留中のいそかぜ船内

天草「おお、津田か。まだ起きていたのか」

天草「いや、用ってわけじゃないんだがどうしているかなと思ってな……」

天草「最近調子はどうだ?」

天草「……いや、すまん。それは機密にかかわるから言えないんだ」

艦内の電話が鳴る

天草「すまん。またかける」

天草は電話を切ると艦内の電話を取る

天草「はい。こちらCPO……」

天草「え……」

天草は電話を置くと自室に戻り、私服に着替える。

同室で親友の七条が声をかける

七条「シノちゃんどうしたの?」

天草「萩村だよ萩村!」

七条「萩村?」

天草「暴力事件だってさ」

天草は部屋をでて、警察に言われたところに向かった。
11 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 20:22:41.93 ID:sQLUaSwy0
警官A「はい、とりあえず気をつけ!」

若者たちはしぶしぶ立ち上がる。

一人が「先任伍長」とつぶやくと、一気に姿勢が良くなる。

天草は自転車を降りると並んでいる若者に近づく

天草「お前たち!なにをしているんだ!」

警官A[あんさん誰よ?」

間に入る警察官に頭を下げると名刺を渡す。

天草「大変申し訳ございません。駆逐艦『いそかぜ』の天草です」

警官A「ちょうどいまr……」

天草は言葉を遮り言う。

天草「どうしてこんなことになった!」

萩村「如月の歓迎会をしていたら……その…絡まれました。申し訳ございません。以後気を付けます」

若者たちは一斉に頭を下げる

天草は聞きなれない名前に首をかしげる

警官A「あのそっそい姉ちゃん」

警官が指をさす

警官A「一人で全部あれ、やってもうたらしいわ」

警官が指をさす。底には顔から血を流しながらノビテいる6人の男性がいた。

警官B「で、このナイフ誰のや」

警官B「これはあかんわお前ら」

もう一人の警官がノビテいる男たちに尋ねる。

警官A「訓練の賜物ちゅうやつか」

警官はあきれ気味に言う

警官A「さぁ、警察行こか」

天草はそれを止めようとする

天草「久しぶりの陸で浮かれたようです。ここは何とか穏便にできないでしょうか……」

警官A「いや、ケガもさせてるしな」

天草「それは、我々でキチンと致します」

警官A「いや、一晩か二晩で帰れるよ」

警官は振り向き、萩村の腕をつかむ

天草は警官の前に立ちふさがると土下座をする

天草「申し訳ございませんでした!」

警官A「そういわれてものぉ……」

警官は沈黙する。
12 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 20:36:03.77 ID:sQLUaSwy0
いそかぜCPO

萩村「失礼します!」

先ほどの6人が駆け足で入ってくる。

天草の前に整列すると、そこに七条がコーヒーを片手にやってくる。

七条「上陸差し止め1か月ってとこですかね、先任伍長殿」

萩村「1か月……」

七条は天草にコーヒーを手渡すと隣に座る。

天草「萩村……」

萩村「はい」

天草「昇任試験は見送りだな……」

萩村「以後、気を付けます!ですからそれだけは……!」

天草「魚見!お前、この中で一番最年長だろ。どうして止めなかった……」

魚見「相手が、私の胸を触ってきたものですから……」

天草「主犯はお前か……」

魚見「申し訳ございませんでした!」

天草「……訓練終了まで交代で甲板掃除!いいな」

6人「はい!」

6人は頭を下げる

天草「もう言っていいぞ」

5人「失礼します」

如月以外の5人は退室する

天草「なんだ?」

如月「いつも…土下座しているんでしょうか」

天草は答えを濁す

七条「聞いていいことと悪いことがあるよ!」

七条は如月の胸倉を掴む

天草「消灯だ。寝ろ……」

七条はゆっくりと手を放す

如月は静かに頭を下げ、退室する

七条は机に置いてあった天草の携帯電話を取る

七条「また掛けたの?ラブラブだね」

天草「おい、」///

七条「津田君元気だった?」

天草「アリアには教えない!」プン
13 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 20:50:21.57 ID:sQLUaSwy0
翌日

いそかぜに海上安全整備局海洋安全委員会からの調査隊(FTG)の隊員が乗り込む


天草「このいそかぜに男性が乗り込むのはあまりしっくりこないな」

七条「そうだねー」

二人は見張り台で話す


艦橋

もえか「航海長操艦。両舷前進減速、赤黒なし。進路、210度」

リン「航海長いただきます。両舷前進減速、赤黒なし。進路、210度本艦との対水上戦闘教育訓練に向け、『晴風』はすでに待機中」


もえかとましろは艦橋の外に出る

もえか「やっぱり艦橋はいい。CICは画期的なシステムだとは思うが息が詰まる」

ましろ「同感です」

もえか「それにしても、今回の人事、よく通ったね」

ましろ「いや、宗谷の名を出してブルマーで動かない者はいませんよ」

もえか「でもそれはあなたの家を汚すことにならない?」

ましろ「そうしてでも守りたいものですから…」

もえか「そうだね……」

もえか「まだ引き返せるよ……」

ましろ「ここまで来たんです。後悔はありません。……私だって悔しかったんですから……」

もえか「ありがとう……」
14 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 21:02:56.36 ID:sQLUaSwy0
いそかぜCIC

幸子と志摩、芽依が訓練の打ち合わせをしている

幸子「16:30、合戦訓練準備、16:35、教育対戦戦闘への移行……」

水雷士「船務長」

水雷士が報告を上げに来る

水雷士「昨日、うちの連中が騒ぎを起こしたそうです」

幸子「それで?」

水雷士「専任伍長が納めて、報告も上がってきません」

幸子「曹士官のことは先任伍長に一任してありますからだいじょうぶです」

水雷士「はっ。失礼します」

幸子たちは打ち合わせに戻る


艦長室

ノックがある

ましろ「副長入ります」

もえか「どうぞ」

ましろは扉を開け、一礼し、脇に帽子を挟む

ましろに続き、FTGの2人が入ってくる

ましろ「準備は整いました。いつでも実行できます」

もえか「実行時期はあなたに一任します」

ましろ「はっ」

FTGの男「貴官らの決意に感謝する」
15 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 21:44:32.56 ID:sQLUaSwy0
海上安全整備局庁舎の一室

職員A「内閣情報官が」

真霜「ありがとう」

真冬「こんなところまで、どうされたんです?」

瀬戸「あれから1週間だ。ダイスは何を企んでいる……」

真霜「話せるときが来たら話します」

瀬戸「一々あげてもらわないとな」

真霜たちは一瞥すると席に戻る

瀬戸「聞くところによると、いそかぜの副長は君たちの妹だそうじゃないか」

真冬「あいつはもう妹でもありません……」

真霜「もう宗谷家の人間ですらないのですから……」

二人はどこか悲しそうな顔を浮かべる。
16 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 22:05:45.83 ID:sQLUaSwy0
Side いそかぜ

放送「本艦は0530まで当海域にて漂白する」

天草「おお、三葉。トメばあさん元気か?」

三葉「クメです」

天草「すまんすまん」

天草「ちゃんと電話しとけよ。たまには。一人なんだろ?」

三葉「ありがとうございます」

天草は三葉に別れを告げると、前部甲板に出る

天草はVLSに腰かけるとパレットを開き、絵具を出す

そして、スケッチブックに今見えている海を描く

天草「うーん。どうも色合いが違う」

うしろでコトンと音がする

天草が振り返ると、そこには如月が甲板掃除するためのバケツを運んでいた。

如月「……」

天草「似合わないか……」

如月「いえ……」

天草「でもな、何も考えずにいられるんだよ」

天草は絵具をいじる

天草「毎日見ているのにな……納得する色が出せないんだ……」

如月「朱色……」

天草「え?」

如月「赤が足りないのではないでしょうか」

天草「君、絵をやるの?」

如月「いえ……」

如月は甲板掃除に戻る

天草は赤色を足してみる

天草「そうだよ、この色だよ」

天草「ねぇ、ちょっと描いてみてよ」

如月「……」

天草「命令だ!……ケンカの後始末は誰がしたんんだっけか?」

如月は天草から筆を受け取るとじっと海を見つめる

如月「……」

如月はスケッチブックに描く

如月「…筆……」

天草「え?」

如月「筆が悪いのではないでしょうか?」

天草「駆逐艦に乗っている場合じゃないぞこれ……」

天草は如月の絵の上手さに驚く

如月「他に行く所ありませんから」

天草「私もだ。私もここしかない」

二人はそれぞれ自分のやることに戻った。
17 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 22:15:30.77 ID:sQLUaSwy0
翌 

艦内の一室

放送「総員起こし!」

一斉にベットのカーテンが開き、隊員たちが起きる

萩村「あ、選任伍長!」

萩村が魚見のベットの前でささやくと魚見が飛び起きる

萩村「また作業着のまま寝ていたんですか?」

魚見「ばか、朝の1分は貴重なの」

隊員たちは次々に作業着に着替え、持ち場に着く

隊員A「先輩、おはようございます」

如月「おはよう」



CPO

七条「おはよう」

天草「ああ、おはよう」

森「おいおい、どうなってんだよFTGのヤツら」

天草「森、FTGがどうかしたのか?」

森「倉庫に見張りが立っているんですよ」

天草「見張り?」

森「大体何で訓練に14人も乗り込むんだ?」

五十嵐「それだけ今回の訓練は厳しく審査するってことじゃないんですか?」

森「そうですかね……」

森は納得いかない様子で席に着く

天草は自席に置いてあった封筒を取り上げると蛍光灯で中を透かす

畑「ああ、それ、さっき如月が置いていきましたよー」

天草「如月?」

中身は筆であった。
18 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 22:20:23.22 ID:sQLUaSwy0
そのころ、艦長室では

???「やはり……間違いない」

???は艦長室を出ると周りを見渡す

???「誰にも見られていない」

???が歩く後ろを三葉は見つける

三葉(如月……)


そのころ、甲板では、何者かによって浮き輪が投げられ、一人の女性工作員が乗艦した。

そして、いそかぜの後をつけるかのように潜航する伊201
19 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 22:29:28.78 ID:sQLUaSwy0
数時間後

魚雷訓練後、模擬魚雷回収前

三葉「あの!」

天草「どうした三葉?」

三葉「ちょっと如月のことで……」

FTGの男「おい、何をしている!さっさと持ち場に着かんか!」

三葉「は、はい」

天草「また後で聞く」



まゆみ「模擬魚雷、揚収始め!」

笛の音に合わせて、如月、三葉が魚雷を手繰り寄せる

いくら上からワイヤーでつるしているとはいえ、女性にはキツイ仕事である。

まゆみ「慎重に……」

天草はいつもは聞きなれない音に違和感を覚え、つるし上げているワイヤーを見上げる。

ワイヤーは切れる寸前であった

天草「逃げろ!」

切れたワイヤーは魚雷を真下に落とす

回収するために集まった乗組員たちはとっさに壁際に逃げる

しかし、回収していた三葉は落ちてきた魚雷の下敷きになる。

三葉からは血が流れ、誰もが危険な状態とわかる状態であった。

天草「三葉聞こえるか!?」

天草「三葉!!三葉!!」

乗員たちに嫌な空気が流れる
20 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 22:45:30.47 ID:sQLUaSwy0
海上安全整備局庁舎の一室

平賀「いそかぜの現在地、33度44分ノース、137度07分イースト」

真霜「……」

真冬「……」


いそかぜ

遺体安置室

天草は遺体を保管する袋に入った三葉を見て、涙する

天草「おい……クメばあさんに何て言えばいいんだよ……」

放送「達する。これより本艦は第3哨戒配備を維持しつつ、訓練予定海域の東京湾沖に向かう。『晴風』との対水上戦闘訓練は予定どおり明日
日没をもって開始される。引き続き、見張りを厳となせ」

艦内に不満の空気が流れる

魚見「三葉が死んだってのになんで……」

萩村「訓練なんかしている場合じゃないでしょう……」


幹部区域

天草(納得がいかない!)

天草は艦長室を開けようとする

果代子「どうしたの?」

姫路が止める

天草「どうして訓練の続行にこだわるんですか!?入港するのが先でしょう!」

理都子「重要な訓練なんだ。変更することはできない……」

天草「人が死んでいるんですよ!?」

天草は取り乱す

天草「三葉の遺体を肉や魚と同じ冷凍庫に入れろと言うんですか!?」

天草「艦長とお話しします!」

天草が扉に手をかけようとする

すると艦長室の扉が開く

ましろ「姫路さん、もういいよ」

2人は下がる。

ましろは天草に詰め寄る

ましろ「事実を知ることは、その重さを我々と共有することだが……覚悟はあるか?」

天草「私には先任伍長として、この艦の出来事を全て知る義務があります」

ましろ「入れ……」
21 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 23:17:25.00 ID:sQLUaSwy0
通された幹部会議室にはもえかとFTGの2人がいた

ましろ「山崎大尉が説明する」

山崎「天草曹長。我々はFTGなどではありません。溝口少佐以全員、ダイスという部署の者です」

天草「ダイス?」

溝口「先任伍長」

溝口が座るように促す

天草「いえ、話を」

溝口「続けて」

山崎「艦内に潜入した特殊工作員を監視し、その計画を未然に防ぐ。そのために我々は乗り込んだのです」

天草「特殊工作員!?この艦の乗員の中にですか!?」

もえか、溝口、山崎、ましろ「………」

天草「誰だかわかっているんですか!?」

山崎「出港間際に急遽発令を受け、乗艦したものがいるはずです」

天草「まさか……」

山崎「如月薫は、ある物を艦内に持ち込んでいます」

天草「何を……?」

山崎「ブルーマーメイドが秘密裏に開発した化学兵器、『グソー』です」

天草「グソー?」

山崎「僅か1リットルで東京は壊滅します」

山崎「昨年の嘉手納基地から辺野古基地への輸送中に奪われました」

天草「あいつに……如月にそんなことができるはずがない!」

山崎「当然、首謀者がいます……」

天草「誰なんです」

山崎「対日工作の指導官だったホ・ヨンファと呼ばれるものです。彼女は少女時代、拘束され、工作員教育を受けました」

山崎「現在ヨンファらは潜水艇で接近し、如月の行動開始と共にこの艦を占拠する計画です。『グソー』の奪還とヨンファの高速を果たすには寄港はできない。……お分かりですか?」

天草「……わかりません。あなた方の…任務がどうあれ、三葉をこのままにはできません」

もえか「先任伍長、三葉の死は事故ではないのだ……」

ましろ「三葉2士だけではない。既に一人のブルーマーメイド隊員が殺されている。その隊員が自身のSNSに乗せた論文だ」

ましろは印刷された論文を手渡す

溝口「ヨンファはこれに目を付けたのです」

天草は受け取ると中を見る

溝口「すべてはそこから始まっている……」


『私は現在、ブルーマーメイドの艦艇を指揮するための訓練を受けている。来年には1艦隊の司令官の職を拝命するが、これまでブルーマーメイドとして働いてなお、国を守ることの本質がわからぬ愚か者である。この国の、国防システムの矛盾をないがしろにし、口を閉ざしてきたことに失望を隠せずにいる。「真の国力」とは国家資産や経済力、軍事力ではなく、その国が培った普遍的な価値観、歴史、文化である。にもかかわらず、我々日本人は日本とは何か、日本人としてなにを誇るのかという問いすら忘れ、「恥」という唯一のイデオロギーも捨て去り、世界に主張できる価値観を失くしてしまった。この国は、国家としての在りようを完全に失っている。日本はもはや、「亡国」と化したのだろうか』

溝口「『国は違っても祖国を憂う気持ちは同じだ』そう言ってヨンファは彼女に近づいたのだろう。一人の日本人として、世界に恥じることなく生きたい。そんな日本人の志に応えたのは皮肉なことに同じ日本人では無かった」

溝口「我々は隊員の監視に入った。だがヨンファに気づかれ、事故に見せかけ、彼女は殺害された。そして、当のヨンファも姿を消した……」

その時、ズドンという爆発音と共に艦が大きく揺れる

天草は艦長室を飛び出した
22 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/01(月) 23:37:29.57 ID:sQLUaSwy0
放送「機関室付近に浸水!」

天草は艦内を走り、浸水部と思われる所に行く

天草は機関室の前で叫ぶ

天草「機関室に浸水させるな!」

天草はは大量の海水が流れ込んできていた第2室に駆け込む

放送「第2室付近浸水!浸水警報」

天草「お前ら!早く来い!」

天草は全員退避したことを確認すると、水密扉を閉める

振り返ると、機関室から乗員が飛び出してくる

天草「どうした?」

乗員B「如月です!銃で、銃で狙われました!」

天草「銃?」

天草が扉を開けようとすると、抑えられる

乗員C「だめです!扉に爆薬が!」

天草「爆薬!?」

乗員C「はい!」

そこに機関長の柳原と黒木がやってくる

マロン「なんでぇなんでぇ!?」

黒木「なにがあったの!?」

黒木と柳原が扉に耳を当てる

そこにもえからがやってくる

もえか「なにがあった?」

マロン「10分以内に機関を停止させ、総員離艦させろ」

黒木「さもなくば艦を沈めるそうです」

天草は体が勝手に動いた

天草「失礼します!」

芽依「どこに行く」

天草「点検用にハッチを増設した所があります。如月は知らないはずです」

山崎「どこですか!?」

天草「あなた方の顔を見た途端、彼女は起爆させるかもしれない。私ならそんなことはない」

天草はもえかの方を見る

天草「如月はまだ私の部下です」



本日はこれにて終了。おやすみなさい
23 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 20:47:18.82 ID:8xIvlade0
再開

もえか「溝口少佐」

溝口「……」

溝口「ハイ……」

天草は駆け出そうとする。

山崎「銃を」

山崎が銃を差し出す

天草は銃を受け取らず、ハッチへ向かう

天草がいなくなると溝口がFTGを招集する。



機関室

天草は慎重にタラップを降りていく

天草(これは……)

天草は至る所に張り巡らされた爆弾を見て絶句する

如月が天の存在に気づき、威嚇射撃をする

如月「戻れ!」

天草「如月!私だ!天草だ!」

如月は天草に銃を構える

如月「戻れ!爆破するぞ」

天草はタラップを飛び降りる

天草「待て!」

如月「もう要求は伝えたはずだ!」

天草「なんなんだこれは!」

如月「あんたには関係無い!」

天草「関係あるんだ!」

天草は立ち上がる

天草「そんなもん降ろして、全部はずせ!」

如月「……」

天草「そうか。わかった。なら私がやる

天草は爆弾に向かう

如月「やめろ!」

天草を投げ飛ばす

天草「お前は自分が何をやっているのか分かっているのか!?」

如月「うるさい。任務だ!」

天草「そうか!」

天草は近くにあったバックを持ち上げる

天草「これが任務か!?」

如月「触るな!」

天草は中にあった機械を取り出すと壁にたたきつける

如月「やめろ!」

機械は木端微塵になる
24 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 21:14:22.04 ID:8xIvlade0
如月は木端微塵になった機械を拾い上げる

如月「なんてことをしてくれたんだ!」

如月は天草にとびかかる。

天草「クソッ!」

天草は如月の手を掴むと必死に銃口をそらす。そして、銃を奪い取る

天草は如月に銃を向ける

天草「なんで私がお前に銃を向けなければいけないんだ!」

天草「なんでこんなことをしたんだ!」

天草「ヨンファとの関係は何なんだ!」

如月「私はヨンファとは関係ない!」

天草「関係ない……」

天草「なら三葉はどうなんだ!?」

如月「三葉は私の身代わりだ」

天草「もうやめろ……」

天草「もうあきらめて投降しろ!」

天草「FTGの連中はお前を追うダイスの人間だ!」

如月「あいつらはダイスの人間じゃない!」

天草「如月!」

如月「まだ分からないのか!?」

如月「溝口がホ・ヨンファなんだ!」

如月「知名艦長も!宗谷副長も!幹部連中もみんな仲間だ!」

如月「不自然だとは思わないのか!?今回の幹部総入れ替えは!?」

天草は驚愕し、銃を徐々に降ろしていく

天草「そんな……そんなことが……信じられるか!」

天草は扉に向かう

如月「今その扉を開けたらグソーが東京に放たれるぞ!」

天草は振り向く

如月「私はダイスの二等保安海曹だ」

如月「知名たちの動向を監視し、兆候があれば未然に防ぐ。その為に潜入した」

天草「…………」

天草「なら聞くが……お前はそのためなら仲間を犠牲にしてでもこの艦を沈めることができるのか!?」

如月「それが私の任務だ……だからここに居る……」

天草「…そうか……」

天草「私はこの艦と乗員たちを守る。それが私の任務だ……だからここに居る」

天草は如月に銃を向けたまま、扉に設置された爆弾の導火線を外す
25 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 21:56:41.73 ID:8xIvlade0
機関室の外

拳銃を所持したFTGの隊員が突撃準備をする

溝口「酒井少尉、そのハッチを……」

酒井「はい……」


天草が導火線を外し終える

天草「ならあれは?あの筆は……何だったんだ」

如月「必要なくなった」

天草「そうか……」

天草はロックは解除する

一気にFTGの隊員が流れ込んでくる。

天草は倒れる

如月「逃げろ!」

如月は機関室の奥に走ろうとするが、取り押さえられる

天草も同様に取り押さえられる

天草は野間に引きずり出される

マチコ「出ろ!」

天草「如月!」

天草は如月が自分に何かを求めているような気がして手を伸ばすが、ハッチが閉められる

天草「待ってくれ!」

野間を振りほどく

もえか「先任伍長、指揮官として、最後の命令を伝える」

もえか「わが『いそかぜ』は某国工作員の手により艦底部破損。沈没の危険がある。先任伍長以下すべての乗組員はただちに離艦。洋上にて救難を待て!」

天草「何言っているんですか!?艦長!」

天草はもえかに詰め寄ろうとするも、不審な女性に首を掴まれ、倒れこむ

天草「ゴホッゴホッ!」

天草(如月の言っていたことは本当だった!?)

溝口が天草に近寄る

溝口「死にたくなかったら離艦しろ」

天草「………!!」

士官寝室

放送「総員離艦用意!実際!総員離艦用意!実際!」

萩村「マジ……」

魚見「……」

乗員は着替え、甲板に出る


甲板

三葉の遺体が運ばれ、救命ボートに乗せられる。乗員は次々に海に飛び込み、救難艇に乗る。中には泣いている乗員もいる

天草はふと上を見上げる。

小銃を構えた工作員たちが自分を狙っている。

天草はしぶしぶ飛び込み、救難艇に乗る

ヨンファ「さすがは日本人。素直な民族だ……」
26 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 22:13:30.85 ID:8xIvlade0
山下「もういいだでしょう……」

甲板にいた幹部乗組員たちは艦内に入っていく

天草「……」

森「なんで幹部たちは乗らないんだ!?」

畑「おかしいだろ!?」

七条「シノちゃん……」

萩村たちが声をかき消すように騒ぐ

萩村「おい!如月!」

魚見「如月はどこ!?」

如月と同室であった轟が海に飛び込み、探そうとするのを飯田が止める

天草「……」

天草は筆を取り、見つめる

萩村「如月!」

天草「……」

天草は救命胴衣を脱ぎ、三葉に合掌をすると七条に

「みんなを頼む」

といい、携帯用の酸素ボンベを取り出す

七条「シノちゃん?」

乗員D「先任伍長!?」

七条「シノちゃん何するの!?」

天草「忘れ物だ……」

天草は海に飛び込む

七条「シノちゃん!?シノちゃん!?」

乗員D「先任伍長!?」


天草はボンベで酸素を吸いながら、破壊された艦底部に侵入し、ハッチを上げ、艦内に侵入する



海上安全整備局庁舎の一室

平賀「いそかぜ、進行を再開、まっすぐ東京湾に向かってきます」

真霜「ヨンファはいそかぜにいる」

真冬「グソーもね……」

平賀「如月からは?」

福内「通信機、応答なし……」
27 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 22:31:41.08 ID:8xIvlade0
いそかぜCIC

芽依「晴風、リンク17復旧。現在晴風を敵艦として認識できない」

志摩「うい……」

通信が入る

慧「晴風からです」

宇田はもえかに電話を渡す

ましろ「全艦放送に切り替えろ」

もえかは受け取る

慧「どうぞ……」

横島『こちら晴風艦長の横島です。貴艦への停船命令が入っています……』

もえか「残念ながら本艦は現在、ブルーマーメイド艦隊とは別の意思従って行動している」

横島『知名艦長、どういう事でしょうか?』

もえか「言葉の通りだ……」

横島『何を言っているんですか知名艦長!命令に従えないのなら、我々はブルーマーメイドにあなた方を引き渡さなければいけません!』

もえか「学生艦はこちらが攻撃を加えない限り、機銃弾一発すら撃つことができない!」

横島『……』

もえか「撤退か先制攻撃、選択はそのどちらかしかない!」

横島『撤退するつもりも、先制攻撃を仕掛けるつもりm……』

もえかは電話を切る

もえか「本当に良かったんだね……?」

ましろ「晴風を沈めるのは悲しいですが……それが我々の意思です……」

もえかとましろは鍵を差し込む

もえか、ましろ「リンク17解除!」

もえか「対水上戦闘用意!」


Side 晴風

横島「知名艦長は本気だ……」

時「艦長、どうしますか!?」

副長の時が尋ねる

横島「ブルマー本体に連絡を!」

横島「それから対空防御噴進弾の準備!」

艦橋メンバー「ハイ!」

晴風の艦内があわただしくなる

中里「対空戦闘用意!これは演習ではない!繰り返す!これは演習ではない!」

砲雷長の中里が全艦に達する
28 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 22:49:49.20 ID:8xIvlade0
Side いそかぜ

ましろ「水上戦闘用意!」

ましろが全艦に達する

ましろ「水上戦闘、対艦噴進弾攻撃始め。目標晴風、発射弾数2発!」

志摩と芽依が復唱する

芽依、志摩「目標晴風、発射弾数2発!」

美千留「目標位置、33度13分ノース、138度41分イースト」

武田が目標位置を入力する

光「対艦噴進弾、発射用意よし!」

小笠原が報告する

ましろ「対艦噴進弾発射始め!」

志摩「1番発射用意……てぇ!」

日置が発射ボタンを押すのと同時に、対艦噴進弾が発射される



艦内に侵入した天草は発射の音を聞く

天草「対艦噴進弾か!?」

天草「まずいな……」


対艦噴進弾は低空飛行を始める


Side 晴風

電探室の柳本が伝声管に向かて叫ぶ

柳本「いそかぜから小型目標分離!高速で本艦に近づく!対艦噴進弾が発射された模様!」

中里「いそかぜから本艦に向けて対艦噴進弾が発射された!見張り員は対空警戒を厳となせ!」

中里が叫ぶ

柳本「目標、ロストコンタクト!」

報告が上がる

横島(私たちは何に巻き込まれているんだ!?)


いそかぜから2発目が発射される


出島「ESM探知!目標は対艦噴進弾で間違いなし!」

柳本「目標最短値!まっすぐ突っ込んできます!」

電探室から更に報告が上がる

古谷「艦長、いつでも撃てます!」

砲術長の古谷が対空防御噴進弾が撃てることを伝える

横島「撃っていいのか……」

時「撃たなければ我々がやられます!」

横島「……」

横島「対空防御噴進弾発射!」

中里「対空防御噴進弾発射用意!」

中里がランチャー管理員に伝える

大門「対空防御噴進弾発射用意よし!

中里「対空防御噴進弾発射!始め!」

中里が指示をするとランチャーが旋回し、対空防御噴進弾が2発発射される
29 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 23:04:40.76 ID:8xIvlade0
発射された2発の対空防御噴進弾は対艦噴進弾に向け、飛んで行く

柳本「命中まであと5秒!3、2、1……今!」

対空防御噴進弾は対艦噴進弾に体当たりしようと高度をさらに下げるが、不運なことに対艦噴進弾はそこでホップアップする

出島「目標外れました!」

中里「近接防御火器!」

中里は近接防御火器の自動迎撃スイッチを押す

近接防御火器は稼働を始め、1発の対艦噴進弾を撃墜する

対艦噴進弾の中から銀紙が舞い散る

時「チャフか!?」

柳本「電探使用不能!!」

小山「近接防御火器停止!!」

伝声管から悲鳴にも近い報告が送られてくる

道下「もう1発目がきます!」

見張り員から報告が入る

横島は伝声管に向かって叫ぶ

横島「衝撃に備えろ!」

横島は対ショック姿勢を取る

対艦噴進弾は艦橋に直撃すると、大爆発を起こす。

晴風は炎に包まれながら船体が二つに断裂し、沈んでいく



ヨンファ「よく見ろ日本人……これが戦争だ……」
30 : ◆26bEafOrto [saga]:2021/03/02(火) 23:19:36.41 ID:8xIvlade0
志摩「……」

芽依「……」

光「……」

万里小路「……」

順子「……」

武田「……」

松永「……」

姫路「……」

ましろ(……)

もえか「八木さん、隊司令に……」



横須賀 海上安全整備局庁舎前

1台の車から一人の男が下りてくる

真雪「海上安全整備局までわざわざ申し訳ございません」

瀬戸「関係者だけ集めました」

男「時間かかりそうか?今日中に選挙区に帰りたいんだが……」

男は真雪らに連れられ、中に入る


いそかぜ

鶫「つながりました」

八木はもえかに電話を渡す

もえか「発、いそかぜ艦長。宛、ブルーマーメイド艦隊司令官。本艦はすでにブルーマーメイド艦隊指揮下から離脱。0230までに政府との直通回路を準備せよ。現在、本艦の全噴進弾の照準は東京首都圏内に設定されている。弾頭は通常にあらず。繰り返す。弾頭は通常にあらず……」


Side 天草

放送を聞いた天草

天草「まさか……」

天草は最悪の事態を予測した。

天草「ヤバい……」

天草は早く浸水部から脱出しようとハッチの取っ手を動かすが、びくともしない

天草「開け!」



本日はこれでおしまい。寝ます。お休みなさい
76.78 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)