玉座の間にて

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1 : ◆CItYBDS.l2 :2021/02/02(火) 18:52:58.09 ID:acYUvXZS0

千年の間、空席であった玉座。
冷え切ったであろうその黒檀に、再び熱が宿る。

名のある長どもを、その力をもってしてねじ伏せ。
彼は、魔物の頂き「魔王」の座にたどり着いた。

逞しき体躯からは、オーラが黒き靄のように立ち上り。その輪郭を霞ませる。
しかし、その圧倒的存在感に。彼がいま、そこにおわすことを誰一人として疑うことはない。

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2 : ◆CItYBDS.l2 :2021/02/02(火) 18:56:28.32 ID:acYUvXZS0

ほどなく、人類にも彼の即位が伝わるであろう。
彼の生ある限り、魔族たちの悲願である滅びと嘆きにあふれる世界が必ずや実現されるのだ。

ふと、自身の手が震えていることに気づく。
長きにわたる魔王の不在に、いっそのこと己がその椅子に坐することを企んだこともあった。
あるいは、新たな魔王がその器で無ければ、己が成り代わろうかとも。
それだけの野心と、それを適えるだけの器量は持ち合わせているつもりでいた。

意図せず震える手が、剣の鞘に触れる。その冷たさに、私は吃驚し拳を強く握りこんだ。
拳を開かなければ、剣の柄は握れない。であれば、剣が抜けぬは必然。
私の、愚かな野心は本物の魔王と対峙することで霧散してしまったのだ。
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