みのり「憧れよりも」遥「一番近くに」

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1 : ◆bncJ1ovdPY [saga]:2021/01/27(水) 20:44:55.53 ID:Uw1Hn3HT0
ーー放課後、宮益坂女子学園、屋上

遥「ーーはぁ……」
愛莉「まーたそれ?そんな溜息付いてると幸せが逃げるわよ」
遥「実際、ずっと逃げられてるしね……」
愛莉「……また、みのりのこと?」
遥「……うん。私って、そんなにダメなのかな……」
愛莉「今回はどう逃げられたわけ?」
遥「えっと、今回は……」

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2 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:45:44.42 ID:Uw1Hn3HT0
〜〜

みのり「屋上……ここでいいのかな……?」
遥「あ、みのり。こっち」
みのり「遥ちゃんっ。私に話があるって言ってたけど……」
遥「突然呼び出してごめん。大事な話だから、誰にも聞かれたくなくて」
みのり「……隣、座っていい?」
遥「……うん。来て」

〜〜

愛莉「いつになく真剣な空気ね」
遥「実際真剣だからね。結果はお察しの通りなんだけど……」
愛莉「ここから逃げられるって相当よね。どうなったの?」
遥「それが……」
3 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:46:39.44 ID:Uw1Hn3HT0
〜〜

みのり「……遥ちゃん?あの、手が……」
遥「少しだけ、こうさせて」
みのり「え……」
遥「……あのね、みのり」
みのり「?」
遥「私ーーみのりのことが好きなの」

みのり「へ?」
遥「私が諦めかけた夢を、取り戻させてくれた。今まであった辛いことも、みのりが居たから頑張れた。みのりがいつも元気をくれた……」
みのり「あ、あのっ、遥ちゃん……?」
遥「いつからか、みのりの側にいるだけで楽しくなって。みのりと会うだけで嬉しくて、距離が空くだけで淋しさを覚えるようになって……もう、みのりのことが頭から離れないの」
遥「みのりには、ずっと……一番近くに居てほしい」

みのり「え、えっと……今のって……その……告白……?」
遥「……うん。私からみのりへの、告白」
みのり「そ、そっか……そうなんだ……」
4 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:47:28.62 ID:Uw1Hn3HT0
みのり「……うん」
みのり「あのね、遥ちゃん」
遥「……なに?」
みのり「私、多分そろそろ起きなきゃなんだよね」
遥「……」
遥「……は?」

みのり「もうすぐ授業が始まるから、早く戻らなくちゃいけなくて……」
遥「え、起きるって何?しかもまだお昼休み始まったばかり……」
みのり「この後友達に勉強教えてもらう約束してるんだ。だから、早く現実に戻らないと……」
遥「……もしかしてみのり」
みのり「また夜に会いに来るから、だからそれまで……」
遥「これが夢だと思ってる……!?」
5 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:48:17.93 ID:Uw1Hn3HT0
遥「みのり、目を覚まして?ここは夢じゃないから」
みのり「えっ?だって、あなたは私の夢に出てくる遥ちゃんで……」
遥「多分それ違うから、私は本物だから。しかもお昼休みはまだ半分以上あるからね」
みのり「えっ、えっ?今目の前にいるのが本物の遥ちゃんで、でもさっき遥ちゃんに告白されて……あれ?」
遥「みのり、落ち着いて。もう一回だけ言うから、私の話を聞いて」
みのり「は、はいっ」

遥「……私、みのりのことが好き。ずっと、私の一番近くにいてほしい」
遥「あなたのことを、一番近くで感じていたい」

みのり「…………」
遥「……みのり?」
みのり「」
遥「みのり……みのりっ?ーー気絶してる!?」
6 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:49:20.95 ID:Uw1Hn3HT0
〜〜

遥「……とまぁ、こういう感じで」
愛莉「……は?」
愛莉「え、は?夢だと思われてたの?」
遥「私も同じことを思ったし、多分同じことを言ったよ」
愛莉「いやいやいや、アンタ屋上に呼び出して隣に座って話したわけでしょ?それを夢って……」
愛莉(というか『また夜に会いに来るから』って、みのりの夢に遥が出ることは確定なのね。もしかして毎晩出てるの?)
遥「あれがもう遠回しの拒絶に思えてきて……正直かなり辛い」
愛莉「ま、まぁまだ可能性はあるわよ……多分」
遥「これでもう3回目なんだけど……」

愛莉「でも、明確な返事は貰ってないんでしょ?前回も、その前も」
遥「……うん」
愛莉「だったらこんなところで諦めかけてないで、ちゃんと聞いてもらえるまで頑張る!アンタがみのりに教わったことでしょ」
遥「そう……だよね。ごめん、愛莉」
愛莉「それでいいのよ」
7 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:49:47.27 ID:Uw1Hn3HT0
愛莉「でも、確かにこのまま続けても可能性がないのは確かよね」
遥「う……」
愛莉「あぁ、違うわよ。アンタに可能性がないって話じゃなくて」
愛莉(そもそもみのりが選ぶのはどう考えても遥だと思うけれど)
遥「やり方を変えるってこと?」
愛莉「そ。前回はどんな感じだったっけ、確か……」
遥「あの時、か……」
8 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:50:31.79 ID:Uw1Hn3HT0
〜〜

遥「みのり」
みのり「あ、遥ちゃん!遥ちゃんもこれからお昼?」
遥「うん。みのりは?」
みのり「私もだよっ。そうだ、せっかくだから一緒にお昼食べない?」
遥「あ、それなら私いい場所知ってるよ。そこで食べない?」
みのり「遥ちゃんのおすすめスポット……!?行きたいっ」
遥「良かった。こっち、来て」
みのり「わわっ、遥ちゃん引っ張らないでっ」

遥「着いた」
みのり「ここって……」
遥「こういう敷地の隅なら人もあまり来ないし、一人で静かに過ごせるから」
みのり「確かに遥ちゃんが校舎にいると、不思議な空気になるよね」
遥「みんなに注目はされるけど、遠巻きに見るだけで話しかけられることはなくて。……あんまり居心地がいいとは言えないかもね」
遥「だからここにはよく来てるんだ。最近はお昼を校庭で食べることもあるけど」
みのり「そっか……ってそれ、私が知っちゃって良かったの?一人で居たいからここに来るって……」
遥「あぁ、そのこと?それなら大丈夫。だって……」

遥「ここなら、みのりと二人きりになれるから」
9 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:51:27.49 ID:Uw1Hn3HT0
みのり「へ……?」
遥「もう少しだけ、近付いてもいい?」
みのり「あ、ごめんね狭いよね。私はもう少し奥に……」
遥「ううん、みのりはそこにいて?……よ、っと」
みのり「は、遥ちゃんっ?ええと、その、あの……」
遥「……やっぱりみのりの近くにいるとドキドキする。でもイヤじゃない」
みのり「は、遥ちゃん、近いっ……」
遥「ねぇ、みのりは?……私にドキドキしてくれてる?私のこと、意識してくれてる?」
みのり「は、遥ちゃんの顔がこんな近くにっ……あわわわわわわ……」
遥「……良かった、私だけじゃなくて。みのりもそんな風に感じてくれてるんだ」
遥「……これからすること、イヤなら突き飛ばしてくれていいから。……でももしそうじゃないなら、少しだけそのままでいて」
みのり「ひぅ…………耳元、くすぐったいっ……」
遥「……好きだよ、みのり。……んっ」
みのり「ぁ……ぁ……」

遥「……耳にキスしちゃった。……みのり?」
みのり「…………そんなの、ダメだよ……」
遥「みのり……どうしたの?」
みのり「ガチ恋はダメだよぉぉぉぉぉ!!」
遥「わ……ちょ、みのり!急に飛び上がったら……っていない!?」
遥「まさかお昼置きっ放しで逃げるなんて……いやそんなことよりもみのりはどこに……」
10 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:52:16.56 ID:Uw1Hn3HT0
〜〜

愛莉「あー……あったわね、そんなこと」
遥「もしかして愛莉、忘れてた?」
愛莉「……正直、忘れてた。あんまりにも……その、アレで、思い出したくなくて」
遥「それはそうだけど……でも……」
愛莉「……そうねぇ。確かに、突き飛ばされてはないけど……」
遥「むしろ突き飛ばさないようになのか、器用に私の腕からすり抜けていったね」
愛莉「わざわざ奥に避けてから遥の前を通って逃げるおまけ付きでね。遥に怪我させないようにっていう、みのりの最大限の配慮を感じるわ」
愛莉(ついでに出来るだけ遥に触れないでいようっていう意志も感じるけど。多分、好きにならないように)
11 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:53:32.14 ID:Uw1Hn3HT0
愛莉「にしてもアンタ、結構攻めたわね……耳にキスって」
遥「告白も二回目だし、ほとんど衝動的にしてたけどね。……なにか拙かった?」
愛莉「いや、拙いってわけじゃないと思うけど……時間ある時でいいから、部位別のキスの意味とか調べておきなさい」
遥「……そんなのがあるんだ」
愛莉「結構有名な話よ?遥が意味を込めたかは別として、気にしてる人がそれなりに多いのは事実だから」
遥「調べとく。それと、逃げる時にみのりが言ってたのは……」

愛莉「ガチ恋はダメ、ね。気持ちは分からなくもないけど……」
遥「ガチ恋、っていうのは、その……文字通り?」
愛莉「そ。好きなアイドルとかに本気で恋しちゃうっていうやつ。実際にはあんまり見ないけど」
遥「で、それがダメっていうのは……」
愛莉「あー、多分そういう意味はないから安心して。気が動転して逃げただけよ」
遥「そうだといいけど」

愛莉「……ちなみに、そのあとは?」
遥「……置いてくわけにもいかないからみのりのお昼持って追いかけて、見つけた時にはもうクラスの子といたから誘いにくくて……お昼だけ渡して戻った」
愛莉「……ご愁傷様。そのあと遥はどこで?」
遥「結局また同じ場所に戻ったよ。クラスで食べる気にもなれなくて」
愛莉「ちなみにその場所って……」
遥「悪いけど、内緒。みのりと二人の秘密だから」
愛莉「はいはい。そういうとこ律儀なのね」
12 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:54:14.90 ID:Uw1Hn3HT0
愛莉「今のところ逃走か気絶。そういえば一回目は?」
遥「もしかして最近疲れてるの?って心配された」
愛莉「そりゃまた……まともに受け止めてないのは共通してるわね」
遥「まともに受け止めてないって……言い方が」
愛莉「事実でしょ?結局今のみのりにとって、遥は推し止まりってこと」
愛莉「まずはそこを突破しなきゃ、告白を聞いてもらうことは不可能でしょうね」
遥「推し、か……推しって何なんだろうね」
愛莉「……そこを突付くのはやめておきなさい。一歩先は沼よ」
遥「……わかった」

遥「ん?足音がーーあ」
愛莉「あぁ、雫」
雫「早いわねぇ、二人とも。私も結構急いで来たんだけど……」
愛莉「二人で話したいことがあったのよ」
遥「放課後、練習の前にしようってなって」
雫「……」
愛莉「……あぁもう、そんな顔しなくても別に隠したりしないわよっ!」
雫「ありがとう、愛莉ちゃん」
遥(……今ので分かるんだ?)
13 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2021/01/27(水) 20:55:31.91 ID:Uw1Hn3HT0
〜〜

雫「なるほど、ね」
愛莉「雫はなにかいい案ない?」
雫「私?うーん……」
雫「みのりちゃんのその感じだと、嫌いってことはないだろうし……少しびっくりしちゃってるのかも」
遥「びっくり……?」
雫「だって、みのりちゃんから見れば遥ちゃんの告白は突然なわけでしょう?」
雫「応援していたアイドルで、同じグループの先輩で……そう見ていた相手に突然告白されたら、これからどう見ればいいのか分からなくなると思うの」
遥「先輩って……一応、学年は同じなんだけどな……」
愛莉「普通に尊敬されてるって話でしょ?……でも、そうね。一気に距離を縮められても、追い付かないのは当然か」

遥「なら、自然にゆっくり距離を縮める……?」
愛莉「いや、それじゃ結局一定ラインでストップしちゃう。みのりがブレーキをかけてるしね」
遥「ならどうすれば……」
愛莉「そんなの、決まってるじゃない」
雫「?」

愛莉「引いてダメなら押し続ける!最初っから全力で、いっそそれに慣れさせるの」
愛莉「逃げ道塞いで距離詰めてりゃ、いつかはみのりだって慣れるわよ」
遥「そんな強引な……」
雫「いいんじゃないかしら?みのりちゃんは、自分でブレーキをかけて動けなくなってるだけだろうし」
雫「そういう人にとって、強引にでも連れ出してくれる人は魅力的に映るものだから」
愛莉「……なんでそこでこっちを見ながら言うわけ?」
雫「ふふ」
愛莉「はぁ。ともかく、そういうことだから」
遥「……うん。ちょっと、元気出た」
愛莉「なら良かったわーーあ、ほら。お待ちかねの人が来たみたいよ」
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