ワイルド・ハニーは砕かない

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102 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:08:17.21 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「ぼくは、あの『黒いドーム』のスタンド使いと同じように……一歩『先』へと行ったスタンドを持っています」

徐倫「!!」

ジョルノ「初めてこのスタンドを手に入れた時、ぼく自身、自分の能力については何もわかりませんでした。しかし……この十数年間、ぼくは密かに自分の能力について研究し、知り得る事が出来ました」
103 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:09:39.32 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「ぼくは、敵の『攻撃』の動作やその意思を、全て『ゼロ』にする事が出来る。……終わりがないのが『終わり』……それが『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』」

徐倫「……『ゼロ』?」

ジョルノ「つまり、敵の夢に囚える能力は、ぼくには通用しないという事ですよ。おそらく、ぼくの側にいる人にもその効果は発揮するでしょう」

徐倫「!!――……つまり……」

ジョルノ「ぼく達は『戦える』……これは重要なアドバンテージです」
104 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:11:15.92 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「それに、貴女は――(『何故』なのか?という事はわからないが)――ぼくと同じように、『ジョースターの血統』を、感じる事が出来ますね?」

徐倫「!!……え、ええ。ここに来る時、護送車の中で……アンタの存在を感じてた」

ジョルノ「それがある限り、あのドームの中で何が起ころうと離れ離れになる事はないでしょうし、空条承太郎博士を探す事も容易でしょう。……そろそろ行きましょうか。ミス・空条」

徐倫「……徐倫でいい。あたしもアンタの事、ジョルノって呼ぶから」
105 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:13:37.14 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「……それともう一つ。貴女は……『静・ジョースター』という女性について、知っていますか?」

徐倫「……『静』?」
106 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:15:15.25 ID:HMBQEr2y0
徐倫「ええと……何年前だっけ?父さんに連れられてひいおじいちゃんの所行った時に……孫だっけ、ひいおじいちゃんの」

ジョルノ「……正確には娘ですね。養子ですが」

徐倫「ああそうだっけ。……その後から父さんとうまくいかなくなってきたから会ってないけど、覚えてるわ。でけーサングラスが印象的だった。……それが?」

ジョルノ「いえ……彼女も杜王町にいるようですので」

徐倫「……助けないといけない親戚が増えたって訳ね」

ジョルノ「……」カサッ
107 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:16:52.71 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ(……彼女の健康診断時の情報と、フーゴ達が調べ上げた、『有栖川メイ』の情報……彼女が通っていた病院から盗んだ情報)

ペラリ

ジョルノ(それによると彼女たちは……)

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ジョルノ「……これは、彼女の戦い……なのかも、しれませんね」

徐倫「?」

…………
108 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:18:34.87 ID:HMBQEr2y0
…………

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

徐倫「どうだッ!この吸血鬼野郎ッ!!」

ジョルノ「ぼくから離れないで徐倫!あまり前に出るんじゃあない」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

メイ「……」ムクリ
109 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:19:22.20 ID:HMBQEr2y0
メイ「……おかしいわね。何故……私の『世界』で、自由にいるのかしら?」

ジョルノ「……」

メイ「ん?」

ブラーン
110 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:20:39.36 ID:HMBQEr2y0
メイの首が、折れて変な方向へ曲がっている。

メイ「……あら、あら、あらら。大変……前が見えないわ。うえぇぇえ〜〜ン。どこにいるのォ?二人ともォ……?」

徐倫「……」

ジョルノ「……」

メイ「……ンン〜〜」ボキキッ
111 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:21:38.74 ID:HMBQEr2y0
手でちょいと直すだけで、首は元通りになった……ッ!

メイ「……自己紹介が必要かしら?私の名前は有栖川メイ……これからこの地球に唯一人の存在となる者……それで?貴方達は?」

ジョルノ「……」

徐倫「吸血鬼に語るような名前なんか無ェーわ、このタコ」

メイ「……そう」ニッコォ

ヒュッ!
112 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:25:16.11 ID:HMBQEr2y0
ドボオ!!

徐倫「!!」

ジョルノ「!?なッ……」

瞬間!!
メイの右腕が、徐倫の腹を貫いたッ!!
113 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:26:19.37 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「何ィ〜〜ッ〜〜!!馬鹿なッ!!徐倫!!(見えなかったッ!!これが……『吸血鬼』の速さかッ!!)」

メイ「私を馬鹿にしているのかしらァァ〜〜ッ!!親切丁寧にこの私がッ……貴女と『友達』になりたいから自己紹介から始めたのに!!その優しさを後ろ足で蹴って土をかぶせるっていうのねッ!!私と友達になりたくないっていうのねッ!!な……泣きそうだわ……ううう……うええ……!!」ボロボロ
114 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:27:30.93 ID:HMBQEr2y0
徐倫「……そうよ。まったく……やれやれだわ」
115 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:28:47.79 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「!!」

メイ「!!」

ガシッ!!

メイ「こ!!(コイツ!!胴が空洞に……身体が『糸』になっているッ!!)」

徐倫「捕まえた。そして食らいな……父さんの分まで!!」
116 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/05(火) 21:29:20.88 ID:HMBQEr2y0
徐倫「オラアッ!!!!」

バギャア

メイ「RY!!」ガブウッ!
117 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2021/01/05(火) 21:30:29.43 ID:HMBQEr2y0
今回はここまでです。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/01/05(火) 23:04:17.97 ID:uW6Am3ip0
ずっと待ってた…生きてりゃいい事あるもんだな
119 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:03:32.01 ID:VAiTs1In0
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

メイ「……!!」グラアッ……

徐倫「たたみかけろジョルノ!!こいつはあたしが捕らえるッ!!」

ブワアアアア

メイ「……これは……」

『手錠』ッ!!

ガシィィ――ン
120 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:06:25.30 ID:VAiTs1In0
徐倫「屈服させるッ!!」

ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』」

GER『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』

ボッボッ

ボッ!!
121 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:07:32.54 ID:VAiTs1In0
メイ「フン」

ヒラリ

徐倫「甘い」グイン

メイ「!!」
122 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:10:23.63 ID:VAiTs1In0
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの突き(ラッシュ)を紙一重で避けるメイは、
手錠により徐倫の元へ戻されるッ!!

グルゥオオオ

メイ(……戦い『慣れすぎている』……少し危ないわね。何よりこの『手錠』――……)

徐倫「オラッ――」ヒュ……

徐倫の蹴りが、メイの頭を捉えようとしていたッ!!
123 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:11:46.25 ID:VAiTs1In0
メイ「離してくれないかしら」プッ



ギ パ
124 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:13:40.44 ID:VAiTs1In0
徐倫「!!」

ジョルノ「な……あの『目』はッ!?」

メイの瞳孔が破れ、ただならぬ圧力(プレッシャー)をあたえるッ!!
125 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:15:52.87 ID:VAiTs1In0
ジョルノ「避けろ徐倫――ッ!!」

ドッゴオオ

徐倫「うおおおおおお!!」バッ

シュゴォ――ッ!!
126 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:17:04.66 ID:VAiTs1In0
ビビイッ

徐倫「い、今のはッ!!」

ガラガラガラ……
127 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:18:22.70 ID:VAiTs1In0
二人の背後にあった家が切断され、崩れ落ちるッ!!

ジョルノ(今のは体液……目から超高圧で体液を噴射した!?)

ジョルノ「――はッ!!」
128 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:20:12.82 ID:VAiTs1In0
メイが拳を振り上げるッ!!

メイ「『友達』である私を屈服だなんて……悪い子ね」

徐倫「くッ――」バッ

ドガァ!!
129 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:21:38.88 ID:VAiTs1In0
ジョルノ「な……徐倫――ッ!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

メイ「……ン……?」

グニ……
130 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:22:45.73 ID:VAiTs1In0
徐倫「……なかなかいいパンチね。ナイスパワー。……『その力があたしは欲しかった』……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

メイ(この感触……)

徐倫「自分で入れようとしても入らないのよね、『これ』……だから、力任せに『押し込む』には、あんたのようなのが最適……」

……ゴロ……
131 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:24:20.00 ID:VAiTs1In0
ゴロゴロゴロゴロ……

徐倫「『糸の手錠』で屈服させられないのなら……あんたを打ち破るためならば。あたしはとことん変わってやる」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

メイ「面白いわね……貴女、『スタンド』を2つ持っているの?それとも――……」

徐倫「これはあたしが受け取り!!エンポリオに託した……親友の『スタンド』だッ!!」



『ウェザー・リポート』ッ!!
132 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:25:45.03 ID:VAiTs1In0
ドヒュウウウウ!!

メイ「『風』……!!」ヨロリ

徐倫「そよ風はもう止んだのよ……あんたを捉える『突風』となるッ!!」

ゴオオオオ!!

ジョルノ「良い風だ……徐倫」
133 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:27:08.50 ID:VAiTs1In0
ウェザー・リポート『オラオラオラオラオラオラオラオラ!!』

GER『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!』

ド ド ド ド

メイ「WOOOOOOMMMMMM」

ドッドッドッ

ジョルノ「二人がかりで悪いがな……終わらせてもらう」

徐倫「こんな事、年下の女の子じゃあなく意中の男性に言うべきだけど……逃さないわよ。絶対に!!」

ゴオオオオオオオ
134 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:28:20.02 ID:VAiTs1In0
メイ「ええ、ええ!そうね……私もよ」

ピッキィーン

徐倫「!!」
135 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:29:55.10 ID:VAiTs1In0
ジョルノ「!?」ザッ

メイ「『雲』のスタンド……『ウェザー・リポート』と言ったかしら?良いスタンドだけれども……貴女、『吸血鬼』は初めて?」

徐倫「こ……これはッ!?」

バシ!
バシバシバシ!
136 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:31:25.46 ID:VAiTs1In0
メイ「私が貴女の初めての人のようね。……神・『DIO』については……信頼できる友・チェスタから聞いていた。……試すのは初めてだけどね。お互い初めて同士!……なんだかとっても、素敵ね?」

パキィーン!!
137 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:32:59.44 ID:VAiTs1In0
徐倫「う……おおおああああ!!こ、『凍る』ッ!?」

メイ「気化冷凍法」

バァ――ン

ジョルノ「くッ……!!」バッ

メイ「そう怒らないで……落ち着きましょう?ねえ……」
138 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:34:03.82 ID:VAiTs1In0
メイ「『ジョルノ』……『ジョルノ・ジョバァーナ』?」ニコリ

ジョルノ「!?……なんで、おまえ……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ジョルノ「ぼくの、『名前』……を……」

グラリ
139 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:35:25.84 ID:VAiTs1In0
徐倫「う……!」クラッ

ジョルノ「……!?」ヨロッ

メイ「入らせてもらったわ。もう貴方たちは『夢の中』」

ジョルノ「……バカな……ぼくの『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』は……全ての『攻撃』を……!!」

メイ「『攻撃』?……確かに私、貴方たちにちょっぴり、乱暴しちゃったかもね。はしたないことだわ……神に懺悔して反省する」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
140 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:36:38.45 ID:VAiTs1In0
メイ「でもね、私……貴方たちと、『友達』になりたいの」

ニッコリ

ジョルノ「!!」
141 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:37:40.59 ID:VAiTs1In0
メイ「おやすみなさい、徐倫にジョルノ。……目が覚めたら、お互いケンカした事を謝って……一緒にお茶でもしましょう?」

ジョルノ「……攻撃ではない、ということ……か……」ズル……
142 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:38:37.72 ID:VAiTs1In0
ジョルノ(甘かった……読みが……!!)

ドサッ
143 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/06(水) 21:39:32.08 ID:VAiTs1In0
メイ「…………」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

徐倫「……」スゥ……スゥ……

ジョルノ「……」スゥ……スゥ……

メイ「……『素晴らしきこの世界』まで、あと……四日。……とりあえず……手当してあげないとね」

…………
144 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2021/01/06(水) 21:41:17.06 ID:VAiTs1In0
今回はここまでです
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/01/07(木) 00:07:25.41 ID:++yfUmWk0
銀チャリ乙!
MIH前にプッチ倒したことで使われなくなってしまったウェザーの『DISC』がようやく……
メイは実力と経験だけならジョルノ徐倫に敵わないけど、自分の有利なフィールドをがっつり作れていたのが功を奏したって感じね
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/01/07(木) 20:15:47.43 ID:bWT1koMe0
久しぶりに見たくなって見返していたら偶然発見しちゃった・・・・・・! 運命を感じてしまう・・・・・・待ってて良かったというよりは、忘れないでよかったというべきなのか・・・・・・ああ、マジでうれしいっす・・・・・・
147 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:00:39.93 ID:N+roWYgH0
…………

『……本日のニュース、です。……ええ、日本から広がった例の『膜』は、世界の半分を包もうと……』

『…………く、うう……』

『世界は……世界はもう、終わりなのでしょうか!?わたくしは非常に、口惜しいッ!!……ああ……』
148 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:02:54.66 ID:N+roWYgH0
『神様……!!』

…………
149 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:04:12.68 ID:N+roWYgH0
…………





『四日目』





…………
150 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:07:01.66 ID:N+roWYgH0
…………

キャスター『半分!半分ですよ!!もう世界の半分を包み込もうとしているッ!』

コメンテーター『落ち着きたまえよ、キミぃ……』

キャスター『これが落ち着いていられますかッ!!我が国では核での攻撃も検討されているんですよ!?このままでは世界大戦に勃発する!!』

コメンテーター『しかしだね、あの膜はミサイルも効かないのだよ?大統領もわかっているだろう。その事は』
151 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:08:48.53 ID:N+roWYgH0
コメンテーター『それにだね、これは喜ばしい事じゃあないか』

キャスター『?……何を言ってるんだ?アンタ?』

コメンテーター『私達もやっと、メイと本当の友達になれるんだ。だからそう怖がることなく――……』

キャスター『しょ……正気かテメェーッ!いや正気じゃあねえ!テメェは例のアレか!新興宗教の信者か!!』
152 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:10:42.05 ID:N+roWYgH0
キャスター『あんなワケのわからんモンが神の裁きやら導きやらの訳ねェーだろ――が――ッ!』

コメンテーター『宗教?違うちがう……私はね、友達なんだよ。メイの――……』

キャスター『オメェーみたいなオッサンが日本の訳のわからん膜の中身と友達なのか!?そんな訳あるか!!オイ、しっかりしろ!!』

コメンテーター『……友達、では、ない?』

キャスター『当たり前だろうが!ニュースはなあ、しっかりとした情報を――……』

コメンテーター『……う、うう……』
153 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:13:20.03 ID:N+roWYgH0
コメンテーター『……なぜだ?なぜ私は……メイと友達に……?』

『……番組の途中ですが、ここで一旦CMです』

キャスター『おいちょっとまて……CM?今!そんなモン流してる場合か!!』

『しかし、彼の容態が――……』

『バカヤロー!!俺たちジャーナリストはこんな時だからこそ世界に正しい報――……』

…………
154 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:15:40.39 ID:N+roWYgH0
…………

バ ァ ァ ア ア ア ア

静「…………」
155 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:17:33.25 ID:N+roWYgH0
静「……ない……ない……ない。ない……ないや」

静・ジョースターは、原っぱにいた。
そこで、彼女は一生懸命、探し続ける……。
156 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:18:42.33 ID:N+roWYgH0
男「……何を探しているんだい?」

女「……」

ザッ

静「……」
157 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:20:34.92 ID:N+roWYgH0
そこに現れたのは――……一組の男女だった。
一人は金色の巻毛の男で、もう一人は団子にした髪を、三編みでまとめた女……。

静「……」

女「……ちっさ……高校生じゃあないの?今……」ボソ

男「なんでもありなんでしょう。ここでは……」

女「……」

静「…………」
158 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:23:13.08 ID:N+roWYgH0
女「……ねえ、何探してんの?ここで……さ」

静「……よ……」

男「……」

静「……四つ葉の、クローバー……探してるの。友達に……メイにあげるために」

女「……『メイ』」

男「…………手伝おうか?ぼくらも」

スッ
159 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:24:39.41 ID:N+roWYgH0
静「!!」

女「何年ぶりかな、こんなことすんの……ていうか、したことあったかな……」

静「……」ジーッ

男「……どうしたんだい?」

静「!」

男「ぼくらが……どうかした?」

静「いえ!あの……」
160 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:26:34.73 ID:N+roWYgH0
静「……踏まないんだ、って……思って」

女「……?」

男「?……!……ああ、そうだね」

女「?……??」

男「……あ、これ……四つ葉なんじゃあないか?」

静「!……あ……」
161 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:27:38.27 ID:N+roWYgH0
プツッ

男「ほら……」スッ

静「あ……ありがとう。これで、これを……メイに、友達にプレゼント出来る」

女「……」

男「……これは……ぼくらが……」

静「?……」
162 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:28:49.57 ID:N+roWYgH0
男「ぼくらが、言うことではないのかもしれない。君にとっては、部外者のぼくらが……」

静「……」

男「だけど――……」

女「……静、アンタのそのクローバーは……『メイに渡すものなの?』」

静「……え……」
163 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:30:07.44 ID:N+roWYgH0
男「静、きみの『友』は――……」



バシュウ
164 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:31:58.90 ID:N+roWYgH0
静「……え?」

キョロキョロ
165 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:33:18.25 ID:N+roWYgH0
突如、男女の姿は消えた。
そして――……
166 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:34:47.41 ID:N+roWYgH0
メイ「……ハア、ハア!ハア……ハァ……」

ザッ

静「……メイ?」

メイ「ハァ、ハァ……ハァ……」

静「メイ、ちょっと……大丈夫?」

メイ「ええ、ええ……大丈夫……大丈夫よ……静」
167 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:36:10.93 ID:N+roWYgH0
メイ(まさか……私の『ワンダフル・ワールド』の中で自由に動くとは!……『矢』の力かしら。ジョルノに、徐倫……あなどれないわね)

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

メイ(しかし……これでもうおわり。私のワンダフル・ワールドは無敵なの。誰にも……邪魔されない。全ての生き物は眠り、夢を見て……世界中みんなが、『友達』に……ふふ……)
168 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:38:02.48 ID:N+roWYgH0
メイ「ふふ……ウフフフフ……フハハ……」ユラリ

静「ちょ、待……メイ、あの――……『四つ葉』――……」

メイ「なあに?」クルリ

静「……い、いえ……なんでもないわ。なんでも……」

メイ「?……おかしな静。ふふっ」

静「……」
169 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:40:29.18 ID:N+roWYgH0
静(メイ……見たこと無いわ。今まで、そんな『顔』……)

静(あたし……あたしは、ただ……メイに、『四つ葉』が……綺麗な顔に、四つ葉がきっと、合うと思って……)

静(なのに……あたし、何で?……『恐怖』?……メイに……?)
170 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:45:08.73 ID:N+roWYgH0
ガサッ

静「……え?」
171 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:46:23.66 ID:N+roWYgH0
静が右手で握っていた『クローバー』は……
いつの間にか……『紙』に変わっていた。
172 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:48:18.83 ID:N+roWYgH0
静「こ、『これ』は……(何年前?もうずっと、ずっと、ずう〜〜っと昔に、同じようなのを見た。……なのに、何でだろう……)」

静(つい昨日か、一昨日のように新鮮で……懐かしくて……)

静「……『暖かい』」
173 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:49:40.52 ID:N+roWYgH0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……」ガサリ
174 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:50:37.67 ID:N+roWYgH0
『つかえ』

静「……(覚えてる……確か、前に書いてあったのは……)」

静「……『あたま』……」

静「……」

静(『あたま』……『つかえ』?)
175 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:51:38.55 ID:N+roWYgH0
静「どういう――……」

ド ヒ ュ ゥ ウ ウ

静「う……」
176 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:52:17.04 ID:N+roWYgH0
…………





『いつまで寝てるんだ?お前は』





…………
177 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:53:14.80 ID:N+roWYgH0
風で目を閉じた静の瞼の裏に
知らない男の姿が、映る。

学生服で、眼鏡をかけた――……。
178 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/07(木) 21:54:37.81 ID:N+roWYgH0
静「……誰?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……

…………
179 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2021/01/07(木) 21:56:17.76 ID:N+roWYgH0
今回はここまでです

レスありがとうございます。励みになります
180 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:00:38.73 ID:/2fOk0s80
…………

ブクブクブクブク……

静「……ガボ……ゴボ!……ガボボ!!……く……」

ボコボコボコ

静「……助け……けえ……ボコ……」

ボココ
181 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:03:04.65 ID:/2fOk0s80
――『水の中から見る太陽って――……』
……『ユラユラしてて、案外面白いのね』

静・ジョースターは、水底に沈みながら、ノン気にそんな事を考えた。
182 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:05:08.39 ID:/2fOk0s80
どうして、あたしは溺れてるんだろう?
どうして、あたしは悲しいんだろう?
どうして、あたしは……なんだか心がカラッポになっちゃった、って、考えてるんだろお?

静「…………ゴボ……」

ゴボゴボゴボ……

…………
183 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:06:16.68 ID:/2fOk0s80
…………





『五日目』





…………
184 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:08:28.02 ID:/2fOk0s80
…………

ジョセフ『『静』、じゃ。この娘の名前は、『静・ジョースター』』

承太郎『…………』
185 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:10:38.65 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『どうじゃ?承太郎。ピッタリの名前だと思わんか?ン?』

承太郎『まだアメリカの地を踏んでねえのに、気の早いジジイだぜ……』

ジョセフ『知ってるモン、わし。日本では『善は急げ』って言葉があるんだもんのーッ。かわいらしい名前だと思わんか?昔見た日本のアニメキャラも同じ名前だったかのーっ。まあそれは関係ない話じゃが』

赤子『きゃっ♡きゃっ♡』

ジョセフ『お、ほれ見ろ承太郎!喜んどるぞこの娘!うーん、かわいいのーっ』

承太郎『……』
186 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:12:10.97 ID:/2fOk0s80
承太郎『……『おしとやか』にでも育ってほしいのか?この娘に』

ジョセフ『ん?』

赤子『あばーっ?』

承太郎『いや……日本の名前ってのは漢字に意味があってな……静って名前は、『おしとやか』だとか『穏やか』だとか……そんな意味合いがあるってだけの話だぜ』

赤子『……ういー……』

ジョセフ『うーむ、難しい事を言うのう。『意味』か……確かに、おしとやかな大人のレディーに育つと良いかもしれんのう……』
187 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:14:35.43 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『しかし、そうじゃあのう……『穏やか』という意味があるのなら、わしはこの娘に……『穏やかな人生』を送ってもらいたいもんじゃ』

承太郎『……』

ジョセフ『わしらが命をかけて作った、安全な世界で……何者にも害されず、穏やかにのう』

赤子『ぶーっ……』

承太郎『……そうか』

ジョセフ『しかしの、承太郎。……わしはこうも思うのじゃ』
188 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:16:02.69 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『名前とは重要じゃ。この世で唯一無二を表す記号。皆それをつけられて産まれてくる。……だがのう、『名前の意味を決めるのは、その子自身なんじゃ』』

承太郎『……』
189 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:16:59.24 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『『静』という名前を聞いて、おしとやかな大人のレディーや、穏やかな人生を送っている娘を思い浮かべるかもしれん。……だが、この娘が大きくなった時……『静』という名前に、活発元気でハツラツな娘や、危険を承知で誰かのために動ける娘という意味が、イメージとしてついているかもしれん』

承太郎『……』

ジョセフ『わしはな、この娘……『静・ジョースター』の『名前』が……どう『成長』していくか、今からとても楽しみなんじゃ。『静・ジョースター』と聞いて、皆が何を思い浮かべるようになるかを、な……』

赤子『……アハハ♡』

ジョセフ『……』ニコリ
190 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:18:51.48 ID:/2fOk0s80
『だから、わしは名付けるんじゃよ。この娘の名前は――……』



『……静・ジョースター』



…………
191 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:20:54.12 ID:/2fOk0s80
…………



静「!!――……ガボ……」



朦朧とした意識の中で見た、今の光景は――……ただの『夢』なのかもしれない。
赤子であった自分が名付けられた時など、誰も覚えていないだろう。

しかし――……
192 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:21:50.45 ID:/2fOk0s80
静(なぜあたしは……泣いてるんだろう?)

ブクブクブク……

静(満たされない……満たされない。メイが……『友達』がいるのに)

ボコボコボコ……
193 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:22:46.97 ID:/2fOk0s80
静(そう。あたしは……一人ぼっち。溺れても、だあれも助けてくれない……)

ボコボコボコ……

静(あたしは――……『一人』だ……)
194 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:24:17.19 ID:/2fOk0s80
――ガッ!

ザパアッ!!
195 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:25:28.22 ID:/2fOk0s80
静「!!――……ゲホ!ゴホ!ゲェーホ!……おえ……!」ハァハァ

メイ「静……静!ねえ、大丈夫?……な、なんで溺れて……!」ハァハァ

静「……め、メイ……?」

メイ「ええ、ええ!私よ……静!」
196 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:26:35.73 ID:/2fOk0s80
静「……たすけて……くれたの?」

メイ「当たり前じゃあないの!『友達』……なんだから!」

チャプチャプ……

静「……『友達』……」

メイ「……な……(何故……?)」
197 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:27:50.69 ID:/2fOk0s80
メイ(ここは『ワンダフル・ワールド』……私の幸せの世界なのにッ!何故静が……こんなひどい目にッ!?)

静「……ごめん、ね。……メイ」

メイ「?」

静「あたし、さ……アンタみたいな、最高の『友達』がいるのに……なんでだろう?……『悲しい』の」

メイ「……」
198 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:29:35.58 ID:/2fOk0s80
静「心にドーナツみたいな穴が、ポッカリ空いたみたいで、さ……」

メイ「!!……」

静「……幸せよ。アンタといると。だけど……あたし、なんだか……弱くなった感じがする。……『元気』じゃあなく、『おしとやか』に、さ」

メイ「静……静……!」
199 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:31:13.20 ID:/2fOk0s80
メイ「……いいじゃあないの。『おしとやか』で……貴女はもう、戦わなくて良いんだから……」

静「……」

メイ「私が……私が、守るわ。静……わかったの。私は……貴女なしではいられない」

静「……」
200 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:32:22.89 ID:/2fOk0s80
メイ「なんでだろう……そう思うの。世界中のみんなも好きだけど、それでも貴女は……私と同じにおいがする」

静「……」

メイ「……大切なの。貴女が」

静「…………ごめん。メイ……あたし、アンタのこと……疑ってた。本当に……ごめん」
201 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2021/01/08(金) 21:34:11.78 ID:/2fOk0s80
静「今の言葉……本心だって、わかるわ。こんなあたしにも、ね……」

メイ「……」

静「きっと、この海は……あたしなのよ」

メイ「……『あたし』?」
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