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ワイルド・ハニーは砕かない
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102 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:08:17.21 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「ぼくは、あの『黒いドーム』のスタンド使いと同じように……一歩『先』へと行ったスタンドを持っています」
徐倫「!!」
ジョルノ「初めてこのスタンドを手に入れた時、ぼく自身、自分の能力については何もわかりませんでした。しかし……この十数年間、ぼくは密かに自分の能力について研究し、知り得る事が出来ました」
103 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:09:39.32 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「ぼくは、敵の『攻撃』の動作やその意思を、全て『ゼロ』にする事が出来る。……終わりがないのが『終わり』……それが『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』」
徐倫「……『ゼロ』?」
ジョルノ「つまり、敵の夢に囚える能力は、ぼくには通用しないという事ですよ。おそらく、ぼくの側にいる人にもその効果は発揮するでしょう」
徐倫「!!――……つまり……」
ジョルノ「ぼく達は『戦える』……これは重要なアドバンテージです」
104 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:11:15.92 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「それに、貴女は――(『何故』なのか?という事はわからないが)――ぼくと同じように、『ジョースターの血統』を、感じる事が出来ますね?」
徐倫「!!……え、ええ。ここに来る時、護送車の中で……アンタの存在を感じてた」
ジョルノ「それがある限り、あのドームの中で何が起ころうと離れ離れになる事はないでしょうし、空条承太郎博士を探す事も容易でしょう。……そろそろ行きましょうか。ミス・空条」
徐倫「……徐倫でいい。あたしもアンタの事、ジョルノって呼ぶから」
105 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:13:37.14 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「……それともう一つ。貴女は……『静・ジョースター』という女性について、知っていますか?」
徐倫「……『静』?」
106 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:15:15.25 ID:HMBQEr2y0
徐倫「ええと……何年前だっけ?父さんに連れられてひいおじいちゃんの所行った時に……孫だっけ、ひいおじいちゃんの」
ジョルノ「……正確には娘ですね。養子ですが」
徐倫「ああそうだっけ。……その後から父さんとうまくいかなくなってきたから会ってないけど、覚えてるわ。でけーサングラスが印象的だった。……それが?」
ジョルノ「いえ……彼女も杜王町にいるようですので」
徐倫「……助けないといけない親戚が増えたって訳ね」
ジョルノ「……」カサッ
107 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:16:52.71 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ(……彼女の健康診断時の情報と、フーゴ達が調べ上げた、『有栖川メイ』の情報……彼女が通っていた病院から盗んだ情報)
ペラリ
ジョルノ(それによると彼女たちは……)
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ジョルノ「……これは、彼女の戦い……なのかも、しれませんね」
徐倫「?」
…………
108 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:18:34.87 ID:HMBQEr2y0
…………
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
徐倫「どうだッ!この吸血鬼野郎ッ!!」
ジョルノ「ぼくから離れないで徐倫!あまり前に出るんじゃあない」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
メイ「……」ムクリ
109 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:19:22.20 ID:HMBQEr2y0
メイ「……おかしいわね。何故……私の『世界』で、自由にいるのかしら?」
ジョルノ「……」
メイ「ん?」
ブラーン
110 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:20:39.36 ID:HMBQEr2y0
メイの首が、折れて変な方向へ曲がっている。
メイ「……あら、あら、あらら。大変……前が見えないわ。うえぇぇえ〜〜ン。どこにいるのォ?二人ともォ……?」
徐倫「……」
ジョルノ「……」
メイ「……ンン〜〜」ボキキッ
111 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:21:38.74 ID:HMBQEr2y0
手でちょいと直すだけで、首は元通りになった……ッ!
メイ「……自己紹介が必要かしら?私の名前は有栖川メイ……これからこの地球に唯一人の存在となる者……それで?貴方達は?」
ジョルノ「……」
徐倫「吸血鬼に語るような名前なんか無ェーわ、このタコ」
メイ「……そう」ニッコォ
ヒュッ!
112 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:25:16.11 ID:HMBQEr2y0
ドボオ!!
徐倫「!!」
ジョルノ「!?なッ……」
瞬間!!
メイの右腕が、徐倫の腹を貫いたッ!!
113 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:26:19.37 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「何ィ〜〜ッ〜〜!!馬鹿なッ!!徐倫!!(見えなかったッ!!これが……『吸血鬼』の速さかッ!!)」
メイ「私を馬鹿にしているのかしらァァ〜〜ッ!!親切丁寧にこの私がッ……貴女と『友達』になりたいから自己紹介から始めたのに!!その優しさを後ろ足で蹴って土をかぶせるっていうのねッ!!私と友達になりたくないっていうのねッ!!な……泣きそうだわ……ううう……うええ……!!」ボロボロ
114 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:27:30.93 ID:HMBQEr2y0
徐倫「……そうよ。まったく……やれやれだわ」
115 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:28:47.79 ID:HMBQEr2y0
ジョルノ「!!」
メイ「!!」
ガシッ!!
メイ「こ!!(コイツ!!胴が空洞に……身体が『糸』になっているッ!!)」
徐倫「捕まえた。そして食らいな……父さんの分まで!!」
116 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/05(火) 21:29:20.88 ID:HMBQEr2y0
徐倫「オラアッ!!!!」
バギャア
メイ「RY!!」ガブウッ!
117 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2021/01/05(火) 21:30:29.43 ID:HMBQEr2y0
今回はここまでです。
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/01/05(火) 23:04:17.97 ID:uW6Am3ip0
ずっと待ってた…生きてりゃいい事あるもんだな
119 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:03:32.01 ID:VAiTs1In0
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
メイ「……!!」グラアッ……
徐倫「たたみかけろジョルノ!!こいつはあたしが捕らえるッ!!」
ブワアアアア
メイ「……これは……」
『手錠』ッ!!
ガシィィ――ン
120 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:06:25.30 ID:VAiTs1In0
徐倫「屈服させるッ!!」
ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』」
GER『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』
ボッボッ
ボッ!!
121 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:07:32.54 ID:VAiTs1In0
メイ「フン」
ヒラリ
徐倫「甘い」グイン
メイ「!!」
122 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:10:23.63 ID:VAiTs1In0
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの突き(ラッシュ)を紙一重で避けるメイは、
手錠により徐倫の元へ戻されるッ!!
グルゥオオオ
メイ(……戦い『慣れすぎている』……少し危ないわね。何よりこの『手錠』――……)
徐倫「オラッ――」ヒュ……
徐倫の蹴りが、メイの頭を捉えようとしていたッ!!
123 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:11:46.25 ID:VAiTs1In0
メイ「離してくれないかしら」プッ
ギ パ
124 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:13:40.44 ID:VAiTs1In0
徐倫「!!」
ジョルノ「な……あの『目』はッ!?」
メイの瞳孔が破れ、ただならぬ圧力(プレッシャー)をあたえるッ!!
125 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:15:52.87 ID:VAiTs1In0
ジョルノ「避けろ徐倫――ッ!!」
ドッゴオオ
徐倫「うおおおおおお!!」バッ
シュゴォ――ッ!!
126 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:17:04.66 ID:VAiTs1In0
ビビイッ
徐倫「い、今のはッ!!」
ガラガラガラ……
127 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:18:22.70 ID:VAiTs1In0
二人の背後にあった家が切断され、崩れ落ちるッ!!
ジョルノ(今のは体液……目から超高圧で体液を噴射した!?)
ジョルノ「――はッ!!」
128 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:20:12.82 ID:VAiTs1In0
メイが拳を振り上げるッ!!
メイ「『友達』である私を屈服だなんて……悪い子ね」
徐倫「くッ――」バッ
ドガァ!!
129 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:21:38.88 ID:VAiTs1In0
ジョルノ「な……徐倫――ッ!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
メイ「……ン……?」
グニ……
130 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:22:45.73 ID:VAiTs1In0
徐倫「……なかなかいいパンチね。ナイスパワー。……『その力があたしは欲しかった』……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
メイ(この感触……)
徐倫「自分で入れようとしても入らないのよね、『これ』……だから、力任せに『押し込む』には、あんたのようなのが最適……」
……ゴロ……
131 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:24:20.00 ID:VAiTs1In0
ゴロゴロゴロゴロ……
徐倫「『糸の手錠』で屈服させられないのなら……あんたを打ち破るためならば。あたしはとことん変わってやる」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
メイ「面白いわね……貴女、『スタンド』を2つ持っているの?それとも――……」
徐倫「これはあたしが受け取り!!エンポリオに託した……親友の『スタンド』だッ!!」
『ウェザー・リポート』ッ!!
132 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:25:45.03 ID:VAiTs1In0
ドヒュウウウウ!!
メイ「『風』……!!」ヨロリ
徐倫「そよ風はもう止んだのよ……あんたを捉える『突風』となるッ!!」
ゴオオオオ!!
ジョルノ「良い風だ……徐倫」
133 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:27:08.50 ID:VAiTs1In0
ウェザー・リポート『オラオラオラオラオラオラオラオラ!!』
GER『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!』
ド ド ド ド
メイ「WOOOOOOMMMMMM」
ドッドッドッ
ジョルノ「二人がかりで悪いがな……終わらせてもらう」
徐倫「こんな事、年下の女の子じゃあなく意中の男性に言うべきだけど……逃さないわよ。絶対に!!」
ゴオオオオオオオ
134 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:28:20.02 ID:VAiTs1In0
メイ「ええ、ええ!そうね……私もよ」
ピッキィーン
徐倫「!!」
135 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:29:55.10 ID:VAiTs1In0
ジョルノ「!?」ザッ
メイ「『雲』のスタンド……『ウェザー・リポート』と言ったかしら?良いスタンドだけれども……貴女、『吸血鬼』は初めて?」
徐倫「こ……これはッ!?」
バシ!
バシバシバシ!
136 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:31:25.46 ID:VAiTs1In0
メイ「私が貴女の初めての人のようね。……神・『DIO』については……信頼できる友・チェスタから聞いていた。……試すのは初めてだけどね。お互い初めて同士!……なんだかとっても、素敵ね?」
パキィーン!!
137 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:32:59.44 ID:VAiTs1In0
徐倫「う……おおおああああ!!こ、『凍る』ッ!?」
メイ「気化冷凍法」
バァ――ン
ジョルノ「くッ……!!」バッ
メイ「そう怒らないで……落ち着きましょう?ねえ……」
138 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:34:03.82 ID:VAiTs1In0
メイ「『ジョルノ』……『ジョルノ・ジョバァーナ』?」ニコリ
ジョルノ「!?……なんで、おまえ……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ジョルノ「ぼくの、『名前』……を……」
グラリ
139 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:35:25.84 ID:VAiTs1In0
徐倫「う……!」クラッ
ジョルノ「……!?」ヨロッ
メイ「入らせてもらったわ。もう貴方たちは『夢の中』」
ジョルノ「……バカな……ぼくの『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』は……全ての『攻撃』を……!!」
メイ「『攻撃』?……確かに私、貴方たちにちょっぴり、乱暴しちゃったかもね。はしたないことだわ……神に懺悔して反省する」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
140 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:36:38.45 ID:VAiTs1In0
メイ「でもね、私……貴方たちと、『友達』になりたいの」
ニッコリ
ジョルノ「!!」
141 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:37:40.59 ID:VAiTs1In0
メイ「おやすみなさい、徐倫にジョルノ。……目が覚めたら、お互いケンカした事を謝って……一緒にお茶でもしましょう?」
ジョルノ「……攻撃ではない、ということ……か……」ズル……
142 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:38:37.72 ID:VAiTs1In0
ジョルノ(甘かった……読みが……!!)
ドサッ
143 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/06(水) 21:39:32.08 ID:VAiTs1In0
メイ「…………」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
徐倫「……」スゥ……スゥ……
ジョルノ「……」スゥ……スゥ……
メイ「……『素晴らしきこの世界』まで、あと……四日。……とりあえず……手当してあげないとね」
…………
144 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2021/01/06(水) 21:41:17.06 ID:VAiTs1In0
今回はここまでです
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/07(木) 00:07:25.41 ID:++yfUmWk0
銀チャリ乙!
MIH前にプッチ倒したことで使われなくなってしまったウェザーの『DISC』がようやく……
メイは実力と経験だけならジョルノ徐倫に敵わないけど、自分の有利なフィールドをがっつり作れていたのが功を奏したって感じね
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/01/07(木) 20:15:47.43 ID:bWT1koMe0
久しぶりに見たくなって見返していたら偶然発見しちゃった・・・・・・! 運命を感じてしまう・・・・・・待ってて良かったというよりは、忘れないでよかったというべきなのか・・・・・・ああ、マジでうれしいっす・・・・・・
147 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:00:39.93 ID:N+roWYgH0
…………
『……本日のニュース、です。……ええ、日本から広がった例の『膜』は、世界の半分を包もうと……』
『…………く、うう……』
『世界は……世界はもう、終わりなのでしょうか!?わたくしは非常に、口惜しいッ!!……ああ……』
148 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:02:54.66 ID:N+roWYgH0
『神様……!!』
…………
149 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:04:12.68 ID:N+roWYgH0
…………
『四日目』
…………
150 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:07:01.66 ID:N+roWYgH0
…………
キャスター『半分!半分ですよ!!もう世界の半分を包み込もうとしているッ!』
コメンテーター『落ち着きたまえよ、キミぃ……』
キャスター『これが落ち着いていられますかッ!!我が国では核での攻撃も検討されているんですよ!?このままでは世界大戦に勃発する!!』
コメンテーター『しかしだね、あの膜はミサイルも効かないのだよ?大統領もわかっているだろう。その事は』
151 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:08:48.53 ID:N+roWYgH0
コメンテーター『それにだね、これは喜ばしい事じゃあないか』
キャスター『?……何を言ってるんだ?アンタ?』
コメンテーター『私達もやっと、メイと本当の友達になれるんだ。だからそう怖がることなく――……』
キャスター『しょ……正気かテメェーッ!いや正気じゃあねえ!テメェは例のアレか!新興宗教の信者か!!』
152 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:10:42.05 ID:N+roWYgH0
キャスター『あんなワケのわからんモンが神の裁きやら導きやらの訳ねェーだろ――が――ッ!』
コメンテーター『宗教?違うちがう……私はね、友達なんだよ。メイの――……』
キャスター『オメェーみたいなオッサンが日本の訳のわからん膜の中身と友達なのか!?そんな訳あるか!!オイ、しっかりしろ!!』
コメンテーター『……友達、では、ない?』
キャスター『当たり前だろうが!ニュースはなあ、しっかりとした情報を――……』
コメンテーター『……う、うう……』
153 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:13:20.03 ID:N+roWYgH0
コメンテーター『……なぜだ?なぜ私は……メイと友達に……?』
『……番組の途中ですが、ここで一旦CMです』
キャスター『おいちょっとまて……CM?今!そんなモン流してる場合か!!』
『しかし、彼の容態が――……』
『バカヤロー!!俺たちジャーナリストはこんな時だからこそ世界に正しい報――……』
…………
154 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:15:40.39 ID:N+roWYgH0
…………
バ ァ ァ ア ア ア ア
静「…………」
155 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:17:33.25 ID:N+roWYgH0
静「……ない……ない……ない。ない……ないや」
静・ジョースターは、原っぱにいた。
そこで、彼女は一生懸命、探し続ける……。
156 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:18:42.33 ID:N+roWYgH0
男「……何を探しているんだい?」
女「……」
ザッ
静「……」
157 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:20:34.92 ID:N+roWYgH0
そこに現れたのは――……一組の男女だった。
一人は金色の巻毛の男で、もう一人は団子にした髪を、三編みでまとめた女……。
静「……」
女「……ちっさ……高校生じゃあないの?今……」ボソ
男「なんでもありなんでしょう。ここでは……」
女「……」
静「…………」
158 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:23:13.08 ID:N+roWYgH0
女「……ねえ、何探してんの?ここで……さ」
静「……よ……」
男「……」
静「……四つ葉の、クローバー……探してるの。友達に……メイにあげるために」
女「……『メイ』」
男「…………手伝おうか?ぼくらも」
スッ
159 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:24:39.41 ID:N+roWYgH0
静「!!」
女「何年ぶりかな、こんなことすんの……ていうか、したことあったかな……」
静「……」ジーッ
男「……どうしたんだい?」
静「!」
男「ぼくらが……どうかした?」
静「いえ!あの……」
160 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:26:34.73 ID:N+roWYgH0
静「……踏まないんだ、って……思って」
女「……?」
男「?……!……ああ、そうだね」
女「?……??」
男「……あ、これ……四つ葉なんじゃあないか?」
静「!……あ……」
161 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:27:38.27 ID:N+roWYgH0
プツッ
男「ほら……」スッ
静「あ……ありがとう。これで、これを……メイに、友達にプレゼント出来る」
女「……」
男「……これは……ぼくらが……」
静「?……」
162 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:28:49.57 ID:N+roWYgH0
男「ぼくらが、言うことではないのかもしれない。君にとっては、部外者のぼくらが……」
静「……」
男「だけど――……」
女「……静、アンタのそのクローバーは……『メイに渡すものなの?』」
静「……え……」
163 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:30:07.44 ID:N+roWYgH0
男「静、きみの『友』は――……」
バシュウ
164 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:31:58.90 ID:N+roWYgH0
静「……え?」
キョロキョロ
165 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:33:18.25 ID:N+roWYgH0
突如、男女の姿は消えた。
そして――……
166 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:34:47.41 ID:N+roWYgH0
メイ「……ハア、ハア!ハア……ハァ……」
ザッ
静「……メイ?」
メイ「ハァ、ハァ……ハァ……」
静「メイ、ちょっと……大丈夫?」
メイ「ええ、ええ……大丈夫……大丈夫よ……静」
167 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:36:10.93 ID:N+roWYgH0
メイ(まさか……私の『ワンダフル・ワールド』の中で自由に動くとは!……『矢』の力かしら。ジョルノに、徐倫……あなどれないわね)
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
メイ(しかし……これでもうおわり。私のワンダフル・ワールドは無敵なの。誰にも……邪魔されない。全ての生き物は眠り、夢を見て……世界中みんなが、『友達』に……ふふ……)
168 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:38:02.48 ID:N+roWYgH0
メイ「ふふ……ウフフフフ……フハハ……」ユラリ
静「ちょ、待……メイ、あの――……『四つ葉』――……」
メイ「なあに?」クルリ
静「……い、いえ……なんでもないわ。なんでも……」
メイ「?……おかしな静。ふふっ」
静「……」
169 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:40:29.18 ID:N+roWYgH0
静(メイ……見たこと無いわ。今まで、そんな『顔』……)
静(あたし……あたしは、ただ……メイに、『四つ葉』が……綺麗な顔に、四つ葉がきっと、合うと思って……)
静(なのに……あたし、何で?……『恐怖』?……メイに……?)
170 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:45:08.73 ID:N+roWYgH0
ガサッ
静「……え?」
171 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:46:23.66 ID:N+roWYgH0
静が右手で握っていた『クローバー』は……
いつの間にか……『紙』に変わっていた。
172 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:48:18.83 ID:N+roWYgH0
静「こ、『これ』は……(何年前?もうずっと、ずっと、ずう〜〜っと昔に、同じようなのを見た。……なのに、何でだろう……)」
静(つい昨日か、一昨日のように新鮮で……懐かしくて……)
静「……『暖かい』」
173 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:49:40.52 ID:N+roWYgH0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
静「……」ガサリ
174 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:50:37.67 ID:N+roWYgH0
『つかえ』
静「……(覚えてる……確か、前に書いてあったのは……)」
静「……『あたま』……」
静「……」
静(『あたま』……『つかえ』?)
175 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:51:38.55 ID:N+roWYgH0
静「どういう――……」
ド ヒ ュ ゥ ウ ウ
静「う……」
176 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:52:17.04 ID:N+roWYgH0
…………
『いつまで寝てるんだ?お前は』
…………
177 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:53:14.80 ID:N+roWYgH0
風で目を閉じた静の瞼の裏に
知らない男の姿が、映る。
学生服で、眼鏡をかけた――……。
178 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/07(木) 21:54:37.81 ID:N+roWYgH0
静「……誰?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……
…………
179 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2021/01/07(木) 21:56:17.76 ID:N+roWYgH0
今回はここまでです
レスありがとうございます。励みになります
180 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:00:38.73 ID:/2fOk0s80
…………
ブクブクブクブク……
静「……ガボ……ゴボ!……ガボボ!!……く……」
ボコボコボコ
静「……助け……けえ……ボコ……」
ボココ
181 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:03:04.65 ID:/2fOk0s80
――『水の中から見る太陽って――……』
……『ユラユラしてて、案外面白いのね』
静・ジョースターは、水底に沈みながら、ノン気にそんな事を考えた。
182 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:05:08.39 ID:/2fOk0s80
どうして、あたしは溺れてるんだろう?
どうして、あたしは悲しいんだろう?
どうして、あたしは……なんだか心がカラッポになっちゃった、って、考えてるんだろお?
静「…………ゴボ……」
ゴボゴボゴボ……
…………
183 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:06:16.68 ID:/2fOk0s80
…………
『五日目』
…………
184 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:08:28.02 ID:/2fOk0s80
…………
ジョセフ『『静』、じゃ。この娘の名前は、『静・ジョースター』』
承太郎『…………』
185 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:10:38.65 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『どうじゃ?承太郎。ピッタリの名前だと思わんか?ン?』
承太郎『まだアメリカの地を踏んでねえのに、気の早いジジイだぜ……』
ジョセフ『知ってるモン、わし。日本では『善は急げ』って言葉があるんだもんのーッ。かわいらしい名前だと思わんか?昔見た日本のアニメキャラも同じ名前だったかのーっ。まあそれは関係ない話じゃが』
赤子『きゃっ♡きゃっ♡』
ジョセフ『お、ほれ見ろ承太郎!喜んどるぞこの娘!うーん、かわいいのーっ』
承太郎『……』
186 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:12:10.97 ID:/2fOk0s80
承太郎『……『おしとやか』にでも育ってほしいのか?この娘に』
ジョセフ『ん?』
赤子『あばーっ?』
承太郎『いや……日本の名前ってのは漢字に意味があってな……静って名前は、『おしとやか』だとか『穏やか』だとか……そんな意味合いがあるってだけの話だぜ』
赤子『……ういー……』
ジョセフ『うーむ、難しい事を言うのう。『意味』か……確かに、おしとやかな大人のレディーに育つと良いかもしれんのう……』
187 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:14:35.43 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『しかし、そうじゃあのう……『穏やか』という意味があるのなら、わしはこの娘に……『穏やかな人生』を送ってもらいたいもんじゃ』
承太郎『……』
ジョセフ『わしらが命をかけて作った、安全な世界で……何者にも害されず、穏やかにのう』
赤子『ぶーっ……』
承太郎『……そうか』
ジョセフ『しかしの、承太郎。……わしはこうも思うのじゃ』
188 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:16:02.69 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『名前とは重要じゃ。この世で唯一無二を表す記号。皆それをつけられて産まれてくる。……だがのう、『名前の意味を決めるのは、その子自身なんじゃ』』
承太郎『……』
189 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:16:59.24 ID:/2fOk0s80
ジョセフ『『静』という名前を聞いて、おしとやかな大人のレディーや、穏やかな人生を送っている娘を思い浮かべるかもしれん。……だが、この娘が大きくなった時……『静』という名前に、活発元気でハツラツな娘や、危険を承知で誰かのために動ける娘という意味が、イメージとしてついているかもしれん』
承太郎『……』
ジョセフ『わしはな、この娘……『静・ジョースター』の『名前』が……どう『成長』していくか、今からとても楽しみなんじゃ。『静・ジョースター』と聞いて、皆が何を思い浮かべるようになるかを、な……』
赤子『……アハハ♡』
ジョセフ『……』ニコリ
190 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:18:51.48 ID:/2fOk0s80
『だから、わしは名付けるんじゃよ。この娘の名前は――……』
『……静・ジョースター』
…………
191 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:20:54.12 ID:/2fOk0s80
…………
静「!!――……ガボ……」
朦朧とした意識の中で見た、今の光景は――……ただの『夢』なのかもしれない。
赤子であった自分が名付けられた時など、誰も覚えていないだろう。
しかし――……
192 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:21:50.45 ID:/2fOk0s80
静(なぜあたしは……泣いてるんだろう?)
ブクブクブク……
静(満たされない……満たされない。メイが……『友達』がいるのに)
ボコボコボコ……
193 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:22:46.97 ID:/2fOk0s80
静(そう。あたしは……一人ぼっち。溺れても、だあれも助けてくれない……)
ボコボコボコ……
静(あたしは――……『一人』だ……)
194 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:24:17.19 ID:/2fOk0s80
――ガッ!
ザパアッ!!
195 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:25:28.22 ID:/2fOk0s80
静「!!――……ゲホ!ゴホ!ゲェーホ!……おえ……!」ハァハァ
メイ「静……静!ねえ、大丈夫?……な、なんで溺れて……!」ハァハァ
静「……め、メイ……?」
メイ「ええ、ええ!私よ……静!」
196 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:26:35.73 ID:/2fOk0s80
静「……たすけて……くれたの?」
メイ「当たり前じゃあないの!『友達』……なんだから!」
チャプチャプ……
静「……『友達』……」
メイ「……な……(何故……?)」
197 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:27:50.69 ID:/2fOk0s80
メイ(ここは『ワンダフル・ワールド』……私の幸せの世界なのにッ!何故静が……こんなひどい目にッ!?)
静「……ごめん、ね。……メイ」
メイ「?」
静「あたし、さ……アンタみたいな、最高の『友達』がいるのに……なんでだろう?……『悲しい』の」
メイ「……」
198 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:29:35.58 ID:/2fOk0s80
静「心にドーナツみたいな穴が、ポッカリ空いたみたいで、さ……」
メイ「!!……」
静「……幸せよ。アンタといると。だけど……あたし、なんだか……弱くなった感じがする。……『元気』じゃあなく、『おしとやか』に、さ」
メイ「静……静……!」
199 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:31:13.20 ID:/2fOk0s80
メイ「……いいじゃあないの。『おしとやか』で……貴女はもう、戦わなくて良いんだから……」
静「……」
メイ「私が……私が、守るわ。静……わかったの。私は……貴女なしではいられない」
静「……」
200 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:32:22.89 ID:/2fOk0s80
メイ「なんでだろう……そう思うの。世界中のみんなも好きだけど、それでも貴女は……私と同じにおいがする」
静「……」
メイ「……大切なの。貴女が」
静「…………ごめん。メイ……あたし、アンタのこと……疑ってた。本当に……ごめん」
201 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:34:11.78 ID:/2fOk0s80
静「今の言葉……本心だって、わかるわ。こんなあたしにも、ね……」
メイ「……」
静「きっと、この海は……あたしなのよ」
メイ「……『あたし』?」
202 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:35:36.73 ID:/2fOk0s80
静「『あたし』なの。あたしの……『心』……あたしの弱さが生んだ、『心の闇』なの……」
グシャ……
メイ「?……!!……し、静……その、ポケットに入っている……チラリと覗く、その……『紙』は?」
静「え?……」
203 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:36:39.67 ID:/2fOk0s80
静「……これ……なんだろう。わからない。拾ったんだけど、なぜか……捨てられなくて」
メイ「……これは……この『紙』はッ!!」
…………
204 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:37:40.09 ID:/2fOk0s80
…………
メイ「……『双葉双馬』……」
ビ ュ ゥ ウ ウ ウ ゥ ウ
カサカサ……パラパラ……
205 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:39:23.54 ID:/2fOk0s80
杜王町の、闇の中。
有栖川メイは、数多の紙と対峙した。
地面をふきすさぶ、ボロボロの紙切れに……。
206 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:40:49.90 ID:/2fOk0s80
メイ「『執念』とでも言うの?……貴方の『執念』が……私の天国を壊そうとしているの?……ちっぽけな!!」
ゥ ゥ ゥ……
メイ「……いえ、『ちっぽけ』ではないわ。貴方の能力は恐ろしい。文字通り、人を超えた私の世界に、死んだ貴方が……いえ、死んだからこそ、貴方が介入するなんて……」
ペラペラ……ペラ……
207 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:42:27.14 ID:/2fOk0s80
メイ「……けれど、もう……おしまいよ。貴方は」
ペラ……ペラ……
メイ「スタンドパワーなんて、ノミの足先の毛ほどにしか感じない。たとえ貴方が何か出来たとしても……彼女に送れるのは、たったの『一文字』程度のはずよ」
……ペラペラ……
208 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:44:26.08 ID:/2fOk0s80
メイ「……貴方は、偉大だったわ。私は……正直、貴方が怖い」
……ペラ……
メイ「……けれど……わかったわ。私にも。……自分より誰かを優先する、その心。……すなわち、『愛』」
……バサバサ……
メイ「私は、愛する。……世界中全ての人を。そして……静・ジョースターを」
……
メイ「私は……彼女を、そしてこの世界を……失うわけにはいかないの」
209 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:45:27.46 ID:/2fOk0s80
バササッ
メイ「…………」
メイの足元に、風に吹かれ、数枚の紙が飛んだ。
ミミズののったくったような文字が、書かれている……。
210 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:46:38.97 ID:/2fOk0s80
『ほ』
『んし』
『ん』
『か』
『?』
メイ「…………『本心か?』ですって?……見ていなさい。双葉双馬……もうすぐ夜は終わり、朝が来る。……六回目の朝よ」
211 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:48:03.11 ID:/2fOk0s80
メイ「その太陽が沈み、月が出て、その月が沈み……また太陽が出た時。……見せてあげるわ。双葉双馬。私の……思い描いた幸せな世界を」
……
メイ「もう、私も、静も、世界中の誰も!……傷つかない世界を……本当の天国にいる、貴方に」
……
212 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/08(金) 21:49:21.96 ID:/2fOk0s80
メイ「『素晴らしきこの世界』は、近い……!!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
…………
213 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2021/01/08(金) 21:50:46.29 ID:/2fOk0s80
今回はここまでです
214 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:01:51.08 ID:jBOGtbqc0
…………
その日――……
世界は『闇』に包まれ、完全に『沈黙』した――……。
…………
215 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:04:46.69 ID:jBOGtbqc0
…………
『六日目』
………
216 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:06:24.41 ID:jBOGtbqc0
…………
「メイ」
「メイちゃん」
「有栖川くん」
「メイさん」
「メイちん」
「有栖川さん」
「メイ」
「アリスっちぃ」
「メイくん」
「メイちゃん」
「メイ」
217 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:08:00.41 ID:jBOGtbqc0
「「「有栖川……メイ!」」」
218 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:09:53.88 ID:jBOGtbqc0
……沈黙した世界の中。
人々は……『夢の中』で、口々にその名を呼ぶ。
219 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:12:04.51 ID:jBOGtbqc0
メイ「……ありがとう。わたしは、あなたの……『あなた達』の、『友達』よ」
ニコ
220 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:15:08.67 ID:jBOGtbqc0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
メイ「これが『世界』……『素晴らしきこの世界』」
ゴ ォ ォ オ オ ァ ァ ア ア
221 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:16:33.27 ID:jBOGtbqc0
「メイ」
メイ「あなたは、『タケシ』……子供の頃、虫取りをしたわね。……夏の暑い日、あなたが熱中症で倒れた時はびっくりしちゃったわ」
「メイちゃん」
メイ「あなたは……『ナンシー』……父親と仲が悪くて、よくわたしの家に泊まりに来たわね。今は仲良くしてるみたいだけど……いつでも頼っていいのよ?」
「アリスガワ」
メイ「『リン』……妹の事大切にしてる?あなたの可愛がりっぷりといったら、わたしがうらやむくらいだわ……フフ……」
222 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:20:42.41 ID:jBOGtbqc0
「メイ」
「メイちゃん」
「メイさん」
「メイ」
メイ「たった……たった70億、よ。70億人の人生に、わたしが立った。それだけ……それだけの事よ。愛してるわ。みんな……」ハァ、ハァ……
223 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:22:03.54 ID:jBOGtbqc0
「……メイ、くん……」
メイ「……」
しわがれた声が聞こえた。
そこにいたのは、枯れ木のような老人であった。
メイ「…………」
224 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:23:27.36 ID:jBOGtbqc0
「…………」
うめき声が聞こえた。
銃弾を受けた兵士が、腹から血を流していた。
「〜〜〜〜」
つぶやき声が聞こえた。
少女は薬を大量に飲んで、口から泡をふいていた。
「――――」
泣き声が聞こえた。
赤ん坊が、汚らしい部屋の中で、最後の声をふり絞っていた。
225 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:24:22.51 ID:jBOGtbqc0
メイ「……わたしは……もう、奪わない。諦めない……切り捨てない」
今にも折れそうな手を
力なく落ちた手を
世界に絶望した手を
小さな小さな手を
有栖川メイは……
優しく、そして、強く握った。
226 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:26:16.73 ID:jBOGtbqc0
メイ「『カルロス』……あなたと出会えて、良かったわ。あなたが長い間歩んできた道は……素晴らしかった」
メイ「『キース』……辛かったわね。祖国のために、戦ってくれて……ありがとう」
メイ「『ソユン』……あなたのその行動を、止められなかった自分を恨むわ。もっと早く会いたかった……」
227 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:28:57.03 ID:jBOGtbqc0
メイ「そして……名前のない、終わりゆく未来。……あなたのことは、忘れない」
バ ァ ァ ア ア ア
228 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:31:09.04 ID:jBOGtbqc0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
メイ「――『神』とはッ!!」
ギラ
メイ「『ここ』にいるのよッ!今、この『地上』に立つのよ!!」
バァ――
229 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:32:21.38 ID:jBOGtbqc0
メイ「人々が懸命に手を合わせて!必死に祈る先――『天』にッ!!『神』はいるの!?それは……本当に人を救ってくれるというのッ!?『神』とは――……」
バ ン
メイ「それほどまでに偉いのかッ!!天上でふんぞり返り、苦しむ少女一人助けてくれないッ!!信じるものをたった一人でも、本当の意味で救えたのか!お前は――ッ!!」
ゴ オ ッ
230 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:33:25.87 ID:jBOGtbqc0
メイ「……わたしは『ここ』に立つ。人の死を……苦しみを!悲しみを消すことは出来ない。……それでも!!」
……男の姿があった。
彼は……口元に軽く笑みを浮かべ、背を向けて、有栖川メイから去っていった。
メイ(……これで、良いのよね?……『チェスタ』)
バッ
231 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:35:03.85 ID:jBOGtbqc0
メイ「わたしが人々の記憶にいることで……人々がわたしを愛し、わたしが人々を愛することでッ!!……わたしは、みんなの『マイナス』をやわらげる事ができる!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
メイ「……もう、わたしや……チェスタのような、この世界から必要とされていない人間なんて……生み出させない」
232 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:36:29.18 ID:jBOGtbqc0
メイ「それが、『天国』……『素晴らしきこの世界』ッ!!」
ド ン
メイ「だから……静」
233 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:37:54.05 ID:jBOGtbqc0
メイ「あなたを、愛させて?」
ドヒュゥ――ゥゥ……
…………
234 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:39:15.01 ID:jBOGtbqc0
…………
メイ「…………」
有栖川メイは、森にいた。
アメリカだろうか?静の生まれ故郷の、近くの森に似ていた。
235 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:41:04.74 ID:jBOGtbqc0
メイ(……わたしの事を知らない、地球の裏側のみんなとは……すぐに仲良くなれるわ)
メイ(それこそ一日あれば、新しい人生を追体験出来る)
メイ(だけど、わたしに近い人ほど、じっくり新しい世界となじまなくてはならない……時間をかけて『友達』となる必要がある)
236 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:42:04.46 ID:jBOGtbqc0
メイ(そして……静。あなたは……わたしを知りすぎている)
メイ(……潜在意識でわたしの世界を拒否している……と、いうところかしらね。……難しい話だわ)
ヒ ュ ウ ウ ウ
メイ(だけど……『七日』ッ!太古の傲慢な神が出来て、新しい神であるわたしが出来ない道理はないッ!!わたしは――作るのよ、世界をッ!)
237 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:42:51.29 ID:jBOGtbqc0
メイ(そのためには、静――……)
シン……
メイ「……?……静?」キョロキョロ
サァァア……
238 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:43:44.86 ID:jBOGtbqc0
メイ(……静が、いない?……まさか!また――……)ドキリ
……ァァア……
メイ「!!……ン……」
…………サァァァ……
メイ「…………静?」
239 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:44:44.69 ID:jBOGtbqc0
メイ「そこの……木の陰……」
「……」
メイ「見えないけれど……静よね?静……そこに、いるの?」
「……」
240 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:46:02.99 ID:jBOGtbqc0
メイ「……静?」
「…………クッ、ククク……」
メイ「……?ねえ、静……」
「……クク……ふふ……」
241 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:48:00.19 ID:jBOGtbqc0
スゥーッ
静「アーッハッハッハッハ!驚いた?メイ!」
メイ「……ふふ……ハハ!ああ、驚いたわ、静!透明になってるなんて!」
静「アーッハッハッハッハッハ!メイ!」
メイ「フフ、ハハハハハハハハ!静!」
静・メイ「「アハハハハハハハハ!」」
242 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:49:44.86 ID:jBOGtbqc0
……二人は14歳の姿となって、夢の中にいた。
一年後、静・ジョースターは、杜王町へと旅立つ。
『六日目』にして、『最後の一年』……。
有栖川メイのスタンドは、静・ジョースターの『人生』を……。
ほとんど全て、変えていた……。
243 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:50:45.00 ID:jBOGtbqc0
メイ「静、あまりわたしを驚かせないで……心配したわ。本当に。あなたが消えていなくなっちゃったんじゃあないかと……」
静「大丈夫よ、メイ。いなくなったりしないわよ……あたし」
メイ「そう」ニコッ
静「それにしても、メイ!驚いたのは、あたしもよ!」
メイ「え?」
244 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:51:24.53 ID:jBOGtbqc0
静「『アクトン・ベイビー』で透明になったあたしを見つけるなんて……かくれんぼ、うまくなったんじゃあないのォ?」
メイ「……ふふ!あなたがどこに消えたって、見つけてみせるわ!だって、わたしたち……」
静「……『友達』?」
メイ「そう、『友達』」ニコッ
245 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:52:21.71 ID:jBOGtbqc0
静「……そうね!あたし達、『友達』だものね!」
メイ「そうよ!フフフ……かけ替えのない、『友達』ッ!!」
246 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:55:57.30 ID:jBOGtbqc0
静「『メイ』……アンタっていう、かけ替えのない『友達』……」
メイ「『静』……あなたは、かけ替えのない『友達』……!!」
247 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:57:28.86 ID:jBOGtbqc0
静「……フッフッフ」
メイ「……フフフ!」
静・メイ「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」」
248 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:58:58.83 ID:jBOGtbqc0
静「……ハァー……」
249 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 21:59:39.28 ID:jBOGtbqc0
静「……『友達』……かあ……」
ボソリ
メイ「!!……静……もしかして、あなた……また……」
250 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:00:22.08 ID:jBOGtbqc0
静「大丈夫……大丈夫よ、メイ」
メイ「静……」
そっと、メイは静を抱き寄せた。
胸に手をあてて、かるく、擦る。
251 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:01:20.09 ID:jBOGtbqc0
メイ「まだ、あなたの心には……『穴』が空いてるの?正体不明の『穴』が……」
静「……」
メイ「わたしでは、埋められない?」
静「……ううん。たぶん……『気のせい』なのよ。穴が空いてる『かも』って……それだけ」
252 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:02:27.62 ID:jBOGtbqc0
静「なにか、ね……大切なものを失ったような……」
メイ「……」
静「おかしいわよね?あたし、何も失ってないのに。……失ったのは、『一つだけ』なのに」
メイ「……」
253 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:03:04.94 ID:jBOGtbqc0
メイ「…………『一つ』?」
ォ ォ ォ ォ ……
254 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:04:23.70 ID:jBOGtbqc0
静「知ってるでしょう?メイ」
メイ「え、あ……そ、それは……」
静「……」
メイ「……も、もちろ――…………」
静「……」ジッ
メイ「……う、ううッ!……なッ……な――……」タラリ
255 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:05:34.63 ID:jBOGtbqc0
メイ「…………『何』?その……『一つ』って……」ボソリ
静「……」
メイ「……」ゴクリ
256 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:06:35.25 ID:jBOGtbqc0
静「――……森の奥に――……」
257 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:07:34.47 ID:jBOGtbqc0
――……『崖』があった。
そこまで高くない崖だが……落ちたら大怪我では済まないだろう。
その切り立った崖を覗き込むと、少し下に……『花』が咲いていた。
名もない、小さな、綺麗な花だ。……(なんという名前だろう?)……。
静・ジョースターと有栖川メイは、二人でその花を見た。
258 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:09:24.18 ID:jBOGtbqc0
静「……子供のころの話よ」
メイ「……」
静「綺麗よね、あの花。……とても、綺麗で……おじいちゃんに、あげたかったのよ。……あの花を」
14歳の静・ジョースターにとっては、多少の危機はあるだろうが、難なく花を採ることは出来るだろう。
しかし、幼い頃であれば……その危険は計り知れない。
259 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:10:37.15 ID:jBOGtbqc0
メイ(何?……し……『知らない』……)
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
メイ(わたしが共に歩んだ人生に、その『記憶』はない……こ、これは……?)
260 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:11:37.13 ID:jBOGtbqc0
手を伸ばし、静は花を手にした。
黄色い花弁が、凛として美しい花だった。
静「……『花』を採ろうとして、落ちかけたの。……『冒険ごっこ』をしている時」
メイ「……『冒険』……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
メイ(『冒険』なんて『していない』……『危険』はわたしが守ったのに!何故、その『記憶』が――……?)
261 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:12:41.21 ID:jBOGtbqc0
静「その時、落としちゃって……壊したの。……『サングラス』」
メイ「……『サン――』……」ハッ
静「…………」
262 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:13:57.63 ID:jBOGtbqc0
ウェェエン……
エエン……
…………
263 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:15:04.10 ID:jBOGtbqc0
…………
『うえ〜〜ん!ええーん……!』
『どうかしたのかの?……静や……?』
『こわしちゃった……あたし、あたし……こわしちゃったの。大切な……サングラスを……!』
『静……静や。……落ち着くんじゃ。……静や』
『大切な!……大切だったのに!……』
『……壊したものはのう……もう戻らないのじゃ』
『……』
264 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:16:40.97 ID:jBOGtbqc0
『だから、これから先、同じことがあったらのう……もう、壊さないように。しっかり守るんじゃぞ、静や……』
『……うえええええん……』
…………
265 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:17:47.86 ID:jBOGtbqc0
静「……その時、おじいちゃんは泣き止まないあたしを見かねて……新しいサングラスをくれた。おじいちゃんのお母さんが愛用していた、サングラスを……」
メイ(こ――『これ』は……この『記憶』はッ!)
静「単純だった子供のころのあたしは、その時すぐに泣き止んだ。……ジョースター家のものをもらって、嬉しかった……ん、だと思う」
266 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:18:33.10 ID:jBOGtbqc0
静「だけど……だけどね。あたしは……壊したサングラスが欲しかった。……とても、とても後悔しているわ」
メイ「……」
静「冒険したことも、おじいちゃんに花を贈ろうとしたことも……後悔していない。あたしは、自分の行動に後悔はしない」
メイ(これは……『ルーツ』……!)
267 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:19:07.88 ID:jBOGtbqc0
静「あたしの後悔は、大切なものを守れなかった事。だから――……あたしは二度と。大切なものは失わないって……決めたの」
・ ・ ・ ┣¨ ┣¨ ┣¨
メイ「……し……静、その『記憶』はッ!」
268 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:20:25.06 ID:jBOGtbqc0
メイ(『静・ジョースター』を作る根本にして『信念』ッ!!それは、精神の奥そこに刻まれた『魂の記憶』ッ!!わ、わたしは……)
静「……ねえ、メイ……」
ス ッ ……
269 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:21:28.67 ID:jBOGtbqc0
静「……なんであたし……『子供のころのサングラスをまだつけてるのかしら?』」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
メイ(わたしは、静を『冒険』という危ないものから遠ざけたのにッ!!彼女の魂は!それを叫んでいる!!わたしの『素晴らしきこの世界』が――……『素晴らしくない』!!と!!……言っている……静は!!声高らかにッ!!)
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
270 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:22:30.85 ID:jBOGtbqc0
静「メイ……あたし……なんだか、『あたしじゃあないみたいだわ』……」
メイ「静……ハァ、ハァ!わ……わたしを……」
271 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:22:58.11 ID:jBOGtbqc0
メイ「信じて……わたしを――……ハッ!!」
静「?……え?」
272 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:23:36.37 ID:jBOGtbqc0
……静・ジョースターの握っていた『花』が……
いつの間にか、『紙』に変わっていた……。
くしゃくしゃの『紙』に……!!
273 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:24:29.61 ID:jBOGtbqc0
メイ「わ……わたしは……わたしは!!……わたしを……!!」
ハァーハァー
メイ(負けない……負ける訳がないッ!わたしは、『神』なのよ!世界はすでにわたしのもので、あとは彼女……静だけッ!!彼女を危険から遠ざけて、しっかり守って愛したのに!!……それを、こんな……ちっぽけなウスら汚い『紙』がッ!!わたしと静の甘美なる、神聖な時を……完全な世界を!!……壊せるわけがないッ!!)
ハァー!ハァー!
274 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:25:21.28 ID:jBOGtbqc0
メイ(あと一歩……もう『一歩』なのよッ!『信じて』って……『あなたの勘違いよ』って!!……『そんなボロい紙がなんだっていうの?』って鼻で笑うだけで!わたしは……静と『友達』になれるッ!真の『友達』にッ!!い……今さら……)
ギリッ!
275 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:26:16.48 ID:jBOGtbqc0
メイ(しぼりカスみたいなスタンドパワーが、今さらになって何だっていうの!?わたしが過ごした静との追体験はッ!70億人の追体験はッ!!貴方と静の一年にも満たない世界よりも、遥かに広大で!!強大でッ!!壮大なのよ……負けるはずが――負けるはずが――……)
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「……この『紙』は――……」
ペラ――……
276 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:27:02.52 ID:jBOGtbqc0
メイ「その『紙』を見るんじゃあないッ!!静ァァア――ッ!!」
バァ――ン
277 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:27:49.29 ID:jBOGtbqc0
静「…………」
278 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:28:22.59 ID:jBOGtbqc0
有栖川メイが叫んだ時には……すでに静は、くしゃくしゃの『紙』を開いていた。
そこに書かれていたのは、ただ『一文字』……。
279 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:29:27.77 ID:jBOGtbqc0
『に』
静「…………あ」
ゴォォォオオォオォオ……
280 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/09(土) 22:30:16.33 ID:jBOGtbqc0
風が頬をなぜる。
静・ジョースターは……
……涙を流した。
…………
281 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2021/01/09(土) 22:30:57.94 ID:jBOGtbqc0
今回はここまでです
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/09(土) 22:49:30.12 ID:OSwfouxB0
双馬とメイの静かなる戦いからの、本心で『世界すべてを愛し、諦めず、見捨てない』と言えるまでに成長したメイ。
精神的に成長したからこそ、ちっぽけな紙切れを早々に奪い捨ててしまわず、双馬との戦いを選んだのかもしれないな
最後は静への大きすぎる感情の戦いという感じもして
怒涛の展開なんて安っぽい言葉じゃあ、言い表せないくらい圧倒的なクライマックス……
興奮でうまく日本語にできないので、せめて支援を……
最後の最後まで応援してます
https://imgur.com/rpARi2W
283 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:00:09.40 ID:664efG6d0
…………
静「うええ……うう……ええ……」
静・ジョースターは……泣いていた。
暖炉の前だ……『思い出』の……。
(『思い出』?何故そう思ったのだろう?静・ジョースターは訝しむ)
284 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:00:52.19 ID:664efG6d0
ジョセフ「おお、よしよし……泣くのはおよし、静や……静」
静・ジョースターは、ロッキングチェアに座るジョセフ・ジョースターの膝にすがりついて泣いていた。
もうすぐ九十にもなろうというジョセフは、やさしく、彼女の頭を撫でる。
285 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:02:02.26 ID:664efG6d0
ジョセフ「静や、静……何故泣いておるんじゃ?」
静「わからない……わからないの。ただ……あたし、何か……」
286 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:02:41.39 ID:664efG6d0
静「何か、大切なものを……『忘れた』気がして……」
ジョセフ「忘れた、のう……」
……パチパチ……
287 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:03:16.97 ID:664efG6d0
ジョセフ「それでも静、お前には『友達』がおるじゃあないか。『メイ』という……」
静「『友達』……」
ジョセフ「忘れたとしても、『友達』がおれば、安心なんじゃあないかのう」
静「……うん。……だけど、ううん」
ジョセフ「?」
288 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:03:59.67 ID:664efG6d0
静「あたしが忘れたものは……もっと、大切なものだと思うの」
ジョセフ「……ふむ。『メイ』よりもかの?」
静「うん。……なぜだか、わからないけど……」
ジョセフ「……大切な『友達』よりも?」
静「……うん。大切な……『友達』よりも」
ジョセフ「……そうか……」
289 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:04:42.97 ID:664efG6d0
ジョセフ「わしにはの、『友達』がおらんからの」
静「…………」
静・ジョースターは顔を上げた。
今までしっかりと目を見れていなかった事に気付く。
ジョセフ・ジョースターの目は、少年のように輝いていた。
『さっきまでおじいちゃんの目は、こんなに輝いていたかな』
頭の中にかかっているモヤが、だんだんと晴れていく感覚がする。
290 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:05:30.15 ID:664efG6d0
ジョセフ「不動産業に手をつけてからは、会う人み〜〜んな商売敵と金狙いのヤツばっかりのようなもんでの〜〜ッ。あの頃は辛かったもんじゃ!ガッハッハッハッハー」
静「うそだあ。だって、おじいちゃんは……」
ジョセフ「うむ?」
静「いるじゃん。『友達』ィ〜〜。ほら!よく聞かせてもらった!冒険、していた頃の……」
ジョセフ「ああ……」
291 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:06:01.95 ID:664efG6d0
ジョセフ「あいつはのォ……良き友であった。付き合った時間は短いが、共に修行に励み、共に戦い、共に怒り、共に笑い……そして、わしは、涙を流した」
静「…………」
ジョセフ「今でも大切な『友』じゃよ。しかし……そうじゃのう。あいつは……『親友』じゃからのう」
静「……」
292 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:06:35.01 ID:664efG6d0
静「……『しんゆう』……」ズキリ
ジョセフ「口に出して確認したことはないが、全てが終わった今……心からそう思う。どこかに遊びに行ったことも、盃をかわして飲みあったことも、女性の趣味について語ったこともないヤツじゃ」
静「……」
293 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:07:04.64 ID:664efG6d0
ジョセフ「それでも、言葉にしなくとも……伝わるものはある」
静「……」
294 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:07:31.74 ID:664efG6d0
ジョセフ「わしにはの、夢があるんじゃよ。天国に行ったらのー、思いっきりあいつの顔ぶん殴ってやるんじゃ!『カッコつけて去りやがって、バカヤロー!お陰でこっちに来るまでウン十年もかかっちまったわい!』っての……ガハハ!ちょっぴり不謹慎かの〜〜ッ」
静「……」
ジョセフ「……静には、おるのかの?そんな人が……」
静「……あたし……あたしは……」
……パチパチ……
295 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:08:00.36 ID:664efG6d0
静「あたしは、メイが『友達』で……」
ジョセフ「…………」
静「なんでかって言うと、メイは『友達』だって、何度も言ってくれて……優しいし、守ってくれるし、本当に良い『友達』……」
ジョセフ「…………」
静「…………『だけど』……」
296 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:08:32.61 ID:664efG6d0
静「あたしの頭の中に……まるでイカスミパスタのソースが、水の入ったコップの中に飛んだみたいな……ボンヤリした色で……」
ジョセフ「……『姿』が見えるの。そいつは……口が悪くていつもあたしをバカにして、まったくもって優しくなくて、エラソーで……」
ジョセフ「……」
静「……だけど……」
ポロッ……
297 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:09:04.11 ID:664efG6d0
静「……いざって時には、守ってくれて……じ、実は……結構やさしくて……さ、さみしがりやで……」
ポロポロ……ポロ……
静「あたし……あたし、なんも出来ない、子供なのに……あたしの力を、信頼してくれる……」
ポロポロ……
静「すごく、腹立つヤツなのに……い、いっしょにいると、心が……落ちついた。二人で、足りないところを支え合ってるみたいで……あたし……あたしは……!」
298 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:09:50.21 ID:664efG6d0
静「なんで……忘れてたんだろう」
ポロポロ……
ジョセフ「…………大切な人、なんじゃのう」
静「……うん……うん。大切よ。アイツは、そう思ってないかもしれないけど……グレートに、さ」
ジョセフ「……静よ。決まったのかのう?心は……」
静「……うん。……大丈夫……大丈夫。決まってるの。あたし……あたし……」
299 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:10:37.55 ID:664efG6d0
静「戦うから……戦って、言いに行かないと。一言……たった『一言』だけ……」
ポロポロ……
ジョセフ「……そうか。……なら――……」
300 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:11:14.94 ID:664efG6d0
ジョセフ「――いつまでもメソメソ泣いてんじゃあねーぜっ!おれの娘がよ――ッ!!」
バ ン
静「――!?」
301 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:11:44.54 ID:664efG6d0
……そこには、年老いたジョセフ・ジョースターの姿は無かった。
筋骨隆々で、若々しく、生命のエネルギーに溢れる……。
全盛期、18歳のジョセフ・ジョースターがそこにいた。
302 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:12:20.34 ID:664efG6d0
静「……え?」
ザッ
303 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:12:56.93 ID:664efG6d0
……『魂の全盛期』は『エネルギー』となる。
そう。これは『夢』……。
『ワンダフル・ワールド』という『夢の世界』……。
304 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:13:26.65 ID:664efG6d0
静から漏れ出した『全盛期のエネルギー』は……。
この世界に漂う『全盛期の魂』を呼び集めた。
305 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:14:02.38 ID:664efG6d0
『空条承太郎』!
『東方仗助』!
『ジョルノ・ジョバァーナ』!
『空条徐倫』!
306 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:15:34.97 ID:664efG6d0
……『ジョジョ』が、そこにいた。
307 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:16:04.92 ID:664efG6d0
ジョセフ「このJOJOの娘なら、ムツカシーッこと考えんじゃあねーッ!悪ィーヤツはブン殴ってからでいいのよブン殴ってからで!ウシシ!」
静「え?おじい……え?え??」
308 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:16:50.68 ID:664efG6d0
承太郎「……やれやれだぜ。夢の中とはいえ……若いじじいを見ることになるとはな……うっとーしいのは苦手だぜ」
仗助「……あれじじいかよ……グレートっスねぇ〜〜」
静「じょ、承太郎さん……兄さん……!」
309 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:17:29.81 ID:664efG6d0
承太郎「……静。……泣き虫で、守ってやる立場だと思っていたが……成長したな」
静「!……」
承太郎「お前がジョースター家で、本当に良かった……」
静「……あ、ありがとう。……あ、ございます」
310 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:18:24.46 ID:664efG6d0
仗助「やかましい妹がいきなり出来た時は『正気か!?承太郎さんはよ〜〜ッ!?』って思ったが……今じゃあ静。お前のいねぇー生活は、考えらんねえから……よ」
静「……」
仗助「戦って!勝って!あの生活をよ……取り戻してくれ。な?静」
静「……うん。任せて」
311 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:18:59.84 ID:664efG6d0
ジョルノ「……なんだがぼくらは部外者みたいで、居心地が悪いですが……」
徐倫「ぼく『ら』って何だ、『ら』って。バリバリ身内だ、あたしは」
静「……あなた達は……幼い時、いや、さっき……あれ?いつだっけ?出会ったような……」
ジョルノ「すみません。静・ジョースター。ぼくらはこの、ちっぽけな世界を守ろうとして……敗れてしまいました」
静「……」
312 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:19:50.53 ID:664efG6d0
ジョルノ「全盛期の姿をした魂の欠片は喋れても、本当の魂は未だ、敵スタンドの支配下にあります」
静「?……??」
ジョルノ「託します。貴女に、全てを。……だからといってヘンに肩に力入れたりしないで下さいね?ただ、いつも通り……」
静「……」
ジョルノ「……貴女は貴女の『世界』を愛して下さい。……いいですね?」
静「……うん。よく、わからないけど……」
313 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:20:34.54 ID:664efG6d0
徐倫「あー……さっきはバリバリ身内って言ったけどさ、よく考えたらキチーンと顔合わせたことは無かったか〜〜ッ……」
静「……ええと……?」
徐倫「ま!深く気にしないで。アンタはアンタの思う通りにすりゃあいいのよ。女は強く……ね!」
静「……」
徐倫「女『だって』メソメソ泣いていいし、女『らしく』敵をブン殴りゃあいいのよ。結局はモノサシなんて自分で決めな」
静「……」
徐倫「『自分らしく』前に進むのよ。一番大事なんだから。それがさァー」
静「……『自分らしく』……」
314 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:21:31.11 ID:664efG6d0
静「……ありがとう」
もう、頭にかかっていた『モヤ』は無い。
静は理解していた。
ジョースターの血統を……『ジョジョ』の名を。
心で……『魂』で理解していた。
静「皆……みんな……ありがとう。あたし……」
315 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:22:12.24 ID:664efG6d0
静「行ってきます」ニコッ
笑って、静は駆け出した。
もう、振り返らないと決めた。
316 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:22:46.99 ID:664efG6d0
ちょっと前まで、自分が欲しくて欲しくてたまらなかった、『ジョースターの血統』……。
なんで、あんなに欲しかったんだろう。
317 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:23:23.18 ID:664efG6d0
血液や、肌の色や、身長や、顔の形や……。
なんで、あんなにもまぶしかったんだろう。
318 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:24:13.04 ID:664efG6d0
自分の全てが、おじいちゃんと違うかった。
自分の全てが、承太郎さんと違うかった。
自分の全てが、兄さんと違うかった。
とてもうらやましかった。
319 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:24:43.67 ID:664efG6d0
だけど……。
今はただ……そんなことより。
『有栖川メイ』と、話したいな。
320 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:25:25.69 ID:664efG6d0
静・ジョースターは、そう考えて、笑った。
静「……そっか。あたしって……『静・ジョースター』なんだ……」
ザッ
321 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:26:12.67 ID:664efG6d0
「うぇ……うええええええん……ええん……うわああああああん……ああん……!」
静「!!……」
322 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:26:53.76 ID:664efG6d0
赤ん坊がダダをこねるような泣き声だった。
いつの間にか、静の目の前に、有栖川メイが立っている……。
静「…………」
メイ「うええん…………ひっく、ひっく……!」
静「……『メイ』……」
メイ「……やめてよ、静……!」
静「……」
323 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:27:56.48 ID:664efG6d0
メイ「『友達』でいいじゃあないの。あなたも……私もッ!『友達』なんて、いなかったんだから……!!」
静「……」
メイ「こうして、私とあなたは子供の頃、『友達』だったッ!一緒に遊んで、かくれんぼや鬼ごっこをしてッ!」
静「……」
メイ「一緒に笑って、泣いて、怒って、暮らしてッ!!」
静「……」
324 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:29:00.43 ID:664efG6d0
メイ「ふたりとも、『友達』だったッ!!それで……それでいいじゃあないの……」
静「……」
メイ「うう……お願い、静……!」
静「……」
325 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:29:31.98 ID:664efG6d0
メイ「私を一人ぼっちにしないで……あああ……うう……」
ヒック……ヒック……
静「……メイ、あたし……」
326 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:30:00.82 ID:664efG6d0
静「知れて良かった、って思うの」
メイ「……」
ヒック……ヒック
327 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:30:42.51 ID:664efG6d0
静「寂しかったのよね。アンタは……あたしと同じよ」
メイ「……」
静「だから、『友達』になろうとした。みんなと……みんなと『幸せ』になりたかったのよね」
メイ「……」
328 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:31:19.48 ID:664efG6d0
静「あたしが透明になって見えなくなって、世界中の誰もがあたしを見失っても……」
メイ「……」
静「アンタはあたしを見つけてくれる。……そのくらい、アンタは『優しい』人」
メイ「……ええ。ええッ!そうよ!私は――……!!」
静「だけどね、メイ」
メイ「!!……」
329 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:31:58.07 ID:664efG6d0
静「自分の『幸せ』をつかむために……他人を踏みにじっちゃあいけないのよ」
メイ「!――……」
チラリ
330 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:32:31.26 ID:664efG6d0
二人は、一面のクローバー畑にいた。
静は地面の上に立ち、
メイは……三つ葉のクローバーを踏んでいた。
331 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:33:13.86 ID:664efG6d0
メイ「……静……」
静「……」
メイ「……静……静ッ!わたしは、わたしは――……!!」
332 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:34:06.32 ID:664efG6d0
静「日常を守るの」
メイ「ッ!……」
静「……アンタが作ろうとした眩しい世界と比べたら、ちっぽけで、きたなくて、こわくて、危ない……そんな、世界なんだけど」
メイ「……」
静「それが、あたしにとっての『日常』なの。とってもひどい世界だけど……」
333 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:34:45.03 ID:664efG6d0
静「四つ葉のクローバーが、綺麗だからさ」
メイ「……」
静「だから……あたし、行かなきゃ」
メイ「……うう……ああ……やめて……やめてよ、静……!!」
334 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:35:30.61 ID:664efG6d0
静「……会いに行くわ。あなたに」
メイ「……」
グス……ヒック……
静「……」クルリ
335 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:35:58.67 ID:664efG6d0
泣きじゃくるメイに背をむける。
静は、自分の手のひらを見つめた。
静「……『アクトン・――』……」
静「……」
336 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:36:24.78 ID:664efG6d0
自分のスタンド、『アクトン・ベイビー』の名を呼ぼうとして……。
首を振る。
337 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:36:59.68 ID:664efG6d0
『違う』
『そうじゃあない』
『あたしは――』
『今のあたしの力は――……』
338 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:38:02.59 ID:664efG6d0
静「……『ワイルド・ハニー』」
339 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:38:55.95 ID:664efG6d0
カ ッ
…………
340 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:39:34.91 ID:664efG6d0
…………
『あたま』
『つかえ』
341 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:40:09.46 ID:664efG6d0
使おうとして、考えた。
結果、何も出なかった。
342 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:40:47.98 ID:664efG6d0
最後の1ピースが足りなかったのだ。
『に』
……脳の中で、パズルがピタリとはまる。
343 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:41:18.67 ID:664efG6d0
『あたま』
『つかえ』
『に』……
344 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:41:56.03 ID:664efG6d0
『あたま』
『に』
『つかえ』……!!!
345 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:42:42.80 ID:664efG6d0
ゴウッ
346 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:43:18.34 ID:664efG6d0
世界が、溶けていく。
全てが白い光となり、静・ジョースターは落ちていった。
347 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:43:59.37 ID:664efG6d0
消えていく。
消えていく。
世界が、どんどん、消えていく……。
348 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:44:30.15 ID:664efG6d0
静「……さようなら、おじいちゃん……さようなら、メイ……さようなら……みんな」
ゴ オ オ
オ オ オ
オ オ オ
静(消えていく……あたしの世界が、消えていく……)
349 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:45:16.53 ID:664efG6d0
『……静……おい、静……!』
静「……!!」
350 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:45:55.22 ID:664efG6d0
『……っ、たく……起きるのが遅いんだよ、お前は、さ……』
静「……あ、ああ……!!」
『……お前が決めたんなら……それで良い。……曲げるなよ。僕は……僕は、さ。……満足、してるんだ』
ゴ オ
オ オ
オ オ
351 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:46:36.95 ID:664efG6d0
『静。僕は……お前に会えて、良かった。本当に……本当に!そう思ってる。心からそう思ってるんだ』
静「ま――待って!!」
『……』
静「……あ……」
352 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:47:11.06 ID:664efG6d0
静「……――……」
ゴ オ
オ オ
オ
『……同じことを、言おうと思っていた。……』
353 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:48:00.32 ID:664efG6d0
『君の未来に、幸せがあらんことを。願っている。静。……心から、本当に!……願っているよ』
静「……」
『……さよならだ。……『親友』』
ゴ
オ オ オ
オ オ オ オ
354 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:49:00.27 ID:664efG6d0
静は……『双葉双馬』が、
よく似た背格好の男と一緒に……
……草原にいる二頭の馬の所へ。
向かっている光景を見た。
355 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:49:49.55 ID:664efG6d0
『……ありがとう』
356 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:51:07.12 ID:664efG6d0
静「……さようなら。双馬。……あたしの大切な……『親友』」
ゴ
オ
オ
オ
オ
オ……
357 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:51:50.29 ID:664efG6d0
……「……『ありがとう』」
358 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:53:09.94 ID:664efG6d0
バァアアァァア――……
…
……
…………
359 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:54:05.95 ID:664efG6d0
…………
「……やはり……ふたりでひとり、だったのかも……しれないな」
「――……幸……わせ、に…………」
…………
360 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:55:17.06 ID:664efG6d0
…………
杜王町の空に、光が差す。
七回目の、朝日だ。
有栖川メイは……黒いドーム越しに、その光を見た。
361 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:56:09.66 ID:664efG6d0
メイ「……変わるわ。世界が」
・ ・ ・
メイ「静、それに……世界中の人間が」
・ ・ ・
メイ「……『友達』になるの。唯一無二の」
・ ・ ・
メイ「あは、あはははははははははは」
・ ・ ・
メイ「あは、あは、あは……」
362 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:56:53.22 ID:664efG6d0
メイ「……なんでかしらね、静」
・ ・ ・
メイ「どうしてこんなにも……むなしいのかしら」
・ ・ ・
メイ「ここが……私の『天国』なのに」
363 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:57:26.15 ID:664efG6d0
ズリッ
364 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:58:10.66 ID:664efG6d0
ズリッ
「……長い……長い道のりだったわ」
メイ「……」
ズリッ
365 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 21:58:58.14 ID:664efG6d0
「皆に支えてもらわなければ……」
ズリッ
「あたしは……ここに立つことは出来なかった……」
メイ「……」
ズリッ
366 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:00:03.09 ID:664efG6d0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
「あたしは……ここで、アンタと向かい合う事が出来なかった」
メイ「…………」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
367 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:00:54.00 ID:664efG6d0
メイ「……」クルリ
368 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:01:43.99 ID:664efG6d0
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「…………」ズリッ!!
メイ「なッ!!」
369 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:02:18.66 ID:664efG6d0
静「『ワイルド・ハニー』……自分の『記憶』を『透明』に……『クリア』にしたッ!!!」
ド ン
メイ「なッ……な、な……!!」タラリ
静「アンタに書き加えられた『記憶』は……『もう無い』ッ!!!」
バ ン
メイ「な――な――……!!」
370 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:02:58.43 ID:664efG6d0
メイ「なんですってええええええええええええエエエエエッッ!!?」
371 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:03:32.94 ID:664efG6d0
ド ラ
ド ラ
ド ラ ド ラ
ド ラ ド ラ ド ラ
372 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:04:20.69 ID:664efG6d0
静「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ!!!」
ワイルド・ハニー『ドラドラドラドラドラドラドドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ!!!』
373 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:05:22.21 ID:664efG6d0
静「ドォぉぉおおおおオオラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラァァァアアアあああッ!!!!」
メイ「イイイイイイイイイイイイあああああああああああああああ!!!!!!!」
ドォ――z__ン!!!
374 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:06:12.42 ID:664efG6d0
バ キ ィ ン
375 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:06:53.92 ID:664efG6d0
……『ワンダフル・ワールド』が……
杜王町を覆う『ドーム』が――……
376 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:07:19.80 ID:664efG6d0
――破壊されたッ!!!
377 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:07:59.94 ID:664efG6d0
カ ッ
メイ「!!!――……」
ジュッ
378 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:08:38.18 ID:664efG6d0
……朝の日差しが、杜王町を照らす。
有栖川メイは、光に抱かれた。
379 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:09:18.11 ID:664efG6d0
メイ(……ああ、なぁんて……)
メイ(…………温かい光……)
メイ(……私が、最後に……)
380 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:10:05.21 ID:664efG6d0
メイ(……見る光……)
サァァアア――ッ……
…………
381 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:10:48.18 ID:664efG6d0
…………
バァァ――ッ……
静「――ハア!……ハァ、ハア!……」
「……」
……アア……
382 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:11:28.80 ID:664efG6d0
静「……ハァ、はぁ……ハァ〜〜ッ……まだ、頭がガンガンする……」
「……」
静「一生分殴った気分よ。ああ……しんどォ……」
「……」
383 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:12:20.52 ID:664efG6d0
静「…………」
「……」
静「……けど!杜王町に光が戻って良かったわ。ホント。にしても……光の中では生きられないってェーのに、これからどうするつもりだったの?」
「……」
静「ず〜〜ッと暗い世界にするつもりだったのかよ?ねえ?……」
384 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:13:06.44 ID:664efG6d0
静「……『メイ』」
「…………」
385 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:13:40.24 ID:664efG6d0
ム ク ッ ・ ・ ・
メイ「…………どうして……わ、私は……太陽に……?……??」
バン
386 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:14:15.75 ID:664efG6d0
静「『ワイルド・ハニー』……気付いてないの?アンタの身体、『透明』にさせてもらったわよ」
ド ン
メイ「!!」
387 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:14:55.63 ID:664efG6d0
静「『透明』ってのは光が当たらないってことだからさ〜〜ッ。けどあれ、全身透明にしても目はキチーンと見えてんの、どういうことなのかしらね?アイツも言ってたけど、目ってのは光が当たって……あんま深く考えるとアタマいたくなんのよね。この能力」
メイ「……何を……してるのよ……」
静「ン?」
388 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:15:27.05 ID:664efG6d0
メイ「私は……人を何人も殺したッ!世界をムチャクチャにして……世界を、自分のものにしようとしたのよッ!?」
静「……」
メイ「それなのに、貴女は何故……!?こ……殺しなさいよ……能力を破られ、全てを失った私に……もう……」
静「……」
389 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:15:55.48 ID:664efG6d0
メイ「……生きる価値も、生きる目的もないわ……!!」
静「……ハァ〜〜ッ……」コキコキ
390 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:16:26.27 ID:664efG6d0
静「人を何人も殺して、世界をムチャクチャにして……あたしの親友も殺しといて、さ」
メイ「……」
静「……『ごめんなさい』の一言もなく、自分は勝手に消える気?」
メイ「……」
静「バカバカバカ、よ。ほんとバカ。許せる訳、ないじゃあないの」
メイ「…………」
391 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:17:20.78 ID:664efG6d0
静「……だけど、貴女は本当に……『幸せ』になりたくて、そして……」
メイ「……」
静「『幸せ』に『したかった』んだって……アンタの世界にいて、知ったわ」
メイ「……」
392 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:17:55.37 ID:664efG6d0
メイ「……けど、許されないわよね。……私は」
静「ええ。……世界はたぶんムチャクチャだし、アタマを下げりゃあいい訳ではない、わよね」
メイ「……」
静「だけど、それをあたし個人が、始末つけていいモンじゃあ、ないわ」
メイ「……」
393 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:18:39.17 ID:664efG6d0
静「生きて償いなよ。あたしは、アンタを殺せない。……甘チャンだからさ。あたしは」
メイ「……」
静「生きるのが辛くとも、死にたくなっても、アンタは、生き続けるべきよ。そして……アンタは、優しいから」
メイ「……」
静「別の方法で、みんなを幸せにしてあげなよ。……みんなを不幸にさせた、分ね」
メイ「……」
394 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:19:27.38 ID:664efG6d0
メイ「……また、間違うかもしれないわ」
静「かもね〜〜ッ」
メイ「また……別の道へ進むかもしれないわ」
静「ええ、そうね。アンタけっこー思い込むと、こう!な所、あるっぽいし」
メイ「……」
395 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:19:56.78 ID:664efG6d0
静「だけどさ、それでもアンタが、進もうとするのなら……」
メイ「……」
静「…………」
ス ッ
396 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:20:31.04 ID:664efG6d0
静「……今日から始まる新しい世界で……最初の『親友』になってあげてもいいわよ」
397 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:21:25.76 ID:664efG6d0
メイ「…………は?」
静「『は?』じゃあねーわよ。……言っとくけど、こっちはかなりマジなんだから……さ」
メイ「…………」
398 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:22:10.01 ID:664efG6d0
メイ「…………バカ」
静「……」
メイ「……バカ、バカ、バカよ。貴女……本当、バカだわ」
静「……」
399 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:22:37.36 ID:664efG6d0
メイ「……人殺しの吸血鬼を!世界を支配しようとした吸血鬼をッ!!」
静「……」
メイ「『友達』ではなく、『親友』?アハハ……バ〜〜カ……」
静「……」
400 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:23:19.44 ID:664efG6d0
メイ「……」
静「……」
401 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:23:45.93 ID:664efG6d0
メイ「……バカ……」
ポロポロ……ポロ……
静「…………」
402 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/10(日) 22:24:20.75 ID:664efG6d0
バ ァ ァ ア ア ア ァ ァ ア ・ ・ ・
…………
……
…
403 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2021/01/10(日) 22:25:13.37 ID:664efG6d0
今回はここまでです
次回、最終回です
404 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/10(日) 22:46:37.56 ID:tYZ/SXGlO
乙一
ウォーケンの連載辺りからひっそりと追って待ち続けたがついに最終回か......感慨深いな
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/01/10(日) 23:48:31.50 ID:Fd7HhnA00
傑作に出会えると常々思うことがあるのです。
この作品を知らずに死ななくて、よかったと。
覚醒したワイルドハニーの能力の応用と言い、世界征服するのには全ての人間と友達になれば良いと言った発想……。
本当に静・ジョースターの奇妙な日常の【冒険】を見れて嬉しかったです。
最終回、期待を胸に待ち望んでます!
406 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/11(月) 04:15:22.75 ID:7vZ/pvDHO
夜勤の休暇中に読むんじゃなかった
少し泣いてしまった
ジョナサンとディオ、2人の義兄弟の戦いから始まった物語が本当の姉妹の和解で結ばれるのか
JOJOから託されたエンポリオとDIOの意思を引き継いだプッチ神父との戦いとはまた別の一つの決着
この話が読めて本当に本当によかった
407 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 20:59:15.95 ID:vqwhzSy50
…
……
…………
408 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:00:28.07 ID:vqwhzSy50
季節は春、新生活シーズン真っ盛り。
桜の木が立ち並ぶ川岸を、物凄い速度で走る車があった。
運転席に座るのは、凄まじく見事なリーゼントをした30代の男、『東方仗助』
助手席に座るのは、学校の制服を身にまとい、何故か奇妙にも似合うサングラスを額の上に掛けた、16歳の少女……
『静・ジョースター』
409 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:01:45.81 ID:vqwhzSy50
車内――
静「……あのさ、前にも同じことあったよね?丁度一年前だったかな……同じこと言いたくないなあ」
仗助「なんだよ静、カワイクねーぞその顔……まだ十分間に合うぜ。最近のスマホのナビ便利だよな〜〜。車にナビついてなくても良いルート教えてくれる」
ブゥゥゥゥーン!!!
静「なんで寝坊してんのよ、またッ!今日から『二年生』よ、あたしッ!クラス替え早く見てェ――のにさあー!!」
410 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:02:22.67 ID:vqwhzSy50
仗助「静……おれも寝坊したくてしてるワケじゃあねえんだぜ?しかし那由他ちゃんが小学校に入学となるとよォ、おれもなんか買ってやってお祝いしてえし。その『ついで』で億泰と酒飲むのは普通だよな……あ、ここまっすぐのが近いのか」
ブゥゥウーン……
静「あたしにはなーんも買ってくれないくせに!靴欲しいって言ったじゃん!見てよこれェー超カワイイの!スニーカーとサンダルのいいとこ取りでさ……お気に入りリストに入れてず〜〜っと見てんのよ?あたしッ!」
411 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:03:32.75 ID:vqwhzSy50
仗助「オメーは別に入学でもなんでもねえ進級じゃあねーか。それに昨日肉食ったろ、牛肉。高かったんだぜ?あれ」
静「兄さんが億泰んとこ行くから『二人』でサビシクねッ!ガッチガチにコゲた上に中がナマだったわ!せめて焼いてから行け、焼いてからッ!」
仗助「少しは料理の腕磨きやがれ!なーんにでもオニーサマに頼んじゃあねーッ!!」
ギャーギャー!
「……ねえ……」
412 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:04:36.77 ID:vqwhzSy50
メイ「ケンカはやめましょう?静……仗助。仲良くしないとわたし、つらいわ……」
……後部座席にいた『有栖川メイ』が、口を開いた。
413 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:05:41.20 ID:vqwhzSy50
静「別にケンカしてるワケじゃあないわよ、メイ。こんなんいつものことよ……アンタってホント、心配性よねえ」
メイ「あら、ごめんなさい。そうだったのね……わたしったら、てっきり」
仗助「……ケッ!おい、静……オメーよお〜〜」ヒソヒソ
静「何?」
414 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:06:54.41 ID:vqwhzSy50
仗助「ホントぉ〜〜にコイツ、学校連れてく気かよ?正気か?オメーッ」ヒソヒソ
静「?……ガクセーはガッコー行くもんでしょ。クラス替えあるから不登校が急に学校来ても目立ちにくいし、良いタイミングだと思うけど?」
仗助「そういう事じゃあねえよ。それに……太陽どうする気だ?当たったらヤベーんじゃあねえのかよ?」
静「全部避けるってさ。ね?メイ」
メイ「ええ。影から影へ移動すればなんとかなるわ。練習したもの……ふふ」
静「それに、いざってなったらあたしが透明にするから。まあ問題ないんじゃあないの?」
仗助「……そう言うんなら、いいけどよォ〜〜」
415 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:07:50.36 ID:vqwhzSy50
仗助(って、おれはなんで吸血鬼の心配なんかしてんだ?調子狂うぜ……ケエ〜〜ッ!)
静「……あ、兄さんそこの桜の木の影でいいわ。止めて止めて」
仗助「ん……いいのか?まだちょっと距離あるぜ?」
416 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:08:47.50 ID:vqwhzSy50
静「影じゃあないとメイが車から降りられないし……ちょっと歩きたい気分だし」
メイ「仗助が送ってくれたから、時間は少し余裕あるわね……ありがとう。仗助」
仗助「仗助『さん』だ、『さん』」
417 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:09:33.22 ID:vqwhzSy50
キキッ
バタン
静「ん〜〜〜〜ッ!いい天気ねえ……気持ちがいいわ」ノビ~ッ
メイ「ええ、本当に……」
仗助「……おい、メイ」
メイ「?」
仗助「……いいか……」ヒソッ
418 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:10:30.81 ID:vqwhzSy50
仗助「おれはテメェを信用してねえからよ〜〜……おれの監視の目から外れるからって、好き勝手やんじゃあねえぞ、コラ。もし静を危険な目にあわせるような事があったら、絶対許さねえからな。この仗助くんは〜〜……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
メイ「…………」
419 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:11:23.24 ID:vqwhzSy50
仗助「それと……ホイ」
グイッ
メイ「?……何?これは」
420 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:12:42.98 ID:vqwhzSy50
仗助「弁当だよ、ベントーッ。静の血を少し飲んでるだけじゃあ足りねえだろ?普段は遠慮してんのかそこまで食わねえみてーだが、これからは作ってやっから」
メイ「…………」
仗助「いらねえのか?……っていうか吸血鬼ってメシ食えんのか?昨日も肉食ってなかったみてーだが、ガリガリがさらにガリガリになってぶっ倒れんぞ、オメー」
メイ「食べる……食べるわ。……あ、ありがとう」
仗助「……フン!……車とか気ィつけろよ、静。メイ」
静「はーい」
メイ「……」
421 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:13:35.82 ID:vqwhzSy50
ブゥゥーン……
静「んじゃ、行こっか?メイ」
メイ「……」
静「……メイ?」
メイ「いえ、大丈夫……けど、少し……」
ガクガク
422 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:14:16.77 ID:vqwhzSy50
メイ「足……震えちゃって」
静「…………」
メイ「……あなたのお兄さんは良い人ね。わたしを許さないっていう敵意も感じるけれど……同じくらい、優しさも感じる」
静「……」
メイ「だけど、ちょっとの敵意で、わたし、怖がって……ダメね。本当」
423 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:15:18.86 ID:vqwhzSy50
メイ「これから、どれだけの敵意がわたしを襲ってくるのか……考えると、怖いわ」
静「……メイ」
メイ「……」
424 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:16:26.20 ID:vqwhzSy50
静「一歩、進みなさい」
メイ「…………」
静「アンタが一歩、進むなら……あたしは、二歩目から、歩いてやるわよ」
メイ「……」
静「アンタが決めるのよ。これまで無茶苦茶やった分を、前に進んで、帳消しにするため生きるのか。……ここでクルッと後ろ向いて、全てから逃げ出すのか」
メイ「…………」
ザ ッ
425 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:17:12.50 ID:vqwhzSy50
メイ「……逃げないわ」
静「……」
メイ「決めたもの。どれだけ泥にまみれても……わたしは、進む」
静「……そう」
426 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:18:11.68 ID:vqwhzSy50
メイ「……けど、まだ……震えてるから……」
静「……」
427 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:18:55.80 ID:vqwhzSy50
メイ「手……握ってくれる?」
静「……しょうがないなあ、もう」
ギュッ
428 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:19:39.63 ID:vqwhzSy50
サ ァ ァ ア ア ア ァ ァ ア ・ ・ ・
静「……風が気持ちいいわね、メイ」
メイ「ええ。……静」
静「んー?」
429 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:20:55.93 ID:vqwhzSy50
メイ「わたし……あなたに会えて、良かったわ」
静「……そうね。……なんか、あたし達……」
メイ「?……」
430 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:21:30.39 ID:vqwhzSy50
静「……こうして出会うために、産まれてきたのかもね」
431 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:22:37.66 ID:vqwhzSy50
メイ「……ふふっ!それは……素敵ね。とっても……とっても、素敵」
静「……なんからしくねー事、言っちゃったわね……あはは」
432 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:23:20.93 ID:vqwhzSy50
サ ァ ァ ア ア ァ ァ ・ ・ ・
433 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:23:59.57 ID:vqwhzSy50
風が、二人の髪を、なびかせる。
彼女たちの、左の首の付け根には――……
434 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:24:48.25 ID:vqwhzSy50
『星』の形に見えなくもない、奇妙な『アザ』が、光っていた。
435 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:25:36.82 ID:vqwhzSy50
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨……
…………
436 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:26:16.56 ID:vqwhzSy50
…………
静・ジョースターの奇妙な日常――『ワイルド・ハニーは砕かない』
――『完』
…………
437 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:26:50.41 ID:vqwhzSy50
スタンド名―ワイルド・ハニー
本体―静・ジョースター
破壊力― A スピード―A 射程距離―C
持続力―C 精密動作性―C 成長性―完成
『ワンダフル・ワールド』が人々の魂に記憶を書き込む『鉛筆』のようなものだとしたら、
『ワイルド・ハニー』はそれを消す『消しゴム』のようなものである。
物質を透明にする能力は、有栖川メイの矢の力に呼応し、魂に作用するようになった。
しかし、彼女はそちらの能力は、もう二度と使う事はないだろう……。
438 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:30:02.75 ID:vqwhzSy50
……………………
439 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:31:05.55 ID:vqwhzSy50
……………………
440 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:31:48.80 ID:vqwhzSy50
……………………
…………
……
…
441 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:32:24.57 ID:vqwhzSy50
「……らーら、らー……らららら、らら……」
442 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:33:04.31 ID:vqwhzSy50
「ちょっと、変な歌うたわないでくれません?……ネムくなってくるんですよ、それ聞くと」
「そうかしら?素晴らしい歌だと思わない?」
443 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:33:50.58 ID:vqwhzSy50
「歌の良し悪しじゃあないですから。ハア……なんであたしがあなたなんかと……」
「不平不満を言ったって何もかわらないと思うわよ?それより、頑張ってお仕事しないと」
「うるさいですね。今、財団からの任務を確認してるんですから。黙ってください」
「……らーら、らー……」
「うたわないでッ!」
444 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:34:35.40 ID:vqwhzSy50
「あら、この歌には意味があるのよ?今回のお仕事内容……読んでみなさいな」
「ええと……『アメリカ、N州の○○○町にある教会で、神父に懺悔した者が』……『その日から眠れなくなった』?」
「だから、よ〜〜く眠れるように、わたしは歌をうたうの。らららー」
「……神父がスタンド使いなのか、それともスタンド使いに作られた物が、悪さをしているのか……何にせよとりあえず、神父に聞いてみることにしましょう」
「また能力使うの?ヒドい人ね、あなたって。神父様になんの罪もなかったらどうするの?ねえ……」
445 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:35:14.71 ID:vqwhzSy50
メイ「『虹村那由他』?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
那由他(16歳)「その時は謝ります。もしもあたしに何かあったら、全力であたしを守りなさい。吸血鬼」
メイ「はいはい……ふふっ!」
446 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:35:52.72 ID:vqwhzSy50
メイ「退屈しないわね。……この『奇妙な日常』は」
⇐To be continued=・・・?
447 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2021/01/11(月) 21:37:04.83 ID:vqwhzSy50
8年近くもの間、応援と閲覧、ありがとうございました。
長年積もった言いたいことが山というほどありますが、
長くなるとイタいのでこのへんで。
これにて『静』の物語は終わりですが、双馬の話や10年後の話など、もう少し書いていくつもりです。
(10年後の話は本当に書くかはわかりませんが)
しかし、そこまで行くとジョジョの二次創作ではなく完全なオリジナルとなるので、掲示板では書かず、Twitterやpixivでやっていこうと思いますので。
興味のある方は是非に。
それでは。
448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/11(月) 21:39:34.74 ID:uV3gf+1O0
無言の敬礼
支援
https://i.imgur.com/X2YySY3.jpg
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/01/11(月) 23:11:34.80 ID:QwW0aEOZ0
乙。荒らしにもめげずよくぞここまで書き上げてくれたね
450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/01/12(火) 01:06:30.74 ID:WzxEqSTI0
完結おめでとうございます!
ずっと待ち望んでいた物語を忘れなくて良かった、諦めずに良かったとしか言いようがなくて……。
ああ、もう、いっぱい伝えたいことはあるのですがただ一言にまとめます!
本当ありがとうございました! 次回作、心待ちにしてます!
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/01/12(火) 19:33:20.27 ID:goxQA5tuO
願わくは、このssに触発された読者がまた別の世界線の
見た目も性格も異なる静ジョースターの物語を作るようになればいいな
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/16(土) 02:05:39.51 ID:mjpt4htf0
完結おめでとうございます。
私は、以前の最終回でsageのルールをよく知らずにコメントしてしまった者です。
私のせいで白玉様に多大な迷惑をおかけした事を、この場を借りて謝罪させていただきます。
本当にすみませんでした。
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/16(土) 22:30:37.35 ID:tUIzDDPk0
何年も追ってきたからこその感動があった
ジョジョのSSとして非常に高い完成度ながら、歴代ジョジョが全員登場するという「ジョジョらしくない」王道少年漫画のような展開をあえてやり、そしてハッピーエンドに駆け抜けた、実にすばらしい作品でした
この作品に出会えてよかった。おつかれさまでした
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/03/26(金) 23:20:21.89 ID:laLtmRdZ0
本当に…ありがとう…それしか言う言葉が見つからない…
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/05/14(金) 15:24:02.22 ID:ZMo7hHBW0
消しゴムとエンピツ
『星』を求めた者と『泥』の中で生きてきた者
ジョースター家と吸血鬼
昔なら一緒になることは出来なかったけれど、静はジョースターの血統ではなかったからこそ、手を取り合うという『道』を歩くことができたのかな...?
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/01/12(木) 00:03:58.75 ID:BvrEXpJsO
読了
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