歩夢「ポケットモンスター」

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1 : ◆8TImjtGSKs :2021/01/01(金) 19:49:27.59 ID:yjJ7DZoqO
────POKEMON League News────


それは、巨大な屋外ドームステージ。響き渡るは、場内アナウンス。

『──あー、あー。マイクテスマイクテス……問題ないわね』

梨子『皆様こんにちは。そして、ポケットモンスターの世界へようこそ。
   進行は私、ポケモンリーグ準備委員会副委員長・桜内梨子が勤めさせて頂きます』

「「「───!!!」」」

数多の客による歓声が、ドームを包み込む。

梨子『ここ“ダイバオ地方”は、海と大きな山に囲まれた豊かな自然と、美しい街並み。
   そして、沢山のポケットモンスター……縮めて、ポケモン。
   彼らと共に暮らせる、素晴らしい土地です』

粛々と、されど抑揚はつけて。梨子という少女は話を続ける。

梨子『ポケモンとの暮らし方は、人によって様々。生涯を共にしたり、仕事の手伝いをしてもらったり。
   ポケモンという存在は、我々の生活に深く根付いています。
   そして。ポケモンを育て、戦わせ、競わせる。そんな才能を持った人たちを──』

「「「ポケモントレーナー!!!」」」

歓声が、ひと際大きくなる。

梨子『そう。ポケモントレーナーと言います』

梨子『ここは、ニジガサキシティの中心・ニジガサキドーム。
   ダイバオ地方におけるポケモントレーナーたちの頂点──チャンピオンを決める場所』

梨子『それでは大変お待たせしました。本日のメインイベントに移りましょう。
   特別ゲスト、ダイバオ地方と姉妹都市であるハバラキ地方のチャンピオン・高咲侑さんと、我らがダイバオ地方が誇るチャンピオン──』


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1609498167
2 : ◆8TImjtGSKs :2021/01/01(金) 19:51:27.44 ID:yjJ7DZoqO

※『ラブライブ! シリーズ』×『ポケットモンスターシリーズ』です ▼

※登場するポケモンは『ソード・シールド(鎧の孤島・冠の雪原含む)』までです ▼

※本家『ソード・シールド』で使用不可となったポケモン・わざ等が登場する場合もあります▼



ようこそ ぼうけんの せかいへ──! ▼
3 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:52:36.71 ID:yjJ7DZoqO
【『さいしょのいっぽを ふみだすばしょ』 イチホタウン】
https://i.imgur.com/6unJS2y.png

ピンポーン

「おーい、歩夢―!」

歩夢「あっ、もう来ちゃった!? もうちょっと見ていたいのに……」

歩夢母「ふふ、あの子は相変わらず気が早いのね」

後ろ髪を引かれる思いで、タブレット(中にロトムが入ってる最新式! かがくのちからって凄い!)の電源を落とす。
今日はいよいよ、出発の日。

歩夢母「荷物、大丈夫よね?」

歩夢「うん。昨日、しっかり確認したよ。お守りもちゃんと持ってる」

歩夢母「旅なんだから、ケガとかには気を付けてね、歩夢」

歩夢「分かってる」

ガチャリ

愛「いよーぅ! 来たね、歩夢!」

出迎えたのは、宮下愛ちゃん。たまたま知り合って、よく関わるようになったお友達。
イチホタウンに引っ越して来て間もない私とあっという間に打ち解けた、恐るべきコミュニケーション能力の持ち主だ。

歩夢母「愛ちゃん、歩夢をよろしくね」

愛「大丈夫ですって! 歩夢はしっかりしてますから」
4 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:54:01.36 ID:yjJ7DZoqO
玄関口でベタなやり取りが行われている間に、軽く自己紹介をしておこう。
私の名前は、上原歩夢。さっきも言ったけれど、ダイバオ地方に引っ越して来たのはつい最近のこと。
引っ越しはお家の事情だったけれど、旅に出るのにもきちんと理由がある。

きっかけは、以前まで住んでいたハバラキ地方のチャンピオンで私の幼馴染──高咲侑ちゃん。
私は侑ちゃんが大好きで、いつも彼女と、そして彼女のポケモンと一緒に遊んでいた。
それが気付けば、侑ちゃんはハバラキ地方の若きチャンピオンになっていた。

相棒は、ドラメシヤだった頃によく遊んでいた“ドラパルト”というポケモン。
ドラパルトは無敗のチャンピオン・高咲侑の代名詞にもなっていて。
巷ではあの子の髪形が『ドラパルトヘアー』なんて呼ばれ、流行の一端を担っているらしい。


「あの子の隣に並び立てる人になりたい」


そんな想いもあって──私は今日から、ダイバオ地方でチャンピオンを目指す旅に出る。
今日に至るまで、トレーナーとしての座学は真面目に取り組んで来た。
実践はほとんど経験がないけれど……頑張る。

愛「じゃあ、そろそろ出発しよっか」

歩夢母「行ってらっしゃい。しっかり頑張りなさいよ!」

歩夢「行ってきます、お母さん」

手を振って、いざ旅立ち。
イチホタウンを後にして私たちが向かうのは1番道路──その途中にある、ポケモン研究所だ。
5 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:55:17.01 ID:yjJ7DZoqO
【1番道路】
https://i.imgur.com/JXw771G.png

イチホタウンから地続きの並木道を、私たちは歩いて行く。

愛「そういえば歩夢、さっきタブレットで何か見てたの?」

歩夢「え、えーっと……」

「ポケモンリーグニュースを見ていた」と即座に言えれば良かったのだろうが。
口から出かかった言葉は「侑ちゃんが頑張ってるところ」
……すんでのところで止めた。侑ちゃんのことを知ってるか分からない愛ちゃんの前では、あの子の話をするのはちょっと気が引ける。

愛「まあ内緒ならそういうことにしとくよ。無理に聞く必要もないっしょ、内緒だけに!」

歩夢「あ、あはは……」

そうそう。まだ会って1か月も経っていない愛ちゃんだけど、私にも1つハッキリしていることがある。
それは、彼女が無類のダジャレ好きということ。
面白いダジャレも(ごく稀に)あるけれど、正直、笑いよりも苦笑いを浮かべることの方が多い。
……もしかしたら、侑ちゃんだったら抱腹絶倒かも。あの子、笑いのレベルが赤ちゃんだからね。
6 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:56:14.43 ID:yjJ7DZoqO
愛「と・こ・ろ・で」

歩夢「?」

突然、愛ちゃんが向き直る。

愛「歩夢に抜き打ちテスト! ポケモンを持っていないトレーナーは?」

歩夢「草むらに入ってはいけない……だよね?」

突然のクイズに困惑しつつも、基礎中の基礎の基礎を答えに出す。

愛「そ。ポケモン無しじゃ、野生のポケモンに出会うのは危険だよね。
  そして今、アタシたちはポケモンを持ってない! というわけで、最初にやるべきことは?」

歩夢「ポケモン研究所に行って、ポケモンを貰う……でしょ?」

それが今日であると、愛ちゃんと2人で決めた話だった。

愛「ピンポンピンポーン。そして、ポケモン研究所は、すぐ向こうに見えます」

愛ちゃんが指さす先には、青い屋根の建物。
でかでかとモンスターボールの看板も掲げられているし……間違いない、研究所だ。

愛「というわけで……研究所まで競走だよ! 今日そう考えたから、なーんてね!」

ダジャレと共に、愛ちゃんは猛ダッシュ。あまりに突然すぎて、反応が遅れる。

歩夢「ちょ、ちょっと待って〜!」

……かなり、振り回される旅になるかも知れない。そんな予感が、私の中を駆け巡った。
7 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:57:12.82 ID:yjJ7DZoqO
【1番道路・ポケモン研究所前】

タッタッタッ……

歩夢「ハァ……ハァ……やっと追い付いた……」

あまり長距離というほどでもないが、突発的な運動に身体が追い付かない。
口の中がうっすら鉄の味だ。

愛「遅いぞ〜歩夢! 旅にはランニングシューズが必要って言ったじゃんか」

歩夢「ちゃんと、ランニングシューズ、だよ……」

ゼェハァと呼吸を整えながら、ピンピンしている彼女に反論する。
そもそも、愛ちゃんが急に走り出さなければ……と言い掛けて。

???「だ、誰か! お願い!」

どこかから叫び声。
しかも、明らかに助けを求めている。

「「……」」

私たちは顔を見合わせ、ほぼ同時に頷く。
そして、悲鳴の方へと駆け出した。
8 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:57:59.30 ID:yjJ7DZoqO
叫び声がしたのは、研究所から少し奥。
舗装された道からは外れ、草むらも周囲に見えるくらいには手つかずの自然。

???「お願いよ! 誰かー!」
「ガァ ガァ!」

声は、草むらの少し手前から。

愛「あれって……!」

歩夢「ひ、人が!」

青い髪をした、大人の女性だろうか。
それが、鳥のような青黒いポケモンに襲われている。
確か……ココガラ、だっけ?

愛「まずいよ、助けないと!」

歩夢「でも、ポケモン……」

動き出そうとする彼女を、咄嗟に引き留める。
助けたい。その気持ちは私だって一緒。
けれども私たちは、まだ研究所でポケモンを貰っていないのだ。
生身の人間が野生ポケモンに立ち向かうなんて……。

愛「……なるようにしか、ならないよ!」

直後。愛ちゃんは私の手を振りほどいて、女性とココガラの方へ──
9 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:58:37.33 ID:yjJ7DZoqO
目の前で繰り広げられるのは、壮絶な光景だった。

愛「こんの……離れろー!」
「ガァッ!? ガァーーー!」

その辺の木の枝を振り回して、ココガラを振り払おうとする愛ちゃん。
負けじと木の枝に食らいつき、標的を愛ちゃんへと変更するココガラ。
どうすればいいのか分からない私の方に、ココガラの標的から外れた青髪の女性──さっきは見えなかったけれど、白衣を着ている──が、慌てて駆け寄って来る。

青髪の女性「待ってて。すぐにポケモンを持って来るから」

歩夢「えっ……?」

言葉の意味を理解しきれないまま、女性はどこかへ行ってしまう。
追いかけるべきか、非力でも愛ちゃんの方に加勢すべきか……。
そんなことを考えている猶予は、一切与えられなかった。

「ガァ!」
「ガァガァ!!」
「ガァーーーーーー!!!」

私めがけて、新たにココガラが3匹も飛来したのだ。

歩夢「きゃぁっ!?」

愛「歩夢!? ──うわっ!?」
「ガァー!」
10 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 19:59:44.81 ID:yjJ7DZoqO
歩夢「っ────」

つつかれて、砂をかけられて。
私に碌な抵抗が出来ないのをいいことに、つけあがったように攻撃をし続けるココガラたち。
痛い。分からないけれど、多分血も出ている。
私に出来ることは、耐えること、両の腕で顔を防御することだけ。

──さっきの人は、まだ戻って来ないの?
──私も愛ちゃんも、酷い目に遭っているのに?

黒い感情が、痛みと共にじわりと湧きあがる。
ダメだ。そんなことを考えてはダメだと思いつつも、一度湧きだした感情は止まらない。

もう、何でもいい。
黒い感情を振り払うように、ただ1つの願望を思い浮かべる。
ポケモンでも、トレーナーでも、侑ちゃんでも。
お願い、誰か。

歩夢「誰か、助けて────!」
11 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 20:00:33.40 ID:yjJ7DZoqO
「────」

一瞬。何かが光ったような気がした。
次に、無数の何かが降り注ぐような音。
最後に、何かが羽ばたいて行くような音……。

歩夢「……あ、れ?」

痛く、ない。いや、身体の節々は痛むけれど……攻撃の手が止んでいる。
恐る恐る、防御姿勢を組んでいた腕を解く。

愛「助かった……みたいだね」

倒れたまま、顔だけを愛ちゃんの方へ向ける。
さっきまで格闘していたココガラたちは……どこにも見当たらない。
地面には、多くの穴。何かが降って来たらしく、あちらこちらに跡を作っていた。

青髪の女性「ごめんなさい、もう大丈夫──あら?」

モンスターボール片手に戻ってきたさっきの人も、異変に気付く。

歩夢「……」

何が起きたのかはまるで分からないが……愛ちゃんの言葉通り。
私たちは、助かったようだ。
12 : ◆8TImjtGSKs [sage]:2021/01/01(金) 20:01:47.43 ID:yjJ7DZoqO
【ポケモン研究所】

「本っっっ当にごめんなさい!」

医務室らしき部屋に運び込まれた私たちがまず目にしたのは、青髪の女性による全力の土下座と謝罪だった。
聞けば、どうやらココガラを追い払ったのは彼女ではなかったらしい。
彼女が自身のポケモンを手に戻って来た時には、事は既に片付いていたのだという。

歩夢「ま、まあ……助かったので、大丈夫です。
   ところで、勝手に使っちゃって良かったのでしょうか」

ここはポケモン研究所。だったら、ここの人に許可を取らないといけないんじゃ……。

愛「ここの人なんじゃないの? 白衣着てるしさ」

歩夢「あ、そっか」

つまり彼女は、研究所で働くお医者さん?

青髪の女性「あー……私、医者じゃないわよ? 手当ての方は、エマの専門」

エマ。初めて聞く名前に「誰だろう」と疑問が湧く。

青髪の女性「もうすぐ帰って来ると思うわ。
      ここで私の助手をやってる、エマ・ヴェルデって子よ」

歩夢「“私の”助手って……もしかして、あなたは」

果林「あー……ごめんなさい、自己紹介もまだだったわね。
   私は朝香果林。このポケモン研究所で博士をしているわ。
   気軽に、果林博士って呼んでちょうだい」
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