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高森藍子「加蓮ちゃんが忙しい日の、いつもではないカフェで」
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9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/29(日) 18:55:39.24 ID:SopT+Ge10
アイドルには、そしてPさんには、やりたいと思ったことを実現できる力があります。
加蓮ちゃんだって、かつての自分と重ね合わせて、力になりたいって思って、病院のみなさんに夢をあげました。
それなら私にだって……とまでは……言えなくても。でも、じゃあ、ほんのちょっぴりだけ。真似事になってしまってもいいから、できないかな。
カフェ……ううん、私なりの、癒やしの世界を作ること。
私1人では、分からないから……そういう時は、誰かに相談してみなきゃっ。Pさんは今日は事務所にいないから……それなら、さっき思い浮かべた誰かっ。未央ちゃんでも、愛梨さんでも!
沼の中に浸かっていたように重い足が、お散歩用のシューズを履いた時のように軽くなってきました。
遠い遠い世界が、今では少しだけ、近くに感じることができます。
世界中から注目される舞台に、自分が立つことを、今は想像できなくても。
もやを晴らすため、自分の好きな、近くにある幸せへ目を向けることが、たとえ逃避になってしまうとしても。
私は1つずつ、1歩ずつ、できることからやっていこうと思います。
やりたいって気持ちがある限り、大丈夫!
最後に、電源が落ちちゃっていたスマートフォンを起動し直して、やっぱり表示されたままの写真――さっきは何重にも並べられたショーケースの向こうに飾られているように見えた笑顔も、ごく最近に、例えばカフェで一緒にのんびりした時や、例えば事務所のレッスン終わりにお話した時のような、可愛くて、ちょっぴり悪戯っぽくて、私と同い年な女の子のような、すぐ向かいにいる、いつもの加蓮ちゃんに見えるようになりました。
……ふふっ。そのハズなのに、まばたきをしたら、また遠く煌めいているアイドルにも見えちゃいます。少しだけ気持ちがしぼみ返しちゃう自分のことも、おかしいって笑うことができちゃう。
自分でも、変なのって思います。どっちにも見えるんです。それなら、加蓮ちゃんがまた私を誘ってくれる時までは、少し待ちましょう。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/29(日) 18:56:17.83 ID:SopT+Ge10
でも、ただ待っているだけではありません。やりたいって気持ちを、がっちりと抱えて、私には私のできることを、1つずつ。
ばっと起き上がって、大きく背伸び! 息を吐いたら立ち上がって、ほどけかけている靴紐を、何度も何度も結び直して、かかともしっかり履き直しますっ。
伝票を持って、レジへ――
あっ、そうだ♪ もう1つ、やりたいことを思いついちゃったっ。
今日は、帰ったらこのカフェのことを少し書いてみましょう。
加蓮ちゃんがまた、私のことを誘ってくれた時には。
伝えたいと思うことを、一緒に紡ぐことができるように。
【おしまい】
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/29(日) 19:09:18.13 ID:SopT+Ge10
>>9
度々申し訳ございません。最初の4行が抜け落ちていました。追記した上で、
>>9
の文章をこちらに差し替えるものとさせてください。
いつか加蓮ちゃんと一緒に思い描いた、ぼんやりとした風景。
1人でいるからでしょうか。それとも……さっきから、店員さんの目線ばかりでいられるのも、私が成長したっていうことなのかな。
ひょっとしたら、ちっちゃなきっかけがあったから?
今なら、もう少しだけはっきりと、楽しいところも難しいところも、現実感を抱いて……やってみたい、って思うんです。
アイドルには、そしてPさんには、やりたいと思ったことを実現できる力があります。
加蓮ちゃんだって、かつての自分と重ね合わせて、力になりたいって思って、病院のみなさんに夢をあげました。
それなら私にだって……とまでは……言えなくても。でも、じゃあ、ほんのちょっぴりだけ。真似事になってしまってもいいから、できないかな。
カフェ……ううん、私なりの、癒やしの世界を作ること。
私1人では、分からないから……そういう時は、誰かに相談してみなきゃっ。Pさんは今日は事務所にいないから……それなら、さっき思い浮かべた誰かっ。未央ちゃんでも、愛梨さんでも!
沼の中に浸かっていたように重い足が、お散歩用のシューズを履いた時のように軽くなってきました。
遠い遠い世界が、今では少しだけ、近くに感じることができます。
世界中から注目される舞台に、自分が立つことを、今は想像できなくても。
もやを晴らすため、自分の好きな、近くにある幸せへ目を向けることが、たとえ逃避になってしまうとしても。
私は1つずつ、1歩ずつ、できることからやっていこうと思います。
やりたいって気持ちがある限り、大丈夫!
最後に、電源が落ちちゃっていたスマートフォンを起動し直して、やっぱり表示されたままの写真――さっきは何重にも並べられたショーケースの向こうに飾られているように見えた笑顔も、ごく最近に、例えばカフェで一緒にのんびりした時や、例えば事務所のレッスン終わりにお話した時のような、可愛くて、ちょっぴり悪戯っぽくて、私と同い年な女の子のような、すぐ向かいにいる、いつもの加蓮ちゃんに見えるようになりました。
……ふふっ。そのハズなのに、まばたきをしたら、また遠く煌めいているアイドルにも見えちゃいます。少しだけ気持ちがしぼみ返しちゃう自分のことも、おかしいって笑うことができちゃう。
自分でも、変なのって思います。どっちにも見えるんです。それなら、加蓮ちゃんがまた私を誘ってくれる時までは、少し待ちましょう。
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