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シンジ「君が、葛城ミサトちゃんだね」
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413 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:15:02.92 ID:48W6ECl6o
葛城「……ミサト。母さんの心は、いつもお前と共にある」
葛城「肉体が滅んだとしても。…それは同じことだ」
ミサト「…………うん」
葛城「……時間だ。先に帰る」
ミサト「あ……お父さん!」
ミサト「あの、今日は嬉しかった。お父さんと話せて」
葛城「そうか…」
414 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:16:05.84 ID:48W6ECl6o
チェロを弾く加持
ペンペン「クゥ〜クッ…クゥゥゥ…」
加持「んん……結構覚えてるもんだな」
ミサト「……あんたそんなことまでできるの?」
加持「才能かな?なんてね……最初は下手だったんだ。先生にもボロクソ言われて…それで意地になってさ」
ミサト「……継続は力なり、か」
加持「パイロットには必要ない技術だし。すぐやめてもよかったんだが…」
ミサト「じゃあ、なんで続けたのよ」
加持「女の子にモテるから」
ミサト「……あんた、ほんとにそればっかね」
415 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:16:59.28 ID:48W6ECl6o
加持「それより、夕飯食べないか?待ってたんだ」
ミサト「? デートで、夜まで食べてくるんじゃなかったの?」
加持「本命は葛城だからな。舞い戻ってきたよ」
ミサト「ったく、もう……どこまで本気なんだか」
加持「本気さ。信じられないか?」
加持「それじゃあ……」
416 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:17:41.60 ID:48W6ECl6o
シンジ「うぅ…僕、ちょっとトイレ」
アスカ「とか言って、逃げんじゃないわよ!」
シンジ「逃げないよ!」
レイ「とばしすぎじゃない?このままじゃ碇くん、ほんとに倒れるわよ…」
アスカ「ふんっ!こんなのまだ序の口よ!」
レイ「変わらないわね…あなたのそういうところ。今度は碇くんをどうするつもりかしら?」
アスカ「……あんな姑息な手はもう使わないわよ」
レイ「でも、素面で言える? 碇くんに、好きって」
アスカ「ごほっ」
アスカ「なんでそういう話になるのよ?……なんなら、今回は譲ってあげたっていいのよ?いい具合に酔っぱらってるし」
レイ「遠慮しておくわ」
417 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:19:00.81 ID:48W6ECl6o
アスカ「……言っておくけど、長期戦に持ち込むつもりなら、無駄よ。あいつタオル一枚で出ていったって何もしなかったんだから!」
レイ「ふふ…さすが、一緒に暮らしてた人の言うことは違うわね」
レイ「でも駄目。私の出る幕じゃないわ」
アスカ「なんでよ。あいつのこと好きなくせに」
レイ「碇くんが好きなのはあなたよ、アスカ」
アスカ「……」
アスカ「……あんたはそれでいいわけ…?」
レイ「私の気持ちは…変わらないわ…」
レイ「碇くんのそばに居られれば、それで…」
アスカ「………」
アスカ「あんたって、昔っからそうね。ほんと、闘志が沸かないったらないわよ」
シンジ「ただいま……何?二人とも、ケンカ?」
アスカ「あんたがぜぇんぶ悪いのよっ!バカシンジ」
シンジ「うわっ、なんだよもう」
418 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:20:01.47 ID:48W6ECl6o
シンジ「松代土産?」
アスカ「そ。レイはラーメン好きでしょ?」
シンジ「だからって、なんで僕のまで…」
アスカ「貰っといて何ぶつぶつ文句言ってんのよ、いらないなら返しなさいよっ!」
シンジ「い…いらないとは言ってないだろ!まったく…すぐ怒るんだから…全然変わってないよ…」
アスカ「失礼ね!変わったわよ!!」
レイ「ふふ…ホメオスタシスとトランジスタシスね」
アスカ「何よそれ?」
レイ「今を維持しようとする力と変えようとする力。その矛盾する二つの性質を一緒に共有しているのが、生き物なのよ…」
シンジ「へぇ…」
レイ「そろそろおいとまするわ…仕事も残ってるし」
シンジ「えっ?」
アスカ「……また顔出しなさいよ?」
レイ「ええ。それじゃあ、また」
シンジ「うん…」
419 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:21:05.88 ID:48W6ECl6o
アスカ「いい年して、戻すんじゃないわよ」
アスカ「自分の限界くらい、知っときなさいよね!バカシンジ」
シンジ「うぅ……大きな声出さないでよ…」
アスカ「…ほんっと馬鹿ね…」
シンジ「……馬鹿バカ言わないでよ、もう…」
アスカ「…ふん。だったらシャキッとしなさいよ?もうすぐ三十路なんだから」
シンジ「……それはアスカもだろ…」
アスカ「なんか言った!?」
シンジ「な……なんでもないよ…ふぅ」
420 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:22:14.65 ID:48W6ECl6o
シンジ「もう一人で歩けるよ…ありがとう」
アスカ「ん。」
シンジ「アスカ……僕、変わったかな……?」
アスカ「……変わってないわよ。相変わらずバカ」
シンジ「そう、だよね……僕は馬鹿だ…」
シンジ「ミサトちゃんがね……僕らを守りたいって言ってくれたんだ。勇気を持って乗ってくれてる、加持くんも、リツコちゃんも…」
シンジ「なのに、僕はミサトちゃんたちを哀れんでるんだ…まだ子どもなのにって」
シンジ「でも本当に救いたいのはミサトちゃんたちじゃない、そうやって、人を哀れんでる自分自身だ」
シンジ「偽善なんだよ…!そうやって、自分だけが綺麗なふりをして…」
アスカ「………」
シンジ「……あの時、アスカと別れたときだって…」
シンジ「きっと誰でも良かった。僕の心を埋めてくれる人なら…だから怖かったんだ」
421 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:23:00.23 ID:48W6ECl6o
シンジ「僕は過去に囚われてる、」
シンジ「過去が、僕を人にすがらせる」
シンジ「すがった相手の魅力も、人格も、何も関係なく!」
シンジ「……中途半端が…一番だめなんだよ…こんな愚痴だって、」
シンジ「本当は「そんなことないよ」って言ってもらいたくて、優しくしてもらいたくて、言ってるんだ」
シンジ「でもアスカは違うから。僕にそんなこと言わないって、分かってるから…言うんだ」
アスカ「………」
シンジ「……僕は卑怯で、臆病で…ずるくて、弱虫で…っ」
アスカ「…………ほんと、バカね…」
422 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:24:02.05 ID:48W6ECl6o
加持「それじゃあ、キスするか? 俺と」
ミサト「……は?」
加持「そしたら分かるだろ。俺が……本気だって」
ミサト「なっ、何言ってんのよ!ふざけないで!」
加持「ふざけてなんかいないさ。葛城とキスしたいんだ」
ミサト「ど……どうしてよ……?」
加持「好きだから」
ミサト「…好きだからって、そんな…」
加持「葛城は嫌いか? 俺のこと」
ミサト「………嫌いじゃあ、ない、けど…」
加持「それとも、恐い?」
ミサト「こ、恐かないわよ…!」
加持「じゃ、いいじゃないか……目、つむって…」
ミサト「えっ……、わ、ちょ…!」
423 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:25:01.37 ID:48W6ECl6o
ガチャンッ
ミサト「!!!!!」バシンッ
加持「いてっ」
アスカ「ほら、着いたわよ……もー!立ってるくらい自分でできるでしょ!」
加持「……アスカ先輩」
アスカ「ああ、あんたね。……どうしたのよ、その頬」
加持「……別に」
ミサト「わっ、シンジさん…!大丈夫ですか!?」
アスカ「飲みすぎてノビてるだけよ。ほら加持!介抱する!」
加持「えー? 俺が?」
アスカ「つべこべ言わない!」
加持「へいへい…」
424 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:26:01.61 ID:48W6ECl6o
ミサト「あのアスカさん…もう遅いですし、泊まっていかれたらどうですか?お布団ならありますから…」
アスカ「ありがたいけど、却下。着替えがないし、明日も早いのよ」
ミサト「そうですか…」
アスカ「気持ちだけ貰っとくわ」
シンジ「…うぅん……」
アスカ「じゃあそのバカのこと、頼んだわよ」
加持「は〜い」
ミサト「お休みなさい」
ガチャン
加持「………するか? 続き」
ミサト「バカッ」
加持「あらら……」
425 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:27:02.13 ID:48W6ECl6o
老教師「えー、では、続いて女子」
老教師「赤木…おお? 赤木は、今日も休みか?」
ネルフ地下、セントラルドグマ
葛城「……」
リツコ「……」
426 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:27:59.97 ID:48W6ECl6o
アスカ「……だいぶ早かったじゃない?昼まで寝込むと思ってたのに」
シンジ「ふざけないでよ……!」
アスカ「心配してやってんのよ」
シンジ「アスカ……アスカは、どっちの味方なの…?ネルフ?それとも…」
アスカ「……今度はなんて言ってほしいのよ」
アスカ「特務機関ネルフ特殊監査部所属惣流アスカ? それとも、日本政府内務省調査部所属、惣流アスカって?」
シンジ「教えてよ……!」
アスカ「あんたはまだ知らなくていい。おとなしく作戦部長やってなさいよ」
シンジ「教えろ……!」カチャ
アスカ「……私を撃つ気? 馬鹿ね、できもしないのに」
427 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:28:52.73 ID:48W6ECl6o
シンジ「……なんだよ、分かんないよアスカ、どうして……っ」
アスカ「…………」
アスカ「………ハァ。まったく、タイミング悪いわね…あんた私を、信じられるの? 自分の意志もグラグラのくせに」
シンジ「…なんだよ、それ、どういう…」
アスカ「……あんたが囚われてる「過去」の、その正体を暴いてやろうってのよ…」
シンジ「正体…?」
アスカ「ついて来なさい」
シンジ「これは……!?」
シンジ「エヴァ?…いや、まさか…」
アスカ「…セカンドインパクトからその全ての要であり、始まりでもある…アダムよ」
シンジ「アダム? あの第一使徒がここに…?」
アスカ「あんたが考えているほど、ネルフは甘くないってことよ」
シンジ「…………」
拾伍話分終わり
428 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:31:02.10 ID:48W6ECl6o
加持「……あれ? シンジさん、これ、いつもと違う?」
シンジ「うん。カツオだし。綾波から貰ったんだ」
ミサト「ふぁ〜ぁ、おふぁようございます…」
加持「相変わらずギリギリだなぁ」
シンジ「今、よそうね」
ミサト「あっ、いいですいいです!自分でやりますから…」
ミサト「あっ熱っ!」ガタッ
シンジ「だっ大丈夫?ミサトちゃん」
ミサト「あはは…大丈夫です…ちょっとヤケドしただけ」
加持「すぐ冷やしたほうがいい、ほら」グイッ
ミサト「あ……」ジャー
加持「こういうのは初めが肝心だからな」
429 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:32:02.21 ID:48W6ECl6o
ミサト「ちょ……いつまで触ってんのよ!」
加持「は?」
ミサト「手よ!」
加持「手? 別にどってことないだろ、手くらい…」
ミサト「ひ、ひとりでできるから!離しなさいよっ!」
加持「……はいはい」
ミサト「……もう…!」
シンジ「…………」
430 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:33:01.44 ID:48W6ECl6o
シンジ「加持くん、ミサトちゃんとケンカでもしたの?」ボソッ
加持「いや、その逆というか……」
伝言メッセージの音
アスカ「あんたが行きたがってた店、予約取っといたから。今晩空けときなさいよ!」
加持「シンジさんこそ、どうなってんだ?そこんとこ……」
シンジ「いや、これは……」
加持「まったく。両手に花とは、羨ましいよ」
シンジ「………」
431 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:34:03.15 ID:48W6ECl6o
ヒカリ「B型ハーモニクステスト、問題なし」
オペレータ「深度調整数値をすべてクリア」
トウジ「センセ、なんか疲れてへんか?」
シンジ「ちょっとね」
レイ「アスカ?」
シンジ「ちっちちち違うよ!」
トウジ「………」
レイ「………」
シンジ「み、ミサトちゃんの様子は?」
ヒカリ「すごいですよ、ほら」
シンジ「?」
シンジ「………わ……ほんとだ…」
432 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:35:02.52 ID:48W6ECl6o
シンジ「聞こえる? ミサトちゃん」
ミサト「シンジさん!今のテストの結果、どうでした?」
シンジ「ふふ、おめでとう。新記録達成だよ!」
ミサト「それでねぇ。なにかってーとすぐ女の子、女の子でしょお?私もどうかと思ったんだけどサ。あんまり真剣に言うもんだから…ちょっとは付き合ってあげよっかな?って」
ミサト「でも格好つけたがりだから。なんでもかんでも、男の仕事ー!なんて言っちゃってさ、まぁ…気遣われて、悪い気はしないけど。そのくせドジ踏むから、格好つかないのよね〜」
リツコ「…彼、戦い方は悪くないわ」
ミサト「ね〜!?まぁね〜、あいつも、その点は馬鹿にできないっていうか、なんせ本場仕込みでしょ?ま…シンクロ率は私のほうが上だけど。安心してちゃ駄目よね。うん、頑張らなきゃ!」
リツコ「…私、帰るわ」
ミサト「えっ」
ミサト「ちょっとー!待ちなさいよ、リツコ!」
433 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:36:03.90 ID:48W6ECl6o
バスのアナウンス「次は、セイショウカノセ、次は、セイショウカノセ。古本、中古ソフトの店、バシャール前」
加持「……」
加持「…あっさり、抜かれちまったな…」
子供たち「ケッケッケ…」
加持「……はっ」
434 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:37:00.74 ID:48W6ECl6o
オペレータ「西区の住民避難、後5分かかります」
オペレータ「目標は微速で進行中。毎時2.5キロ」
レイ「遅刻よ」
シンジ「ごめん!…どうなってるの?富士の電波観測所は」
ケンスケ「探知してない、直上にいきなり現れたんだよ」
トウジ「パターンオレンジ、A.T.フィールド反応無し!」
シンジ「どういうこと?」
レイ「新種の使徒?」
ヒカリ「MAGIは判断を保留しています」
シンジ「参ったな…葛城司令のいないときに…」
435 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:38:02.96 ID:48W6ECl6o
シンジ「みんな聞こえる?目標のデータは送った通り。今はそれだけしか分からないんだ」
シンジ「慎重に接近して反応をうかがい、可能であれば市街地上空外への誘導も行う」
シンジ「先行する一機を残りが援護。いい?」
加持「先行は俺がやるよ。お姫様を守るのはナイトの役目だからな」
ミサト「ぶっ!だっ、誰がお姫様よ!??」
加持「別に誰とは言ってないが」
ミサト「……むうっ!」
436 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:39:13.55 ID:48W6ECl6o
ミサト「シンジさん!私に行かせてください!」
加持「おいおい、敵がどう出るか分からないんだぞ?」
ミサト「それはあんただって同じでしょ!同じリスクなら、より低いほうを選ぶ!シンクロ率一番は私なんだから!私が先行!」
シンジ「……分かった。先行はミサトちゃんでいこう」
シンジ「だけど本当に気を付けて。慎重にね」
ミサト「はいっ!」
加持「……ふぅ。弐号機、バックアップに回ります」
リツコ「零号機も、バックアップに」
シンジ「……」
レイ「…ミサトちゃん、ずいぶん前向きになったじゃない?」
シンジ「言い出したらきかないんだよ。それがミサトちゃんのいい所でもあるんだけど……帰ったらよく言って聞かせないと」
レイ「ふふっ…碇くん、お父さんみたいよ」
437 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:40:00.90 ID:48W6ECl6o
ミサト「加持くん、リツコ!そっちの配置は?」
加持「もう少しだ!」
リツコ「もう着くわ」
ミサト(………よしっ!姿が見えた!)
ミサト「接近し、様子を見ます!」
パレットを撃ち込む初号機
レイ「…消えた!?」
シンジ「何だ…!?」
トウジ「パターン青、使徒発見!初号機の真下や!」
438 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:41:02.93 ID:48W6ECl6o
ミサト「はっ!か、影が…!」
ミサト「何よこれ、体が……!」
シンジ「ミサトちゃん、逃げて!」
加持「葛城っ!」
リツコ「ミサト!」
ミサト「シンジさん!? どうなってるんですか!シンジさん!加持くん、リツコ…どこなの!? シンジさん!聞こえますか!? シンジさん!」
シンジ「プラグを強制射出!信号送って!」
ヒカリ「だめです!反応ありません!」
ミサト「シンジさんっ、シンジさん!」
シンジ「ミサトちゃん!」
439 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:42:02.68 ID:48W6ECl6o
シンジ「加持くん、リツコちゃん!初号機を救出!急いで!」
加持「っ!救出ったって…!」
リツコ「………!」
ヒカリ「また消えた!」
レイ「加持くん、気をつけて!」
加持「影!?」
加持「! おわっ…!!」
加持「街が…!」
440 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:43:03.98 ID:48W6ECl6o
シンジ「加持くん!リツコちゃん……後退して」
加持「なっ…」
リツコ「……まだ、初号機を救出していません」
加持「……」
シンジ「命令は、取り消すよ……戻ってきて」
ヒカリ「碇くん、辛いでしょうね」
レイ「…アンビリカルケーブルを引き上げてみたら、先はなくなっていたそうよ」
ヒカリ「それじゃあ…」
レイ「内臓電源に残された量はわずかだけど、ミサトちゃんが闇雲にエヴァを動かさず、生命維持モードで耐える事ができれば、16時間は生きていられるわ」
ヒカリ「……」
441 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:44:01.36 ID:48W6ECl6o
オペレータ「第二戦車小隊、配置完了」
オペレータ「了解、現在位置のまま待機」
オペレータ「サブレーザー、回線開きます。情報送る」
オペレータ「確認、C回線にて発信」
ケンスケ「国連軍の包囲、完了しました」
シンジ「影は?」
トウジ「動きなしや。直径600mを超えたところで停止したまま。……地上部隊なんて役に立つんか?」
ケンスケ「プレッシャーかけてるつもりなんだろ、俺たちに」
シンジ「……」
442 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:45:06.08 ID:48W6ECl6o
加持「俺が……あの時止めていれば……」
リツコ「結果は同じよ。立場が逆になるだけ」
リツコ「ミサトは自分で行くと言ったんだから…それはあの子の責任よ」
加持「だが…!」
リツコ「…もし落ちたのがあなただったら」
リツコ「ミサトはあなたを救う方法を考えたはずよ」
加持「………」
シンジ「その通りだよ…今はミサトちゃんを救う方法を考えよう」
シンジ「それに…ミサトちゃんに行けと言ったのは僕だ。責任は僕にある」
シンジ「だから、加持くんが自分を責める必要はないんだよ…」
加持「……」
シンジ「ミサトちゃんを助けて、またみんなでご飯を食べよう」
443 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:46:22.13 ID:48W6ECl6o
ミサト「眠る事がこんなに疲れるなんて、思わなかった…」
ミサト「やっぱり真っ白か…レーダーやソナーが返ってこない。空間が広すぎるんだわ…」
ミサト「生命維持モードに切り替えてから12時間…私の命も後4、5時間か…お腹空いたな…」
シンジ「じゃあ、あの影の部分が?」
レイ「そう、使徒の本体。直径680メートル、厚さ約3ナノメートルのね。その極薄の空間を、内向きA.T.フィールドで支え、内部はディラックの海と呼ばれる虚数空間」
レイ「多分、別の宇宙につながっているんじゃないかしら…」
シンジ「あの球体は?」
レイ「本体の虚数回路が閉じれば消えてしまう。上空の物体こそ、影に過ぎないわ」
シンジ「初号機を取り込んだ、黒い影が目標か…」
加持「そんな…どうすれば…」
444 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:47:04.96 ID:48W6ECl6o
ミサト「水が…!濁ってきてる……浄化能力が落ちてきてるんだわ…!」
ミサト「うっ!…生臭い!血?血の匂い…!」
ミサト「……嫌っ!ここは嫌!なんでロックが外れないのよっ!」
ミサト「開けて!ここから出して!シンジさん、どうなってるの…?シンジさん!加持くん!リツコ!…レイさん………お父さん…」
ミサト「お願い、誰か、助けて…」
445 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:48:27.67 ID:48W6ECl6o
シンジ「エヴァの強制サルベージ?」
レイ「現在、可能と思われる、唯一の方法よ」
レイ「992個、現存する全てのN2爆雷を、中心部に投下」
レイ「タイミングを合わせて残存するエヴァ2体のA.T.フィールドを使い、使徒の虚数回路に1000分の1秒だけ干渉するわ」
レイ「その瞬間に、爆発エネルギーを集中させて、使徒を形成するディラックの海ごと破壊する」
シンジ「でもそれじゃあエヴァの機体が…ミサトちゃんがどうなるか…!救出作戦とは言えないよ」
レイ「…作戦は初号機の機体回収を最優先とします。たとえボディーが大破したとしても」
シンジ「な…っ!」
シンジ「なに言ってるんだよ!綾波!」
レイ「……今初号機を失うわけにはいかないのよ、碇三佐」
シンジ「そんな…!ミサトちゃんだって!同じじゃないか、そんな作戦は認められない!」
レイ「…パイロットの補充はきくわ」
シンジ「……綾波…!」
446 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:49:03.36 ID:48W6ECl6o
レイ「あなたも分かってるはずよ…冷静になって」
シンジ「僕は……!冷静だよ、…綾波こそおかしいんじゃないのか!?」
シンジ「………そこまで初号機にこだわる理由って何、エヴァってなんなんだよ!」
レイ「…あなたに渡した資料が全てよ」
シンジ「嘘だ…!」
レイ「………」
レイ「…碇くん、私を信じて」
レイ「これ以降、本作戦についての一切の指揮は、私が執ります」
レイ「関空には便を廻すわ。航空管制と空自の戦略輸送団にも連絡を」
シンジ「………」
シンジ(セカンドインパクト。補完計画。まだ…まだ僕の知らない秘密があるんだ…)
447 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:50:01.71 ID:48W6ECl6o
ミサト「…誰?」
ミサト「誰?」
ミサト「…葛城ミサト」
ミサト「それは私よ!」
ミサト「あなたは私よ。人は自分の中にもう一人の自分を持っている。自分というのは常に2人でできているものなの」
ミサト「2人?」
ミサト「実際に見られる自分とそれを見つめている自分。葛城ミサトという人物だって何人もいる」
ミサト「私の心の中にいるもう一人の葛城ミサト、碇シンジの心の中にいる葛城ミサト、加持リョウジの中のミサト、赤木リツコの中のミサト…お父さんの中のミサト」
ミサト「みんなそれぞれ違う葛城ミサトだけど、どれも本物の葛城ミサト。あなたはその他人の中の葛城ミサトが恐いのよ」
ミサト「人から嫌われるのが恐いんでしょ?」
ミサト「弱い自分を見るのが恐いのよ」
448 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:51:00.81 ID:48W6ECl6o
ミサト「よい子にならなきゃいけないの」
ミサト「パパがいないから。ママを助けて私はよい子にならなきゃいけないの」
ミサト「でも、ママのようにはなりたくない。パパがいないとき、ママは泣いてばかりだもの」
ミサト「泣いちゃだめ、甘えちゃだめ。だから、よい子にならなきゃいけないの。そしてパパに嫌われないようにするの」
ミサト「……でも父はいなくなった。私を置いて」
ミサト「だから恨んだ。お母さんと同じに…」
ミサト「悪いのは誰?」
ミサト「悪いのはお父さんよ!私を捨てたお父さん!」
ミサト「悪いのは私よ!」
449 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:52:03.48 ID:48W6ECl6o
ミサト「疑問?」
シンジ「君たちをエヴァに乗せてること…」
ミサト「で、自分を大切にしろ、って言うんでしょう?」
ミサト「みんなそうなのよ。そうして、仕事に、自分の世界に行ってしまうんだわ。私を置き去りにしたまま」
ミサト「お父さんと同じなのよ」
ミサト「辛い現実から逃げてばかりなのよ」
ミサト「辛い現実?私のことか…」
ミサト「嘘よ!私は必要とされてる!」
450 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:53:02.82 ID:48W6ECl6o
日向「付き合ってくれないかな」
シンジ「僕も君が大切だよ」
加持「好きだから…キスしよう」
葛城「よくやったな、ミサト」
ミサト「お父さんが、私の名前を呼んだのよ。あのお父さんが誉めてくれたのよ!」
ミサト「みんなも優しくしてくれる。私が必要なのよ!」
ミサト「その喜びを反芻して、これから生きていくんだ?」
ミサト「その言葉を信じてれば、これからも生きていけるわ!」
ミサト「自分をだましつづけて?」
ミサト「みんなそうよ、誰だってそうやって生きてる」
ミサト「自分はこれでいいんだ、と思いつづけている。でなければ生きていけないのよ」
ミサト「私が生きていくには、この世界には辛い事が多すぎる」
ミサト「そう。辛かったら逃げてもいいのよ」
ミサト「そうよ。嫌なことから逃げ出して、何が悪いって言うのよ!」
451 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:54:02.07 ID:48W6ECl6o
日向「こないだの騒ぎで、妹が怪我しちゃって」
加持「両手に花とは、羨ましいよ」
葛城「ここにお前の居場所はない!」
ミサト「嫌!聞きたくない!」
ミサト「ほら、また逃げてる」
ミサト「楽しいことだけを数珠のように紡いで生きていられるはずが無いのよ、特に私はね」
ミサト「楽しいこと見つけたの。楽しいこと見つけて、そればっかりやってて、何が悪いのよ!」
ミサト「楽しいことだけ、やっていたいの」
452 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:55:04.27 ID:48W6ECl6o
トウジ「エントリープラグの予備電源、理論値ではそろそろ限界や」
ヒカリ「プラグスーツの生命維持システムも危険域に入ります」
レイ「12分予定を早めましょう」
レイ「…ミサトちゃんが生きている可能性が、まだあるうちに」
ミサト「お父さん、私はいらない子なの?お父さん!」
ミサト「自分が追い出したくせに」
女「父親の実験だか何かのせいで母親が犠牲になったっていうじゃない」
女「恐ろしいわよねえ、自分の奥さんを実験台にするなんて…」
ミサト「違う!お母さんは…笑ってた…」
453 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:56:31.42 ID:48W6ECl6o
シンジ「立派じゃなくてもいい」
加持「誰にでもできることじゃないさ」
シンジ「頑張ってね……応援してるよ」
葛城「お前の心と共にある」
ミサト「ここは嫌……一人はもう、嫌…!」
ミサト「保温も、酸素の循環も切れてる…寒い…だめだ……スーツも限界…ここまでね…。もう、疲れた…ぜんぶ…」
光が体を包む
ミサト「…、……!」
ミサト「お母さん…!?」
(ほら、こうするの…)
(あなたにもできるわ……)
454 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:57:05.08 ID:48W6ECl6o
ケンスケ「エヴァ両機、作戦位置」
ヒカリ「A.T.フィールド、発生準備よし」
レイ「了解」
トウジ「爆雷投下、60秒前」
使徒に亀裂。
加持「何が起こってるんだ!?」
シンジ「状況は?」
トウジ「分からん!」
ヒカリ「全てのメーターは、振り切られています!」
レイ「まだ何もしていないのに!」
シンジ「まさか、ミサトちゃんが!」
レイ「ありえないわ!初号機のエネルギーは、ゼロなのよ!」
影を突き破って現れる手
オペレータ「おおっ!」
455 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:58:01.89 ID:48W6ECl6o
咆哮する初号機
加持「……これが、エヴァなのか…?」
リツコ「……」
レイ「何て物を……何て物をコピーしたの?私たちは…」
シンジ(エヴァがただの第1使徒のコピーなんかじゃないのは分かる…)
シンジ(でも、ネルフは使徒をすべて倒した後、エヴァをどうするつもりなんだ…?)
降り立つ初号機
レイ「……!」
加持「……、…」
リツコ「……」
456 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:59:03.41 ID:48W6ECl6o
シンジ「ミサトちゃん…ミサトちゃん!ミサトちゃん!」
シンジ「ミサトちゃん、大丈夫!?ミサトちゃん!」
ミサト「…ただ会いたかったの、もう一度…」
加持「…はぁ」
加持「よかった……」
リツコ「…あなたもそんな顔、するのね」
加持「ん?はは…葛城には内緒で頼むよ」
リツコ「ええ…」
457 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:00:02.79 ID:48W6ECl6o
レイ「私は今日ほど、このエヴァが恐いと思ったことはありません」
レイ「本当にエヴァは私たちの手に負えるのでしょうか」
レイ「私たちは、憎まれているのかもしれません……エヴァに」
レイ「碇三佐の疑心も、そろそろ限界です」
葛城「そうか、今はいい…」
レイ「……彼らがコアの秘密を知ったら……許してもらえないでしょうね」
葛城「……」
458 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:01:02.10 ID:48W6ECl6o
リツコ「今日は寝ていて。後は私たちで処理するわ」
ミサト「うん…でも、もう大丈夫よ?ほら」ブンブン
ミサト「うっ…痛…!」
加持「強がるなよ、寝てろって」
リツコ「…あなたも、格好がつかないわね…」
ミサト「ぐっ…」
加持「? 何の話だ?」
ミサト「あっあんたには関係ない話よ!」
リツコ「ふふ…」
ミサト「…もうっ!分かったから、作業に行きなさいよ!」
加持「はいはい、お姫さま」
リツコ「また来るわ」
459 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:02:08.79 ID:48W6ECl6o
ドアが閉まる
ミサト「………もう。バカにして…」
ミサト「………」
ミサト「取れないわね…血の匂い」
拾六話分終わり
460 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:03:08.31 ID:48W6ECl6o
続きは土曜
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[age]:2020/12/02(水) 20:41:51.75 ID:KaV0xIhhO
加藤純一(うんこちゃん) Youtubelive
リスナー制作
『アンダーテイル』リメイクゲーム
『加藤純一物語』配信
『視聴者が600時間かけて作りし
加藤純一TALEをやる』
(20:23〜放送開始)
https://youtube.com/watch?v=_OaV_qQsq0I
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/12/03(木) 01:50:29.02 ID:/sRc7TGbo
乙ー
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[age]:2020/12/04(金) 11:19:26.10 ID:KANWBNK5O
加藤純一(うんこちゃん) Twitch
APEX(PC) シーズン7
ランクマ Part24
『プラチナ1行きます』[プラチナU]
(7:10〜放送開始)
http://www.twitch.tv/kato_junichi0817
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/12/05(土) 07:40:18.01 ID:G4Ro6tBs0
期待
465 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:01:02.45 ID:bn13i2TRo
キール「今回の事件の唯一の当事者である初号機パイロットの直接尋問を拒否したそうだな、碇三佐」
シンジ「はい。彼女の情緒はとても不安定な状態です。今ここに立つことが良策とは思えません」
委員「では聞こう、代理人碇三佐」
委員「先の事件、使徒がわれわれ人類にコンタクトを試みたのではないのかね?」
シンジ「…分かりかねます。被験者の報告からはそれを感じ取れません。イレギュラーな事件だと推定されます」
委員「彼女の記憶が正しいとすればな」
シンジ「……記憶の外的操作は認められません」
委員「エヴァのACレコーダーは作動していなかった。確認はとれまい」
委員「使徒は人間の精神、心に興味を持ったのかね?」
シンジ「それは…。使徒に心の概念があるのか、人間の思考が理解できるのか、まったく不明ですので……返答できかねます」
466 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:02:07.42 ID:bn13i2TRo
委員「今回の事件には、使徒がエヴァを取り込もうとしたという新たな要素がある。これが予測されうる第13使徒以降とリンクする可能性は?」
シンジ「これまでの例から、使徒同士の組織的なつながりは否定されます」
委員「さよう。単独行動であることは明らかだ。これまではな」
シンジ「…それは、どういうことなのでしょうか?」
キール「君の質問は許されない」
シンジ「…はい」
キール「以上だ。下がりたまえ」
シンジ「はい」
キール「どう思うかね、葛城君?」
葛城「使徒は知恵を身につけ始めています。残された時間は…」
キール「後わずか、と言うことか」
467 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:03:16.44 ID:bn13i2TRo
看護師「12号室のクランケ?」
看護師「例のE事件の救急でしょ?ここに入院してからずいぶん経つわね」
看護師「なかなか難しいみたいよ、あの怪我」
看護師「まだ小学生なのに」
看護師「今日もきてるんでしょ、あの子」
看護師「そうそう。週2回は必ず顔出してるのよ、妹思いのいいお兄さんよねぇ」
看護師「ほんと?今時珍しいわね、あんな男の子」
468 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:04:05.38 ID:bn13i2TRo
葛城「リツコ、今日はいいのか?」
リツコ「はい。明日、綾波博士のところへ行きます。明後日は学校へ」
葛城「…学校はどうだ」
リツコ「問題ありません」
葛城「そうか…ならいい」
マヤ「起立、礼、着席!」
老教師「あ、ああ…今日の休みはいつもの赤木と、青葉か。後、今日は小池先生がお休みで、4時限目の現国が自習となります」
ミサト「青葉くん、どうかしたの?」
日向「さぁ…またどっかで路上ライブじゃないかな……あいつのことだし」
老教師「日向!」
日向「は、はい!」
老教師「後で、赤木にプリントを届けておくように」
日向「はい!」
469 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:05:19.06 ID:bn13i2TRo
トウジ「とにかく、第一支部の状況は、無事なんやな!?かまわん!計算式やデータ誤差はMAGIに判断させる!」
カヲル「消滅!?確かなのか!?第2支部が」
ケンスケ「はい、すべて確認しました。消滅です」
シンジ「…なんてこと……」
トウジ「上の管理部や調査部は大騒ぎ、総務部はパニックや!」
シンジ「それで、原因は?」
レイ「未だ分からず。手がかりはこの静止衛星からの映像だけで、後は何も残ってないの」
ヒカリ「10セコンド、8、7、6、5、4、3、2、1、コンタクト」
シンジ「……ひどい」
ヒカリ「エヴァンゲリオン四号機ならびに半径89キロ以内の関連研究施設はすべて消滅しました」
レイ「数千の人間を道連れにね」
シンジ「………」
470 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:06:12.30 ID:bn13i2TRo
ケンスケ「…タイムスケジュールから推測して、ドイツで修復したS2機関の搭載実験中の事故と思われます」
ヒカリ「予想される原因は、材質の強度不足から設計初期段階のミスまで、32768通りです」
シンジ「妨害工作の線も…あるか」
トウジ「せやけど爆発やなく消滅なんやろ?つまり、消えた、と」
レイ「多分、ディラックの海に飲み込まれたんでしょうね、先の初号機みたく」
シンジ「じゃあS2機関も?」
レイ「……夢は潰えたわね」
レイ「訳の分からないものを無理して使った…その報いね」
シンジ(…それはエヴァも同じだ……)
471 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:07:04.81 ID:bn13i2TRo
シンジ「…残った参号機はどうするの?」
レイ「ここで引き取ることになったわ。米国政府も第1支部までは失いたくないみたいね」
シンジ「そんな。参号機と四号機はあっちが建造権を主張して強引に作ってたんじゃないか!いまさら危ないところだけうちに押し付けるなんて、虫がよすぎるよ」
レイ「あの惨劇の後じゃ誰だって弱気になるわ…」
シンジ「…それじゃあ、起動試験はどうするの?例のダミーを?」
レイ「…これから決めるわ」
472 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:08:02.40 ID:bn13i2TRo
レイ「試作されたダミープラグです。赤木リツコのパーソナルが移植されています」
レイ「…ただ、人の心、魂のデジタル化はできません。あくまでフェイク、擬似的なものです」
レイ「パイロットの思考の真似をする、ただの機械です」
葛城「信号パターンをエヴァに送り込む。エヴァがそこにパイロットがいると思い込み、シンクロさえすればいい」
葛城「初号機と弐号機にはデータを入れておけ」
レイ「まだ問題が残っていますが」
葛城「…エヴァが動くことが先決だ」
レイ「はい…」
473 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:09:02.44 ID:bn13i2TRo
葛城「機体の運搬はUNに一任してある。週末には届くだろう」
葛城「後は君のほうでやってくれ」
レイ「はい。調整ならびに起動試験は、松代で行います」
葛城「…テストパイロットは?」
レイ「ダミープラグはまだ危険です。現候補者の中から、」
葛城「4人目を選ぶか……」
レイ「はい。一人、速やかに……コアの準備が可能な子供がいます」
葛城「…すまないな」
レイ「いいえ…」
レイ「……リツコちゃん?」
リツコ「…はい」
レイ「お疲れさま。もう上がっていいわよ」
リツコ「はい」
葛城「……」
474 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:10:02.45 ID:bn13i2TRo
マヤ「起立!礼!」
ミサト「さってぇと〜ご飯ご飯♪」
ミサト「…って、あら?」
マヤ「葛城さん……ずいぶん大きなお弁当ね」
ミサト「そ、そうよね、これは…」
加持「悪いな、葛城。玄関で取り違えちまったみたいだ」
ミサト「げっ」
加持「これで元通り、っと」
475 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:11:02.68 ID:bn13i2TRo
女子「お弁当の交換〜!?」
男子「イヤ〜ンな感じ〜!」
ミサト「ちっ、違うのよ!?これは…!」
女子「いいわよね〜、家ではシンジさん、学校では加持くん」
女子「どっちか譲りなさいよ〜!」
女子「どっちが本命なのよお!」
ミサト「やっ…やあねえ!そんなんじゃないわよ!」
日向「………」
476 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:12:03.26 ID:bn13i2TRo
シンジ「どうしたの?…改まって」
レイ「松代での参号機の起動実験、テストパイロットは4人目を使うわ」
シンジ「4人目?フォースチルドレンが見つかったの?」
レイ「昨日ね」
シンジ「…マルドゥック機関からの報告は受けてないよ」
レイ「正式な書類は明日届くわ」
シンジ「それで……選ばれた子って?」
レイ「……この子よ」
シンジ「……そんな、よりによって」
レイ「候補者を集めて保護してあるのだから…仕方ないわよ」
レイ「話しづらいでしょうけど……頼むわね」
477 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:13:03.31 ID:bn13i2TRo
シンジ「…加持くんや、リツコちゃんは大丈夫だと思う、エヴァに乗ることにプライドも持ってるし。でも…ミサトちゃんは…」
シンジ「加持くんやリツコちゃんとは、パイロットとして出会った、初めから戦闘員として。でも…今回は一般人…クラスメイトだ。今まで守っていた対象。それに…先の事件もある」
シンジ「一番エヴァに対する恐怖心が強いのはミサトちゃんだから……辛いんじゃないかな。誰かを巻き込むのは」
レイ「…これ以上辛い思いは、させたくない?」
シンジ「それは……もちろん」
レイ「でも、私たちにはそういう子供たちが必要なのよ、みんなで生き残るために」
シンジ「……分かってるよ」
レイ「あなたが弱気だと、全体の士気に関わるわ……頑張ってね、碇作戦部長」
シンジ「……」
シンジ「うん……」
478 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:14:02.53 ID:bn13i2TRo
男子「じゃぁな〜」
女子「明日ね〜」
マヤ「……日向くん、これ」
日向「? プリント?」
マヤ「赤木さんのよ。先生に頼まれてたでしょ?」
日向「ああ、赤木のか。ありがとう、わざわざ」
日向「……でも女の子の家に一人でってのは、ちょっとなぁ……」
マヤ「そ!それなら私が一緒に…!」
日向「葛城さん!…これから時間ある?」
マヤ「……」
ミサト「リツコの家?いいわよ」
479 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:15:03.28 ID:bn13i2TRo
ミサト「リツコ〜!入るわよぉ!」
日向「い、いいの? 黙って上がって…」
ミサト「いいのよぉリツコは。防犯意識ゼロなんだから」
日向「そ、そういう問題じゃ…」
ミサト「あら?リツコ?リツコ〜?いないみたいね…」
日向「なっ」
日向「なんだ、この部屋は!」
480 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:15:56.75 ID:bn13i2TRo
ミサト「……勝手にイジると、さすがのリツコも怒るんじゃない?」
日向「いいや。これは……放っておけないよ。ゴミだけでも片付ける…!」
ミサト「…マメねぇ……」
日向「……イメージと違ったよ。赤木って…もっと完ペキな奴かと」
ミサト「意外と抜けてるとこあるわよ?リツコって」
日向「へぇ…」
ミサト「…あら。噂をすれば」
リツコ「……何してるの?」
日向「ごめん、勝手に片づけたよ。ごみ以外は触ってない」
日向「それと、これ。休んでた間のプリント」
リツコ「あ…」
リツコ「ありがとう…」
481 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:17:15.86 ID:bn13i2TRo
ミサト「しっかし、意外だったわね〜。リツコが照れるなんて。珍しいもん見たわ」
日向「えっ?真顔じゃなかった?」
ミサト「チッチッチ〜よ!あの頬の赤みは照れよ、照れ!」
日向「そ、そうかな…」
ミサト「ま。私とリツコくらいの仲になんないと、分っかんないでしょおね〜」
日向「…葛城さん、変わったね。なんていうか…明るくなった」
ミサト「……」
ミサト「そうかもね。シンジさんや…みんなが支えてくれて。エバにも慣れてきたし…」
ミサト「ちょっとは変われた、かな…」
日向「……」
482 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:18:05.46 ID:bn13i2TRo
カヲル「街。人の作り出したパラダイスだね」
葛城「かつて楽園を追い出され、死と隣り合わせの地上と言う世界に逃げるしかなかった人類」
葛城「そのもっとも弱い生物が、弱さゆえ手に入れた知恵で作り出した自分達の楽園だ」
カヲル「自分を死の恐怖から守るため、自分の快楽を満足させるために自分達で作ったパラダイスか…」
カヲル「この街がまさにそれだね…自分達を守る、武装された街」
葛城「…敵だらけの外界から逃げ込んでいる臆病者の街だよ」
カヲル「臆病なほうが長生きできる。それでいいじゃないか」
カヲル「第三新東京市、ネルフの偽装迎撃要塞都市、遅れに遅れていた第7次建設も終わる。いよいよ、完成だね…」
483 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:18:59.16 ID:bn13i2TRo
カヲル「四号機の事故、委員会にどう報告するつもりだい?」
葛城「原因不明だ」
カヲル「事実の通り、か……。ここにきて、大きな損失だね…」
葛城「…S2機関のデータはドイツに残っている」
葛城「ここと初号機が残っていれば、ことは成せる…」
カヲル「どうかな…委員会は血相を変えていたよ」
葛城「……」
カヲル「死海文書にはない事件だ……ゼーレも、慌てて行動表を修正しているだろうね」
カヲル「……老人たちにはいい薬か…」
484 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:20:03.55 ID:bn13i2TRo
シンジ「アスカ!」
アスカ「あら、ネルフの作戦部長様が、息を切らしてなんのご用?」
シンジ「…地下のアダムとマルドゥック機関の秘密、教えてよ。…知ってるんでしょ?」
アスカ「……何の話よ?」
シンジ「とぼけないでよ!」
アスカ「…あんたバカ?ここをどこだと思ってんのよ…まず落ち着きなさい」
シンジ「…落ち着いてられないよ…!消滅した第2支部に、移設される参号機…」
シンジ「そして都合よくフォースチルドレンが見つかる……こんなのおかしいよ。誰かが、裏で…!」
アスカ「……」
アスカ「…これだけは言えるわ。マルドゥック機関は存在しない。影で操っているのは、ネルフそのものよ」
シンジ「ネルフそのもの…葛城司令が?」
アスカ「そ。…あとは自分でやんなさいよ。コード707」
シンジ「707…ミサトちゃんの学校?」
アスカ「ったく。こっちは命懸けだってのに…べらべら喋らせてくれちゃって」
アスカ「コーヒーくらい奢んなさいよね?」
485 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:21:00.98 ID:bn13i2TRo
ミサト「シンジさん…どこかしら。レイさんも携帯使えばいいのに……よりによって私に頼むなんて……」
ミサト「あれっ?加持くんと……リツコ…?」
アナウンス「第三管区の形態移行ならびに指向兵器試験は予定通り行われます。技術局3課のニシザイ博士、ニシザイ博士、至急開発2課までご連絡ください」
ミサト(……って、なんで隠れてるのよ私!!)
聞き耳を立てるミサト
486 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:22:02.72 ID:bn13i2TRo
加持「せっかくここの迎撃システムが完成するのに、祝賀パーティーの一つも予定されていないとは、ネルフってお堅い組織だねぇ」
リツコ「司令がああいう人だもの……」
加持「リッちゃんはどうなのかな?」
リツコ「私にそんな権限はないわ」
加持「君の気持ちが知りたいんだよ」
リツコ「人がたくさんいるのは…苦手」
加持「どうして?」
リツコ「分からないわ」
加持「人を寄せ付けないのは……悲しい恋をしたからかな?」
リツコ「なぜそう思うの」
加持「…涙の通り道にほくろのある人は…一生泣き続ける運命にあるからさ」
加持「ま…俺なら、そんな思いはさせないが」
487 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:23:02.45 ID:bn13i2TRo
ミサト「……………」
ミサト(なんだ…)
ミサト(私ばっかり本気だったのか………馬鹿みたい)
シンジ「あれ?ミサトちゃん」
ミサト「……シンジさん…」
シンジ「どうしたの?」
ミサト「あ……レイさんが…、明日からの出張の打ち合わせだって…シンジさんに」
シンジ「ああ…そっか。ありがとう」
ミサト「それじゃあ…」
シンジ「……?」
488 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:24:05.08 ID:bn13i2TRo
シンジ「ミサトちゃん、どうかしたのかな…」
アスカ「あんたホントに、鈍くてバカね」
アスカ「先いってなさいよ。こっちは私が渇入れとくから」
シンジ「ちょっと、あんまり手荒なマネは…」
アスカ「するわけないでしょ。いいから、行きなさいよ」
ミサト「……」
アスカ「ちょっとー!葛城ミサトっ!」
ミサト「…?」
アスカ「時間あるでしょ?付き合いなさいよ」
489 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:25:05.15 ID:bn13i2TRo
ミサト「……………」
アスカ「……ビクつくんじゃないわよ。取って食やしないわよ」
ミサト「…あの、どこ行くんですか……?」
アスカ「行けば分かるわ」
ミサト「……」
ミサト「なんですか?この、…草……?」
アスカ「ハーブよ!あんた何にも知らないのねぇ」
アスカ「シンジの作った料理に、時々乗ってるでしょ?パセリとかバジルとか」
ミサト「…シンジさんのために作ってるんですか?」
アスカ「べっつに。ただの趣味よ」
アスカ「でも…まぁそうね、あいつの料理、まあまあ悪くない味でしょ?こういうの持ってくと、喜ぶのよね…店で買ってるとバカにならないからって」
アスカ「だから!あたしはシンジに料理を作らせて、食べる!「自分のため」にやってんのよ!」
ミサト「自分の……ために」
490 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:26:02.21 ID:bn13i2TRo
アスカ「あんたはどうなのよ?」
ミサト「えっ」
アスカ「なんで乗ってるのよ?エヴァに」
アスカ「違うか。乗せられてんのね…あいつの口車に」
ミサト「そんな、シンジさんは!いつも優しくしてくれてます…!」
アスカ「あんたのためじゃないわよ?あいつは誰にでも優しいの、優しい自分が好きなのよ。「自分のため」にやってんのよ、あいつも」
アスカ「誰かのために…なんて思ってるなら、今すぐエヴァを降りるのね。押しつぶされて、その内自分を無くすわよ」
ミサト「私は……!」
ミサト「今いる場所を、失いたくないんです…シンジさんや、ネルフのみんな…加持くんや、リツコ…学校の友達も」
アスカ「………」
ミサト「エバに乗るのは恐い…だけど、みんなを…居場所を失いたくないから…!だから、誰かのためじゃない!…自分自身の望みのために、乗ってるんです…!」
アスカ「…上出来ね」
ミサト「え…?」
アスカ「誰かのためにやるってのは…聞こえはいいけど、心情的には見返りを求めるものよ。自分のためにやってることなら…やり遂げれば、それで満足できる」
491 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:27:01.94 ID:bn13i2TRo
アスカ「変なこと聞いて悪かったわね。…あんた向いてるわよ、エヴァのパイロットに」
ミサト「あ……」
ミサト「ありがとう、ございます…」
アスカ「バカ。お礼なんていらないのよ、こっちも「自分のために」やってんだから。あんたに潰れられたら後味悪いのよ」
ミサト「……ふふ、アスカさんって」
アスカ「なによ?」
ミサト「思ってたより、真面目ですね」
アスカ「……」
電話の音
アスカ「はい、もしもし」
アスカ「シンジからよ。今から、シンクロテストですって」
492 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:28:09.47 ID:bn13i2TRo
ヒカリ「プラグ深度は3.2で固定。L.C.L.濃度は現状を維持。ハーモニクスレベルはマイナス1.2、1.5、1.6、1.8、1.9、限界指数は0.2。 データはレベル3を消去。以下はMELCHIORに保存されます」
レイ「やはり間違いないわね…。ミサトちゃんのシンクロ率、落ちてきてる」
シンジ「どういう事?」
レイ「何とも言えないわ。ただ、先の事件のとき何かがあったんでしょうね。あるいは…精神的な問題が生じたか」
シンジ(アスカ…何か変なこと言ったのかな…?)
レイ「何か思い当たる?」
シンジ「いや……これでますます、参号機のパイロットの件、話しづらくなったなと思って…」
レイ「…本人には明日、正式に通達されるわよ」
シンジ「うん…」
493 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:29:02.10 ID:bn13i2TRo
マヤ「きりーつ、気を付け、礼!」
放送「2年Aクラスの日向マコト、日向マコト、至急、校長室まで」
日向「…何だ?」
青葉「なんかやったのか?お前」
日向「するわけないだろ」
ミサト「…?」
日向「日向マコト、入ります!」
レイ「……日向マコトくんね?」
494 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:30:02.33 ID:bn13i2TRo
マヤ「葛城さん、ちょっと…いい?」
ミサト「?」
ミサト「いいけど…」
マヤ「ごめんね。こんなとこに呼び出して。ちょっと気になることがあって…」
ミサト「気になることって?」
マヤ「エヴァ参号機のこと」
ミサト「……エバ参号機?」
マヤ「そう。アメリカで建造中だったっていう……完成したんでしょ?」
ミサト「…知らないわ。エバ参号機なんて…」
マヤ「…隠さなきゃならない事情も分かるけど、お願い、教えて!」
ミサト「ほんとに聞いてないのよ!」
495 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:31:02.79 ID:bn13i2TRo
マヤ「…じゃあ、松代の第2実験場で起動試験をやるって噂も知らないの……?」
ミサト「知らないわよ。何?松代でやるの?」
マヤ「そうらしいわ。…それでなんだけど、パイロットはまだ決まってないんでしょう?」
ミサト「分からないわよ、そんな…」
マヤ「私にやらせてほしいのよ!ねぇ、葛城さん。葛城さんからも頼んでくれない?シンジさんに。乗りたいのよ、エヴァに!赤木さんの…みんなの力になりたいの!」
ミサト「ほ、ほんとに知らないのよ…そんなこと言われても」
496 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:32:03.23 ID:bn13i2TRo
マヤ「じゃあ、四号機が欠番になったって言う話も?」
ミサト「何それ?」
マヤ「……ほんとにこれも知らないのね……。第2支部ごと消滅したって、母さんのところは大騒ぎだったのに」
ミサト「消滅…?」
マヤ「…跡形も残らなかったそうよ」
ミサト「…シンジさんからは、何も聞いてない…」
マヤ「……」
マヤ「ごめんね、変なこと聞いて。…でも、羨ましかったんだ……好きな人と、支え合えるのって…」
ミサト「好きな人?」
マヤ「な!なんでもない!それじゃ…!」
ミサト「………」
497 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:33:15.73 ID:bn13i2TRo
老教師「われわれはセカンドインパクトと言うこの世の地獄から再び立ち上がったのです。今、年々子供の数も減ってきています」
日向「遅れて、すいません…」
老教師「話は聞いてる。席に着きなさい。あー、これからの時代をになう君たち若い世代が…」
日向「………」
青葉「何だよ?そんなにこってり絞られたのか?」
日向「…別に。何でもない」
青葉「………?」
498 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:34:02.54 ID:bn13i2TRo
放送「下校の時刻です。教室に残っている生徒は、早く帰りましょう」
青葉「なんだ、帰らないのか?」
日向「当番だからな」
青葉「サボっちゃえよ。十分綺麗だろ?」
日向「お前じゃないんだよ…」
青葉「マメだねぇ…」
日向「……」
日向「…葛城さん、変わったよな」
青葉「ん?ああ…明るくなった」
日向「……」
青葉「おいおい、どうしたんだよ?」
日向「いや……最近、パイロット同士の絆…みたいなものを感じることがあってさ」
日向「加持……あいつも、いけすかないけど、葛城さんを支えてるんだよな…」
青葉「……」
499 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:35:03.42 ID:bn13i2TRo
青葉「なに弱気になってるんだよ、お前はお前だろ? そりゃ、赤木や加持みたいにはいかないさ」
青葉「お前のいいところで勝負していけよ。何を選ぶかは、葛城次第だろ?」
青葉「それに、だ」
日向「それに?」
青葉「諦めろったって、無理な話だろ?それなら無理矢理にでも、前向いて行くしかないじゃないか」
日向「……それも、そうだな…」
青葉「しっかりしろよ?」
日向「はは…まさかお前に説教される日がくるとはな」
青葉「…時々思うけど、お前って俺をなめてないか?」
日向「少しな」
青葉「おいおい」
日向「ははは」
500 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:36:02.60 ID:bn13i2TRo
加持「おっ…アスカ先輩」
アスカ「加持? 今忙しいから。用があるならそこで待ってて」
加持「…相変わらず仕事、仕事か。そんな調子で、シンジさんに愛想つかされないか心配だね…」
アスカ「馬鹿。子どもが大人の問題に首突っ込んでんじゃないわよ」
加持「どれどれ…」
アスカ「こら!」
加持「…………」
加持「…これは決定事項?」
アスカ「……明日、あんたたちにも正式に通達されるわ」
加持「…この人選の根拠は?」
アスカ「…根拠かどうかは知らないけど。こいつの妹が難しい怪我してて、その優先治療が約束されたそうよ、ネルフで…」
加持「……」
アスカ「ちょっと、加持!どこ行くのよ!」
501 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:37:02.79 ID:bn13i2TRo
ミサト「見返りを求めない、か……」
ミサト「私は…加持くんとどうなりたいのかしら…」
台所で奮闘するマヤ
マヤ「……、…!」
校庭で佇む日向
日向「……」
拾七話分終わり
502 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:41:02.26 ID:bn13i2TRo
加持「…よっ。ずいぶん早いな」
日向「……」
加持「時間はあるんだ…ちょっと遠回りしてかないか?」
日向「……」
日向「俺は男だぞ…?」
ミサト「あの、加持くんは…?」
シンジ「ああ、なんか用事があったみたいでね。朝早く出てったよ」
ミサト「…用事って?」
シンジ「さぁ…ミサトちゃんも聞いてないの?」
ミサト「いえ…」
シンジ「そうか…昨日帰ってきてからも元気なかったし…どうかしたのかな…」
ミサト(……リツコのとこかしら…)
503 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:42:02.70 ID:bn13i2TRo
ミサト「あの、」
シンジ「ところで、」
ミサト「あっ…」
シンジ「あはっ。いいよ先に」
ミサト「あの…四号機が欠番っていう噂、本当ですか?何か事故があって爆発したって」
シンジ「…うん、本当だよ。四号機はネルフ第二支部と共に消滅したんだ。S2機関の実験中に…」
ミサト「……」
シンジ「ごめんね。伝えるのが遅れて…でもここは大丈夫だよ?3体ともちゃんと動いてるし、パイロットもスタッフも優秀なんだから」
ミサト「…でも、アメリカから参号機が来るって。松代でやるって聞きました、起動実験」
シンジ「うん…ここは4日ほど留守にするけど、その間のことはアスカに頼んでるし、心配ないよ」
ミサト「でも実験は…」
シンジ「大丈夫だよ、ミサトちゃん。綾波も立ち会ってくれるんだし、それに…」
ミサト「パイロットは…?パイロットはどうなるんですか?」
シンジ「……」
504 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:43:02.70 ID:bn13i2TRo
シンジ「その、パイロットなんだけど…」
チャイムの音
ミサト「あっ、私がでます」
ミサト「えっ」
マヤ「おっおはようございます!今日は、シンジさんにお願いがあって来ました……!」
シンジ「えっ、え?」
マヤ「私を……私をエヴァンゲリオン参号機の、パイロットにしてください!」
シンジ「………」
505 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:44:02.09 ID:bn13i2TRo
レイ「じゃあまだミサトちゃんは知らないの?」
シンジ「なかなか言い出すきっかけがなかったんだよ…それに、最近なんだか少し暗いんだ、ミサトちゃん」
レイ「…父親役が板についてきたと思ったら、もう弱音?まだまだ先は長いのよ」
シンジ「それはそう…なんだけど…」
シンジ「それで……いつ呼ぶの?パイロット」
レイ「そうね…明日になるわ。準備もいろいろあるし」
シンジ「…日向くんが自分で言ってくれたりは、しないかな?」
レイ「……期待しないほうがいいわ。人に自慢するほど、喜んでなかったもの。入院中の妹を本部の医学部に転院させてくれっていうのが彼の出した例の条件だったのよ」
506 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:45:01.83 ID:bn13i2TRo
加持「……妹さんが、入院してるそうだな」
日向「……」
加持「良くないのか?」
日向「……関係ないだろ」
加持「…あるさ。これからはパイロット同士だ」
日向「!」
日向「知ってるのか……葛城さんは?」
加持「葛城はまだ知らない。恐らくな」
507 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:46:05.77 ID:bn13i2TRo
日向「……それで?降りろって言いに来たのか?悪いけど俺は…!」
加持「「覚悟はできてる」?」
日向「……! そうだよ」
加持「……」
加持「……はぁっ。どうにも……駄目だな。俺は」
日向「…?」
加持「いや……すまない。嫌味のつもりはないんだ、…ただ……」
加持「仲間が死ぬのは見たくない…」
日向「……!」
508 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:47:03.16 ID:bn13i2TRo
加持「パイロットになるかどうかは…それぞれが決めることだ。決めたんなら……俺にあれこれ言う資格はない」
加持「覚悟結構。死ぬ気でやらなきゃいけないのは事実だ…。全人類とパイロット、天秤はどうあっても人類に傾く」
加持「ただ俺個人としては……仲間に死なれると後味が悪い」
加持「それに……葛城も悲しむしな…」
日向「……!」
加持「それだけ、言いに来たんだ」
日向「……」
日向「…分かった」
加持「…ま。ただでさえ少ないパイロットだ、これからよろしく頼むよ」
日向「ああ…」
加持「……」
加持「…治るといいな、妹さんの怪我…」
日向「……?ああ…」
509 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:48:01.67 ID:bn13i2TRo
マヤ「あ〜!きっと変な子だと思われたわよね?でも、居ても立ってもいられなくて……シンジさん、上に掛け合ってくれると思う??」
ミサト「どうかしらねぇ…」
マヤ「予備としてでもいいから使ってくれないかしら。やる気ならあるのになぁ…」
ミサト「……あ、」
マヤ「ちょっと葛城さん、聞いてる?」
ミサト「聞いてる聞いてる」
ミサト(加持くん…私より先に出たはずなのに…)
教室の入口、笑いあう女子と加持
510 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:49:02.85 ID:bn13i2TRo
青葉「さーて、飯メシ…あれ?マコトは?」
男子「さっき出てったよ」
青葉「ふぅん……」
青葉(……)
リツコ「…日向くん」
日向「ああ……赤木か。どうしたんだ?こんなところで」
リツコ「……」
日向「……操縦のコツでも教えに来てくれたのか?…知ってるんだろ、俺が乗るって」
リツコ「ええ…」
日向「……知らないのは葛城さんだけか」
リツコ「そうなの?」
日向「たぶんな」
511 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:50:02.14 ID:bn13i2TRo
日向「……赤木ってさ」
日向「……死にそうになったことってあるか?エヴァに乗ってて」
リツコ「……」
日向「いや……ごめん、こんなこと聞いて。赤木ってパイロットになってもう長いんだろ?」
リツコ「ええ」
日向「……」
日向「加持にさ…言われたんだ、死ぬ覚悟はしていい……でも死ぬな、って……」
日向「無茶言うよな…赤木には分かるか?」
リツコ「……」
512 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:51:01.10 ID:bn13i2TRo
リツコ「……私が、死にそうになったとき、ミサトは泣いてたわ」
リツコ「……私は、人のために死ねればいいと、思ってたけど……」
リツコ「その時は、ミサトを悲しませたくないと思った」
リツコ「だから、加持くんの言ってることは…分かるわ」
日向「……」
日向「はは…葛城さんはみんなに愛されてるんだな…」
リツコ「? あなたもでしょ…?」
日向「…!」
日向「その通りだ…」
日向「よろしく頼むよ、これから」
教室の窓から、マヤ
マヤ「………」
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