シンジ「君が、葛城ミサトちゃんだね」

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312 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:40:11.75 ID:pkrsX4Fxo
加持「じゃあ確認だ」

加持「葛城がオフェンス、赤木がバックアップ、俺は守りに徹する」

ミサト「…分かった」

リツコ「了解」



加持「それじゃあ、いくぞっ!」


ミサト「リツコっ!」



ミサト「! 加持くん、よけてっ!」


加持「うぐっ、ぅ…!」



加持「……惚れ直しただろ…?」


ミサト「馬鹿……無理しちゃて」
313 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:41:02.05 ID:pkrsX4Fxo
加持「じゃあ確認だ」

加持「葛城がオフェンス、赤木がバックアップ、俺は守りに徹する」

ミサト「…分かった」

リツコ「了解」



加持「それじゃあ、いくぞっ!」


ミサト「リツコっ!」



ミサト「! 加持くん、よけてっ!」


加持「うぐっ、ぅ…!」



加持「……惚れ直しただろ…?」


ミサト「馬鹿……無理しちゃて」
314 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:42:04.17 ID:pkrsX4Fxo
ガンッ ガンッ ガンッ

アスカ「も〜ぅ、何で開かないのよ〜!非常事態なのよ〜!はぁっ、もう、もれちゃう!こら、もう!上見るな、って言ってるでしょ!」

シンジ「あ…アスカ!暴れないでよ、重いんだから…!」

アスカ「ぬわんですって!?」

シンジ「わっ、わ、わあっ!」ガタン


レイ「……」

ヒカリ「…不潔…!」
315 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:43:02.49 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「電気…人工の光が無いと、星がこんなにきれいだなんて、皮肉なもんね」

加持「葛城は星が好きなのか?」

ミサト「んー? 最近は、ちょっちね…」

加持「ロマンチストだな…俺はどうも暗闇が落ち着かない」

ミサト「………」

加持「光があったほうが……」

リツコ「…人は闇を恐れ、火を使い、闇を削って生きてきた」

加持「おっ、なんかの詩かい?」

リツコ「習ったの。綾波博士から…」
316 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:44:02.42 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「続きは?」

リツコ「分からない…」

ミサト「そう…」

加持「……作ればいいさ」

加持「人がこの先、何を使い、どうやって生きていくのか…」

ミサト「…まずは「生」を掴み取らないとね」

加持「その通り」

リツコ「……負けないわ」

加持「ああ。負けないさ、俺たちは」




拾壱話分終わり
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/28(土) 14:48:02.95 ID:1oBntmVXo
加持さんアンタ自分が中学生って自覚無いだろ…
318 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:51:39.76 ID:pkrsX4Fxo
シンジの過去。南極で起きた爆発


シンジ「…母さん…?」

ユイ「……」



シンジ「……」
319 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:52:35.81 ID:pkrsX4Fxo
青葉「悪いな、葛城。雨宿りさせてもらって」

日向「……シンジさんは…?」

ミサト「うーん、まだ寝てるかも。最近徹夜の仕事が多いみたいで…」

日向「…そっか」ホッ


加持「残念。俺がいるよ」

日向「」

加持「雨宿り、って口実も悪くはないが。アプローチするんならもっと相手に「特別」を意識させないとな?」サワッ

ミサト「ちょっと!ふざけないでよっ」バシッ

加持「あたた…」

青葉「はは…」

日向「……………」
320 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:53:23.56 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「あれっ? 青葉くんに、日向くん」

青葉「すいません、雨宿りで」

日向「お邪魔してます」

シンジ「そっか…外雨降ってるのかぁ…」

ミサト「もう出るんですか?」

シンジ「うん。今日はちょっとね…2人とも、今夜はハーモニクスのテストがあるから、遅れないようにね」

ミサト「はい…」

加持「了解」

シンジ「じゃあ、いってきます」

ミサト「いってらっしゃい」
321 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:55:23.76 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「………」

日向「…どうかした?葛城さん」

ミサト「いや…シンジさんの服、いつもと違ったような…」

青葉「ええ?同じだったろ」

ミサト「襟のところの線が、二本になってたような…」

加持「へえ。そりゃすごいな、シンジさん」

青葉「なんだ?なんか違うのか?」

加持「そりゃ、襟章の線が2本になってたんなら、一尉から三佐に昇進したってことだからな」

ミサト「そうなんだ…」

加持「…どうした?まだ何か気になることが?」

ミサト「…シンジさん、全然嬉しそうじゃなかったな、って…」

青葉「…きっと忙しかったんじゃないか?徹夜続きだって話だし」

日向「どうだろうな…あの若さで三佐なら、プレッシャーも大きいだろうし」

加持「ま、ともあれ目出度いことだ。サプライズパーティでも開くか?」

ミサト「……」
322 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:56:01.27 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「0番2番、ともに汚染区域に隣接。限界です」

レイ「1番にはまだ余裕があるわね……プラグ深度を後0.3下げてみて」


ヒカリ「汚染区域ぎりぎりです」

レイ「それでもこの数値……凄いわね…」

ヒカリ「ハーモニクス、シンクロ率も加持くんに迫ってますね」

レイ「……才能ね…」

オペレータ「まさに、エヴァに乗るために生まれてきたような子供ですね」

シンジ「…………」
323 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:57:16.60 ID:pkrsX4Fxo
レイ「3人ともお疲れさま」

レイ「特に…ミサトちゃん」

ミサト「えっ?」

レイ「ハーモニクスが前回より8も伸びてる。とても良い数字よ」

ミサト「いえっ…そんな…まだまだです…!」

加持「そんなことないさ!10日で8だろ。たいしたもんだよ」

レイ「その通りよ。もっと自信を持って」

ミサト「は、はぁ…」

加持「じゃあ俺は「準備」があるから。お先に!」
324 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:58:10.77 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「あ、あの、シンジさん……昇進おめでとうございます」

シンジ「はは…気付いてたの。ありがとう、嬉しいよ」

ミサト「………本当に嬉しい、ですか?」

シンジ「…!…はは…ダメだな。ミサトちゃんには敵わないや」

シンジ「…本当言うとね、複雑だよ…僕自身、何をしたってわけじゃないんだ。ただ流れに身を任せただけ…」

シンジ「目的はある。でもそれも最近は忙殺されて……遠いんだ。…何やってるんだろうって…疑問に思うこともある」

ミサト「…あの、疑問って…?」

シンジ「…(君たちを、エヴァに乗せてること…)」

ミサト「……?」

シンジ「いや…いいんだ。ごめんね、心配かけちゃって」

シンジ「僕がこんなじゃ、失礼だよね。勇気を持って乗ってくれてるミサトちゃんに対して。他のみんな…加持くんや、リツコちゃんにも……」

ミサト「……」(シンジさん…)
325 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:59:11.60 ID:pkrsX4Fxo
ミサト・日向・青葉・加持・マヤ「おめでとうございまーす!」

シンジ「ありがとう…わぁ、すごい。よくこんなに作れたね」

加持「クラスに凄腕の先生がいてね。ご教授いただいたんだ」

マヤ「す…凄腕ってわけじゃ…」


シンジ「…こ、これは…?」

ミサト「そ、それは…わたしが」

青葉「みっ見た目じゃないよなあ!?料理はなぁ!?」

日向「そ、そうさ!旨いんだから!問題ないよ!」

シンジ「ぱくっ」

ミサト「…!」

シンジ「…ありがとう、ミサトちゃんも。おいしいよ」

ミサト「……いえ!そんな…」カァ
326 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:00:12.35 ID:pkrsX4Fxo
リツコ「……私は作戦会議だと聞いたのだけど」

加持「…親睦を深めるってのも作戦のうちさ。それに、祝いの席には華が多い方がいいだろ?」

リツコ「花?」

マヤ「あっ赤木さん!よかったらこのスープ…」

リツコ「…いただくわ」


ミサト「それにしても…アスカさん遅いわね」

シンジ「!? ごほっ、あっ、アスカもくるの!?」

加持「誘ってはみたんですけどね。最近忙しいみたいで、色々と」

シンジ「………」
327 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:01:03.57 ID:pkrsX4Fxo
マヤ「アスカさんってどんな人なの?」

青葉「顔はいいよ…顔はね」

日向「性格がな…」

シンジ「あはは…」

加持「顔で渡ってこれる世界じゃない。腕は確かさ。でもまぁ……当たりが強いのは、感情の裏返しだろうな」

ミサト「裏返し?」

加持「…好きでも素直になれないってこと。俺はストレートに表現してるけどな?」サワッ

ミサト「ちょっと!やめてったら!」

加持「つれないなぁ」

日向「………」ムカムカ

青葉「…祝いの席だぞ、一応…」

マヤ「加持くんと葛城さんってやっぱり…そうなの?」

ミサト「違うわよぉ!全然!!そんなんじゃないから!!!」

シンジ「あはは」
328 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:02:21.21 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「……ミサトちゃん、最近表情が豊かになったね」

ミサト「す、すいません…はしゃいじゃって…」

シンジ「謝ることなんてないよ、嬉しいんだ。ミサトちゃんが笑ってくれて」

ミサト「え…」

シンジ「みんなが笑ってくれて。昇進自体に思うところがないわけじゃないけど、こうやってみんなが集まって……なんて言うのかな、僕のために喜んでくれることが、嬉しい…」

ミサト「…わかります」

シンジ「……」

ミサト「…私も、エバには乗りたくないけど……みんなが、応援してくれるから…」

シンジ「…ミサトちゃん…」

ミサト「大切なんです、きっと」
329 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:03:40.82 ID:pkrsX4Fxo
加持「おっ、先輩かな?」


加持「先輩。よく来れましたね?」

アスカ「本部から直。仕事の虫もついでだから連れてきたわよ」

レイ「おじゃまします…」

シンジ「…あ、いらっしゃい…」

アスカ「なーによちったあ嬉しそうにしなさいよー?せっかく進展を手伝ってやろうってのに」

シンジ「そっそんなこと頼んでないだろ!」

レイ「碇くん、この度は昇進、おめでとう」

シンジ「あっ綾波…ありがとう。ごめんね、忙しいのに…」

レイ「いいの…きりのいいところだったから」

アスカ「あたしもすごぉ〜く忙しかったんですケド?」

シンジ「アスカは普段サボってるからだろ」

アスカ「ぬゎ〜んですってえ!??」

加持「こりゃ一番やっかいなのはシンジさんかもな…」
330 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:04:22.25 ID:pkrsX4Fxo
アスカ「はぁ〜あ!無敵のシンジ様は?昇進でお偉くなられたようで!これからは私たち敬語をつかうべきかしらねえ〜?」

シンジ「そ、そういうのやめてよ…」

レイ「…でも、司令と副司令がそろって日本を離れるなんて、今までなかったことだわ。それだけ碇くんを信頼してるってこと…」

アスカ「ちょっとレイ!!こいつを調子に乗らすんじゃないわよ!」



ミサト「…お父さん、ここにいないんですか?」

レイ「葛城司令は今、南極に行ってるわ」
331 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:05:36.61 ID:pkrsX4Fxo
カヲル「いかなる生命の存在も許さない、死の世界、南極…」

カヲル「いや、地獄というべきかな?」

葛城「……我々はまだここに立っている。人類として、生物として生きたまま」

カヲル「科学の勝利といいたいのかい?」

葛城「傲りだよ……だが全滅は免れた」

カヲル「…15年前の悲劇、セカンドインパクト……それを引き起こした人間の罪、か…」

カヲル「だがもう罰は十分に与えられた。目下の死海もそう、人々の心にも…」

葛城「まだだ。人は背負うべき業を負った。…やつらは、浄化された世界を望んでいる」

カヲル「…未だ赦されず、か…。赦されぬと分かったとき、はたして罪人は頭を垂れたままでいるかな…?」



オペレータ「報告します。ネルフ本部より入電。インド洋上、空衛星軌道上に使徒発見」
332 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:06:21.85 ID:pkrsX4Fxo
トウジ「二分前に突如出現」


オペレータ「第6サーチ、衛星軌道上へ」

オペレータ「接触まで後2分」

ケンスケ「目標を映像で捕捉」

職員「おおっ…」

トウジ「なんじゃこりゃあ…」

シンジ「……!」

ケンスケ「目標と、接触します」

オペレータ「サーチスタート」

オペレータ「データ送信、開始します」

オペレータ「受信確認」



シンジ「…A.T.フィールド?」

レイ「……今までにない使い方ね」
333 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:07:03.64 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「……これだけの質量を…」

ヒカリ「落下のエネルギーをも、利用しています。使徒そのものが爆弾みたいなものです」

レイ「…初弾は太平洋に着弾。2時間後の第2射がそこ。…後は確実に誤差修正してる」

シンジ「学習してるのか…」

トウジ「N2航空爆雷も、効果なしや」

ケンスケ「以後、使徒の消息は不明」

シンジ「…次は、多分…」

レイ「来るわね、ここに」

シンジ「被害予想範囲は?」

レイ「富士五湖が一つになって、太平洋とつながる。本部ごとね」

シンジ「葛城司令との連絡は?」

ケンスケ「使徒の放つ強力なジャミングのため、連絡不能」

シンジ「MAGIの判断は?」

ヒカリ「全会一致で撤退を推奨しています」

シンジ「………」
334 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:08:00.32 ID:pkrsX4Fxo
レイ「……碇三佐、今の責任者はあなたよ」

シンジ「……日本政府各省に通達。ネルフ権限における特別宣言D-17。半径50キロ以内の全市民は直ちに避難。松代にはMAGIのバックアップを要請」

トウジ「ここを放棄するんか?」

シンジ「そうなるかもしれない。でも、その前に……考えがある」



放送「政府による特別宣言D-17が発令されました。市民の皆様は速やかに指定の場所へ避難してください」

放送「第6、第7ブロックを優先に、各区長の指示に従い、速やかに移動願います」

放送「市内における避難はすべて完了」

放送「部内警報Cによる、非戦闘員およびD級勤務者の待避、完了しました」
335 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:09:05.41 ID:pkrsX4Fxo
レイ「普段のあなたからは考えられない、危険な賭ね」

シンジ「……賭にも、なってるかどうか…」

リツコ「勝算は0.00001%……本当にやるの?」

シンジ「綾波は…反対…?」

レイ「いいえ、従うわ…碇くんがそう言うなら」

シンジ「……」

シンジ「……アスカなら…とめに入ったかな…?」


レイ「……あんたバカ?」

シンジ「…え?」

レイ「彼女ならそう言ったかも。ただ……確率で言うなら…人類には滅ぶ道のほうが多い」


レイ「アスカも…最終的には奇跡に賭けたはず」


シンジ「そっか…」
336 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:10:03.23 ID:pkrsX4Fxo
レイ「………」

レイ「あなたを変えたのは……、あの子…?」

シンジ「え…?」

レイ「サードチルドレン…葛城ミサト…」


シンジ「…そうかもしれない。僕は使徒を恨んでた。失ったものを追いかけて…でも今は…違う気がするんだ」

シンジ「…今はもうこの手に「ある」から…だから失いたくない」

レイ「碇くん…」

シンジ「もう誰にも、失ってほしくないんだよ」
337 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:11:01.93 ID:pkrsX4Fxo
加持「手で」

ミサト「受け止める!?」

リツコ「……」


シンジ「そう。観測上最大級の使徒がA.T.フィールドを張ってここに落下してくる……。対抗できるのはA.T.フィールドを持つエヴァ三機だけ」

シンジ「ただ…予測される軌道、衝撃、何もかもが未知数なんだ。無理強いはしないよ、やめたければ…」


加持「……これが作戦といえるのか?」

シンジ「えっ」

加持「先輩なら、そう言ったかもな。でも俺はそういうの、嫌いじゃない」

加持「こちとら何千の候補から選ばれた「チルドレン」…」

加持「勝利の女神も、微笑ませてみせるさ」


シンジ「加持くん…」
338 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:12:04.27 ID:pkrsX4Fxo
リツコ「……私も、やります」

シンジ「リツコちゃん」

リツコ「ここがなくなると困るもの」

ミサト「わ、私も…!」

ミサト「みんなを…!守りたいから」

シンジ「……ミサトちゃん」

加持「勝利は確定だな。すでに女神が二人ついてる」

ミサト「すぐふざけるんだから…」

リツコ「……」

シンジ「…ふふ」
339 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:13:11.54 ID:pkrsX4Fxo
加持「……規則だっていう「家族・友人への手紙」、書いたか?」

ミサト「ぜーんぜん」

リツコ「書いてないわ」

加持「だよなぁ…こりゃ、まんま遺書だもんな」

ミサト(なぜだろう……おじさんの家では…出せなかった手紙が…お父さんに対する、怒りが…山ほどあったはずなのに…今は何て書けばいいのか…)トン…トン…

ペンを迷わせるミサト

ミサト「……不思議」


加持「? なにか言ったか?葛城」

ミサト「ううん…加持くん、リツコ」

ミサト「絶対に奇跡を起こしましょう、…この手で」

加持「…おう!」

リツコ「ええ…」
340 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:14:04.87 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「使徒による電波撹乱のため、目標を喪失」

シンジ「正確な位置の測定ができないけど、ロスト直前までのデータから、MAGIが算出した落下予想地点が…これ」

加持「あちらさんの攻撃範囲ってわけか」

ミサト「こんなに広く…これじゃ、エバ三体でも…」

レイ「目標のA.T.フィールドをもってすれば、そのどこに落ちても本部を根こそぎえぐることができる」

シンジ「うん。だからエヴァ全機はこれら三個所の配置についてもらう」

リツコ「この配置の根拠は?」

シンジ「……勘、かな……はは……」

ミサト・加持「……カン?」

リツコ「……」

シンジ「確率の高い場所、というのがないんだ……どの地点にも落下しうる」

加持「……はは。こうも運頼みだと笑えてくるな」

加持「なーに。大丈夫さ、きっとなんとかなる。なんとかなったら……その時は碇三佐殿、奮発して頼みますよ?」

シンジ「ありがとう……約束するよ」
341 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:15:01.16 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「ねぇ」

加持「うん?」

ミサト「なに見てるの?」

加持「……3つ星レストランのパンフレット」

ミサト「……加持くんって、図太いわよね。神経が」

加持「胆が据わってるって言ってくれよ…死ぬときのこと考えたってしょうがないだろ?」

ミサト「そりゃそうだけど…」

加持「…生きているんだから、楽しまなきゃな」

ミサト「……加持くんは…どうしてエバーに乗ってるの?」

加持「……自分のためだな。生きている自分のため」

ミサト「そう……」
342 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:16:04.24 ID:pkrsX4Fxo
加持「……おっ、この海鮮料理なんてどうだ?珍しいし」

ミサト「…私は…シンジさんの手料理のほうが…」

加持「……」

ミサト「…あ」

加持「妬けるねえ…」

ミサト「そ! そういうのじゃないわよ!バカ!」
343 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:17:10.81 ID:pkrsX4Fxo
オペレータ「落下予測時間まで、後120分です」

シンジ「みんなも避難して。ここは僕一人でいいから」

ケンスケ「なーに言ってんだよ碇」

トウジ「子供らぁとセンセーだけ残して行けるわけないやろ!」

シンジ「はは…僕は、ダメかもしれないけど、ミサトちゃん達にはA.T.フィールドがあるから…」

トウジ「アホゥ!尚更や!」

ケンスケ「ネルフ期待の作戦部長様を死なすわけにはいかないだろ?あと人類もね」

ヒカリ「私たちもできることはやっておきたいのよ……最後まで」

シンジ「みんな…」
344 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:19:52.14 ID:pkrsX4Fxo
(回想)

夕暮れの街を見下ろすミサト、シンジ。

ミサト「シンジさん…」

シンジ「…なに?」

ミサト「昨日…シンジさんが言ってた…ネルフにいる目的、って…なんですか」

シンジ「そうか…昨日は話さずじまいだったね」


シンジ「僕の両親はね、研究者だったんだ。僕の身代わりになって死んでしまった…」

シンジ「不器用な人だった…父さんは、いつも言葉が足らなくて。でも…母さんが笑っていたから、憎めなかった」

シンジ「幸せだったよ。…泣いてばかりだった僕を、母さんはよく研究室に連れていってくれた」

シンジ「…愛されている気がした。たぶん気のせいじゃない…。心地よかった。敬愛する両親、その仲間からの称賛が誇らしかった」
345 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:21:17.09 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「でも…」

シンジ「一夜にしてすべて失った。家族も…生きる希望も」

シンジ「セカンドインパクトの……直後の記憶はあまりない。ただ亡霊のようになってしまった自分と、反芻する母さんの言葉……「生きてさえいれば」と……それだけ」

シンジ「母さんの言葉通り、また希望と出会った。…父さんに似て不器用で、母さんのように聡明な人だった。愛しかった。でも、いつからか…」

シンジ「想像の中の、彼女を愛しているんだと気づいたんだ。目の前の彼女じゃなく…!」

シンジ「僕は誰も愛してなかった。すべて過去の、「あの頃」を準えているにすぎない」

シンジ「そう思えてからは遠ざけた、人も、自分の心も……何が悪いのか分からなくて」

シンジ「…使徒を恨んだ。僕の人生を狂わせた使徒を」

シンジ「使徒を倒さなければ、二度と現実の理想は語れない、って」


シンジ「そう思い込もうとしてたんだ…」

ミサト「…シンジさん…」
346 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:22:28.53 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「でも今は…違うと思う」

シンジ「ミサトちゃん…」

ミサト「……!」

シンジ「僕もきみが大切だよ」

シンジ「加持くんに、リツコちゃん…ここにいるみんな…、過去の何とも重ならない「今」が…!」



シンジ「だからネルフで迎え撃つ、人類の敵…使徒を」



ミサト「………」

ミサト(大切だから…「守る」)

ミサト(逃げるんじゃなく、「迎え撃つ」)

ミサト(「奇跡」を……起こす…!)
347 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:23:32.65 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「目標を最大望遠で確認!」

トウジ「距離、およそ2万5千!」

シンジ「…エヴァ全機、スタート位置!」

シンジ「目標は光学観測による弾道計算しかできない。MAGIによる距離1万までの誘導ののちは、各自の判断で行動。これが現時点で出せる指示のすべて…」

加持「へへ…腕の見せどころ、ってね」


ケンスケ「使徒接近、距離、およそ2万!」

シンジ「……作戦開始!」

ミサト「行きます!」

加持・リツコ「…」

ミサト「……スタート…っ!」
348 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:24:13.51 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「距離、1万2千!」

ミサト「フィールド、全開!」

ミサト「うっ、ぐ、うう…っ」

リツコ「弐号機、フィールド全開!」

加持「まかせろっ!」

ミサト「…今!」

加持「でやあああっっっ!」


使徒撃破


加持「………ははっ……命あったか……」
349 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:25:02.46 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「電波システム、回復。南極の葛城司令から、通信が入っています」

シンジ「繋いで」

ケンスケ「了解」

シンジ「申し訳ありません。自分の勝手な判断で、初号機を破損してしまいました。責任はすべて自分にあります」

カヲル「……構わないよ。使徒殲滅がエヴァの使命……君たちも無事で良かった。幸運を引き寄せたね」

シンジ「いえ…それは子どもたちが…」

葛城「よくやってくれた、碇三佐」

シンジ「ありがとうございます」
350 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:26:01.23 ID:pkrsX4Fxo
葛城「……初号機のパイロットはいるか?」

ミサト「は、はい…!」

葛城「…よくやったな、ミサト」

ミサト「えっ………はい…」

葛城「では碇三佐、後の処理は任せる」

シンジ「はい!」




加持「さぁシンジさん、お約束のディナーだ」

シンジ「ふふ、こう見えて貯金はあるんだ。どこのお店にするか決まった?」

加持「それがね……」
351 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:27:03.09 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「あはは…こんなのでいいなら、いつでもご馳走するのに」

加持「葛城たっての希望でね。それにリッちゃんもこのほうが好きなものを選んで食えるし」

リツコ「…おいしい」

シンジ「はは、たくさん食べてよ、まだあるから」

葛城「……なによ、「リッちゃん」って…」

加持「…砕けた愛称のほうが、氷の美少女に微笑えんでもらえるかと思ってね。妬いたかい?」

葛城「ばーか。…私は見たことあるわよ?リツコの笑顔〜」

加持「なんだって?いつ?」

葛城「おしえな〜い!ねっ?リツコ」

リツコ「このポテトサラダ…おいしいわ」

シンジ「あはは」
352 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:28:01.75 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「…ねぇ、シンジさん…」

シンジ「なに?」

ミサト「……私のお母さんは…泣いてばかりいたの。お父さんと喧嘩して。…泣くお母さんも泣かせるお父さんも嫌だった…」

シンジ「うん…」

ミサト「でも、今は……お父さんは不器用だったんじゃないか、って。……シンジさんのお父さんと同じように」

ミサト「そう思う……そう、思える…」


シンジ「そう……」

加持「……」
353 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:29:03.10 ID:pkrsX4Fxo
加持「多少口下手でも、あの顔だ。女性のほうが放っとかなかったんじゃないか?」

ミサト「なに?」

加持「喧嘩の理由だよ」

ミサト「真面目に話してるのよ?」

加持「こっちだって真面目さ。ポーカーフェイスはモテるからな」

リツコ「……私は見たことあるわ、葛城司令の笑顔」

ミサト・加持・シンジ「えっ…」






拾弐話分終わり
354 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:30:06.26 ID:pkrsX4Fxo
続きは明日
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2020/11/28(土) 20:09:56.48 ID:qtT08rykO
加藤純一(うんこちゃん) ニコ生

焼きそば食いながらおもろそうなゲームを探す枠
+懐かしのアニソンを聴く枠
(17:54〜放送開始)


https://live.nicovideo.jp/watch/lv329251183
356 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:01:01.51 ID:48W6ECl6o
オペレータ「エヴァ三体のアポトーシス作業は、MAGI-SYSTEMの再開後予定通り行います」

オペレータ「作業確認。450より670は省略」

トウジ「発令所、承認」

レイ「さすが洞木さん、早いわね」

ヒカリ「それはもう。綾波博士直伝ですから」

レイ「…あ、待って、そこ。A8の方が早いわ。ちょっと貸して」

ヒカリ「…さすが、東洋の三賢者の弟子……」
357 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:02:02.85 ID:48W6ECl6o
シンジ「MAGIの診察は順調?」

レイ「大体ね。今日のテストには間に合わせるわ」

シンジ「ごめんね…急がせて。同じ物が3つもあって、大変なのに」

レイ「ちゃんと休憩は取ってるわ。ご心配なく」

シンジ「どうだかなぁ……この紅茶、冷めてるじゃないか」

レイ「そうね…いれ直さなきゃ。碇くんも飲む?」

シンジ「綾波は座ってなよ。僕がいれてくるから」

レイ「………」

レイ「ありがとう…」
358 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:03:09.50 ID:48W6ECl6o
オペレータ「MAGI-SYSTEM、再起動後、自己診断モードに入りました」

ヒカリ「第127次、定期検診異常無し」

レイ「了解。お疲れさま。みんな、テスト開始まで休んでちょうだい」




レイ「不思議ね…歳を取っているはずなのに」

レイ「ちっとも変わった気がしない…」

レイ「可笑しいと思うでしょう?……先生」
359 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:04:03.62 ID:48W6ECl6o
ミサト「…うげぇ。また無菌室…?」

レイ「ごめんなさいあなたたち。ここから先は超クリーンルームなの。17回ほど垢を落としてもらうことになるわ」

ミサト「じゅ、17回ィ!?」

レイ「時間はただ流れているわけじゃない…エヴァのテクノロジーのためなのよ。新しいデータは常に必要なの…こらえてちょうだいね」

ミサト「……は〜い」




ミサト「17回は…やっぱ…」

加持「きついな…」

リツコ「……」
360 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:05:12.77 ID:48W6ECl6o
レイ「お疲れさま。では3人とも、この部屋を抜けてその姿のままエントリープラグに入ってちょうだい」

ミサト「ええっ!?このまま!?」

レイ「大丈夫。映像モニターは切ってあるから…プライバシーは保護してるわ」

ミサト「何も着ちゃだめなんですか…?」

レイ「このテストは、プラグスーツの補助無しに、直接肉体からハーモニクスを行うのが趣旨なのよ」

シンジ「ごめんね、ミサトちゃん」

ミサト「しっシンジさん!?そこにいるんですか!???」

レイ「……隠さなくても、映ってないわよ」
361 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:06:06.77 ID:48W6ECl6o
オペレータ「各パイロットエントリー準備完了しました」

レイ「テストスタート」

オペレータ「テストスタートします。オートパイロット、記憶開始」

オペレータ「シミュレーションプラグを挿入」

オペレータ「システムを、模擬体と接続します」

ヒカリ「シミュレーションプラグ、MAGIの制御下に入りました」

シンジ「すごい、早い…!嘘みたいだね。初実験のときは一週間もかかったのに」

オペレータ「テストは約3時間で終わる予定です」
362 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:07:08.26 ID:48W6ECl6o
レイ「気分はどう?」

リツコ「…何か違うわ」

ミサト「う〜ん、何か変な感じ」

加持「なんというか…右腕だけはっきりして、後はぼやけた感じなんだ」

レイ「リツコちゃん、右手を動かすイメージを描いてみて」

リツコ「はい」

オペレータ「データ収集、順調です」

レイ「問題はないようね…MAGIを通常に戻して」


レイ「ジレンマか…作った人間の性格が伺えるわね」

シンジ「? それって、綾波のってこと?」

レイ「…いいえ…私はシステムアップしただけ。基礎理論と本体を作ったのは、先生なのよ」

シンジ「……赤木、ナオコ博士か…」
363 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:08:01.27 ID:48W6ECl6o
カヲル「確認しているんだね?」

ケンスケ「ええ、一応」

ケンスケ「3日前に搬入されたパーツです。ここですね、変質しているのは」

カヲル「第87蛋白壁か…」

ケンスケ「拡大するとシミのようなものがあります。何でしょうね、これ」

トウジ「浸蝕やないか?温度と伝導率が若干変化しとるし。無菌室の劣化はよくあることや」

ケンスケ「工期が60日近く圧縮されてますから。また気泡が混ざっていたんでしょう。杜撰ですよ、B棟の工事は」

カヲル「…あそこは、使徒が現れてからの工事だったか…」

トウジ「無理ないわ、みんな疲れとるからな」

カヲル「…明日までに処理しておいてくれ。司令に知れるとうるさいからね」

トウジ「了解」
364 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:09:04.46 ID:48W6ECl6o
レイ「また水漏れ?」

ヒカリ「いえ、浸蝕だそうです。この上の蛋白壁」

レイ「…テストに支障は?」

ヒカリ「今のところは何も」

レイ「では続けて。このテストはおいそれと中断するわけにいかないわ」

ヒカリ「了解」

ヒカリ「シンクロ位置、正常」

オペレータ「シミュレーションプラグを模擬体経由でエヴァ本体と接続します」

オペレータ「エヴァ零号機、コンタクト確認」

オペレータ「A.T.フィールド、出力2ヨクトで発生します」
365 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:10:01.87 ID:48W6ECl6o
エラー音。

レイ「どうしたの?」

オペレータ「シグマユニットAフロアに汚染警報発令」

オペレータ「第87蛋白壁が劣化、発熱しています」

オペレータ「第6パイプにも異常発生」

ヒカリ「蛋白壁の浸蝕部が増殖しています。爆発的スピードです!」

レイ「実験中止、第6パイプを緊急閉鎖!」

ヒカリ「はい!」

オペレータ「60、38、39、閉鎖されました!」

オペレータ「6の42に浸蝕発生!」

ヒカリ「だめです、浸蝕は壁伝いに進行しています!」

レイ「ポリソーム、用意!」

レイ「レーザー、出力最大!侵入と同時に、発射!」

ヒカリ「浸蝕部、6の58に到達……来ます!」
366 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:11:04.40 ID:48W6ECl6o
一同「……」

リツコ「……ああぁっ、う…!」

レイ「リツコちゃん!?」

ヒカリ「赤木リツコの模擬体が、動いています!」

レイ「まさか!」

ヒカリ「浸蝕部、さらに拡大、模擬体の下垂システムを侵しています」



シンジ「リツコちゃんは!?」

ヒカリ「無事です!」

レイ「全プラグを緊急射出!レーザー急いで!」


シンジ「A.T.フィールド!?」

レイ「まさか!」

シンジ「これは…!」

レイ「分析パターン、青。間違いなく……使徒よ」
367 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:12:03.31 ID:48W6ECl6o
カヲル「…使徒?使徒の侵入を許したのかい?」

レイ「申し訳ありません」

カヲル「………セントラルドグマを物理閉鎖、シグマユニットと隔離だ!」


ケンスケ「セントラルドグマを物理閉鎖、シグマユニットと隔離します」

シンジ「ボックスは破棄します!総員待避!」

シンジ「…急いでください!早く!」

アナウンス「シグマユニットをBフロアより隔離します。全隔壁を閉鎖、該当地区は総員待避」
368 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:13:01.35 ID:48W6ECl6o
葛城「分かっている。よろしく頼む」ガチャ

葛城「…警報をとめろ!」

ケンスケ「け、警報を停止します!」

葛城「日本政府と委員会には「探知機のミスによる誤報」と、そう伝えろ」

ケンスケ「は、はい!」

トウジ「汚染区域はさらに下降!プリブノーボックスからシグマユニット全域へと拡大!」

カヲル「場所がまずい…!」

葛城「アダムに近すぎる……。汚染はシグマユニットまでで抑えろ!ジオフロントは犠牲にしても構わない。エヴァは?」

トウジ「第7ケイジにて待機、パイロットを回収次第、発進できます」

葛城「パイロットを待つ必要はない。今すぐ地上へ射出だ」

ケンスケ・トウジ「え?」

葛城「三機すべてだ」

ケンスケ「しかし、エヴァ無しでは、使徒を物理的に殲滅できません!」

葛城「その前にエヴァを汚染されたらすべて終わりだ。急げ!」

ケンスケ・トウジ「はい!」
369 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:14:00.68 ID:48W6ECl6o
アナウンス「シグマユニット以下のセントラルドグマは、60秒後に完全閉鎖されます。真空ポンプ作動まで、後30秒です」


アスカ「あれが使徒か……これは、仕事どころじゃなくなったわ…」

アスカ「ね、っと!」




オペレータ「セントラルドグマ、完全閉鎖。大深度施設は、侵入物に占拠されました」


カヲル「…さて、エヴァ無しで、使徒に対し、どう攻める?」
370 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:15:03.73 ID:48W6ECl6o
レイ「ほら、ここが純水の境目、酸素の多いところ」

ヒカリ「好みがハッキリしてますね」

ケンスケ「無菌状態維持のため、オゾンを噴出しているところは汚染されていません」

シンジ「つまり、酸素に弱い、ってこと?」

レイ「そのようね」

トウジ「オゾン注入、濃度、増加中」

ケンスケ「効いてる効いてる」

カヲル「いけるかい?」

ヒカリ「0Aと0Bは回復しそうです」

ケンスケ「パイプ周り、正常値に戻りました」

トウジ「やっぱり真ん中やな。強いのは」

カヲル「よし、オゾンを増やすんだ」
371 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:16:03.00 ID:48W6ECl6o
レイ「おかしい…」

ケンスケ「あれ?増えてるぞ」

トウジ「あかん…また発熱しだしとる」

ケンスケ「汚染域、また拡大しています!」

ヒカリ「だめです、まるで効果が無くなりました」

トウジ「今度はどんどんオゾンを吸っとる!」

レイ「オゾン止めて!」


レイ「すごい…進化しているんだわ」
372 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:17:00.75 ID:48W6ECl6o
シンジ「! これは…!?」

ケンスケ「サブコンピューターがハッキングを受けています!侵入者不明!」

トウジ「クソッ!こんな時に!Cモードで対応!」

ケンスケ「防壁を解凍します!疑似エントリー、展開!」

オペレータ「疑似エントリーを回避されました」

ケンスケ「逆探まで18秒!」

オペレータ「防壁を展開!」

オペレータ「防壁を突破されました!」

オペレータ「疑似エントリーをさらに展開します!」

トウジ「…こりゃあ人間技やないな…」

ケンスケ「逆探に成功…この施設内です…B棟の地下……!プリブノーボックスです!」

ヒカリ「光学模様が変化しています」

ケンスケ「光ってるラインは電子回路だ。こりゃあ…コンピューターそのものだ」

トウジ「疑似エントリー展開……失敗、妨害された!」

シンジ「メインケーブルを切断!」
373 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:18:03.71 ID:48W6ECl6o
オペレータ「だめです、命令を受け付けません!」

シンジ「レーザーを打ち込んで!」

ヒカリ「A.T.フィールド発生、効果無し!」

ケンスケ「保安部のメインバンクにアクセスしています。パスワードを走査中、12桁、16桁、D-WORDクリア!」

トウジ「保安部のメインバンクに侵入!」

トウジ「メインバンクを読んどる…!解除できん!」

カヲル「何が目的だ…!?」

ケンスケ「メインバスを探っています…このコードは…やばい、MAGIに侵入するつもりです!」

葛城「I/Oシステムをダウンしろ」

ケンスケ「カウント、どうぞ!」

トウジ「3、2、1!」

トウジ「電源が切れん!」

ヒカリ「使徒、さらに侵入、MELCHIORに接触しました!」

ヒカリ「だめです!使徒にのっとられます!」

ヒカリ「MELCHIOR、使徒にリプログラムされました!」
374 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:19:01.65 ID:48W6ECl6o
アナウンス「人工知能、MELCHIORより、自律自爆が提訴されました。否決、否決、否決、否決」

ケンスケ「こっ、今度は、MELCHIORがBALTHASARをハッキングしています!」

トウジ「くそぉ、早い!」

ケンスケ「なんて計算速度だ!」

レイ「…、……!」

レイ「ロジックモードを変更!シンクロコードを15秒単位にして!」

ケンスケ・トウジ・ヒカリ「了解!」


シンジ「! とまった…!」


カヲル「……どのくらい持ちそうだい?」

ケンスケ「今までのスピードから見て、2時間くらいは」

葛城「MAGIが、敵に廻るとはな…」

レイ「……」
375 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:20:06.41 ID:48W6ECl6o
レイ「彼らはマイクロマシン、細菌サイズの使徒と考えられます」

レイ「その個体が集まって群を作り、この短時間で知能回路の形成にいたるまで、爆発的な進化を遂げています」

カヲル「進化か…」

レイ「はい。彼らは常に自分自身を変化させ、いかなる状況にも対処するシステムを模索しています」

カヲル「…まさに、生物の生きるためのシステムそのものだね…」

シンジ「…そんな。それじゃあ……もうMAGIは」

レイ「いいえ。MAGIを切り捨てることは、本部の破棄と同義。物理的消去はできない」

カヲル「…では、司令部から正式に要請することになる」

レイ「拒否します。技術部が解決すべき問題です」

シンジ「あ、綾波…!」

レイ「碇くんは黙ってて。……私のミスから始まったことなのよ」

シンジ「綾波……」
376 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:21:01.54 ID:48W6ECl6o
レイ「…使徒が進化しつづけるのなら、勝算はあります」

葛城「…進化の促進か」

レイ「そうです」

カヲル「なるほど…進化の終着地点は自滅、死、そのもの」

シンジ「…じゃあ、進化をこちらで促進させれば…?」

レイ「使徒が死の効率的な回避を考えれば、MAGIとの共生を選択するかもしれません」

トウジ「できるんか。そんなことが」

レイ「…目標がコンピューターそのものなら、CASPERを使徒に直結、逆ハックを仕掛けて、自滅促進プログラムを送り込むことができます。が…」

ヒカリ「同時に使徒に対しても防壁を開放することにもなります」

葛城「CASPERが早いか、使徒が早いか…勝負というわけか」

レイ「はい」

カヲル「そこまで言い切ったんだ。そのプログラム、間に合うんだろうね?」

レイ「間に合わせます…!」
377 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:22:05.53 ID:48W6ECl6o
アナウンス「R警報発令、R警報発令、ネルフ本部内部に緊急事態が発生しました。D級勤務者は、全員待避してください。」


ヒカリ「な、何これ…」

レイ「…開発者の悪戯書きね…」

ヒカリ「こんなに沢山……MAGIの裏コードが…」

シンジ「すごい…!こんなところがあったなんて」

ヒカリ「わっ…こんなの、見ちゃっていいのかしら…すごい、intのC……!」


ヒカリ「…これなら、意外と早くプログラムできそうね!」

レイ「ええ……ありがとう、先生…確実に間に合うわ」
378 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:23:03.34 ID:48W6ECl6o
レイ「レンチを取って」

シンジ「…大学のころを思い出すね…」

レイ「25番のボード」

シンジ「……ごめん、綾波…さっきは、MAGIを…[ピーーー]ようなことを言って」

レイ「……」

レイ「…いいのよ。私こそ、ごめんなさい。当たったりして」


シンジ「ねぇ、MAGIって何なの…?」

レイ「……」

シンジ「……いや、綾波がこんなに物に執着するのは珍しい、から……」

シンジ「言いたくなかったら、いいんだ。その……ごめん」
379 : ◆gcWj88zLkc [saga]:2020/11/29(日) 14:29:22.17 ID:48W6ECl60
レイ「レンチを取って」

シンジ「…大学のころを思い出すね…」

レイ「25番のボード」

シンジ「……ごめん、綾波…さっきは、MAGIを…殺すようなことを言って」

レイ「……」

レイ「…いいのよ。私こそ、ごめんなさい。当たったりして」


シンジ「ねぇ、MAGIって何なの…?」

レイ「……」

シンジ「……いや、綾波がこんなに物に執着するのは珍しい、から……」

シンジ「言いたくなかったら、いいんだ。その……ごめん」
380 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:31:00.63 ID:48W6ECl6o
レイ「……物じゃないわ」

シンジ「えっ?」

レイ「人格なのよ。……人格移植OSのことは?」

シンジ「えっと……確か、第7世代の有機コンピュータに、個人の人格を移植して思考させる…っていう、エヴァの操縦にも使われている技術だよね…?」

レイ「MAGIがその第1号らしいわ。…先生が開発した技術なのよ」

シンジ「じゃあ、赤木博士の人格を移植したの?」

レイ「そう」

レイ「言ってみれば、これは先生の脳味噌そのものなのよ」

シンジ「……それで、MAGIを…」

レイ「そうね……たぶん、そんなところ」
381 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:32:01.02 ID:48W6ECl6o
トウジ「きたっ!」

トウジ「BALTHASARが、乗っ取られた!」

アナウンス「人工知能により、自律自爆が決議されました」

シンジ「始まった…!?」


アナウンス「自爆装置は、三者一致の後、02秒で行われます」

アナウンス「自爆範囲は、ジオイド深度マイナス280、マイナス140、ゼロフロアーです」

アナウンス「特例582発令下のため、人工知能以外によるキャンセルはできません」

ケンスケ「BALTHASAR、さらにCASPERに侵入!」


カヲル「押されている…!」

ケンスケ「なんて速度だ!」

アナウンス「自爆装置作動まで、後、20秒」

カヲル「まずい!」
382 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:33:00.87 ID:48W6ECl6o
ケンスケ「CASPER、18秒後に乗っ取られます!」

アナウンス「自爆装置作動まで、後、15秒」

シンジ「…綾波!」

アナウンス「自爆装置作動まで、10秒、」

レイ「大丈夫、一秒近く余裕があるわ」

アナウンス「9秒、8秒、」

シンジ「一秒って…!」

レイ「ゼロやマイナスじゃないのよ」

アナウンス「7秒、6秒、5秒」

レイ「洞木さん!」

ヒカリ「行けます!」

アナウンス「4秒、3秒」

レイ「押して!」

アナウンス「2秒、1秒、0秒」
383 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:34:02.12 ID:48W6ECl6o
アナウンス「人工知能により、自律自爆が解除されました」


ケンスケ・トウジ「いよっしゃぁーッ!」


アナウンス「なお、特例582も解除されました。MAGI-SYSTEM、通常モードに戻ります」



アナウンス「R警報解除、R警報解除、総員、第一種警戒態勢に移行してください」


ミサト「…外はどうなってんのかしら?」

リツコ「……」

加持「……裸じゃあどこにも出れないしなぁ…」
384 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:35:03.14 ID:48W6ECl6o
アナウンス「シグマユニット開放、MAGI-SYSTEM開放まで、マイナス、03です」


レイ「…前は眠らなくても仕事ができたのに。体はしっかり歳を取っているのね…」

シンジ「本当にお疲れさまだったね…。はい、紅茶」

レイ「ありがとう…」


レイ「…碇くんがいれてくれる紅茶、いつも美味しいわ……なにかコツがあるの?」

シンジ「うん?あはは…そんな…コツなんて。でも綾波が喜んでくれるなら、良かった」

レイ「……」

レイ「……先生が言ってたの、MAGIは三人の自分なんだって…」

レイ「科学者としての自分、母としての自分、そして女としての自分なんだ、って。その3人がせめぎあってるのが、MAGIなのよ」

レイ「人の持つジレンマをわざと残して…」


シンジ「……そう」
385 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:36:05.51 ID:48W6ECl6o
レイ「先生は私を娘のように可愛がってくれたわ……科学者としての先生も尊敬してた。でも…女としての先生のことはよく分からなかった…」

レイ「…とても情熱的な人だったの。「恋はロジックじゃない」って…口癖みたいに言ってた…」

レイ「研究で忙しいはずなのに、いつも男の人を連れ込んで……でも誰とも本気じゃなかったみたい」

レイ「本当に好きな人はもういないんだ、って言ってたわ…」


シンジ「なんだか…寂しい話だね…」

レイ「そうね…その点私は恵まれてる」

シンジ「えっ?」

レイ「ふふ…いいの。こっちの話…」


レイ「CASPERには、女としてのパターンがインプットされていたの…最後まで女でいることを守ったのね。ほんと、先生らしいわ…」




拾参話分終わり
386 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:38:03.47 ID:48W6ECl6o
(中略)

委員「いかんな、これは」

委員「早すぎる」

委員「左様。使徒がネルフ本部に侵入するとは、予定外だよ」

委員「ましてセントラルドグマへの侵入を許すとはな」

委員「もし接触が起これば、すべての計画が水泡と化したところだ」

葛城「委員会への報告は誤報、使徒侵入の事実はありません」

委員「では葛城、第11使徒侵入の事実はない…と言うのだな」

葛城「はい」

委員「気をつけてしゃべりたまえ、葛城君。この席での偽証は死に値するぞ」

葛城「……MAGIのレコーダーを調べてくださっても結構です。その事実は記録されておりません」

委員「笑わせるな。事実の隠蔽は、君の十八番ではないか!」

葛城「タイムスケジュールは、死海文書の記述通りに進んでいます」

キール「まあいい。今回の君の罪と責任は言及しない。…だが、君が新たなシナリオを作る必要はない」

葛城「分かっています…。すべてはゼーレのシナリオ通りに」
387 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:39:02.73 ID:48W6ECl6o
リツコ「エントリープラグ、魂の座」

リツコ「私にあるものは命、心。その入れ物…」

(ミサト「リツコ!」)

(加持「リッちゃん」)

(レイ「リツコちゃん」)


(?「リッちゃん……」)


リツコ「……これは誰? これは私。私は誰?私は何、私は……」

リツコ「私は自分。この物体が自分。自分を作っている形。目に見える私…」

リツコ「でも、私が私でなくなる感覚…違和感。体が融けていく感じ。私が分からなくなる」

リツコ「私の形が消えていく。私でない人を感じる。誰かいるの?この先に。…葛城司令?それとも別の誰か……」

リツコ「ミサト。加持くん。綾波博士。碇三佐。みんな。クラスメイト。葛城司令」

リツコ「あなた誰」

リツコ「あなた誰、」

リツコ「あなた誰……」
388 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:40:04.02 ID:48W6ECl6o
レイ「どう、リツコちゃん。初めて乗った初号機は?」

リツコ「……、」

リツコ「…ミサトの匂いがします」



レイ「シンクロ率は、やはり下がるわね…零号機のときと比べると」

ヒカリ「それでも凄いですよ。起動には十分な数値です」

レイ「そうね…助かるわ」

ヒカリ「誤差、プラスマイナス0.03。ハーモニクスは正常です」

レイ「赤木リツコと初号機の互換性に問題点は検出されず」

レイ「では、テスト終了。リツコちゃん、あがっていいわよ」

リツコ「はい」
389 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:41:00.62 ID:48W6ECl6o
オペレータ「弐号機のデータバンク、終了」

オペレータ「ハーモニクス、すべて正常値」

ケンスケ「パイロット、異常無し」

加持「良好良好、っと」




オペレータ「エントリープラグ挿入完了」

レイ「零号機のパーソナルデータは?」

ヒカリ「書き換えはすでに終了しています。現在、再確認中」

レイ「被験者は?」

トウジ「若干緊張しとるが、神経パターンに問題はない」
390 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:42:01.26 ID:48W6ECl6o
シンジ「初めての零号機。ほかのエヴァだもんね…」

加持「うちのお姫様は繊細だな」

レイ「あら。弐号機以外には乗りたがらない、乗せたがらない繊細な子は誰だったかしら」

加持「それを言われると痛いなぁ」

シンジ「はは…いいじゃないか、加持くんと弐号機の調子、最近いいみたいだし」

加持「さすがシンジさん。分かってるね」

レイ「あまり甘やかしては駄目よ、互換性の問題もあるんだから…」

シンジ「互換性か…ミサトちゃん、大丈夫かな…」

加持「大丈夫さ。俺の弐号機だって動かしたんだ」

シンジ「でもあの時は、加持くんもいたし…」

加持「乗ってる身としては、葛城の意思を強く感じたがね…」

シンジ「……」
391 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:43:00.60 ID:48W6ECl6o
ヒカリ「エントリー、スタートしました」

オペレータ「L.C.L.電荷」

ヒカリ「第一次接続開始」

レイ「どう、ミサトちゃん。零号機のエントリープラグは?」

ミサト「なんだか…変な感じです」

ヒカリ「違和感があるのかしら?」

ミサト「いえ、ただ、リツコの匂いがする…」

加持「それは……興味深いな」

ヒカリ「データ受信、再確認。パターングリーン」

オペレータ「主電源、接続完了」

オペレータ「各拘束具、問題なし」

レイ「了解。では、相互間テスト、セカンドステージへ移行」

ヒカリ「零号機、第2次コンタクトに入ります」
392 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:44:01.49 ID:48W6ECl6o
シンジ「どう?」

レイ「やはり初号機ほどのシンクロ率は、出ないわね」

ヒカリ「ハーモニクス、すべて正常位置」

レイ「でもいい数値だわ、十分ね」

レイ「これであの計画が遂行できる…」

ヒカリ「…ダミーシステムですか?綾波さんの前だけど、私は、あんまり…」

レイ「……納得は、私もしてないわ…」

レイ「それでも必要なのよ。戦うための、……」

ヒカリ「……綾波さん…?」

レイ「…いいえ、続けましょう…」


ヒカリ(……)
393 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:45:03.81 ID:48W6ECl6o
オペレータ「第3次接続を開始」

トウジ「セルフ心理グラフ、安定しています」

レイ「A10神経接続開始」

ヒカリ「ハーモニクスレベル、プラス20」

ミサト「!?…何これ、頭に入ってくる…直接…何か…」

ミサト「リツコなの…? 赤木リツコ? この感じ……違うの…?」
394 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:46:01.40 ID:48W6ECl6o
シンジ「これは……!?」

オペレータ「パイロットの神経パルスに異常発生」

オペレータ「パルス逆流」

マヤ「精神汚染が始まっています!」

レイ「まさか!このプラグ深度ではありえないわ!」

ヒカリ「プラグではありません、エヴァからの侵蝕です!」


ヒカリ「零号機、制御不能!」

レイ「全回路遮断、電源カット!」

ヒカリ「エヴァ、予備電源に切り替わりました」

オペレータ「依然稼働中」
395 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:47:00.71 ID:48W6ECl6o
シンジ「ミサトちゃんはっ?」

トウジ「回路断線、モニター不能!」

レイ「これは、拒絶…? 零号機が…!」

ヒカリ「だめです、オートエジェクション、作動しません!」

レイ「…まさか! ミサトちゃんを取り込むつもり?」

コントロールルームに手を伸ばす零号機。

シンジ「リツコちゃん、下がって!」

レイ(……!)

リツコ「……、…」

ヒカリ「零号機、」

シンジ「リツコちゃんっ!!」

ヒカリ「活動停止まで、後10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!」



ヒカリ「零号機、活動を停止しました」

シンジ「パイロットの救出を! 急いで!」


シンジ「まさか、僕らを殺そうとした…? 零号機が…?」
396 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:48:04.66 ID:48W6ECl6o
シンジ「……この事件、前の暴走と関係があるの?リツコちゃんが精神的に不安定だったときの」

レイ「…今はまだ何も言えないわ。ただ、データを赤木リツコに戻して、早急に零号機との追試、シンクロテストが必要ね」

シンジ「……」

シンジ「もし零号機が……僕らの手に余るようなら、その時は考えなきゃならない。…よろしく頼むよ」

レイ「分かっているわ。碇三佐」



レイ(零号機が殴りたかったのは…私ね)

レイ(当然だわ。……これじゃ約束と違うもの)
397 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:49:02.39 ID:48W6ECl6o
ミサト「はっ……!」


ラジオ(TV)「それでは、次の万国びっくりさんは、何と、算数のできるワンちゃんの登場です!」

ラジオ(TV)「おお、それはすごい!」

ラジオ(TV)「ワン!」


ミサト「……またこの天井…」




トウジ「葛城ミサトの意識が戻った。汚染の後遺症はなし。何も覚えてないそうや」

シンジ「そう……」



ラジオ(TV)「はーい、私は元気にやってんだけど、世間では南沙諸島をめぐってのテロが…」



加持「パイロットの代用テストに…零号機の暴走か」

加持「こりゃ一波乱くるかな」
398 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 14:50:52.07 ID:48W6ECl6o
カヲル「予定外の使徒侵入。その事実を知った人類補完委員会による突き上げか…ただ文句を言うことだけが仕事とは…くだらない連中だよ」

葛城「切り札はすべてこちらが擁している。彼らにできることはない」

カヲル「だからといってじらすこともないだろう……今、ゼーレが乗り出すと面倒なことになる」

葛城「すべて、われわれのシナリオ通りだ。問題ない」

カヲル「零号機の事故は?少なくとも僕の予想を越える事態ではあったよ」

葛城「支障はない。リツコと零号機の再シンクロは成功している」

カヲル「……アダム計画はどうなんだい?」

ゲンドウ「順調だ。2%も遅れていない」

カヲル「では、ロンギヌスの槍は?」

葛城「予定通りだ。作業はリツコが行っている」




槍を運ぶ零号機。

リツコ「……」




拾四話分終わり
399 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:01:02.90 ID:48W6ECl6o
カヲル「第2、第3芦ノ湖か。これ以上増えない事を望むよ」

カヲル「昨日キール議長から、計画遅延の文句が来たよ。僕のところに直接ね」

カヲル「あれは相当苛ついていたな…仕舞いには君の名前も出して。解任を仄めかしていたよ」

葛城「……アダムは順調だ。エヴァ計画もダミープラグに着手している。連中の不満は何だ?」

カヲル「肝心の人類補完計画」

葛城「……」

カヲル「それが遅れているように見えるんじゃないのかい」

葛城「…全ての計画はリンクしている。問題はない」

カヲル「……綾波博士のことも?」

葛城「……」

カヲル「まあいいさ」

カヲル「…ところで、彼女はどうする?」

葛城「…手出し無用だ。いずれ真実に辿り着く」

カヲル「もうしばらくは、様子を見るか…」
400 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:02:10.26 ID:48W6ECl6o
アスカ「16年前、ここで何が始まったってのよ…」



謎のオバサン「私だ」

アスカ「ああ、あんたね」

オバサン「シャノンバイオ。外資系のケミカル会社。9年前からここにあるが、9年前からこの姿のままだ」

オバサン「マルドゥック機関と繋がる108の企業のうち、106がダミーだったよ」

アスカ「で…ここが107個目、ってわけね…」

オバサン「この会社の登記簿だ」

アスカ「…分かってるわよ。取締役でしょ?」

オバサン「もう知っていたか」

アスカ「知ってる名前ばかりだしね…マルドゥック機関。エヴァンゲリオン操縦者選出のために設けられた、人類補完委員会直属の諮問機関。組織の実体は未だ不透明」

オバサン「お前の仕事はネルフの内偵だ。マルドゥックに顔を出すのはまずいぞ」

アスカ「百も承知よ。何事も自分の目で確かめないと気が済まない質なの」
401 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:03:00.96 ID:48W6ECl6o
マヤ「…あの、加持くん、ちょっといい?」

加持「ん…?もちろんさ。珍しいな、マヤちゃんから話しかけてくれるなんて。…デートのお誘いかな?」

マヤ「うん…そうなんだけど…」


青葉「なァにィ〜〜〜〜ッ!??」

日向「うるさいな…っ!」


マヤ「いやっ、違うの、私じゃ、ないんだけど…友達がね」

加持「おっと…そりゃあ、残念だが。美人の頼みを断るわけにはいかないな。明日の昼でどうだい?」

マヤ「ありがとう…!助かるわ」

加持「いいさ…マヤちゃんとのデートは、後日俺から申し込むよ」


青葉「なァアにィ〜〜〜〜〜ッッッ!??」

日向「………」


ミサト「軽いやつ…」

リツコ「…? 彼、重そうよ」
402 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:04:00.61 ID:48W6ECl6o
ミサト「明日、お父さんに会わなきゃなんないのよ」

ミサト「何話せばいいと思う?」

リツコ「……なぜ私に聞くの?」

ミサト「…だって、いつも楽しそうにしてるじゃない。お父さんと話してるとき」

ミサト「ねぇ、お父さんって、どんな人?」

リツコ「…分からないわ」

ミサト「そう…」

リツコ「それより手、動かして。掃除が終わらないわ」

ミサト「……かっんじわるぅ〜い」

リツコ「……」

ミサト「しっかし……こうやって見ると不思議な感じよね…リツコが雑巾絞ったり、塵取り持ってたりするのって」

ミサト「料理とかも違う気がするし…家庭に入ってるイメージが沸かない?のよね」

リツコ「……」

リツコ「ミサトには負けるわ…」

ミサト「ぐっ!」
403 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:05:03.98 ID:48W6ECl6o
ヒカリ「ネクローシス作業、終了」

オペレータ「可逆グラフ、測定完了」

オペレータ「3機とも、シンクロ維持に問題なし」



シンジ「明日の結婚式、二次会まで行く?」

レイ「…もうそんな時期?考えてなかったわ」

シンジ「もう……仕事の虫なんだから」
404 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:06:00.39 ID:48W6ECl6o
レイ「……キヨミに、コトコに……明日のはコウジくんのだったかしら?」

シンジ「コウジと、ユミちゃんのだよ。一緒に内輪のパーティーも行ったじゃないか」

レイ「あれは碇くんが誘ってくれたから……」

シンジ「…………あ、アスカは今回は来るのかなあ?」

レイ「……ドレス、新しいの買わなきゃ…」

シンジ「…え?いつものでいいんじゃないの?似合ってるし」

レイ「アスカに、言われてるから…もうそのドレスは見飽きたって」

シンジ「そう…なの」

レイ「でも……どれも同じに見えて…」

レイ「碇くん、選んでくれない?」

シンジ「えっっっ」
405 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:07:00.95 ID:48W6ECl6o
レイ「三人とも、あがっていいわ」


レイ「お疲れさま」

加持「こうもテスト続きだと退屈だな」

リツコ「不謹慎ね」

加持「言葉のアヤだよ。もちろん平和が一番さ」

ミサト「………」



レイ「そう言えば、今日は元気ないわね、ミサトちゃん」

シンジ「ああ…明日なんだよ」

レイ「……お墓参りか…」
406 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:08:02.75 ID:48W6ECl6o
シンジ「ただいま」

加持「おかえりなさい」

シンジ「あれ? まだ寝てなかったの。明日デートなんじゃなかった?」

加持「昼からね。…シンジさんこそ、こんな遅くまで。残業かい?」

シンジ「ん? ん〜、うん、そんなトコロ…」

加持「……」

加持「はは〜ん。シンジさんもスミに置けないね」

シンジ「なっ何がっ?」

加持「アスカ先輩に報告だな」

シンジ「アッアスカは関係ないじゃないか」

加持「と、すると相手は綾波博士か」

シンジ「……」

加持「はは。冗談冗談、報告なんてしないよ」
407 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:09:04.97 ID:48W6ECl6o
シンジ「……ミサトちゃんは? 部屋?」

加持「…こんちご機嫌斜めみたいでね。帰ってから籠りっきりさ。…よほど父親に会うのが嫌らしい」

シンジ「嫌、って言うわけでもないんだよ…きっと。それが問題なんだろうね」



(葛城「お前の居場所はない」)

(葛城「よくやったなミサト」)

シンジ「ミサトちゃん?」

ミサト「!」

シンジ「開けてもいい?」

ミサト「だっ、駄目です、今…!き、着替えてますから!」

シンジ「クス……緊張しなくても大丈夫だよ、ミサトちゃん。自分でも言ってたじゃないか、お父さんは不器用なだけかもしれない、って」

ミサト「………」

シンジ「……案外、緊張してるのは向こうも同じかもしれないよ? 娘と何を話そうかって。ミサトちゃんがリードしてあげれば、少しは……」

ミサト「なっ、なんで私がリードしなきゃなんないんですかっ!」

ミサト「もういいですから!!寝てください!」
408 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:10:14.40 ID:48W6ECl6o
シンジ「…頑張ってね。ミサトちゃん」

シンジ「分かり合えなくてもいい…ただそれを確かめるのが大事なことなんだ」

シンジ「応援してるよ……おやすみ」


ミサト「…………」





加持「…で?綾波博士をどう口説いたんだ?食事?ショッピング?」

シンジ「いや……綾波とは、そういうんじゃないんだよ。ちょっと買い物に付き合っただけだよ」

加持「なーんだそうだったんだ、となると思うかい?」

加持「子どもじゃあないんだ。この時間までデートとなると……それ相応の進展を予想するね。帰りはもちろん送ってったんだろ?」

シンジ「………まったく」

シンジ(ちょっとは子どもらしくしてほしいよ…)
409 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:11:03.36 ID:48W6ECl6o
シンジ「じゃあ」

加持「行って」

ミサト「きます…!」

ペンペン「クギュウッ!」




スピーチ「三つの袋と言うものを心に…」

挿入歌「てんとう虫のサンバ」

司会者「では、しばしご歓談のほどを」
410 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:12:01.19 ID:48W6ECl6o
シンジ「綾波、飲み物取ってきたよ」

レイ「ありがとう……来ないわね、アスカ」

シンジ「……遅刻なんじゃないかな?案外忘れっぽいとこあるから。ガサツだし」

アスカ「だぁれがガサツ、ですって!?」

シンジ「うわっ」

レイ「来てたのね」

アスカ「今来たとこよ。たまたま仕事が立て込んでてね」

シンジ「どうだか……僕は2時間待たされたことがあるよ…」

アスカ「大〜昔のことを蒸し返してんじゃないわよ!くだらない男ねぇ」

シンジ「…そのくだらない男を待たせてたんだろ?」

アスカ「なんですってぇ!?」

レイ「…夫婦みたいよ、あなたたち」

シンジ・アスカ「だっ誰がこんな奴と!!」

レイ「ふふっ」
411 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/29(日) 15:13:02.34 ID:48W6ECl6o
シンジ「……」

アスカ「……」


アスカ「…あら?レイあんた、ドレス新調したんじゃない。中々いい線いってるわよ」

レイ「……ああ、これは碇く」

シンジ「あっあっアスカのドレスも!すっごく似合ってるよね!!」

アスカ「何よ?今さら。当然じゃない」

シンジ「…………」
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