シンジ「君が、葛城ミサトちゃんだね」

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241 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:28:05.17 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「もう…昔みたいには、戻れないよ…。いや、三人でいるのは楽しいよ?昔みたいに。でも…」

レイ「……」

シンジ「…僕は一度…アスカを傷つけてるから……」

レイ「…碇く」

電話が鳴る

シンジ「わあっ!…は、はい、もしもし…はい、い、今ですか!?いえ……、すぐに提出します…!」

電話口を押さえるシンジ

シンジ「綾波、何か言った?」

レイ「いいえ。……お疲れ様」パタン



レイ(…後悔、か…)

レイ(まだ引きずってるのね…)

レイ「……変わらないのは私も同じか…」
242 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:29:13.99 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「目標は、強羅絶対防衛線を突破」

シンジ「…よし」

シンジ「音楽スタートと同時に、A.T.フィールドを展開。後は作戦通りに。ミサトちゃん、加持くん…健闘を祈ってるよ」

加持「ええ、今度こそ」

ミサト「勝ちます!」
243 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:30:02.28 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「目標は、山間部に侵入」

ミサト「スタートからフル稼動、最大戦速で!」

加持「オーケイ、62秒あれば十分だ」

ケンスケ「目標、ゼロ地点に到達します!」

シンジ「外電源、パージ」

シンジ「発進!」


華麗なる戦闘。使徒撃破
244 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:31:28.72 ID:pkrsX4Fxo
マヤ「エヴァ両機、確認!」

シンジ「うわぁ…」

レイ「残念……着地失敗ね」


加持「いたたたた…悪い、最後のタイミングが…」

ミサト「ごめ…最後、気ぃ抜いちゃったわ…」

加持「それにしても…いたた、凄い体勢になったな…まるで葛城の寝相…」ハッ

ミサト「なっ!!!なによ、私の寝相って!!!???」
245 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:32:26.09 ID:pkrsX4Fxo
加持「い…いや、襖が開いてたから、閉めに行ったら、たまたま、な…」

ミサト「部屋に入ったの!?」

加持「い…いや!入ったと言うか、隙間から見えたと言うか…」

ミサト「〜〜〜エッチ!バカ!ヘンタイ、何してんのよ!!」キーッ


発令所職員「アハハハハ…」


加持「悪かった!もうしないよ、葛城」

ミサト「当然でしょ!!!」

カヲル「やれやれ…」




九話分終わり
246 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:33:21.49 ID:pkrsX4Fxo
女子「加持くんはウチの班が先に誘ったのよ!」

女子「ずるーい!私たちだって声かけてたのにー」

女子「ねっ、ねっ?ウチの班がいいでしょ〜?」

女子「も〜やめなよ〜加持くん困ってるじゃん」

女子「加持くんの気持ちが優先でしょ!まず聞きなさいよー!」

女子「加持くんはどの班がいいの?」


加持「いやぁ…俺もみんなと行きたいのは山々なんだが……」
247 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:34:02.42 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「ごめんね……上に掛け合ってはみたんだけど……」

ミサト「そ、そんな!気にしないで下さいよ…!掛け合ってもらっただけでも、十分…!」

加持「ま、分かってたことですよ。俺たちはパイロットだ。…使徒は待ってちゃくれない、ってね」

ミサト「そ、そうです!しょうがないですよ!シンジさんは悪くないです!!」

シンジ「ありがとう…二人とも優しいね」

ミサト「そ、そんな!」カァ

加持「……ま、ダイビングの機会を逃したのは惜しかったけどな」

ミサト「やったことあるの?」

加持「一応は。アッチにいたころにね。良い筋だ、ってインストラクターからのお墨付き」

ミサト「へぇぇ…」(やっぱ帰国子女は違うわね…)

加持「シンジさんは、ダイビングの経験は?」

シンジ「やったことないよ。機会があったら加持くんに教えてもらおうかな」

加持「はは、お安いご用」
248 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:35:05.45 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「シンジさんは修学旅行、どこ行ったんですか?」

シンジ「ああ…僕らのときはね、なかったんだ」

加持「…サードインパクトの影響で?」

シンジ「うん。本当に直後だったから」

ミサト「ご、ごめんなさい」

シンジ「そんな!気にすること…当時はそれどころじゃなかったから。…みんなの世代でここまで復興が進んで良かったよ。修学旅行も普通に行けるようになったし……あ」

加持「はは…」

シンジ「ごめん……」

ミサト「もう!いいですってば!」
249 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:36:04.08 ID:pkrsX4Fxo
青葉「葛城の分まで楽しんでくるからな!」

日向「……」(俺も残りたい…)

マヤ「赤木さん!お土産買ってくるからね!」


女子たち「加持くぅ〜〜〜ん!お土産買ってくるからね〜!」

女子たち「やっぱり加持くんがいないと寂し〜い」


加持「はは…」


日向「…かっ葛城さん!お土産何が」

女子「葛城さ〜〜〜ん!抜け駆けしちゃ駄目よ〜!」


ミサト「はーいはい、分かってるわよー!」


日向「……」


ブロロロ…
250 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:37:02.35 ID:pkrsX4Fxo
オペレータ「浅間山の観測データは、可及的速やかにバルタザールからメルキオールへ、ペーストしてください」

ヒカリ「……」

トウジ「わはっ…くくく!」

ケンスケ「ヒューーーーン、┣¨┣¨┣¨┣¨ド!ズパーンッ」



レイ「私たちのときには無かったわね、修学旅行」

シンジ「うん…少し羨ましいね」
251 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:38:04.31 ID:pkrsX4Fxo
加持「何してるんだ?」

ミサト「…理科の勉強」

加持「勤勉だな。どれどれ…、うーん、分からないな…」

ミサト「? …休み時間、あの子たちに教えてなかった?」

加持「女の子たち? それなら分かりそうだ…これは何て読むんだ?」

ミサト「膨張、だけど…もしかして日本語読めないの?」

加持「漢字はまだちょっとね。皆よくこういう複雑な形の見分けがつくな」

ミサト「じゃ、じゃあテストで点数が取れないのって…」

加持「ご明察。なぁに…その内追いつくさ」

ミサト「……はぁ〜ああ」(勉強だけは勝ってると思ってたのに…)
252 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:40:27.89 ID:pkrsX4Fxo
加持「ん?どうした?」

ミサト「通りで…点数が低いわりにアドバイスは完璧だったわけね」

加持「ま、音読してくれれば何とかな。…こっちは何て読むんだ?」

ミサト「熱よ、これは熱膨張の問題」

加持「熱膨張か…懐かしいな」

ミサト「え、」

加持「…モノはあたためれば膨らんで大きくなるし、冷やせば縮んで小さくなる、ってことだろ?」

ミサト「いやいやいや、ちょっと、」

加持「ん?」

ミサト「懐かしいって?」

加持「…ああ、前にやったことがあったから。どれくらいだったか…確か大学入る前…」

ミサト「い、いま大学生なの?」

加持「いや。去年卒業した」

ミサト「…たはは…」(こりゃ次元が違うわ…)
253 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:41:00.79 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「…ね、加持くんってさ」

加持「うん?」

ミサト「…苦手なものとかって、ないの?」

加持「これは…嬉しいな。やっと俺に興味を持ってくれたのか?」

ミサト「馬鹿。真面目に聞いてんのよ」

加持「そりゃまた、どうして?」

ミサト「…ぜーんぶ、負けてるなぁって」

加持「葛城が?俺にか?」

ミサト「そーよ。学校の授業なんて聞いてて退屈なんじゃないの?」

加持「…まぁ、そりゃあるが…」
254 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:42:03.02 ID:pkrsX4Fxo
加持「知識だけの差なら、そんなものは大した差じゃないさ。大切なのは発想力だ。…その点、俺は葛城に負けてると思うけどね」

ミサト「発想力?私が?」

加持「そ。機転を利かせた発想力。土壇場でピンチをチャンスに変える力…」

ミサト「あ、あれは…加持くんが呟いたから」

加持「俺はぼやいてただけで、そんなこと思いつかなかった。それに、まだあるぞ」

加持「ユニゾンの練習のとき、葛城は一度は逃げ出したが……帰ってきた」

加持「しかも「ノーミス」「100点」と意気込んでた…落ち込む前よりも落ち込んだ後のほうが前を向けるってのは、成長の証だ。そしてそれは誰にでも出来ることじゃない」

ミサト「あれだって……加持くんが…」

加持「俺はちょっと胸を貸しただけさ。いいか葛城……相手に弱さを見せれるってのは「強さ」だ」

加持「どれだけ相手が手を差し伸べても、その手を取るかどうかは、葛城しだいだからな。俺は手を取ってもらえて嬉しかったよ…葛城が強かったからできたことだ」

ミサト「……」
255 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:43:16.41 ID:pkrsX4Fxo
加持「それにだ、実質の戦績は葛城のほうが上…立派なエースパイロットだ。俺は二度も助けられた。…これでもまだ俺に負けてるって思うのか?全部?」

ミサト「……」

加持「……葛城はよくやってるよ…葛城自身が気付いてないだけで…」

ミサト「…なんだか、べた褒めされてるみたい…」

加持「…もちろん。葛城は魅力的な女性だからな」

ミサト「馬鹿…あの子たちに言いつけるわよ?」

加持「女性を傷つけるのは本意じゃないが、この場合はしょうがないな」

ミサト「どこまで本気なんだか…」

加持「全部さ」

ミサト「はいはい…」
256 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:44:16.47 ID:pkrsX4Fxo
カヲル「これじゃあよく分からないな…」

ケンスケ「しかし、浅間山地震研究所の報告通り、この影は気になります」

カヲル「無視はできないね」

レイ「…MAGIの判断は?」

ヒカリ「フィフティーフィフティーです」

カヲル「現地へは?」

ケンスケ「すでに、碇一尉が到着しています」
257 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:45:01.01 ID:pkrsX4Fxo
所員「もう限界です!」

シンジ「あ、後500だけ…お願いします」

アナウンス「深度1200、耐圧隔壁に亀裂発生」

所員「碇さん!」

シンジ「…しょうがない。引き上げ…」

トウジ「壊れたらうちで弁償したる!後200や」

シンジ「と、トウジ…!」
258 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:46:04.55 ID:pkrsX4Fxo
トウジ「モニターに反応!」

シンジ「かっ解析開始!」

トウジ「よっしゃあ!」


アナウンス「観測機圧壊、爆発しました」


シンジ「解析は!?」

トウジ「ギリギリセーフや。パターン青!」


シンジ「使徒」


シンジ「……回線は?」

トウジ「今やっとる…ええで」


シンジ「…これより当研究所は完全閉鎖、ネルフの管轄下となります。一切の入室を禁じた上、過去6時間以内の事象は、すべて部外秘とします」


シンジ「葛城司令当てに至急、A-17要請を!」
259 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:47:15.50 ID:pkrsX4Fxo
委員「A-17?こちらから打って出るのか?」

葛城「そうです」

委員「駄目だ、危険過ぎる!15年前を忘れたとは言わせんぞ!」

葛城「…これはチャンスです。これまで防戦一方だった我々が、初めて攻勢に出るための」

キール「リスクが大きすぎるな」

葛城「しかし、生きた使徒のサンプル…その重要性は、すでに承知の事でしょう」


キール「失敗は、許さん」


カヲル「失敗か…その時は人類そのものが消えてしまうことになる…。本当にいいのかい?」

葛城「……」
260 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:48:02.38 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「これが使徒?」

レイ「そう…まだ完成体になっていない蛹の状態みたいなものよ」

レイ「今回の作戦は使徒の捕獲を最優先とします。できうる限り原形をとどめ、生きたまま回収すること」

加持「できなかったら?」

レイ「即時殲滅。異常事態の場合は躊躇わず目標と認識して」

ミサト・加持・リツコ「了解」

レイ「作戦担当者は…」

加持「俺が行く」

ミサト「えっ」
261 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:49:04.14 ID:pkrsX4Fxo
加持「いよいよ実戦用の出番ってわけだ」

ミサト「でも…」

レイ「…加持くんが弐号機で担当して」

加持「そうこなくっちゃ」

リツコ「私は?」

ヒカリ「プロトタイプの零号機には、特殊装備は規格外なのよ」

レイ「リツコちゃんと零号機は本部で待機。よろしくね」

リツコ「はい」


ミサト「……」

加持「心配いらない。温泉みたいなもんさ」

レイ「A-17発令後は速やかに収拾…すぐに支度して」

ミサト・加持「はい!」
262 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:50:00.88 ID:pkrsX4Fxo
加持「…耐熱仕様のプラグスーツと言っても、見た目は変わらず、か…」

レイ「右のスイッチを押してみて」

加持「…うわっ」

レイ「弐号機の支度もできてるわ」



加持「…いやはや…なんともこれは…」


レイ「耐熱・耐圧・耐核防護服。局地戦用のD型装備よ」

加持「…弐号機まで…」
263 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:51:04.14 ID:pkrsX4Fxo

加持「どうも恰好がつかないな…いや、喜ぶべきか? レディー二人にはさせたくない恰好だ」

アスカ「似合ってるわよ中々」

加持「……そいつはどうも」

ミサト「あの…やっぱり私が…」

加持「いや、いいんだ葛城」

ミサト「でも」

加持「こいつは俺の相棒だからな…俺が行くよ」

リツコ「………」
264 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:52:02.57 ID:pkrsX4Fxo
アナウンス「エヴァ初号機、および弐号機、到着しました」

シンジ「両機はその場にて待機、レーザーの打ち込みとクレーンの準備を急いで」

トウジ「了解」



加持「あれ?アスカ先輩は?」

シンジ「…ごめんね。とめたんだけど、また勝手に…」

加持「いや、いいですよ。…先輩もいろいろ忙しそうですし」

シンジ「……」
265 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:53:01.53 ID:pkrsX4Fxo
謎の男性「A-17発令か…現資産の凍結も含まれている」

アスカ「上は大騒ぎでしょうね」

男性「なぜ止めなかった?」

アスカ「理由がないわよ。発令は正式なものなんだから」

男性「だがネルフの失敗は、世界の破滅を意味するんだぞ」

アスカ「……あいつらはそんなに傲慢じゃないわよ…」
266 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:54:00.51 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「何ですか、あれ」

レイ「UNの空軍が空中待機してるのよ」

ヒカリ「この作戦が終わるまでね」

ミサト「手伝ってくれるんですか?」

レイ「…いいえ、後始末よ」

ヒカリ「私たちが失敗したときのね」

加持「…なるほど。後処理、ね…」

ミサト「なに?どういうこと?」

レイ「使徒をN2爆雷で熱処理するのよ。私たちごとね」

ミサト「え…そんな…!」

ミサト「そんな命令、いったい誰が…」

レイ「…誰かがしなきゃいけない決断なのよ…今は葛城司令が」


ミサト「……」
267 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:55:02.18 ID:pkrsX4Fxo
アナウンス「レーザー、作業終了」

アナウンス「進路確保!」

アナウンス「D型装備、異常無し!」

トウジ「弐号機、発進位置」

シンジ「了解。加持くん、準備はどう?」

加持「いつでもどうぞ」

シンジ「くれぐれも、無茶はしないで…」

シンジ「発進!」
268 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:56:02.62 ID:pkrsX4Fxo
加持「おっと…こりゃあ、すごいな。熱気が」

ヒカリ「弐号機、溶岩内に入ります」


加持「潜るのは何年ぶりかな…っと。よーし」


ミサト・シンジ「?」


加持「ジャイアントストライドエントリー!」ザブーン


シンジ「…??」

ミサト「馬鹿…真面目にやんなさいよ…!」
269 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:57:02.95 ID:pkrsX4Fxo
加持「現在、深度170、沈降速度20。各部問題なし。視界は…ゼロ。目視は不可能。CTモニターに切り替えます」

加持「これでも透明度120か…」


ヒカリ「深度、400、450、500、550、600、650」

ヒカリ「900、950、1000、1020、安全深度、オーバー」

ヒカリ「深度1300、目標予測地点です」


シンジ「加持くん、何か見える?」


加持「反応なし…いないようだ」


レイ「思ったより対流が早いわね」

トウジ「目標の移動速度に誤差あり。再計算中」

シンジ「急いで。作戦続行。再度沈降、慎重に」
270 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:58:02.43 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「深度、1350、1400」

オペレータ「第2循環パイプに亀裂発生」

ヒカリ「深度、1480、限界深度、オーバー!」

シンジ「く…、加持くん!」

加持「まだだ!まだやらせてくれ、もう少し…!」

加持(……俺が駄目なら次は初号機が…)



シンジ「目標との接触は……!?」

トウジ「モニター、反応なし」

シンジ「………!」
271 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 13:59:02.38 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「限界深度、プラス120」

加持「!」

オペレータ「エヴァ弐号機、プログナイフ喪失」

ヒカリ「限界深度、プラス200」


シンジ「……これ以上は…!」


トウジ「まだいける」


シンジ「トウジ!今度は加持くんが乗ってるんだよ!?」

トウジ「…って言うとるで運転手」

加持「シンジさん、行かせてくれ…大丈夫だ」


ヒカリ「深度、1780。目標予測修正地点です」



加持「…………いた…」
272 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:00:01.02 ID:pkrsX4Fxo
トウジ「…目標を映像で確認」

シンジ「捕獲準備…!」

レイ「お互いに対流で流されているから、接触のチャンスは一度しかないわ、気を付けて」

加持「了解」


トウジ「目標接触まで、後30」

加持「相対速度2.2。…軸線に乗った」

加持「電磁柵展開、問題なし」



加持「目標、捕獲しました」



トウジ「……っはぁ〜…!」

シンジ「よかった……!」

加持「捕獲作業終了、これより浮上します」
273 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:01:01.16 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「加持くん、大丈夫?」

加持「少し…いやかなり蒸すけどね。やっぱりダイビングは海に限る」

シンジ「ダイビングって…ああ、あれダイビングの潜り方だったの?」

加持「気がつかなかった?まったく…魅せがいがないな」

シンジ「あはは」


レイ「…緊張がいっぺんに解けたみたいね」

レイ「お疲れさま。碇作戦部長」

シンジ「ありがとう。……良かった。無事に終わって…」

レイ「悪ければセカンドインパクトの二の舞だものね」

シンジ「ふー…温泉にでも浸かりたい気分だよ」
274 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:02:01.66 ID:pkrsX4Fxo
トウジ「! 目標に動きあり!」

加持「これは……っ!?」

レイ「まずいわ、羽化を始めた……!計算よりずっと早い!」

シンジ「キャッチャーは!?」

トウジ「もう持たん!」

シンジ「捕獲中止、キャッチャーは破棄!」

シンジ「作戦変更!使徒殲滅を最優先、弐号機は撤収作業をしつつ戦闘準備!」


加持「最後はこうなるか…!」

加持「…しまった、ナイフは…!」

加持「正面!バラスト放出!」

加持「早い…っ!」
275 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:03:01.38 ID:pkrsX4Fxo
加持「まずいな、見失った…!」

シンジ「加持くん!今のうちに初号機のナイフを落とすから、受け取って!」

加持「了解!」

加持(…しかし、分が悪すぎるな…このままじゃ…!)

加持「う…っっ、シンジさん!ナイフは!」


ミサト「お…りゃあっっっ!」


オペレータ「ナイフ到達まで、後40」

トウジ「使徒、急速接近中!」

加持「…ぐっ…!」

加持(まだか…ナイフは!)

加持(まだ……ハッ)

加持「しまった!」
276 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:04:03.71 ID:pkrsX4Fxo
レイ「まさか、この状況下で口を開くなんて!」

ヒカリ「信じられない構造です!」

加持「う…ぐっ」

ヒカリ「左足損傷!」

加持「……耐熱処置!」

加持「……そう、易々とっ…!」


レイ「高温高圧、これだけの極限状態に耐えているのよ。プログナイフじゃ駄目だわ」

トウジ「方法はないんか!?」

ミサト「…そうだ!」


加持「やられるわけにはいかないね…!」

加持「…………っ!」

レイ「! 熱膨張!」

加持「冷却液の圧力をすべて三番に!早く!」

加持「……破裂しろっ!」
277 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:05:05.65 ID:pkrsX4Fxo
加持「はっ……はぁ……、使徒は倒したが…」

加持「……万事休す、か…」

加持「…………」


加持(みんな……、俺は許されたか……?)


加持「!…葛城…?」


加持「……はは」

加持「いい女だよ、まったく」
278 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:06:00.88 ID:pkrsX4Fxo
宅配屋「ごめんくださーい、ネルフの人、いますかー?」

ミサト「はーい!」

宅配屋「では、ここにサインをお願いします」

宅配屋「はい、どうもありがとうございました」

ミサト「アスカさんから??何だろ…?」
279 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:07:01.51 ID:pkrsX4Fxo
加持「はぁ〜。まさか、近くにこんな秘湯があったとはね」

シンジ「綾波が教えてくれたんだ…ゆっくりしてこいって」

加持「マグマはもうごめんだが、ここならまた来たいね」

シンジ「ふふ…気に入ってもらえて良かった」

加持「……」

シンジ「……どうかした?加持くん…」

加持「…いや、こうして見てると…肌が白くて線も細い、それに顔も…中性的な美人だと思ってね」

シンジ「か…加持くん…?僕は男だよ……?」

加持「ノープロブレム。愛に性別は関係ないさ……」

シンジ「わっっっ、ちょっ………、待っ…!」
280 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:08:01.14 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「ちょっとー!バカ加持ぃ!!!」


加持「おっと」

ミサト「シンジさんに変なことしてないでしょうねー!??」

シンジ「…ミサトちゃん?」


ミサト「シンジさーん!大丈夫ですかー?」

ペンペン「クエックエ〜〜〜ッ!」

シンジ「えっ…ペンペンもいるの!?」


ミサト「はい…さっき届いて…アスカさんから」
281 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:09:01.93 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「アスカから!??」

ミサト「はい、宅急便で…こら!ペンペン!」

ミサト「じっとしてないと洗えないでしょ……いたっ!」

ミサト「……も〜へんなとこ噛まないでよ〜!」


ミサト「あっ、こら……!」




シンジ・加持「………………」


加持「前言撤回……シンジさんも「男」だね…」

シンジ「ち、ちがっ!違わないけど……これは…!」

加持「分かってます分かってます、同じ男なんだから。苦労しますよね」

シンジ「もう…!大人をからかって…!」
282 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:10:06.53 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「ぷはぁ〜ぁ、極楽極楽…」

ミサト「風呂がこんなに気持ちいいものだなんて、知らなかった…」

ミサト(………空が、綺麗…)

ミサト「………風呂は命の洗濯ね…」




シンジ「加持くん、はさ…」

加持「ん?」

シンジ「聞かないんだね。この傷のこと…」

加持「あぁ…まぁ、お互い様ですよ」

加持「話して楽になる類いのことじゃない…目に見える傷も、見えない傷も」

シンジ「そっか……」

加持「……」



拾話分終わり
283 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:11:04.31 ID:pkrsX4Fxo
子供「わーい、当たった当たったぁ〜!」


レイ「これじゃあ毎回のクリーニング代も、バカにならないわね」

ヒカリ「せめて自分でお洗濯できる時間くらい、ほしいわよね」

トウジ「重とーてかなわんわ」

ヒカリ「それは溜め込むのが悪いんでしょ」

トウジ「なんやとぅ!?」


レイ「あら、副司令」

レイ・ヒカリ「おはようございます」

トウジ「おはよーさん」

ヒカリ「コラ!敬語!!」

トウジ「うるさいのぉ、またお小言かいな」

ヒカリ「そうやってすぐ崩すから!戦闘中にも出ちゃうんでしょ!」

カヲル「ふふ…おはよう。相変わらず賑やかだね」
284 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:12:03.19 ID:pkrsX4Fxo
レイ「今日はお早いですね」

カヲル「葛城司令の代わりに上の町だよ」

レイ「ああ…今日は評議会の」

カヲル「定例だよ……つまらない仕事さ。昔から雑務はみんな僕に押し付けるんだ、断らなかった僕も悪いんだが。ふふっ…MAGIがいなかったらお手上げだったよ」

レイ「そう言えば、市議選が近いですよね。上は」

カヲル「あれは形骸に過ぎない…ここの市政は事実上MAGIのものだよ」

ヒカリ「あの3台のスーパーコンピューターが…」

カヲル「3系統のコンピュータによる多数決だからね…民主主義の基本に乗っ取ったシステムではある」

ヒカリ「じゃあ、議会はその決定に従うだけですか?」

カヲル「最も無駄の少ない、効率的な政治だよ」
285 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:13:06.69 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「…凄い時代ですね。何でも科学でやれちゃうなんて…」

トウジ「いけすかんのぉ、機械に踊らされとんのと違うか?」

ヒカリ「また!そういうこと言って!!」


カヲル「……そう言えば、零号機の実験だったかな、そっちは」

レイ「ええ、本日1030より第2次稼動延長試験の予定です」

カヲル「朗報を期待してるよ…それと」

カヲル「シンジくんにもよろしく…」

レイ・ヒカリ・トウジ(……)
286 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:14:01.18 ID:pkrsX4Fxo
レイ「実験中断、回路を切って」

ヒカリ「回路切り替え」

オペレータ「電源、回復します」

レイ「問題は…ここね」

ヒカリ「はい、変換効率が理論値より0.008も低いのが気になります」

オペレータ「ぎりぎりの計測誤差の範囲内ですが、どうしますか?」

レイ「もう一度同じ設定で、相互変換を0.01だけ下げてやってみましょう」

ヒカリ「了解」

レイ「では、再起動実験、始めるわ」
287 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:15:01.28 ID:pkrsX4Fxo
アスカ「ちょっとそこのエレベーター!私も乗るわ!」

シンジ「えっ?うわっ、わ、あっ」

アスカ「うらっ」ガッッ

アスカ「……サイッテー。あんた今「閉」押したでしょ」

シンジ「ご…ごめん…間違っちゃって…」

アスカ「はぁーあ、ショボくれてんわねぇ相変わらず」
288 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:16:01.59 ID:pkrsX4Fxo
(通話)

オペレータ「はい、しばらくお待ちください」

葛城「なんだ?」

ミサト「あ、あの…お父さん…?」

葛城「そうだ」

ミサト「あっあの…今日、学校で進路相談の面接があることを父兄に報告しとけって、言われて…」

葛城「……そういう事はすべて碇君に一任してある。用件はそれだけか?」

ミサト「いや、えっと…」ブツッ

ミサト「あら?」
289 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:17:04.01 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「うわっ…!」

アスカ「停電…?」

シンジ「そんな。ありえないよ」

シンジ「…変だな。何か事故かな…」

アスカ「あの研究バカがやらかしたんじゃないの?」



ヒカリ「主電源ストップ、電圧、ゼロです」

オペレータ達「……」

レイ「……私じゃないわ」



シンジ「綾波が?」

アスカ「でもまぁ、すぐに予備電源に切り替わるでしょ」
290 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:18:07.45 ID:pkrsX4Fxo
オペレータ「だめです、予備回線つながりません」

カヲル「……そんなはずはない。生き残っている回線は?」

職員「全部で1.2%、2567番からの9回線だけです!」

カヲル「生き残っている回線はすべてMAGIとセントラルドグマの維持へ廻して。最優先だ」

オペレータ「全館の生命維持に支障が生じますが…」

カヲル「背に腹は代えられない…」
291 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:19:35.61 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「まったく…気ぃ使うよなあ…あの二人。いつになったらくっつくんだか……アレ??」




加持「単に忙しかっただけじゃないのか?」

ミサト「いや…そういう感じじゃなくて…こう、ブツッと……」

加持「ま、考えてもしょうがない。本人に直接聞くのが早いさ……ん?」

リツコ「?」

ミサト「どうしたの?」

加持「いや、カードキーが……故障か?」

ミサト「そんな」シャッ

ミサト「ほんとだ……」

ミサト「またIDが変わったのかしら」

加持「いや…それにしてもおかしい。エラー音もならないなんて」
292 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:20:16.43 ID:pkrsX4Fxo
レイ「とにかく、発令所へ急ぎましょ。7分たっても復旧しないなんて…」




シンジ「…ただ事じゃない」

アスカ「ここの電源は?」

シンジ「正・副・予備の3系統。それが同時に落ちるなんて、考えられないよ」

アスカ「ってことは…」




葛城「ブレーカーは落ちたと言うより落とされた、と見るべきだ」

カヲル「原因はどうであれ、こんな時に使徒が現れたら一巻の終わりだよ」
293 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:21:01.20 ID:pkrsX4Fxo
戦自「索敵レーダーに正体不明の反応あり!予想上陸地点は旧熱海方面!」

戦自司令官「おそらく、8番目の奴だ」

司令官「ああ、使徒だろう」

戦自「どうします」

司令官「一応、警報シフトにしておけ。決まりだからな」

司令官「どうせまた奴の目的地は、第3新東京市だ」

司令官「そうだな。俺達がすることは何も無いさ」


戦自「使徒、上陸しました!」

戦自「依然、進行中」

司令官「第3進東京市は?」

戦自「沈黙を守っています」

司令官「一体ネルフの連中は、何をやってるんだ!」
294 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:22:05.57 ID:pkrsX4Fxo
レイ「備えあれば憂いなし、とはよく言ったものね…」

ヒカリ「まさかこの時代にタラップを使うことになるなんて…」




加持「…駄目だ、ここも動かない」

リツコ「どの施設も動かない…異常ね」

ミサト「下で何かあったってこと!?」

リツコ「恐らくは」

加持「とにかく、ネルフ本部へ連絡してみよう」
295 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:23:01.05 ID:pkrsX4Fxo
アスカ「駄目。非常電話もつながらない」


トウジ「77号線も繋がらん…!」


リツコ「駄目ね、繋がらない」

加持「こっちもだ、有線の非常回線もイカれちまってる」

ミサト「どうしよう…」

リツコ「……」ゴソ…

加持「おっ、その手があったか」

ミサト「何?」

加持「緊急時のマニュアルだよ」

リツコ「…とにかく本部へ行きましょう」

加持「だな」

リツコ「こっちの第7ルートから下に入れるわ」

ミサト「…手動、ドア…?」

加持「俺の出番かな?」
296 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:24:01.81 ID:pkrsX4Fxo
戦自司令官「統幕会議め、こんな時だけ現場に頼りおって!」

司令官「政府は何と言ってる?」

司令官「フン、第2東京の連中か?逃げ支度だそうだ」

戦自「使徒は依然健在、進行中」

司令官「とにかく、ネルフの連中と連絡を取るんだ」

司令官「しかし、どうやって?」

司令官「直接行くんだよ」



セスナ「こちらは第3管区航空自衛隊です。ただいま正体不明の物体が本書に対し移動中です。住民の皆様は速やかに指定のシェルターに避難してください」


ケンスケ「ヤバイな…!急いで本部に知らせなきゃ!でもどうやって…」

選挙カー「こういった非常時にも動じない、高橋、高橋覗をよろしくお願いいたします!」

ケンスケ「ナ〜イスタイミング!」
297 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:25:01.20 ID:pkrsX4Fxo
アスカ「それにしてもあっついわねぇ…」

シンジ「たぶん…残った回線を全部MAGIとセントラルドグマに使ってるんだ…」

アスカ「〜〜〜〜あ〜ッもうっ!」バサッ

シンジ「うわ!?あ、アスカ!!何してんだよ!??」

アスカ「仕方ないでしょう!?暑いんだからぁ!」

シンジ「な…っ、な…」

アスカ「誰が見ていいって言ったのよ!変態!あっち向いてなさいよ!」

シンジ「ぬっ脱ぐ前に言ってよ…!」


アスカ「はぁーっ。こういう状況下だからって、変なこと考えないでよ?」パタパタ

シンジ「考えないよっ!もう…!」
298 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:26:10.36 ID:pkrsX4Fxo
レイ「…空気がよどんできた……近代科学の粋を凝らした最大施設も、こうなると形無しね…」

ヒカリ「でも、さすがは司令と副司令、この暑さにも動じないわね」



カヲル「……ぬるいね」

葛城「ああ…」




ウグイス嬢「当管区内における非常事態宣言に伴い緊急車両が通ります…って、あの、行き止まりですよぉ!」

ケンスケ「止まるな止まるなぁっ!今は非常時!すべて私が許可するッ!」ビシッ

運転手「リョーカイッ!」

ウグイス嬢「いやぁ、もう止めてぇ!」
299 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:27:03.04 ID:pkrsX4Fxo
カヲル「このジオフロントは外部から隔離されても自給自足できるコロニーとして作られている。そのすべての電源が落ちると言う状況は、理論上はありえない」

レイ「…誰かが故意にやったと言うことですね」

葛城「おそらく目的はここの調査だ」

レイ「復旧ルートから本部の構造を推測するわけですか」

カヲル「連中、小癪なマネをしてくれるよ」

レイ「MAGIにダミープログラムを走らせます。全体の把握は困難になると思いますから」

葛城「頼む」

レイ「はい」

カヲル「…本部初の被害が、使徒によるものではなく同じ人間からのものになるとはね…」

葛城「……同じ人間などいない。だがこのやり方は不当だ」
300 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:28:12.35 ID:pkrsX4Fxo
加持「…路が左右に別れてる」

ミサト「右じゃないの?」

リツコ「…左」

加持「じゃ、左だな」

ミサト「ちょっと!なんでよっ」

加持「さっきから二回も行き止まりを選んでるだろ?」

ミサト「う〜…」

加持「ははっ、明るくったって葛城にとっちゃここは迷路だからなァ。この前だって…」

ミサト「ア〜ッ!リツコには言わないでよっ!」


リツコ「シッ」

ミサト「えっ?」

リツコ「人の声がするわ…」


ミサト「?」
301 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:29:01.15 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「使徒、接近中!繰り返す!使徒、接近中!」

ミサト・加持「相田さんだ!」

ケンスケ「使徒、接近中、繰り返す、現在、使徒、接近中!」

ミサト・加持「使徒接近!?」


リツコ「時間が惜しいわ。近道しましょう」

加持「分かるのか?」

リツコ「確信があるわけじゃないけど…だいたいの構造は頭に入ってるから」

加持「頼もしいな」

リツコ「あなたたちより少し長くここにいるだけよ」
302 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:30:05.32 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「……ねぇ、アスカ」

アスカ「なによ」

シンジ「…使徒って何なのかな…」

アスカ「…!」

アスカ「はぁ!?なに言ってんのよ、こんな時に」

シンジ「いいだろ別に……どうせ何もできないんだから…」

シンジ「使徒。神の使い。天使の名を持つ僕らの敵…」


シンジ「でも遺伝子上ではたった2%の違いしかないんだ。…栄えるはずだったもうひとつの人類…」
303 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:31:09.09 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「なぜ戦わなければいけないんだろう…」

アスカ「……あんたバカぁ?訳わかんない連中が攻めてきてんのよ、降りかかる火の粉は払い除けるのがあったりまえでしょ!?あんたそのもうひとつの人類とやらに立場を譲って、人間が滅びてもいいっての!?」

シンジ「……そうじゃ、ないけど…」

アスカ「あぁ、もう!あんたのそういうウジウジしたとこ、いい加減直んないわけェ!?」

シンジ「ウジウジって……アスカだってその沸点低いのどうにかしたら?ただでさえ暑いんだから…」

アスカ「あ〜ッもう我慢ならないわっ!」

シンジ「うわっごめん言い過ぎたよ!」

アスカ「シンジっ!肩貸しなさい!」

シンジ「えっ」

アスカ「漏れそうなのよッ」
304 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:32:26.29 ID:pkrsX4Fxo
ケンスケ「現在、使徒接近中!直ちにエヴァ発進の要有りと認む!」


ヒカリ「…大変!」

葛城「渚、後を頼む」

カヲル「どこへ?」

葛城「…ケイジでエヴァの発進準備を進めておく」

カヲル「手動でかい?司令直々に?」

葛城「緊急用のディーゼルがある」

カヲル「ふふ…分かったよ。ここは任せて」
305 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:33:00.95 ID:pkrsX4Fxo
加持「次は?」

リツコ「右よ」

ミサト「それにしてもスッゴいわね…私もう帰り道分かんないわよ」

加持「大丈夫さ…帰りはちゃんとした道を通って行ける」

ミサト「リツコっていつからここにいるの?」

リツコ「覚えてないわ。ただこの下の道は実験でよく通るから…」

ミサト「実験って…零号機だけでやるあの実験よね?…プロトタイプにしかできないことなの?」

リツコ「……ごめんなさい。答えられないわ」

ミサト「……」

加持「赤木を問い詰めたって仕方ないだろう?ここはネルフなんだ。情報漏洩は命取りになる」

ミサト「…そうね。ごめんリツコ、つまんないこと聞いたわ」

リツコ「…………」
306 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:34:08.23 ID:pkrsX4Fxo
作業員「いよーいしょ、よーいしょ、よーいしょ、よーいしょ!」

作業員「了解、停止信号プラグ、排出終了」

葛城「よし、3機ともエントリープラグ挿入準備」

作業員「しかし、いまだにパイロットが」

レイ「大丈夫。きっと来るわ…あの子達なら」



加持「ここは……手じゃ無理だな」

リツコ「仕方ないわ。ダクトを破壊してそこから進みましょう」

ミサト「…リツコって普段は大人しいのに、使徒が絡んでくると大胆よね」

リツコ「命に関わるもの」

加持「はは…そりゃそうだ」



作業員・葛城「いよーいしょ、よーいしょ、よーいしょ、よーいしょ!」

ヒカリ「プラグ、固定準備完了」

レイ「…後はあの子達ね」
307 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:35:01.82 ID:pkrsX4Fxo
加持「危ないから少し離れて」

加持「じゃあいくぞっ」


ガンッ ガンッ


レイ「……?」


ガンッ


加持「おわっ」ドスンッ

ミサト「だっ大丈夫?加持くん…あっ」

リツコ「……」


レイ「あなたたち!」
308 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:36:00.90 ID:pkrsX4Fxo
葛城「各機、エントリー準備」

作業員「了解、手動でハッチ開け」

ミサト「エバーは…?」

レイ「スタンバイできてるわ」

ミサト「何も動かないのに、どうやって…」

レイ「人の手でね。あなたのお父さんのアイディアよ」

ミサト「父の…」


作業員・葛城「ふぬーっ、ふぬーっ、ふぬーっ…」

レイ「葛城司令は、あなたたちが来ることを信じて、準備してたのよ」
309 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:37:00.67 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「プラグ挿入」

レイ「全機、補助電源にて起動完了」

葛城「第一ロックボルト、外せ」

作業員「2番から32番までの油圧ロックを解除」

ヒカリ「圧力ゼロ、状況フリー」

葛城「構わん。各機実力で拘束具を除去、出撃しろ!」


ケンスケ「目標は直上にて停止の模様!繰り返す!」


レイ「作業、急いで!」

オペレータ「非常用バッテリー搭載完了!」

レイ「行ける…!」

レイ「発進!」
310 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:38:01.27 ID:pkrsX4Fxo
加持「マグマの次は排気口……平時の戦闘が懐かしくなるな」

リツコ「縦穴に出るわ」

加持「お次は山登りか……」

加持「!」

リツコ「いけない、よけて!」

加持「おわっ」

ミサト「きゃあっ」


リツコ「……目標は、強力な溶解液で本部に直接侵入を図るつもりのようね」

ミサト「どうすんのよ…!?」

加持「やるしか、ないだろうな」

ミサト「やるったって…!ライフルは落としちゃったし、背中の電池は切れちゃったから、後3分も動かないし…!」

加持「待て待て、落ち着くんだ…作戦はある」
311 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:39:10.70 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「作戦?」

加持「…ここにとどまる機体がディフェンス。A.T.フィールドを中和しつつ奴の溶解液からオフェンスを守る」

加持「バックアップは下降。落ちたライフルを回収しオフェンスに渡す。そしてオフェンスはライフルの一斉射にて目標を破壊……簡単だろ?」

ミサト「簡単って…守りは誰が」

リツコ「いいわ。ディフェンスは私が」

加持「却下。発案者は俺だ…危険な役は俺がやる」

ミサト「いえ……私がいくわ!弐号機はまだ前回の傷が…!」

加持「そう言うなよ。たまにはいい格好させてくれ」


加持「大丈夫。…うまくやるよ」

ミサト「…………」
312 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:40:11.75 ID:pkrsX4Fxo
加持「じゃあ確認だ」

加持「葛城がオフェンス、赤木がバックアップ、俺は守りに徹する」

ミサト「…分かった」

リツコ「了解」



加持「それじゃあ、いくぞっ!」


ミサト「リツコっ!」



ミサト「! 加持くん、よけてっ!」


加持「うぐっ、ぅ…!」



加持「……惚れ直しただろ…?」


ミサト「馬鹿……無理しちゃて」
313 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:41:02.05 ID:pkrsX4Fxo
加持「じゃあ確認だ」

加持「葛城がオフェンス、赤木がバックアップ、俺は守りに徹する」

ミサト「…分かった」

リツコ「了解」



加持「それじゃあ、いくぞっ!」


ミサト「リツコっ!」



ミサト「! 加持くん、よけてっ!」


加持「うぐっ、ぅ…!」



加持「……惚れ直しただろ…?」


ミサト「馬鹿……無理しちゃて」
314 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:42:04.17 ID:pkrsX4Fxo
ガンッ ガンッ ガンッ

アスカ「も〜ぅ、何で開かないのよ〜!非常事態なのよ〜!はぁっ、もう、もれちゃう!こら、もう!上見るな、って言ってるでしょ!」

シンジ「あ…アスカ!暴れないでよ、重いんだから…!」

アスカ「ぬわんですって!?」

シンジ「わっ、わ、わあっ!」ガタン


レイ「……」

ヒカリ「…不潔…!」
315 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:43:02.49 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「電気…人工の光が無いと、星がこんなにきれいだなんて、皮肉なもんね」

加持「葛城は星が好きなのか?」

ミサト「んー? 最近は、ちょっちね…」

加持「ロマンチストだな…俺はどうも暗闇が落ち着かない」

ミサト「………」

加持「光があったほうが……」

リツコ「…人は闇を恐れ、火を使い、闇を削って生きてきた」

加持「おっ、なんかの詩かい?」

リツコ「習ったの。綾波博士から…」
316 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:44:02.42 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「続きは?」

リツコ「分からない…」

ミサト「そう…」

加持「……作ればいいさ」

加持「人がこの先、何を使い、どうやって生きていくのか…」

ミサト「…まずは「生」を掴み取らないとね」

加持「その通り」

リツコ「……負けないわ」

加持「ああ。負けないさ、俺たちは」




拾壱話分終わり
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/28(土) 14:48:02.95 ID:1oBntmVXo
加持さんアンタ自分が中学生って自覚無いだろ…
318 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:51:39.76 ID:pkrsX4Fxo
シンジの過去。南極で起きた爆発


シンジ「…母さん…?」

ユイ「……」



シンジ「……」
319 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:52:35.81 ID:pkrsX4Fxo
青葉「悪いな、葛城。雨宿りさせてもらって」

日向「……シンジさんは…?」

ミサト「うーん、まだ寝てるかも。最近徹夜の仕事が多いみたいで…」

日向「…そっか」ホッ


加持「残念。俺がいるよ」

日向「」

加持「雨宿り、って口実も悪くはないが。アプローチするんならもっと相手に「特別」を意識させないとな?」サワッ

ミサト「ちょっと!ふざけないでよっ」バシッ

加持「あたた…」

青葉「はは…」

日向「……………」
320 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:53:23.56 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「あれっ? 青葉くんに、日向くん」

青葉「すいません、雨宿りで」

日向「お邪魔してます」

シンジ「そっか…外雨降ってるのかぁ…」

ミサト「もう出るんですか?」

シンジ「うん。今日はちょっとね…2人とも、今夜はハーモニクスのテストがあるから、遅れないようにね」

ミサト「はい…」

加持「了解」

シンジ「じゃあ、いってきます」

ミサト「いってらっしゃい」
321 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:55:23.76 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「………」

日向「…どうかした?葛城さん」

ミサト「いや…シンジさんの服、いつもと違ったような…」

青葉「ええ?同じだったろ」

ミサト「襟のところの線が、二本になってたような…」

加持「へえ。そりゃすごいな、シンジさん」

青葉「なんだ?なんか違うのか?」

加持「そりゃ、襟章の線が2本になってたんなら、一尉から三佐に昇進したってことだからな」

ミサト「そうなんだ…」

加持「…どうした?まだ何か気になることが?」

ミサト「…シンジさん、全然嬉しそうじゃなかったな、って…」

青葉「…きっと忙しかったんじゃないか?徹夜続きだって話だし」

日向「どうだろうな…あの若さで三佐なら、プレッシャーも大きいだろうし」

加持「ま、ともあれ目出度いことだ。サプライズパーティでも開くか?」

ミサト「……」
322 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:56:01.27 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「0番2番、ともに汚染区域に隣接。限界です」

レイ「1番にはまだ余裕があるわね……プラグ深度を後0.3下げてみて」


ヒカリ「汚染区域ぎりぎりです」

レイ「それでもこの数値……凄いわね…」

ヒカリ「ハーモニクス、シンクロ率も加持くんに迫ってますね」

レイ「……才能ね…」

オペレータ「まさに、エヴァに乗るために生まれてきたような子供ですね」

シンジ「…………」
323 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:57:16.60 ID:pkrsX4Fxo
レイ「3人ともお疲れさま」

レイ「特に…ミサトちゃん」

ミサト「えっ?」

レイ「ハーモニクスが前回より8も伸びてる。とても良い数字よ」

ミサト「いえっ…そんな…まだまだです…!」

加持「そんなことないさ!10日で8だろ。たいしたもんだよ」

レイ「その通りよ。もっと自信を持って」

ミサト「は、はぁ…」

加持「じゃあ俺は「準備」があるから。お先に!」
324 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:58:10.77 ID:pkrsX4Fxo
ミサト「あ、あの、シンジさん……昇進おめでとうございます」

シンジ「はは…気付いてたの。ありがとう、嬉しいよ」

ミサト「………本当に嬉しい、ですか?」

シンジ「…!…はは…ダメだな。ミサトちゃんには敵わないや」

シンジ「…本当言うとね、複雑だよ…僕自身、何をしたってわけじゃないんだ。ただ流れに身を任せただけ…」

シンジ「目的はある。でもそれも最近は忙殺されて……遠いんだ。…何やってるんだろうって…疑問に思うこともある」

ミサト「…あの、疑問って…?」

シンジ「…(君たちを、エヴァに乗せてること…)」

ミサト「……?」

シンジ「いや…いいんだ。ごめんね、心配かけちゃって」

シンジ「僕がこんなじゃ、失礼だよね。勇気を持って乗ってくれてるミサトちゃんに対して。他のみんな…加持くんや、リツコちゃんにも……」

ミサト「……」(シンジさん…)
325 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 14:59:11.60 ID:pkrsX4Fxo
ミサト・日向・青葉・加持・マヤ「おめでとうございまーす!」

シンジ「ありがとう…わぁ、すごい。よくこんなに作れたね」

加持「クラスに凄腕の先生がいてね。ご教授いただいたんだ」

マヤ「す…凄腕ってわけじゃ…」


シンジ「…こ、これは…?」

ミサト「そ、それは…わたしが」

青葉「みっ見た目じゃないよなあ!?料理はなぁ!?」

日向「そ、そうさ!旨いんだから!問題ないよ!」

シンジ「ぱくっ」

ミサト「…!」

シンジ「…ありがとう、ミサトちゃんも。おいしいよ」

ミサト「……いえ!そんな…」カァ
326 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:00:12.35 ID:pkrsX4Fxo
リツコ「……私は作戦会議だと聞いたのだけど」

加持「…親睦を深めるってのも作戦のうちさ。それに、祝いの席には華が多い方がいいだろ?」

リツコ「花?」

マヤ「あっ赤木さん!よかったらこのスープ…」

リツコ「…いただくわ」


ミサト「それにしても…アスカさん遅いわね」

シンジ「!? ごほっ、あっ、アスカもくるの!?」

加持「誘ってはみたんですけどね。最近忙しいみたいで、色々と」

シンジ「………」
327 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:01:03.57 ID:pkrsX4Fxo
マヤ「アスカさんってどんな人なの?」

青葉「顔はいいよ…顔はね」

日向「性格がな…」

シンジ「あはは…」

加持「顔で渡ってこれる世界じゃない。腕は確かさ。でもまぁ……当たりが強いのは、感情の裏返しだろうな」

ミサト「裏返し?」

加持「…好きでも素直になれないってこと。俺はストレートに表現してるけどな?」サワッ

ミサト「ちょっと!やめてったら!」

加持「つれないなぁ」

日向「………」ムカムカ

青葉「…祝いの席だぞ、一応…」

マヤ「加持くんと葛城さんってやっぱり…そうなの?」

ミサト「違うわよぉ!全然!!そんなんじゃないから!!!」

シンジ「あはは」
328 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:02:21.21 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「……ミサトちゃん、最近表情が豊かになったね」

ミサト「す、すいません…はしゃいじゃって…」

シンジ「謝ることなんてないよ、嬉しいんだ。ミサトちゃんが笑ってくれて」

ミサト「え…」

シンジ「みんなが笑ってくれて。昇進自体に思うところがないわけじゃないけど、こうやってみんなが集まって……なんて言うのかな、僕のために喜んでくれることが、嬉しい…」

ミサト「…わかります」

シンジ「……」

ミサト「…私も、エバには乗りたくないけど……みんなが、応援してくれるから…」

シンジ「…ミサトちゃん…」

ミサト「大切なんです、きっと」
329 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:03:40.82 ID:pkrsX4Fxo
加持「おっ、先輩かな?」


加持「先輩。よく来れましたね?」

アスカ「本部から直。仕事の虫もついでだから連れてきたわよ」

レイ「おじゃまします…」

シンジ「…あ、いらっしゃい…」

アスカ「なーによちったあ嬉しそうにしなさいよー?せっかく進展を手伝ってやろうってのに」

シンジ「そっそんなこと頼んでないだろ!」

レイ「碇くん、この度は昇進、おめでとう」

シンジ「あっ綾波…ありがとう。ごめんね、忙しいのに…」

レイ「いいの…きりのいいところだったから」

アスカ「あたしもすごぉ〜く忙しかったんですケド?」

シンジ「アスカは普段サボってるからだろ」

アスカ「ぬゎ〜んですってえ!??」

加持「こりゃ一番やっかいなのはシンジさんかもな…」
330 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:04:22.25 ID:pkrsX4Fxo
アスカ「はぁ〜あ!無敵のシンジ様は?昇進でお偉くなられたようで!これからは私たち敬語をつかうべきかしらねえ〜?」

シンジ「そ、そういうのやめてよ…」

レイ「…でも、司令と副司令がそろって日本を離れるなんて、今までなかったことだわ。それだけ碇くんを信頼してるってこと…」

アスカ「ちょっとレイ!!こいつを調子に乗らすんじゃないわよ!」



ミサト「…お父さん、ここにいないんですか?」

レイ「葛城司令は今、南極に行ってるわ」
331 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:05:36.61 ID:pkrsX4Fxo
カヲル「いかなる生命の存在も許さない、死の世界、南極…」

カヲル「いや、地獄というべきかな?」

葛城「……我々はまだここに立っている。人類として、生物として生きたまま」

カヲル「科学の勝利といいたいのかい?」

葛城「傲りだよ……だが全滅は免れた」

カヲル「…15年前の悲劇、セカンドインパクト……それを引き起こした人間の罪、か…」

カヲル「だがもう罰は十分に与えられた。目下の死海もそう、人々の心にも…」

葛城「まだだ。人は背負うべき業を負った。…やつらは、浄化された世界を望んでいる」

カヲル「…未だ赦されず、か…。赦されぬと分かったとき、はたして罪人は頭を垂れたままでいるかな…?」



オペレータ「報告します。ネルフ本部より入電。インド洋上、空衛星軌道上に使徒発見」
332 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:06:21.85 ID:pkrsX4Fxo
トウジ「二分前に突如出現」


オペレータ「第6サーチ、衛星軌道上へ」

オペレータ「接触まで後2分」

ケンスケ「目標を映像で捕捉」

職員「おおっ…」

トウジ「なんじゃこりゃあ…」

シンジ「……!」

ケンスケ「目標と、接触します」

オペレータ「サーチスタート」

オペレータ「データ送信、開始します」

オペレータ「受信確認」



シンジ「…A.T.フィールド?」

レイ「……今までにない使い方ね」
333 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:07:03.64 ID:pkrsX4Fxo
シンジ「……これだけの質量を…」

ヒカリ「落下のエネルギーをも、利用しています。使徒そのものが爆弾みたいなものです」

レイ「…初弾は太平洋に着弾。2時間後の第2射がそこ。…後は確実に誤差修正してる」

シンジ「学習してるのか…」

トウジ「N2航空爆雷も、効果なしや」

ケンスケ「以後、使徒の消息は不明」

シンジ「…次は、多分…」

レイ「来るわね、ここに」

シンジ「被害予想範囲は?」

レイ「富士五湖が一つになって、太平洋とつながる。本部ごとね」

シンジ「葛城司令との連絡は?」

ケンスケ「使徒の放つ強力なジャミングのため、連絡不能」

シンジ「MAGIの判断は?」

ヒカリ「全会一致で撤退を推奨しています」

シンジ「………」
334 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:08:00.32 ID:pkrsX4Fxo
レイ「……碇三佐、今の責任者はあなたよ」

シンジ「……日本政府各省に通達。ネルフ権限における特別宣言D-17。半径50キロ以内の全市民は直ちに避難。松代にはMAGIのバックアップを要請」

トウジ「ここを放棄するんか?」

シンジ「そうなるかもしれない。でも、その前に……考えがある」



放送「政府による特別宣言D-17が発令されました。市民の皆様は速やかに指定の場所へ避難してください」

放送「第6、第7ブロックを優先に、各区長の指示に従い、速やかに移動願います」

放送「市内における避難はすべて完了」

放送「部内警報Cによる、非戦闘員およびD級勤務者の待避、完了しました」
335 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:09:05.41 ID:pkrsX4Fxo
レイ「普段のあなたからは考えられない、危険な賭ね」

シンジ「……賭にも、なってるかどうか…」

リツコ「勝算は0.00001%……本当にやるの?」

シンジ「綾波は…反対…?」

レイ「いいえ、従うわ…碇くんがそう言うなら」

シンジ「……」

シンジ「……アスカなら…とめに入ったかな…?」


レイ「……あんたバカ?」

シンジ「…え?」

レイ「彼女ならそう言ったかも。ただ……確率で言うなら…人類には滅ぶ道のほうが多い」


レイ「アスカも…最終的には奇跡に賭けたはず」


シンジ「そっか…」
336 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:10:03.23 ID:pkrsX4Fxo
レイ「………」

レイ「あなたを変えたのは……、あの子…?」

シンジ「え…?」

レイ「サードチルドレン…葛城ミサト…」


シンジ「…そうかもしれない。僕は使徒を恨んでた。失ったものを追いかけて…でも今は…違う気がするんだ」

シンジ「…今はもうこの手に「ある」から…だから失いたくない」

レイ「碇くん…」

シンジ「もう誰にも、失ってほしくないんだよ」
337 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:11:01.93 ID:pkrsX4Fxo
加持「手で」

ミサト「受け止める!?」

リツコ「……」


シンジ「そう。観測上最大級の使徒がA.T.フィールドを張ってここに落下してくる……。対抗できるのはA.T.フィールドを持つエヴァ三機だけ」

シンジ「ただ…予測される軌道、衝撃、何もかもが未知数なんだ。無理強いはしないよ、やめたければ…」


加持「……これが作戦といえるのか?」

シンジ「えっ」

加持「先輩なら、そう言ったかもな。でも俺はそういうの、嫌いじゃない」

加持「こちとら何千の候補から選ばれた「チルドレン」…」

加持「勝利の女神も、微笑ませてみせるさ」


シンジ「加持くん…」
338 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:12:04.27 ID:pkrsX4Fxo
リツコ「……私も、やります」

シンジ「リツコちゃん」

リツコ「ここがなくなると困るもの」

ミサト「わ、私も…!」

ミサト「みんなを…!守りたいから」

シンジ「……ミサトちゃん」

加持「勝利は確定だな。すでに女神が二人ついてる」

ミサト「すぐふざけるんだから…」

リツコ「……」

シンジ「…ふふ」
339 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:13:11.54 ID:pkrsX4Fxo
加持「……規則だっていう「家族・友人への手紙」、書いたか?」

ミサト「ぜーんぜん」

リツコ「書いてないわ」

加持「だよなぁ…こりゃ、まんま遺書だもんな」

ミサト(なぜだろう……おじさんの家では…出せなかった手紙が…お父さんに対する、怒りが…山ほどあったはずなのに…今は何て書けばいいのか…)トン…トン…

ペンを迷わせるミサト

ミサト「……不思議」


加持「? なにか言ったか?葛城」

ミサト「ううん…加持くん、リツコ」

ミサト「絶対に奇跡を起こしましょう、…この手で」

加持「…おう!」

リツコ「ええ…」
340 : ◆gcWj88zLkc [sage sage]:2020/11/28(土) 15:14:04.87 ID:pkrsX4Fxo
ヒカリ「使徒による電波撹乱のため、目標を喪失」

シンジ「正確な位置の測定ができないけど、ロスト直前までのデータから、MAGIが算出した落下予想地点が…これ」

加持「あちらさんの攻撃範囲ってわけか」

ミサト「こんなに広く…これじゃ、エバ三体でも…」

レイ「目標のA.T.フィールドをもってすれば、そのどこに落ちても本部を根こそぎえぐることができる」

シンジ「うん。だからエヴァ全機はこれら三個所の配置についてもらう」

リツコ「この配置の根拠は?」

シンジ「……勘、かな……はは……」

ミサト・加持「……カン?」

リツコ「……」

シンジ「確率の高い場所、というのがないんだ……どの地点にも落下しうる」

加持「……はは。こうも運頼みだと笑えてくるな」

加持「なーに。大丈夫さ、きっとなんとかなる。なんとかなったら……その時は碇三佐殿、奮発して頼みますよ?」

シンジ「ありがとう……約束するよ」
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