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【咲安価】京太郎「清澄の探索者」その3【ADV】
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325 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/26(木) 21:41:11.23 ID:ExOopSmO0
2. 京太郎の考察
榎田「へえ、あの剣にそんな内容がねぇ」
山下が銘文を記したメモ帳を懐にしまう。
結局のところこれが何について書かれていたのか、あるいは何を意味しているのかというのはイマイチ解っていない。
優希の説があることにはあるが......ま、それはそれとして。
確実なのは、やはりこれもスサノオについて刻んだものであるということだった。
京太郎「......一つ気になってた事があるんだけど、いいかな」
京太郎「俺についてのことなんだけど......」
和「須賀君についてのこと?」
1. 名前について
2. オカルトについて
3. 麻雀について
↓2
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/26(木) 21:43:45.49 ID:EJpTUOGM0
1
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/26(木) 21:47:18.53 ID:WOnj/uZFo
1
328 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/26(木) 22:17:40.17 ID:ExOopSmO0
1. 名前について
(3/3)
【7年前】 須賀家 居間
父「まず『須賀』っていうのはだな、『清々しい』という意味から取られてるんだとさ」
京太郎「えー、そのまんまじゃねーか」
父「そう言うなよ。山田だって山の田んぼだから山田だろ?」
父「他にも砂地という意味の『スカ』が変わったとか、色々説はあるらしいが......」
父「後はアレだな。『須賀神社』っていう神社が沢山ある」
京太郎「すがじんじゃ?」
父「ああ。『須佐之男命』......漢字は確かこうだったかな」サラサラ
父「京太郎には難しいかもしれんが、これで『スサノオノミコト』って読むんだ」
父「これがすっごく偉い神様でな。それを祀ってるって話だ」
京太郎「すげー!かっこいいじゃん!」
父「そうだろ?」ハッハッハ
【4日目 16:50】 旅館・別館 3階 316号室
女神様に会う前に観た記憶を頼りに、今より少しばかり若々しい父さんの語りを思い出す。
『スサノオノミコト』......確かに父さんはそう言ってた。
京太郎「俺の名前――――というよりは須賀っていう名字か」
京太郎「これはどうやらスサノオに関係しているらしい」
京太郎「オフラシサマとも何か繋がりがあるんじゃないか」
まこ「言いたいことは理解できる。じゃが、ありふれた名字とまでは言わんとしても須賀なんて沢山おるじゃろう?」
久「そうねぇ......具体的に、どういう繋がりがあるのか分かればいいけど」
京太郎「えーっと、それは......」
考えるの辛くなってきたので自由安価で......
↓2
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/26(木) 22:21:20.68 ID:EJpTUOGM0
一番辛いパターンじゃん
330 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/26(木) 22:27:03.07 ID:ExOopSmO0
>>1
としましては考察の内容がもっと具体的な指定だと大変書きやすいです。
たぶん現在の倍くらいの速さで書けます。
実際には関連している情報がいくつも存在するので、あまり範囲が広すぎると
色々なものに引っかかって、どれに話を伸ばせばいいのやら迷ってしまうのです......
安価なら下
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/26(木) 22:39:25.96 ID:afddWuwbo
具体的にと言われても、現状手詰まりで可能性しらみつぶししてる状態だしなぁ
繋がりなんて血縁ぐらいしか思いつかん。スサノオの末裔
332 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/26(木) 22:56:48.14 ID:ExOopSmO0
京太郎「......スサノオの末裔、とか?」
333 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/26(木) 22:59:01.36 ID:ExOopSmO0
今日はここまでになります。
石橋を叩いて渡るタイプの方もいらっしゃるかと思って言い出すべきかせぬべきか迷ってましたが、
このままだと延々に堂々巡りっぽいのでぶっちゃけます。
本編の進行上「これ以上の有益な情報・アイテム」はないです。
ゲームで言えば、世界の端まで到達しちゃってあとはラスボスに挑むだけです。
細かく言うと椿屋の家族(桜、椿屋妻)などまだ出てないキャラもいますが、会っても特に何もないです。
京太郎とスサノオの関係も設定自体はありますが、それを裏付ける証拠も用意されていません。
言うと興醒めだけど打ち明けずにダラダラ続いても興醒めなので、それならダラダラ続かないほうがマシですので申し上げました。
ここまで引き摺ってしまったこと、本当に申し訳ないです。
明日は所用により開始遅くなります。
おそらく20時くらいになるかと思いますが、改めてお知らせします。
みなさま、今回もお疲れ様でした。ごめんなさい。
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/26(木) 23:15:41.04 ID:EJpTUOGM0
乙です
うーん、それだと本当に行き当たりばったりになるのか
櫛は櫛で使う奴は死ぬみたいな言い伝えだし櫛使った後も儀式続いてるからもっと決定的な手がかりとか解決手段探す必要があるのかと思ったよ
意味深に繰り返される京太郎父の回想とかオフラシ様=スサノオにしてはよく分からん呪いやら京太郎に発現したオカルトとか研究日誌Aから何か発展するのかと
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/27(金) 02:13:04.01 ID:ek2TjUVA0
そーなのかー
なかなか難しいねんな
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/27(金) 15:29:45.37 ID:f/aG45c4o
乙
どうせなら楸野仲間にする交渉連打すべきだったかね。呪い解く方法見つけたら交渉確率上がると勘違いしてた
337 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/27(金) 18:59:02.59 ID:ApDwIyw20
意味のない描写とまでは言いませんが、そういった攻略とは関係ない部分は少なからずあります。
紛らわしいことをしてしまい、本当に申し訳ない限りです。
30分後に始めます
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/11/27(金) 19:02:08.95 ID:Pms/KRwt0
ワンワン
339 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/27(金) 19:19:26.54 ID:ApDwIyw20
>>322
から再開かな......
340 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/27(金) 19:29:38.92 ID:ApDwIyw20
ということで開始です。
【4日目 16:50】 旅館・別館 3階 316号室
どうする?
持ち物:
>>150
同行者:清澄、大学生、社会人、旅館夫婦、椿屋、榎田親子、柊
ステ :
>>5-7
周囲 :
人 :
武器 :
>>9
デバフ:
・京太郎→【行動】-2(【4日目 17:10】まで)
・優希→【行動】【体力】-1(打撲、【5日目 03:20】まで)
1. 移動する
・場所指定(地図参照)
2. さぐる
・内容指定(成功再判定)
・辺りを見渡す
(【探索(優希)】+【探索(京太郎)】× 0.5)× 8 = 84
・話をする(10分)
3. その他
・装備を変更する
・グループ分けを変更する
<現在のグループ>
・なし
4. 自由安価
↓2
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/27(金) 19:37:35.10 ID:Wh35CkAv0
1 石戸を開けに炭坑跡へ戻ります
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/27(金) 19:56:27.50 ID:x+kge7QAo
多分関係ないけどステータス戻るまで挑みたくないし、ラスボス戦に向けて全員で早めの食事
343 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/27(金) 20:59:08.05 ID:ApDwIyw20
3. 食事
京太郎「!」
優希「む?喉にでも詰まったか」
まこ「ほれ、お茶いるか?」スッ
京太郎「あーいや、そういうわけじゃないんですけど......」
まるで蒸発するかのように、今まで俺を取り巻いていた何か――風邪をひいたときのようなもやもやとした気怠さ――が、にわかに全身から抜け落ちたのを感じた。
確かめるように手を握ったり開いたりするが、何が変わったのかはイマイチ解らない。
でも、やっと本調子だ。
【4日目 17:10】 旅館・本館 1階 食堂
少し待っていてくれという主人と女将の指示の通りにしていると、間もなく十六膳の食事が長机に並んだ。
そう豪勢なものじゃない。むしろ簡単な料理ばかりだけど、それでも湯気の立つ味噌汁があるだけでも有り難い。
この食事で精を付けて、きっちり兜の緒を締めて最後の戦いに挑もう。
久「やっぱり日本人は白いご飯よねぇ」
北村「全くもって同意せざるを得ないね。女将さん、おかわりありますか?」
女将「はいはい。今持ってくるわね」ガタッ
堂島「呑気だなぁ、これから大一番だっていうのに」
榎田「最後の晩餐にならなきゃいいけどね」
「.........」シーン
優希「晩餐じゃなくて昼飯だじぇ」
山下「そういう問題じゃねーよ!」
――――どうにも締まらないが、とりあえず腹は膨れた。
【4日目 17:30】 旅館・本館 1階 食堂
どうする?
持ち物:
>>150
同行者:清澄、大学生、社会人、旅館夫婦、椿屋、榎田親子、柊
ステ :
>>5-7
周囲 :
人 :
武器 :
>>9
デバフ:
・京太郎→【行動】-2(【4日目 17:10】まで)
・優希→【行動】【体力】-1(打撲、【5日目 03:20】まで)
1. 移動する
・場所指定(地図参照)
2. さぐる
・内容指定(成功再判定)
・辺りを見渡す
(【探索(優希)】+【探索(京太郎)】× 0.5)× 8 = 84
・話をする(10分)
3. その他
・装備を変更する
・グループ分けを変更する
<現在のグループ>
・なし
4. 自由安価
↓2
344 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/27(金) 21:01:06.66 ID:ApDwIyw20
訂正:京太郎のデバフは消滅しました
安価下
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/27(金) 21:06:23.71 ID:0ZhjZWZIo
全員で祭壇へ。オフラシ様と対決
346 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/27(金) 21:19:32.68 ID:ApDwIyw20
長くなるため、早いですが今日はここで一旦切ります。
この流れで土日中に完走したいと思っているので、明日は17時頃開始の予定で進行します。
幾らかゴタゴタもありますが、残り数回お付き合いの程よろしくお願いします。
みなさま、今回もお疲れ様でした。
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/27(金) 21:38:13.38 ID:x+kge7QA0
乙です
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 05:54:07.25 ID:083/fQsx0
wktk
349 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 16:48:04.49 ID:lmlmufk60
30分後に始めます
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 16:51:08.36 ID:UCexH63O0
わっふるわっふる
351 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 17:20:39.43 ID:lmlmufk60
開始です
352 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 17:21:29.10 ID:lmlmufk60
【4日目 17:40】 地下通路
――――この空洞には常に水音が響いている。
この雨だからか、あるいは近くを地下水が流れているのか......何処からか漏れ出してきた小さな粒たちが、あちらこちらに水溜りを作っていた。
北村「雨が止んでから県道の開通までどのくらいかかるだろうね」
山下「おいおい、もう終わった後の心配か?」
北村「そりゃもちろん、今のうちから勝ったつもりになってるわけじゃないよ」
北村「それでも、僕らは何だかんだここまでやってきたじゃないか」
北村「今回だってきっと上手くいくさ」
堂島「私はこの後のことを考えると憂鬱だよ」
堂島「会社になんて説明すればいいのやら......はぁ」
353 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 17:23:50.56 ID:lmlmufk60
【4日目 17:50】 小佐目山 祭壇
榎田爺「うむ、この辺りでいいだろう」
四つの大皿を結んだ交点、祭壇の中央に椿屋が老体を下ろす。
榎田が出てきて父親の痩せこけた脚が冷たい岩の地面へ座るのを手伝った。
榎田「親父、大丈夫か?」
榎田爺「座布団くらいは持ってくればよかったか......いやはや」
榎田爺「ふむ......オフラシサマを降ろすにあたって、一応その仔細を伝えておかねばならんな」
榎田爺「まずは――――」
老人による具体的な手順の説明はしばらく続いたが、要約すれば以下のようになるだろう。
最初に彼が木像に向き合って長々とした文言を述べる。
条件に、つまり壬申の儀が執り行われる頃であるという時期さえ適していれば、『雨雲』が――地下深くの洞窟であるにも拘わらず――もくもくと現れ、像の周囲を取り囲む。
そしてまもなくそれらは次々に晴れていき、遂にオフラシサマは木像を依代として顕現するという。
優希「......ケンゲンってなんだじぇ?」
和「人や物がはっきりと姿を表すことです」
榎田「僕らは特に、幽霊や神様といった超常的なモノがに何らかの形をもってこの世へ現れることを指して使ってるよ」
榎田爺「私の父親の話では、60年前にはこの像の目が開いたとか、右手の剣を振り下ろしたとか......」
榎田爺「ともかく私も初めての事だ。何が起こるのかは保証しかねる」
榎田爺「さて、どうする?」
1. 始めよう
2. ちょっと待ってくれ
↓2
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 17:24:23.25 ID:Lo4kMqLQo
開始一レスで死亡フラグやめて
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 17:26:22.42 ID:u3pvzA8F0
2
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 17:29:18.74 ID:Zeb9G17po
像が持ってる剣ぐらいは外したい
357 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 17:34:08.10 ID:lmlmufk60
2. ちょっと待ってくれ
京太郎「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
京太郎「緊張したら心配になってきた......」
柊「なんだー?女々しい男は嫌われるぜ?」ニヤニヤ
京太郎「うっせえ!」
主人「まあまあ落ち着いて......大事な選択ですからね」
榎田爺「そうだな、やり残したことがあるのなら行けばよい」
榎田爺「準備が全て整ったらまた言いなさい」
久「それじゃ、私たちはこの辺りで暇でも潰してましょうか?」
優希「潰す道具はなーんもないけど」
【4日目 17:50】 小佐目山 祭壇
どうする?
持ち物:
>>150
同行者:清澄、大学生、社会人、旅館夫婦、椿屋、榎田親子、柊
ステ :
>>5-7
周囲 :
人 :
武器 :
>>9
デバフ:
・優希→【行動】【体力】-1(打撲、【5日目 03:20】まで)
1. 移動する
・炭鉱迷宮第5階層に出る
(【体力(椿屋)】+【体力(山下)】× 0.5)× 8 + 20 = 116:自動成功(天岩戸開閉)
・地下通路を通る(20分)
・場所指定(地図参照)
2. さぐる
・内容指定(成功再判定)
・辺りを見渡す
(【探索(優希)】+【探索(京太郎)】× 0.5)× 8 = 84
・話をする(10分)
3. その他
・装備を変更する
・グループ分けを変更する
<現在のグループ>
・なし
4. 終わらせる
5. 自由安価
↓2
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 17:34:18.77 ID:eFX6BmKro
今さら物理的な対策がいるとは思えんな
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 17:35:44.38 ID:cU/gGq/eo
4
一応京太郎以外は離れてた方がいいと思うけどね
360 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 17:44:17.43 ID:lmlmufk60
どのくらい離れさせますか?
1. 洞窟内
状況に応じて援護可能ですが、危害が及ぶ可能性があります。
2. 洞窟外
地下通路、あるいは『天岩戸』外側。
援護はできませんが、洞窟内とは隔てられています。
↓2
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 17:46:06.49 ID:SP6nhRMXo
1で
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 17:46:39.66 ID:NBNX3Ez9o
1
363 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 18:04:10.46 ID:lmlmufk60
1. 洞窟内で離れさせる
京太郎「俺が目の前でオフラシサマを迎える。みんなは少し下がっていてくれ」
和「下がって、って......須賀君!それは危険すぎ――――」
京太郎「――――和、俺は大丈夫だ」
和「須賀君!」
優希「のどちゃん、忘れたのか?こいつは自分が死ぬ未来が見えるんだ」
優希「相手がそんなヤバいんなら実質予知し放題だじょ?」
優希「京太郎の一人や二人、そのへんほっぽいても大丈夫だろ」ヘラヘラ
和「でも......!」
和「......わかりました。無理はしないでくださいね」
京太郎「和も、もしもの時は援護頼んだぜ」
実際のところ、少なからぬ無理は通さなければならない状況なんだけど......とは言えなかった。
上手く言いくるめてくれた優希に感謝しないとな。
だが当の優希が話しかけてきたのは、そうして全員が持ち場に着こうというときだった。とてもか細い声だ。
優希「......京太郎」
京太郎「なんだ?」
優希「どうか、無事で」
京太郎「おいおい、無事じゃない時はお前に助けてもらえるんじゃなかったのか?」
優希「......そうだったじぇ」ニコッ
364 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 18:06:25.78 ID:lmlmufk60
京太郎「待たせて悪かったな......始めようか」
榎田爺「相分かった。それでは――――」
皺だらけの口が呪文を紡ぎ出し始める。流れてくるその音に耳を傾けるが、とても意味のある言葉のようには思えない。
例えるとすればそう、まさに念仏というのが音としてもイメージとしても近いだろう。
榎田は「きっと古い言葉が混ざり合ってそのまま残ってるんだろうね。古代の日本語とか、あるいは漢語や梵語とか」と説明してくれた。
数分もしないうちに本物の雲が周囲を漂うようになり、やがて木で作られた男の周りに集まっていった。
久「いよいよね......」
まこ「ああ」ゴクリッ
結局のところはオフラシサマを鎮めるにはこの『櫛』を髪に挿すほか手段はない。他方、その櫛はたった一本しかないのだ。
『蘇生』が使える2人は後衛に回すとして、14人――――榎田の爺さんを除けば13人が囮になる。そして残った一人が神様の背後を取ってトドメを刺す。
俺たちの作戦は、そういう至ってシンプルな算段だ。
さて、問題の一人はというと......
・誰が櫛を挿す?
>>5-7
より一人指名(榎田爺除く)
一応安価取ります
↓2
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 18:09:59.72 ID:NBNX3Ez9o
京太郎しかいないでしょ
366 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 18:10:16.54 ID:CIG0qXnzo
↑
367 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 18:41:04.58 ID:lmlmufk60
・須賀京太郎
京太郎「......咲、行くぞ」ギュッ
右手に櫛を、可憐に咲く一輪の花が精巧に彫られたその櫛を握りしめる。
榎田爺「――――――――――――!」チラッ
依然舌を回したままの老人の顔が、僅かにこちらを向いた。そろそろ『降りてくる』という合図だ。
最初は白く、可笑しく言えばわたあめのような見た目をしていた薄い雲が、みるみるうちにその色を煤けさせていく。
そして今にも大雨を降らせそうな雨雲に姿を変えた頃、不意に背中を寒気が襲い――――
368 :
◆copBIXhjP6
[!蒼_res saga]:2020/11/28(土) 18:42:02.70 ID:lmlmufk60
――――その瞬間、一辻の風が走った。
369 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 18:43:00.61 ID:lmlmufk60
京太郎「!!」
間一髪、瞬時に姿勢を沈めた俺の後頭部を冷たいモノが掠めた。だが一瞬のうちに風を切っていった気配は、無機物のそれではない。まるで......
......そうだ、みんなはどうなってる?
京太郎「みんな!大丈夫.........」
370 :
◆copBIXhjP6
[!red_res saga]:2020/11/28(土) 18:44:40.16 ID:lmlmufk60
その先には、立っているものは一人として存在しなかった。
あるものはうつ伏せになって倒れ込み、あるものは仰向けになって倒れ込む。
そのどちらも、緋色の血潮を湯水のように流す。
あるものは脚を失い、あるものは腕を失う。
そのどちらも、言葉にならない呻きと共に地を這う。
あるものは助けを求め、あるものは何も発さない。
そのどちらも、じきにその灯火の消えることだろう。
あるものは胸を失い、あるものは頭を失う。
そのどちらも、とうにその灯火の消えていることだろう。
あるものは泣き叫び、あるものは............
371 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 18:45:44.22 ID:lmlmufk60
俺には何もできなかった。脚はあるが歩くことはできず、口はあるが声を出すことはできず、胃はあるが吐くこともできなかった。
だが何故だろう。後ろへ首を戻し、目を背けることだけはできた。
老人はそれを見て唖然とし、あるいは震えている。どうでもいい。
俺の脚は俺の身体を支えるのを止め、地面に座り込んだ。どうでもいい。
俺の眼はただ一点を見つめ、雲の晴れたあとを観察している。どうでもいい。
俺の身体は微動だにせず、剣が再び振り下ろされるのを――――
BADEND:「怒り」
372 :
>>364から
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 18:47:58.31 ID:lmlmufk60
榎田爺「相分かった。それでは......」
京太郎「――――――――待てッ!」
気がついた時には、俺はここに立っていた。
【4日目 17:50】 小佐目山 祭壇
どうする?
持ち物:
>>150
同行者:清澄、大学生、社会人、旅館夫婦、椿屋、榎田親子、柊
ステ :
>>5-7
周囲 :
人 :
武器 :
>>9
デバフ:
・優希→【行動】【体力】-1(打撲、【5日目 03:20】まで)
1. 移動する
・炭鉱迷宮第5階層に出る
(【体力(椿屋)】+【体力(山下)】× 0.5)× 8 + 20 = 116:自動成功(天岩戸開閉)
・地下通路を通る(20分)
・場所指定(地図参照)
2. さぐる
・内容指定(成功再判定)
・辺りを見渡す
(【探索(優希)】+【探索(京太郎)】× 0.5)× 8 = 84
・話をする(10分)
3. その他
・装備を変更する
・グループ分けを変更する
<現在のグループ>
・なし
4. 終わらせる
5. 自由安価
↓2
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 18:50:45.87 ID:vNllzuVpo
まさかコンマ判定もなくバッドエンド直行とは…蘇生のオカルトも使えず、状況に応じて援護可能とはいったいなんだったのか…
374 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/28(土) 18:53:16.32 ID:lmlmufk60
仕様です。
安価なら下
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 18:54:04.74 ID:CIG0qXnzo
4
京太郎一人残って榎田爺以外天岩戸の外に待機
376 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 20:00:40.01 ID:lmlmufk60
4. 終わらせる
榎田爺「む、どうした?」
久「須賀君......?」
突如叫びをあげた俺に対して奇怪の目が向けられる。
「始めよう」と言ったかと思えば今度は「待て」と大声で止める......彼らには、そう見えていることだろう。
京太郎「違う、ここにいちゃダメなんだ!」
京太郎「クソッ!なんなんだよ、あれ......!」
山下「待ってほしいのはこっちのほうだぜ、須賀。ちょっと落ち着けよ」
山下「一体何があったんだ?」
目の前の彼らは確かに生きている。怪我もないし、しっかり足を地につけて立っている。なにより五体満足だ。
――――あれはただの夢。その事実を自分に言い聞かせることで徐々にではあるが、少しずつ冷静さを取り戻しつつあった。
京太郎「はぁ、はぁ...はぁ......はぁ.........」
京太郎「......あぁ、取り乱して悪かった。実は.........」
数分後には、面々が並べる顔からは血の気が瞬く間に引いていった。
向坂「どーいうことかは理解した。したけどよ......」
女将「なら、どうしろっていうのかしら」
京太郎「......何もしなくていい」
京太郎「俺が決着をつける」
優希「京太郎!」ガタッ
優希「さっきはああ言ったけどな!私たちを締め出さそうってなら話は別だじぇ!」
優希「そもそも―― 「優希」 ――」
京太郎「......もし優希がいたとして、それならどうなるってんだ」
俺は死なない――――その未来は全て可能性の塵となる。
先程の『未来』を思い起こすが、勝つためにはあと何人の『俺』が必要なのか皆目見当がつかない。一人、十人、五十人............それ以上だろうか。
しかしそれらの記憶を経て、勝利する『俺』は必ず現れる。
これは俺だけに限った話だ。俺以外の......記憶を持ち越せない人間が、あの攻撃を最後まで凌ぎ続けることは不可能だろう。
神様が鎮められた瞬間、そこには彼らの死体が存在してはならない。
377 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 20:01:30.16 ID:lmlmufk60
<最終決戦について>
最終決戦は5回のコンマ判定で、回を経る毎に判定値は厳しくなっていきます。
その成功回数によってエンディングが変化します。
・0回
最悪の結末
・1回
ビターエンド
・2回以上
ハッピーエンド
ただし、条件を満たしているため最初の一回は自動成功となります。
夕飯行ってきます。21時からコンマ開始します。
378 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 21:09:03.54 ID:lmlmufk60
再開します
379 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 21:10:25.54 ID:lmlmufk60
【4日目 18:00】 小佐目山 祭壇 天岩戸
椿屋「......閉めるぞ」
山下「せーの......ッ!」ゴゴゴッ
大岩によって坑道への道が閉ざされるその瞬間まで優希は俯いたままだった。やれやれ、帰ったらフォローしてやらないとな。
こうしてこちら側に残されたのは、いよいよ俺と爺さんの二人だけになった。
......彼だけはどうしても残らざるを得なかった。オフラシサマを降臨させるにはこの男が必要だ。
京太郎「貧乏クジ引かせちまって、その......本当に済まないと思ってる」
榎田爺「私は本望だから気にするな。どうせ、老い先短い人生よ」
京太郎「......その余生、無駄にすんなよ」
【4日目 18:00】 小佐目山 祭壇
正直な話、この身体は足先から頭頂部に至るまですべて震えていた。俺は、これが武者震いなのだと思うことにした。
皺だらけの口が呪文を紡ぎ出し始める。流れてくるその音に耳を傾けるが、とても意味のある言葉のようには思えない。
きっと古い言葉が混ざり合ってそのまま残ってるんだろう。古代の日本語とか、あるいは漢語や梵語とか.........
京太郎(ま、あっちの榎田の受け売りだけどな)
やはり本物の雲が周囲を漂うようになり、次第に木偶が黒い霧の壁に閉じ込められる。
懐から櫛を......『咲』を取り出して右手に握った。その時まで、絶対に離しはしない。
京太郎「爺さん、あんたは一人じゃ逃げられないだろうから二つだけ言っておく」
京太郎「できる限り姿勢は低くしてろ。それから――――」
京太郎「祈っててくれ」
(【オカルト(京太郎)】+【オカルト(咲)】)× 9 = 99
条件:第一撃を一度経験する→自動成功!
380 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 21:13:35.95 ID:lmlmufk60
京太郎「へっ、初見殺しはもう通用しないぜ」
厚い暗雲の幕を破り、男が姿を現す。
しかしその身体は檜、杉や松、地球上に存在するどんな木材とも似つかない、紛れもない人間の皮膚で覆われているように見えた。
伸ばし放題の髭や毛髪、身体を包む端々が縒れた白布が体現する彼の粗野さを一言で言い表すなら......
京太郎「......『荒ぶる神』」
右手に握られていたのは、数時間前まで山下が穴が開くほど眺めていた鈍らではない。
頑強に打ち鍛えられた刀身がギラリと松明の光を反射して――――
オフラシサマ「――――――――――――!!!!!」
――――大きな空洞に、咆哮が轟いた。
(【オカルト(京太郎)】+【オカルト(咲)】)× 7 = 77
↓3
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 21:14:06.85 ID:GeRGDFlLo
下
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 21:14:28.48 ID:bnPM6mgpo
77より上なのか下なのか?
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 21:14:43.26 ID:K0Dfucl5o
ほい
384 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/28(土) 21:18:55.47 ID:lmlmufk60
本スレの判定は全て下方ロールです
385 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 21:36:51.16 ID:lmlmufk60
26/77→成功!
京太郎(読める......)
目前の豪腕が一挙に振り下ろされ、握られた武具が俺の退いた後の何もない空間を通過する。だがそのさらに先にも同じように虚空が続いているわけではない。
そのままの勢いで強く叩きつけられた地面は容易く砕け散り、小石がおよそ俺の背の高さほどにも舞い上がる。
そのうち弾丸のように撃ち出されたいくつかが、俺の顔の真横を飛んでいった。
京太郎「うおっ......!」
京太郎(あんなんで叩き斬られれたらまず怪我じゃ済まないな)
京太郎(でも、兎に角爺さんから一旦距離を取らないと......)タッタッタ
動作後の隙を突いて間合いを取ろうとする。
しかしその俺を逃すまいと、その直後に巨体が地面を蹴った。
(【オカルト(京太郎)】+【オカルト(咲)】)× 5 = 55
↓3
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 21:38:46.88 ID:uwGgsVEQ0
どりゃ
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 21:43:14.71 ID:/VXAAVMs0
加速
388 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/28(土) 21:49:06.77 ID:lmlmufk60
ひょっとしてエンド確定しちゃったから興が削げちゃった感じでしょうか?
成功数でハッピーエンドでも内容違うのでぜひご参加を......!
コンマなら下
389 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 22:16:32.58 ID:uwGgsVEQ0
どうだ
390 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/28(土) 22:50:36.29 ID:lmlmufk60
58/55→失敗
オフラシサマ「――――――――!!!」
京太郎「速い......ッ!」
彼は走り出したというより跳んでいた。
丸太ほどにも太い脚がこの地球を押し潰さんとするかの如く加速度を与え、その動きは俺の予想より遥かに俊敏だ。
毛むくじゃらの右手が空気を薙ぎ払うかのように水平に剣を振る。そして......
俺の胴体は木の枝のように、いとも簡単に真っ二つにされた。
京太郎「......!」
意識が一瞬だけ......ほんの一瞬だけホワイトアウトすると、丁度小石の銃弾が俺のすぐ脇を通り過ぎていった後だった。
上半身と下半身は迷子になっていないし、腸もあるべき場所へ収まっている。
京太郎「おいおい、あんなのどうやって避ければ......!」
京太郎「......試してみるか」
先程と同じようにオフラシサマから離れようと走るが、今度は全く別の意図を持っていた。
彼が横に跳ね、地面の砕ける音が聞こえると同時に――――
京太郎(――――俺も飛ぶ)
恐怖はない。まるでここが高校の体育館で、目の前にマットが敷いてあるかのように地面へと飛び込む。
俺の腰が数瞬前まであった空間を切り刻んだオフラシサマは、俺の前方に着地して動きを止めた。後頭部がガラ空きだ。
京太郎(もらったッ!)
実に一年ぶりか、俺は自分の身体をまるであの頃のように自在に操ることができている。
素早く体勢を立て直し、オフラシサマの背中へ飛び込もうとした。
(【オカルト(京太郎)】+【オカルト(咲)】)× 3 = 33
↓2
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 23:14:26.74 ID:/kDpfQXIo
ん
392 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 23:20:53.62 ID:Sros4VU+o
そろそろハッピーエンド投下されたかと思って見たらまだコンマ判定が続いていたでござる
393 :
◆copBIXhjP6
[sage]:2020/11/28(土) 23:33:21.85 ID:lmlmufk60
このままだと最後のコンマが出るの朝くらいになりそうだけど気にせず強行だ!
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 23:40:25.35 ID:vNllzuVpo
エンドが決まる最終決戦がコンマ神による運ゲーで、一番良いエンド見れる可能性が一番高い選択がオカルト7のキャラに櫛装備させる事だったっていうのが悲しい
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/28(土) 23:47:01.36 ID:dbT5xfuao
>>394
いや、女キャラで櫛に出来るキャラ全員櫛にして榎田ジュニアに全部持たせて戦ってもらえば運要素なくせたんじゃないか?クシナダヒメ召喚判定に運が絡むけど
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 00:08:33.43 ID:6dYk4ELio
出来る出来ないは置いといて発想が主人公じゃなくてオフラシ様側だなもはや
397 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/29(日) 00:57:18.23 ID:Lz367GE60
62/33→失敗
その時、オフラシサマの肩が微かに動いた。
京太郎(マズい、斬られる!)サッ
京太郎「.........えっ?」
俺はてっきり彼はこちらの動きを分かっていて、後方を薙ぎ払ってくるだろうと考えていた。だからこそ足を止め、一旦下がったのだ。
にも拘わらずこの体躯は俺の方へ注目するどころか――――次の瞬間には、視界から消えた。
京太郎(消えた?.........いや、違う!)
京太郎(なあ、嘘だろ――――)
この時俺はたぶん天井を見上げたのだろうと思う。『と思う』というのは、果たして自分が本当にそうしたのか不確かだからだ。
なにせそれと同時に俺の頭蓋骨は粉々にされちまったからな。
だが今度はその眼に確かに焼き付けた。
上空から迫り、俺にその剣を突き立てるオフラシサマの姿を。
京太郎(って、避けられな――――)
右に避ければ薙ぎ払われる。
後ろに避ければやはり薙ぎ払われる。
前へ逃げれば剣先は届かないが、その巨躯によって押し潰される。
では動かなければ?脳天から串刺しだ。
もっと速く。追いつかない。
姿勢を低く。何の効果もない。
鉄パイプで応戦。この威力の前では一枚の紙にも等しい。
なら今度は.........
.........
.........
......
......
...
...
..
..
京太郎「.........来たッ!」
オフラシサマ「――――――――――――!!」
こんなことに慣れる人なんて誰もいないだろうと自分を嘲笑う。一回、十回、百回.........幾度となく試行し、幾度となく殺されてきた。
そして今、この瞬間が来たんだ。
彼の僅か右斜め後ろ、丁度剣先の触れないリーチの外――――そこに活路はあった。
その強烈な勢いのまま剣は硬い地面に深く突き刺さる。振り返れば、オフラシサマの後姿はたった二メートルの先に見えていた。
京太郎(剣を引き抜くまでの刹那、これに賭ける――――!)
(【オカルト(京太郎)】+【オカルト(咲)】)× 1 = 11
↓2
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 01:39:16.64 ID:7yCjYdvV0
踏み台
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 02:48:04.52 ID:6dYk4ELio
ん
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 09:57:27.48 ID:viy/ZBHVo
このスレでコンマ判定したらこうなるのは目にみえてましたね
401 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/29(日) 10:21:47.77 ID:Lz367GE60
52/11→失敗
............
............
.........
.........
......
......
......
......
...
...
..
..
..
.
.
.
俺は未だ、最早何回目とも知れない試行をただひたすらに繰り返していた。
右脚が、次いで左脚が千切れんばかりに地面を蹴り、俺を乱雑に束ねられたオフラシサマの後ろ髪へ運ぼうとした。
だが彼の動きはあまりにも鋭利だ。須臾の間にも剣を引き抜き、背後を見ようともせずにそのまま振りかざす。
その経路は丁度俺の首の向かう辺りを辿ろうとしている。どうやろうとしても、これを避けることはできずにいた。
京太郎(..........また、ダメなのか)
そしてその僅か後には――――
402 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/29(日) 10:22:29.78 ID:Lz367GE60
――――あるはずの切っ先が、それを刈り取った。
403 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/29(日) 10:23:20.50 ID:Lz367GE60
オフラシサマ「――――――――!?」
京太郎「.........天羽々斬!」
オフラシサマ、そして命拾いした俺自身でさえその出来事に驚愕している。
本来なら今頃は何もかも叩き斬られ、俺は再び数瞬前の過去へ引き戻されるところだった.........もう、何度味わったかも分からない感覚だ。
だが現実は違う。俺の首を掻き切らんとしたのはその剣に、天羽々斬に存在しない先端だったのだ。
京太郎「届けぇぇぇッ!!!」
右手は、そこに握られている櫛はただ一点を目指した。
404 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/29(日) 10:25:36.01 ID:Lz367GE60
【同時刻】 小佐目山 炭鉱迷宮 第5階層
優希「......音がしなくなった?」
つい数秒前まで、この大岩の向こうからは聞いたこともないような音が漏れ出ていた。
きっと見たこともないようなことが行われていたのだろう。
それがどういうことだろうか、今や私の鼓膜を揺らすのは私自身の心音とここに集まる十数人の呼吸音だけ......それも殆どが闇に吸い込まれる。
狭い坑道は、静寂に包まれていた。
和「まさか、ついに決着がついたんじゃ......」
山下「その可能性は高いな」
米本「なら早く行かないと!」
堂島「安直すぎる!須賀君が勝ったのならいいさ」
堂島「でも仮に負けたんだったら――――」
優希「――――バカ、それなら尚更行かないとダメだじぇ!」
京太郎が敗北したのだとしたら、一体祭壇は今どうなっているだろうか?爺さんは生きているのか、それとも死んでいるのか。
どちらにせよ身体の自由が効かない以上出来ることは少ない。私たちが何もしなければオフラシサマはついに野放しになってしまうだろう。
そうなれば私たちの命はおろか、村の存続さえも絶望的である。
しかしこれも自分を納得させるための建前でしかない。
実際のところ、私の本音は一刻も早く京太郎の安否を確かめたい――そして、仮に傷ついているのなら助けなければ――その一心だった。
数人の力によって『天岩戸』が再び動かされる。
開ききらないうちに、私の小さな身体はその隙間から駆け出していた。
優希「......!」ダッ
久「あっ、ちょっと!」
まこ「優希!待ちんさい!」
優希(ごめん、先輩!)
洞窟へ続く狭い通路を一目散に走る。
祭壇で一体何が起こっているのか。それがもし見たくない現実だとしたら......そう思うと、走りきってしまうのは少し怖かった。
それでも僅か十メートルにも満たない短い道のりだ。
やがて私の前に、一つの風景が広がる。
405 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/29(日) 10:28:06.67 ID:Lz367GE60
おはようございます。
これにて全安価終了になります。
今日の夜からエピローグを投下しますので、それまでに
疑問意見被告人質問等ありましたらお書きください。
406 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 12:05:59.71 ID:xjXeGUPio
こういう謎解き系の安価は初めてだったからそういうものなのかも知れないけど、質問の判定に成功したのに人質の居場所知らないって嘘ついてたり明らかにシステム的な選択肢の時に判定の余地もなく全滅badエンドとかはちょっと理不尽かなと思ったな
407 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 13:57:38.82 ID:AiX9zOkxo
こっちのルートって最終的には絶対この5回のオカルトステによるコンマ判定になるの?それだとあまりにも京太郎の初期ステが重要過ぎない?
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 17:36:59.30 ID:540+YaYNo
そもそもエンドが単純なコンマ値で変わるのがどうかと思う。特にハッピーエンドでも分岐するのとか完全なハッピーエンド迎えられる確率が低すぎるのとか。京太郎死なないから死に戻りも出来ないし。
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/29(日) 18:09:26.92 ID:lMX8rRh2o
二回も死んでなおギリギリハッピーエンドという残念な結果だけどどこでルート間違ったんです?
410 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:00:11.72 ID:x3x1P+hQ0
いろいろ残るものはありますが、とりあえずエピローグ投下です。
411 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:01:28.43 ID:x3x1P+hQ0
【12月中旬】 清澄病院 203号室
コンコン
「どうぞ」
がちゃりと音を立てて二人の女性が入ってくる。
一人は熊倉トシ、宮守女子麻雀部の監督。そしてもう一人は永水女子三年生の薄墨初美。
薄墨さんが来ると聞いた時は少々戦慄したが、現在の彼女は大分常識に則った衣服を纏っていた。
普通のトップスに普通のボトムス、普通のコート......うん、はだけた白い小袖も奇怪な仮面もここには見受けられない。
初美「お邪魔しますよー」
「お久しぶりです。熊倉さん、薄墨さん」
初美「そうですねー......前回は皆さんが帰ってきた直後だったから、三ヶ月ぶりですか」
トシ「遅れてすまないね。なにせ街の方でこの子の服を見繕ってたから」
「服、ですか?」
初美「そうなんです!冬だからっていくらなんでも寒すぎですよー!」
トシ「ここは日本有数の豪雪地帯だよ?あんな服装じゃそりゃ寒いだろうね」ケラケラ
初美「雪なんて霧島じゃ年に一回降るかどうかくらいなのに......」
(どんな格好で来るつもりだったんだろう)
それからは三人、他愛もない話で盛り上がっていた。秋の新人戦のことにコクマのこと、薄墨さんがすぐ近くで溝に嵌まり頭まで雪に埋もれてしまったこと。
宮守ではみんな受験ムードであるということ.........三年生は大変だな。そう思いながら薄墨さんを見ると、対岸の火事というふうに耳を傾けていた。
しばらくして、熊倉さんが壁に掛けられた時計をちらりと見た。
トシ「さて。そろそろいい時間だし、本題に入ろうかね」
トシ「小佐目のことと、それから――――」
トシ「――――そこで眠りこけてる須賀君のことも」
京太郎「............」
咲「そう......ですね」
トシ「まぁそっちは後回しにするとして、まずは薄墨の方からにしようか」
初美「はいはい、私の出番ですよー」
412 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:02:19.82 ID:x3x1P+hQ0
初美「あの後、警察の捜査とは別で全国各社合同の調査隊が派遣されました」
初美「うちからも神主さんと巫女さんを何人か......私と霞ちゃんも行ってきました」
初美「ほんちょーの人たち、人使いが荒いのですよー」
トシ「へぇ......でも提案したのは霧島からなんだろう?」
初美「おエライ方には色々あるらしいですけど、私にはさっぱりです」ヤレヤレ
初美「それで...........」
〜〜〜〜〜
413 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:02:55.44 ID:x3x1P+hQ0
【10月下旬】 小佐目山 祭壇
初美「おー!これはなかなか壮観壮観」タッタッタ
霞「初美ちゃん、はしゃぐと恥ずかしいわよ?」クスクス
霞「それにしても、こういうのは小蒔ちゃんの方が得意だとは思うんだけど......」
初美「姫様をこんなヤバそうな所には連れてこられないし、仕方ないですよー」
霞「さて、どうかしら......」スッ
初美「大物は居そうですかー?」
霞「...............もう微かだけど、お一人だけ」
初美「やっぱり完全には祓いきれてないみたいですねー」
神職A「あの子たち、霧島の六女仙だっけか?」ヒソヒソ
神職B「らしい。霧島は何というか、色々と凄いな......」ヒソヒソ
巫女C「あそこまでの感受性とは......流石ですね」ヒソヒソ
神職B「それもそうなんだけどさ。何というか、ビジュアルがね」ヒソヒソ
巫女C「......確かにちょっと両極端すぎ――――」
霞「――――あら、何かご用かしら?」ニコッ
ABC「いえ、何も」
414 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:04:32.18 ID:x3x1P+hQ0
〜〜〜〜〜
初美「あの人たち、ちょっと失礼すぎますよね?!私だってまだまだこれからなんですよー......」グスン
咲「あの、薄墨さん......話がちょっと逸れすぎな気がするというか、なんというか」
初美「!......///」コホン
初美「そ、それで肝心の『オフラシサマ』についてですが」
初美「八坂の人曰く、スサノオノミコトに限りなく近いナニからしいです」
トシ「限りなく近いナニか?」
初美「『元から小佐目村の土地に土着の神様がいたところにスサノオ信仰が入ってきた。そして時代が下るごとにそれらは同格化されていき......』」
初美「『より荒々しさの強調された形で崇拝されていたのだろう』、と」
地下研究室から見つかった日誌......数ヶ月前に読んだその文章の内容を必死に思い出す。
確か、当時の楸野が化政年間に須我神社を訪れたときのことが記されていたはずだ。
文政◯年◯月○日
何月か手記が空いてしまったが、この間に榎田と連れ立って出雲は諏訪大明神へ参ってきた。
壬申の儀以来、予てより行って確かめたいと思っていたので、これがようやく成就したのである。
風土記にも書かれたる社殿の石段を昇り、巴の紋へ深く礼をして宿へ帰った後に榎田に問えば、曰く「オフラシサマとは違う」とのことだった。
果たしてこの男の言うことが確かであるかということは置いておくとして、しからばこれは由々しき話ではないだろうか――――
初美「そのへんの史料も押収済みですよー」
初美「誘拐殺人の証拠なんかもあったから、警察とは一悶着あったらしいですけど」ボソッ
咲「あはは......」
トシ「日本の神道はどうなってるんだい、まったく......」
415 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:05:51.37 ID:x3x1P+hQ0
だがここで一つの疑問――――というより不安が残る。
霎伝によれば櫛を使って榎田が鎮めた後もオフラシサマは登場していたようだし、実際薄墨さんの話の中でも「祓いきれてない」という文言があった。
京ちゃんがやろうとしていたことは、まだ終わっていないのだ。
咲「あの......この後、小佐目村はどうなるんでしょうか?」
初美「......これから何とかしていくしかないですねー」
初美「取り敢えずのところは神楽神社を整備して、そこを拠点に色々と研究していくらしいです」
初美「次の壬申までに.........『六十ヶ年計画』って、ほんちょーの人は言ってました」
トシ「六十ヶ年か。スターリンもびっくりだね」
初美「まあ、私たちがおばあちゃんになるまでには解決策は見つかると思いますよー」
トシ「それは私に対する当て擦りかい?」
初美「そ、そういうつもりじゃないですよー!」アタフタ
トシ「はは、冗談だ」
〜〜〜〜〜
トシ「さて、次は私の番だね」
熊倉さんが持参のマイ湯呑み――何故かエイスリンさんのイラストがでかでかと書かれている――に入った煎茶を飲み干す。
そして京ちゃんの寝るベッドの方を一瞥した後、こう続けた。
トシ「彼の『オカルト』を聞いて即座に連想される人物が一人」
トシ「......私はまず、千里山に行ってきた」
416 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:07:32.88 ID:x3x1P+hQ0
【10月上旬】 千里山女子高校
雅枝「お久しぶりです、熊倉監督」
トシ「いやいや、私はもう監督じゃない。あの子たちももう引退だし」
雅枝「寂しいですか?」
トシ「......そりゃあね」
雅枝「ま、ほんならそういう話も後で落ち着いたらしましょか」
雅枝「怜!熊倉先生が来たで」
怜「はーい......」ムクリ
怜「もう、ウチは受験生ですよ?勉強せなあかんのに」トコトコ
浩子(いや、ずっと清水谷先輩の膝で寝とったやん)
〜〜〜隣室〜〜〜
怜「つまり、『死ぬ未来を予知する』能力っちゅうわけですか」チュー
トシ「そう本人は言っていたそうだよ」
怜「ほーん。お、これ美味いわ」チュー
トシ「それはよかった――――それで参考までに園城寺さんの話を訊きたくてね」
怜「なるほど......」プハッ
怜「説明が難しいけど......私のは『見る』って感じで、その男子のとは同じじゃないで」
トシ「というと?」
怜「未来が――私は一巡先やけど――見えるのは確かなんやけどな」
怜「なんというか、他人事っぽいいうんですか.........未来がパッと浮かぶ。そんな感じなんですわ」
怜「その......えーっと、なんちゃら君は―― 「須賀君」 ――そうそう、須賀や」
怜「須賀君は光景だけじゃなくて、暑いとか寒いとかそういうのも全部感じとったんやろ?」
怜「私とはやっぱりちょっと違うなぁ」チュー
417 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:08:34.76 ID:x3x1P+hQ0
〜〜〜〜〜
トシ「その後も色々と訊いて回ったよ」
トシ「宮守の子たちは当然だけど、他にも――――」
熊倉さんの口からは次々と人名、あるいは組織の名前が吐かれていった。
そのうちの私にも聞き覚えがあったいくつかは全て全国各地に散らばっている。この人、三ヶ月でどれだけ動いていたのだろうか。
初美「そういえば、霧島にも来てたって聞いたのですよー」
トシ「ああ、その時は薄墨は居なかったね。神代さんには色々と世話になったよ」
トシ「ともかくだ。そういうことを延々と続けて、私はある一つの仮説に思い至った」
咲「仮説......ですか」
トシ「ああ。須賀君のオカルトは『死ぬ未来を見る』というものではなくて......」
トシ「『死んだ瞬間、時間を巻き戻す』ものじゃないか、ってね」
「時間を巻き戻す」......受動的に見るか、あるいは能動的に動かすか。
しかし本質的な部分は置いておくにしても、この間にある実際的な差異はあるのだろうか。
初美「確かに凄いですけど、それって何か違うんですかー?」
初美「結果としては予知してるのと変わらないように思えるんですけど」
トシ「ああ、勿論だよ」
トシ「未来が見えるだけだったとしても、その感覚まであったのなら当然表面上は同じだろうさ」
トシ「だが巻き戻されるまでの出来事は実際に起こったことだ。もっとも、須賀君以外には分からないけども」
トシ「もし須賀君が全てを『体験』していたとしたら――――」
咲「.........」
初美「.........」
トシ「――――魂の摩耗、とでも言えばいいのかね」
トシ「彼には休養が必要なんだろう」
トシ「それが何時までかは分からない。明日かもしれないし、十年後かもしれないけど......」
トシ「......私たちには、それを待つしかないよ」
418 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:09:48.52 ID:x3x1P+hQ0
しばらくして二人は再び病室の扉を開いた。松本の方で宿を取っており、明日は城を観光してからそれぞれの土地へ発つという。
去り際に渡してくれたメモには、「もし何かあればここに」という言葉が添えられた連絡先が走り書かれていた。
病院の面会時間も終了が迫り、帰り支度を始めようと腰を上げたときのことだ。
ふと私は京ちゃんに歩み寄って、その横顔を右手で撫で下ろした。
咲「ねえ、もうすぐ年末だよ?」
咲「先生が『そろそろ出席数がヤバい。三学期もいなければ須賀は留年だ』って言ってたし」
咲「このままじゃ京ちゃんが後輩になっちゃうよ!」
咲「新人戦も出れなかったし、ハロウィンもクリスマスもできなかったし......」
咲「いつもうちの雪を下ろしてくれるからお父さんも喜んでるのに、今年はしてくれないの?」
咲「......ねえ、起きてよ」
京太郎「............」
咲「......ふーんだ!京ちゃんがねぼすけなのは知ってますよーだ!」
咲「しょうがないから私が待ってあげるよ」
咲「だから今度からわざわざレディースランチのために呼ばないこと!部活ですぐ飛ばないようにもっと練習すること!」
咲「それから、それから.........それからね............」
咲「.........またね、京ちゃん」
419 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:10:43.81 ID:x3x1P+hQ0
【元日】 清澄近くの神社
ガヤガヤ
久「うわっ、夜遅いのにすごい数ね」
まこ「正月じゃしこんなもんじゃろう?」ガジガジ
優希「ぶちょー。私も一本ほしいじぇ」
まこ「『ください』、な」
和「この近辺でも一番大きな神社ですしね。人は多いですけど、その分楽しめそうです」
優希「でも、また京太郎は来れなかったな......」モグモグ
「「「.........」」」
咲「......来年は」
咲「来年は、きっと来れるよ」
420 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:11:27.55 ID:x3x1P+hQ0
【2月上旬】 roof-top
カランカラン
和「ふ、ふくはーうち//」パラッ
優希「おにはーそとだじぇ!」パラッ
おっさん「いてっ!」
まこ「馬鹿もん、お客さんになに投げつけとんのじゃ」ゴツン
久「しかもそれじゃあお客さんが鬼になっちゃうじゃない......はぁ、いらっしゃいませー」
優希「竹井先輩、なんか元気ないじぇ?」
久「教室がみんなピリピリしてるからこっちまで伝染してくるのよ。それで疲れちゃって」
和「早々に進路が決まっただけよかったですね......そういえば部長、咲さんはどうしたんですか?」
まこ「ああ、咲は今日もアレじゃ」
和「なるほど」
久「須賀君も果報者ね。咲が通い妻みたいじゃない」
まこ「久、あんまりそういうことを......」
久「......分かってるわよ」
優希(咲ちゃん.........)
421 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:12:23.50 ID:x3x1P+hQ0
【数ヶ月:4日目 18:10】 小佐目山 祭壇
やがて私の前に、一つの風景が広がる。
優希「......なんだじぇ、これ」
元々この洞窟は不自然なほどに無機質な――――生というものを感じない場所だ。
それにもかかわらず、現在この空間には「荒廃」という言葉がよく当てはまった。
そこらじゅうの地面と壁のところどころは岩石が完全に打ち砕かれ、盛り上がったり凹んだりしている。
そんな中に私は三つの肢体が倒れているのを見つけた。楸野の爺さん、京太郎、それから咲ちゃんだ。
優希「京太郎ッ!」
そのうち最も無事が心配された一つに駆け寄る。衣服は薄汚れて一部に穴が空き、また露出している部分だけでもいくつもの生傷を認めることができた。
臥す彼の胸に耳を当て、首に指を当てる。彼の呼吸音が私の耳に届き、彼の鼓動が私の指に届いた。覚えたての『蘇生』は使うまでもなさそうだ。
和「ゆーき!」
まこ「優希!一人で行ったら危ないじゃろうが!」
追従してきたみんなが後ろからやってきていた。何人かは爺さんのところへ、何人かは咲ちゃんのところへ、何人かはこちらへ。
見れば爺さんは随分と慄いていたが、意識はあるし目立った怪我もないらしい。
久「咲、しっかりしなさい!咲!」
咲「............せん、ぱい?」
久「......よかった」ホッ
咲「あれ......私、いつの間にこんな所に......確か布団で寝て、夢に女神様が――――――――!」ガバッ
咲「――――京ちゃんッ!!」
竹井先輩の介抱も振り払う勢いで私の......京太郎の方へ向かおうとする咲ちゃんの恰好は全て、一瞬にして私の目の前から姿を消したあの時のものと同じだ。
まるで止まっていた時計の針が、いっぺんに動き出したようだった。
咲「優希ちゃん、これっていったい......」
優希「京太郎がオフラシサマを鎮めたんだ」
優希「脈も呼吸もあるし大きな怪我も見当たらない。大丈夫、京太郎は生きてるじぇ」
優希「あとは意識さえ戻れば............」
422 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:13:47.10 ID:x3x1P+hQ0
連休が終わって次の土日に差し掛かった頃、至急の工事によって県道を塞いでいた土砂は概ね除去され、一応のところの通行が可能になった。
予想されていたよりも大幅に復旧が早まった要因には、数日は大雨を降らせるだろうと予想されていた雨雲が
日没頃には何事もなかったかのように消え去り、その後は常に清々しいまでの快晴が続いていたこともあるだろう。
その日、第一便のバスに乗って私たちは小佐目村を去った――――京太郎の乗った救急車を見送った後のことだった。
423 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:14:43.37 ID:x3x1P+hQ0
【3月中旬】 清澄病院 203号室
咲「おまたせ......遅れてごめんね」
京太郎「.........」
咲「今日は竹井先輩の卒業式でさ......やっぱりみんな泣いちゃった」
咲「竹井先輩もそうなんだけど、部長のほうが大泣きで。ふふふ、おかしいよね」
咲「それで、これからみんなで会いに来たいって」
咲「京ちゃんもすっかり人気者だね。前まで影が薄いってぼやいてたのに......」
咲「だから京ちゃんも綺麗にしておかないとダメだよ?タオル持ってくるから、ちょっと待っててね」
京太郎「.........」
424 :
◆copBIXhjP6
[saga]:2020/11/30(月) 04:15:12.72 ID:x3x1P+hQ0
ガチャッ
母「あら、咲ちゃん」
咲「あ、こんにちは。今日は部活のみんなが一緒に来るんですよ」
咲「いつもお見舞いもみんなバラバラだったから......久々に全員で揃って、京ちゃんも嬉しいと思います」フフッ
咲「それで、今身体を拭こうかと―― 「咲ちゃん」 ――」
咲「......なんですか?」
母「......あなたはこの半年、京太郎にすごく尽くしてくれてるわ。私やお父さんくらい――――いいえ、それ以上かもしれない」
母「あなたがどうしてここまでしてくれるのか......それをあえて訊くつもりはない。無礼だもの」
母「でもね、咲ちゃん」
母「あなたの人生は、あなただけのものなのよ」
母「私にこんな偉そうなことを言う権利なんて本当はない......でも、これだけは覚えておいてね」
咲「......ありがとうございます」
咲「でも私はこれで......ううん、これがいいんです」
咲「今はこれが一番、幸せだから」
母「............ほら、こんなバカ息子の身体なんて私が拭いとくから!」ググッ
咲「わわっ!」
母「咲ちゃんはみんなを迎えに行ってあげなさい、ね?」
咲「あっ......ありがとう、ございます」
キィィィィ...バタン
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