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【咲安価】京太郎「清澄の探索者」その2【ADV】

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417 : ◆copBIXhjP6 [saga]:2020/10/10(土) 18:08:54.15 ID:xNc7qBWu0
急に「楸野さんの家に集合」って言われたんだけど、家の周りの雪かきに手間取ってね。
少し遅れて行った時には、僕以外の二人は既に揃っていた。

榎田「お邪魔します」ガラガラ

柊「榎田ぁ、寒いんだから待たせんなよ」

榎田「こっちは親父も動けないし、色々忙しいんだよ...」

楸野「これ二人とも、揃ったのなら早う始めるぞ」

椿屋「......榎田、座れ」

榎田「あ、あぁ。ごめんよ」スタッ

楸野「さて......分かっとるとは思うが、今日集まってもらったのは他でもない」

楸野「今年はついに『壬申の儀』をせねばならぬ。その為の最初の打ち合わせといったところだな」

楸野「まずはお前たちの役割についてだが――――」

この話が始まった時、僕は「何を今更」と思ったよ。壬申の儀なら毎年やってる――おっと、神楽神社の方のことだよ――し、こんな時期から取り立てて話すことなんてないとね。
にも拘わらず他の二人、つまり椿屋と柊は当然のような顔でその話を聞いていたし、挙句の果てには「生贄が――」なんて言い出した。流石に僕はついていけなくなって、こう尋ねた。

榎田「ちょ、ちょっと待ってくれ。みんな何の話をしてるんだい?」

榎田「壬申の儀の準備なんてこんな時期からすることないだろう?そもそも僕たちがすることなんて殆ど無いし――」

椿屋「......?」

楸野「カッカッカ!お前さん、そんな洒落を言う奴だったかな?」

柊「うーん?笑いどころがいまいち分からん...」

榎田「......え?」

彼らは僕の言ってることがよく理解できなかったようだ。いや、僕だってそうだったとも。
ああでもないこうでもないと不毛な問答をそれから何分も続けて、ようやく僕と彼らの間には決定的な認識の溝があることが理解できた。
そして彼らの言う「壬申の儀」が、何を指しているのかも。

榎田「...いやいやいや、それってアレだろ?僕たちが子供の頃に話してた」

榎田「『昔は女の人を殺して神様に差し出していたらしい』...っていう、怪しい言い伝えのことだろう?」

楸野「......お前は今いくつだったかな」

榎田「今年で39ですけど...」

柊「そりゃそうだろうよ。俺らと同い年だもんな」

楸野「まさか、父親から何も聞いておらんのか?」

榎田「何を?」

楸野「.........そうか、彼奴め...」

楸野「仕方ない。ならばこの場で改めて話そうか」

隣の二人はまるで「しょうがないやつだな」とでも言いたげに、あるいは自分はもう知っているという風に、ふっと鼻で笑ってこっちを見るだけだった。
それと対照的な僕は訳も分からず、ぽかんとした顔で楸野さんの話を聞き始めるしかなかった。
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