765楽園sideL3話ルート星梨花

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66 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:41:35.10 ID:ZiJ0Lua/0
P「まあいい。野球をしよう。チーム名は……リトルバスターズだ!(泣)」

桃子、育「桃子(わたし)はリトルじゃないよ」

P「文字通りなんだけど」

星梨花「お兄ちゃん、たった5人で野球はできるんですか?」

P「まずピッチャーキャッチャーだろ? あとは三角ベースにしてファーストサードで、あとバッターでなんとかなるだろ。ランナーは透明ランナー」

星梨花「透明ランナー?」

環「透明ランナーっていうのは、人が少ないときにランナーがいるって想像して野球をすることだぞ」

P「ああ、今もどこかで活躍中に違いない」

星梨花「そういうのがあるんですね。分かりました!」

P「じゃあ最初からキャッチボールやトスバッティングで体を慣らすか」

環「ももこといくには環が教えてあげる」
67 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:42:19.34 ID:ZiJ0Lua/0
P「じゃあ星梨花、とりあえず握り方は教えたし、投げてみな」

星梨花「えい!」コロコロ

P「悪くはないけど、やっぱり女の子投げだな。体重移動から覚えようか、歩く要領で1,2,3で投げる」

星梨花「こうですか?」

P「わるくない。あとは腰をひねってグローブを出した手を引こう」

星梨花「えいっ」

P「やるな。星梨花はとっても筋がいいぞ」

星梨花「えへへ」

P「次はバッティング。トスするからよく見て打ってくれ」

星梨花「……」ブンッ

P「ボールはちゃんとくるから、迎えにいかずにしっかりスイングしよう」

星梨花「はいっ」

P「じゃあ次いくぞ」
68 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:43:13.20 ID:ZiJ0Lua/0
…………
………


P「よしっ練習もそろそろやめにして試合をしよう。基本は環ピッチャーに俺、キャッチャーで回すぞ」

試合がはじまった。

環「いくぞー!」

育「えいっ! 当たったよ!」

P「サードフライだ! 星梨花!」

星梨花「あわわわ!」

P「よしっ星梨花、俺に任せろ!」パシッ

桃子「サード定位置のフライをキャッチャーが捕るのはじめてみた」

星梨花「捕ってくれたんですね。ありがとうございます」

P「野球は全員カバーできるからな。よし次、星梨花打席に立とうか。育はサードに入ろう」

星梨花「なんだかとってもドキドキします」

P「ああ、打席の直前の緊張感いいよな。がんばってこい」
69 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:43:51.38 ID:ZiJ0Lua/0
星梨花の打席

ピッチャーの環がボールを投げる。

環「いっくぞー!」

星梨花「わっ」

2球連続で星梨花は見逃した。

P「ツーストライクノーボールだな。あとワンストライクでアウト。バットは振らないと当たらないぞ」

星梨花「わ、わかりました」

環「そりゃ!」

星梨花「えいっ」

ファールボール!

P「ナイススイング。環は相変わらず遊び球を投げる気はなさそうだ。タイミング合わせてしっかり振ってけ」

星梨花「……」コクッ
70 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:45:13.67 ID:ZiJ0Lua/0
環「これで決めてやるぞっ」ビュン

星梨花「えいっ!」カーン

星梨花「え!? やった! お兄ちゃん! 打てました!」

打球はふらふらとフライ性でサード後方に向かって飛んでいる。

P「星梨花、落ちるぞ! 早く走れっ!」

星梨花「そ、そうでした!」

星梨花はファーストベースに向かって走り出す。

ボールは育の後方に落ちる。

P「育! ボールをそのまま追いかけろ! 桃子は中継に入れ! 環は二枚目の中継! バックホームだ!」

育「うんっ」

桃子「行ってくる!」

環「ホームランにはさせないぞ!」

星梨花はサードベースも蹴った。同時に環が桃子からの送球を受け取る。

環「いっけえええええ!」

環からの矢のような送球。しかもワンバンストライクになる。環を二枚目に置いたのは正解だった。

星梨花はホームに向かって突っ込んでくる。これは際どい。だが、俺が環からの送球を受け取ったのがわずかに早い。

星梨花「えーいっ!」

P「なんだと!」

星梨花のヘッドスライディング! まさか頭からスライディングをするとは思ってなかった俺は不意をつかれホームインを許してしまった。
71 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:45:59.30 ID:ZiJ0Lua/0
だけど星梨花がケガしてないか心配だ。

P「星梨花っ! 大丈夫か!?」

星梨花が砂煙の中、顔をあげる。

星梨花「えへへ、わたし、ホームインしたんですよね」

P「ああ! ランニングホームランだ。初打席ホームランなんてプロでもそうそういないぞ!」

星梨花「やりましたっ!……やりましたっ!」

その様子だとケガした様子はなさそうだ。

P「でも星梨花、泥だらけになってしまったな」

星梨花「わたし、ヘッドスライディングをしてドロンコになるのが夢だったんです」

P「どんな夢だよ」

2人で笑いあってると、みんながホームに戻ってくる。

育「星梨花ちゃん、すごいっ」

桃子「……桃子もぜんぜん打てなかったのに」

環「打たれたぞーっ。これから星梨花は環のライバルだぞ」

星梨花「みなさん、ありがとうございます!」

こうやってみんなで一日中野球をしたのだった。
72 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:46:44.68 ID:ZiJ0Lua/0
帰り道

ほどよい疲労を感じつつ、帰り道を歩く。

小学生組は前方を歩き、わいわい盛り上がってる。元気だな。

星梨花「お兄ちゃん。今日はありがとうござました」

P「ああ、ナイスバッティング。しびれたぞ」

星梨花「とっても楽しかったです。……あの、お兄ちゃん」

P「なんだ?」

星梨花「いつもありがとうございます。お兄ちゃんと過ごした毎日はすごくすっごく楽しかったです」

P「どうした。改まって」

星梨花「えへへ」

P「まだまだこれからだよ。秘密基地ももっと豪華に改築してもいいし、もっと大人数で野球をしてもいい。これから秋や冬になって寒くなったら雪合戦やスキーをしよう。これからもずっとずっと遊ぼう」

星梨花「……うれしいです。そう言ってくれて」

星梨花の目には涙が浮かんでいるようにみえた。

やけに感動屋さんだな。
73 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 16:47:32.84 ID:ZiJ0Lua/0
星梨花「では、わたし今日も一旦、お家に帰りますね。体のメンテナンスがあるんです」

P「今日もメンテナンスがあるのか?」

星梨花「いっぱい汚れちゃったので」

P「まぁそれもそうか。じゃあまた終わったらお家においで」

星梨花「わかりました!」

P「じゃあまたな」

星梨花「わたしその言葉大好きです。またなってまた会おうなって意味なんですよね?」

P「もちろんそうだ」

星梨花は笑顔を向ける。

星梨花「じゃあ、またお会いしましょう!」

星梨花はペコリと深々と礼をして、帰り路についていった。

なぜかその後ろ姿が印象に残った。星梨花がおかしなことを言っていたからだろうか。
74 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:39:15.14 ID:ZiJ0Lua/0
それから2〜3日後。

P「それにしても星梨花あれから来ないなあ」

桃子「お兄ちゃんが変なことして嫌われたんじゃない?」

P「なんもしてねーよ」

このみ「まぁまぁ。そんなに心配なら様子を見に行ってもいいんじゃない? たしかお家は知ってるんでしょ?」

桃子「お兄ちゃん、星梨花の家知ってるの?」

P「ええと、まぁ遊びに行ったこと(不法侵入)があるんだ。せっかくだし行ってくるわ」
75 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:40:10.74 ID:ZiJ0Lua/0
例の日記があった家

P「ここに来るの緊張するなあ。まぁ星梨花が心配だし、仕方ない」ピンポーン

星梨花父「はい、どなたですか?ってキミ、どこかで会ったような」

P「き、気のせいですよ。えっと僕はPといって星梨花さんがウチに居候してたんです」

星梨花父「ああ、キミのところに」

P「で、星梨花が連絡もなく帰ってこなくなったので、もしかしてここかなと」

星梨花父「……星梨花ならもういないよ」

P「は?」

星梨花父「キミはどこまで知っている?」

P「彼女がその……アンドロイドとは聞いています」

星梨花父「そうか。まぁあがりなさい」
76 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:40:50.60 ID:ZiJ0Lua/0
屋敷内 客室

星梨花父「お茶だ」

P「あ、まぁどうも」

星梨花父も紅茶派だ。

向こうが黙っているのでこちらから切り出す。

P「で、星梨花はもういないってどういう意味なんですか?」

星梨花父「……文字通りの意味だよ」

P「……? どこか別の施設とか?」

星梨花父「そういう意味ではない。星梨花は再び永い眠りについたんだ」

P「いやいや、つまらない冗談はやめてください」
77 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:42:02.33 ID:ZiJ0Lua/0
星梨花父「じゃあ単刀直入に言おうか、アンドロイドであるセリカ型から魂を抜き出して、元の身体に戻した」

P「え、元の身体ってたしか、眠り続けているんですよね」

星梨花父「ああ、いつ目覚めるかも、もう分からない」

奈落に突き落とされたように、目の前が真っ暗になる。

P「え?……え?」

星梨花父の言葉を理解するのに数秒かかった。

絶望感、喪失感の襲われ吐き気がしてくる。

敬語も忘れて掴みかかった。

P「なにやってんだ! 星梨花はもう目覚めないから、代わりを作ったんだろ? 魂を元に戻した? そんなの殺したのと同じじゃないか!」

星梨花父「ああ、そうとってもらってもかまわない」

P「そうとってもかまわない? ふざけるのも大概にしろ! 今すぐ、もっかい星梨花から魂を戻してアンドロイドに移植しなおせ!」

星梨花父「それはできない。彼女たっての希望でね」

P「星梨花の希望?」

星梨花父「あの子はああみえて、頑固な子だ。一度言い出したら聞かないんだ」

P「そんなのどうだっていい! アンタ父親だろ?」
78 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:43:02.19 ID:ZiJ0Lua/0
星梨花父「どうだってよくない!」

初めてこの人が声を荒らげた。

星梨花父「私だってね、反対はしたさ! 星梨花に再び会うために、禁忌までおかしたのに!」

机を拳でガンッと殴った。

星梨花父「葛藤はしたさ。だけど星梨花は言うんだ。いつか目覚める可能性があるなら人間に戻りたいって。永遠に目覚めないリスクを負ってまでね!」

P「なんで、そんな……」

星梨花父「ただ、ああまで言われると私もね。子の希望に沿わないわけにはいかない。それ無視して生かし続けることこそ、永遠の虐待だ」

P「……」
79 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:44:24.67 ID:ZiJ0Lua/0
星梨花父「ただ万が一、星梨花が目覚めたとしてもキミが知っている星梨花ではないだろう」

P「それはどういうことですか?」

星梨花父「彼女から聞いてるかもしれないが、眠っている星梨花から魂を抜き出してつくったのがセリカ型だ。つまり共通しているのは魂のみ。あとは人工だ」

P「それって……!」

星梨花父「そう。つまり記憶を司る人間でいう脳の部分もあの子は人工なんだ。だから眠ってから以降の記憶はない。こういうのも悪いが、キミのことも完全に忘れているだろうね」

嫌だ。星梨花に忘れられたくない。

P「それはできないんですか。こう、記憶の共有だとか」

星梨花父「セリカ型の記憶媒体を星梨花の脳に埋め込んだら、それこそロボットを作ることになる。彼女は人間になりたいんだ。彼女の希望から外れてしまう」

星梨花と遊んだ日々と彼女の笑顔がリフレインされる。

もうあれはなかったことになったんだ。

悔しくて、悲しくて、気が付いたら頬に涙が伝っていた。

ギュッと握った拳にそれが落ちてくる。
80 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:45:31.80 ID:ZiJ0Lua/0
星梨花父「こんな別れ方をさせてしまってすまない。キミも辛いだろう。でもだから、だからこそ忘れてくれ、星梨花のことを。星梨花が目覚めるまで葛藤する日々を過ごさせたくはない。キミは若い。まだまだこれからの人間だ。星梨花が目覚めてものキミのことは覚えていないだ。もう、お互いなかったことに……」

P「させるもんかっ!!!」

星梨花父「え?」

P「星梨花のことを忘れろ? 思い出をなかったことにしろ? そんなのできるはずがないっ! 星梨花と過ごした日々は俺の宝物だ! 星梨花が俺のことを忘れても、俺は星梨花を一生忘れない! 葛藤する日々? 上等じゃねえか。喜んで味わってやるよ! 俺は星梨花に一生囚われ続けてやる!」

星梨花父「……そうか。ちょっと待ってなさい」

星梨花のお父さんはある手紙を取り出した。

星梨花父「キミがそう言うなら、これを渡そう。星梨花からの手紙だ。キミがそう答えたらこれを渡すように伝えられていたんだ」

P「星梨花からの……」

レターセットに入っているようなかわいらしい手紙だった。紙なのになぜか温かい気がした。

星梨花父「さて、私はもう一回お茶でも沸かしてくるよ」

星梨花のお父さんが退席する。俺を1人にさせてくれたのだろう。

俺は手紙をそっと開いた。
81 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:46:51.12 ID:ZiJ0Lua/0
お兄ちゃんへ。

これを読んでるころには、わたしは永い眠りについていると思います。

まず、あなたに謝らなければなりません。

相談もせずに、勝手な判断を下してしまって、本当に申し訳ないと思っています。

ごめんなさい。

でも、あなたに相談できなかったのは理由があります。

あなたはわたしが眠りにつくことを知ったら、きっと全力で止めてくれるでしょう。

わたしの意思は固く決まっているのですが、あなたに止められたら、きっと揺らいでしまったに違いありません。

だからこそ相談ができませんでした。

私が人間に戻りたいと思った理由は、正直に言うとあなたなんです。

わたしはあなたを好きになってしまったんです。

どこにでも連れて行ってくれて、なんでも知ってるあなたは、とってもかっこよくて、でもちょっと抜けている(失礼ですね、ごめんなさい)かわいいところもあって、わたしはいつも笑顔でいることができました。

だからこそ、わたしは人間に戻って、対等な存在で、あなたのそばに居たいと思うようになりました。

パパから聞いているかもしれませんが、わたしが目覚めることがあっても、あなたのことを覚えていません。

それでも何故か自信があるんです。

わたしはあなたに何度でも恋をする。

きっとそんな気がするんです。

もし、よかったらお見舞いにきてください。

そして目覚めたら、またわたしとお友だちになってください。

そんな日々を夢みて、わたしは眠りにつきます。

一緒に遊んでくれた環ちゃん、桃子ちゃん、育ちゃんにもよろしくお伝えください。

星梨花より。
82 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:47:41.11 ID:ZiJ0Lua/0
落とした涙で手紙を汚さないように、一文字一文字を噛みしめるように手紙を読んだ。

慟哭といっても過言じゃないだろう。子どもみたいに嗚咽をあげて、とにかく泣きじゃくった。

しばらくして戻ってきた星梨花のお父さんに背中をさすってもらった。
83 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:48:12.27 ID:ZiJ0Lua/0
ある日

桃子「お兄ちゃん、また病院?」

P「ああ、大事な人がいるからな」

桃子「これも持って行ってあげて」

P「室内遊びセットに、野球道具? もしや桃子、誰に会いに行ってるか知ってるのか?」

桃子「さあね。言っておくけど、あの子は転校したってお兄ちゃんが言ってたよね」

P「まあな」

桃子「じゃあ気を付けていってきてね」

P「おう」
84 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:48:44.11 ID:ZiJ0Lua/0
また別の日

環「せりかがいないとつまんないぞー」

P「きっといつか戻ってくるって言ってたから心配するな。それに俺がいるだろ?」

環「だからつまんないって言ったんだぞ」

P「おいこらー」

環「わーい、おやぶんと追いかけっこだー!」
85 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:49:29.02 ID:ZiJ0Lua/0
また別の日

育「Pさん今日も来てくれたね! とっても助かるよ」

P「今日も人助けするか」

育「どうして、よく来てくれるようになったの?」

P「また会えたとき、自分が胸はって会える人間になりたいからかな」

育「むー!Pさんだっこー!」

P「おいまだ、魔力消費してないだろ」

育「足りなくなったんだもん」

P「まったく」

育「そういえば怪人さん、最近みてないけど、どうしたんだろう」

P「さあ、どうなんだろうな」
86 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:50:16.25 ID:ZiJ0Lua/0
別の日

環「おやぶん、遅いぞー」

P「ごめん、ちょっと行かなきゃいけない場所があって」

環「今日は何して遊ぶ?」

P「キャッチボールでもするか」

環「いっくぞー! たまきの大リーグボール一号!」

P「こらこら、変な投げ方するから大暴投じゃないか」

P「ごめんなさーいボール捕ってくださーい」

ツインテールの女の子「はーい。投げますね」

P「……」ポロッ

環「どうしたのおやぶん、あんな良い球を落とすなんて。ひょっとして手元で変化したの!?」

P「ううん、なにもない。ただの見間違えだ」
87 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:50:58.09 ID:ZiJ0Lua/0
別の日

病院の受付「今日もいらっしゃったんですね」

P「ええ、まあ」

受付「よほど仲良しさんなんですね」

P「さあね。初対面ですよ。俺たちは」

受付「は、はあ」

病室

P「よお、今日も懲りずに来たぞー」

星梨花「……」

P「まったく。綺麗な顔しやがって……ってそれは死んでる奴へのセリフか。星梨花、生きてるんだろ? ったくお寝坊さんだな。起きたら寝ぼすけって言ってやるから」

星梨花「……」

P「寝ぼすけって言ってやるから、早く起きてくれよ……」
88 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:51:37.03 ID:ZiJ0Lua/0
別の日

P「よお今日は天気が悪いな。今度秘密基地のメンテナンスしなきゃな」

星梨花「……」

P「ちょっと面白いお茶の葉が手に入ったんだ。今からいれてやるから待ってろ」

星梨花「……」

P「誰かさんのおかげですっかり紅茶派だ。女が男の影響でタバコ吸うのってこんな感じなのかもな」

星梨花「……」

P「ったく優雅に眠りよって。お茶、ここに置いとくぞ」
89 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:52:20.72 ID:ZiJ0Lua/0
別の日

環「おやぶーん! この木材はここ?」

P「おー! ちょっと重いかもだけど脚立に乗ってるから、持ってきてくれ」

環「よいしょ、よいしょ」

P「ありがとう」

環「この前、台風がきたけど、基地はそんなに壊れてなくてよかったぞー」

P「まぁ俺の手腕だな」

環「設計図はあの子がつくったんだぞ」

P「バレたか」

環「しかも、木を切る長さを間違えたせいで、余った木材もあるし。お金がもったいないぞ」

P「じゃあ、どっかに再利用するか。そこの看板とか」

環「看板はあのときのままにしとこうよ」

P「ああ、そうだな」
90 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:57:08.69 ID:ZiJ0Lua/0

あの子がいない日々が毎日毎日続いた。


だけど、寂しくはなかった。

みんながあの子を待っているから。

その子の名前は事あるごとに出てきた。

よほど俺たちへの影響力があるのだろう。

だからこそと言うべきなのか、あの子がずっとそばに居続けて笑ってくれている気がしてるんだ。
91 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:59:06.28 ID:ZiJ0Lua/0
そう遠くないある日

星梨花「……」

P「今日もお茶をいれとくなー」

星梨花「……ええと、ここは?」

P「!!!」

星梨花「これは……紅茶の香り?」

いつかこの日が来ると心の底から信じていたので、自分でも驚くほど、俺は落ち着いていた。
 
P「……」

P「ああそうだ、紅茶だ」

星梨花「……やっぱりそうなんですね。とってもいい香りがします」

P「そりゃどうも。それにしても、寝ぼすけさんだな」
92 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 19:59:54.47 ID:ZiJ0Lua/0
星梨花「あなたは?」

P「俺は執事兼兄とでも名乗っておこうか」

初対面の意趣返しだ。

星梨花「えっと、お手伝いさんですか?」

P「まあそんな感じだ」

星梨花「よかったら、紅茶をいただいてもいいですか? のどが渇いたんです」

P「もちろんどうぞ。2人分、いれてある」

星梨花「……! とってもおいしいです」

P「まぁそりゃあ、誰かさんに教えてもらったんだから」

星梨花「紅茶がいれるのが上手な知り合いがいたんですね」

P「ああ。そうだな」
93 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 20:02:24.58 ID:ZiJ0Lua/0
P「……なあ、1つだけお願いを聞いてくれてもいいか? 俺と友だちになってほしいんだ」

星梨花「お友だちですか?」

P「ああ、俺と友だちになってくれたらさ、どこでも連れてってやる。まずは秘密基地に案内するよ。あとは、いっぱい友だち連れて野球をしよう。雨の日は室内遊びで冬になったら雪合戦やスキーに行くんだ。それで、これからずっとずっとみんなで遊ぶんだ。どうだ?」

俺への警戒心が少し解けて、彼女が目が輝いた気がした。

星梨花「すっごく楽しそうです」

P「だろ?」

星梨花は笑顔で言う。

星梨花「よろしくお願いしますね、お兄ちゃん」

P「……!」

星梨花「あれ、なんででしょう。初対面の人をお兄ちゃんって呼ぶなんて。ごめんなさい、なれなれしかったですよね」

P「まぁ呼び方なんてどっちでもいいさ」

それに俺は星梨花のこの笑顔がずっと見たかったんだ

なんて伝えるのは少しキザかな。
94 : ◆X0TyCi.5oo [saga]:2020/09/25(金) 20:04:19.34 ID:ZiJ0Lua/0
ある日

リハビリを終えた彼女と初めて外遊びする日がやってきた。

環「早くこないかなあ」

桃子「環は焦りすぎ。まだ集合時間まで時間あるよ」

育「環ちゃんは今日のこと、ずっと楽しみにしてたんだよ。その気持ちわかるよ」

P「あっあのツインテールは」

星梨花「みなさん、お待たせしてすみません」

環「大丈夫だぞ」

桃子「あんなに待ちわびていたくせに」

育「もちろん先頭バッターは決まってるよね?」

P「ああ、もちろん」

星梨花にバットを手渡す。

星梨花はそれを受け取り笑顔で言った。

「わたし、一生懸命がんばります!」

おわり
95 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2020/09/25(金) 20:16:46.84 ID:iwAhu5f70
魔法少女の次はセリカ型ときたか....ファンタジー味があるけどそれぞれのルートに特徴が出てていいね
乙です

箱崎星梨花(13)
http://i.imgur.com/jeAJmwM.png
http://i.imgur.com/wUi9SPS.png
http://i.imgur.com/Z4a2v1T.png

>>1
大神環(12)
http://i.imgur.com/ARburxw.jpg
http://i.imgur.com/l1pgkgA.jpg

>>19
馬場このみ(24)
http://i.imgur.com/HmmzrMC.png
http://i.imgur.com/6GmlcrJ.jpg

>>33
周防桃子(11)
http://i.imgur.com/ElBvXAG.png
http://i.imgur.com/ENKoU11.jpg

>>65
中谷育(10)
http://i.imgur.com/ckiIlCt.png
http://i.imgur.com/azdQDVL.png
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 20:23:51.95 ID:4w92Wy2f0
>>66
一人でロリロリハンターズ旗揚げしてそう
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 06:33:06.00 ID:IEeppdbDO


つまり、その星梨花なら中に出しても大丈夫というわけですな




いくぞ、育!
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