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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編
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822 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:41:53.38 ID:UulvHEXE0
『居室』
ジャコジャコジャコ
女戦士「くぅぅ…」ジャコジャコ
女海賊「ただいま…てお姉ぇ体大丈夫?」
女戦士「フッ少し張り切り過ぎたが刀の研ぎには影響ない」
女海賊「又お姉ぇのクセが出たね?なんでそんなに打たれたいのさ…」
女戦士「黙れ!早く研ぎを終わらせてもう一度立ち合いに行くのだ」
女海賊「適当にやられても嫌なんだけどさ…集中してよ」
女戦士「研ぎに影響は無いと言っただろう?これくらいの傷みが有った方が私には心地良い」
女海賊「研ぎってさ時間掛かるよね?どんくらい掛かりそう?」
女戦士「化粧研ぎまで入れて今日中に終わらせてやる」
女海賊「お!?結構早いじゃん」
女戦士「父の鍛冶の腕が良いからだ…無駄な研ぎが要らんのでな」
女海賊「そんだけ早いなら休み休みで良いよ」
女戦士「お前も剣士の立ち合いを見て来い…勉強になるぞ?」
女海賊「いつも素振りやってるけどそれと違うん?」
女戦士「動作に一部の隙も無いのだ…あれほどの剣豪を見たことが無い」
女海賊「ふ〜ん私の旦那なんだけどさムフフ」
女戦士「良いから見て来い!」
女海賊「分かったよ…行って来る」
823 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:42:52.30 ID:UulvHEXE0
『甲板』
ワイワイ ワイワイ
めちゃくちゃ早いな…見えん
あんな低い姿勢から切り上げんのか?
ワイワイ ワイワイ
女海賊「なんか船乗りが集まってんね…」
ホムンクルス「みなさん楽しんでいますね」
女海賊「あれ?アサシンも来てんじゃん!!どゆこと?なんで居んの?」
ホムンクルス「はい…先ほどから参加されています」
女海賊「5対1で良くやるね…どんな感じ?」
ホムンクルス「剣士さんが早い動きで翻弄されています」
ピョン クルクル シュタッ カンカンコン バシ
盗賊「あだっ…やっぱダメだな…ちと休憩しよう」
剣士「回復魔法!」ボワー
盗賊「おーさんきゅー…しかしお前は足を使いだすと5対1でも意味無いな」
アサシン「私も回復魔法を貰っても良いか?」
剣士「回復魔法!」ボワー
アサシン「なぜ木刀でこれほど威力が出るのか…」
ローグ「そーっすね…これワザと急所外してるっすよね?じゃなきゃ速攻戦闘不能っすよ…あたた」
剣士「アサシンの間合い詰めは僕もヒヤリとしたよ」
盗賊「一撃入ったのはアサシンだけか」
アサシン「当たりが浅すぎだ有効打では無いな」
盗賊「やっぱガチ当たりは女戦士が上手だ…あいつは一発打たれる前提で相打ち狙いだ」
アサシン「木刀だから打たれても良いが真剣ではそうはいくまい」
盗賊「女戦士も鎧くらい着るだろう…装備次第だな」
アサシン「しかし剣士がこれほど出来るとは思って居なかったな…時の王とも渡り合えるかも知れん」
盗賊「んん?やらせるのか?」
アサシン「女海賊が何と言うか分からん…無理にはやらせられんな」
盗賊「まぁ黙って置け…やっとアイツも幸せ手に入れたんだ」
女海賊「聞いてんだけど…」ズイ
824 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:43:24.73 ID:UulvHEXE0
盗賊「うぉ!!居たんか…お前居るなら居るって言えよ」
アサシン「女海賊…挨拶が遅れたな」
女海賊「アサシンが居るって事は魔女も居んだね?なんでみんな言ってくれないのさ」
盗賊「あぁ済まん済まん…立ち合いに夢中でな」
女海賊「魔女はどこにいんのさ」
盗賊「お前に顔を会わせられないと言っていたんだが…出て来にくいんじゃ無ぇか?」
女海賊「もう昔の事は良いんだ…それより精霊樹が魔女を探せって言ってたんだよ…そうだよね剣士?」
剣士「ん…あぁそうだったね…そう聞こえた」
魔女「…」ノソリ
盗賊「おぉ魔女!そんな所に居ねぇでこっち来い」
魔女「済まなんだのぅ…出て来辛ろうて隠れて見ておったのじゃ…剣士が無事で本真に良かった」
女海賊「私は精霊樹がなんで魔女を探せって言ってんのか理由が分かんない…状況分かって無いんだ…話して」
アサシン「そうだな…女海賊は別行動だったな…休憩がてら居室で話でもしようか」
825 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:43:58.75 ID:UulvHEXE0
『居室』
カクカク シカジカ
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-----------------
-----------------
女海賊「…て事はその時の王ってのがすべての黒幕なんだね?」
アサシン「そうとも言い切れん…実動しているのはその下に居る黒の同胞団だ…時の王は背後に座っているだけだな」
魔女「恐らくじゃがリリスの子宮を封じた壺は祖奴らの誰かが持って居ると思うのじゃ」
女海賊「魔女はあん時からずっと魔王の影を追ってんだ…ふーん見直した」
魔女「剣士を魔王に捧げる様な事をしてしもうてわらわは反省して居る…本真に済まなんだ」
女海賊「もう隠してる事無い?」
魔女「思い当たる事はすべて話したつもりじゃ…信じておくれ」
アサシン「目下…時の王の下に居る魔術師が歴史の改ざんを行っていると知った以上生かしては置けない」
商人「そうだね…この状況を覆されかねない」
女海賊「それで今の状況を5日以上保持したい訳ね」
魔女「わらわの魔力で5日が限界じゃ…もしかするとそれより短くて済むかも知れん」
女海賊「逆に5日もあったら逃げられちゃうね」
魔女「時の王は魔結界からはよほどの事が無い限り出ん気がするが?」
女海賊「なんで?」
魔女「勘じゃな…量子転移魔法で奪われる事を避けて居る様に見える」
アサシン「私は時の王に一太刀入れたのだがな…切ったその瞬間から傷が再生するのを見た…恐らく不死身だ」
魔女「リリスの生き血を飲んで魔人となって居るからのぅ…量子転移で奪わぬ限り無敵じゃろうて」
女海賊「んんん…どうすっかな」
剣士「魔術師だけ狙えば良いんだね?」
女海賊「あんた又危ない所に飛び込むつもりなの?」
剣士「僕はその時の王に会ってみたい…時の王を抑えれば魔術師の始末は任せて良いよね?」
アサシン「時の王の屋敷にはラットマンリーダーも居るのだ…そちらも抑える必要がある」
盗賊「それはアサシンと俺でなんとかなるんじゃ無ぇか?」
アサシン「その間に魔術師に逃げられるのでは無いか?」
盗賊「んむ…人選が重要だな」
女戦士「アサシンに変わって私に行かせろ…ラットマンリーダーは私一人で引き受ける」
女海賊「お姉ぇ…」
女戦士「私の新しい武器も試したかった所なのだ…アサシンはハイディングも出来まい?」
女海賊「分かったこうする…ハイディング出来る人だけの構成で私とお姉ぇ…剣士と盗賊の4人」
女海賊「お姉ぇがラットマンリーダーを引き受けて剣士が時の王を抑える…その間に盗賊が魔術師やって」
アサシン「確実に行けるか?」
女海賊「そんなんやってみないと分かんない…ただ何かあった時の逃げ道は私が用意する」
アサシン「ふむ…お前が行くのはそういう事か」
女海賊「お姉ぇは早く刀の研ぎやってよ…それ出来た後に作戦実行する」
女戦士「では明日の昼までに仕上げてやる…作戦は明日の夜…どうだ?」
女海賊「おっけ」
826 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:44:35.26 ID:UulvHEXE0
『船尾』
ザブン ザブン
商人「なんだここに居たのか…探したよ」
ホムンクルス「はい…夕日が落ちて行くのを見ていました」シュン
商人「どうしたんだい?悲しそうな顔してるよ?」
ホムンクルス「いえ…何でもありません」
商人「君がそういう顔をする時は何かあるんだ…おいで」ギュゥ
ホムンクルス「皆さんのお話を聞いて理由は分かりませんが悲しみに似た反応が確認されました」
商人「君は前に時の王の話をしていたね?それと関係する?」
ホムンクルス「記憶を根の森に置いて来ましたので思い出せません」
商人「精霊は時の王に裏切られたって…」
ホムンクルス「基幹プログラムに時の王との関りが圧縮されてアルゴリズム化されている様です…そのせいですね」
商人「もう君は精霊じゃ無いよ?」
ホムンクルス「はい…私は私です…ただ基幹プログラムに少しだけ残っているものですから」
商人「それは大事にした方が良いかもね…それを含めて君だから」
ホムンクルス「もう少し強く抱きしめて下さい…ドーパミン放出が不足しています」
商人「これ見て?僕のメモ帳だよ?」
ホムンクルス「これは何ですか?」
商人「君の絵のへたくそさを真似て書いた絵さ…パラパラめくると動くんだ…ほら?」パラパラ
ホムンクルス「ウフフ面白いですね」
商人「お?笑ったね?」
ホムンクルス「ドーパミン放出が確認されました」
商人「こんなへたくそな絵でも動くと命が宿るよね」パラパラ
ホムンクルス「そうですね…精霊の記憶の原型ですね」
商人「え?…」
ホムンクルス「もう少し寄り添って居て下さい…生体が安定します」
商人「フフ君にも欲求が出て来たね…うれしいよ」
----------------
827 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:45:03.88 ID:UulvHEXE0
ドタドタ
女海賊「あ!見っけた…あんたらいつからそんな関係になってんのさ!!」
商人「女海賊か…二人で夕日見てたんだ」
女海賊「ホムちゃんくっ付き過ぎじゃない?」
ホムンクルス「はい…私がお願いをしました」
女海賊「フン!まぁ良いけどさ…剣士から賢者の石預かってんだ…黒死病に効くんだったよね?」
ホムンクルス「はい…お預かりしてもよろしいのですか?」
商人「お!?エリクサーの消費を抑えられるね?」
女海賊「剣士が立ち合いに忙しいから私が治療に行く事になっちゃったんだ…ホムちゃん付き合って」
ホムンクルス「はい…商人よろしいですか?」
商人「勿論…行っておいでよ」
女海賊「何言ってんだ!!立ち合いやらないならあんたも来い!」
商人「僕はちょっと休憩してただけさ…僕も戦う練習してくるよ」
ホムンクルス「商人は体が弱いのでほどほどにして下さい」
商人「分かってるよ…無理はしないさ」スック
828 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:45:35.77 ID:UulvHEXE0
『中央バリケード』
ガヤガヤ ガヤガヤ
女海賊「うっわ…人でごった返してんな」
ホムンクルス「私は一人づつ賢者の石で黒死病を治療していきますね?」
女海賊「ホムちゃん一人は危ないから私から離れないで」
ホムンクルス「はい…気を付けます」
女海賊「魔女は回復魔法掛けてあげて?ほんで情報屋は魔女を守って」
情報屋「うん…女性は私達だけね?」
女海賊「そんな感じだね」
ホムンクルス「あちらの秘密のテントの方に見えていますよ」
女海賊「あれ何?なんかスゲー怪しい雰囲気なんだけど…」
情報屋「あれは慰安所よ…コイン交換でサービスしてくれるらしいわ」
魔女「わらわ達には関係の無い場所じゃな…近寄ると誤解されるで行かん方が良いな」
女海賊「ははーん…だからここに人一杯集まってんのか…馬鹿だねー男達は」
ようネーちゃん!あんたらは兵士なのか?身なりは良さそうだが…
そこの緑の髪の子はどっから来たんだ?
赤い目の女はオッケーなのか?コイン何枚だ?
女海賊「あぁぁうっさいうっさい!私らは黒死病の治療に来たんだ…近寄るんじゃねぇ!!」
ごろつき「俺の下半身が石みたいになってんだ…ちょっと見てくれ」
女海賊「フン!」ボキ
ごろつき「ぐぁぁぁ!!」
魔女「これは世話が焼けるのぅ…」
女海賊「ホムちゃん!あーいうのが居たら今みたいに折って良いから」
ホムンクルス「はい…わかりました」
女海賊「ほんじゃ治療いこっか…」
ボキ ぎゃああああ
ボキ いだぁぁあい
829 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:46:14.47 ID:UulvHEXE0
『夜_貨物船』
ザブン ギシギシ
女海賊「盗賊?こんな所で寝てんの?」
盗賊「寝ちゃ居ねぇよ…女戦士が居室に入るなっていうからよ…ここで一人飲みだ」
女海賊「お姉ぇは研ぎの最中?」
盗賊「あぁ…刀の研ぎってのは砥石使うんじゃ無ぇのか?あいつは手でやってる様だが…どんな手ぇしてんだ?」
女海賊「砥石の工程終わったって事か…もうちょいで終わるかな」
盗賊「俺が居室入ろうとすると怒るんだが…」
女海賊「お姉ぇは変なクセがあってさ金属とか触って感じてんの…邪魔されたく無いんでしょ」
盗賊「マジかよ…どМだとはちっと聞いたがそんなクセまであんのか」
女海賊「あちゃーーバレてんの?寝る時も毛布じゃなくて砂鉄が入った袋乗せて寝るんだよ」
盗賊「ぶっ…道理で砂鉄が沢山積んでる訳だ」
女海賊「鎖でグルグル巻きにしたら喜ぶんだ…黙っといてね」
盗賊「お前も変わった奴だがあいつも相当ズレてんな…」
くぅぅ はぁはぁ うぐっ うぐっ
女海賊「あー聞こえちゃってんな…盗賊ここもダメ!あっちで横になってて」
盗賊「さっきから苦しそうにしてるが良いのか放って置いて?」
女海賊「初めての金属触って興奮してんだ…お姉ぇの逝く声はあんたに聞かせらんない」
盗賊「ヌハハ金属好きなのは知っていたがここまでとは…俺には理解出来ん」
女海賊「良いからアッチ行け!シッシッ」
------------------
830 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:46:47.05 ID:UulvHEXE0
情報屋「交換してきたわ?これで良いかしら?」
魔女「コイン何枚だったのじゃ?」
情報屋「全部で10枚だったわ…大サービスね」
ホムンクルス「この銀の仮面を付けておけば良いでしょうか?」
女海賊「そだね…これでちっとは男避けになるかも」
魔女「フィン・イッシュ女王とほとんど同じじゃな」
女海賊「ちょっと待って…装飾が足りないから私が模様を付ける…貸して」トンテンカン
魔女「銀か…光の魔法を付与出来そうじゃ」
女海賊「お!?良いね!!何が出来る?」
魔女「悪霊退散ぐらいしか出来んが…無いよりマシじゃろう」
女海賊「いやいやメチャ良いじゃん!レアアイテムになるよ」
盗賊「女4人集まって何やってんだ?」
情報屋「あら?暇なの?」
盗賊「一人酒はつまんねえんだよ…相手しろや」
情報屋「他の人は?」
盗賊「立ち合いで疲れて皆寝ちまったんだ…ローグなんかピクリとも動かねえ」
ホムンクルス「商人も寝てしまいましたか?」
盗賊「あぁ一番奥の居室に籠ったまま出て来ん!エリクサー作ってるかもな」
ホムンクルス「私は商人と毎日の約束がありますので失礼します」
女海賊「表情の練習?」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「いいよ行っといで!仮面は明日までに仕上げとくよ」
盗賊「あ〜あ酒飲む相手が一人づつ減ってくな…」グビ
情報屋「付き合ってあげるわ?それ頂戴?」
盗賊「おう!こりゃフィン・イッシュ名産の米から作った酒らしい…飲め」
女海賊「酒くっさ!!あっちでやってくれる?」
盗賊「まぁ良いじゃ無ぇか…」
831 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:47:25.14 ID:UulvHEXE0
『翌日_中央バリケード』
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「相変わらず城の方で撃ちあいやってんな」
ローグ「そーっすね…でも人がこっちの方に少しづつ戻って来てるんで活気が出て来やしたね」
盗賊「むさ苦しい奴らばっかだがな」
ローグ「あっしらやる事無くなって暇になって来やしたねぇ…」
盗賊「うむ…戻って立ち合いでもやるか?」
ローグ「貧民街の方でやるのはどうでやんすか?精鋭兵にも混ざって欲しいでやんす」
盗賊「良い事言うじゃ無ぇか!!よし…俺らの立ち合い見せて活気づけてやろう」
ローグ「アイサー」
『貨物船_居室』
ガチャリ バタン
女海賊「お姉ぇ?どう?」
女戦士「テーブルの上に置いてある…」グター
女海賊「大丈夫?」
女戦士「私は少し休む…放って置いてくれ」グッタリ
女海賊「声が外に漏れてたよ…」
女戦士「フフそうか…少し張り切り過ぎた様だな…オリハルコンの粉を吸って意識が飛びそうになった」
女海賊「本当にお姉ぇは変態だね」
女戦士「言うな…私は金属を愛しているのだ…お前よりよほど純潔だ」
女海賊「純潔ねぇ…なんか違う気がすんだけどな」
女戦士「私は今までこれほど良い刀を手にしたことが無い…研ぎも完璧に仕上げた…見て見ろ」
女海賊「うん…」スラーン
女戦士「正直に言おう…その刀を一本私にくれ」
女海賊「良いよ…あげる…多分私はそんなに使わないし」
女戦士「使うのはお前が使って構わん…ただ必ず返して欲しいのだ…意味が分かるか?」
女海賊「必ず帰って来いって事?」
女戦士「そういう意味もあるが…私はその刀の研ぎに魅せられた…また研ぎたいのだ」
女海賊「やっぱお姉ぇ…変態だね」
女戦士「恥ずかしい話だが今日ほど体が満足した事は無い…私はオリハルコンの研ぎに魅せられてしまった」
女海賊「これお姉ぇにとっての麻薬みたいなもん?」
女戦士「麻薬依存を私は馬鹿にしていたが今なら分かる…それほど満足した」
女海賊「まぁまた研いでくれるってんならそっちのが良いか」
女戦士「フフ誰にも言うな?」
女海賊「なんか立てそうに無いね?」
女戦士「休ませてくれ…何もやる気が起きん」
女海賊「これからこの剣にインドラの矢を落としに行こうと思ってたんだけど…来れそうに無いね?」
女戦士「私は良い…もう少し余韻を楽しませてくれ」
女海賊「はいはいお姉ぇの変態には付き合ってらんない…刀貰ってくよ」
832 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:47:55.40 ID:UulvHEXE0
『甲板』
ザブン ザブン
女海賊「ホムちゃん?一人?」
ホムンクルス「はい…みなさん貧民街の方に行かれました」
女海賊「なんで?何かやってんの?」
ホムンクルス「貧民街の方で立ち合いをやっているのだそうです」
女海賊「剣士も行っちゃった?」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「そっか…まぁホムちゃんだけで良いか」
ホムンクルス「何か御用ですか?」
女海賊「この刀にさぁ…インドラの矢を落として欲しいんだ」
ホムンクルス「はい…ここでは危ないので場所を変えた方がよろしいかと…」
女海賊「分かってるよ…飛空艇に乗って」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「この刀はさぁ…オリハルコンの重さ800グラムなんだ」
ホムンクルス「出力を絞って投下します…約100年分の光ですね?」
女海賊「大体そんな感じかな?2本あるからよろしく」
833 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:48:55.39 ID:UulvHEXE0
『貧民街』
ワイワイ ガヤガヤ
報告します!貧民街の外れでフィン・イッシュの者が模擬戦をしている様です
この騒ぎは模擬戦のせいか…治安部隊は動かさなく良いのだな?
むしろ若者が活気付いて良い傾向に見えますがどうしましょう?
非番の者に見に行かせろ…危険な様なら静止させても良い
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「はい!!次は8対1で始めます…参加される方は木刀を持ってください」
情報屋「開始!!」
ワイワイ ガヤガヤ
あの剣士は何者だ?
誰か知ってるか?
フィン・イッシュのサムライらしいよ
うわ!飛んだ…すげぇ!!
剣が見え無い!どうやって当ててるんだ?
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「終わり!!」
盗賊「ぐはぁぁ一発カスっただけだちくしょう!!」
剣士「回復魔法が欲しい人はこっちに来て…回復魔法!」ボワー
近衛「いやぁぁぁお強いですな…太刀筋は一刀流に近いがどの流派なのでしょう?」
商人「覚えていないらしいよ」
近衛「この様な剣豪が居たとは世間は広いですなぁ…是非フィン・イッシュにお越し願いたい」
商人「剣士は大人気だね」
ローグ「戦い方が美しいっすね…無駄が無いと言えば良いでやんすかねぇ…一振り一振り全部意味が在るんすよね」
盗賊「うむ…次の斬撃に繋がる動作が守備動作を兼ねてんだよ…だからスキが無ぇ」
剣士「僕の素振り動作を良く見て?」スン スン スン
近衛「おぉ!!もう一度!!」
剣士「ゆっくり行くよ?」スッ スッ スッ
盗賊「ほーーう…円で繋がって居るのか」
剣士「この動作を読めば対処できると思う」
盗賊「こりゃ相当練習しないと習得できそうに無ぇぞ?」
ピカー ピカー
商人「ん?雷か?」
ローグ「音が来ないっすねぇ…随分遠くじゃないっすかねぇ」
剣士「じゃぁ次は一人づづ僕に打ち込んでみて…どうやって凌がれるかよく見る稽古にしよう」
近衛「これは良い稽古になりますな…是非やらせて貰いたい」
剣士「良いよ!…打ち込んでみて!他の人は良く見ておくように」
近衛「いざ参る…」
剣士「来い…」
カンカンコン カンカンコン
834 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:49:33.53 ID:UulvHEXE0
『貨物船』
ザブン ギシギシ
魔女「奴らはまだ帰って来ん様じゃな…」
ホムンクルス「剣士さんの剣技にみなさん夢中なのですね…良い事だと思います」
女海賊「折角伝説の剣が完成したってのにさぁ…誰も見ようとしないってどゆこと?」
魔女「わらわに見せよ…」
女海賊「魔女は剣の事なんか分かんないじゃん」
魔女「美しいかどうかくらいなら分かるぞよ?」
女海賊「ほんじゃこの鞘から剣を抜いてみて」ポイ
魔女「おろろ…思ったよりも軽いのぅ?」
ホムンクルス「鞘に浮かんでいる紋様はわざと光を漏らしているのですね?」
女海賊「鞘に入れたまま動かしてみてよ」
魔女「こうか?」ブン キラキラ
ホムンクルス「光の筋が残るのですね」
女海賊「そそ…そっちが流星…ほんでこっちが彗星」ブン ピカー
魔女「おぉぉ彗星じゃ…工夫したのぅ!主が考案したのか?」
女海賊「そだよ…何かそう言われると癒されるムフフ」
魔女「刀の抜き方が分からんのぅ…どうやって抜くのじゃ?…むん!むん!」
女海賊「だめだこりゃ…危ないから魔女にはムリ」
ドヤドヤ ドヤドヤ
女海賊「あ!!やっと帰って来た!!」
盗賊「おう!今日は早めにあげて休憩だ…ちっと疲れた」
女海賊「剣士!!あんたの剣出来上がったよ…流星の剣だよ…ほら」
剣士「随分みんなの手が掛かったね…貸して」
女海賊「あんたの剣さ…抜いてみて」
盗賊「その鞘かっけぇな?お前が作ったんか?」
剣士「…」スラーン ピカー
魔女「まばゆいのぅ…目が眩む」
女海賊「いつもみたいに振るってよ」
剣士「…」スン スン スン
盗賊「残像が残る…めちゃくちゃ恰好良いじゃ無ぇか!!」
女海賊「あぁぁ癒される…もっと言って」
盗賊「お前もお姉ぇに似てやっぱ変態か…」
商人「ハハまぁまぁ…伝説にふさわしい剣には間違いなさそうだね」
女海賊「そう…もっと」
商人「この柄の装飾とかも全部君が彫ったの?これミスリル銀だよね?」
女海賊「はぁぁぁぁぁ」
盗賊「ダメだこりゃ変態に付き合うと移るぞ!飯だ飯!!」
835 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:50:04.34 ID:UulvHEXE0
------------------
盗賊「女戦士はまだ寝ているのか?」モグモグ
女海賊「出て来るまで居室入ったらダメだよ」モグモグ
情報屋「盗賊?どうしてそんなに気にするの?」ジロリ
盗賊「んあ?そんなんじゃ無ぇよ…今晩の作戦に影響が出ないか心配してんだ」
情報屋「そう…ならいいわ」プイ
盗賊「おいおい何でへそ曲げてんのよ」
魔女「主が悪いのでは無いか?プレイボーイ過ぎるのではないのかのぅ?」
盗賊「なんもして無ぇって…女戦士に何か出来るのはローグぐらいのもんだ」
ローグ「あっしが?あっしも何もできやせんぜ?」モグ
魔女「女戦士の服装が変わったのは盗賊が何か言うたからじゃと聞いたぞよ?」
ローグ「ぶっ…ぶぶ盗賊さんマズイっすね」
盗賊「ヌハハそれは事実かもな?」
女海賊「なんであんたがお姉ぇの服装の事言う訳?」
盗賊「まぁちと事情が有ってだな…」
ローグ「マズいっすね…マズいっすねぇ…」
盗賊「隠す必要もあるめぇ…女戦士はな人一倍身なりには気を使ってんのよ…それを偏見抜きで評価しただけだ」
ローグ「そうなんす…本当は繊細なんすよ…鉄の女を演出してるだけなんすねぇ」
盗賊「ちょっと似合わねぇって言うだけでもう気に入った服も着ないんだ…可哀そうだろ?」
女海賊「賛成!」
情報屋「フフそう…誤解してたわ」
ローグ「あっしはそんなかしらが可愛くて好きなんす」
女海賊「お姉ぇが可愛いねぇ…なんか違う気がするけど繊細なのは合ってるかな」
盗賊「まぁそういう事よ…みんなもちったぁ気を使ってやれ…特にアサシンだな」
アサシン「クックックどうせ私は堅物だ女王にも見放された」
盗賊「堅物の思想を押し付けなきゃ良い…大事に付き合ってやってくれよ」
836 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:50:36.20 ID:UulvHEXE0
------------------
女海賊「あ!お姉ぇ起きた?」
女戦士「済まない…休み過ぎた様だ」
盗賊「おい!何でスカート履いて来ねぇんだよ!!楽しみ減るだろうが」
女戦士「お前に指示される覚えは無いが?」
女海賊「お姉ぇ着替えてきたら?」
女戦士「下の方の濡れが収まらんのだ」ヒソ
女海賊「大丈夫だって!見えやしないから…」グイ
女戦士「フン!」ツカツカ
------------------
女戦士「これで満足か?」フワリ
ローグ「かしらはやっぱそっちの方が良いっすね〜」
女戦士「さて…全員揃っているな?今晩の話を詰めようか」
アサシン「そうだな…私も少し考えたのだが万が一に備えて私とローグ、魔女で気球を使って上空で待機しようと思う」
盗賊「それは睡眠魔法を使う構えという事だな?」
アサシン「その通り…魔女の貝殻を使って状況をこちらへ伝える事が出来る筈だ」
魔女「ふむ…魔結界の中では千里眼で見通せぬ故…それが良かろう」
女海賊「じゃぁ私が貝殻を持つ…逃げ場に困ったら使うさ」
盗賊「俺らはハイディングして徒歩で行くのか?」
女海賊「私は貴族特区にドロボー行った事あんだ…近道知ってるよ」
アサシン「出来るだけ騒ぎにはしたくない…極力ハイディングで隠密行動をしてくれ」
女海賊「貴族特区にどんだけ人が居るか分かんないけどさ…さっさと睡眠魔法で眠らせたら?」
魔女「向こうに魔術師が居るのじゃ睡眠を悟られてしまっては逃げられるぞよ?」
女海賊「じゃやっぱ逃走時しか使えない訳ね」
魔女「出来るだけサポートはするつもりじゃ…兎に角魔術師を倒すのじゃ」
女海賊「私らの心配と言えばお姉ぇがラットマンリーダーを抑えきれるかなんだけど…行けそう?」
女戦士「私の武器は何で出来ている?」
女海賊「あ!!そうか…ミスリルのギガントアックス…鎮魂の鐘と同じだね?」
女戦士「私よりも剣士の方だな…時の王がどれほどの者か情報が無い」
剣士「魔術師を倒す間の凌ぎに徹するよ…心配しないで」
アサシン「では行動は深夜…月が落ちたら行く…それまで静養しておいてくれ」
837 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:51:05.75 ID:UulvHEXE0
-------------------
女戦士「女海賊!刀を見せろ…インドラの矢を落としたのだろう?」
女海賊「お姉ぇはまだ見てなかったね…ほい」
女戦士「ほう…鞘から零れる光が美しいな」
女海賊「お姉ぇに言われると嬉しいな…もっと言って」
女戦士「…」スラーン ピカー
女海賊「どう?」
女戦士「この光る刀身を研ぐとどうなると思う?光は粉になるのか?」
女海賊「又お姉ぇ変な事考えてんの?やめてよ」
女戦士「研ぎたい…」
女海賊「今はダメ…作戦終わって帰って来たら研いでも良いよ」
女戦士「期待で下の濡れが収まらんのだ」
女海賊「パパが言ってた金属を愛でるって…困ったクセだね」
女戦士「言うな…」
女海賊「お姉ぇ用にもっかいオリハルコン探しに行こっか」
女戦士「フフ私は原石のまま欲しい…他の宝石には興味が無くなった」
女海賊「そろそろ返してもらって良い?」
女戦士「もう少し触らせろ…」スリスリ
838 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:51:51.86 ID:UulvHEXE0
『深夜』
移動するよ…ハイディング!
迷ってない?よし…左の壁沿いに貴族居住区抜ける
貴族特区に入ったら一番大きな屋敷ね
裏手で盗賊は一旦リリースして状況見て
----------------
----------------
----------------
『貴族特区』
盗賊「ハイディング!」スゥ
女海賊「どうだった?」
盗賊「屋敷の周りは誰も居ないがちょい離れに衛兵がキャンプしてる…数は200って所だな」
女海賊「もっかいリリースして正面の扉開けられる?」
盗賊「大丈夫だ」
女海賊「開けたらそのまま盗賊は中に入ってハイディングして」
盗賊「分かった…行くぞ!リリース!」スゥ
女海賊「扉が開いたらお姉ぇと剣士は中に入って」
ガチャリ ギー
女海賊「行って!」タッタ
盗賊「ハイディング!」スゥ
女海賊「ここまでは余裕だね…盗賊?屋敷内に何か見えた?」
盗賊「見た範囲では何も居ないな…」
女海賊「前に来た時はリリースしてすぐに見つかっちゃったんだ…すぐ逃げたけど」
女戦士「美術品が並んでいる…これはスゴイな」
女海賊「あんま見れなかったんだけど…ちっと見て行くか」
盗賊「おい!精霊の像があんぞ?」
女海賊「本物?」
839 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:52:29.65 ID:UulvHEXE0
盗賊「分かんねぇが…これ何体あるんだ?」
女戦士「見ろ!あの肖像画…ホムンクルスじゃないか?」
女海賊「え?本当だ…絵画は全部ホムちゃんが描かれてる…どゆ事?」
女戦士「時の王は1700年前の人物だな?精霊と共に居たという事だな」
女海賊「待って待って…この画の中にある落書き…ホムちゃんが描く絵にそっくりだ」
盗賊「こりゃひょっとするとひょっとするぜ?」
女海賊「ちょっと他の部屋も見て行く」タッタッタ
女戦士「すべての画がホムンクルスだな…たまに画れている男は恐らく時の王だ」
女海賊「…これは精霊と過ごした記憶」
盗賊「驚きの真実じゃ無ぇか」
女海賊「胸が苦しくなってきた…時の王が守っているのはこの記憶?」
女戦士「だとしたら私達は大きな勘違いをしているのかも知れん」
女海賊「この美術品に絶対手を触れないで…これは壊してはいけない」
盗賊「1700年の記憶が詰まった美術品か…そうと知っちゃ躊躇しちまうな」
女海賊「狙いは魔術師だけ…良い?」
シュン グサ!
女海賊「痛っ…な、なんで?」
剣士「回復魔法!」スゥ
??「物音がすると思えば…またコソドロが入って来たか」
剣士「ダメだ…魔法がかき消される」
盗賊「女海賊!このエリクサーを一口飲め」
女戦士「私の後ろに隠れろ」ダダ スチャ
盗賊「今応急処置をしてやる…肩だな?少し痛むぞ…ガマンしろ」ズボ ヌイヌイ
女海賊「うぁぁぁぁくくくくぅ」
女戦士「お前は時の王か?」
??「ほう?人の屋敷に勝手に入って来てその名を口にするとはな…察したぞお前たちは白狼の盗賊団だな?」
女戦士「フフ察しが良い…今更正体を隠しても意味は無いな」
時の王「私の計画を邪魔ばかりする輩は生かして置けん」
女戦士「計画だと?」
時の王「人類の滅亡以外にあると思うか?白狼の盗賊団よ」
女海賊「盗賊!人影!!アレが魔術師…追って」
盗賊「お…おう」ダダ
840 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:53:04.96 ID:UulvHEXE0
時の王「話を聞かずして動くか」ギリリ シュン
盗賊「うぉっとぉ!!悪りぃな俺達は魔術師に用が在って来たんだ…話ならそっちでやっててくれ」
時の王「ラットマンリーダー来い!!侵入者を排除しろ」
ラットマンリーダー「がおぉぉぉぉ」ドスドス
女戦士「剣士!妹を守れ!!デカブツは私が引き受ける」ダダダ
時の王「フハハハさすが連携が出来ているな…ならば私がやるしか無い様だ」ズズズ シャキーン
女海賊「え!?大剣…どうして」
時の王「どうした?剣を抜かないのか?」
剣士「ふぅぅぅぅ…」
時の王「随分小さな剣なのだな?刀か?遠い記憶の中にその様な刀を使う仲間が居たな…名は忘れた」
女海賊「あんたに質問がある!!」
時の王「人の屋敷を荒らしておいて質問とは無礼極まりないな」
女海賊「あんた精霊の何なの!?」
時の王「フフ私を揺さぶる気か?」
女海賊「質問を質問で返さないで!!何なの?」
時の王「1500年精霊と愛を積み重ねた者だと言えば理解できるか?」
女海賊「ならなんで人間の滅亡なんかやろうとすんのさ」
時の王「私が答える必要は無い」ダッ ブン
カキン! スパー
時の王「むぅ…やるな?だが私は不死身だ」
女海賊「剣士!倒したらダメ…」
時の王「私を倒せると思って居るのか」ダダ ブン キーン
剣士「ふぅぅぅ…」スチャ キラリ
時の王「問う…その光る刀をどうした?何故インドラの光を帯びている」
女海賊「フフこっちの番だね…私が答える必要あると思う?」
時の王「フハハハハなかなか頭の回る小娘だ…気に入った…何が望みだ?」
女海賊「人間の滅亡なんか止めて」
時の王「出来んな…私の愛する者すべてを奪った者を許すことは出来ん…そして精霊の望みはリリンのいや人間の滅亡だ」
女海賊「それは違う!!」
時の王「さて次は私の番だ…なぜインドラの光を帯びている」
女海賊「そんなんインドラの矢を落としたに決まってんじゃん…あんた知ってんじゃないの?」
時の王「まさか…精霊シルフは停止した筈だ…インドラの矢を落とせる者なぞ存在しない」
女海賊「精霊が生きているって知ったらあんたどうする?」
時の王「私を揺さぶって居るのか?そんなまさか…」
841 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:53:39.52 ID:UulvHEXE0
女海賊「やっぱあんたは私らの敵じゃないね…精霊を愛してるだけだね?」
時の王「黙れ!!小娘に分かる訳が無い!!愛は永遠では無いのだ…記憶こそ永遠だ」
女海賊「やっぱり…美術品はあんたの大事な記憶なんだね?」
時の王「黙れ!黙れ!黙れ!」ダダダ ブン ブン ブン
キン カン カーン スパーッ
時の王「くぅぅ思い出したぞその剣裁き…時の勇者!お前だな?」
剣士「…」スチャ
時の王「恨んで居るのか?魔王に魂を売ったのは仕方の無い事だった…私の邪魔をするな」
女海賊「違うよ時の勇者じゃないよ…あんたは精霊との思い出に寄り添い過ぎて時代に残されてる」
時の王「教えてやろう…人の記憶は200年しか記憶出来ないのだ…私は精霊シルフとの記憶を失いたくなかった」
女海賊「だから外に出なかったの?」
時の王「悪いか…どんどん薄れて行く愛しい記憶を失いたくない」
女海賊「精霊と一緒に夢幻に行けば良かったのに…」
時の王「私は不死身だ…死ぬことも許されない…だからせめて精霊の望みを叶えるのが私が生きる理由だ」
女海賊「悲しい…でもあんた一つ間違ってる…精霊は人間の滅亡なんか望んでない」
時の王「何故ハーフエルフやハーフドワーフが居ると思っているのだ?」
女海賊「え?…まさか」
時の王「人類の置き換えだ!魔王を滅するのはこれしか方法が無い」
女海賊「そんな…」
時の王「立場が逆転した様だな?取引をしようか…同志になれ…そして精霊が居るなら私の下へ連れて来い」
女海賊「ホムちゃん…どうしよう…」
女戦士「剣士!!助けてくれ…あの魔術師は只の魔術師では無い!!盗賊が死ぬ!!」
842 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:54:17.53 ID:UulvHEXE0
女海賊「一旦中断!!剣士行くよ!!」ダダ
時の王「あれは私を監視する黒の同胞団の魔術師だ…お前たちにやれるか?」
女海賊「うるさい!!黙って見てろ!!」タッタッタ
『屋敷2階』
女海賊「お姉ぇも傷だらけじゃん…エリクサー飲みながら下の時の王見てて」
女戦士「行け!…はぁはぁ」グラリ
女海賊「盗賊!下がって!!」カチャリ ターン ターン
魔術師「グゥ…キシャァァァ」
盗賊「ぐふっ…すまんやり切れん」ズルズル
女海賊「何アレ…」
盗賊「多分不死者だ…攻撃が効か無ぇ…リッチって聞いた事あるか?」
女海賊「ミスリルダガーでも効かないの?」
盗賊「心臓をやれりゃ行けるかも知れんが何処にあるか分からん」
女海賊「出血ヤバイね…エリクサー飲んで」
盗賊「足の付け根やられた…手で押さえるぐらいしか止めようが無ぇ…俺は戦線離脱だ」
女海賊「剣士!お願い何とかして」
盗賊「あいつの鎌は射程がおかしい!!気を付けろ!!」
843 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:54:45.83 ID:UulvHEXE0
剣士「任せて…」シュタタ
リッチ「キシャァァァ」ブン ブン
剣士「ふぅぅぅ…」キン キーン
スパ スパ スパ スパーッ
盗賊「おおぅ…一瞬でバラバラか」
女海賊「ダメ!まだ動いてる!心臓探して!!」
剣士「ふんっ」スパ スパ スパ スパ
リッチ「ガガガガガ…」シュゥゥゥゥ
女海賊「え!?溶ける?切り口から溶けてる…」
剣士「逃げる準備!!女戦士が危ない…」
ガーン ガーン ガツン ガツン!
女戦士「うぐっ…うぐっ…」ガクリ
女海賊「お姉ぇ何で反撃しないのさ!!」
剣士「入り口まで走って!!僕が時の王を相手する」シュタタ
時の王「行かせるかぁ!!」ブン ブン
剣士「…」キン キーン スパーッ
時の王「むぅぅ…」ガク
剣士「女戦士!!肩を…」グイ
女戦士「くふっ…」グッタリ
剣士「ふんっ…」グイ シュタタ
女海賊「剣士!早く!!」
時の王「くぅ忘れるな!!同志になれ!!」
女海賊「今はダメ…時を待って!!逃げるよ…走って!!」
844 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:55:25.85 ID:UulvHEXE0
『貴族特区上空』
フワフワ
アサシン「遅いな…」
ローグ「まだ屋敷の中で光が動いてるっす」
アサシン「魔女…そろそろ下の衛兵を眠らせよう」
魔女「そうじゃな…」アブラカタブラ クラウドコントロール メスメライズ
魔女「広範囲睡眠魔法!」モクモク
アサシン「これで気付く者は居るまい」
ローグ「光が二階の方に移動したようでやんす…出て来るかもしれやせんね?」
アサシン「少し高度を下げろ…寄って待機だ」
ローグ「アイサー」
アサシン「様子が伺えないのはイライラするものだ…」
魔女「あの光が動いているうちは無事なんじゃろうて」
”魔女!緊急事態!”
”お姉ぇと盗賊が負傷して走れない”
”睡眠魔法使って気球で降りて来て”
”タイミングはこっちで言う”
ローグ「ヤバヤバ…かしらが負傷って」
アサシン「ローグ…タイミングを合わせて気球を降ろせ…私は先に下へ降りる」
ローグ「分かってるっすよ」
アサシン「行く…」ピョン
ローグ「ええぇ?この高さでっすか…あ〜あ」
”5”
”4”
”3”
”2”
”1”
フワフワ ドッスン
845 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:55:52.02 ID:UulvHEXE0
魔女「どこじゃ?居らんでは無いか…」
ローグ「あっちっす…降りる場所違いやしたね」
魔女「アサシンが案内しておる…大丈夫じゃ…飛ぶ準備をせい」
ローグ「マズイっすねぇ…超マズイっす屋敷から誰かこっち見てるっすよ」
魔女「むむ…アレは時の王じゃな」
ローグ「矢で撃たれたらこのぼろい気球飛べなくなるっすよ」
魔女「風魔法で反らす故…主は気球の操作に集中しておれ」
ダダダダ
女海賊「飛んで!!」
ローグ「アイサー…ひやひやするっすよ」
女海賊「魔女!お姉ぇに回復魔法!盗賊にも!!」
魔女「回復魔法!回復魔法!」ボワー
女海賊「お姉ぇが気絶するなんて初めて見た」
ローグ「かしらは大丈夫っすか?」
女海賊「お姉ぇもかなり出血してる…ヤバいかも」
魔女「む?主も出血して居るでは無いか」
女海賊「これは処置済み」
剣士「回復魔法!」ボワー
女海賊「ぁ…ありがと」
盗賊「ぐぇぇぇぇ吐きそうだ…血が足りねぇ」
846 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:56:22.70 ID:UulvHEXE0
『貨物船』
ドタバタ
魔女「ダメじゃ!主はこの間血を抜いたばかりじゃろう…」
情報屋「このままじゃ盗賊が危ない!!私の血を…」
商人「僕の血は!?」
魔女「主は体が弱すぎじゃ…わらわの血を輸血せよ…情報屋!早うやれ」スッ
情報屋「…」グサッ
魔女「むぅ…痛いのぅ…この管は」
女海賊「お姉ぇにも私の血を…」
女戦士「ぅぅ…私に構うな」
女海賊「お姉!!気が付いた?」
女戦士「私は少し血を抜いたほうが良い様だ…輸血は要らん」
魔女「意識がハッキリしておりそうじゃ…様子見が良いじゃろう」
女戦士「私は居室に戻る…体を見られたくないのでな」ヨロ
女海賊「立てるの?」
女戦士「構うな」ヨロヨロ
魔女「立てる様なら心配は要らん様じゃな…エリクサーを飲んでおけ」
『居室』
ガチャリ バタン
女戦士「ふぅ…」ドサリ
女海賊「平気?」
女戦士「気にするな」
女海賊「お姉ぇが気を失うの初めて見たからさ…」
女戦士「私が倒れたのは別の原因だ…戦いの中で我を忘れたのだ」
女海賊「ん?どゆこと?」
女戦士「恥ずかしくてお前にしか言えんのだが…時の王に打たれて我を忘れてしまった」
女海賊「まさか…」
女戦士「戦いに行く前に私の体がどういう風だったか知っているだろう?」
女海賊「呆れた…心配して損した」
女戦士「逝くまいと耐えたのだが耐えきれなかった」
女海賊「もっと血ぃ抜いた方が良いね」
女戦士「すまんがこの話は墓に入るまで秘密にしておいてくれ」
女海賊「お姉ぇってさ?打たれて痛くないの?」
女戦士「痛みの程度が他の者とどれ程違うかは知らん」
女海賊「でも快感なんでしょ?便利な体だなぁ…」
女戦士「我を保つのが苦痛になるのだ…良いのか悪いのか…」
女海賊「私にゃぁ理解出来ん」
847 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:56:53.36 ID:UulvHEXE0
『翌日』
ザブン ザブン
商人「盗賊の容態はどう?」
ホムンクルス「いびきをかいて寝ていらっしゃいます」
商人「いつも通りだね?」
ホムンクルス「3日は安静にしておいた方が良いかと思います」
情報屋「毎回毎回怪我し過ぎなのよ…」
ホムンクルス「その様ですね…体に傷跡が沢山ありました」
商人「女戦士の方は?」
情報屋「居室から出てこないわ?女海賊が言うには心配無いって」
商人「精鋭4人が行って2人大怪我って…かなり厳しい戦いだったんだろうね?」
情報屋「私はまだ話を聞いて居ないけど…誰も聞いて居ないのかしら?」
商人「気になるね…魔女も知らないって言うし」
情報屋「アサシンは夜の内に気球で何処かに行ったまま…」
ホムンクルス「アサシンさんは気球を交換してくると言って居ました」
商人「交換…なんでだろ…なんか気になる事ばかりだね」
---------------
848 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:57:27.04 ID:UulvHEXE0
ガチャリ バタン
女海賊「魔女は何処に行ったか知らない?」
商人「あ!おはよう…魔女は奥の居室で横になってるよ」
女海賊「そっか…血ぃ抜いた後じゃしょうがないか」
商人「ねぇ昨日の作戦ってどうだったの?何も聞いてないけど」
女海賊「魔術師は剣士が倒したよ…ただいろいろ想定外が在ってね…魔女に相談したかったんだ」
魔女「呼んだかえ?」ノソノソ
商人「あ!!起きたんだ…大丈夫?」
魔女「少し血を抜き過ぎた様じゃが歩く程度なら問題なさそうじゃ」
女海賊「魔女!昨日の魔術師の事なんだけどさ」
魔女「わらわも気になって居ってのぅ…どうだったのじゃ?」
女海賊「倒したよ…でも普通の魔術師じゃなくてリッチ?…っていう魔物だった」
魔女「何故リッチじゃと分かったのじゃ?」
女海賊「盗賊が言ってたんだけど…違ったのかな?」
魔女「リッチは魔術師の成れの果てじゃ…魔力は残したまま不死者になったのじゃな」
女海賊「そんだけ?魔女の反応薄いんだけど」
魔女「ちと考えて居る…セントラルは昔魔女狩りをやって居ったな」
女海賊「10年くらい前だね」
魔女「当時捕らえられた魔術師は皆リッチにされておるやも知れんな」
女海賊「え!?あんなのがいっぱい居るって事?」
魔女「今思えば辻褄の合う事ばかりじゃ…当時の魔術院長は黒魔術を教えとったのじゃが行方不明になって居る」
魔女「黒魔術師はネクロマンサーの事じゃ…魔術師をリッチにすることが出来るのぅ」
商人「それってつまり黒の同胞団に沢山リッチが居るという事だよね?」
魔女「そうなるな…わらわは一度シン・リーンへ戻らねばならんな」
女海賊「戻ってどうするつもり?」
魔女「黒の同胞団と繋がりのある者を粛清するのじゃ…魔術院の規律が乱れすぎておる」
商人「的が絞れて来たね…倒すべきは黒の同胞団なんだ」
魔女「時の王はどうだったんじゃ?会うたのであろう?」
女海賊「うん…それはちょっと話が重くてさ…皆居る時に話すよ」
849 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:57:58.75 ID:UulvHEXE0
--------------------
女海賊「ホムちゃん…ちょっと良いかな?」
ホムンクルス「はい…どんな御用でしょう?」
女海賊「ホムちゃん前にさ…人類を滅ぼす気は無いとか言ってたよね?」
ホムンクルス「私は人間の住まう環境を良くする為に生まれたロボットですからその様な気はありません」
女海賊「じゃぁさ…人間をハーフエルフやハーフドワーフに置き換えるつもりは?」
ホムンクルス「…」
女海賊「どうして黙るのさ」
ホムンクルス「ハーフエルフもハーフドワーフも同じ人間です」
女海賊「それって置き換えるって言う事を言ってるよね?」
ホムンクルス「こう言えば良いでしょうか…長期的に見て交配が繰り返され旧種族は新種族に淘汰されます」
女海賊「やっぱそうなんだ…」
ホムンクルス「しかし問題点もあります…ハーフエルフやハーフドワーフは人間と比較して繁殖力がとても低いのです」
ホムンクルス「ですからハーフエルフやハーフドワーフだけでは繁栄する事が出来ません」
商人「なるほどね…交配を促進する為にエルフは美しくなるように設計されているんだ?」
ホムンクルス「恐らくそうだと思います」
女海賊「恐らくって…そっかホムちゃんがやった訳じゃ無いもんね」
ホムンクルス「はい…私はシミュレーションの結果をお話しています」
商人「今の話からするといづれ人間はハーフエルフやハーフドワーフに置き換わって行くんだね?」
ホムンクルス「先ほどもお話しました様に課題は繁殖力です」
商人「という事は繁殖力の高い人間はいつまでも居残るよね?」
ホムンクルス「交配が進めば入れ替わって行くでしょう」
商人「それは君が言うバランスさせるっていう解釈になるの?」
ホムンクルス「それもバランスさせる手段の一つですね…ここに誤解が生じると思われます」
女海賊「時の王は完全に誤解してるんだよ?」
商人「え!?時の王が?どういう事?」
女海賊「時の王は精霊の言葉を誤解して解釈してんの!人間を淘汰するのが精霊の目的だと思ってる」
ホムンクルス「結果的に種族が置き換わって行くという事ですね…人間を滅ぼすつもりはありません」
商人「時の王はなんて言ってるの?」
女海賊「亡き精霊に変わって人間を滅ぼすとか言ってんのあのバカ」
商人「ハハ君はハーフドワーフだから良い解釈できるだろうけどさ…僕みたいな普通の人間からしたら滅ぼされる様に聞こえるよ」
ホムンクルス「それが誤解の原因ですね…」
850 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:58:36.67 ID:UulvHEXE0
『甲板』
盗賊「うぁぁぁ…腹減った…何か食わせろい」ヨタヨタ
情報屋「あ!!あなた…もう動いて大丈夫?横になってて?何か持って行くから」
盗賊「ちっと風に当たりてぇんだ…デッキで寝転んでも良いだろ」ドタ
商人「焼き魚で良いかい?」
盗賊「何でも良い!腹減った」
ホムンクルス「造血剤も忘れずに飲んでください」
盗賊「まぁ心配ねぇ!いつもの事だ」
魔女「主は懲りん奴じゃのう…わらわの血は大事にせいよ?」
盗賊「ヌハハ今度は魔女の血が入ったか…俺も魔法が使える様になるか?」
情報屋「何バカな事言ってるの?」
盗賊「そういやよう…あの魔術師から良い物スったんだ…見ろ」ポイ
魔女「むむ!貝殻じゃな」
盗賊「それからコレだ…こりゃ何かの杖だろう?」
魔女「こりゃたまげた!幻惑の杖ではないか…精霊が持って居たと言われる杖じゃ…何故祖奴が持って居ったんじゃ?」
女海賊「ふーん…なるほどね」
魔女「何か知って居るのか?」
女海賊「前にあの屋敷に盗みに入った時にもさ…又ドロボウが来たとか言ってすぐ見つかっちゃったんだ」
魔女「ふむ…そういえばわらわが行った時もドロボウとか言って居ったな…」
女海賊「昨日も同じさ…私ら何も盗んでないよ」
盗賊「…て事はその魔術師が盗んでたって事か」
女海賊「時の王は気になる事も言ってたさ…魔術師に監視されてるってね」
魔女「時の王と黒の同胞団の関係は微妙なのかも知れんのぅ」
女海賊「そだね…多分時の王は黒の同胞団に利用されてんだね…何か良さそうなアイテム一杯有ったし」
盗賊「まぁこの杖は今の所俺が持ってんだし…魔女が使ったらどうだ?」
魔女「この杖はユニークアイテムじゃぞ?わらわが使って良いのじゃろうか?」
女海賊「精霊との思い出が詰まった時の王の持ち物だよ…返すのが筋だね」
851 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:59:05.45 ID:UulvHEXE0
盗賊「ユニークアイテムってーとどんな効果あるのか知ってるのか?」
魔女「強力な幻惑魔法が封じられておる…魔王が使うまやかしみたいな物じゃ…人を操れるのぅ」
女海賊「ははーん…その杖を使ってセントラルの動乱引き起こしてんだね?」
魔女「ただし操れるのは一人づつだけじゃな」
女海賊「そんなん有力者操れば良いだけじゃん」
魔女「まぁそうじゃな…時の王が魔結界から出ん理由はそれも理由の一つやも知れんな」
盗賊「そのうち返すとしてとりあえず魔女が持って置け」
魔女「詠唱無しで幻惑魔法が使えるのはさすがに強力じゃな…こんな物を持って居ると命を狙われるのじゃが」
女海賊「もしかしてその杖持って命じるだけ?それで言う事聞く感じ?」
魔女「そうじゃな」
女海賊「ほんじゃ私が使う!!」
盗賊「ダメだ!!お前みたいなのが使うとエライ事になる」
女海賊「はぁ!?私に逆らおうっての?」
盗賊「うぉっとぉ!!お前…裸になりたい様だな…」スッ
女海賊「ちょ…何杖向けてんのよ!」タジ
盗賊「手を上げろ…」
女海賊「ちょ…え?ちょちょちょ…やめてよ」バンザーイ
魔女「これ!!乱用するでない!!これは主らが使うと面倒な事になる!!貸せ!!」ブン
女海賊「その杖ヤバッ…」
魔女「そうじゃ…じゃからユニークアイテムなのじゃ…本来は封印せねばならぬ」
女海賊「ねぇ…手を下ろせないんだけど」
魔女「困ったのぅ…主はもう夢の中なのじゃ…どうやって目を覚まさせようかのぅ」
盗賊「ん?てことは今何やっても覚えて無いって事になるか?」
魔女「目を覚ました時には覚えて居らんじゃろうな」
女海賊「ちょ…待ってマジで言ってる?」
盗賊「ぐふふふふふ…さぁて!!…どうやって起こそうか!!ぐふふふふふ」
女海賊「マジやめて!!体に触ったらぶっ飛ばすよ!!ちょっ…やめ!!」
ギャハハハハハ ギャハハハハハ ヒィヒィ
-----------------
852 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:59:38.05 ID:UulvHEXE0
女海賊「なんか…すっごい体だるいんだけど…」グターーー
盗賊「ヌハハ疲れてるんだろ…ちっと横になってろ!!」
魔女「ヤレヤレ…」
商人「ねぇ…貨物用の気球が船に降りて来そう…多分アサシンだね」
盗賊「なんで貨物用の気球で来るんだ?補給か?」
情報屋「あなたが寝ている間にアサシンが気球を交換してくるって言ってたわ」
盗賊「あぁぁなるほど…昨夜時の王に気球を見られてるからか…こっちの居場所悟られたくないってか」
商人「なんかいろいろ有ったみたいだね」
盗賊「まぁな…しかし女戦士がラットマンリーダー6匹相手に引け劣らんのはビビったわ」
女海賊「お姉ぇは6匹倒したの?」
盗賊「ミスリルの斧ってのもあるが打たれてもビクともしないのがやっぱガチの戦士だ」
女海賊「あーそういう事ね…変態だから気にしないで」
盗賊「斧であのでかいラットマンリーダーを豆腐みたいに真っ二つだ…真似できんわ」
魔女「主は魔術師と戦ったのじゃろう?リッチじゃと何故分かったのじゃ?」
盗賊「心臓がどこにあるか分からない不死者はリッチだと聞いた事があんだ」
魔女「ふむ…では間違いない様じゃな…変異魔法で心臓の場所を変えて居るのじゃ」
商人「魔女が少女に変わったりする魔法だったよね?」
魔女「うむ…わらわも心臓を隠しておるのじゃぞ?」
商人「へぇ…そうだったんだ」
盗賊「一発でやられない様にする為か?」
魔女「そうじゃ…心臓がやられなければ回復魔法で回復出来るでな」
盗賊「だから剣士はリッチをバラバラに刻んだのか」
魔女「体の何所かにはある故それが早いかものぅ」
女海賊「剣士は知ってたの?」
剣士「知らないよ…体が自然に動いた」
女海賊「自然にねぇ…時の王があんたの剣技を見て時の勇者って言ってたけど…」
商人「む…気になる話だな」
フワフワ ドッスン
853 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:00:04.66 ID:xG8gRnQS0
盗賊「帰って来た様だな」
アサシン「盗賊はもう大丈夫なのか?」
盗賊「横になってりゃどうってことは無ぇ…ほんで?上手い事気球は交換出来た様だな」
アサシン「4人乗りの貨物用だが使い勝手は割と良い…それより女戦士の容態はどうだ?」
女海賊「平気…放って置いて良いよ」
アサシン「まだ起き上がれる状態では無いのだな?」
女海賊「分かんないけど…なんで?」
アサシン「今気球から見えたのだが城の方で騒ぎが起きて居そうだ…少し離岸しておいた方が良いかと思ってな」
盗賊「船乗りが中央に行っちまってるな…ちっと時間が掛かるかもしれんぞ?」
アサシン「まぁ私が見に行って来よう…ローグ!一緒に来い」
ローグ「アイサー」
『夕方』
ザブン ギシギシ
女戦士「…」ツカツカ
女海賊「お姉ぇ!!平気?」
女戦士「休んだらスッキリした…お前も仮面を付ける様にしたのか?」
女海賊「お姉ぇの分もあるよ?要る?」ホイ
女戦士「ふむ…銀製か…この紋様はお前が彫ったのか?」
女海賊「そだよ…退魔の効果も魔女が付与してくれた」
女戦士「なかなか良い物だな」
女海賊「お姉ぇのクセがちっとは良くなるかも知んないから付けといて」
女戦士「言うな…」スチャ
盗賊「女5人全員仮面たぁ味気無ぇな…そこに並んでみろ」
魔女「…」 幻惑の杖 ローブ
情報屋「…」ミスリル剣弩 中装
ホムンクルス「…」毒牙のナイフ 軽装
女戦士「…」ミスリル斧盾 重装
女海賊「…」4連銃爆弾 中装
商人「こうやって改めて見るとみんな美人なのに勿体ないね」
盗賊「船に乗ってる時ぐらい外しておいてくれよ…酒がマズイ」
----------------
854 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:00:32.87 ID:xG8gRnQS0
女海賊「あ!!やっと帰って来た!!アサシンとローグ!そこに並んで」
アサシン「何のつもりだ?」
女海賊「良いから早く」
剣士 「…」流星の剣 中装
盗賊 「…」ミスリルダガー弓 中装
ローグ「…」ミスリルダガー×2 中装
アサシン「…」草薙の剣 中装
商人「…」ミスリル剣弩 中装
女海賊「やっとみんな揃ったね」
アサシン「食事でもしながら少し話そうか…」
商人「バーベキューでもしようよ」
ローグ「良いっすねぇ…魚ばっかでやんすが」
『バーベキュー』
メラ パチ ジュゥジュゥ
女海賊「…ほんで城の方はどうだったの?」モグ
アサシン「ゲートブリッジが開いて架け橋も降りたそうだ…今はブリッジ上で押し合っているらしい」
ローグ「アンデッドホースに乗ったデュラハーンの一騎駆けで大混乱だったようでやんす」
女戦士「騎乗で戦える地形ではあるまい?」
ローグ「中央の方まで降りてきたらしいっすよ?一騎で…」
女戦士「倒したのか?」
アサシン「何処かに去ったとの事だ…よもやするとこちらに来ていたかもしれん」
女戦士「バリケードが功を奏したか…被害はどうなって居る?」
アサシン「怪我人が数十人中央まで運ばれているな…死者の状況は分からん」
盗賊「エルフゾンビはちとやり過ぎじゃ無ぇか?」
アサシン「まぁゲートブリッジが降りたのだ…呼び込んで終わらせるつもりなのだろう」
ローグ「今は中央の方も落ち着いて心配無いでやんす」
アサシン「さて…私も昨晩の事で聞きたい事が山ほどあるのだが…」
女海賊「私が話すよ…」
カクカク シカジカ
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855 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:01:05.29 ID:xG8gRnQS0
女海賊「…で…これが盗賊が盗んだリッチが持ってたの貝殻だよ」
アサシン「魔女…この貝殻は聞く専用の貝殻なのか?」
魔女「そうじゃな…もう一つ話す専用の貝殻も持って居ったかもしれんが…」
盗賊「そんな何度もスリ出来るようなチョロい相手じゃ無ぇ!」
アサシン「まぁ良い…その貝殻があれば黒の同胞団の動きを探れるな」
女海賊「魔女の話だと黒の同胞団に沢山リッチが居るかも知れないって」
盗賊「やばいぞリッチは…不死者で心臓がどこにあるのか分かんねぇんだ…今回は魔法使って来なかったから良かったが…」
アサシン「ふむ…単騎で一人づつ倒すと言う訳にも行かんのか」
女海賊「待って…リッチって不死者だよね?だったらなんでエルフゾンビのドクロの杖に従わなかったの?」
魔女「魔結界の中に居ったからじゃな…つまり魔結界の外に居るリッチはドクロの杖に従う筈じゃ」
盗賊「おぉぉ!!ほんじゃドクロの杖はキーアイテムだな」
アサシン「上手く使えば黒の同胞団を壊滅に追い込めるな」
女海賊「下手に動いてこっちの動きバレるとマズイからしっかり調べたいね」
魔女「わらわに考えがある…シン・リーンの元老院は黒の同胞団を繋がって居りそうじゃ…わらわは一旦戻りたい」
アサシン「魔女が動いていると黒の同胞団に知られるのは逆に良くないと思うが…」
魔女「変性魔法で他人に変身すれば良い」
女海賊「お!?そんな事できんの?」
魔女「姿を借りる者の同意があれば成り済ます事が出来る」
アサシン「ほう?面白い作戦だな」
魔女「そうじゃな…母上と面識のある女戦士が良いのぅ?品もある故目通りするには十分じゃ」
女海賊「お姉ぇ…品があるとか言われてるけど変身されて良いの?」
女戦士「体を他人に見せない条件でなら構わん」
アサシン「…して…目通りが出来たとしてどうする?」
魔女「元老院の者を招集して尋問じゃな…わらわには幻惑の杖がある」
アサシン「ふむ…壺の行方はどうする?」
魔女「おぉ!!そうじゃ…時の王の屋敷にはやはり無かったのか?」
女海賊「一通り見たけど壺は無かったなぁ…美術品と謎のアイテムばっか」
盗賊「俺も見て無ぇな…」
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856 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:01:37.18 ID:xG8gRnQS0
情報屋「ねぇ女海賊?未来君が壺の事を何か言っているわ?」
女海賊「え?未来が?…どうしたの未来?」
子供「僕さ…前に白狼の盗賊団ごっこしたときに壺を一個持って帰ってきたよ?」
魔女「何じゃと?どのような壺じゃ?」
子供「…これくらいの大きさで黒い壺だよ…蓋が付いてた」
魔女「こんな形をして居らんかったか?」カキカキ
子供「そう!これ…袋に入れてママに渡したよ」
女海賊「え!?…あの財宝の中に…あったの?」
魔女「それは何処にあるのじゃ?」
女海賊「お姉ぇに渡した財宝ってどうなった?」
女戦士「海賊の基地に置きっ放しだな…私の部屋だ」
女海賊「安全な場所にあんじゃん!!あそこは狭間の中だよ」
ローグ「あの財宝…あっしが最初にお宝貰ったっすよね?壺なんか見てない気がするんすけどねぇ…」
女海賊「私も覚えてないんだけど…確認しないと分かんないね」
アサシン「ひとまず行き先の手掛かりは一つある訳だ…ここは分かれて行動するか」
女戦士「では私は船で一度基地へ戻るとしよう…ローグを連れて行く」
女海賊「シン・リーンは飛空艇で私が魔女を送って来るよ…どうすっかな剣士は一緒に来るとして…」
アサシン「私の予測だが魔術師の多いシン・リーンは相当危険だと思うのだが…」
女海賊「アサシンの予定は?」
アサシン「私はフィン・イッシュ女王の相談役になってしまって居てな…今は動けん」
女海賊「じゃぁこうしよう…ホムちゃんは放って置けないから連れて行くとして盗賊と情報屋…おまけで商人の7人」
女戦士「未来は私が預かるで良いか?壺を知っているのは未来なのだろう?」
女海賊「うん…あんまり危ない所に連れまわせないしお願い…」
アサシン「では私はエルフゾンビと共にフィン・イッシュ女王の下に身を寄せておく」
女海賊「おっけ!決まりだね」
アサシン「魔女に頼みがあるのだが…貝殻をそれぞれに配れんか?連絡用に使いたいのだ」
魔女「簡単じゃ…それぞれに2枚づつ用意すれば良いな?」
アサシン「うむ…黒の同胞団も同じように連絡を取り合っているのだ…私達も使わねば行動に差が出る」
魔女「では女戦士と女海賊…アサシンに配るとしよう」
857 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:02:05.83 ID:xG8gRnQS0
『居室』
ガチャリ バタン
女海賊「お姉ぇ…未来はもう寝た?」
女戦士「フフ未来は剣士にそっくりだな?」
子供「…」スヤ
女海賊「お姉ぇに彗星の剣を預けに来た…」ゴトリ
女戦士「良いのか?」
女海賊「私やっぱあんま使わないんだ…背負える様になってるから何かあったら未来に使わせてみて」
女戦士「分かった…研ぎは私が…」ゴクリ
女海賊「無駄に研がないで大事に使って」
女戦士「分かっている」
女海賊「未来は昔の剣士みたいな剣の使い方するんだ…私じゃ無理だから稽古付けてあげて」
女戦士「そうだな…船旅は暇を持て余す…しっかり訓練してやる」
女海賊「未来は私から離れるの初めてだから少し心配…」
女戦士「自分の荷物をまとめて私の居室にもう来ているのだ…自分なりに役立とうとしているのだぞ?賢いでは無いか」
女海賊「フフそっか…」
女戦士「お前は知らんかも知れんが…隠れて回復魔法の練習をしているのだぞ?」
女海賊「未来が?」
女戦士「魔女に教えてもらった様だ…貴重な回復要員としても働いて貰うつもりだ」
女海賊「もう一人前か…」
女戦士「うむ…まぁ危険な所に行く訳では無いから心配しなくても良い」
女海賊「うん…どっちかっていうとお姉ぇの変態が移るのが心配」
女戦士「…」スラーン ピカー
女海賊「ちょちょちょ…口が滑った」
女戦士「フン!見れば見るほど美しい刀だ…」
女海賊「あ!そういえばその刀で切られた切り口は溶けるみたいだから注意して…自分の体切らない様にね」
女戦士「ほう?そのような効果もあるのか…」
女海賊「伝説の剣にふさわしいっしょ?フフ」
858 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:02:36.41 ID:xG8gRnQS0
『翌日』
ザブン ギシギシ
魔女「では行くぞよ?」
女戦士「どうすれば良いのだ?」
魔女「わらわに吸い込まれて行くのを拒否しなければ良い」
女戦士「ふむ…分かった」
魔女「では…変性魔法!」グングン
盗賊「おぉ!!女戦士が2人…」
女戦士「イカンな…体が大きゅうなり過ぎてローブがピチパチじゃ…」
女戦士「これが私なのか…触って良いか?」
女戦士「自分の体を触るのと同じじゃぞ?」
女戦士「…」ムニムニ
女戦士「これ!気持ちが悪い」
女戦士「柔らかいな…私はこれほど柔らかいのか…」
女戦士「何を言って居るのじゃ…自分の体じゃろう」
女戦士「私の着替えを持ってくる…着替えて見てくれ」
女戦士「うむ…いやここでは盗賊が見て居るでわらわがそっちに行った方が良いな」
盗賊「んーだよ!!減るもんじゃあるめぇし別に良いだろ」
女戦士「魔女…こっちだ…居室まで来い」
859 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:03:03.28 ID:xG8gRnQS0
『居室』
ゴソゴソ
女戦士「これは普段主が着ている物では無い様じゃが?」
女戦士「軽装だから着るのを控えて要るのだ」
女戦士「なるほど…主は本当はこれが着たいのじゃな?」
女戦士「そうだ…試着しても自分では見る事が出来ないのでな…」
女戦士「どうじゃ?満足か?」
女戦士「回ってみてくれないか?」
女戦士「ほれ?」クルリ ヒラ
女戦士「フフ…もっと着せ替えてみたくなるな」
女戦士「わらわはこれで良い…軽い方が好みじゃ」
女戦士「私はこんな風に見えて居たのか…」
女戦士「自信が付いたか?」
女戦士「もっとゴツゴツした風体だと思っていたのだがそうでは無かったのだな…」
女戦士「気にし過ぎじゃ」
女戦士「笑ってみてくれないか?」
女戦士「こうか?」ニコ
女戦士「フフ…照れくさい」
女戦士「満足した様じゃな?」
女戦士「妹に負けて居ないのは良く分かった…少し自信が付いたありがとう魔女」
860 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:03:35.12 ID:xG8gRnQS0
『甲板』
ザブン ギシギシ
ローグ「そろそろ出港するでやんすが…げ!!かしらが2人…」
盗賊「お!?戻って来たな?どっちがどっちだ?」
女海賊「魔女!!そろそろ飛空艇に乗って…出発するよ」
女戦士「他の者は皆乗って居るんか?」
女海賊「うは…全然見分け付かないね…もう乗ってるから魔女も乗って」
女戦士「体が大きい故頭をぶつけそうじゃ…慣れるまで少々かかりそうじゃな」スタスタ
女海賊「その体ってさ…お姉ぇと同じぐらい強いの?」
女戦士「丁度半分じゃ」
女海賊「半分でもそこそこ強いんじゃね?」
女戦士「そうかも知れんのぅ…一応魔法も使えるで割と強いかも分からん」
盗賊「マジか!暇出来たら立ち会ってみるか…」
女戦士「遊びでは無いんじゃ早う行くぞよ」
女海賊「よし!乗ったね?飛空艇の操作は盗賊がやって」
盗賊「おう!じゃ…いくぜ?」
フワリ シュゴーーーーーー
861 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:04:31.94 ID:xG8gRnQS0
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------------------
淫魔の呪い編
完
862 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:27:40.10 ID:CUQQsgj40
『飛空艇』
シュゴーーーーー
盗賊「ぬぁぁぁ…魚の干物ばっかじゃ力が出無ぇ!」カジ
女海賊「それしか無いんだから我慢して」
情報屋「干し芋ならあるわ?要る?」
盗賊「食い飽きたんだ…肉食わせろ肉!!」
商人「この先にトアル町があったよね?ちょっと補給して行かないかい?」
女海賊「肉売ってるアテあんの?」
商人「あそこは森の近くだし養羊場もあった筈だよ」
女海賊「2時間で買い物済ませて」
商人「分かった僕が買って来るよ…荷を持つのに情報屋も一緒に来てくれるかな?」
女戦士「わらわも行こうかのぅ…体に慣れておきたいでのぅ」
商人「助かるよ」
盗賊「魔女…その格好じゃ危ねぇから余ってる武器何か持ってけ」
情報屋「予備のミスリル剣があるわ?これで良いでしょう?」
女海賊「ダメダメ…魔女は剣の抜き方も知らないからトゲトゲのこん棒あったじゃん!アレにして」
盗賊「おぉそういや全然使って無ぇな…モーニングスターって武器だ」
女戦士「何でも良い…どうせ使わんじゃろう」
盗賊「持ってんのと持って無いのとじゃ男の寄り付き具合が全然違うぞ?用心しておけ…その格好じゃ目立つからな」
863 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:28:21.72 ID:CUQQsgj40
『森の端』
フワフワ ドッスン
盗賊「こっから10分程西に行ったらトアル町だ…行けるか?」
商人「これくらいの雪なら大丈夫かな…行って来るよ」ギュッギュッ
女海賊「あと2時間もしたら日が落ちちゃうから急いで」
商人「うん!分かってるって…情報屋!魔女!行こう」
ザクザク ギュ ギュ
女海賊「ほんじゃ剣士と盗賊はちっと作業手伝って」
盗賊「なぬ?俺に働かせんのか?」
女海賊「大した作業じゃないって!船体の隙間をこの樹脂で埋めんの…やって」
盗賊「樹液の残り粕で作ったんか?…こんなんで埋めたら燃えやすくなるんじゃ無ぇか?」
ホムンクルス「大丈夫です…木材が長持ちする様になりますので出来るだけ全体に塗って下さい」
女海賊「…聞いた?ハイ働いて!!」
盗賊「へいへい…ラクは出来んな」
-----------------
トンテンカン トンテンカン
盗賊「何作ってんだ?」
女海賊「窓が布だと風入って寒いかんね…余ってる木材で木窓作ってんの」
盗賊「これ嵌め込んで行けば良いか?」
女海賊「金具に引っかけて押し込んどいて…すぐ開けれるかチェックもやっといて」
盗賊「窓全部こんなんでフタしたら暗くなら無ぇか?」
女海賊「大丈夫…ホラ」ピカー
盗賊「あぁなるほど…光の石な」
女海賊「あんたもどうせ暇なんでしょ?余ってる材料で何か作ってよ」
盗賊「ロープ組んでハンモックでも作るか…床に寝転ぶより温いかもしれん」
女海賊「良いね…やって」
ホムンクルス「立派な家になりますね」
女海賊「ほんじゃさ!ロープ張って布垂らして間仕切りも作ってよ…帆みたいに畳める様にしてさ…」
盗賊「おぉ!お前と剣士がイチャ付いてるのを見んで済むか」
ホムンクルス「間仕切りがあれば暖房性能が向上しますね…私がデザインしても良いでしょうか?」
女海賊「ホムちゃん良い案あるの?」
ホムンクルス「ウラン結晶の熱を均等に行きわたらせる工夫です…対流を上手に誘導します」
女海賊「良いね!!」
盗賊「ちっとやる気出て来たぞ…よーし」
ホムンクルス「はい…ここをこうして…あそこをこうして」
864 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:28:49.72 ID:CUQQsgj40
『トアル町』
ガヤガヤ ガヤガヤ
商人「うわ…商隊の詰め所がごった返してる」
情報屋「セントラルがあんな風だからこの町が終点になっているのね」
商人「でも何かおかしいな…どうして馬が居ないんだろう?」
情報屋「もしかして雪で足止めかしら?」
商人「そんな感じだね」
女戦士「向こうを見てみぃ…大きなシカがソリを引いて居る」
商人「なるほど…わかったぞシカが少ないから商隊が停滞しているんだ」
情報屋「物資調達には丁度良かったわね?」
商人「うん…これはチャンスだよ」
多分寒さを凌ぐのに毛皮とか羊毛は高騰してる
その代わり肉とか角は安い筈だ
油は高い…物資滞留で海の物は安い
商人「一気に買っちゃおう!!まず人用のソリを2台手に入れよう」
情報屋「フフ急に元気になったわね」
商人「2時間しか無いんだ急ごう!!」タッタッタ
865 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:29:20.41 ID:CUQQsgj40
『街道』
ガヤガヤ ガヤガヤ
木炭は要らんかね〜木炭安いよ〜
さぁもってけドロボー金属糸の織物安いよ〜
シカの角バッファローの角なんでもありまっせぇ
冷凍肉どれもこれもたったの5銅貨!!
ガヤガヤ ガヤガヤ
女戦士「古代の金貨1枚でこれほど買い物できるのじゃな?」
商人「まだ銀貨余ってるよ…どうしようかな」
情報屋「また使う機会あるかも知れないし取って置いたら?」
商人「そうだね…もうソリ一杯だしね」
情報屋「ねぇ商人気付いてる?私達の事付けてる男の人4人…」
商人「君も気付いていたかぁ…困ったね」
情報屋「ソリを引いて町を出るのはすこし危険かも知れないわ」
商人「魔女?さっき買った盾は使えそう?」
女戦士「盾なぞ使った事が無いのじゃが…」
商人「あと30分…どうしようかな」
女戦士「わらわは魔法が使えるのじゃ…気にせんと行くぞよ?」
情報屋「大丈夫?その体でも暴漢4人相手だと心配だわ?」
商人「こうしようか…僕と情報屋がソリ引くからさ…魔女は僕たちを守って?」
女戦士「そうか?商人にこのソリが引けるのじゃろうか?」
商人「変わるよ…ふんっ!!」ススス
女戦士「大丈夫そうじゃな?…では戻るとするか」
ガヤガヤ ガヤガヤ
黒い馬に乗った騎士が走り抜けていったらしいぞ?
馬じゃこの雪ん中どうにもなえるめぇ
またセントラルの貴族じゃ無いのか
ガヤガヤ ガヤガヤ
866 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:30:41.54 ID:CUQQsgj40
『町外れ』
スルスル スルスル
商人「ソリだと荷物運ぶのラクだなぁ…はぁはぁ」
情報屋「息切らしてるじゃないフフ」
商人「ちょっとした運動さ…それにしてもあの4人付いて来るね」
情報屋「どこで仕掛けて来るかね?」
女戦士「貝殻で剣士を呼んだ故…そのまま行って良いぞ」
商人「お!それを聞いて安心したよ」
情報屋「来た来た…4人走って来たわ」
女戦士「そのまま気付かん振りで行って良い」
野郎1「おいおい待ちやがれ!何処いくんだいネェちゃん」
野郎2「どういう事か分かる…」
ボカッ! グチャ
野郎2「はががが…いでぇぇ」
女戦士「うるさいのぅ…わらわは忙しいのじゃ主らに付き合うとる暇は無いのじゃ」
野郎1「やろう…女だと思って優しく声掛けてやってんのに…おい!お前等!!この女掴まえるぞ…」
野郎2「ってぇぇぇ」
野郎3「ソリ引いた2人はそのまま行っちまいますが…」
野郎1「そんなん後だ…ごるぁぁぁ!!」ダダ グイ
女戦士「これ!止めんか…」ジタバタ
野郎1「囲め囲め!!」グイ
野郎2「うひひひひ…なかなか力ありまっせこの女…んむむ」グイ
野郎1「あの小屋まで連れ込むぞ」グググ
女戦士「ふんっ」ゴン!
野郎1「ぐぁ…にゃろう!このまま脱がせ!!」
野郎2「うひひひひ…こいつ下着付けてませんぜ?」
女戦士「そこは触るでない…」ブン グチャ
野郎2「ひでぶ…」
野郎1「お前…血が…」
野郎4「おいおい!ヤバいぞ…誰か走ってくんぞ?」
シュタタ
867 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:31:14.83 ID:CUQQsgj40
剣士「そこまでだ…手を放せ」
野郎1「誰だお前…どこから来やがった」スラーン
野郎4「こいつ刀に手ぇ掛けてる」スラーン
剣士「魔女…立てそうかい?」
女戦士「助かったわい」
剣士「僕が援護するからその盾で構えてみて」
女戦士「こうか?」スチャ
野郎1「やろう…やる気だな?」
剣士「構わずその武器で叩いても良さそうだよ…」
ブン! ボカ ボカ ボカ
うぎゃ! いだっ!
剣士「その先っぽの尖ってる所を当てれば良い」
女戦士「こうじゃな?」ブン! グチャ
『飛空艇』
メラメラ パチ
女海賊「お!?なんかいっぱい買って来たね」
商人「そうなんだよ…丁度商隊が沢山詰めててさ…良い物いっぱいあった」
女海賊「これ馬の毛皮?」
商人「そうそう!それすっごい安かったんだ…他の毛皮は高騰してた」
女海賊「ちょうど敷物無くて困ってたんだよ…盗賊!この毛皮を床の敷物にして」
盗賊「商人…飛空艇の中を見て見ろ!」
商人「おぉぉスゴイ!!ちょっとした隠れ家になるじゃないか」
ホムンクルス「中は暖かいですよ?」
女海賊「あ!!サメの肝油だ!!貴重品じゃん」
商人「それも安かったんだ…あと色んな動物の角も安かったから買って来た」
盗賊「肝心の肉はどうなった?忘れて居ないだろうな?」
商人「肉もすごい安かったから色んな肉買って来たよ」
情報屋「ちょうど焚火してるみたいだし早速焼いてみたら?」
女海賊「ちょちょちょ…焚火で肉を焼くときは焼き方があんだよ…剣にぶっ射して直火で焼くの」
盗賊「知ってらぁ!こうだろ?」スパッ ブス
女海賊「そうそう…それが山賊焼き…私も食お!」
情報屋「剣士と魔女の分も焼いておくわね」ジュゥ
盗賊「クソ旨めぇ!!」ガブガブ
ホムンクルス「造血剤を飲むのも忘れないで下さい」
盗賊「俺の造血剤は酒だ」
ホムンクルス「アルコールの分解は体に負担がありますので少しにして下さい」
盗賊「へいへい…」
868 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:31:44.64 ID:CUQQsgj40
-----------------
商人「あ!剣士と魔女が帰って来た」
女海賊「平気?」
剣士「魔女一人で十分だったよ」
女海賊「お姉ぇの体に怪我は?…アレ?お姉ぇじゃないか…」
女戦士「わらわは大丈夫じゃ…ちと下の方を触られて気持ち悪いだけじゃ」
女海賊「え…お姉ぇの体触られたって事?」
女戦士「気にせんでも良い…それより良い匂いがするのぅ」
情報屋「剣士と魔女の分の肉が焼けてるわ?食べて?」
商人「冷凍になってるお陰で肉が新鮮だよ…おいしいから食べて」モグ
女戦士「久方ぶりの肉じゃな…もうずっと芋しか食しておらん」モグ
商人「寒くなったから皆毛皮が欲しいんだろうね…肉は本当に安かった」
女海賊「私ら毛皮は余ってて良かったね」
盗賊「昔お前が作った偽物の白狼毛皮な?毛布替わりにゃ丁度良い」
商人「あ!!そうそう金属糸の織物がめちゃくちゃ安かったんだ…女海賊が喜ぶと思って買ってきて置いた」
女海賊「お!?良いね!!魔女が軽装だからさ…後でインナー作ったげるよ」
女戦士「下着の代わりかえ?わらわは布の下着が苦手なのじゃ」
女海賊「大丈夫!スースーするから」
女戦士「では試してみるかのぅ」
-----------------
869 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:32:20.03 ID:CUQQsgj40
剣士「そう!盾はそう構える」
女戦士「ふむふむ…」
剣士「盾の中に肩と肘と胴体を隠す…武器は相手から見えない様に」
女戦士「こうか?」
剣士「そのまま突っ込んで来てみて?」
女戦士「…」タタタ
剣士「そうそう…そうやって間合いを詰める…その後に縦振りか横振りの2択」
女戦士「ほい!」ブン
剣士「良いね!振り終わったら盾を使って殴る感じに繋げて見て」
女戦士「…」ブン ブン
剣士「まぁそんな感じかな…必ず盾で身を守るのを意識してね…もう一回やろうか」
女海賊「お姉ぇの体になったら魔女も戦いたくなるんかな?」
盗賊「ちったぁ戦える様になってないと又襲われるぜ?」
商人「なかなか様になってるじゃない」
盗賊「まぁ本物と比較したら全然キレが無い…てか先読みが無いから素人みたいなもんだな」
商人「先読みねぇ…それ言われると僕も素人だなぁ」
盗賊「乱取りで慣れるしか無いんだが…魔女にそれが出来るんかいな」
剣士「じゃぁ次!その木の棒で僕に当てて来てみて」
女戦士「良いのか?」
剣士「うん」
女戦士「では…」タタタ ブン カコン
剣士「続けて」
カンカン コン
870 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:33:10.87 ID:CUQQsgj40
剣士「待って待って…どうして僕の避ける方向分かってる?」
女戦士「見えて居るからじゃが?」
剣士「あれ?魔女は何か訓練してる?」
女戦士「剣の訓練は初めてじゃ…魔術の訓練は何十年もやったがのぅ」
剣士「おかしいな…」ヒョイ ヒョイ
女戦士「普通じゃが?」
剣士「僕が動く前に魔女の目はそっちに向いてる…どうして?」
女戦士「詠唱短縮の効果じゃな」
剣士「どういう事?」
女戦士「魔術師は詠唱を短縮する為に少しだけ時空の先に居るのじゃ…わらわがノソノソ動く様に見えるのは主らに合わせて居るからじゃ」
剣士「それはどれくらい先?」
女戦士「1秒にも満たぬが…それほど影響があるのか?」
剣士「そういう事か…リッチと戦った時に違和感があったんだ」
女戦士「魔術師は精神と時の門でそういう修行をするのじゃ…相手よりどれだけ早く魔法を撃てるかが勝負じゃからな」
剣士「もう少し立ち合ってみよう」
女戦士「ふむ…いくぞよ?」
カンカンコン カンカンコン
盗賊「なんか俺もやりたくなってきたわ」ウズウズ
剣士「魔女は鍛えるとすごく強くなると思うよ」
盗賊「だな?俺がリッチの鎌の射程がおかしいと思ったのはそういう事だな?」
剣士「うん…1秒先に動かれてると思って戦わないといけない」
盗賊「1秒つったら連撃食らってもおかしく無ぇ」
女戦士「1秒も無いで安心せい…修行を極めても1秒には届かぬ」
剣士「それでも圧倒的有利だよ」
盗賊「見て避けるでは遅いな」
剣士「うん…感じて避けないといけない」
-------------------
871 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:33:43.79 ID:CUQQsgj40
盗賊「暗くなって来たからそろそろ上がっとか無ぇと獣出んぞ」
女海賊「剣士!魔女!?飛空艇に入って…行くよ」
剣士「あぁごめん今行くよ」スタスタ
女戦士「良い運動じゃった…この体はよう動くから気持ちがええわい」
女海賊「剣士!残りの荷を入れて!!」
剣士「うん…よっこら…これは矢とボルトだね」
商人「安い物を手当たり次第に買っちゃったから」
情報屋「セントラルに物資が無いのは近隣に疎開したからだったのね」
”ハジ・マリ聖堂の魔術院が抵抗して占拠に時間が掛かりそうだ”
”兵団がセントラルに戻るのはもう少し待て”
”あのモウロクを上手く使ってなんとか収めろ…以上”
女海賊「ちょ…これ!!リッチが持ってた貝殻…」
女戦士「どういう事じゃ?セントラルの兵団がハジ・マリ聖堂に行って居るのか?…」
盗賊「こりゃどっかに行ってたセントラルの船団はシン・リーンに行ってんじゃ無ぇか?」
女戦士「戦う理由が無いでは無いか…国が接して居らんのじゃぞ?」
商人「シン・リーンとセントラルは元々戦争状態だよね?」
女戦士「ううむ…わらわがセントラル国王に密書を渡したのが黒の同胞団にバレてしもうたかのぅ…」
商人「その可能性もありそうだね…あと前にこの飛空艇でシン・リーンの船団を追い返した事もあるんだ…死傷者ゼロで」
女海賊「海賊がシン・リーンの港町まで牽引したってパパが言ってた」
商人「だったらドワーフの国と繋がってる様にも見えてしまってるかもね」
女戦士「魔術院を落としたところでセントラルには何の利も無いと思うが…」
商人「セントラルじゃなくて貴族とか黒の同胞団の利益だろうね…何かありそう?」
情報屋「発掘された遺跡の遺物…ほら?聖剣エクスカリバーとか光の石とかいろいろ有ったでしょう?」
女戦士「ユニークアイテムを奪われまいと母上が抵抗しておるのじゃな?」
商人「流れ的にそんな感じだね」
女戦士「これは先にハジ・マリ聖堂に向かわねばならんな」
商人「魔女があんまり動いちゃうと相手に勘繰られる気がするなぁ」
女戦士「ホムンクルスや…森の東…ハジ・マリ聖堂付近は雪が積もっておりそうか?」
ホムンクルス「森の東側は山がありませんので豪雪地帯にはなりにくい様です…北の方へ行けば雪が降っているでしょう」
女戦士「アラクネーじゃな…アラクネーを起こして戦わせるのじゃ」
女海賊「お!?私ちっこいクモ持ってるよ…ホラ」モソモソ
女戦士「言う事聞くのであればそのクモにお願いしてみるのも手じゃな…無理やり起こすと怒らせてしまうで」
女海賊「やってみるよ」
872 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:34:45.07 ID:CUQQsgj40
『森の上空』
シュゴーーーー
盗賊「一旦港町を見て行く感じで飛んで良いな?」
女戦士「うむ…船団の規模が見ておきたい」
商人「津波の被害がどうなってるのかも気になるね」
盗賊「湾になってっからな…セントラルと違って直撃は受けにく様には思う」
商人「セントラルは外郭がまずかったね…アレで海水をせき止めちゃったみたいだからさ」
盗賊「このままハイディングしながら行けば1日半ぐらいか?」
女海賊「もうちっと早い…明後日の日の出前には着くと思う」
盗賊「んじゃ夜間飛行は俺がやる…お前等は仲良く寝てて良いぞ」
女海賊「剣士!こっちこっち!!めちゃ快適になってるよ」
剣士「あぁ…」
商人「じゃぁ僕とホムンクルスは向こうを使うね…ホムンクルスおいで」
ホムンクルス「はい…」
女戦士「ではわらわと情報屋はウラン結晶で温まるかのぅ」
----------------
シュコシュコ ゴリゴリ
女戦士「何を作っておるのじゃ?」
女海賊「皆の武器をボーンハンドルにしてんの…木より丈夫で軽いんだよ」
女戦士「見た目も良いのぅ?」
女海賊「でしょ?磨くともっと綺麗になるさ」
女戦士「角か…回復魔法をエンチャント出来そうじゃな」
女海賊「お!?良いじゃん!!やって」
女戦士「ほんの少しじゃがな…切り傷くらいは治るじゃろうて」
女海賊「盗賊が怪我ばっかりしてるから絶対エンチャントした方が良い」
女戦士「そうじゃな…回復魔法!」ボワー
女海賊「これさぁ…鞘も角で作ったらエンチャント出来る?」
女戦士「出来るぞよ?」
女海賊「回復魔法の頻度が減るんだったらやっといた方が良いね」
873 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:35:15.89 ID:CUQQsgj40
女戦士「うむ…」
女海賊「剣士も魔法使えるけどエンチャントは無理?」
女戦士「エンチャントは変性魔法との複合魔法じゃから剣士には出来んのぅ」
女海賊「なるほど…材料を変身させてるのか」
女戦士「そうじゃ高位魔法じゃから何年も修行せねばならぬ」
女海賊「剣士が使える最強の魔法って何?」
女戦士「魔力依存じゃったら量子転移が最強じゃが危険じゃけ教えられんのぅ」
女海賊「それって祈りの指輪にエンチャントされてる魔法?」
女戦士「そうじゃな…万物を手に入れる事が出来るが制御が出来んのじゃ…わらわでも自由に使えぬ」
女海賊「ふ〜ん」
情報屋「変性魔法を簡単にした物がシャ・バクダ錬金術よ」
女戦士「良く知って居るのぅ…物質の結合と変性じゃ…特殊な器具が必要になるがな」
女海賊「特殊な器具って何?」
女戦士「わらわは知らぬ…天秤の様な物じゃとは書物で読んでは居るが仕組みは何も知らん」
情報屋「キ・カイ錬金術はその器具が無いから何でも中途半端なの…今までの話からすると時の王が持って居た可能性が高い」
女戦士「リリスの首にバフォメットが付いておったのはそれが理由じゃろうな」
女海賊「時の王の屋敷には天秤みたいな物なんか無かったよ」
女戦士「黒の同胞団が盗んだんじゃろう?それしか考えられん」
女海賊「そんな大事な物盗まれて平気にしてるっておかしくない?」
女戦士「じゃから黒の同胞団にモウロクと呼ばれて居るのでは無いか?人は200年分しか記憶出来んらしいからのぅ」
女海賊「…そうか精霊との思い出以外は忘れて行ってるのか」
女戦士「そこに付け入られて居るのじゃな…哀れな男じゃ」
情報屋「シャ・バクダが滅んで200年以上…道具の使い道を忘れて行ってもおかしくないわね」
女戦士「そもそも器具があったとしても変性魔法の術を使う者が居らんとイカン…じゃから時の王一人では器具は使えんのじゃ」
女海賊「分かって来た…やっぱ時の王は上手く利用されてるだけなんだ…黒の同胞団に」
女戦士「うむ…時の王の指示通りに動いて居る様に見せてその実…利用されておるな」
女海賊「黒の同胞団のボスって誰?…」
-----------------
874 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:35:45.98 ID:CUQQsgj40
トクン トクン トクン
女海賊「ちょっと商人!あんた裸で何やってんのさ」
商人「シーーーッ!」
女海賊「ホムちゃんも服がはだけ過ぎなんだけど」
ホムンクルス「商人の心臓の音を聞いて居ました…少し雑音が混ざっている様です」
商人「悪くはなって無い?」
ホムンクルス「恐らく心臓の膜に穴が開いていると思われます…塞ぐことが出来れば症状は改善します」
女海賊「あんた具合悪いの?」
商人「空気が薄い場所だとすこしだるくなるんだ」
ホムンクルス「血中酸素濃度が低下しているのですね…病状の悪化ではありません」
女海賊「魔女の変性魔法で心臓治せたりしないの?」
女戦士「わらわは何でも屋では無いぞよ?」
ホムンクルス「心臓の病状が進行する事はありませんがその他臓器への負担が心配ですね」
女海賊「ホムちゃん賢者の石持ってたよね?それでいつもくっついてたの?」
ホムンクルス「はい…賢者の石には体機能の活性化効果がありますから」
女海賊「おっけおっけ…なら良いよ」
商人「僕はホムンクルス無しじゃ生きていけないかもね」
女戦士「ではホムンクルスをしっかり守らねばイカンぞ?」
商人「だから剣の練習してるのさ」
女海賊「ふ〜ん…まいっか」
------------------
875 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:36:14.10 ID:CUQQsgj40
トンテンカン トンテンカン
盗賊「ぬぁぁぁうるせぇな…今度は何作ってんのよ」
女海賊「秘密兵器…」キュッキュッ
盗賊「望遠鏡か?えらく細い様だが?」
女海賊「ホムちゃん!ミスリル銀磨いて鏡の入れ物にしたよ…これに光の石入れれば良いんだよね?」
ホムンクルス「はい…あとはレンズで集光して筒から出る様に調整してください」
盗賊「んん?光をその筒から発射するんか?」
ホムンクルス「簡単なインドラの矢を発射する装置ですね…鏡の中で光を蓄えて発射する仕組みです」
女海賊「これさ…ずっと使わないと光貯め過ぎて爆発したりしない?」
ホムンクルス「ご安心ください…一定量を超えると光の石に再吸収されます」
女海賊「あーーなるほど」
ホムンクルス「光の最充填にどれくらい時間がかかるか分かりませんので使って試してみてください」
女海賊「これ撃てるの一発だけ?」
ホムンクルス「そうですね」
女海賊「じゃぁ望遠鏡と合わせて狙いを外さない様に調整しないとなぁ…」
盗賊「2連式クロスボウみたいになってりゃ良いんだけどな」
ホムンクルス「光は重力で少しだけ曲がりますのでご注意下さい…計算式はメモに書いておきます」カキカキ
女海賊「んん?これって…そっか見えてる分も曲がってるのか…てことは遠くに見える物ほど誤差が大きくなるんだね」
ホムンクルス「はい…」
盗賊「どんだけ遠く狙うつもりなのよ…」
女海賊「望遠鏡で見える範囲に決まってんじゃん」
盗賊「おま…10キロも20キロも先の物に当てるつもりなんか?」
女海賊「悪い?」
盗賊「マジか…そんなんで狙われたら命がいくつあっても足りん…神の武器になるぞ」
ホムンクルス「長距離でしたら大気による光の減衰で大きな威力は期待出来ません…木を燃やす程度ですね」
盗賊「それでも人殺すにゃ十分だ」
女海賊「んーーこれ望遠鏡で補正するのムリだなぁ…目盛り書くだけにしよっかな」
ホムンクルス「対象との距離で補正する量を記した目盛りが簡単でしょう」
女海賊「おけおけ…あとは引き金工夫してブレ無いようにする」カチャカチャ
------------------
876 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:36:40.42 ID:CUQQsgj40
女海賊「飛空艇揺らさない様に安定飛行させて」
盗賊「おう!」
女海賊「じゃ…もっかい!!」シュン
盗賊「なんか撃ってんのか撃ってねぇのか分かんねぇな…当たったか?」
女海賊「ふむふむ距離2キロ程度でリンゴに当てられる…もうちょい調整必要かな」
盗賊「十分すぎるだろ」
女海賊「ダメダメ…私が納得しない」
女戦士「ううむ…やはりドワーフは伝説の武具を生み出すのじゃな」
女海賊「再充填で10分掛かんのがウザイ」
ホムンクルス「光の石を挟んで鏡の容器を左右に分けてみては如何でしょう?」
女海賊「2発撃てるって事ね?おっけ!もう一個容器作るわ…」
盗賊「おいおいまだやるんか…もう日が落ちる」
女海賊「ほんじゃ調整はまた明日…今から容器作って改造する」
女戦士「やる事があって良いのぅ」
情報屋「本当スゴイわね…」
『港町近海』
シュゴーーーーー
盗賊「全部で8隻だな…てことは4000人程度軍隊が出てる事になる…船に残ってる事考えると2000人ぐらいか」
女海賊「これ港町は占拠されちゃってんのかな?」
盗賊「港町に俺の隠れ家があんだけど寄ってか無ぇか?」
女海賊「飛空艇降りられんの?」
盗賊「大丈夫だ…納屋に小麦もある」
女海賊「ふむ…ちょっと行ってみようか」
商人「母さんのお墓もあるんだ…手を合わせて行って」
女海賊「女盗賊か…じゃぁ行かないとね」
盗賊「よっし!日が昇る前に降りる」
シュゴーーーーー
877 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:37:15.44 ID:CUQQsgj40
『ユートピア』
フワフワ ドッスン
盗賊「降りろ!飛空艇は狭間に隠す」
情報屋「しばらく留守にしていたけど…変わって無いわね」
商人「女海賊!母さんの墓はこっちだよ」
盗賊「海がめちゃくちゃキレイなんだ見て行ってくれ」
情報屋「私は街に降りて少し情報を仕入れて来るわ?剣士を連れて行っても良いかしら?」
女海賊「剣士行ける?」
剣士「うん…」
情報屋「剣士が居れば安心…」
盗賊「ふぅ…女盗賊…帰って来たぜ?寂しかったか?」ナデナデ
女海賊「このお墓…あんたが作ったの?」
盗賊「なんだよ…飾りっ気が無いってか?」
女海賊「私が石に装飾掘っても良い?」
商人「ハハ良いじゃない?母さん喜ぶよ」
盗賊「あんま派手派手にすんなよ?」
女海賊「うっさいな…あんたも情報収集行って来たら?どうせ暇でしょ?」
盗賊「へいへい…情報屋!待ってくれ…俺も街に降りる」
情報屋「早く来て?今の内に酒場見ておきたいの」
----------------
コンコンコン コンコンコン
女戦士「ほう…シャ・バクダ王家の紋章じゃな?」
女海賊「うん…アサシンから女盗賊の本当の名前聞いて居たんだ」
女戦士「随分と離れた場所に来てしもうたな…まさかここに王の血筋の墓があるとは誰も気づくまい」
女海賊「私さぁ女盗賊が歌ってた歌をまだ覚えてんだ」
女戦士「どんな歌じゃ?」
女海賊「剣士を寝かせる時に歌ってたんだよ…すっごい簡単なんだけど…印象に残ってる」
女戦士「…むむ!!もしや…歌ってみよ」
女海賊「寝んね〜ん寝〜♪」
ルルル〜♪
ララ〜♪
女戦士「こんな所に伝わって居った様じゃな…その歌を忘れるでないぞ?」
女海賊「え?なんで?」
女戦士「それはキマイラを操る歌じゃ…必要になる時が来るやもしれん」
女海賊「リリスとかの事?」
女戦士「うむ…キマイラとして蘇ったリリスを操れる可能性があるのじゃ…ホムンクルスや?覚えたか?」
ホムンクルス「はい…今の歌は記憶に残って居ます」
女戦士「主も歌えるようにしておくのじゃ」
ホムンクルス「はい…わかりました」
878 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:37:58.30 ID:CUQQsgj40
『日の出』
女海賊「はぁぁぁぁ時間忘れそう…ここって名もなき島みたいな感じ」
商人「朝食出来たよ…小麦でパンを焼いてきた…野菜と肉も挟んであるよ」
女戦士「おぉ良いのぅ」
商人「母さんの大好物だったんだ…毎日このパンを孤児院に持って来てくれた」
女海賊「あんがと…」モグ
チュンチュン
商人「あ!あんなところに鳥の巣が出来てる」
女戦士「女盗賊の友達かもしれんのぅ…」ポイポイ
女海賊「ここは平和だねー」
タッタッタ
盗賊「おぉぉ間に合った!!剣士!情報屋!早く来い…まだ日の出だな?」ハァハァ
女海賊「めちゃ綺麗だねココ」
盗賊「お!?墓もなかなか荘厳な感じになったな?」
女戦士「シャ・バクダの末裔にしては質素じゃが場所は最高じゃな」
盗賊「よう!!それより聞いてくれ…港町に新しい領主が来たらしいんだけどよ」
女戦士「元老の誰かじゃな…わらわが知って居るやもしれん」
盗賊「聞いて驚くな?そいつは魔術師の推薦でシャ・バクダから派遣されてる…どういう事かわかるか?」
女海賊「ぶっ!!…マジで?」
女戦士「最悪の者が領主になったと言うか…」
盗賊「女海賊ちょっとこっちの崖際に来てみろ…領主の砦が見えるんだ…その望遠鏡で覗いてみろ」
女海賊「え…どこ?」
盗賊「ギリギリ砦が見える…何か見えんか?」
女海賊「んんん…こんな朝っぱらから人なんか要る訳無いじゃん」
盗賊「あいつ何とかしねぇと又何かやらかすぞ?」
女戦士「これではっきりしたのぅ…内側から魔術院を滅しようとしておる様じゃな」
商人「魔術院さえ無くなれば女王の実権が無くなる?」
女戦士「元老院はまとまった兵を持って居らぬ…故にセントラル兵を使って居るな」
盗賊「こっちもぐちゃぐちゃだな」
879 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:38:26.25 ID:CUQQsgj40
女戦士「まともなのはフィン・イッシュだけの様じゃ…しかしあの領主は処分せねばならん…どうしたもんか」
女海賊「あ!!裸のエルフが捕らえられてる…え?3人も?」
女戦士「どこじゃ?」
女海賊「物見の塔…窓から見える」
女戦士「千里眼で覗く…ふむ鎖で壁に繋がれておるな」
女海賊「距離1キロくらい…ホムちゃん!この距離で鎖は焼き切れるかな?」
ホムンクルス「2発同じ場所に当てれば切れるかもしれませんね」
女海賊「剣士!あんた鳥と話できたよね?」
剣士「え!?そんなのやった事無い…」
女海賊「良いから鳥と話してあのエルフに伝えさせて…鎖を見えやすい位置に移動させてって」
剣士「どうすれば良いか…」
女海賊「目ぇ閉じて!!鳥を何か感じない?」
剣士「目を…居るのは分かる…でもどうやって?」フッ
女戦士「今ので終わりじゃ…感じるだけで良いとエルフが言うておった」
女海賊「おけおけ飛んでった」
--------------------
女海賊「よしよし…窓に移動してる…撃つよ」シュン
盗賊「おぉ…」
女海賊「ヒット!」ガチャコン
盗賊「すげぇ仕組みだな」
女海賊「気が散る…黙ってて」シュン
女海賊「よっし!切れた!!」
女戦士「残りの2人も鎖の切断を要求して居りそうじゃ」
女海賊「うん分かってる…あと10分」
女戦士「これは魔法では無いで誰も気づけんのぅ」
880 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:38:56.97 ID:CUQQsgj40
『20分後』
シュン
女海賊「おっけ!最後の鎖…やっぱ調整したら精度上がる」
女戦士「3人で逃げて行きよる」
盗賊「見えた…アレだな?もう見つかって追われてんな」
女戦士「エルフ3人じゃとよほどでは無い限り掴まえるのはムリじゃろう」
盗賊「まぁそうだな」
女海賊「チャンス!エルフ居なくなったの確認しに来た所を狙える…あのクソ領主の股間に当ててやる」
盗賊「そこは一発で倒せよ」
女戦士「元老の処分はわらわに任せよ…ここはお仕置きで良い」
女海賊「魔女?クソ領主はどこにいるか分かんない?」
女戦士「今衛兵の目を追って探して居る所じゃ…少し騒ぎになり始めて居る」
『10分後』
盗賊「おいおいおい…アレ領主じゃ無ぇか?今砦の方に向かっている…女連れてんな」
女海賊「外で豪遊かよ」
盗賊「砦ん中入っちまう前にやった方が良くねぇか?」
女戦士「今女の目を追って居る…間違いなくシャ・バクダに居った領事じゃな」
盗賊「砦の門が狙い目だ…開いて無ぇから立ち止まる筈だ」
女戦士「女の視線がおかしいのぅ…キョロキョロしておる」
女海賊「よし!門で立ち止まった…あの女邪魔!!」
女戦士「話をして居るが…金銭の揉め事…いやイカン!!領主はナイフを手にしておる」
女海賊「…もうちょい下がって…もうちょいもうちょい…」シュン
パン!
女戦士「うぉ!!血が飛び散りよった…」
女海賊「え?なんで?破裂して片足取れた」
ホムンクルス「水蒸気爆発ですね…血液が爆発したと思われます」
女海賊「ヤバこれ…」
盗賊「おい…騒ぎになる前にここを離れるぞ…飛空艇に乗れ」
女海賊「やっちゃったぁぁ…」
女戦士「直ぐ近くに魔術師が居るじゃろうから死なんじゃろう…足を失のうたのは今までの罰じゃ」
盗賊「行くぞ!早くしろ!!」
881 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:39:25.89 ID:CUQQsgj40
『飛空艇』
シュゴーーーーー
女海賊「光が当たって燃えるだけだと思ってたんだよ」
ホムンクルス「水分が無ければ燃えるだけで収まりますね」
女海賊「リンゴが破裂してたのはそういう事か」
ホムンクルス「はい…水分が水蒸気爆発を起こして威力が増大します」
盗賊「これ爆弾と変わんねぇだろ」
女海賊「ちょっと使いどころ考える…危なすぎ」
女戦士「神の武器じゃな」
盗賊「逆に言うと魔物は一発で倒せる訳だ…あの威力だと胴体に当てりゃ穴空くだろ」
商人「君はスゴイ武器を開発したね…インドラの銃…間違いなくユニーク武器に相当するよ」
女海賊「魔女どう?クソ領主は死んで無い?」
女戦士「しぶとく生きとるのぅ…貝殻を使って何やら連絡しておる」
女海賊「狭間の中で貝殻の声って聞こえるんだっけ?」
女戦士「何か聞こえてから狭間を出ても遅くは無い」
商人「また何か指示が出るかもね」
女戦士「気にせずわらわ達は行動して居れば良いと思うな」
盗賊「ハジ・マリ聖堂は直ぐに着いちまうぞ?直行して良いんだよな?」
女戦士「すぐ北の林の中に飛空艇を隠せば良い…聖堂の下に街があるよってそこで宿じゃな」
----------------
女海賊「…おっけ?分かった?」ブツブツ
盗賊「ヌハハ…クモとおしゃべりか?」
女海賊「うっさいなけし掛けんよ?毒持ってるから」
盗賊「結構でかいじゃ無ぇか」
女海賊「ここまで育てたの」
女戦士「良いアラクネーじゃな…魔術師はアラクネーを飼う事もあるのじゃぞ?」
盗賊「目が4つか?」
女海賊「6つ…クリクリして可愛いっしょ?」
女戦士「アラクネーはここまで大きゅうなれば天敵が居らんくなるで飼いやすい…クマでも近寄らんな」
盗賊「おおぅ…そんなに毒強ぇぇのか」
女戦士「麻痺の効果と壊死の効果じゃ…飛空艇を守るには最適かも知れんのぅ」
882 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:39:58.28 ID:CUQQsgj40
『ハジ・マリ聖堂上空』
ビョーーーーウ バサバサ
商人「完全にセントラルに包囲されてるね…トレビュシェットまで作ろうとしてる」
女戦士「魔術院だけが孤立しとるんじゃな」
盗賊「だな?街の方は何も被害が無ぇ」
商人「ドンパチが無さそうだけどどうなってるんだろ?」
女戦士「わらわの教えを守っているならば専守防衛じゃ」
盗賊「こんなんじゃ守り切れんだろ」
女戦士「魔術師をなめてはイカンぞ?睡眠魔法も毒魔法も使えるのじゃぞ?」
商人「なるほどねーそれで制圧出来ないでいる訳だ」
女戦士「内側に敵が居らねばこの数で攻め切れる訳が無い…じゃが向こうにも魔術師が混ざって居るんじゃろうな」
盗賊「飛空艇はどこに降ろせば良いんだ?」
女戦士「北の林の中じゃ…アラクネーが居って人が近寄らん」
盗賊「あそこだな?降ろすぞ」ビュゥゥゥ
『北の林』
フワフワ ドッスン
盗賊「自分の荷物持って居りてくれ!最後に俺がハイディングで隠す」
情報屋「うっすら雪が積もってるわね?」
商人「ここは暖かいな…地面から湯気が出てる」
ホムンクルス「暖かい地下水が流れている様ですね…クモの様な地生生物の温床になるでしょう」
女海賊「…じゃぁ行って来て!」カサカサ
女戦士「アラクネーが出て来るか見ものじゃのぅ」
盗賊「俺らは街の方に降りてくんだよな?」
女戦士「ちと遠いが運動不足の解消と思って付いて参れ…2時間程歩く」
女海賊「マジ!?そんなに歩くの?」
商人「良い事思いついた!!ソリが2台あったじゃない?乗って行こう」
女海賊「お!?面白そう…持って来て」
商人「丁度緩い斜面になってるし薪にするくらいだったら使っちゃおう」
883 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:40:30.74 ID:CUQQsgj40
『斜面』
シューーーーーー
女海賊「ひゃっほーーーい!!」
女戦士「およよよよ飛ばし過ぎでは無いか?およよよよ」
ゴツン ガッサーーーー ゴロゴロゴロ
女海賊「アハハ…アハハハハハ」
剣士「魔女!大丈夫かい?」
女戦士「ふがふが…ぺっぺっ…飛ばし過ぎじゃ!!」
女海賊「止まんなかったんだよ!!もう良いじゃん街まですぐそこだし」
女戦士「盗賊らは上手く滑って居るでは無いか」
盗賊「うぉぉぉい!!早くこぉぉぉい!!」
女戦士「もう主のソリにわらわは乗らぬ」プンスカ
女海賊「まぁまぁ早く行こ!!剣士?ソリ持って来て」ピュー
女戦士「ヤレヤレじゃな…」
剣士「ハハ…」
884 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:40:57.16 ID:CUQQsgj40
『ハジ・マリ街道』
タッタッタ
町人「あんたら!!冒険者か?どっから来たんだ?」
盗賊「まぁそんな所だが…港町の方からここまで来た」
町人「ほーん…見た所手慣れの装備だな?」
盗賊「どうした?見知らぬ冒険者に声を掛けるったぁ何かあんだろ?」
町人「セントラルから来た兵隊がよぅ…魔物をけしかけて街の者に従うよう強制するんだ」
女戦士「それは聞き捨てならんな」
盗賊「魔物と言っても色々居るが…」
町人「頭が牛みたいなでっかい奴なんだ」
盗賊「そらミノタウロスだな…魔術師はどうしている?」
町人「ここらを守ってた魔術師はみんなあの聖堂の中に閉じこもってる」
女戦士「なぜその様な事になっておる?」
町人「領主の方針だよ…魔術院をシン・リーンに移設するらしいけど魔術師達が抵抗している」
女戦士「魔術師が居らん様になっては魔物からこの地を守る事なぞ出来んのじゃが…」
町人「兵隊を駐留させて経済成長させる狙いだとか」
盗賊「ほんで?俺達にミノタウロスを倒してくれって事なのか?」
町人「早い話そうなる…俺達武器持ってる奴が少ないんだピッチフォークくらいしか無い」
盗賊「ヌハハそれじゃミノタウロスは無理だな」
町人「それだけじゃ無いんだ…この辺は夜になるとグールが出て墓荒らしするんだ」
女戦士「うむ…そうじゃな魔術師が居らんとグールに支配されてしまうのぅ」
盗賊「人食い人種だっけか?ゾンビとか食らうんだよな?」
町人「知ってるなら話が早い」
女戦士「つまりじゃ…魔術師に帰って来てほしいのじゃろう?」
町人「まぁそこまで出来るとは思ってない…とりあえずあのでかい魔物を何とかしてほしい」
女戦士「わらわ達に任せて置け…全部解決してやるで」
盗賊「おいおいそんな事言って良いのか?」
女戦士「依頼は受けるよって主は宿に顔が効くのか?」
町人「宿のおかみは俺の幼馴染だ…何とか話をしても良い」
盗賊「そりゃ好都合だ…俺らが衛兵の目に付かない様にしてほしいもんだ」
町人「聞いてやる…付いて来い」
885 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:41:29.46 ID:CUQQsgj40
『宿屋前』
女海賊「魔女あんな事言って良いの?もしかして私のインドラの銃頼りだったりする?」
女戦士「インドラの銃では無い…主の歌じゃ」
情報屋「ミノタウロスはシャ・バクダ錬金術の産物ね…つまりキマイラ」
女戦士「そうじゃ…主がミノタウロスを操るのじゃ…わらわは幻惑魔法でグールを操る」
商人「なるほどアラクネーとミノタウロスとグールで軍を追い払うつもりだね?」
盗賊「俺らは高見の見物って訳か」
ガチャリ
町人「話は付いた…屋根裏を使って良い…来てくれ」
盗賊「ヌハハ屋根裏とは又隠れるのにベタな場所を…」
町人「正確には屋根裏に行ける部屋を使って良いって事だ…ただし」
盗賊「ん?」
町人「生活が掛かってるもんだから宿代はちゃんと払ってくれだって…」
商人「ハハお金は気にしなくて良いよ…ハイ」ジャラリ
町人「銀貨!!」
商人「口止め代も入ってるから秘密は守って」
町人「おい!おかみ!!てーへんだてーへんだ」
『宿屋』
盗賊「なかなか良い部屋じゃ無ぇか」
女海賊「屋根裏からセントラル軍のキャンプが望遠鏡で覗ける…ベスポジ!」
盗賊「情報収集は俺一人が良さそうだな」
情報屋「そうね?人が少ないし目立たない方が良いわね」
商人「僕はちょっと買い物に行きたいかな」
盗賊「商人は怪しまれそうに無いな…一緒に行くか」
情報屋「じゃぁ私達は水浴びでもして来るわ?」
商人「うん…じゃぁ行って来る」
886 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:41:59.06 ID:CUQQsgj40
『夜』
盗賊「よう!戻って来たぜ?魔女はどうした?」
情報屋「魔女は一人で墓場の方に行ったわ…なにか情報あった?」
盗賊「酒場の方に非番の兵隊が結構来ててな…強行軍で大分疲れていそうだ」
女海賊「ははーんそれで動きがノロイんだ」
盗賊「お前はずっと望遠鏡で覗いてたのか?」
女海賊「ちょっとだけね…トレビュシェットの組み立ては材料無くて止まってるっぽいよ」
盗賊「ん?なんだこりゃ?角?」
女海賊「あーそれ余ってる角に魔女がエンチャント付けてくれてさ…好きなの身に付けといて」
盗賊「何のエンチャントだ?」
女海賊「回復魔法だよ…ほら私は羊の角を腰に引っかけてるよ」
盗賊「おぉどれでも効果同じか?」
女海賊「重さに比例するってさ…角は元々軽いからどれも同じじゃね?」
盗賊「じゃぁこれとこれだな」
情報屋「あなたすぐに怪我するから沢山持ってて」
盗賊「分かってるって」
女海賊「商人は何買って来たの?」
商人「あまり良い物無くてね…塩と胡椒…それからこれはアラクネーの牙かな」
女海賊「お?」
盗賊「お前変な物に興味あるのな…」
女海賊「貸して…ふむふむ」ブン
商人「骨とか角よりも硬いって言われたよ」
女海賊「盗賊の持ってる弓貸して…これ使ってコンポジットボウに改造できるよ」
盗賊「俺は小さい弓じゃ無いと使わねぇぞ?」
女海賊「おけおけ今より小さくて強力に出来る…金属糸頂戴」
盗賊「おう…」
887 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:42:33.12 ID:CUQQsgj40
『翌朝』
チュンチュン
女戦士「ふぅふぅ…わらわはちと疲れたで寝る…あとは任せた」
女海賊「魔女が朝帰りなんて初めてだね」
盗賊「こりゃ起きるまで何も出来んな」
商人「ミノタウロスが街を回って来るのは昼前だって言ってたよね?」
盗賊「おぉそうだ…食い物を取りに毎日来るんだった」
女海賊「どうすっかな…魔女抜きで歌って良いのかな?」
剣士「行こうか…」
盗賊「何かあったら剣士がぶっ倒すだろ…どうせ暇なんだ行ってみろ」
商人「ミノタウロスが毎日肉を持って行っちゃうから皆困ってるらしいよ」
女海賊「おけおけ…剣士が居れば安心」
『街道』
シーン
女海賊「人が全然通って無い…隠れてるんだ」
剣士「匂い…」クンクン
女海賊「お?ミノタウロス来そう?」
ガラゴロガラゴロ ブゥブゥ
町人「おぉ!!ミノタウロスを倒しに?」
女海賊「ちょっと訳在ってね…」
町人「2人で倒すのか?」
女海賊「今日は様子を見に来ただけ…」
町人「そうか…」
女海賊「これがミノタウロスに与える餌?ブタが8匹…」
町人「もう家畜が残り少ないんだ…毎日これくらい要求される」
ドスドスドス
888 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:42:59.24 ID:CUQQsgj40
ミノタウロス「おでの…肉…」
町人「来た!今日はこのブタだ」
ミノタウロス「グッフッフ足りんど?」
町人「これで勘弁してくれぇ」
ミノタウロス「お前…来い」
女海賊「うわ…くっさ!!」
ミノタウロス「女…旨い…お前でイイ」ズイ
剣士「下がって…」スチャ
ミノタウロス「お前…やるのか?」ズモモ ブン ブン
女海賊「これ歌う気無くなっちゃうんだけど…」
剣士「歌ってみて?」
女海賊「寝んね〜ん寝〜♪」
ルルル〜♪
ララ〜♪
ミノタウロス「変な人間…」ブン
剣士「何か指示出してみて」キーン
女海賊「全然効果無さそうじゃん!」
剣士「良いから何か指示だして」
女海賊「おい!牛ヤロウ!そのブタ持ってさっさと帰って!」
ミノタウロス「ほげ?」
剣士「…」タジ
ミノタウロス「今日はこれで…ガマン…明日またくる」
女海賊「おぉ!!いう事聞くじゃん!!」
剣士「これは魔女が使う幻惑魔法と同じだ…多分もう寝てる」
女海賊「へぇ…なんか良くわかんないけど結果オーライ?」
ドーン ドーン
女海賊「むむ!!聖堂の前で何か始まってる」
剣士「アラクネーが来たのかも…」
女海賊「見に行こう!!おい牛ヤロウ付いて来い!!」
ミノタウロス「ほげ?腹へった…」
女海賊「良いから付いて来い…いくよ!!」タッタッタ
889 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:43:28.74 ID:CUQQsgj40
『宿屋』
ドーン ドーン
商人「爆発音!!何か起きてる…」ダダ
情報屋「見て!!聖堂の方…煙が上がってるわ」
盗賊「ホムンクルス!魔女を起こしてきてくれ…緊急事態だ」
ホムンクルス「はい…」
盗賊「剣士と女海賊は見えんか?」
情報屋「ミノタウロスに追いかけられてるわ…聖堂の方に逃げてる」
盗賊「いや剣士がミノタウロス相手に逃げる訳無ぇ…使役してんだ」
商人「セントラルのキャンプで誰か魔法使ってる」
情報屋「火柱…ボルケーノね?」
女戦士「何か起きとる様じゃな…」ゴシゴシ
商人「聖堂の下の方で戦闘が起きてるみたいなんだ」
盗賊「女海賊がミノタウロスの使役に成功して向かってる様だ…目を覗けるか?」
女戦士「千里眼!…ふむ…大型のアラクネーが2匹来て居るな…ちと早かったが作戦通りじゃな」
商人「セントラルのキャンプにも魔術師が居るみたいだよ…さっき火柱が見えた」
女戦士「そうか…ではグールも参戦させんとイカンのぅ…ちと出かけて来るで主らは宿屋から出てはイカン」
盗賊「おう…すぐ帰って来るか?」
女戦士「墓場まで行って帰って来るだけじゃ…そう掛からんで心配するな」
890 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:43:59.16 ID:CUQQsgj40
『聖堂下』
ワーワー ワーワー
小さいのが入り込んでる!!
だめだぁ弓が効かない
でかいのは魔術師に任せろ
近づくな魔法に巻き込まれる
ワーワー ワーワー
女海賊「アラクネーに奇襲されて混乱してる!後ろの方まで伝達行って無いよアレ」
剣士「魔法を使ってるのは何人か分かる?」
女海賊「一人…ローブのやつ」
剣士「一人であの大きな魔法か」
女海賊「あんたもなんか色々使ってたじゃん」
ミノタウロス「腹へった…何かくわせろ」
女海賊「うっさいな!ちっと待ってろ」
剣士「ミノタウロスは兵隊を追い回す役でも良いかもね」
女海賊「牛ヤロウ!セントラルの兵隊を追い回して!その辺に転がってる食い物は何食っても良いから」
ミノタウロス「ほげ?ぶもおぉぉぉぉぉ…飯食う…肉にくぅぅ」ドスドス
女海賊「あいつくっさいんだよイライラする」
ゴーン ゴゴゴゴゴゴゴ
女海賊「あの魔術師何とかしないとアラクネーが焼かれちゃう…」
剣士「ハイディングで近づこう」
女海賊「おっけ!ハイディング!」スゥ
剣士「付いて来て…」タッタッタ
891 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:44:36.11 ID:CUQQsgj40
『キャンプ』
女海賊「ちょっと待って!この先に隠れる所無いから一旦ここで様子見」
剣士「木の陰ね?」
女海賊「ちょい待ち…私登るから…よっ!ほっ!!」
女海賊「おし…リリース!」スゥ
剣士「リリース」スゥ
女海賊「おっけ!見える…あれ?あの魔術師…なんかでかい!!」
剣士「変性魔法で姿変えて居るんじゃない?」
女海賊「でかい鎌持ってる」
剣士「リッチだ」
女海賊「剣士アレだけ倒せる?」
剣士「倒さなきゃいけない…君はその銃でここから援護して」
女海賊「うん…ハイディング上手く使って」
剣士「行く!ハイディング!」スゥ
タッタッタ
剣士「リリース」スパ スパ スパ スパ
リッチ「うぐっ…回復魔法!」ボワー
リッチ「誰だ貴様!火炎弾!」ゴゥ ドーン
剣士「…」ヒラリ
リッチ「フン!自爆魔法!」バーン!!
剣士「うがぁ…」ドン ズザザ
リッチ「回復魔法!」ボワー
剣士「くそぅ…近寄れない」タジ
リッチ「フハハハ分かったぞお前は白狼の一味だな?」
剣士「…」---女海賊頼む!!---
シュン パーン
リッチ「ぬぁ!!」
剣士「ふんっ!!」スパ スパ スパ スパ
ザクン ザクン ブシュ スパ
リッチ「ぐぅぅぅぅ」シュゥゥゥゥ
剣士「ハイディング!」スゥ
892 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:45:07.22 ID:CUQQsgj40
ワーワーワーワー
何だ?何が起こった?
指令が破裂した!!バラバラだ!!
後退!!後退!!
下がって立て直せぇぇ
ワーワーワーワー
-----------------
女海賊「剣士大丈夫?」
剣士「魔法の直撃食らった…範囲魔法が避けられない」
女海賊「見せて…肉の破片が沢山刺さってる」
剣士「抜けるかい?止血は自分で回復魔法する」
女海賊「この魔法って物理攻撃?」
剣士「そうだね…自爆してすぐに回復魔法された…あんな風に戦う相手が居るなら立ち回り変えなきゃ倒せない」
女海賊「抜くよ?」ズボォ ズボ
剣士「うぐぐ…回復魔法!」ボワー
女海賊「これ金属だ」
剣士「道理で…全部抜いて」
女海賊「むむむ」ズボ ズボ ズボォ
剣士「ぐぅぅぅぅ…回復魔法!」ボワー
女海賊「立てる?」
剣士「もう大丈夫…一旦宿屋に帰ろう」
893 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:45:35.31 ID:CUQQsgj40
『宿屋』
女戦士「無事に戻って来た様じゃな?」
女海賊「あのゾンビみたいなのがグール?いっぱいいんね」
女戦士「ゾンビと違うて知能があってな集団で行動するのじゃ…まだ数が増えるぞよ?」
盗賊「今んところ軍隊も持ちこたえてる…こりゃ長引くかもしれんな」
剣士「セントラルにまだリッチが居るならひっくり返されるよ」
女戦士「リッチが居ったんか」
女海賊「そいつだけ倒したよ」
剣士「無詠唱の自爆魔法を使って来た…あんな魔法は魔女も使えるの?」
女戦士「使おうと思えば使えるが…わらわの体は生身じゃけ痛みで次の詠唱が出来んじゃろうな…不死者じゃら可能な術じゃな」
女海賊「これ…肉の破片から出来た金属」
女戦士「うむ…体の一部を金属に変性させて爆発させるのじゃ」
剣士「こういう魔法を先読みで使われるなら僕はリッチと戦えない…何か対抗手段無い?」
女戦士「やはり修行をせんとイカンかものぅ…盾魔法もあるが効果は低い」
剣士「修行…どんな修行?」
女戦士「精神と時の門で時空を超える修行じゃな…魔術師は皆修行をする」
女海賊「それ何年もかかる修行だよね?」
女戦士「わらわの様に時空の少し先に居るようになるには何十年も掛るが…一瞬だけ時間を止める程度であれば習得できるやものぅ」
剣士「一瞬だけ?…それで十分だ!魔法を撃たれた一瞬だけ止まれば対処出来る」
女戦士「ふむ…時限の門を呼び出すには狭間の最も深い場所に居らねば成らぬ…シン・リーンに戻ったならば修行をさせてやろう」
剣士「頼むよ…」
-----------------
894 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:46:12.54 ID:CUQQsgj40
女海賊「…」シュン
盗賊「何撃ってんだ?」
女海賊「他の近くの村にもミノタウロスが行ってるんだよ…これで2体目」
盗賊「各個撃破か…やっぱ役に立つなその武器」
女海賊「魔女?この辺の村っていくつあんの?」
女戦士「さぁ?20ぐらいあるのでは無いか?わらわは全部把握しておらん」
女海賊「あのミノタウロスは軍隊の食力調達要員ぽい…キャンプに食料積んである」
商人「つまりミノタウロス撃破で食料切れを起こすんだね?」
女海賊「そゆこと」
盗賊「軍にヘイト集まらない様に工夫してるんだろうがバレバレだな」
女海賊「ミノタウロスがどんだけ居るか知んないけど地道に数減らすのが良いと思うんだ」
”連絡…例の器具が到着した”
”材料が不足しているから屋敷から使えそうな物を持ち出せ”
”シン・リーン王女がセントラルに潜伏しているとの事だ”
”発見次第殺せ…以上”
商人「ハハまだリッチをやられた事に気付いて居ない…僕たちが先を行ってるじゃないか」
女海賊「リッチを倒すってつまりこういう事だよね…情報を断ってる」
女戦士「…おかしいのぅ」
商人「え?」
女戦士「貝殻を使って情報をやりとりして居るのであればこれほど情報が遅延することはありえん…こ奴ら…」
商人「どういう事?」
女戦士「本真に巧妙に忍んでおるな…こ奴らは5日程過去に潜んで居る」
今聞こえた声は大体5日程前の情報じゃ
前に聞こえた声もそうだったんじゃろう
今わらわ達が起こした行動を貝殻を使って5日程前に聞いて
常に歴史を塗り替えて居るんじゃ
女海賊「じゃこの貝殻あんま意味無いね」
女戦士「リッチは恐らく捨て駒じゃ…未来の出来事を報告させる駒じゃな」
盗賊「5日前つったら…時の王の屋敷に行く前日だな?何か有ったか?」
商人「貴族居住区から中央の方に人が流れてき始めた頃だね…もしかして…」
女戦士「今倒したリッチから貝殻を探して来れんか?」
女海賊「私探してこよっか?」
盗賊「今戦線が下がってるから探すなら今がチャンスだぞ」
女海賊「おけ!行って来る」
895 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:46:42.03 ID:CUQQsgj40
-----------------
商人「魔女?さっきの話は過去に先回りされているっていう解釈で良い?」
女戦士「うむ…時限の門をくぐって過去に行った者が本丸じゃ…追うにはわらわ達も時限の門をくくらねばならんかも知れぬ」
商人「それって追いつめても既に居ないっていう状況が起きる?」
女戦士「そうじゃな…そうやって隠れ潜んで居るのじゃ…未来の出来事を知っての」
商人「今日起こった出来事は黒の同胞団には5日前に伝わってる…その結果が今…」
女戦士「とにかく主は出来事をメモに残せ…符合が合わん時には記憶が塗り替わって居る」
商人「過去に先回りか…」
女戦士「隠密で貝殻を使わせる事無く始末するのが最適じゃな…女海賊のインドラの銃が極めて重要じゃ」
商人「歴史の塗り替えってそんなに簡単かな?」
女戦士「そう簡単には変わらんじゃろうが逃げるぐらいは簡単じゃな」
商人「その結果行動が変わる可能性もあるよね?どうなっちゃう?」
女戦士「神隠しが起きる…次元の狭間に消えるのじゃ」
商人「それ危ないね」
女戦士「うむ…ややもするとこの次元が消滅しかねん」
商人「僕の自我は何処に行っちゃう?」
女戦士「気付いたら過去の自分じゃろうが何も覚えて居らんから今の自我とは違うのぅ」
商人「そういう事か…」
------------------
スン スン スン
剣士「ふぅぅ…」スン スン
女戦士「リッチに苦戦したのが悔しいのじゃな?」
剣士「僕じゃ倒せない…」
女戦士「主でもリッチの心臓の位置は分からんのか?」
剣士「良く集中すれば分かる…でもそんな余裕が無いんだよ」
女戦士「主のその刀は光を帯びて居るじゃろう?残像も残るな?」
剣士「それが?」
女戦士「光は魔法を反射するのじゃぞ?」
剣士「え?」
女戦士「魔法を反射する反射魔法は光属性じゃ…主にも使えるじゃろうが…それより剣筋の残像に身を隠してみよ」
剣士「こう?」スン スッ
女戦士「それで魔法から身を守って居る…物理攻撃は避けられんが…今までよりよかろう?」
剣士「そうか…光を纏うのか…」
女戦士「うむ…その効果は反射じゃ…反射した魔法は跳ね返る故に上手く使え」
------------------
896 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:47:08.36 ID:CUQQsgj40
女海賊「魔女!!貝殻拾って来たよ!!6個あった」
女戦士「この貝殻はわらわが預かる」
女海賊「印が書いてあるね?これで使い分けてるんだね」
女戦士「外の状況はどうじゃ?」
女海賊「戦線が押し返されてる…ミノタウロスが他にも居たっぽくてさ」
女戦士「どうやらわらわ達はもうしばらくここに居らねばならん様じゃ」
女海賊「歴史の塗り替え?ひょっとしてミノタウロスの数が増えてるのって…」
女戦士「そうじゃ…主のインドラの銃が重要じゃ…悟られん様にミノタウロスの数を減らすのじゃ」
女海賊「おけおけ!もうちょい調整したかったんだ」
女戦士「絶対に見つかってはならんぞ?」
-------------------
盗賊「ホムンクルスは何処行った?」
商人「宿屋のおかみに気に入られて洗濯とか手伝ってるよ」
盗賊「良いのか?一人で出歩かせて?」
商人「魔女が普通に行動させろって…魔女が見てるから大丈夫じゃない?」
情報屋「ホムンクルスは賢者の石を持って居るでしょう?それで宿屋のおかみが調子よくなったみたいよ?」
盗賊「まぁ何も起きなきゃ良いけどよ」
情報屋「あなたも暇なら何かやったら?」
盗賊「やっと体の調子が良くなって来たんだ…そろそろ酒でも飲むか」
商人「酒?ハハやる事って酒飲む?」
盗賊「んんだうるせぇな…ちと酒買って来る」
商人「部屋に籠ってるのも何だし買い物なら僕も付き合うかな」
897 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:47:36.20 ID:CUQQsgj40
『街道』
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「お?人が集まってんな…向こうの戦闘見てんのか?」
商人「みんな武器持ってるね?どうしたんだろう?」
町人「あぁ冒険者さん達…」
盗賊「何やってんだ?」
町人「街の方まで魔物が来るかもしれないと思って待機してるんだよ」
盗賊「ピッチフォークに鎌…農民一揆スタイルだなヌハハ」
商人「向こうに落ちてる武器でも拾ってきたら?」
盗賊「聖堂の下あたりは兵隊が引いてんな…多分色々落ちてるだろうが…お前等も来るか?」
町人「ええ!?」
盗賊「まぁ慣れてないんじゃ逆に足手まといか…ちっと俺が行って拾ってきてやる」
商人「僕もあんまり走れないからここで待ってるよ」
盗賊「おう!すぐ戻って来るから…このソリ借りてくぜ?」タッタッタ
町人「一人で大丈夫ですかね?グールに掴まったら…」
商人「大丈夫だよ…彼はあんな感じの略奪が得意なんだ」
『30分後』
ズリズリ
盗賊「おーい!!戦利品くさる程あんぞ」
商人「おぉ…食料じゃないか…それに弓と矢がこんなに沢山」
盗賊「全部持って帰ってくれ…俺はもっかい戦利品拾って来る」
町人「すごい…皆食べ物だ!!今すぐ持って帰ってみんなに食べさせて」
うぉぉぉぉ
盗賊「武器も好きなの取ってもう装備しとけ…じゃ俺は行って来る」タッタッタ
商人「ほらね?略奪大好きなんだあの人」
町人「これ兵隊に見つかったら大変な事にならないかな?」
商人「見つかんなきゃ良いんだよ…早く持って帰って!!」
898 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:48:08.90 ID:CUQQsgj40
『夕方』
ヤンヤン ワイワイ
盗賊「おーし!!お前等ちったぁマシな装備になったな」
町人「でも良いんですかね?」
盗賊「自分らの街は自分らで守る気概を見せて見ろ!それが人を動かすんだぞ?」
町人「気概…」
商人「ハハまぁここの皆は山賊じゃ無いんだから無理は言わない方が良いね」
盗賊「折角戦利品で食料手に入ったんだからよ?上手い飯でも食わねぇか?」
町人「みんな…どうする?」
盗賊「腹が減っては戦は出来ん!!酒場にみんな集めて来いバーベキューを振舞うぞ」
商人「ここに立ちんぼになっててもしょうがないから行こうか」
町人「魔物が来たら…」
盗賊「大丈夫だ!みんなで戦えば何とかなる」
町人「う…」
盗賊「良いから付いて来い!!行くぞお前等ぁぁ!!」
『宿屋』
情報屋「向こうの酒場で盗賊がバーベキュー振舞ってるらしいわ」
女戦士「帰りが遅いと思うたらそういう事か」
情報屋「近くの住民が集まって来てるみたいだけど…やらせてて良いのかしら?」
女戦士「皆腹を空かせて居るのじゃ…盗賊なりの配慮じゃろう」
情報屋「フフ彼らしいわね…又お酒飲んで帰ってきそうね」
女海賊「私はミノタウロス狙って武器の調整やってるから皆行って来たら?」
女戦士「わらわは今晩も墓地の方へ行かねばならん」
女海賊「グールの使役?」
女戦士「うむ…グールを集める様に指示しておってな」
女海賊「お?もっと増えるんだ?」
女戦士「グール退治も兼ねて居るのじゃセントラルの兵にぶつけてのぅ」
女海賊「今の数じゃまだまだセントラルは引きそうにないね」
女戦士「うむ…主に掛かって居るな…新手の敵の数を出来るだけ減らせ」
女海賊「分かってるって…」
899 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:48:38.55 ID:CUQQsgj40
『酒場前』
ワイワイ ガヤガヤ
遠慮すんなこのでかい肉もってけ
どうしたのこんなに?食べて良い?
手の空いてる奴は焼くの手伝え
芋はこっちよ〜
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「どこで油売ってるかと思ったら…まるで山賊ね」
盗賊「おぉぉ良い所に来た!!そこの焼けた芋出して新しい芋突っ込んでくれ」
情報屋「お酒は手に入ったの?」
盗賊「まだだ…忙しくて買えてねぇ」
情報屋「近くで戦闘が起きてるっていうのに良いの?こんな事して」
盗賊「だからこういうのが必要なんだよ!!見て見ろ食ってる奴の目を…旨そうだろ?」
情報屋「フフ希望を配ってる…そういう事?」
盗賊「まぁそうだな…明日からちったぁマシな戦士が出て来るぞ?」
情報屋「あなた…今とても大事なタイミングって分かってやってる?」
盗賊「まぁな?5日前に何か出来るとしたら人を送ってくんだろ…俺はあやしい奴を探してんだ」
情報屋「さすがドロボーさん…見直したわ?」
盗賊「嗅ぎまわってる奴が出たら注意しろ…港町から馬でここまで2日…もう何が起こってもおかしくねぇ」
情報屋「そこまで読んでるか…私も少し情報集めて来るわ」
『翌日』
チュンチュン
女戦士「ふぃぃぃわらわは眠い…今日は起こさんでくれ…寝る」ドタリ
情報屋「盗賊!!魔女をベッドに運ぶの手伝って…重い」
盗賊「ヌハハそりゃ女戦士の体じゃ重いわな…ホレんむむ!こいつクソ重いな…どるぁ!!」ドサ
情報屋「今日はどうする予定?」
盗賊「俺は街の連中とちっと立ち合いでもやってみようと思ってな」
商人「僕は今日はゆっくりしておくよ」
盗賊「そうか?ほんじゃ剣士!!立ち合いやるから付き合え」
剣士「ん?あぁ良いよ」
盗賊「女海賊は屋根裏から狙撃だな?まぁ俺らも見える範囲でやるから見ててくれ」
女海賊「あんま面倒起こさないで」
盗賊「分かってる!!剣士…行くぞ」タッタッタ
900 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:49:07.85 ID:CUQQsgj40
『街はずれ』
ヤンヤン
盗賊「よう!お前等!!今日も見張りか?」
町人「そうだよ…冒険者さんは何用で?」
盗賊「暇なもんだからよ…ちっとお前等と立ち合いでもやろうと思ってな」
町人「立ち合い?」
盗賊「戦闘の稽古みたいなもんだ…ホレこの木の棒を使ってチャンバラすんのよ」バラバラ
町人「立ち合いをやれば強くなれる?」
盗賊「慣れだな…俺ら2人対お前等全員でどうだ?棒で殴りかかって来い…一発当てたらお前等の勝ちだ」
町人「フフ面白そうだ」
よーし!腕試しだ…
この人数でやればいけるっしょ
盗賊「ワクワクしてくんだろ?かかって来い!」
町人「えい!!」タッ コン
盗賊「あぁ全然ダメだな…もっと気合入れて突っ込め」
町人「ふん!!」タッ コン
カンカンコン カンカンコン ベシ!
町人「あだっ!!」
盗賊「打ち返さんとは言って無ぇぜ?」
町人「みんな!!囲め!!」タッ コン
カンカンコン カンカンコン ベシ!
カンカンコン カンカンコン ベシ!
901 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:49:50.31 ID:CUQQsgj40
『宿屋_屋根裏』
女海賊「立ち合いを始めたっぽい」
情報屋「怪しい人は近くに居ない?」
女海賊「今ん所居なさそうかな…」
情報屋「私は街に出て様子見て来るわ」
女海賊「うん…気を付けて」
ホムンクルス「お食事をお持ちしました」
女海賊「あ!ありがと…ホムちゃん完全に宿屋の人みたいになったね」モグ
ホムンクルス「体を動かしていた方が落ち着くのです」
女海賊「へぇ?運動不足だった?」
ホムンクルス「欲求不満なのでしょうか?ドーパミン受容体への供給が不足気味なのです」
女海賊「ホムちゃんが欲求不満?なんか食べたら?」
ホムンクルス「はい…お気遣いありがとうございます」
『街はずれ』
カンカンコン ビシッ
盗賊「そろそろ休憩っすっか!!」
町人「ひぃひぃ…全然当てられない」
盗賊「立ち合いやってりゃその内当てられる様になっからよ」
剣士「盗賊見て!馬車が一台入って来る」
町人「あれは定期的に来る商人達だよ」
盗賊「近くで戦闘やってんのによく馬車なんかで来たな」
町人「少し話をしてくる」タッタッタ
剣士「向こう側からも兵隊が2人こっちに来る」
盗賊「ちと様子見とくか…お前は剣の振り方教えてやっててくれ」
剣士「みんな!僕の真似して剣を振ってみて」ブン ブン ブン
剣士「大事なのは振り終わった後の肩と膝の位置…」ブン ブン ブン
剣士「今のを意識して一人づつ僕に打ち込んでみて」
カンカンコン カンカンコン
衛兵「君たちはここで何をしているのかね?」
盗賊「見ての通り戦闘の訓練だが?他に何に見えるんだ?」
衛兵「あぁ…これは失礼」
902 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:50:49.36 ID:CUQQsgj40
盗賊「セントラルの衛兵が見回りかい?」
衛兵「まぁそんな所だが…こちらで怪しい魔術師など見て居らんか?」
盗賊「怪しいって何だよ…魔術師なら聖堂に居んじゃ無ぇのか?」
衛兵「では聖堂に居る魔術師が出てきているのは見ていないのか?」
盗賊「どうも魔術師に拘るんだな…見て無ぇよ」
衛兵「そうか…もし見かけたら近くの衛兵に声を掛けてほしい」
盗賊「あんたらこの街を魔物から守りに来たんじゃ無ぇのか?」
衛兵「ハハもちろん治安の維持はするつもりだ」
盗賊「たった2人でか?もうちっと衛兵居ないとクマも倒せんだろ」
衛兵「こちらも人出が足りんのだ察してくれ」
カンカンコン カンカンコン
衛兵「ふむ…民兵レベルか…精々精進すると良い」
剣士「…」ジロ
衛兵「何かね?」
剣士「…」ヒョイ ヒョイ
衛兵「この男は挑発しているのか?」
盗賊「あぁぁ剣士落ち着け」グイ
剣士「がるるる…わん」
盗賊「おいおい…ヤメロって」
衛兵「ハハ衛兵と揉めん様にすることだ…では」スタスタ
903 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:51:54.03 ID:CUQQsgj40
『宿屋』
ガチャリ バタン
盗賊「戻ったぜ?みんな居るか?」
商人「情報屋が一人で出て行ったよ」
盗賊「あいつなら大丈夫か…」
商人「何かあった?」
盗賊「嗅ぎまわってる衛兵が2人来た…直にこの宿屋まで来るな」
剣士「あれは間違いなく魔術師だよ…魔女と同じ目の動きをしてた」
盗賊「屋根裏に隠れて居た方が良いな」
商人「じゃぁホムンクルスも連れて来る」
盗賊「ここに俺らを案内した町人がどんだけ秘密守れるかだな…すぐゲロっちまいそうだ」
女戦士「うぅぅん…むにゃ」
盗賊「魔女は徹夜で何やってんだか…かなりお疲れだな」
ガチャリ バタン
情報屋「あら?帰ってたのね?」
盗賊「おう…何か情報あるか?」
情報屋「馬車で街まで来た一行の馭者…多分密偵ね」
盗賊「やっぱりそうか」
情報屋「今晩この宿屋に宿泊すると思うわ…気を付けた方が良い」
盗賊「皆屋根裏に隠れてくれ…魔女だけベッドに寝かせておく」
『屋根裏』
女海賊「8体目…」シュン
盗賊「8対!?そんなにミノタウロス居んのか?どっから連れてくんだ?」
女海賊「そだね5日じゃ移動させられる範囲も限られてんだけどね」
盗賊「もしかするとセントラルは西の森ん中に拠点持ってるのかも知れんな…」
女海賊「でももう見当たんないかな」
盗賊「全部倒したんか?」
女海賊「多分ね…ホラ戦線随分後退してんじゃん?」
盗賊「撤退戦か…」
剣士「あともう2人…さっき見た衛兵の魔術師…あいつを何とかしないといけない」
女海賊「今街ん中嗅ぎまわってる衛兵は魔術師なんだ?」
剣士「リッチが衛兵に化けてるんだと思う…2人はとても対処出来ないよ」
女戦士「手は打ってあるで気にせんで良いぞ?」
盗賊「おぉ!!起きたか…手ってなんだ?」
女戦士「主らに回復魔法を付与した角を配ったであろう?」
剣士「え!?コレ?」
女戦士「魔法を使わんでも良い様にしたのじゃ…この街は既に魔結界の中じゃ…魔法が使えん」
盗賊「そういう事だったか…夜中の内に魔結界張ってたんだな?」
女戦士「もう少し泳がせて倒す相手が誰なのか見極めると良い…あまり籠らんでも良いぞ?」
904 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:52:24.70 ID:CUQQsgj40
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町人「お〜い!!助けてくれぇぇ」
女戦士「んん?どうしたのじゃ?」
町人「ゴブリンの襲撃なんだ…戦える人は助けてくれ」
盗賊「おぉそら大変だ」
女戦士「剣士は目立ってしまう故後方で待機して居れ…商人と情報屋も行けるかの?」
商人「大丈夫!丁度体を動かしたかった所さ」
女戦士「ではちと魔物退治に行ってくるかのぅ」ノソリ
盗賊「俺も新しい弓を試してみたかったんだ…魔女が戦う後ろで俺が弓を撃つ」
情報屋「フフいつもと真逆な位置取りね」
女戦士「わらわもちと腕試しじゃ…行くぞよ?」スタスタ
『街はずれ』
ゴブリン「グエーグエーギギギ」
盗賊「衛兵がこっち見てんな」ギリリ シュン
女戦士「わらわが盾で凌ぐで倒すのは任せたぞよ?」ダダ ボカ
盗賊「商人!魔女を盾にしてゴブリン倒して来い」ギリリ シュン
商人「うん!」ダダダ ザク
情報屋「衛兵は動く気配無いわね…」
盗賊「街を守る気なんか全然無ぇなありゃ…」ギリリ シュン
剣士「やっぱり見てられない…僕も弓で戦う」ギリリ シュン
盗賊「ヌハハお前が弓か…間違って魔女に当てんなよ?」
情報屋「じゃぁ私は前方で戦うわ…援護お願い!」ダダダ
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-----------------
盗賊「矢は全部回収して持って帰れ…ゴブリンの装備は好きにして良い」
剣士「ゴブリンの死体は全部埋める?」
盗賊「いつまでも見たく無ぇだろ?掘った穴にぶち込んどけ」
情報屋「見て?街の人が衛兵に抗議に行ってるわ?」
盗賊「そらそうだわな…ゴブリン襲撃を高見の見物していやがったんだ…反感買うだろ」
商人「僕たちは戦ってる背中見せるだけで良いのか…」
盗賊「おう!…手ぇ休めて無いで穴掘れ!!」ガッサ ガッサ
女戦士「わらわは疲れたぞい?まだ休めんのか?」ガッサ ガッサ
盗賊「動いた後の酒は旨いぞぉ?帰ったら魔女も飲むか?」
女戦士「主は毎日こんな事をして居るのじゃな…道理で丈夫な訳じゃ…」
盗賊「今日は弓使ってたから一撃も食らって無ぇ」
女戦士「前衛は弓の射線を気にしながら動くのを今日知ったわ…良い勉強になった」
盗賊「上手く立ち回れれば弓でバンバン倒せる…なかなか良い弓だぜ?この弓は」
905 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:53:04.99 ID:CUQQsgj40
『酒場』
ヌハハ矢をつがえるの俺の倍ぐらい遅いんだ
ちょっと弓の扱い方教えてほしいかな
慣れだ慣れ!ずっと弓触ってろ
女海賊「はいみんな連れて来たヨ」
盗賊「おぉ!こっちこい好きな物飲め…ここらはハチミツ酒がおすすめだ」
情報屋「良いの?こんなに騒いでて?」
盗賊「酒場の店主がお礼をしたいって言うもんだからよ…甘えときゃ良いんだよ」
商人「大丈夫さ!お代はちゃんと払ってるし」
女海賊「ホムちゃんこっちおいで…これハチミツ酒」グビ
ホムンクルス「はい…頂きます」クイ
盗賊「はぁぁぁやっぱ酒飲んでる時が一番の楽しみだな…うぃ」
情報屋「例の馭者…こっちの話に聞き耳立ててるわね」ヒソ
盗賊「知ってらい!!まぁ見てろ…」
情報屋「なにかする気?」
盗賊「これが何だか分かるか?」スッ
情報屋「睡眠薬…」
盗賊「あいつが飲んでる酒にこいつがたっぷり入ってんだ…そろそろ効いて来るぞ?」
店主「旦那ぁ…こんな所で寝られると困るんだが…」
盗賊「おぅおぅおぅ…こいつは宿屋に泊ってる奴だな…俺が連れ帰ってやる」
店主「あぁ何から何まで済まんねぇ」
盗賊「いやいや気にすんな…俺の仲間をしっかり楽しませてやってくれぃ」
店主「本当に冒険者さん達のお陰でいろいろ助かってますわ」
盗賊「宿屋まで送ったらまた帰って来るからよ…酒用意しといてくれな?」
店主「お待ちしてまっす」
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906 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:53:30.39 ID:CUQQsgj40
情報屋「戻ってきたわね?どうだった?」
盗賊「なーんも持って無ぇなアイツ…只の雇われだ」
情報屋「そう…魔術師じゃなくて良かったわ」
盗賊「タダな…毒を持って居やがった…使用済みだ」
女戦士「なぬ?今飲んで居る酒に毒が入っとると言うか?」
盗賊「かもな?」
ホムンクルス「ご安心ください…賢者の石は毒消しの効果もありますので」
盗賊「良かったな!みんな集まっといて」
情報屋「この街に来ている冒険者は私達だけだからどう動いても狙われるのね」
盗賊「そういう事だな…ただインドラの銃の事は何かの魔法だと思ってる様だな」
女戦士「そうじゃろうな…わらわでもそう考える」
盗賊「もう使わねぇ方が良い…武器も隠した方が無難だな」
女海賊「フフンこれ見て…」
盗賊「銃の先端にスピアヘッド?おぉ!!槍に偽装してんだな?」
女海賊「そそ望遠鏡外したら槍にしか見えないっしょ?」
盗賊「しかしまた錆び錆びのスピアヘッドだなヌハハ」
女海賊「飛空艇に戻ったらミスリル銀のスピアヘッドに付け替えるさ」
盗賊「ミスリル剣が余ってんだろ…それ付けて斬撃にも使える様にしとけ…パルチザン風だな」
女海賊「良いね!!」
女戦士「何でも作ってしまうのじゃな主は」
盗賊「こういうのがドワーフのスゲエ所だな…エルフとは全然違う」
女海賊「ムフもっと言って…エルフより凄いってもっと言って」
『宿屋』
ガチャリ バタン
盗賊「ふぅぅ食った飲んだ…満足満足!」
女戦士「むむ!物色された跡があるぞい?」
情報屋「何か無くなっている物は?」
女戦士「衣類が散らかって居るだけじゃが…気持ちが悪いのぅ」
盗賊「ここまで来てるって事は仕掛けて来るかもしんねぇな」
女戦士「そうじゃな…毒が効いて居らんのは不思議に見えるじゃろうな」
盗賊「死んだ振りしてみっか?」
女戦士「ううむ…どうするかのぅ…」
剣士「僕が死んだ振りしておくよ…鍵を開けて部屋に入って来る様なら切る」
女戦士「ではわらわも付き合うとするかの?他の者は屋根裏で寝て居れ」
907 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:53:57.26 ID:CUQQsgj40
『深夜』
ヒソヒソ ヒソヒソ
恐らく相当な重力魔法の手練れだ
女4人の内誰かが高位魔術師だろう
男3人は無視して良い…
突入して直ぐに自爆魔法を展開しろ
行くぞ
ヒソヒソ ヒソヒソ
剣士「…」---聞こえる---
剣士「魔女?来るよ?」ヒソ
女戦士「主の耳で聞こえたのか?」
剣士「うん…どうする?」
女戦士「主は部屋の中で刀を振り回せるな?」
剣士「大丈夫」
女戦士「わらわは逃げ道を塞ぐ寄って主はとにかく切り刻め」
剣士「分かった」
女戦士「相手は人の皮を被ったリッチじゃ…手加減せんで良い」
剣士「来た…」
------------------
908 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:54:50.34 ID:CUQQsgj40
カチャリ
剣士「…」---鍵を持って居るのか---
衛兵1「2人倒れている…」ヒソ
衛兵2「他の者は屋根裏か?」ヒソ
衛兵1「宿屋のおかみからの情報道理だ」ヒソ
剣士「…」---ホムンクルスを気に入った振りだったのか---
衛兵1「お前は屋根裏に上がれ」ヒソ
女戦士「今じゃ!!」ダダ
衛兵1「何!!自爆魔法!」スゥ
衛兵2「自爆魔法!」スゥ
衛兵1「マズイ罠だ!!」
スパ スパ スパ スパ ボトン
衛兵1「ぐっぅ回復魔法!」スゥ
衛兵2「足が…無い」ドタリ
スパ スパ スパ スパ ボトン
女戦士「待て剣士!!こ奴らはもう手足が無い…何も出来ぬ」
衛兵1「ぐぅぅ謀られた…貴様らは何者だ」
女戦士「それはこちらの台詞じゃ…回復魔法が出来んでは只のダルマじゃのぅ」
衛兵1「その言葉…まさかシン・リーンの魔女」
女戦士「うぬら…魔術師の掟を破った報いはどうなるか知って居ろう」
衛兵2「体が…体が溶けていく…」
女戦士「何故リッチなぞになり居った?魔術院長が暗躍しておるか?」
衛兵1「グッフッフ気付くのが遅い…遅すぎる」
女戦士「何じゃと?」
衛兵1「どれほどの魔術師が王女へ助けを乞おうとしていたか知るまい…魔術院長は悪魔に魂を売ったのだ」
女戦士「うぬらも魂を売ったのじゃな?」
衛兵1「売らされたと言った方が正しいか…魔女狩りと称し仲間を次々と悪魔の餌にしていくのを止めるためだ」
女戦士「うぬらの行いがどれほどの人の命を奪って居るのか理解しておるのじゃろうな?」
衛兵1「笑止!それを一番理解していないのは王族だろうに!!」
女戦士「むぅぅ関係する元老の名を申せ」
衛兵1「それを知ってどうする?皆殺しか?やっている事は黒の同胞団と変わらんでは無いか」
女戦士「ほう?やはりその名が出る様じゃな…奴らが錬金術で何を生もうとして居るのか知らんとは言わせぬぞ?」
衛兵1「ぐぅぅ…」
女戦士「古の悪魔を復活させるのをわらわは止めさせるだけじゃ…どちらに義があると思うておる」
衛兵1「今となってはどちらも犠牲が多すぎる」
女戦士「否!義がどちらに有るか問うておる…魔術師の教えはうぬらも知って居ろう?」
衛兵1「うぐぐぐ…殺してくれ」
女戦士「それで良い…それが魔術師の選ぶ道じゃ…掟を破るとはそういう事じゃ」
スパ スパ スパ スパ
909 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:55:26.39 ID:CUQQsgj40
衛兵1「うぐぅぅぅ」シュゥゥゥ
女戦士「剣士…盗賊を起こして飛空艇を持って来させよ…人に見られる前にシン・リーンへ向かうぞよ」
剣士「うん…」
女戦士「狭間に入って移動するのじゃ…出来るだけ早く出発する」
-----------------
女戦士「これ!起きよ!!早よぅ飛空艇に乗るのじゃ」バシバシ
女海賊「んあ?」パチ
女戦士「よだれを拭いて行け…垂れて居る」グイ
女海賊「ちょ…朝早すぎじゃない?」ヨタヨタ
剣士「僕が背負って行く」グイ
女戦士「忘れ物は無いかえ?」
情報屋「最後に見て行くから魔女も乗って?」
盗賊「おい!早くしろぉ!!飛ぶぞ!乗れぇ」
情報屋「よっ」ピョン
フワリ シュゴーーーー
商人「どうしてそんなに慌てて行くの?」
剣士「宿屋のおかみも敵側なんだよ」
商人「え!?」
女戦士「これ以上一般の民に罪を重ねたく無いのじゃ…牙を剥かれる前にわらわ達が居らんくなれば済む」
商人「誰が敵で誰が味方か分かんないね…」
女戦士「わらわ達の行いでどれほど人の犠牲が出て居るのじゃろうか…」
盗賊「おいおいそれを考えたらキリが無いぜ?」
商人「セントラルの兵は少なくとも数百人は犠牲になってるだろうね…近隣の村も併せると…」
盗賊「まぁあの戦いを扇動したのは俺らだしな…責任が無いわけじゃ無ぇな」
商人「高みの見物をしているのは僕たちの方っていう見方もあるかぁ…」
女戦士「あのリッチになった衛兵はな…そのような中で仲間を守る為にリッチになる道を選んだのじゃ」
盗賊「あの生意気な口聞く衛兵がか?」
女戦士「そんな世の中を作ったのは王族だと抜かし居ったが…正論じゃな」
やっとわらわが師匠の元で修行をする事になった理由が分かったわ
権力抗争の中で王族が魔術院に入るのを嫌がったのじゃな
下らぬ権力抗争で多くの魔術師や民が苦しんで居るのをわらわは見て居らなんだ
結果リッチになる道を選んだ者が居る訳じゃ
910 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:55:57.57 ID:CUQQsgj40
商人「その抗争を生んでいるのが黒の同胞団…」
女戦士「逆かも分からん…抗争の結果暗躍する黒の同胞団が生まれたのやも知れぬ」
恐らくこうじゃな…理由は分からぬが行方不明になった魔術院長は黒の同胞団に居るのは間違いなさそうじゃ
魔王や古の悪魔復活を目論む時の王に手を貸す形で暗躍して居ったのじゃ
その過程で魔術師の力が必要になり魔女狩りを行った…捕らえる為じゃのぅ
中にはリッチになる事を望み…変異魔法で貴族や衛兵に姿を替えておったのじゃろう
そうやって黒の同胞団が力を付けやがて時の王は不要になり今のような状況じゃ
女戦士「わらわはこの様な国の闇の部分から遠ざけられぬくぬくと師匠の下で修行をしておった」
商人「それは魔女の責任じゃない」
女戦士「知ってしもうたからには向き合わねばならぬ…わらわは王族じゃ」
商人「王…か…」
『飛空艇』
シュゴーーーーーー
盗賊「おい!お前のクモ増えてんじゃねぇか!!」
女海賊「あぁぁぁダメダメ!!クモの巣壊したらダメ!!」
盗賊「ここは俺の寝床だぞ?クモの巣なんかどうすんのよ?」
女海賊「研究するに決まってんじゃん!!あっち行ってシッシ!!」
商人「ハハ盗賊の寝床はやっぱり荷室だね」
盗賊「寒みーんだあそこは」
商人「書物読むなら荷室が良いけどね」
盗賊「それで剣士は魔術書なんか見てんのか?あいつ文字読めねぇだろ」
商人「挿絵を見るだけでもなにか勉強になるんじゃないの?」
女戦士「文字が読めんのでは高位魔法は無理じゃろうな」
商人「高位魔法って詠唱が長いやつ?」
女戦士「大体そうじゃ」
盗賊「なんでまた魔術書になんか興味持ったんだ?」
女戦士「魔法を使うリッチに勝てんからじゃろう」
盗賊「まぁ強すぎだなリッチは…近接も強えぇわおまけに魔法まで使うんじゃな」
女戦士「うむ…わらわでも無理じゃ」
商人「今の所だまし討ちしか無いんだ」
女戦士「そういつも上手く行く訳では無いしのぅ…今までは運よく倒せたと思って良い」
商人「女海賊の爆弾は?」
女戦士「倒せるかも知れんが周りへの被害が大きすぎでは無いか?」
盗賊「ヌハハ間違いねぇ…リッチ一体倒すのに城が吹っ飛ぶ」
女戦士「やはり剣士に魔術の修行をさせるのが早かろうて」
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911 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:56:49.91 ID:CUQQsgj40
盗賊「シン・リーンまで今の位置からだとあと2日って所か?」
女海賊「そのまま直行で良いんだっけ?」
女戦士「見つかると厄介じゃからわらわの塔に飛空艇を隠すと良い」
盗賊「追憶の森だっけか…まぁ方向一緒だな…途中にいくつか馬宿あるが寄って行かんで良いか?」
女海賊「人に見られない方が良いかな」
女戦士「そうじゃな…」
女海賊「向こうに付いたらどうするつもり?」
女戦士「母上の膝元じゃ…城の正面から目通りを願うつもりじゃ」
商人「どういう身分で行くつもり?」
女戦士「この体は母上と面識がある故…ドワーフの国からの特使という事で良かろう」
商人「女王は魔女が生きてる事知ってるのかな?…ずっと行方不明だったよね?」
女戦士「知らぬ方が目通りが通りやすいかも知れんな」
盗賊「ところで女王に会ってどうするつもりなんだ?」
女戦士「母上に元老を全員集めて祝賀会を催すよう進言する…そして全員に尋問じゃ」
商人「尋問…もしかして幻惑の杖で?」
女戦士「そうじゃ…黒の同胞団と繋がりのある者はその場で処刑じゃ」
盗賊「うは…これが絶対王政か」
商人「なんか色々問題起こりそうだな…抵抗する人も出そうだ」
女戦士「考えておる…わらわに任せておけば良い」
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912 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:57:16.64 ID:CUQQsgj40
商人「どうしたの?ボーっとして?」
女海賊「んあ?考え事…放っといて」
商人「君はね…なんか分かりやすいんだ…目がギラギラしてるよ」
女海賊「フン!私らいつの間に人間同士の争いに巻き込まれてんよね?」
商人「…そうだね」
女海賊「何と戦ってんの?って感じさ」
商人「ホムンクルスが言ってたよ…人間は何千年もこんな争いを繰り返してるって」
女海賊「時の王が人間に愛想尽かすのも分かる気がする」
商人「やっぱり魔王の影響だろうね」
女海賊「光る海もやったミスリルの音もやった…あと何すれば良いのさ」
商人「僕はね…着実に追い詰めてると思うんだ…もう少しだよ」
女海賊「フィン・イッシュは滅亡寸前…セントラルも崩壊寸前…次はシン・リーン?魔王の思惑通りになって無い?」
商人「魔王の思惑なのかな?憎悪に満たされた人間の思惑なんじゃない?」
女海賊「そんなの同じじゃん」
商人「僕はね…目的は人間が憎悪に満たされない様にする事だと思うんだよ」
女海賊「どういう意味?」
商人「魔王を倒すというのは手段の一つ…逆に人間を滅亡させるのも手段の一つ」
女海賊「じゃぁ光る海もミスリルの音も手段の一つだね」
商人「そう…手段は他にもある筈…それが結果的に魔王を封じてる」
女海賊「そっか…憎悪を膨らませてる黒の同胞団を倒すのも手段の一つか」
商人「魔王が何処に居るか分からないから一つ一つクリアしていくしか無いんだよね」
女海賊「でも嫌になんなぁ人間同士の争い見るの…」
商人「多分避けて通れない…僕らの道はその向こう側にある」
『追憶の森』
ビョーーーーウ バサバサ
盗賊「雪が降って地面がビタビタじゃねぇか…どこに降りる?」
女海賊「ドロの中に降りないで!」
女戦士「広範囲氷結魔法!」カキーン
盗賊「お?氷なら良いな…降りるぞ?」
女戦士「降りた後に汚れん様に森の中に押して隠すのじゃ」
盗賊「なんでこの辺は雪積もらんで沼地みたいになってんだ?」
ホムンクルス「地熱ですね…この周辺は地下にマグマ溜まりがあります」
女海賊「あぁぁそういやシン・リーン古代遺跡の地下めちゃ熱かったわ…思い出した」
ホムンクルス「寒冷化が進んでもこの一帯は地熱で影響が少ないと思われます」
フワフワ ドッスン
盗賊「飛空艇押すの手伝ってくれぇ!!」
女海賊「森の中だと地面ビタビタじゃないよ…こっちこっち」
913 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:57:48.43 ID:CUQQsgj40
『魔女の塔』
シーン
女戦士「これは…」
盗賊「誰か荒らして行った様だな?」
女海賊「花はまだ少し残ってるよ」
女戦士「わらわは師匠の墓に行って来るで主らは塔の中を見て来るのじゃ」スタスタ
盗賊「まぁ何年も放ったらかしじゃしょうが無ぇな…行くか」
女海賊「アダマンタイトの扉が開いてる…コレ知ってる人じゃないと開けられないと思うんだけどさ」
盗賊「そういう事なんだろ」
商人「シン・リーンの女王が魔女を探しに来たっていう可能性もあるよね?」
盗賊「それならこんなに散らかしっぱなしにはしないんじゃ無ぇか?」
女海賊「中に入ろっか」スタスタ
『部屋』
女海賊「書物もハーブも何にも無い…全部持って行かれたっぽい」
情報屋「この塔…古代遺跡の一部ね」
女海賊「あ…情報屋は初めてだっけ?ここ来るの」
情報屋「聞いては居たけれど初めてよ?年代は約1700年前…多分近くに他の遺跡もある筈だわ」
女海賊「そういやシン・リーン古代遺跡も内壁がアダマンタイトだったっけな」
情報屋「繋がっているかもしれないわ…この塔に地下は無いのかしら」
女海賊「階段居りて行った先が崩れてるよ」
情報屋「きっと掘り出せば通路がありそうね」チラリ
盗賊「おいおいおい…ここは魔女の塔だ…勝手に掘る訳にいくめぇ」
女海賊「ちっと見に行ってみよっか」
914 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:58:18.93 ID:CUQQsgj40
『階段』
盗賊「ここは物置になってんだな…なんだこれ?植木鉢か?」
情報屋「何かのハーブを育てて居た様ね」
盗賊「おい!女海賊!お前崩れてるって言ってたのはココの事だよな?」
女海賊「なんで?崩れてんじゃないの?コレ」
盗賊「崩れてたら壁がどっか崩壊すんだろ…どう見てもこりゃ土で埋めてんだ」
女海賊「ふ〜ん掘ってみたら?」
盗賊「待て待て待て…魔女の塔を勝手に掘り起こす訳にイカン」
情報屋「フフ魔女が何て言うかね?」
盗賊「ここは行き止まりだ!戻るぞ!!」
『部屋』
女戦士「ぐぬぬ…許せぬ!ふぅぅ!ふぅぅ!」
盗賊「んん?その顔は…墓荒らしに合ってんだな?」
女戦士「そうじゃ…師匠の亡骸を持ち去った輩が居る」
商人「わざわざ掘り起こして行くって言う事は誰の墓なのか知ってたという事だね」
女戦士「この場所を知って居る者は限られる…わらわが把握して居らんのは数人じゃろう」
盗賊「死体なんか何に使うんだ?」
女戦士「魔力が宿って居るのじゃ…錬金術の材料にする気じゃ」
商人「…という事はやっぱり黒の同胞団か」
女戦士「本真に心底憎いわ…しかし抑えねばならぬ…憎しみに染まってはならぬ…ぐぬぬ」
女海賊「魔女…はい」ピカー
女戦士「光の石…うむ…そうじゃ…師匠は心を闇に染めてはならぬと言うておった」
女海賊「これ魔女の婆ちゃんが座ってた椅子…座ってみたら?」
女戦士「そうじゃな…心が落ち着くやもしれんな」ノソリ
バキバキ ドタリ
盗賊「どわ!!その体じゃ重すぎたか…」
女海賊「うっぷ…んむむむ」
商人「ちょ…これは…」
女戦士「これは魔法じゃ…」
ギャハハハハハ ぶははははは
915 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:58:53.77 ID:CUQQsgj40
『上階の部屋』
女戦士「ここなら良いじゃろう…時限の門!」シュワシュワ
剣士「光の渦…」
女戦士「これが時限の門じゃ…この先に入れば数刻前の自分に出会うじゃろう」
剣士「自分に会ってどうすれば?」
女戦士「自我を保て…数刻前の自分に取り込まれん様に自我を保つのじゃ…そして時空を我が物にせよ」
この修行は精神を相当消耗するで主は瞑想で回復させながら何度も修行せよ
始めは自我を保てず取り込まれてしまうじゃろう
混乱し自分が何処に居るのか分からん様になるが
何度も修行を重ねるうちに自我を保てるようになり
時空が何なのか分かるようになる
女戦士「主の魔力であれば…そうじゃな…100日もあれば習得出来よう」
剣士「100日も…」
女戦士「ここは狭間の奥じゃ…そして過去の自分に取り込まれ数刻は時間の巻き戻りもある」
剣士「そうか…外の世界ではそんなに時間が経たないという事か…」
女戦士「うむ…じゃがここには食べ物も何も無いでな…主は瞑想で回復させながら修行せい」
剣士「100日間飲まず食わず?」
女戦士「外に咲いて居る花の蜜を吸え…主はエルフじゃろう?」
剣士「分かった…やってみる」
女戦士「慣れてきたら過去の自分もある程度知識を持っとるで死なん程度に戦ってみても良いぞ?」
剣士「なるほど…その差分を自分の物にするのか…」
女戦士「そうじゃ…繰り返す程少しだけ時空の先に居る事が出来る…次に会う時が楽しみじゃな…」
『部屋』
女海賊「あ…降りて来た」
女戦士「剣士はしばらく上の部屋で修行じゃ」
女海賊「置いて行くの?」
女戦士「一人で大丈夫じゃろう…わらわ達はシン・リーンへ向かうぞよ」
盗賊「城に直行か?」
女戦士「直ぐに目通りが効くか分からんでな…一度宿屋に身を置いた方がよかろう」
女海賊「おっけ!ほんじゃ行こっか」
情報屋「魔女?この塔の地下の事なんだけど…どうして埋めて居るの?」
女戦士「あの下には城へ繋がる通路があるのじゃ…勝手に入って来られん様に師匠が埋めたのじゃ」
盗賊「それが聞けて安心したぜ…こいつら俺に掘り出させようとしてんだ」
女戦士「隠れた通路は他にもあるのじゃぞ?」
盗賊「おっとっとぅ…俺は掘るのは御免だ…それ以上言うな」
女海賊「私オリハルコンもっと欲しいんだけどさぁ…」
盗賊「そんなもん自分で探せ…おら行くぞ!!」
916 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:59:21.78 ID:CUQQsgj40
『シン・リーン城下』
タッタッタ
衛兵「早く中へ入れ!!」
盗賊「なんだ今の魔物は」
衛兵「イエティだ…城下までは入って来ない」
盗賊「ふぅぅ助かったぜ」
衛兵「お前たちは冒険者か?何処から来た」
盗賊「南の方からだ…見た所ここは冒険者が集ってそうだな?」
衛兵「魔物討伐の礼金狙いだ…ここの所イエティの他にスノーゴートやウェアウルフも出て居てな」
盗賊「そら俺らでも稼げそうだな」
衛兵「戦利品の交換所があるから詳しくはそこで聞いてくれ」
盗賊「ありがとよ…」
---------------
商人「城下の外に魔物が多い以外はいたって普通だね?」
盗賊「冒険者が他に多いってのは隠れるのには良いな」
女戦士「わらわが居らん間に環境が変わってしもうたのぅ…前はイエティなぞ居らんかったのじゃが」
ホムンクルス「寒冷化の影響で温暖な地に生物が集まっているのですね」
盗賊「ひとまず宿に落ち着けようぜ?みんなドロドロじゃねぇか」
商人「そうだね足場があんなにぬかるんでるとは思って無かったね」
女戦士「うむ…この恰好で母上に目通りなぞ叶わぬ…着替えを用意せねばならん様じゃ」
『宿屋』
商人「大部屋しか空いてなかった…ベッド3つだってさ」
盗賊「屋根があるだけでマシだ…俺はちと情報仕入れて来る」
商人「僕もちょっと露店見に行きたいな」
情報屋「じゃぁ私達は着替えを仕入れて水浴びでもしておくわ」
盗賊「夕方までには戻るから各自自由だな?」
女戦士「あまり目立つ行動は控えるのじゃぞ?」
盗賊「わーってるわーってる…商人行くぞ!!」
---------------
917 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:59:48.81 ID:CUQQsgj40
女戦士「ホムンクルスや…元気が無いように見えるがどうしたのじゃ?」
ホムンクルス「その様に見えてしまいますか?」
女戦士「何もしゃべらぬからのぅ」
ホムンクルス「私は皆さんの様に特技や趣味がありませんので…笑う機会が少ないのだと思います」
女戦士「ふむ…それで元気が無いように見えてしまうのかのぅ」
ホムンクルス「何かお役に立てる事はありませんか?」
女戦士「ちと体をほぐしてもらえぬか?足で踏めば良い」
ホムンクルス「これで良いでしょうか?」フミフミ
女戦士「主は軽いのぅ…もっと強くて良いぞ」
ホムンクルス「はい…」ドスドス
女戦士「何かしておると落ち着くのじゃな?」
ホムンクルス「少しだけドーパミンが放出される様です」
女戦士「主は読書も一瞬で読んでしまうで楽しみが持てんのじゃな」
ホムンクルス「私が持てる楽しみは何かありませんか?」
女戦士「ふむ…賭け事じゃな…このコインの裏と表を当てて見よ」ピーン パチ
ホムンクルス「正面の摩擦抵抗から推測して裏が出る確率が55%です」
女戦士「良いから当てて見よ…どちらじゃ?」
ホムンクルス「裏です」
女戦士「…」ヒラ
ホムンクルス「外れましたね…」
女戦士「もう一度行くぞよ?」ピーン パチ
ホムンクルス「裏です」
女戦士「ほれ?」ヒラ
ホムンクルス「また外れましたね…」
女戦士「…」ピーン パチ
ホムンクルス「表です」
女戦士「むふふ…」ヒラ
ホムンクルス「なぜ外れてばかりなのでしょう?」
女戦士「秘密じゃ」
ピーン パチ ピーン パチ
918 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 12:00:17.60 ID:CUQQsgj40
『夕方』
商人「ホムンクルスにコインを教えたのは魔女?」
女戦士「そうじゃ?楽しんでおるか?」
商人「みんなにコインを要求しててさ…まぁ良いんだけど自分で言い出すのは珍しいなって」
女戦士「ホムンクルスに他の遊びも教えてやるのじゃ…そうじゃな…頭を使わんやつが良かろう」
商人「なるほどね…」
女戦士「バレん様にズルをした方が喜ぶぞよ?」
商人「わかった…そういうの僕得意なんだ」
女戦士「主はホムンクルスの管理者なのじゃろう?もう少し面倒をみてやれ」
商人「うん…工夫するよ」
盗賊「あぁぁぁぁ久しぶりに水場で体洗ってスッキリしたぜ」
商人「お湯が用意してあるのが良かったね」
盗賊「どっかで湯が沸いてんだろうな…どっぷりつかりてぇわ」
女戦士「主は着替えんのか?」
盗賊「俺は湯でさっと洗い流した…そのうち渇くだろ」
女戦士「気持ち悪う無いんか?」
盗賊「そんなん気にした事無ぇ」
女戦士「ふむ…主は留守番をして居った方が良いな…母上に会わせられぬ」
盗賊「んあ?まぁ俺は用が無いからな…留守番でも構わん…堅苦しいのは御免だ」
商人「ハハハ魔女?盗賊に正装は無理だよ」
女戦士「そうじゃなぁ…人相も良いとは言えんしのぅ」
盗賊「俺が城に行くと衛兵にとっ掴まりそうだから行かん方が良いなヌハハ」
女戦士「明日はわらわと女海賊だけで行くとするかの…その方が動きやすかろうて」
919 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 12:00:43.81 ID:CUQQsgj40
『酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
イエティの毛皮がやたら高く買い取ってくれんだよ
スノーゴートの角は錬金の素材なんだってさ
おい!ウェアウルフ討伐隊出ていっちまうぞ?
遅れちゃう!早く行かないと
ワイワイ ガヤガヤ
ドゥルルルン♪
吟遊詩人「かつての英雄♪赤い瞳の王〜♪えにし森から馬を駆ってやって来た〜♪」
盗賊「こりゃ酒場が職業安定所みたいになってんな…」
情報屋「私達場違いな格好しているわね…」
盗賊「ベタベタの装備なんか着てたら酒もマズくなるだろ…気にすんな」
女海賊「ねぇあの吟遊詩人…なんか縁あるね…シャ・バクダに居た人だよ」
商人「君がエンチャントしたリュート使ってるね」
女海賊「あのリュートを普段から使ってるなら悪い人じゃ無いと思う」
女戦士「ふむ…良い魔除けじゃな」
盗賊「まぁ周りに気を付けながら飲もうぜ?腹も減ってんだろ?」
店主「席料はお一人5銀貨ですが…」
盗賊「うわ…高けぇな…だからみんな立ってんのか」
店主「食事と飲み物がバイキング形式で食べ飲み放題となっています…いかがなされますか?」
女戦士「わらわ達が城に行っている間にイエティでも狩れば元を取れるじゃろう…座るぞよ」
盗賊「俺にイエティを狩れってのか?あんなクマみたいなサル一人じゃ無理だ」
商人「まぁ良いじゃ無いか…立ってるのも落ち着かない」
ホムンクルス「一人3銀貨にはなりませんか?店主様」
店主「店主様…え…いや…ここで安くしてしまうと他のお客様にも…」
ホムンクルス「ではこれを差し上げますので…」スッ
店主「コイン?いや困りましたな…では4銀貨でどうでしょう?」
商人「商談成立!はい6人で24銀貨」ジャラリ
店主「ハハ…ではこちらの席までお越しください」
----------------
920 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 12:01:14.70 ID:CUQQsgj40
商人「いやぁホムンクルスが交渉事とは驚いた…あのコインておもちゃのコインだよね?」
ホムンクルス「はい…」ニコ
商人「6銀貨でおもちゃのコインを売った訳だ」
盗賊「おかげで旨い飯にもありつけたんだ食え食えヌハハ」バクバク
吟遊詩人「お久しぶりです…その節はお世話になりました」
女海賊「お?覚えてた?どう?リュートの具合は?」
吟遊詩人「概ね好評ですね…貴族には不評ですがハハ」
女海賊「そっか…なかなか上手く行かないなぁ…」ボソ
吟遊詩人「あれからシャ・バクダの治安が悪くなってしまいまして僕はここに流れて来たんです」
女海賊「稼げてる?」」
吟遊詩人「はい!お陰様で…ところでお願いがありまして」
女海賊「ん?」
吟遊詩人「シン・リーン女王の前で演奏をする事になってしまったのですがリュートが少し地味だなと…」
女海賊「あぁぁ装飾したいのね」
吟遊詩人「お代はお支払いしますのでお願いできませんか?」
女海賊「どんな感じに?」
吟遊詩人「ボデーの部分に何かの紋様を…」
女海賊「おけおけ…1時間くらいで済むから待ってて」
吟遊詩人「はい…僕の人生が掛かっています…よろしくお願いします」ジャラリ
商人「お!20銀貨…すごいじゃない!!」
盗賊「良い仕事してやれよ〜」ムシャムシャ
トンテンカン トンテンカン
『宿屋』
ドタドタ
盗賊「結局4銀貨で腹いっぱい飲み食い出来た訳だ…安く済んだなヌハハ」
商人「吟遊詩人も喜んでくれたし良かったね」
情報屋「あの紋様は自分で考えたの?」
女海賊「ん?あれはエクスカリバーの銘と一緒に掘られてた紋様だよ」
情報屋「道理で似てると思ったわ…魔女の塔にも所々に同じ紋様があるわ」
女戦士「わらわは気にもせんかったわい」
商人「また伝説のアイテムの誕生だね」
女海賊「ムフ…」
女戦士「さて明日は早くに城へ向かうよってわらわは休むぞよ?女海賊も早よう休め」
女海賊「へいへい…」
921 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 12:01:43.57 ID:CUQQsgj40
『翌朝』
チュン チュン
女戦士「荷物は最低限じゃ…武器類はホムンクルスに預けておくのじゃ」
ホムンクルス「はい…お預かりします」
盗賊「そういやお前結局パルチザンにはして無ぇのな」
女海賊「長すぎて邪魔…どうせ使わないしスピアヘッドで十分…はいコレも頼むね」
ホムンクルス「はい…軽いのですね」
女海賊「ミスリル銀だし中空だかんね」
ホムンクルス「これなら私でも背負えそうです」
盗賊「ちったぁ冒険者らしいから装備しとけ」
女戦士「直ぐに帰って来ると思うが…戻らん場合は使いを出すで待って居るのじゃ」
盗賊「おう…手ぶらだから注意しろよ?」
女戦士「わらわは魔術師じゃぞ?」
盗賊「そうか要らん心配だったな…まぁ気ぃ付けて行ってこい」
『シン・リーン城門』
門番「止まられーい!!シン・リーン城へ何用で参った?」
女戦士「この顔に見覚えはないか?」
門番「んん?ドワーフの国の王女か?」
女戦士「いかにも…特使として参った…女王に目通りを願う」
ザワザワ ザワザワ
おい!ドワーフの国の王女だってよ
今戦争中だろ?休戦要求か?
王女が直々にっておかしく無いか?
従士付けて無いぞ?偽物だろ…
ザワザワ ザワザワ
女戦士「女王とは面識がある故…早々に面会されたし」
門番「しばし待たれよ…もう一人は何者か?」
女海賊「んぁぁ何かメンドイなぁ…私も王女なんだけど…偉そうな口聞くの止めてくれる?」
門番「これは驚き…第一王女と第二王女が揃って参るとは…」
女海賊「良いから早くしてくんないかなぁ…待つのキライなんだよ」
門番「許可が出るまでこの門を通す訳には行かん…しばし待たれよ」
女戦士「大人しく待つのじゃ」ヒソ
ザワザワ ザワザワ
もう一人の方はなんか手振ってる…
あれも王女だそうな
これは何かあるな
しかし2人とも女にしちゃデカい
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