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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/09/14(月) 22:22:22.39 ID:JwosRg690
勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編です

続編なので前作読まないと分からない事が多々あるかと思いますのでご注意ください

ちなみにSS書くのはほぼ初心者なので読みにくいのはご勘弁下さい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1600089742
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:28:12.15 ID:JwosRg690
エルフの繁殖

それは精霊樹への祈りによって行われ

その希少な果実の実より生れ出たエルフは純血種として誕生する

しかし彼らは生殖器を持たない訳ではない

体構造の似た人間との間でその生殖器を用い

まれに亜種を生む事がある

ハーフエルフ

人間とエルフの特徴を持ち合わせた種ではあるが

純血種の下位として扱われ

エルフ界では忌み嫌われる存在となっている

特に人間の特徴を色濃く持った子は

災いを招くという理由で

誕生して直ぐに森を追放され遺棄される運命を持つ



その子は

生まれた時から不幸だった

エルフの特徴をほとんど持っていない奇形種

醜くい小さい

そして人間の中でも勇者の特徴として言い伝えられる青い瞳

その瞳は直ぐに封印され

盲目となったその子は

魔物への捧物として森の外へ遺棄されたのである
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:28:44.08 ID:JwosRg690
『トアル町』

妖精(そのまま真っすぐ歩いて…)

妖精(あーーぶつかる!止まって!)ドンッ

ごろつき「おい…気をつけろ!!」

旅人(す、すいません)ガクブル

ごろつき「聞いてんのかゴルァ!」

旅人(あぅ・・あぅ)

妖精(立って歩くのはもう少し練習が必要だね…立てる?)

旅人(大丈夫…もう少し壁寄りを歩いてみる)

ごろつき「ケッどこの言葉をしゃべってやがる!キチガイか?」

妖精(僕達の言葉とは違うんだよ)

旅人(何を言ってるのか分からないや…怒ってるのかな?)

妖精(離れた方が良さそうだね)

ごろつき「ん?盲者か?一人でブツブツ気持ち悪りぃんだよ!」

通行人「どうした!?」

ごろつき「あぁ何でもねぇ、盲目の精神病者だ、体当たりして来やがった」

旅人(何かマズイ雰囲気になってきた…走れるかな?)

ごろつき「謝りもしねぇで良くわかんねぇ事言ってやがる。気持ち悪りぃ」

通行人「目が見えてなさそうだなぁ…君!隠者は道の真ん中を歩くもんじゃない」グイ

ごろつき「そうだ!!隠者らしく隅で物乞いでもやってろ」

妖精(今行けるよ…走って!!)タッタッタ

ごろつき「お、おい!!聞いてんのか」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:29:12.01 ID:JwosRg690
『路地』

妖精(ちょっとここら辺で休もうか?)

旅人(……)

妖精(気にしてるのかい?)

旅人(僕はどういう風に見えているのかな…)

妖精(気にしてるとキリが無いよ?人間の町は人の心も汚れてるから)

旅人(う、うん)

妖精(早く僕を見える人を探さないとね)

旅人(さっきの人達も見えてなかったみたいだね)

妖精(人の多い所に来れば居るかもしれないと思ったんだけど…)

旅人(言葉が通じないと人間の町も不便だなぁ…)

妖精(また今日も野宿になりそうかぁー)

旅人(慣れてるから良いよ)

シュン!ポカッ!

旅人(痛っ)

婆「やい!浮浪者め!こんな所に居られると商売に影響が出るんだよ!!」

女「おばあさんおやめ下さい」グイ

婆「あっちへお行き!!シッシッ」ポイッ ポカ

旅人(…イタタ)

女「何も石を投げなくても…ごめんな…さ??」

女「あなた…目が?見えないのね?瞳が無い…」

妖精(…行こうか)

旅人(人目を避けた方が良さそうだね)

女「え!?何?…どこの言葉?」

婆「ほれ見ぃ異教の言葉に違いない…こんなのが居ると異端審問されかねんぞい」

女「おばあさん…私が何とかしますからお店に戻ってください」

婆「シッシッ」ジロリ

旅人(……)

チャリーン

女「これで許してね…おばあさん行きますよ」

妖精(お!?銀貨!!やったね儲け〜♪)


---人間の世界ってこういう物なのかな?---
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:29:38.14 ID:JwosRg690
『屋台』

妖精(もう少し右…そう!それ!後は…アレとコレと)

妖精(銀貨を台の上に置いて待てば良いよ)チャリーン

店主「おぉ?金は持ってるんだな?釣りはこれだけだ」

妖精(右手を差し出して…うん!それで良い)ジャラリ

旅人(こういう時何て言えば良いの?)ヒソ

妖精(あ・り・が・と・う)

旅人「あり、が、と…う」

店主「お、おぅ。まぁ…何ていうか体に気をつけな!!」

旅人「ありが…とう」

店主「用が済んだら行った行った」


妖精(買い物出来たね!!)

旅人(うん…緊張したよ)

妖精(これでしばらくは飢えないで済むね)

旅人(良かった)

タッタッタ

妖精(ん?)

女「あ!居た…探したんだから」グイ

旅人(え?あ…チョット)

女「付いてきてね?あなたをかくまってあげる。こっちよ」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:30:58.49 ID:JwosRg690
『倉庫』

女「入って」ギー ガチャン

妖精(親切な人も居るもんだね。今日はここで夜を過ごせそう)

旅人(大丈夫かなぁ?)

女「どこの言葉を話しているの?あなた目はどうしたの?」

女「…それにしても、その動物の毛皮で作ったフードと羽織…臭うわね」クンクン

女「洗濯してあげるから脱いでもらって良いかしら?」

旅人(何て言ってるの?)

妖精(えーと…)

女「顔を良く見せて…」ファサ

!!!ズザザッ!!!

女「待って!!怯えなくて良いの…ほら…構えないで?…落ち着いて?」

旅人(どうすれば?)

妖精(フードと羽織を脱いでだってさ。洗ってくれるみたい)

旅人(あぁ…そういう事か)

女「暴れないでね?」ファサ

女「え!?あなた…女?こんな姿で…汚れてるけど…でも素は良さそうね」

妖精(人間からみると君は女に見えるみたいだね)

旅人(そう言ってるの?驚いた口調だけど)

妖精(まぁ仕方ないさ。合わせてあげたら?)

女「ちょっと待っててね」ガコン ギー


旅人(…隠し階段か何かかな?)


7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:31:28.13 ID:JwosRg690
『数分後』

女「お待たせ…こっちに入って?」クイッ クイッ

旅人(何だろう?来いって事かな?)

妖精(そうだよ。行ってみたら?)

旅人(この閉ざされた空間は苦手だよ。歩きにくい。風が読めない)

女「あ…そうか目が見えないのね…手を」グイ

妖精(僕の羽音があれば分かる?)パタパタ

旅人(助かる)

女「あなた…いつも一人でお話してるの?あ…ここ階段。気を付けて」

旅人「ありがと…う」

女「え?話せる?」

旅人「ありがとう…ありがとう」

女「他には?」

旅人「ありがとう」

女「フフッ…それで充分なのかもね」


娘1「あ!!来た来た」

娘2「見せて〜」

娘3「あんたは早く着替えなよ」

娘4「水汲んで来たよ〜」


女「こっちよ」グイ

女「娘1〜!!着替えと水をこっちに持って来て」

娘1「はーい。お姉ぇその子どうしたの?」

女「後で話すから早く持ってきて」

娘2「水持って行くね」

女「お客さん来る前にあなたは早く準備しなさい!!娘1〜!早くー」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:31:59.50 ID:JwosRg690
『小部屋』

女「…じゃぁ私は一旦部屋を出るから今着てる物を全部脱いでこっちの籠に入れておいて」

女「水はこれしかないから大事に使ってね。特に髪の毛の汚れを落としておいて…分かる?」

女「えーと…こう…こうする…」ヌギ ゴシゴシ ジャブジャブ

女「んーー目が見えない子にどうやって教えるかなぁ…」

女「まぁ何とかなるか!!えーと着替えはこっちね?」サワサワ

女「ああぁ時間がない…後でね?」ギー バタン タッタッタ


旅人(なんだか…慌ただしいなぁ)

旅人(この水で洗って着替える…で良いのかな?)

妖精(そうだよ。随分水浴びはしてなかったからね)

旅人(この着替えには替えたくないなぁ)

妖精(面白そうだからあの女に合わせてみようよ)

旅人(だってコレ…触った感じかなり薄手の…旅には向かないというか…)

妖精(あの女の人の物かな)

旅人(んんんー)

妖精(それを着てれば隠者に見えないと思えば易いと思うけどね)

旅人(仕方ないかぁ…)

妖精(似合うと思うよ…エルフ達はみんなそういう格好をしてる)

旅人(僕はエルフでは無いと思うけど)

妖精(何度も言ってるけれど僕には分かるよ…君からエルフの様な匂いがする)

妖精(風や音を感じる感覚は普通の人間には難しい)

妖精(黄泉の狭間を感じる君は間違いなくエルフに関係するよ)

旅人(またその話か…もういいよ着替えるよ)
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:32:34.62 ID:JwosRg690
『別の部屋』

女「…そう。あまりに不憫に思って連れてきたら女だったのよ」

娘1「目が見えない…かぁ」

娘2「よく今まで暮らせてこれたね」

娘3「あんまり面倒事は背負わない方が良いんじゃない?」

女「でも放っておけないでしょ?あのまま路地に居たら異教徒とか言われて捕まるのがオチよ」

娘4「番台の婆さんにはどう説明するの?また怒られるよ?」

女「稼ぎが在れば良いのよ」

娘4「そんなに急にお客さんが増えると思えないけどなぁ…最近みんなケチだし」

女「本人に覚悟が必要だけど…私たちの仲間が一人増えると思えば良いのではなくって?」

娘1「あぁーそうかぁ…目が見えないのは良い事とも言えるのかぁ」

娘2「娘1さぁ…その子見て来たんでしょ?やって行けそうなの?ここで」

娘1「超美人…私達の誰よりも」

娘3「ええ!?そんなに?ムキー!!」

娘4「早く見てみたいなー」

女「仕事が終わったらあとで髪を揃えてあげようと思うの…その時に」

娘1「お姉ぇは今日早いの?」

女「いつもの男よ…さっさと終わらせて戻ってくる…あなた達も病気にだけは気を付けて」

娘1「分かってるよ!新規さんは十分確認する」

娘3「お姉ぇは良いなーお金持ち相手で」

女「あなたも良い相手見つけなさい?…そろそろ行くわね」タッタッタ

娘4「あ!!お姉ぇ!!薬忘れてるー」

女「今日はいらないわ!!あなたが使って!!」

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:33:26.99 ID:JwosRg690
『小部屋』

旅人(…なんか落ち着かないなぁ)

妖精(ケラケラケラ似合ってるよアハハハハ)

旅人(そういう意味じゃないよ)

妖精(あーごめんごめん。まさかそんなに肌が出てるとは思ってなかったから)

旅人(エルフは肌をあまり出さない事くらい知ってるよ。だからそうじゃなくて…)

妖精(じゃぁ何?)

旅人(ここは地下だから人の気配が少ないのは良いけど)

妖精(けど?)

旅人(風の音も木々の音も感じ難い…無機質な物がどこにあるか分からないんだ)

妖精(僕が飛んでいないと音の反射も感じ無いかい?君が音を出せば良いだろう?)

旅人(だから落ち着かないんだよ)

妖精(虚無に吸い込まれそう?)

旅人(こういう場所は嫌いだよ…野宿の方がずっと落ち着く)

妖精(目が見えても、見たくないものまで目に入るから落ち着かないのは一緒だよ)

旅人(…人間の町に慣れなければいけないのかな)

妖精(魔女を探すなら慣れなきゃいけないね…相手は人間なんだから)

旅人(僕一人で探さなきゃいけない?)

妖精(黄泉の狭間からあまり遠く離れた所に妖精は行けないよ…知ってるでしょ?)

旅人(自信が無いよ…)

妖精(君を導く人が現れればやって行けるさ)

旅人(あ!!あの人が来る)


コンコン ガチャリ
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:33:59.46 ID:JwosRg690
女「あら?また一人でお話?…あなたは不思議な子ね…明かりも付けないで」

女「ん?光る虫?…が居るようね?蛍かな?」

女「明かり付けるわね」シュボ

女「似あってるじゃない…でも髪が伸びっぱなしね」

女「…にしても私が言った事は理解してそうね。言葉は通じる?あなたは誰?どこから来たの?」

旅人「…」

妖精(この人…妖精をすこし見えてるかも)

女「え?何?誰?…あなた?」キョロ

女「気のせいね…今からあなたの髪を揃えてあげる…分かる?こう」チョキチョキ

女「おとなしくしていてね」

女「入っていいわ」

旅人(向こうに居た4人が来る様だ)

妖精(見世物だねぇ…辛抱しときなよ)

娘1「お姉ぇの洋服は少し小さいね」

娘2「うゎぁ本当だ綺麗」

娘3「ムキー!!ムキー!!」

娘4「前髪伸びすぎだね」

女「目が見えてないから気にならないのかもね」

娘4「あ!本当だ…瞳が無い」

女「さぁ切るわよ…おとなしくしててね?」チョキ

旅人(どうしよう…)

妖精(髪の毛くらいどうって事ないよ。やらせておきなよ)

娘1「ねぇこの子何しゃべってるのかな?こんな言葉聞いた事無いよ」

娘2「エルフだったりして?あれ?でも耳が長くないなぁ」

娘3「瞳が無いとなんか気持ち悪いね」フフリ

女「アイレンズの赤いやつが合った筈…探してきて」チョキ

娘4「あれ高いんじゃないの?良いの使って?」

女「良いのよ。どうせみんな使ってないのでしょう?」チョキ

女「ハイ!終わり!アイレンズまだぁ〜?」

娘1「持ってきたよ!」ホイ

女「さぁ仕上げに…これはあなたの瞳の代わり」ペタ

旅人(あ…なんだこれ)

女「心配しないで?すぐ慣れるわ。ちょっと立って見て?」グイ


娘達「わおおぉ」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:34:29.84 ID:JwosRg690
『翌日』

チュンチュン

旅人(あの女の人は協力してくれるかな?)

妖精(僕のことをしっかり見ることが出来れば話は通じるかもね)

旅人(もう少し黄泉の狭間に近づかないと?)

妖精(満月の夜だと確実かな)

旅人(まだ先だね…ずっとここに居る訳にもいかないだろうし)

妖精(他にもう少し探してみようか)

旅人(…そうだね)


トントン ガチャリ


女「おはよう。早起きなのね」

女「少し外を歩いてみる?…でもね?あなたの話す言葉…これは他の人に聞かれてはいけないわ」

旅人(何て言ってるの?)

妖精(外に連れて行ってくれるらしい。でもしゃべらないでって)

旅人(おかしい人と思われる?)

妖精(多分そうだよ)

女「ほら…また独り言…誰かとお話をしてるの?それとも何かの呪文?」

女「お口チャック…私のいう事が聞けて?」チャック

妖精(首を縦に振れば良いよ)

旅人「…」コクリ

女「!?あら…分かるのね?」ニコリ

女「私の手を放さないでね…目が見えないと歩くのに困るでしょう?」グイ

女「こっちよ」トコトコ

娘1「あ!お姉ぇどこ行くの?その子も一緒?大丈夫?」

女「少しお話をしてみようと思うの…孤児院の方までお散歩しながらね」

女「あなたたちは休んでいなさい?」

娘達「はーい」

女「さぁ…こっちよ。この階段を上がって…」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:35:07.38 ID:JwosRg690
『宿屋』

婆「その子はだれだい?見ない顔だねぇ」ジロリ

女「…はい。昨日から仕事を見せてます」

婆「ほぅほぅ新しい子かね?良く見つけて来たねぇ…こんなべっぴんを」

女「はぁ…まだ決まった訳では無いですけれど」

婆「若さだけが売りの俗な商売女…いやだねぇ」

女「……少し出かけてきます」カラン タッタッタ

婆「ちゃんと稼がせるんだよ!!」



『露店のある路地』

女「あなたには見えてないでしょうけど、この路地の奥に孤児院があるのよ」

女「途中で食事をしていきましょう」

武器屋店主「お!?どこ行くんだい?女!!」

女「いつもの孤児院周りよ」

武器屋店主「そうかい。また遊びにいくなー」ノシ

防具屋店主「今日は2人で散歩かい?」

道具屋店主「おぉーまた可愛いねーちゃん連れてるなぁ?新入りかー?」

女「…みんなあなたを見てるわね?」

旅人「…」

パン屋店主「買い出しかね?」

女「パン2つ…それと肉と野菜も付けて。お代はここに」ジャラリ

パン屋店主「まいど!!連れの子は誰だい?」

女「ひ・み・つ。またねー」ノシ

女「行きましょ」トコトコ


女「ここのベンチで食事をしていきましょ?」ハイ モグ

旅人「…」

女「んー何かおかしいなぁ…目が見えていないのならもっとゆっくり歩くと思って居たのに…」

女「段差にも躓かないし…どうして悠々と歩けるのかしら?慣れるとそういう物なの?」

女「あとあなたの周りに小さな光がチラチラしてるのは何?魔法か何か?」

女「本当…不思議な子ねぇ。ほら早く食べて?」グイ

旅人「…」モグ


チュンチュン


女「どうしてかしら?小鳥たちもあなたに興味があるの?」

旅人「…」ポイ ポイ


チュンチュン
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:35:43.56 ID:JwosRg690
『孤児院』

ザワザワ ザワザワ

女「えっ!!あれは法王庁の馬車…まさか…」

旅人「???」

女「人が集まってる…あなた!私から離れないでね」グイ タッタッタ

男「!!おぉ…女か!!マズイことになった」

女「子供達は?」

男「全員馬車の中だ」

女「どうして中に入れたの!?あなたは何を…」

男「無理やり入ってきやがった…隠し部屋もバレてたんだ…誰か密告しやがった」

女「もう!!何してたのよ!!どうしよう…」

男「こんな朝っぱらから法王庁が直々に来るとは思ってねぇよ…手が出せねぇ」

女「私が言いに行く!」

男「待て!!やめておけ!!お前もとっ捕まるぞ」グイ

女「このままあの子たちを見捨てるつもり?」

男「俺だって何とかしたい…だが相手が悪い…今は無理だ」



法王の使い「これは神のご意思なのです。あなた達は神に選ばれたのです。大変喜ばしい事なのですよ?」

子供達「え〜ん;;」

法王の使い「神の御許でのお仕えが許されたあなた達は神のご加護が約束されます。祈るのです。さぁ祈るのです」


タッタッタ


女「子供たち!!無事?」

法王の使い「!?」

子供たち「たすけて〜〜」

法王の使い「助けてとは何事ですか!!神の御許へ行くのですよ?」

女「法王の使い様…どうか子供たちがもう少し大きくなるまで待って頂けないでしょうか?」

法王の使い「法王庁の決定は神のご意思。それは絶対。神のご意思に背く事を何と言うか言ってみなさい」

女「…」

法王の使い「あなたぁぁ!!それとあなたもぉぉぉ」

旅人「???」

法王の使い「言えないのですか?」

女「…」

法王の使い「教えてあげましょう!!…それはあなたが罪人であるからに他ならないぃぃ!!」

法王の使い「私に許しを請うのであれば神の名の下慈悲を下しましょう」

法王の使い「本来であれば八つ裂きの刑になるところですが…鞭打ちの刑に致しましょう」

法王の使い「神の御慈悲に感謝するのです。さぁ祈りなさい」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:36:22.61 ID:JwosRg690
ヒソヒソ何が慈悲だよ

ヒソヒソ狂ってやがる

ヒソヒソ誰か何とかしてよ

ヒソヒソ巻き添え食らうぞ



妖精(もう!!黙ってみてられないなぁ…逃げよう)

旅人(良くない事が起きてるのはわかるけど…)クンクン

妖精(説明は後…こっちへ)

旅人(あの女の人はどうする?)

妖精(良いから早く!!)ダダッ


法王の使い「待ちなさ〜い!!あなたぁぁぁ!!聞きましたよ呪いの言葉をぉぉ」

女「あ!!ダメ」

法王の使い「衛兵!!あの女を捕まえなさい!!」

衛兵「ハッ!!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:36:51.84 ID:JwosRg690
『孤児院の前』


男「だから言わんこっちゃねぇ!!女!!今の内だ!逃げろ!!」

女「あの子…目が見えてないの…すぐに捕まるわ」ダダッ

男「誰なんだ?あの女は?」

女「追う」ダダッ

男「おい!今は逃げる時だろ!!面倒ごとに首突っ込むな!!」

女「ああぁ!!危ない!!」

男「!!?」


衛兵「待てぇー」

ピョン クルクルクル シュタッ

女「ええっ!?…木に…飛び乗った」

男「なんだあの女!!えらく身軽じゃねぇか…」

衛兵「囲め囲めぇ!!」

旅人(1,2,3,4,5,6…)クンクン

衛兵「もう逃げられないぞ」

旅人(この匂い)

妖精(気付いたね?風上からゴブリン)

旅人(多い…これは大きな戦いになる…小鳥たちが言ってた通りだ)

衛兵「邪教徒めぇ!!呪文をやめろぉ!!」

旅人(振り切るならゴブリンの方に向かった方が良さそう)

妖精(距離は読める?)

旅人(もうすぐそこに来てる…戻るよ)タッ シュタッ

衛兵「捕らえろぉ!!」


ピョン クルクルクル シュタッ


男「うぉ!!戻って来た…なんだありゃ四つ足で走ってやがる…ウルフか?」

女「信じられない…あの子」

男「おい待て!!どうする気だ!!?どこに行く?」

女「あわわ…衛兵が来てる」

男「ええぃ!!追うしかねぇな…行くぞ」ダダッ
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:37:28.97 ID:JwosRg690
『孤児院』

ゴブリン「グエーグエーギギギ」

衛兵「散開!!散開!!」

法王の使い「ぐぬぬぬ…これは邪教徒の仕業…あの女は何としても捕えなければいけなぁぁい!!」

衛兵「法王の使い様!!ここは私共が引き受けます。馬車にて御退避下さい」

法王の使い「ふむ…わかりました…これも神の御心…あなた達の事は法王様にご報告をしておきます」

法王の使い「これを打破し、何としてもあの女を捕らえるのです」

衛兵「ハッ!!全隊第一戦闘態勢を取れぇぇ!!騎兵を前面に移動!!」


タッタッタ


男「…何か様子がおかしいぞ?」

女「ちょっと…アレ」

男「ゴ、ゴブリン!?おいおぃ…大変な事になってるじゃねぇか…どうなってんだ?」

女「これは…チャンスかもしれないわ」

男「おい!あのウルフみてぇな女は突っ込んで行くぞ?」

女「…あの子がゴブリンを呼んだのかしら?」

男「それしか考えられんが…しかしそんなに早く呼べるものか?」

女「でもこの状況は利用しないと…子供たちを連れ出したいわ」

男「分かった!俺が馬車に入ってる牢のカギを開ける…その間近づく奴を何とかしてくれ」

女「!?あの子…旋回してる?」

男「掻き回してる様だな…ありゃ目が見えてないのはウソだ…いくぞ!!」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:38:03.42 ID:JwosRg690
『馬車』

カチャカチャ カチャカチャ

男「ちょっと待ってろ…今出してやる」

男「他の子供たちはもう一つの馬車の方か?」

男「チッ見当たらねぇな…逃げたか」ガチャン

男「開いた!!出ろ!!」

男「おい!!女!!子供たちを連れてけぇ!!」

女「いけない…衛兵が押されてる…町の方までゴブリンが」

男「子供たち!!泣いてねぇでしっかり歩け!!」

子供たち「え〜ん」

女「こっちよ…早く」

男「宿屋の地下か?」

女「そこにしか行くところが無いわ」

男「よし…俺が先に町まで走る!!戦える奴を集めてくる!!」

女「おねがい…わたし達は迂回して宿屋の地下に行くわ」

男「…にしても法王庁の衛兵は役に立たなさすぎだな」

女「おぼっちゃまばかりよ」

男「じゃ!後は頼む!行ってくる」

女「生きてたら酒場で!」

男「分かってる!じゃぁな」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:38:34.80 ID:JwosRg690
『孤児院』

シュタタッ シュタタッ

旅人(1,2,3,4,5,6…22)

妖精(その服はやっぱり動き難そうだねフフ)

旅人(足回りがキツイ)

妖精(そろそろ逃げようか)

旅人(この数のゴブリンだと町の方まで行きそうだね)

妖精(一旦戻って隠れて様子見る?)

旅人(着替えは返してもらいたいかな)

妖精(夜まで待って取りに行こう)

旅人(この町はもう離れた方がよさそうだね?)

妖精(僕は楽しんでるよ)

旅人(そうかい?)

妖精(後でゆっくり教えてあげるよ。人間たちの話していた事をさ)

旅人(少しだけ分かるようになってきたよ)

妖精(へぇ)

旅人(人間は言葉の中に感情が含まれているんだ…だから何を言ってるのか想像がつく)


安心、不安、感謝、幸福、欲望、恐怖、勇気…

全部言葉の中に隠れているんだ



その日

ゴブリンの襲撃で法王庁の衛兵は壊滅した

町からの守備隊によりゴブリンを撃退したものの

被害は大きく30名程の死者が出た
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:39:03.14 ID:JwosRg690
『酒場』

ガヤガヤ痛てぇぇ

ガヤガヤなんで急にゴブリンが

ガヤガヤお前の所は大丈夫だったのか?

ガヤガヤ母ちゃ〜んうぇっうぇっ

ガヤガヤ酒でも飲まねぇとやってらんねぇ

ガヤガヤまた襲ってくるかも知れんなぁ


女「…あの子無事かしら?」

娘「お姉ぇまだ気にしてるの?」

女「不思議な子だったなぁ〜…」


カラン コロン


男「よう!無事だったか」

女「あなたもね!?平気?」

男「ここもすっかり難民キャンプみてぇになったな」

女「あら?怪我してるじゃない」

男「あぁ大したこと無い…それより子供たちは?」

女「下で寝てるわ」

男「例のウルフ女は?」

女「それは私の方が聞きたい」

男「居なくなったか…」

女「どうしたの?気になるの?」

男「いやな…あんな立ち回りをする奴は見たことが無くてな」

女「私も驚いた」

男「四つ足で走る女…これだけでオカシイんだが、あの運動量があり得ない」

女「もののけ…ね…あ!!そうそうあの子は初め動物の毛皮を羽織ってたの」

男「ほぅ」

女「灰色の毛皮だったから…多分ウルフね」

男「…なるほど人の姿をしたウェアウルフって訳か…だとしたらあり得る」

女「目の中に瞳が無いのは何か関係が?」

男「さぁな?目が見えてないようには思えんが?」

女「私もおかしいと思ったのよね…」

男「その毛皮は何処にある?見せろ」

女「下にあるわ…来て!目立たないように裏の倉庫からね」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 22:39:52.10 ID:JwosRg690
『宿屋の地下』

キャッキャ アハハ

男「…子供たち起きてるじゃねぇか」

女「おかしいわね」

男「こっちか?」

子供1「妖精さん待てぇ〜」

子供2「いじめちゃだめだよぅ」

子供1「もっとお話ししてよぅ」

子供2「え〜どうしてぇ?おねんねしないとダメ〜?」


男「ん?誰と話ししてるんだ?」シー


子供1「明日も来る〜?」

子供2「うん…うん…でもさぁ信じてくれるかなぁ?」

子供1「…分かったぁこうすれば良い〜?」

子供2「動かないよ〜これで良い?」


ガチャリ

男「誰と話しているんだ?」

子供1「来たぁぁ」

子供2「妖精さんが居るの〜ウフフ」

男「妖精?…寝ぼけてんのか?…はやく寝ろ」

女「待って!子供たちの後ろ…あなた帰ってきてたのね」

男「ん?暗くて見えんが…ウルフ女か?」

女「やめて!子供たちを人質にするなんて…」

男「おぃおぃ穏やかに行こうぜ、こっちは丸腰だぜ?」

子供1「妖精さんがね?大人たちとお話がしたいんだって〜」

男「そいつぁ妖精じゃねぇだろ」

子供2「違うの〜ほらここを飛んでる」

男「見えん!」

女「待って…小さな光…もしかしてこれが?」

男「お前も何言ってんだ?妖精だと?」

子供2「ほらぁやっぱり信じないよ?」
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