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【咲安価】京太郎「清澄の探索者」【ADV】

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345 : ◆copBIXhjP6 [saga]:2020/09/10(木) 01:35:51.18 ID:O2I/SkFB0
 【2日目 16:20】 柊宅 居間


京太郎「すみません、いきなり来たのにお茶まで出していただいちゃって」

柊妻「そりゃ家の前であれだけ騒がれればね...」ハァ

柊妻「まあ、このクソガキの面倒見てくれるなら何だっていいわ」ガハハ

柊妻「じゃ、あたしは夕飯の準備してるから適当に話してな!」ビューン

なんというか、いかにも人柄が良さそうではあるが、旅館の女将とは別の方向に騒がしい人だ。
カブの元気はお母さん譲りじゃないだろうか?
本日二回目の出されたお茶を飲み干しながら、台所の女性と目の前の少年を見比べる。
なるほど、よくよく見ると似ているような気がしないでもない。

カブ「へぇ、じゃあお姉ちゃんは麻雀が強いんだな!」

咲「ハハ、ま、まあね...」

京太郎「咲、ちびっこ相手にコミュ障発動させるなよ?」

咲「コミュ障じゃない!」

カブ「二人とも仲いいね」

京太郎「まあ、そうかもな」

咲「ちょっと京ちゃん?!」

ここまでの話を総合すると、この少年――通称カブ――は小学三年生の9歳。
毎日バスで街まで通学しているらしい。

京太郎「しかし、土砂崩れで学校行けないんじゃないのか?」

カブ「うん...休み終わっても友達と会えないし、つまんねー」

咲「私たちと同じだね」

カブ「お姉ちゃんたちも学校いけないの?」

咲「だいたいそんな感じかな」

京太郎「連休だから部活のみんなで旅行に来たんだけど、帰れないからな」

京太郎「バスが復旧するまでこの村を色々見てるんだよ」

カブ「へー...でも、つまんなくないの?」

京太郎「まあ、初めて見るものは何でも楽しいよ」

カブ「大人だなー。オレなら炭鉱の機械いっぱいある所で遊ぶぜ」

京太郎「炭鉱って、小佐目山の?危ないんじゃないか」

カブ「うん...だから父ちゃんに、しばらく小佐目山行っちゃダメって言われちゃった...」

カブ「いつも椿屋の『桜』ってやつと遊ぶんだけど、桜もお父さんにダメって言われたらしいぜ」

カブ「でも、父ちゃん今小佐目山に行ってるんだってさ!ズルいよなー!」

「椿屋」というワードに少し反応する。崖の上にある、楸野宅より東の屋敷に住む一家。
「桜」という名前から察するに、そこの娘さんだろうか。
それにカブのお父さんのことも気になる。ただの廃炭鉱に何故行くのか...

咲「お父さん、炭鉱にいるの?」

カブ「うん、父ちゃんは友達の家で飲むって言ってたけどな」

カブ「父ちゃんと榎田のおっさんが昼過ぎに小佐目山に向かうの見たって、桜がさっき言ってた」

その後もカブのおしゃべりは止まらない。「蜜柑」という生まれたばかりの妹が居ること、お父さんが木彫りの職人であること、
お父さんと「桜のお父さん」と「榎田のおっさん」が仲良しだということなどを矢継ぎ早に話してくれた。
もっとも、それと同じくらい俺と咲は自分たちの事を喋らされたけどな。
その瞬間――時計はちょうど16時と、短針は真下を向いていた――も、
俺は自身がいかに苦労しているかを語り、咲に一々ツッコまれるというやり取りでカブの笑いを誘っていた。

京太郎「......それで俺は、しょーがないから雑用を――」

引き受けることにした、と言おうとして、玄関が開いた音に俺は口を噤んだ。
その後数秒待たずして、「ただいまー」という男の声が聞こえたのだった。
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