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提督「観光するか」 金剛・瑞鶴・響「はいっ!」 空母棲姫「…………」
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65 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/08/29(土) 23:16:23.17 ID:whwWUOix0
瑞鶴「それって提督さんの得意分野なのよね……。提督さんは普通の考え方も奇抜な考え方も出来る人だし」
金剛「そのテートクが諦めの表情をしているので、難しいデスよね……」
響「……ねえ、一つ良いかな」
瑞鶴「どうしたの?」
響「確か、空母棲姫さんは司令官が連れて行くって話だったよね」
金剛「そうデスね。空母棲姫は総司令部に報告していないので、居ても居ない扱いだから出来る事デス」
響「なら、私達が解体された分の資材が残っていた、って状況を作るのはどうかな」
瑞鶴「えっと……どういう事?」
響「総司令部の人達がここに来たら、工廠の作業台に資材が放置されていたらどう思う?」
瑞鶴「んー……不審に思うでしょうね。妖精さんに話を聞くと思う」
響「建造妖精や開発妖精にお願いして、私達を解体した時の資材だよって報告をして貰うんだ」
金剛「つまり、私達を解体した事にした上でそのエビデンスをいくつか残す、と?」
響「うん。後は司令官の実家に向かう。どうかな?」
金剛「……面白いとは思うデス。早速、建造妖精や開発妖精にお願いをしてみるデス」スッ
瑞鶴「私も行くわ」スッ
金剛「ノン。瑞鶴は響と一緒に今の案を煮詰めていってくれるデスか?」
響「なるほど。時間は残り少ないしね」
瑞鶴「それもそうね……。金剛さん、そっちはお願い! 私達ももう少し推敲してみるわ!」
金剛「任せたデース! では、いってきマス!」
響「そっちも任せたよ、金剛さん」
…………………………………………
66 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2020/08/29(土) 23:19:32.11 ID:whwWUOix0
>>64
ミッドウェー海戦後の日本よりは詰んでいないから大丈夫です。・・・だいたい多分おそらくきっと。
67 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2020/08/29(土) 23:34:33.87 ID:whwWUOix0
ガチャ──パタン
提督「戻った」
空母棲姫「おかえりなさい。……気持ちは落ち着いたかしら」
提督「ああ。覚悟を決めてきた。最後に遊べるよう、金剛に金も渡してきた」
空母棲姫「どうして最後?」
提督「詳しくは私も知らないが、別れた艦娘とは連絡が取れなくなる。別の鎮守府で臨時的な戦力となっているのか……もしくは何かしらの『処理』をされているのかもしれん」
空母棲姫「処理だなんてまさか……」
提督「基本的に艦娘というのは一人の提督にだけ従うらしい。私が着任した当初から今まで別の鎮守府の艦娘と話した事はあっても、指揮下に置いた試しが無い。再利用という形を取るのならば何かしらの洗脳のような事でもしていると思う。もしそうでなければ……殺して埋める、とかだろうか」
空母棲姫「……そう思わせるだけの何かがあるって事ね?」
提督「今の総司令部は何をしてもおかしくない。戦争が長引いて色々と狂ったのか、前よりも管理や精査すらかなり杜撰になっている。ここ最近では大規模戦闘ですら現地で敵の艦種や編成を確認して撃破しているぞ」
空母棲姫「……こう言ってしまうのはいけないのかもしれないのだけど、総司令部の意味はあるの?」
提督「一応、体裁だけは保っているんじゃないか、という状況だ。一応、他の鎮守府の報告をこっちへ寄越してくれているからな」
提督「そんな総司令部だが、金剛たちを引き渡した後でもし少しでも遊べる時間があるのならば……と思った訳だ」
空母棲姫「なんとなくだけれど、あの子達は遠慮して結局使わないような気がするわ」
提督「どうだろうか。最初は悩んでいたが、何かを思い付いたのかそれとも気を遣ってくれたのか素直に受け取ってくれたよ」
空母棲姫「……なんだか、悪い事をした気分になるわ」
提督「何がだ?」
空母棲姫「あの子達とどれだけの時間を共有してきたのかは分からないけれど、会って二日目の私より何倍も何百倍も一緒に居たのでしょう? ……そんな私が貴方について行って、あの子達が別れなければならないというのは……あの子達は納得できないと思います」
提督「……………………」ポン
空母棲姫「?」
提督「そう思ってくれるだけで充分だ。あいつらは私に付き従ってくれた優しい子達だからな。飲み込んでくれるよ」ナデ
68 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/08/29(土) 23:54:34.75 ID:whwWUOix0
空母棲姫「そうだと良いのだけど……」
提督「きっとそうだ。……さて、少し時間が出来てしまった。何か雑談でもしようか」
空母棲姫「何を言っているの。荷造りはまだ終わっていないでしょう?」
提督「終わっているぞ。執務机の上に置いてある物で全部だ」
空母棲姫「……待って下さい。あの少し大きめの段ボールの事を言っているの?」
提督「ああ。私の私物はあれで全てだ」
空母棲姫「……紅茶の食器とかが入っていないようなのだけど」チラ
提督「あれらは金剛達に残す。何かに使えるかもしれん」
空母棲姫「残酷ね。きっとあの子達は泣くわよ」
提督「何も残されていない方が辛い。褪せて薄れ、少しずつ侵食するように消えていく記憶しか残らないのは、本当に辛いぞ」
空母棲姫「それは……貴方の経験談かしら」
提督「ああ。……金剛たち以外の艦娘との思い出の品は、全てそれぞれの子達に残していった。私の知らない思い出だってあるはずだ。壊れなければずっと残り続ける『物』さえあれば、褪せるのも消えるのもずっと遅くなる。その『物』が無ければ……どれだけ大切で生涯記憶に残すと決めていても、消えていくんだ。たった二年だというのに、私もあの子達の細かい事が思い出せなくなってきている」
空母棲姫「悲しいわね……」
提督「ああ……。この時ばかりは忘れて欲しくないのに、な……」
提督「──暗い話はここまでだ。ここに居る間、私は金剛達やお前の提督。弱い姿はあまり見せない方が良いだろう」
空母棲姫「……強いわね」
提督「そうでもない。ただの痩せ我慢だよ」
空母棲姫「なら、痩せ我慢しなくても良いようにしましょうか。──貴方の故郷について教えてくれるかしら」
提督「故郷か? ……そうだな。何も無い場所だ」
空母棲姫「随分と想像し辛い事を言うわね……。なんて地名なのかとか、少しは目立つ物があったりするでしょう?」
提督「ふむ。伊勢と呼ばれている場所だ。しかし……なぜこれから向かう場所の事を訊くんだ?」
69 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/08/30(日) 00:15:25.69 ID:sA+YA8rG0
空母棲姫「想像を膨らませるのは楽しそうでしょう?」
提督「なるほどな。そうだな……目立つ物と言われてもな……」
空母棲姫「……まさか本当に無いの?」
提督「……強いて言うのならば、お伊勢さん──いや、伊勢神宮があるという事か? 私は滅多に行かなかったが」
空母棲姫「神宮という名前だから大きいと思ったのだけれど、そうでもないのかしら」
提督「いや、かなり大きいと思うぞ? 県外からの参拝をしにくる人はある程度は居たが、地元の人が行くとしてもせいぜい初詣くらいだったからな……」
空母棲姫「近いが故に、というもの?」
提督「そうなのかもな。在るのが当たり前だったのかもしれん」
空母棲姫「伊勢神宮……。行ってみたいわ」
提督「ああ。向こうに着いたら行こうか。……だが、そこまで面白いとは思えないから期待するなよ?」
空母棲姫「なら、期待しておくわね」
提督「困るなそれは……。ならば、あの人の店に立ち寄って詳しい事を訊いておくか」
空母棲姫「あの人の店?」
提督「40年以上続いている食堂がある。そこの大将……こう言うと語弊があるな。そこの店主がそういう事に詳しいはずだ。子供の頃に入り浸っていたら、たまに伊勢神宮の本当の参拝の仕方を教えてくれていたような記憶がある」
空母棲姫「気になるわね。そこも行ってみたいわ」
提督「ああ良いぞ。私も久々にあのからあげ丼を食べたい」
空母棲姫「からあげ丼……? 聞いた事がないのだけど、ご飯の上に唐揚げでも乗せているのかしら」
提督「近いが少し違う。正確には玉子とじにした唐揚げが乗っているんだ。これが癖になってしまう味でな。それでいてすんなりと胃袋に収まってしまう味付けをしているものだから、ついつい通ってしまったよ」
70 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/08/30(日) 00:35:50.28 ID:sA+YA8rG0
提督「食べ物で思い出したが、伊勢と言えば赤福があったな」
空母棲姫「あかふく……? 何かしらそれ。想像すら付かないのだけれど」
提督「酷く大雑把に言えば餡子餅だ。ただし、今お前が想像した餡子餅とは真逆だぞ」
空母棲姫「真逆……。真逆……? 餡子餅の逆……?」
提督「餡子の中に餅が入っている。普通ならば餡子を餅で包んでいるが、赤福は餅を餡子で包んでいる」
空母棲姫「待って下さい。とても食べにくそうなのだけれど」
提督「当然だが素手で持って食べたりはしない。小さな木のヘラが付いてくるから、それに乗せて食べるんだ」
空母棲姫「……不思議な食べ物ね」
提督「あまり甘い物は食べないのだが、たまに食べたくなってしまうな、アレは。……後は絲印煎餅なんて物もあるが、どうしても赤福のインパクトには負けてしまって陰に隠れがちだな」
空母棲姫「普通のお煎餅なのかしら」
提督「単刀直入に言うとそうなる。少し甘いめで素朴な味だ。本当かどうかは知らないが、天皇皇后両陛下に献上したりお買い上げされているという話もあるぞ」
空母棲姫「良いわね。少し気分が高揚してきます。それも気になるわ」
提督「……意外と食べる事が好きなんだな?」
空母棲姫「……イメージが壊れるというのならば直します」
提督「いや、そうは思わんよ。前にも言っただろう? 食は人の三大欲求の一つだ。むしろ楽しみにもなってくる」
空母棲姫「楽しみ?」
提督「アレを食べさせたらどう反応するのだろうか、ソレだったらどうか、なんていう風にな」
空母棲姫「……少し恥ずかしそうなのだけれど」
提督「だが、美味いぞ?」
空母棲姫「…………悩むわ」
提督「存分に悩んでおけ。そんな悩みはちっぽけなものだったと言うだろう」
空母棲姫「むう……」
提督「……さて、そろそろ運送業者に連絡を入れるか」スッ
空母棲姫「勝手に来るのではないの?」
提督「自前で荷物は運びだせとの事だ。後日確認だけはするらしいが、もしも私が残っているようだったら覚悟しろとも言っていたよ」
空母棲姫「……本当に色々とダメね」
提督「本当にな」
…………………………………………
71 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/08/30(日) 00:37:15.26 ID:sA+YA8rG0
頭がほわんほわんしてきたのでここらで区切ります。また明日くらいに現れると思いますので、どうかよろしくお願いしますです。
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/30(日) 01:16:02.97 ID:DIXxtlm50
乙乙です
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/30(日) 01:34:27.28 ID:q2nIT9tyo
不意打ち飯テロ食らった乙
74 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:48:42.99 ID:rURYDXBC0
提督「もう少しで終わるぞ」ツイツイ
瑞鶴「やっぱり提督さんって人の髪を結わえるの上手いわよねぇ」
響「なんせ、色々な艦娘の子に髪を纏めて欲しいって言われてやってたもんね」
提督「もう慣れたよ。……最初の頃は加賀や瑞鶴のような髪型でさえ手を焼いたもんだ」クイクイ
空母棲姫「…………」ソワソワ
瑞鶴「今じゃ金剛さんの髪型でもパパッとやれてるものね」
提督「完成形を見ただけではどうなっているのか分かりづらいが、結わえ方を教えて貰えば意外と簡単だったぞ」クイクイ
空母棲姫「っ」ピクンッ
響「それにしても、こんなにも長い髪を三つ編みにするってだけでも大変そうなのに、よくこんなふわふわな感じに出来るね?」
提督「崩し、というものだ。こうやって一度しっかり結わえた髪を崩すように指先で引っ張ってやれば、柔らかい印象になるだろう?」クイクイ
空母棲姫「…………っ」フルフル
瑞鶴「……ところでさ、空母棲姫さんさっきからどうしたの?」
空母棲姫「お、落ち着かないの……」プルプル
瑞鶴「?」
空母棲姫「髪を触られるのって……初めてだから……」ビクッ
提督(……少し早めに終わらせるか)クイクイクイ
75 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:49:12.94 ID:rURYDXBC0
響「へぇ。どんな感じなんだい?」
空母棲姫「ゾワゾワというか……存在しない神経を触られているような……」フルフル
提督「終わったぞ」スッ
空母棲姫「……ありがと」ホッ
提督「あとはこの麦わら帽子と伊達眼鏡を被ってしまえば一般人に見えるだろう」
空母棲姫「ん……」スッ
瑞鶴「おー……結構違う人に見えるじゃない」
響「パッと見ただけじゃ分からないね」
提督「本当は服も変えた方が良いのだろうが、生憎とそこまでは持っていなくてな」
瑞鶴「まあ、これでも充分じゃない?」
ガチャ──パタン
金剛「テートクー。配送業者の人が来たみたいデース」
提督「そうか。ならば荷物を持って行くとしよう」スッ
…………………………………………
76 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:49:38.35 ID:rURYDXBC0
配送業者「では確かに! 是非とも今後ともよろしくお願いいたします!!」ペコペコ
提督「頼む」
ブロロロロロ……
提督(……やけに腰が低かったな? まあ良いか)
提督「…………改めて見ると小さくて古い家だな。とても鎮守府とは言えん。……だが、こことももうお別れか」スタスタ
提督(そして、金剛達とも……)
提督「…………」
提督「……………………」
提督「…………………………………………」
提督(! ……ボーッとしてしまっていた。戻らなくては)スタスタ
ガチャ──パタン
提督「戻った……ん?」
空母棲姫「…………っ!」フルフル
金剛「あ、おかえりデース! 私の買い出し用の服を着せてみまシタ!」
響「おかえり。化粧もして肌の色も真っ白じゃなくなったし、これならまずバレないと思うよ」
瑞鶴「おかえりー。どう、提督さん? どんな感じどんな感じ?」
提督「……ふむ」ジー
空母棲姫「な、何? 似合っていないのならそう言って下さい……」
提督「いや、金剛の時も思ったんだが、化粧と服で印象が本当に変わるものだと実感していたんだ。随分と綺麗な女性に仕上げたな? 主に金剛と瑞鶴のお洒落な技術か」
金剛「なかなかテートクが帰ってこなかったので、つい」
空母棲姫(綺麗な、女性……)
77 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:50:09.92 ID:rURYDXBC0
提督「しかし、良いのか? 確かこの服はお前のお気に入りだったかと思っていたんだが」
空母棲姫「え?」
金剛「イエス。気にしないで下サイ」
空母棲姫「……本当に良いの?」
金剛「ちゃんと考えているデスから」ニコ
空母棲姫「…………?」
提督「……ところで、そろそろ私達は出なければならない」
瑞鶴「あー、もうそんな時間なんだ」
響「じゃあ、見送るね」
金剛「後の事は任せて下サーイ!」
提督(……ふむ)
提督「あまり危ない事はするなよ?」
金剛「勿論デス! そんな事をしたらテートクが心配してしまうデス」
提督「……そうか。では、何か困った事があったらいつでも連絡をするんだぞ」
瑞鶴「うん。分かったわ」
響「頼りにするね」
提督「──整列」
三人「!」ピシッ
提督「……三人とも、今までありがとう」ピシッ
三人「ありがとうございました!」
…………………………………………
78 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:50:39.53 ID:rURYDXBC0
──サンバンホームニツキマスハ、ハカタイキシンダイトッキュウアサカゼ
空母棲姫「……………………」キョロ
──オノリノオキャクサマハ、キップヲオミセシテシテイバンゴウヘオハイリクダサイ
提督「珍しいか?」
空母棲姫「……電車というものを初めて見ました。大きいのね」
提督「見た目はそうだが、中に入ると意外と狭く感じるぞ」
空母棲姫「そうなの?」
提督「ああ。この幅の半分近くが通路になるから、どうしても寝るスペースが狭くなるんだ。──ほら、乗るぞ」スッ
空母棲姫「……楽しみです」トコトコ
提督「二号車はここだな?」
駅員「はい。切符を拝見させて頂きます」
提督「これだ」スッ
駅員「──ありがとうございまます。入って二番目のお部屋へどうぞ」パチッパチッ スッ
提督「分かった」スッ
駅員「素敵なお方との旅ですね。良い旅になりますでしょう」
提督「ああ。良い旅にしたいものだ。──ほら、行くぞ」スタスタ
空母棲姫(……ついて行けば良いのかしら?)トコトコ
駅員(……羨ましいなぁ。一緒について行くのは奥さんかな?)
空母棲姫「……ねえ、切符ってどういう物なの?」
提督「電車に乗る権利証明みたいなものだ。見てみるか?」スッ
79 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:51:07.49 ID:rURYDXBC0
空母棲姫「ん……。…………シンダイトッキュウ アサカゼ トウキョウ ハカタ ナゴヤマデ。えっと……2-2? 2等級A寝台……?」
提督「2-2というのが二号車の二番目の部屋を表わし、最後のは部屋の種類だ。いわゆる、二人用の部屋と考えたら良い。普通の部屋より少し大きめだ」
空母棲姫「…………」ジー
提督「ほら、そんなに見ていたら転ぶぞ。中に入ってからゆっくり見ると良い」シャッ
空母棲姫「! そうするわ」
空母棲姫「……なるほどね。確かに見た目は大きいけれど狭く感じるわ」
提督「だろう? それでもこれは広い方だと思うぞ」スッ
空母棲姫「…………」キョロキョロ
ビィィィィィィッ!
空母棲姫「!?」ビクゥッ
提督「ほら、列車が動き出すから座っておけ」
空母棲姫「は、はい」チョコン
──ガタンッ
空母棲姫「!」ビクッ
タン──ガタン──タン──
空母棲姫「…………!」キョロキョロ
タンタン──タンタン──
空母棲姫「…………」
タタン──タタン──
提督「慣れたか」
空母棲姫「……面白がっていたわね?」ジー
提督「まるで子供のようだった」
空母棲姫「怒るわよ」ジー
提督「すまない。……それで、初めての電車はどうだ?」
空母棲姫「そうね……。海の上ほどじゃないけれど、結構揺れるのね。大きな揺れじゃなくて、小さな小刻みの揺れをしているわ」
提督「敏感な人はその揺れのせいで寝るに寝られないらしい。お前は大丈夫か?」
空母棲姫「……どうかしらね。怖くなったら貴方のベッドに潜り込みましょうか」
提督「それは困るな……」
空母棲姫「冗談よ。さっきの仕返しです」
提督「……僅か二日にして私の相手を心得ているな」
空母棲姫「あの金剛って子を見ていればなんとなく察しがつきます」
提督「……………………」
80 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:51:37.95 ID:rURYDXBC0
空母棲姫「!! ……ごめんなさい。軽率な言葉だったわ」
提督「……いや、構わん。私も少し疑問に思っているくらいだ」
空母棲姫「疑問?」
提督「ああ。やけに素直に従っていた事が気になる」
空母棲姫「どういう事かしら」
提督「正直に言うとハッキリと分かっていない。ただ、あの三人ならばもっと抵抗をしてきそうな気がしていたのだが、それが無かった。……何か企んでいる可能性はあるな」
空母棲姫「実はコッソリとついて来ているとかあるかもしれないわね」
提督「あり得るから困る……。だが、そうすれば問題が生まれる事くらい分からないような子達ではない。その問題の解決が出来ないと思ったからこそ私は諦めてしまった」
空母棲姫「恋する乙女は強いと聞くわよ」
提督「……どうなる事やら」
提督「さて……今日は寝てしまおう。23時過ぎ頃に降りてバスに乗る予定だから、今の内に寝てしまえ」
空母棲姫「……この揺れで寝られるかしら」
提督「潜り込んでくるんじゃないぞ?」
空母棲姫「その時はずっと起きておくわ」
提督「そうか。まあ、電車よりはバスの方が寝やすいかもしれんな」
空母棲姫「バス……。電車とは違うものなの?」
提督「多人数用の長い車と思えば良い。道の状態と運転の仕方で変わるが、電車よりは大人しいだろう」
空母棲姫「……陸は色々な物があるわね」
提督「そうだな……。私も今になって実感するよ」
提督「さて、すまないが私はここで仮眠を取る。おやすみ」モゾッ
空母棲姫「おやすみなさい」
空母棲姫(……なんだかあまり元気が無いように見えるわ。やっぱりショックだったのかしら)
空母棲姫(どうしてあげたら良いのでしょうか……)
……………………
…………
……
81 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/02(水) 02:54:12.57 ID:rURYDXBC0
今回はここまでです。また明日辺りに来られたら良いなって思いながら今日はお布団へ潜り込みます。
狭いベッドに空母棲姫が潜り込んできても、この提督なら理性を保ちそう。でも金剛さんがやってきたら耐えられなさそうな気がする。
82 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/03(木) 23:29:21.00 ID:w0zsvZv80
今回もダラダラと投下していきます。湿気のせいかどこぞの初雪みたいにぐったりしてしまう。
83 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/03(木) 23:29:51.13 ID:w0zsvZv80
空母棲姫「…………」キョロキョロ
提督「伊勢について早々どうした?」
空母棲姫「……古い町並みなのね、と思っているの。東京って場所は、どこか都会のような感じがしていましたから」キョロキョロ
提督「……確かにそうだな。東京や横須賀と比べると、随分と古い町並みをしている。──ただ、こんな古い町でも思ってしまう事がある」
空母棲姫「思う事?」
提督「帰ってきたんだな、と」
空母棲姫「なるほどね。ここは貴方の生まれ故郷ですもの」
提督「ここを離れて早五年。町がどう変わっているのか気になってしまうが、まずは家に向かうとしよう」スタスタ
空母棲姫「分かりました。……ここから近いの?」トコトコ
提督「歩いてニ十分といった所だ。そう遠くはない」
空母棲姫「! あれは何かしら。道路に沿うような明かりがあるわ」
提督「灯籠だ。伊勢神宮の周辺の道に置いてある石灯籠で、夜になると火を灯しているんだ」
空母棲姫「灯台とはまた違った、安心できる明かりね」
提督「ほう、分かるか。私も眠れない夜を歩く時はこの道を歩く。普段見ている世界と違って見えるからかもしれん」
空母棲姫「普段はどんな風に見えるの?」
提督「ただの道だ。あの石灯籠も町の雰囲気に溶け込んでいて気にならない位にな」
空母棲姫「……意外ね。夜でこんなにも目を引くのだったら、昼間も相応なものだと思ったのに」
提督「逆に夜だからこそ目を引くものだ。夜中の明かりは特に目立つだろう?」
空母棲姫「言われてみればそうね」
提督「……む?」
空母棲姫「どうかしたの?」
84 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/03(木) 23:51:15.90 ID:w0zsvZv80
提督「……いや、微妙に私の記憶の中と町が違っていてな」
空母棲姫「……つまり、迷ったって事かしら」
提督「そういう意味ではない。例えばそこの道がそうだ」
空母棲姫「道がどうかしたのかしら」
提督「パッと見ただけではあまり代わり映えしない普通の古い住宅街なのだが、よく見るとあちこち看板が掛けられている」
空母棲姫「……本当ですね。という事は、お店なのかしら」
提督「恐らくそうだとは思うが……ここに店なんて構えていなかったぞ?」
空母棲姫「伊勢うどん蔦谷、古本ぷらり……他にも色々とあるわね」
空母棲姫「……伊勢うどん?」
提督「どうした?」
空母棲姫「いえ、前に貴方から色々な食べ物を教えて貰ったけれど、この食べ物は聞いた事が無いと思いまして」
提督「……そういえば言っていなかったか。そうだな。一言で言うと不味い」
空母棲姫「酷くザックリと切り捨てたわね」
提督「なぜうどんの癖にあんなにまで麺を柔らかくしなければならないのか理解できん。酷い時は箸で持っただけで千切れるぞ?」
空母棲姫「……麺の柔らかさは置いておきましょうか。どんな味なの?」
提督「味は普通のうどんと全く違う。甘い醤油のタレを掛けていて、食べる前に自分で麺とタレを絡ませるんだ。普通のうどんだと甘い辛いは別としてツユだとは思うが、伊勢うどんはタレと言っても過言ではない」
空母棲姫「とても気になるわね」
提督「……やめておいた方が良いとは思うのだが」
空母棲姫「でも、伊勢という名前を付けているのだから昔からあるのでしょう?」
提督「それはそうだと思うが……」
空母棲姫「ならば何かしら気に入られている証拠です。嫌われている食べ物は基本的に無くなるものだと私は思っています」
85 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/04(金) 00:16:44.08 ID:v8rV7b/E0
提督「……分かった。明日は伊勢うどんをまず食べてみようか」
空母棲姫「楽しみです。ついでに貴方が言っていたからあげ丼というのも食べてみたいわ」
提督「出来ない事はないが、あまりお勧めできんぞ」
空母棲姫「あら、どうしてかしら」
提督「量が極めて多い。食べた瞬間はなんともないだろうが、その後を歩いていれば少し苦しくなってくるという話だ」
空母棲姫「ではどちらか一つにしてしまいましょうか。どっちの方が朝食に向いているのかしら」
提督「二重の意味で伊勢うどんだな。からあげ丼だが、その店が開くのは昼前だ」
空母棲姫「なるほどね。では、伊勢うどんを楽しみにしておきます」
提督「……食べた時になんて顔をするのやら」
空母棲姫「そんなに嫌いなの?」
提督「味は悪くないんだが、やっぱりあの食感がどうにも納得できなくてな……。私は食べられん事はないと思えるが、他の人はなんて思うか分からん」
空母棲姫「貴方にそこまで言わせるのは逆に興味が沸くわね。あまりそんな事を言うようなイメージが無いもの」
提督「逆に興味を持たれてしまったか。……そうだな。私も最後に食べたのは十年近く前だ。今になったら感想も変わるかもしれん」
空母棲姫「決まりね。お勧めのお店……は無いわよね」
提督「まあ、それは昔からある伊勢うどん屋に入るとしよう。昔からあるのならばまず間違いはない」
空母棲姫「それは分かるのね?」
提督「流石に子供の頃からある場所は分かる。内容までは分からんが」
空母棲姫「ところで少し気になったのだけど、一体どこのお店で伊勢うどんを食べたのかしら」
提督「店ではなく家だ。親が作ってくれた伊勢うどんを初めて食べた時に『これは無い』と思ったよ」
空母棲姫「あら……」
…………………………………………
86 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/04(金) 00:36:49.83 ID:v8rV7b/E0
提督「……鍵が錆びていなくて家に入れたは良いが、流石に埃っぽいな」
空母棲姫「確かに埃っぽいわね……。ご家族の方は?」
提督「居ない。母は行方不明になり、父は戦死した。つまり、五年間ずっと人の手が加わっていない」
空母棲姫「……ごめんなさい」
提督「構わん。よくある話だ。それよりも窓を開けてくる。先にこの部屋の埃だけ払ってしまおう」
空母棲姫「分かったわ。掃除道具ってどこにあるかしら」
提督「どこにあったか……。物置にあるかもしれんな」
空母棲姫「場所はどこかしら」
提督「廊下の突き当りにある」
空母棲姫「分かったわ。取ってきます」
提督「頼んだ。……さてと、この窓は開いてくれるか?」
ガタッ──ギ……ギィギギギィ……!
提督「……流石にガタついてしまっているか。五年前はすんなり開いてくれたのだがな」
提督(ああ、それにしても懐かしい……。昔はこの部屋の縁側に腰掛け、ラムネを飲んでいたっけか……)
ギ……
提督(……雨風に曝されていたはずなのに、未だ普通に立てる。頑丈に造ってくれていたようだ)
提督(夏に振る雨の後、ここからは虹が見えていたな……。向こうに行ってから虹なんて意識していなかったが、ここへ来てすぐにそれを思い浮かべるとは……。本当、何もかもが懐かしい……)
空母棲姫「持ってきました。……そんな所に立って、何かあったのですか?」
提督「む。いやすまん。思い出に耽っていた」
空母棲姫「……ご家族の事?」
提督「なぜか家族の事は思い浮かばなかったな。思い出していたのは虹だ」
空母棲姫「虹?」
87 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/04(金) 01:02:06.65 ID:v8rV7b/E0
提督「ああ。子供の頃はこの縁側に座ってラムネを飲みながら虹を見ていたんだ」
空母棲姫「ここから虹が見えていたのね」
提督「綺麗だったよ。子供心ながらにボーッと見てしまう程にはな」
空母棲姫「今でも見られるのかしら?」
提督「たぶん見られるとは思う。だが夏の今、雨が降ってくれるとは限らないからどうだろうな」
空母棲姫「あまり雨が降らない地域なの?」
提督「台風の時以外は夏場だと気付いたら降る程度だったと思う。ただ、雲自体は多いか? そんな感じだ」
空母棲姫「雨はあまりなのに、雲が多いなんて不思議ね……。今も月が半分雲に隠れています」
提督「……言われてみれば確かにそうだな。なんとも不思議な町だ」
空母棲姫「私は埃を掃除しておくから、もう少し夜空を眺めていますか?」
提督「私も掃除をして布団を敷こう。長時間の移動でダラけてしまいそうだが、さっさと終わらせてから寝てしまった方が良い」スッ
空母棲姫「分かりました」
提督「私の方が身長があるから、ハタキで埃を落としていこう」
空母棲姫「では、私は床を掃いていきます」
提督「……布団も無事だろうか」
空母棲姫「怖い事を言うのね……。ダメだった時はそのまま床で寝てしまいましょう」
提督「そうしよう。夏だから風邪は引かないだろう」パシパシ
空母棲姫「……………………」
提督「む?」パシパシ
空母棲姫「……ごめんなさい。なんだか懐かしい匂いだと思ってしまって」サッサッ
提督「……埃がか?」
空母棲姫「違います。……埃の匂いに混じって、この土壁や畳の匂いが香ってきたわ。初めて嗅ぐはずなのに、どこか懐かしく思ったの」
提督「お前もなかなか不思議な子だよ」
空母棲姫「そうかしら。もしかしたら私が深海棲艦になる前はそんな部屋で過ごしていたのかもしれないわよ」
提督「……深海棲艦は艦娘が沈んだ姿、という説か」
空母棲姫「ええ。たぶんそれは本当よ。ノイズが酷いけれど、なんとなく思い出せそうな事もありますから」
提督「……本当、私たち海軍は何の為に戦っているんだろうな」
空母棲姫「世界の平和を守る為、で良いでしょう? こんな夜中に難しい事なんて考えなくても良いわ」
提督「そうだな……。さっさと掃除をして、そして寝てしまおう」
空母棲姫「はい」
提督(……世界の平和を守る為、か。金剛達は今、何をしているのだろうか。世界の平和どころか、自分達の平和すら守れなかった私達は、今……何をしているのだろうな……)
……………………
…………
……
88 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/04(金) 01:03:36.54 ID:v8rV7b/E0
今回はここまでにしますです。また明日とか明後日あたりにふらりと現れると思います。
大丈夫。金剛さん達の出番はこれからもちゃんとあるです。
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/04(金) 01:30:44.19 ID:eMbU0xaz0
乙です!
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/07(月) 05:17:18.63 ID:IT+4I3IYo
なんとなく艦これって大正ロマンな12-26年から、第二次世界大戦辺りだと思っているが
寝台特急あさかぜは56-05年なのか
大戦中に深海棲艦に割り込まれて長引いてる感じかな…
年代をそのまま当てはめてもナンセンスなので40年台かなぁと勝手に妄想
91 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/07(月) 18:04:51.76 ID:mMEiH45f0
>>90
この作品での解釈をすると、大戦中に深海棲艦に割り込まれて長引いているという考察の通りです。
作中の国以外の他国は諸事情によりほぼ壊滅。それによって技術の進歩が史実よりも遅くなっています。この辺りはたぶん作中で出さないと思う。
自国のみでの開発と競争相手の喪失、及び深海棲艦への長期的な戦争継続によって所々の技術だけ進み、他は止まったり緩やかだったりな感じですね。
ちなみに私もこの作品は40年台〜50年台を想定しています。艦娘の発足は44〜45年辺りで現在50年台辺り?
実際の艦これ運営が何年辺りを想定しているのかは考えるのが難しいので勝手に私なりの土台を作ったらこの辺りに落ち着きました。
たぶん今夜、投下しに現れます。
92 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/08(火) 02:39:12.41 ID:B/jabzdE0
提督「…………」
空母棲姫「……………………」スゥ
……ロロロロ
提督「…………」
空母棲姫「……ん……すぅ…………」
キィッ
提督「…………」パチ
提督(……家の前に車が止まった? 何かあったのか?)
提督(…………何か物を置いている? ゴミでも捨てられているのか?)モゾ
ロロロロロロ……
提督(逃げたか。……まあ良い。面倒だが様子を見に行くか)スッ
空母棲姫「ん、んんん……?」パチ
提督「! ……今ので起きるか。すまん」
空母棲姫「……おはようございます」
提督「おはよう」
空母棲姫「ふあ……もしかして今、車か何かが来ていました?」
提督「そうだが、起きていたのか?」
空母棲姫「いえ……単純に寝る方を優先しただけよ。だって眠かったもの。……それで、何かあったのかしら」
提督「さっきの車が家の前に何かを置いて行ったらしい」
空母棲姫「……ゴミでも捨てられたの?」
提督「私もそう思った。だから今から見に行く」
93 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/08(火) 02:39:45.27 ID:B/jabzdE0
空母棲姫「私も行くわ」
提督「寝ていて良いんだぞ?」
空母棲姫「貴方だけを苦労させる訳にはいきません。これからお世話になるのだから、このくらいは当然よ」スッ
提督「ありがたい心構えだ。ならば、二人で一緒に片付けよう」スタスタ
空母棲姫「分かりました」トコトコ
ガラッ──
空母棲姫「ん……! 朝日が眩しいわ……。空気も少しひんやりしていて、昼間もこれくらい涼しければ良いのにと思います」
提督「良い朝だ。……そして、その素晴らしい朝を彩るのは三つの段ボールか」
空母棲姫「どう見ても新品ではないわね。だというのに、とても丁寧に並べられているわ」
提督「ゴミではなく、何かしらの荷物か……?」
空母棲姫「……もしかして、あの鎮守……いえ、小屋に忘れていた物を送られてきたとか?」
提督「そもそも送った荷物すら今日の夕方に届く予定だ。有り得んよ。一体何が入っているのやら……」
空母棲姫「中には持って入らず、まずここで開けましょう。何かがあってからは遅いわ」スッ
提督「待て。私が開ける。お前に何かあっても駄目だ」
空母棲姫「それこそ私が開けるべきよ。少なくとも、私ならば早々死ぬ事はありませ──」パカ
金剛「…………」
空母棲姫「…………」パタン
提督「……なぜ閉じた?」
空母棲姫「……錯覚ね、今のは」
提督「む……?」
94 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/08(火) 02:40:21.44 ID:B/jabzdE0
空母棲姫「すぅ……ふぅー……」パカ
金剛「…………」ジー
空母棲姫「…………」パタン
提督「だからなぜ閉じる……。何が入っていたんだ……」
空母棲姫「戦艦が入っていたわ」
提督「なんだって?」
空母棲姫「戦艦よ」
提督(……寝惚けているのか?)
空母棲姫「という事は……」パカパカ
瑞鶴「…………」ダラダラ
響「…………」ヂー
パタパタン
空母棲姫「……とりあえず中に持って入らないといけないわね」ヒョイ
提督「本当に何が入っていたんだ……?」ヒョイ
空母棲姫「戦艦、空母、駆逐艦よ」トコトコ
提督「……待て。その組み合わせは……」スタスタ
ピシャッ──!
空母棲姫「……出てきなさい」
パカパカパカッ
95 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/08(火) 02:40:52.27 ID:B/jabzdE0
提督「────────」
金剛「……えへへ」
瑞鶴「や、やっほー……」
響「二人とも、一夜ぶり」
空母棲姫「正座しなさい」
瑞鶴「えっ」
空母棲姫「もう一度だけ言うわ。……正座シロ」ジィ
三人「は、はいっ!」ピシッ
空母棲姫「オマエタチ、一体ナニヲシテイル?」
金剛「ダ、ダンボールに入って」
瑞鶴「配送業者の人にも秘密で……!」
響「……送って貰った」
空母棲姫「ドレダケ危険ナコトヲシテイルカ、ワカッテイルノカ?」
瑞鶴「え、えっと……その……」ビクビク
提督「空母棲姫、少し落ち着け」
空母棲姫「…………もしもその業者の人が悪い人だったらどうなっていたの。この短時間で送らせたって事は相当なスピードで車を飛ばさせたのでしょう。事故が起きて怪我でもしたらどうするの」
響「……イズヴィニーチェ」
空母棲姫「私にではなく、提督に謝りなさい。……貴方達と離れ離れになった事で、この人は酷く悲しんでいたのよ。それくらい大事に思われているのだから、自分の身は大事にしなさい」
金剛「……提督、ごめんなさい」
瑞鶴「ごめんなさい……」
響「……ごめんなさい」
提督「……言いたい事は空母棲姫が言ってくれた。故に私から叱りはしない」
提督「だが、一つだけ言わせて貰おう」
三人「…………!」ビクッ
96 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/08(火) 02:42:07.89 ID:B/jabzdE0
提督「…………」ソッ
金剛「…………?」ナデ
瑞鶴「へ……?」ナデ
響「ん……」ナデ
提督「……お前達が危険を冒してでも来てくれるとは思っていなかった。また会えて、私は嬉しいぞ……」
金剛「…………テートクー!!」バッ
提督「おっと……」
金剛「寂しかったです……! もう会えないと思ってしまいました……!!」
提督「私もだ……」ナデ
金剛「もう……離さないで下さい……!」ギュゥ
提督「ああ……もう離さない……」ナデ
響「…………」
瑞鶴「……響ちゃんは行かないの?」
響「私だって空気くらい読むさ。瑞鶴さんは?」
瑞鶴「私は無理。だって、邪魔なんて出来ないもん」
響「同感だよ。こればっかりは邪魔できない」
空母棲姫(……金剛だけこの二人よりも特別な存在なのかしら。でも、指輪などは付けていないようですが……)チラ
金剛「〜〜〜〜!」ギュゥゥ
提督「…………」ナデナデ
瑞鶴(ああ、やっぱり良いなぁ……)ジー
響「ハラショー」
空母棲姫(この様子はどう見ても……。どういう事なのかしら……?)
…………………………………………。
97 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/08(火) 02:45:57.50 ID:B/jabzdE0
ちょっと中途半端ですけどここで一回区切ります。また近い内に現れますね。
深海棲艦の鹵獲システムはよ。性能は艦娘基準でお願いします。ついでに最初は敵意マシマシだけど好感度を上げたらデレるようにして下さいお願いします。
空母棲姫とヲ級とほっぽちゃんのデレが不足しているんです。
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/08(火) 21:04:34.53 ID:iwccJG9go
嘘だゾ装備品性能は絶対ぶっ壊れてるゾ
99 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 01:16:38.16 ID:XckqZ6hX0
今回はゆっくりと投下していきますねー。
>>98
敵キャラが味方になったら能力が明らかに下げられるアレならセーフ。たぶんセーフ。
100 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 01:17:16.06 ID:XckqZ6hX0
提督「──さて、金剛も落ち着いた事だ。どうやってここまで来たのか詳しく教えてくれるか」
金剛「……感情を表に出し過ぎまシタ」
瑞鶴(それっていつもの事じゃ?)
響(むしろいつものって抑えてたのかな……)
金剛「……簡単に言うと、テートクから頂いたマネィで段ボール三つを追加で秘密配送して貰ったデス」
瑞鶴「私達は解体されたって事にしているわ」
提督「いくらあの無能な総司令部と言えどバレるような気もするが。そもそも誤魔化すとして、解体された時に生まれる資材はどうしたんだ?」
響「建造妖精さんが調達するって言ってくれたよ。アテがあるんだってさ」
瑞鶴「総司令部の人達への解体報告も妖精さんがしてくれるわ。まあ……嘘の報告なんだけどさ」
────掘っ立て小屋
監査員A「……さて、総司令部からの命令でここへ来たが、面倒だな」
監査員B「まあそう言うな。状況を書類に纏めて提出するだけだろ? 前の艦娘全解体を記録する事よりかはマシだ」
監査員A「ああ、あの鎮守府のな……。まあ、今回は三隻だけだから確かにマシか。──おっ」
建造妖精「やーやー」ヒラヒラ
監査員B「妖精か。艦娘を呼んで来い。解体の記録を取る」
建造妖精「もうやったよー」
監査員A「……は? あの提督、勝手に解体したのか?」
建造妖精「ううんー。艦娘の子が『提督が居ないのならば私達も居る意味がありません』って言って解体を懇願してきたんだよー」
監査員B「それで解体した、と」
建造妖精「そだよー。私の役目ももう終わりだから、じゃねー」テテテ
監査員A「あ、待て!」タッ
監査員A「……居ない?」
監査員B「どうした?」
監査員A「いや……廊下に出たと思ったら消えて……」
監査員B「ああ……こりゃ本当に提督も艦娘も居なくなったって事か」
監査員A「どういう事だ?」
監査員B「妖精っていうのは提督と艦娘が居る場所に住み着く。鎮守府として機能しているかどうかって事らしい。そうなると妖精も消えるって話だ。あの妖精は鎮守府として最後の仕事をしたって所か?」
監査員A「……不気味な話だな」
監査員B「実際、妖精がどういう存在なのか総司令部でもよく分かっていないらしいぞ。もしかしたら過去の英霊だったりしてな」
監査員A「…………」
監査員B「そう怖がるな。俺達はここの状況を書類に纏めて帰って安酒を煽るだけだよ」
監査員A「……そうだな。そうするか」
────提督の家
提督「……そうか。建造妖精には最後まで迷惑を掛けてしまったな」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/11(金) 01:22:58.40 ID:X+FgtjLto
過去の英霊説浮上……!
102 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 01:38:09.87 ID:XckqZ6hX0
金剛「……テートク」
提督「どうした」
金剛「テートクは、困った事があったら言ってこいって言っていまシタよね?」
提督「ああ。間違いなく言った」
金剛「……私達は今、帰る家を失って困っているデス。どうか、助けてくれまセンか……?」
提督「何を馬鹿な事を」
瑞鶴「…………っ」ビクッ
提督「助けるも何も、いつものようにお前達と暮らすだけだろう? ただ場所が変わっただけだ」
金剛「!」パァッ
瑞鶴「…………」ホッ
響「その言い回しも、いつものよう、だね」
提督「そうか?」
瑞鶴「提督さんってちょっとだけ不安にさせてから安心させるのよね」
金剛「ふふ、テートクの悪い癖デース」ニコ
響「すぐに分かるけどね」
提督「……そうか」
空母棲姫「──ほら、提督をイジメないの。貴方達は部屋で休んでなさい」
提督「そうだな。不安定な体勢で荷台に揺られて辛かっただろう。広いとは言い難いが、三人が寝転がるくらいならば問題は無いぞ」
金剛「二人は何かするのデスか?」
空母棲姫「この家のお掃除よ。私達も深夜に帰ってきたばかりだから、そこの部屋だけしか掃除していないの」
提督「今日一日は掃除をメインで終わらせるつもりだ。それと、服を買わなくてはならないか」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/11(金) 01:50:14.05 ID:SzYBma5Xo
1つの部屋で一夜を明かし一緒にショッピングだと……許せる!
104 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 01:57:58.47 ID:XckqZ6hX0
瑞鶴「え? それって私達の事?」
提督「そうだ。流石にその恰好で外を出歩くと艦娘だとすぐにバレる。艤装を完全に下ろし、普通の服を着ていればまずバレんよ」
響「やけに自信があるんだね」
提督「目の前に実証者が居るからな」チラ
空母棲姫「……私ですか」
提督「ああ。お前の変わりっぷりは凄かった。本当にあの空母棲姫とは思えないくらいだったよ」
瑞鶴「そうよね。私達と違って堂々と歩き回ったんでしょ? なら充分に実績があるじゃない」
空母棲姫「……そんなに上手くいくものかしら」
提督「多少は髪型も変えさせて貰うがな」
響「司令官がしてくれるのならば私は喜んで」
提督「ああ。毎日はしてやれないだろうが、出来る限りやろう」
響「期待しているよ」
提督「──さて、お前達も正座は疲れただろう。部屋に入って寝ておきなさい」
三人「はいっ」ピシッ
……………………
…………
……
105 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2020/09/11(金) 02:03:18.48 ID:XckqZ6hX0
>>101
友永隊などの装備があるので、もしかしたら妖精さん達は過去の英霊の方々なのかもしれない、という妄想です。
……今になって思えば、瑞鶴と瑞鳳を愛する作者がそのような設定を使っていたような気が。設定が被ってしまった。
>>103
今回は正妻空母になれるかどうか。極めて高いポテンシャルを秘めているけど、金剛さんという極厚超高の壁が立ちはだかっているからどうなるやら。
106 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 02:18:45.37 ID:XckqZ6hX0
提督「……意外と壊れるものなのだな」グツグツ
空母棲姫「水道は一部のゴムを、ガスは配管の入れ替えだったわね。……使っていると壊れないのに、使わないと壊れるだなんて不思議ね」
提督「本当にな。だが、ガス業者がちょうど手隙で助かった。おかげですぐにガスも直せて使えるようになった」グツグツ
空母棲姫「水道も簡単な修理だったのが幸いね。……電気の配線系統は大丈夫なのかしら」
提督「そこも不安だな……。今は使えているから大丈夫だろう、と電気業者も言っていたが……」グツグツ
空母棲姫「視てくれるのは明日の夕方だったでしょうか」
提督「ああ。明日の夕方は家に居ないといけないな」ザァッ
空母棲姫「……ところで、この太い麺がうどんですか?」
提督「そうだ」ポタポタ
空母棲姫「見るからに柔らかそうです……。貴方が苦手と言っていたのも少し分からないでもないわ」
提督「母が作った伊勢うどんは柔らかくし過ぎた可能性もある事から今回は少し早めに上げているが、どうなるやら」キュポッ
空母棲姫「あら、良い香り……。これが伊勢うどんのつゆ?」
提督「そうだ。こんなにも柔らかい麺も、醤油と見間違えるようなつゆも伊勢独特なんじゃないか?」トクトク
空母棲姫「食感は食べてみないと分からないけれど、味の方は期待しても良いかもしれないわね」
提督「私も随分と久し振りなものだ。……さて、後はきざみネギを乗せて完成だ」ソッ
空母棲姫「これが伊勢うどん……。確かに普通のうどんとはかなり違うわ」
提督「後は皆がどっちを好むか、だな」スタスタ
空母棲姫「戸を開けるわ」スッ
提督「ありがたい。──出来たぞ。伊勢うどんだ」
瑞鶴「待ってたわ! もうお腹ペコペコよー……」
響「ほう。これは珍しい。本当に混ぜて食べるんだね」
金剛「今まで見てきたうどんと全然違うデス……。これが郷土料理というものなのでショウか?」
提督「郷土料理と言われると少し難しいな……。まあ、こういううどんもあるって思ってくれたらそれで良い」
107 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 02:39:02.44 ID:XckqZ6hX0
空母棲姫「器は熱いから気を付けなさいね」コトッ
提督「配膳も終わったな。──では、頂こう」
三人「いただきます!」
空母棲姫「いただきます」
提督「……む?」コネコネ
四人「…………」ジー
提督「……どうした?」コネ
金剛「初めて食べるデスから、まずはテートクの食べ方を見て予習しておかないと、と思ったのデース」
瑞鶴「私も。混ぜて食べるって言われても、自分が思い描いているやり方と同じかどうかは分からないもん」
響「中央に添えられたネギも一緒に混ぜるんだね」
空母棲姫「ネギをどうするかは好き好きがあるような気がしないでもないわ」
瑞鶴「あっ、例えば後乗せにするとか?」
空母棲姫「その方が薬味としてのネギが機能するかもしれないもの」
金剛「では、私はテートクと同じく一緒に混ぜてみるデース!」コネコネ
瑞鶴「私は一旦端に置いて……こう、して……っと」コネコネ
響「……そこまで器用に避けられそうにないかな」コネコネ
空母棲姫「む。巻き込んでしまったわ……」コネ
提督(……伊勢うどんでここまで真剣に食べ方を考察している姿を見るのは初めてだ)チュルッ
金剛「!! ワーォ! これはとってもベリィグッド!」チュルッ
瑞鶴「んー……確かに麺がすっごい柔らかいわね。本当にうどん? って思っちゃうかも」チュル
響「……悪くはないとは思うね。かけうどんに飽きたら伊勢うどんが良いかなって感じると思う」チュル
空母棲姫「つゆが美味しいので麺の柔らかさはあまり気にならない程度ね。これはこれで有りだと思うわ」ツュル
108 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 02:50:56.20 ID:XckqZ6hX0
提督「ふむ……。私は他に食べる物が無かったら喜んで食べると言った所か」
瑞鶴「ふーん? って、それって褒めているようで貶してない?」
提督「やはりうどんはコシがある方が良い」
金剛「柔らかくて食べやすいデスよ? 味も醤油の塩辛さと砂糖の甘さが混ざっていて、ブラーボゥ!」
響「金剛さんは大好評だね」
提督(……柔らかい、素材にたれを掛けただけ。イギリス料理に通ずるものがあるのか……?)
金剛「これは七味とも合いそうな味デスね?」
提督「言われてみれば確かに七味を掛ける人が多かった気がしないでもない」
空母棲姫「確かうどんを買いに行った時に一緒に買っていたわね。取ってくるわ」スッ
瑞鶴「……行動が早いわね」
響「なんか凄く慣れた感じだけど、司令官はどう仕込んだの?」
提督「聴こえていたら怒られ──ああ……」
響「あ……」
空母棲姫「──聴こえているわよ?」ニコ
響「……イズヴィニーチェ。失礼な事を言ってしまった」
空母棲姫「今回は大目に見るわ。伊勢うどんが美味しくなくなるもの」スッ
瑞鶴(あ、このうどん気に入ったんだ)
空母棲姫「──あら、七味を掛けるとピリッとしたアクセントが付いてとても美味しいわ」
金剛「リアリー? では私も……──!! ワォ! 普通のうどんとは別格の味の変わり方デス!」
瑞鶴「──あ、ホントだ。食感はアレだけど、鋭さが出てちょっと食べやすくなった」
響「……ちょっと辛いかもしれない」
提督「……やはり味は良いんだがな」
金剛「テートクは苦手意識が拭えないようデスね」
提督「小さい頃に苦手だった食べ物は大人になっても変わらんようだ……」
空母棲姫「こんなにも美味しいのに」
金剛「ええ、こんなにもベリィグッドですのに」
提督(ふぅむ……。これが食の好みの差か……)
…………………………………………
109 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2020/09/11(金) 02:54:48.19 ID:XckqZ6hX0
今回はここまでです。また近い内に現れます。
こんな風にまったりとした空気で進行していきます。今回は伊勢うどんで、次は何になるかな。
ちなみに近い内に完結する予定ですので、何かあったらポンポン書き込むと良いかもしれません。
本当にショートストーリー。
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/11(金) 08:08:19.37 ID:V+OxsWTFO
乙
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/11(金) 12:03:22.27 ID:ugKikuAz0
乙です。
伊勢うどんは、参拝客からの注文が途切れないので、その都度茹でるよりも
常に大鍋に茹で続けていたからあそこまで柔らかくなったとの説が。
つゆじゃなくタレにしたのも、つゆ作りが間に合わなかったからだとか。
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/01(木) 20:32:34.87 ID:voEVV4gMo
永遠に待ってる
クロスレール読んでくるわ
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/24(日) 04:50:04.08 ID:wVf3M3Kvo
久々に艦これやって相変わらずのクソUIに笑顔になりつつ開発や秋月掘りをして、手持ち艦の秋グラとボイスを鑑賞してたけどやっぱ瑞鶴めちゃくちゃ可愛いな
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/24(日) 04:53:18.78 ID:wVf3M3Kvo
ということで私も待ってます
115 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2023/02/28(火) 16:07:20.58 ID:wmOrESA70
提督「──さて、食事も終わり、服も着替えて貰ったが……私のセンスだから心配で仕方がない」
金剛「これって、私が空母棲姫に貸した服と似ているデスね?」
提督「ロングスカートにはなっているが、確かに色合いは似ている。なんというか……お前はこの色が合っていて、どの服を想像してもこれに行き着いてしまった」
金剛「どの服を想像しても……えへへ♪ ありがとうございます……」
空母棲姫(……幸せそうな顔。……羨ましいわ)
瑞鶴「ねーねー。このふわっとしたブラウスは気に入ったんだけど、私はどうしてホットパンツなの?」
提督「どうしても瑞鶴は活発なイメージがある。艦載機を操るからか、自由に動きやすい服装を考えた」
瑞鶴「なるほどねぇ。ま、確かに動きやすいと思うわ。……脚が露出し過ぎてる気がしないでもないけど」
提督「気になるか」
瑞鶴「んー、ちょっとだけ? なんていうか、見た事はあるけど私には合わないかなーって思ってたから」
空母棲姫「安心なさい。その姿で走っているととても様になっているわよ」
瑞鶴「ん、そう? そう言われたら良い感じに思えるかも。ありがとね、提督さん!」
響「そして私のだが……これはセーラー服? なのかな?」
提督「店の人が言うにはセーラーブラウスという物らしい。セーラー服に似せて作られた服らしいが、私も詳しくは分からん」
響「……私だけいつもと少し違うだけのような気がする」
提督「実を言うと……響の服は一番悩んだ。冬服であればすぐに思い付けるんだが、夏服となると……な」
響「それで苦肉の策?」
提督「……そういう事だ。響はセーラー服が似合い過ぎる。せめてものの大きな違いとして前リボンのコルセットスカートを選んでみたが……」
響「ふーん?」クルクル
空母棲姫「……回ってどうしたの?」
116 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2023/02/28(火) 16:07:50.04 ID:wmOrESA70
響「似合い過ぎるって言われたら悪い気が起きなくてね。そこの姿見で自分の後ろ姿とかも見てみてるんだ」クルクル
提督「……………………」
響「……なるほど。よく見れば確かに違う。軍服の感じがしなくて、軽い動きをしてくれる。こんな服もあるんだね」クルクル
響「ふむ。これは良い……。いつもの感覚で居られるのに違う自分なのは新鮮だ。司令官、スパシーバ」
提督「……一番不安だったから助かる。気を遣わせてしまったな。すまない」
響「本心だよ。いつもの私なのに違う私だなんてなかなか体験できない。司令官は良い選択をしたと思うよ」ニコ
空母棲姫(……本当、どの子も良い子ね。こんないい子達だからこの人も優しいのか、それともその逆か。いずれにしても、温かい話だわ)
空母棲姫(そして……少し羨ましいって思ってしまったわ)
提督「さて、後はお前だけだな」
空母棲姫「え?」
提督「ほら、これだ」スッ
空母棲姫「え、あの……え?」
提督「お前だけ金剛のお下がりというのも寂しいものがあるだろう?」
空母棲姫「……用意、してくれていたの?」
提督「まあ……自信が無くて今まで出せなかった。お前の事は一番分かっていないからな……。三人が気に入ってくれたからこそ出せたんだ」
金剛(相変わらず変な所で臆病です)クス
空母棲姫「私の……」
提督「……嫌だったか?」
空母棲姫「……あの」
提督「うん?」
空母棲姫「き、着替えてみても……良いかしら……?」
提督「ああ、是非とも着替えてみてくれ。私は別の部屋で待っておこう」スッ
…………………………………………
117 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2023/02/28(火) 16:08:30.02 ID:wmOrESA70
金剛「テートクー。着替えが終わったデース」
提督「ふむ。では行こうか」スッ
金剛「……ちょっと嫉妬してしまったデスよ?」トコトコ
提督「む? 何がだ?」スタスタ
金剛「先に言っておきますね。私、目いっぱい甘えますので、後で可愛がって下さい」ヂー
提督「ふむ?」
ガラッ
瑞鶴「あ、おかえりー」
空母棲姫「!!」サッ
響「あ、姿見に隠れちゃった」
提督「……そんなに恥ずかしがるような服ではなかったと思うのだが」
空母棲姫「その……なんというか……三人からあんな目で見られたら……」モジ
提督「一体どんな目だ……」
金剛「むー」トコトコ
空母棲姫「な、なにかし──らっ!?」パッ
提督「……おぉ」
金剛「それだけ似合っているのですから、さっさと姿を見せるです」ヂー
響(あ、これ絶対に嫉妬してる)
提督「……これは驚いた。まさかここまで黒のワンピースが似合うとは」
空母棲姫「あ、あんまり見ないでちょうだい……!」
金剛「おまけにレース入りです。名前の通り、どこかのお姫様みたいです。……テートクのセンスは抜群デスねー?」ヂー
提督(ああ……だから金剛は嫉妬したと言ったのか)
118 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2023/02/28(火) 16:09:08.86 ID:wmOrESA70
空母棲姫「っ!」サッ
瑞鶴「あ、麦わら帽子」
響「被って顔を隠したね」
瑞鶴「……でも、顔が赤くなってるのは分かるし、余計に似合ってるって思うだけよねぇ」
空母棲姫「!?」
響「そうだね。白い髪と肌。高い身長と出る所が出ているスタイル。そして洋風の黒いレースのワンピースと本来合わない和風の麦わら帽子。正に異国のお姫様が来日してきたって感じだね」ヂー
空母棲姫「!!?」
提督「ふむ」
空母棲姫「ど、どう……なの……?」
提督「さっき言ったように似合っている。とてもお前らしい姿だ」
空母棲姫「〜〜〜〜〜〜!!」サッ
瑞鶴「あ、また姿見に」
金剛「……………………」ツイッ
空母棲姫「!!」
響「……部屋の隅に追いやられて隠れられなくなったね」
提督「金剛、あまりイヂメてやるな」
金剛「イヂメている訳ではありまセン。もっと堂々としていれば良いという意味でやっているデス」
提督「金剛」
金剛「ぅー……」
提督(……今日はやけに聞き分けが悪いな)
提督「ほどほどにしておきなさい」
金剛「……ソーリィ」
119 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2023/02/28(火) 16:09:47.53 ID:wmOrESA70
空母棲姫「……………………ど、堂々と、というのは……」モジ
響(おや?)
空母棲姫「こうすれば良い、のでしょうか?」スッ
瑞鶴「あー……もうちょっと足を開いたらどうかしら?」
響「胸の前に手を添えるよりも、肘から先を少し『ハの字』に下ろした方が様になると思う」
瑞鶴「良いわねそれ。だったら足は逆に閉じ気味にした方が良さそうね。──そうそう。それそれ」
金剛「恥ずかしいのだと思いマスが顎を引き過ぎているデス」
響「背筋もピンと真っ直ぐにね」
空母棲姫「…………っ!」プルプル
提督「表情以外は満点だな」
金剛・瑞鶴・響「!!」
空母棲姫「悪かったなッ……!! 表情が落第で……!」ピキピキ
提督「うむ。良い表情になった」
空母棲姫「くっ……!」フイッ
響(ほう)
金剛・瑞鶴(……もしかして?)
提督「さて……着替えも終わった事だ。外に出る準備は出来ているな?」スッ
瑞鶴「……ん? 何かするの?」
提督「なに。お前達が伊勢に来たんだ。あちこち回って案内をしようと、な」
…………………………………………
120 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2023/02/28(火) 16:10:16.36 ID:wmOrESA70
瑞鶴「……で、なんだけど」
提督「どうした?」
瑞鶴「いや……なんでまず真っ先に病院なの?」
響「まさか観光地になっている、とか?」
空母棲姫「そんな訳ないだろう……。…………ありませんよね?」チラ
金剛「……………………」チラ
提督「ある意味で観光地になっているのかもしれないな。何せ、ここは小説の舞台となっている」
響「小説?」
提督「ああ。私がまだ子供の頃、書店で目を引かれた小説があってな。それに登場する病院がここなんだ」
瑞鶴「入ったら何かあるの?」
提督「普通の病院だ。迷惑になるから入るべきではない。ただ眺めるだけだ。……とは言っても、正面ではなく裏の方が本命らしい」スタスタ
金剛「裏? なぜデスか?」
提督「詳しくは知らないが、何かしらの映像作品にもなったらしい。その時は正面ではなく、裏の方がモデルとなったそうだ」
空母棲姫「──あら。こっちの方が病院ぽさが出ているわね」
瑞鶴「あー、うん。確かに凄い見栄えしているわね。張り巡らされた配管とか」
響「ちなみに、その小説ってどんなお話なの?」
提督「生まれつき心臓病を抱えた少女と、その少女に生きる勇気を与えた少年の話だな」
瑞鶴「へぇ。王道なのね?」
金剛「なんだか私達みたいデース」
空母棲姫「どこが……。貴方達は病気と無縁でしょう?」
金剛「──生まれつき戦って死ぬ使命を科せられた私達と、生き続ける為の勇気を与えて下さったテートクみたいです」
提督「────────」
提督(……戦う使命、か)
121 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2023/02/28(火) 16:10:54.81 ID:wmOrESA70
金剛「────!」ハッ
金剛「と、ところでテートク!!」
提督「どうした?」
金剛「病院の正面から見えたのですが、ショッピングストリートがありマスね!?」
提督「なるほど。早速向かうとしよう」スッ
瑞鶴「え? あ、待ってよ提督さん!」タタッ
金剛「ゴーゴー!」タタッ
空母棲姫「……逃げたな」
響「そうだね。私達は逃げてきた」
空母棲姫「い、いや……! そう言ったのではない……!」
響「なに。分かっているよ。その使命があった事も、そんな使命よりも解体が優先されそうになり、提督と一緒に居る方が良いって思って行動した事も」
空母棲姫「……………………」
響「まあ、全部もう気にしないけどね」ニヤ
空母棲姫「……強かね」
響「後ろ向きになるよりも楽しむ方がずっと良い。そうだろう?」
空母棲姫「ふふ……。ええ、私もそう思います」
瑞鶴「二人ともー! 置いてっちゃうわよー!」
響「おっと。それは困るから行こうか」スッ
空母棲姫「そうしましょう」スッ
空母棲姫(……正しく死ぬ未来と間違って生きる未来。一体、どっちが本当に正しいのでしょうかね──)
……………………
…………
……
122 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2023/02/28(火) 16:21:51.39 ID:wmOrESA70
約二年半ぶりです。更新できなくてごめんなさい。お茶の間のアイドルことコロナウィルスが大暴れしてくれやがったおかげで生活が激変してました。
それこそ故郷である伊勢から離れる事になったりとかのレベルで。
こんな感じで伊勢を巡りながら艦娘や深海棲艦としての生き様とかを悩んだりして生活する予定でした。ちょっと書けるか怪しいです。コロナ滅べ。
物語のラストだけは意地でも書きに来ると思いますが、どうなることやら。
申し訳ない。
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/03/01(水) 11:05:43.52 ID:alVV4NUl0
更新乙です。待ってましたよ
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/05/08(月) 07:00:15.86 ID:3+RgPugTo
更新来てる〜お久しぶりです
125 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2024/01/15(月) 11:29:34.66 ID:20NhiBzr0
〜伊勢のB級グルメ〜
提督「──とまあ、個人的にだが、この三つの店が私にとっての地元の味だ」
金剛「まんぷく食堂、キッチンクック、喫茶モリ……」
金剛「………………………………ウォリィ!! 悩みマース!!」
提督「どうした急に……?」
瑞鶴「からあげ丼の甘辛くてスパイシーな感じがやっぱり……いやでもあのドライカレーにルゥの発想は他に無いし……そもそもスパゲッティなのに仄かなハッシュドビーフのようなあの味わい深さも……」ブツブツ
提督「ああ……どれが一番美味しかったか悩んでいるのか」
響「どれも美味しかったね」
空母棲姫「ええ。とても満足しました」ホッコリ
提督「私もそれくらいで良いと思うのだがな」
提督(しかし、ウスターソースのたこ焼きはそんなに珍しいのだろうか……? 小さい時からこれが普通だったから分からん)モグ
〜伊勢のお菓子〜
瑞鶴「これは一日で食べきれる数じゃないわね……」
響「赤福、二軒茶屋餅、へんば餅、神代餅、御福餅……うん、まだまだあるね」
空母棲姫「他で見ないような物だとシェルレーヌ、七越ぱんじゅう辺りでしょうか?」
金剛「テートク。洋菓子もあるのデスか?」
提督「皮がカリッとしている、おとべのバウムクーヘンや完成度が高過ぎて半日しか保たないカンパーニュのシュークリーム、他にも隠れた名店であるサザンボンのモンブランに──」
瑞鶴「待って!? この町どんだけお菓子に情熱注いでんの!!? ていうかバウムクーヘンの皮って何!?」
126 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2024/01/15(月) 11:30:03.28 ID:20NhiBzr0
〜砲台山頂上〜
金剛「Oh……」
響「ここは?」
瑞鶴「え、お墓……?」
提督「そう見えるかもしれんが、明治聖代戦役記念碑だ。簡単に言うと、明治天皇の偉業と東郷平八郎を含む従軍の方々を顕彰していたんだ」
空母棲姫「過去形という事は、何かあったのかしら?」
提督「私も詳しくは知らんが、本来ならば表面に記念碑と文字が打ち付けられていたし、上には金色の鳶が据えられていたそうだぞ」
金剛「今は……何も無いデスね。砲台も片づけられたのデスか?」
提督「いや、ここに砲台が置かれた事なんてない」
響「ん? じゃあ、なぜ砲台山って呼ばれているんだい?」
提督「これも色々あってな。いつぞやにニャロメのラクガキがされた事で地元の人にとってはニャロメの塔と呼ばれていたり、前に行った病院で話した小説に重要な場所として出てきてから砲台山と呼ばれている」
金剛「そのノベルは戦争のお話だったデスか?」
提督「それも違うな。その小説の中では過去に砲台があったとされている山だったからそうなっただけだ。この山の正式な名前は虎尾山だが、小説の中では龍頭山なんて名前にもなっていた」
瑞鶴「へぇ。虎の尾から龍の頭にしたのね」
空母棲姫「ところで、ここに何か? 見たところ草木が生い茂っているだけなのだけれど」
提督「実を言うと何も無い。強いて言うならば……私が鎮守府を任される前はよくここへ来ていたというだけの話だ」
提督「なぜだろうな。その小説が原因かもしれんが、ここは特別な場所だと思える。……町の喧騒も遠くなって落ち着くのもあるのだろう」
???「また、ここで小説を書きたいなぁ」
瑞鶴「へぇ……………………って、今の誰!?」バッ
響「? どうかしたのかい瑞鶴さん?」
瑞鶴「え、今の聞こえなかった!? ゆ、幽霊!?」ビクビク
提督「まあ、色々な想いが置かれていっている場所だ。何かしら聴こえる事もあるだろう」
……………………
…………
……
127 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2024/01/15(月) 11:30:37.16 ID:20NhiBzr0
その後、提督の家に鎮守府でもないのに妖精たちが現れたり──
妖精たちが金剛たちに最後のお仕事をすると言って何かをして消え──
艦娘に似ているという噂が広がり海軍の人が調べに来たり──
金剛たちは一般人だと他の艦娘たちから認識されたり──
まんぷく食堂に提督たち五人が働くようになったり──
彼らは、伊勢でこれからの人生を過ごす事を決めた──
128 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2024/01/15(月) 11:31:05.26 ID:20NhiBzr0
???「仕事で日本の彼方此方へ赴いた人生の中、やっぱり一番落ち着いた故郷の伊勢。そこから離れざるを得なくなったのは寂しい」
???「ただ、それでも私は今が幸せ。生涯支えると決めた大事な人と出会えたから。だからここで改めて言った方が良いと思う」
???「ありがとう──」
129 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2024/01/15(月) 11:31:46.02 ID:20NhiBzr0
また随分と間を空けてごめんなさい。そして、最後がポエムになってごめんよ。
本当なら箇条書きみたいなコレじゃなく、ちゃんとしたSS形式で伊勢の魅力を書くべきだったと思うけれど出来なかった。申し訳ない。
2013年から長く追ってくれている方も居ると思うけれど、これにて私のSSは終わりです。今まで読んでくれてありがとうございます。
やっと生活も(大変だけど)安定してきたので、クロスレールの方もまたゆっくりと更新をしていきますね。
改めて、今までありがとうございました。
またいつかどこかで──
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