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魔王と魔法使いと失われた記憶
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438 :
◆Try7rHwMFw
[saga]:2020/10/19(月) 18:26:18.17 ID:tjvlTkr2O
「えっ!!?」
驚いた。そんな素振りは、今朝も全然……
「ごめんなさい、プルミエール。お母様からさっき連絡があったの。簡単な説明はジャックさんにしたけど、要は『シェリル』の件で一度国に戻らないといけないの」
申し訳なさそうにエリザベートが下を向く。確かに、昨日の一件はそれだけ重大なものではあったけど……
「でもちょっと待って??ここからトリスって……歩きだと1ヶ月近くかからない??」
「ああ、それなら私の『バイク』を貸すわ。あれなら3日もあれば大丈夫。アーデンの森だけは通り抜けるのが手間だけど」
「教授が乗ってたアレ、ですよね?そんなに簡単に動かせるものなんですか?」
「あれは運転者の魔力を食って動く『秘宝』。貴女の『番』なら、そう問題ないと思うわ。走行の安定については、機械が勝手にやってくれるから」
「は、はぁ……まさか、それも教授の発明なんですか?」
ウフフ、と教授が笑う。
「さすがに無理よ。教授連に見付からないよう、ずっと隠してたの。運転者の魔力を食うように改良したのは私だけど」
「どこでそんなものを」
「それは内緒。……ただプルミエール、貴女とエリック君だけじゃロックモールに行くのは危ないと思うわ。ということでシェイド、同行してくれる?」
「はいにゃ!!おっぱ……や、何でもないにゃぁ……」
エリックに睨まれたシェイド君がさらに冷汗を流した。……大丈夫なのかな、この子。
「ま、ロックモールから戻ったら性根から鍛え直すからそのつもりでいて頂戴。
……プルミエール、私に訊きたいことは山ほどあるんでしょうけど、それはビクター・ローエングリン卿が起きてからでいいかしら。彼が一緒の方が、話が進みやすいから」
「はい」
時計は朝の9の刻を示そうとしている。モリブスの中心部に行く時間が迫っていた。
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