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隣に住んでる女大生「あの……魚醤作りすぎたんですけど」社会人男「魚醤!?」
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1 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/07/15(水) 23:22:02.26 ID:cTxA3duu0
男「え……魚醤?魚醤て……え?魚醤?」
女「はい!しょっつるとかナンプラーとかいうやつです」
男「……作れるの?」
女「作ってみたんですけどー、ごはん、もう食べちゃいました?」
男「いや、今日は仕事忙しくてまだだけど……」
女「あ、じゃあよければ、どうです?」
男「……え?魚醤なんだよな?」
女「魚醤ですけど?……?」
男「あれっこれ俺がおかしいの?」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1594822921
2 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/07/15(水) 23:22:56.30 ID:cTxA3duu0
男(なんなんだ……隣に美人女子大生が引っ越してきてなんだ俺にも春か遅い春かコノヤローとか思ってたら、魚醤?……魚醤ってなんだよ……)
男(あーそういやこの子が引っ越してきた時――……)
3 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/07/15(水) 23:24:48.38 ID:cTxA3duu0
…………
女『隣に引っ越してきた女です!あのこれ!』スッ
男『ああ、引っ越しそばですか?』
女『いえそばはちょっと打つの難易度高かったんで、代わりにうどんを……』
男『えっなんで?え?いや、打ったの?』
…………
4 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:26:47.98 ID:cTxA3duu0
男(ってことあったなー……あったわー……)
男(変わった子だと思ってたけど、魚醤はなー……)
男「……いや魚醤てなんだよ」ハッ
女「え、魚醤ってのは魚で作った醤油みたいなもので――……」
男「いやそういう事じゃあなくってね」
5 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:27:49.23 ID:cTxA3duu0
女「あ、よければ見てみます?作ったの」
男「……いいの?」
女「はい。今抽出してましてー」
男「え、いや……え、こんなこと言うのもアレなんだけど」
女「?……はい」
男「……入っていいの?その……部屋」
女「?……はい。どうぞー?」
男(……いいんだ。いや別にヘンな気持ちはないけど……いいのか)
6 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:28:34.11 ID:cTxA3duu0
女「どうぞー。散らかってますけどー」ガチャッ
男「(何気に女の子の部屋とか、初めてだな……)お、おじゃまします……」
フワッ……
7 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:29:56.08 ID:cTxA3duu0
男(ああ……これが女の子の部屋……女性特有の、良いニオイが――……良い……よ……)
男「くっっっっっせえええええ!!!」ブフォッ!
女「もー、いきなりクサイっていうのなんて、デリカシーないですよー?」
男「いやクサイわ!!意味わからんくらいクサ……鬼くさい!なんッ……え?築地?築地かここは?」
女「築地て」
男「……築地を百倍に濃縮したニオイがする……!!」オエェ
女「ひっどい言われよう」
8 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:30:46.11 ID:cTxA3duu0
女「今、漬け込んだ魚醤のガラを煮込んでさらに汁を抽出してるんですよー」グツグツ
男「うわあ……この世のものとは思えない地獄のような鍋が煮えてる……」
女「弱火だしすぐ戻るつもりだったから火にかけたまま離れましたけど、実際料理する時は火にかけたまま離れないでくださいね?」
男「いや俺料理せんし……」
女「あとはこれを濾せば出来上がりですねー」
男「濾すのか……この地獄のような鍋を……!」
9 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:31:58.45 ID:cTxA3duu0
男「しかし……マジで魚醤とかどーやって作るんだ?作れるもんなの?」
女「割と簡単ですよ?まず、新鮮なイワシやらイカやらを洗います」
男「はあ」
女「水きって、重さの20〜25%くらいの塩といっしょに、煮沸消毒した瓶にいれます」
男「ほお」
女「置きます」
男「うん」
女「出来ます」
男「うっそやん」
10 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:32:52.38 ID:cTxA3duu0
女「この時瓶のフタをずーっと閉めてると菌が活動出来なくてくさっちゃうんで、普段は開けとくといいですよ」
男「菌?」
女「なんか、魚の表面とか空気中にいる菌とかが頑張るおかげで、腐らずに発酵するらしいんですけど……」
男「ほお」
女「……詳しいメカニズムはあたしあんまりわかってなくって……」
男「おい本当に大丈夫なんだろうな?」
11 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:33:45.78 ID:cTxA3duu0
女「まあーなんにせよ、そうやって一年発酵させたら魚醤になるんすよ」
男「おい適当だな」
女「発酵する時に使ったイワシはアンチョビになるんですけど」
男「はあ」
女「ぶっちゃけ一年発酵させた魚を食う気にはなれないんで……ここに引っ越す前に実家で漬け始めたんですけど、家族にもアンチョビは止められましたし」
男「これ本当マジ大丈夫?リアルに大丈夫??」
12 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:34:38.96 ID:cTxA3duu0
女「なので一年発酵させて、ザルにあげた後のガラをですね。こうやって少量の水と一緒に煮込んで、エキス抽出してまして」
男「エキスを」
女「濾して混ぜて……整ったら完成です」
男「……くさいねえ」
女「まあ魚醤なんで」
男「……で、これを前にして仕事終わりの腹減った俺はどうすればいいんだ」
女「まあまあ、少しお待ち下さいよ」カサゴソ
13 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:36:03.37 ID:cTxA3duu0
男(……魚のガラ食わされるとかじゃあねーだろうな……)
女「まずー、にんにく玉ねぎニンジン、そしてパクチーをみじん切りにします」トントントントン
男「うわっ臭さにパクチーがプラスされた!!」
女「弱火のフライパンにごま油でにんにくをじっくり炒め、香りがついたら中火にして玉ねぎとニンジン、パクチーの茎の部分、ブタひき肉を入れて炒めます」ジャーッ
男(手際いいなぁ)
14 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:37:12.62 ID:cTxA3duu0
女「そこに、ごはんと卵投入」ガポン
男「おお、チャーハンか?」
女「コショウを少々ふって、強火で軽く炒めましたら……」ジャッジャッ
男「パクチーは気になるけど、美味そうじゃん」
女「ふふふ、ここで満を持して、自家製魚醤を垂らします!!」ドパー
男「まじかぁー……」
女「そしてお皿に盛りまして、パクチーの葉の部分をちらしましたら……」
トンッ
15 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:37:55.34 ID:cTxA3duu0
女「『タイかベトナムかそこらへん風!魚醤パクチーチャーハン』の完成です!」
ジャーン
男「……パクチーと魚醤が合わさってすげぇニオイがする……!」タラリ
女「さあさあ、遠慮せずぐいっと」
男「遠慮してるワケではないんだよ」
16 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:38:36.81 ID:cTxA3duu0
女「さあさあほらほら。さっさと食べる食べる」
男「……今さらだけど、なんで急にこんな料理を俺に?」
女「へ?ああ。まあ魚醤が結構大量に出来ちゃった、ってのと……」
男「うん」
女「……しょーじき初めて作るものなので、味とかお腹痛くならないかの感想ほしくて」
男「隣人を毒見役にするのってどうなのかなあ」
17 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:39:15.70 ID:cTxA3duu0
女「食べやすく料理にしましたんで、そこは感謝してほしいです」
男「なんか恩着せがましいなぁ……」
女「べ、べつにアンタのためにチャーハン作った訳じゃないんだからねっ!毒見してほしいだけなんだからねっ!」
男「ツンデレぶってもごまかされねぇよ」
女「……まあ、本当にムリってのなら別に食べなくてもいいんですけど……」シュン
男「あーちょっと待って。待ってね。色々追いついてないのよ。脳が」
女「脳が」
18 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:40:02.70 ID:cTxA3duu0
男(……可愛い女の子の手料理ってのは、男としてテンションは上がる。上がる……んだが、なんで初めて食う異性の手料理がハンバーグとかオムライスとかじゃあなく訳わからんチャーハンなんだよ……てかパクチーと魚醤……ナンプラー?タイかベトナムかどっちなんだよ。ベトナムっぽいけどタイでも両方使うよな?あれ?ニョクマムとかいうのも無かったっけ?すげえ気になってきた……けどそんなこといくら考えても目の前の料理はハンバーグやらオムライスやらには変わらねえんだよなぁ……くそ……)
男「ええい、ナムサン!」
バクッ!
女「おーいったー」
男「……」モグモグモグモグ……
19 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:40:43.91 ID:cTxA3duu0
男「……えっ、美味っ……」ビックリ
女「おーマジですかー。良かったー」
男「……うわ、なんだこれ……味付け、あの魚醤だけだよな?」
女「はい。あとコショウは少し入れましたけど」
男「……鍋に入ってたやつはメチャクチャ臭いんだけど、料理に使うと……濃い魚と、イカの出汁?みたいな味がする……」パクパク
20 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:41:32.87 ID:cTxA3duu0
男「パクチーも正直、切ってる時はカメムシみたいなニオイするけど、食べるとこの独特な風味が……魚醤に合う」モグモグ
女「ほうほう」
男「玉ねぎとひき肉っていうのもいいなあ……全然邪魔にならない感じだけど、この甘味が味をさらに引き立てるっていうか」
女「んー……味の感想は置いといて」
男「ん?」
女「お腹痛くなったりはしませんか?」
男「なんでそんな質問するようなのを人に食わすかなあ」
21 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:42:18.29 ID:cTxA3duu0
男「うまいようまい。ハラも痛くない」
女「ふむー、んじゃああたしも一口」アー
パクッ
女「……ふむふむ、なるほど……」
男「……どうなの?作った人からして味は」
女「意外と塩けが濃いですね。醤油の感覚で使うとしょっぱくなりすぎますか……少し抑えて塩で味整えるのがいいのかなあ。あと味がちょっと散らばっている感じがするから、合わせるような……レモン汁を垂らしたらいいかもしれないですね」
男「めっちゃガチやないか」
22 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:43:32.15 ID:cTxA3duu0
女「たしかレモン汁あったな……これをちょっと垂らして、と」タラーッ
パクッ
女「あー合う合う。やっぱり柑橘系のサッパリしたのが魚醤の濃さとパクチーの香りをつなぎ留めてくれますね」
男「どれどれ……」タラーッ
パクッ
男「……あ、ホントだ。すげえうまい」モグモグ
女「おかわり、どうです?」
男「ああどうも。いただきます」
モグモグモグ……
23 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:44:10.17 ID:cTxA3duu0
カランッ……
男「はー、食った食った。ごちそうさまです」
女「いえいえ。魚醤うまくいって良かったです……あ、飲み物でもどうです?」
男「あー悪いね。ご飯ご馳走になって、お茶まで……」
女「お茶というか、たんぽぽコーヒーですけど」
男「なんて?」
24 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:44:45.51 ID:cTxA3duu0
女「たんぽぽの根っこを洗って乾かした後、すり鉢で細かく砕いて煎ってたものです」サラッ
男「……タッパーの中に砂が入ってるようにしか見えん」
女「コーヒーと同じ感覚でドリップして飲むんです」コポコポ
男「……雑草じゃぁん?たんぽぽって」
女「ま、失礼な。ちゃーんと汚れていない場所のたんぽぽ採ってきてますよ。無農薬の畑の近くに生えてるのとか」
男「そういう事じゃあなくってね」
女「あと葉っぱや茎はおひたしや天ぷらにするとホロ苦くて美味しいですし」
男「食うんだあ……たんぽぽ食うんだあ……」
25 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:45:55.40 ID:cTxA3duu0
女「さ、どうぞ。たんぽぽコーヒーです」サッ
男「うーん……見た目はコーヒーだけど……」オソルオソル
ズッ……
男「……ん!なんていうか……麦茶?」
女「あーやっぱそんな感じしますよね」
男「コゲた麦茶っていうか、カラメルを混ぜた薄いコーヒーというか……しっかりしたコーヒーを求める人ならちょっと物足りないかもしれないけど、これはこれでアリだな」
女「こんな美味しいのがタダなんてお得ですよねえ」
男「……家計、厳しいの?」
女「いえ、別に?けどなんかタダって嬉しくないですか?」
男「まあわかるけど……」
26 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:46:32.72 ID:cTxA3duu0
男「なんかさ……女さん」
女「はい?」
男「家計の問題じゃあなくこーいうの作るって……なんで?って感じなんだけど」
女「あー」
男「俺は料理しないけど、食うだけならコンビニや袋ラーメンで十分だし……料理する人でも、こーいうのはあんまり作らないんじゃ?」
女「なんていうか……アレですよ」
男「どれ?」
27 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:47:24.17 ID:cTxA3duu0
女「…………知的好奇心?」
男「魚の汁や雑草が知的なのかな??」
28 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:47:57.88 ID:cTxA3duu0
女「こう……食べたことないものや、作れないようなのを、食べたり作ったりするの、楽しいじゃあないですか!」
男「んー……んー、そうかな?」
女「それが美味しかったらまた作りたいし、市販で買うより安いなら、なんかテンション上がりません!?」
男「まあ、安くあがるとテンション上がるのはわかる」
女「それに、男さんも、今日……」
29 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:48:24.28 ID:cTxA3duu0
女「おいしくて、楽しかったでしょ?」
男「……まあ、そうだけどさ」
30 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/15(水) 23:48:56.12 ID:cTxA3duu0
女「なので、またお食事誘いますねっ!」ニッコリ
男(……なんかやべーのに巻き込まれた気がする)
…………
31 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/07/15(水) 23:50:11.48 ID:cTxA3duu0
変な女子大生と社会人男の料理話です
一週間に一回くらいを目安にやっていけたらな、と……
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/16(木) 00:03:48.67 ID:QktL+d8go
おつ
きたい
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/16(木) 03:51:27.66 ID:nTTjzmW60
乙
待ってる
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/16(木) 13:16:50.03 ID:yUzvYHcsO
結構好き
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/16(木) 15:27:37.31 ID:Yck3lQ23o
現在進行形で醤作り始めてタイムリーなスレ発見
36 :
◆eUwxvhsdPM
[sage]:2020/07/16(木) 21:42:24.40 ID:aXP8cLpro
>>35
あたま おかしい
37 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 19:55:26.12 ID:ZHsMAMuG0
…………
テクテク……
男「……あー、やっと仕事終わった……昼おにぎりしか食ってねえよ……つかれた……」
テクテク……
男「肉、食いてえなあ……明日から休みだし、肉食いながらビールとか、ハイボールとか……」
テクテク……
38 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:00:28.81 ID:ZHsMAMuG0
男「……たまにはオシャレに、生ハムやクラッカー、オリーブ、チーズなんかが乗った皿を前にして、優雅に赤ワインでも楽しみたい……一人酒してえな……家にサバ缶くらいしかねーけど……」
ドンヨリ……
「おーい!男さーん!」
男「ぅえ?」
39 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:05:11.71 ID:ZHsMAMuG0
タッタッタ……
女「はぁ、はぁ……やっぱり男さんだ。今おかえりですか?」
男「女さん……もしかして同じ電車乗ってた?」
女「いえいえ。あたしはスーパー寄ってたんですよ。大学の帰りに」
男「ああ、近所のエオン系列の?」
女「いえ、そっちではなく、職人スーパーの方です」
男「……それ歩いて20分くらいないか?遠くね?」
40 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:10:59.03 ID:ZHsMAMuG0
女「エオン系列のスーパーは安定した食材や商品が並びますが、尖ったもんがないですからね。ちょっと高いし……それに比べて職人スーパーは、普通はあるはずのものがなくて『えっなんでそんなの置いてるの?』ってものが沢山あって楽しいです」
男「……もしかして、また何か変なの作ろうとしてる?」
女「んまっ、変なのとは失礼な。今回作るのはすさまじくオシャンティなものですよっ」
男「……オシャンティ……」
女「ふふふ、見てくださいよ、これっ!」
ガサッ
41 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:19:43.78 ID:ZHsMAMuG0
バァーン!
男「うおっ、すげぇでかい肉の塊……ブタ肉か?これ」
女「ふっふっふっふーっ。今回はこのブタ肉の塊を使ってですね……」
42 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:24:35.51 ID:ZHsMAMuG0
女「『生ハム』、作ってみようと思いますっ!」
男「……え、作れるもんなの?それ……?」
…………
43 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:28:59.06 ID:ZHsMAMuG0
…………
女「さーて、では作っていきましょうか」
男(……なんで俺は当然のようにこの子の部屋にいるんだろ)
女「まずは……しかし買っといてなんですけど、凄まじく大きいですね、これ」デーン
男「……今さらだけど、生ハムっつーか普通のハムもどうやって作るんだ?ていうかハムとベーコンの違いもよくわからん……」
44 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:40:09.45 ID:ZHsMAMuG0
女「ベーコンってのは豚バラ肉の塊を使っていて、塩漬けしたお肉を燻製にするものですねぇ」
男「ほーう?」
女「対してハムは比較的脂身の少ないお肉を使っていて、燻製以外の方法で仕上げたりしますね」
男「なるほど。茹でたりってことか」
女「そういう感じです」
45 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:44:33.87 ID:ZHsMAMuG0
女「なのでベーコンは脂のおかげで熱してもジューシーですけど、ハムはスカスカになっちゃうことが多いですかね」
男「つまり種類によって食べ方も変わる、と」
女「おおざっぱですけど、まあそうなりますかね」
46 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:50:03.11 ID:ZHsMAMuG0
男「……で、今回の生ハムってのは……」
女「お察しの通り、仕上げの加熱処理を行いません」
男「……生肉かあ……」
女「生ハムですって。立派な料理」
47 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:53:24.62 ID:ZHsMAMuG0
女「作り方も簡単なもんですよ。まずフォークを使って肉に小さな穴を開けまくります」ブスブス
男「……これにはなんの意味が?」
女「肉が大きすぎるんで、このままだと塩が中まで浸透しないんですよ」
男「あー、なるほど」
女「で、穴開け終わったら、コショウとバジルをすり込みます」スリスリ
男「おおー、なんか美味しそうじゃん」
48 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 20:59:09.15 ID:ZHsMAMuG0
女「そこに大量の塩をぶちまけー」ドサー
男「塩分過多で死ぬゥ!」
女「ざっくり言うと、この塩で肉の水分を抜ききることで、肉に潜む雑菌が生きられないようにする訳ですね。生き物が生きるには水が必要ですので」スリスリ
男「いやいやいや……そんだけ塩すり込んだらもうそれ塩の塊じゃん……」
女「最後に軽く塩抜きして、ギリギリ食べられるレベルに仕上げますよー。最初はとにかく肉の水分抜きたいのでこーします」スリスリ
49 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 21:03:43.66 ID:ZHsMAMuG0
女「……ちなみになんですけど」スリスリ
男「はい」
女「ネットで調べると、結構いろんな作り方ありまして……どれが正しいのかは正直よくわかりません」スリスリ
男「……はい?」
女「なので……まあ、自己責任……といいますか……」
男「……自己責任に隣人を巻き込まないでくれないかなあ……」
50 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 21:09:20.76 ID:ZHsMAMuG0
女「ふむ……塩すり込むとそれだけで結構水分出ますね」ボタボタ
男「コショウとバジルたいぶ落ちちゃったな……もったいない」
女「こんなものは気分なんで」
男「気分」
女「カレーにローリエ入れたらなんか美味しくなった気がする、アレです」
男「アレ」
51 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 21:14:05.15 ID:ZHsMAMuG0
女「塩落ちた所にさらに塩をぶっかけましてー」ザラザラ
男「もう真っ白でなにがなんだかわからん」
女「これをバットの網の上乗せて、落ちた水に浸からないようにします」ゴトッ
男「徹底的に水を避けるんだな」
女「天敵ですからね、水は。雑菌繁殖しまくりです」
52 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 21:18:35.18 ID:ZHsMAMuG0
女「あとはこれを一ヶ月ほど冷蔵庫で放置します」
男「一ヶ月!?」
女「はい。外が涼しくて空気乾燥してるなら日陰で干すのがいいんですけどー」
男「そんな長いこと生肉放置したら腐――……あ、腐らせるような雑菌は死ぬんだっけ」
女「ええ。なのでしっかり雑菌を殺すためにも、ハンパな時間より一ヶ月以上放置するのがいいんです」
53 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 21:29:20.51 ID:ZHsMAMuG0
女「毎日様子を見て塩が取れていたらつけ直して、一ヶ月経ったら塩抜き。食べられるくらいに塩分落として、もう一度乾燥させたら完成ですね」
男「長いな……今日明日じゃあ無理なのか」
女「まあ無理ですねぇ」
男「んー……生肉食うのは怖いが、今日生ハムでお酒飲んでみたかったから、残念だな」
54 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/19(日) 21:33:50.97 ID:ZHsMAMuG0
女「ああ、この前作ったベーコンならありますけど、食べます?」
男「そんなのあんのかよ。そっちのがいいよ」
55 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/07/19(日) 21:35:33.16 ID:ZHsMAMuG0
今回はここまでです
このSSで紹介している料理を作ったり食べたりしたとしても一切責任は持ちません
自己責任でオナシャス
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/19(日) 22:34:36.19 ID:s/Fa+kPCo
乙!
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/19(日) 22:38:47.18 ID:SsV7dn+ho
おつおつ
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/19(日) 23:14:56.16 ID:vhOZEesM0
乙
ここ見てたらおなくすいてくるな…
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/20(月) 06:22:26.22 ID:2Xs8Fkz8o
生ハム自作はハードル高いな
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/20(月) 13:24:28.54 ID:qXgTvYR5O
悪魔の燻製講座を思い出したまた動画あげてくれないかなぁ
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/20(月) 13:35:10.49 ID:FOeWvhzmO
桐谷さんちょっそれ食うんすかとも近いものを感じる
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/20(月) 23:17:17.88 ID:lIvFC/1q0
>>1
は魚醤や生ハムを作ったことあるの?
63 :
◆eUwxvhsdPM
[sage]:2020/07/21(火) 00:14:16.32 ID:hWMexzndo
>>62
あります。しかし何故お腹壊さないのかはよくわかってないので自己責任で
基本的には自分の体験を書いていきたいですが、作ったことないのもしれっと書くかもしんないです
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/07/21(火) 00:15:41.49 ID:Ka1A1zjAo
>>1
はJDか尚更期待
65 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 18:28:01.23 ID:GPka43PY0
女「ええと、冷蔵庫に――……あった。これですこれ」
デェン
男「……ちなみにベーコンの作り方は?」
女「基本はそんなに変わらないですよ。これはソミュール液に一週間漬けてから、塩抜きして乾かして燻製にしましたけど」
男「ソミュール液?」
女「濃い塩水にワインやハーブ類、コショウ、にんにくなんかを加えて沸騰させたものです」
66 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 18:33:12.69 ID:GPka43PY0
女「これに漬け込むことで肉の水分を抜いた上で、香りをつけることが出来るんですよ」
男「これも水分完全に抜いて、雑菌を殺すために使うのか?」
女「いえいえ、燻製にするものは水分多いと煙の香りがつかないんで、こうやってざっくり水分を抜くんです」
67 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 18:39:19.65 ID:GPka43PY0
女「なのであまり長い時間塩漬けは出来ないので(腐るから)。一週間という短い時間であげちゃって、塩抜きして仕上げるんですよ」
男「へえー」
女「ベーコンは少しブ厚めに切ってー」
トンッ
68 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 18:43:06.38 ID:GPka43PY0
女「フライパンでざっと焼いてー」
ジュウウ……
女「カラシを添えて、はいどうぞ」
バァーン
男「おおっ!う、うまそう……!」ジュルリ
女「ワインもありますよー。安物ですがー」トクトク……
男「いやあ悪いねえ。……ああ、ワインは市販なんだ」
女「……」ピクッ
69 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 18:47:53.46 ID:GPka43PY0
女「……どういう意味でしょう?男さん?」
男「いや、女さんのことだから、ワインも作っちゃうのかなーと……」
女「酒税法ってあるんですよ。男さん」
男「……なんか聞いたことあるな」
女「簡単にいうと、お家でお酒作ったらダメなんですよ」
男「梅酒は?あれ家で作ってるけど」
女「あれは度数が最初から高いお酒で漬け込んでいるからセーフです」
70 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 18:54:14.20 ID:GPka43PY0
女「例えば梅をミリンなんかに漬け込むと、発酵して度数ガン上がりするので酒税法違反です」
男「へえー……ってか発酵するんだ」
女「梅酒の表面に菌いますからね。そいつが発酵させます。この前魚醤作ったじゃないですか?」
男「うん」
女「あれはタンパク質を分解してアミノ酸に変える菌をうまいこと使っていて、梅の表面には糖分をアルコールに分解する菌がいるんですよ」
男「ほおー、なんかめっちゃ便利だなそれ」
71 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 18:59:29.05 ID:GPka43PY0
女「ほら、パンを作る時に使う、イースト菌ってあるじゃないですか」
男「うん」
女「あれは炭水化物や糖分をアルコールと二酸化炭素に分解するので、生地がふくらんでふっくらパンが出来上がるんですよ」
男「生物の神秘だな……」
女「…………」
男「?……女さん?」
72 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:03:29.03 ID:GPka43PY0
女「それでェ〜〜ですねえ……」
男「……うん」
女「例えば……例えばなんですけど!」
男「え、何?」
女「ここに……ぶどうジュースがあります。果汁100%」
男「……うん」
73 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:10:21.57 ID:GPka43PY0
女「例えば、これにイースト菌を入れると、糖分が分解されてアルコールが出来るので、ワインが出来るわけですよ」
男「……理屈はそうみたいだけど……マジで?」
女「実際のワイン作りとは大きく違いますけどね。で、そんなに簡単にお酒が作れるとなると――……」
男「ああ……普通のお酒売れなくなるわな。だから酒税法ってのがあるわけか」
女「そういうことです」
74 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:13:32.85 ID:GPka43PY0
女「それで……まあ、今まで話したこととは一切全く関係ないのですが」
男「うん」
女「あたしはうっかり……ついうっかり!ジュースのフタを開けたまま、隣で強力粉とイースト菌を混ぜてパンを作ってしまいました」
男「…………うん?」
75 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:21:33.76 ID:GPka43PY0
女「粉は入らなかったと思うんですけどねぇ。もしかしたら……もーしーかーしーたーらー……他のものがガッツリ入った、か も」
男「……」
女「しかもあたしはその後、これを常温で放置してしまいました。菌は暖かい所で活動しやすいのに!!」
男「…………」
女「けどこれを捨てるのはもったいないですよねー。あーもったいないなー。飲んじゃおっかなー!あーあーもったいないしなー!!」
男「……………………」
76 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:28:46.91 ID:GPka43PY0
男「……そ、そうだな!もったいないもったいない!飲んじまおうぜ!うんうん!」
女「じゃあぐいっといってしまいましょうかー!コップ出しますねー!」カチャカチャ
男「…………ダッポー……」ボソリ
女「人聞きの悪い。傷んだジュースを飲むだけですよ」
77 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:30:28.28 ID:GPka43PY0
女「すでに濾してあるので、そのままいってくださいな」トクトクトク……
男「濾す?」
女「日本酒でいう『おり』ってやつです。増えた菌や内容物の塊が沈むんですよ」
男「はあー、そんなのあるんだ?」
女「まああたしはこれを普通に常温で放置していただけなんで、なんでそんなのが出来るのか一切全くわかりませんが」
男「そろそろ無理がある」
78 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:33:32.27 ID:GPka43PY0
男「……見た目は普通だが」
女「自己責任でおねがいしまーす。うんいける」クピクピ
男「躊躇なく飲むなあ……先にベーコンいただいてもいい?」
女「どーぞどーぞ。冷めないうちに」
男「こっちは普通に美味しそうなんだよな……では失礼して」アーン……
パクッ!
79 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:39:01.97 ID:GPka43PY0
男「……うおっ、なんだこれ……美味っ」モグモグ
女「うへへ、照れますねぇ」
男「スーパーで売ってるハーフベーコンなんかとは全然違う……煙の香りと、ハーブやガーリック、コショウの味がガッツリ効いてる」
モグモグ……
80 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:44:17.44 ID:GPka43PY0
男「それに肉の脂が甘味となって……ベーコンっていうかステーキみたいだな。カラシもいいね。これつけて食うと、ハーブもいいけどやっぱ俺日本人だなーって感じするわ……あー美味い」モグモグ
女「今回はベーコンだけ焼きましたが、卵を落としてベーコンエッグや、バンズに挟んでベーコンハンバーガーってのもいいんですよ」
男「普通のベーコンエッグは酒のツマミにならないけど、これだけベーコンの存在感が強かったら十分ツマミになるな。……後で色々作ってもらってもいい?」
女「おまかせくださいなー……ふふっ」
男「ん、どした?」
81 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:49:02.33 ID:GPka43PY0
女「いえ……自分の作った料理を美味しいって言ってもらえると……やっぱり、嬉しいもんですね」テレテレ
男「いやあ、実際美味いもんな。こんなもん初めて食うし。……いいお嫁さんになれるんじゃない?」
女「!……あ、あはは……」
男「……しかし……」
82 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:54:14.18 ID:GPka43PY0
男「やはりこの話の流れだと、最悪ハラ壊しそうなこの謎ワインを飲まなきゃあならんのか」
女「ワインじゃありませーん。大人ジュースです」
男「あくまでしらばっくれるつもりか。……まあ、死にゃあしないだろうし……いただくよ。大人ジュース」
女「どーぞどーぞ」
男「…………」
グイッ
83 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 19:58:49.03 ID:GPka43PY0
男「!……おお、甘くない……ていうか普通にワイ」
女「大人ジュース」
男「……大人ジュースの味がするわ……けどあれだね」
女「はい?」
男「なんていうか……失礼だけど、一瓶500円くらいの味だ」
女「まあそれは仕方ないですね。これウェル○使いましたけど、結構飲みやすくゴクゴクいけるじゃないですか。あれ」
男「……最近ジュース飲んでないからわからん」
84 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:05:03.73 ID:GPka43PY0
女「甘味が抜けると薄っぺらい味になっちゃうんですよねぇ。だからといって重みのある味にしようとお高いジュース使うってのなら、普通に買ったほうがいいですし」
男「難しい所だな……しかしこの大人ジュース、ベーコンがしっかりとした味だからか、さくっと飲めるのが合うっちゃあ合う」ゴクゴク
女「気をつけてくださいね、結構ありますよ。パーセント」
男「みたいだな……5パーは超えてるか。10パーある?」
女「調べる方法がないのでわかんないですけど、たぶん」
男「あなどれねえなあ……元はジュースなのに」
女「今もジュースですって。大人ジュース」
85 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:09:08.31 ID:GPka43PY0
男「……思ったんだけど」
女「はい」
男「糖分があれば大人ジュースになるって事は、極論砂糖水でもオッケー……」
女「可能ですね。香りがないので味は微妙だと思いますが」
男「そうだな、コーラとかサイダーとか普通のジュースなら割ったほうがいい」
86 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:14:05.98 ID:GPka43PY0
男「けど……例えばジャムを水に溶かして作れば」
女「……勘がいいですね」ニヤリ
男「オレンジ大人ジュース、ブルーベリー大人ジュース、いちご大人ジュース……考えるだけで結構楽しいな」
女「前作ったんですけど、ゆず大人ジュースおすすめですよ」
男「なにそれうまそう。今あるの?」
女「あーごめんなさい。今はないのですが……代わりにこーいうの、どうでしょ?」
ドンッ
87 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:19:26.67 ID:GPka43PY0
男「これは……なんか白い?白ぶどう?」
女「いえいえいえ……はちみつ1キロに水2リットル、そこにミント等ハーブを加えて、ついでにドライフルーツをもっさり漬け込み香り付け」
男「ほう?」
女「そしてそれにチョメチョメをした、はちみつ大人ジュースです!」
男「……やべえ、スカイリムで見たことあるやつだ」
女「あたしはクトゥルフ神話で見ました」
88 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:24:46.90 ID:GPka43PY0
女「放置する時間を短めにして少し甘味を残しています」トクトクトク
男「ゲームで見るのを目の前にすると興奮するな」
女「わかります。ゲームとかアニメとかで出てくる美味しそうな料理って、作って食べてみたくなりますよねー」
男「作りはしないけど、食べてみたいね」
女「有名どころで言えば、カリオストロの城のミートボールスパゲッティとか」
男「うんうん」
女「もののけ姫の口移しで食べさせられる木の皮みたいなジャーキーとか」
男「それは食べたくない」
89 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:31:02.43 ID:GPka43PY0
男「とりあえず、一口……」
ゴクッ
男「お、ちょっと甘いな……あーいい香りがする……ミントか、これ」
女「おいしー」ゴクゴク
男「スッキリした白ワインって感じだな。そこにほのかに残る甘みと風味……料理には合わせづらいかもしれないけど、食前や食後に楽しむのもいいな」
女「うふ、うふふふふ、おいしー!」ドボドボ
男「……女さん、飲み過ぎじゃない?」
90 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:34:15.44 ID:GPka43PY0
女「あたしが作ったものなんでいーんですよーだ」ゴクゴク
男「まあそれもそうだけど……」
女「どんどんおつまみ出しちゃいましょー!ベーコンと一緒に作った、燻製たまごに燻製チーズ、燻製しょうゆもありますよー!」
男「最後のはただの調味料だ」
91 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:39:05.51 ID:GPka43PY0
女「うへ、うへへへ……ねえねえねえねえ、男さん?」
男「ん、何?」
女「うへへ、呼んでみただけー♡」
男「……女さん酒好きみたいだけど、強くねえな?」
女「うふふふふー、ナイショー♡」
男(あ、これ面倒くさい酔い方するやつだ)
…………
92 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:43:41.67 ID:GPka43PY0
…………
数時間後――……
女「――……でね!きょーじゅがね!『石川啄木すげえ!』っていうからぁー!……あのひとのがすごいよーって!」
男「はあ……誰です?」
女「……ぷーちんさん」
男「……なぜプーチン……」
女「なまえ……すごい」
男「……そ、そうすか……」
93 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:49:13.70 ID:GPka43PY0
女「あはははは!あーたのしー!」バタバタ
男(やべえ疲れる)
女「ははは……あーあ。……ねえ、おとこさーん」
男「はい、なんすか?」
94 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:53:22.12 ID:GPka43PY0
女「……きいてますかー!?おーとーこーさーん!!」グイグイ
男「聞いてる聞いてる、痛いから腕引っ張らないで」
女「あのねえ!あたしねえ!」グイグイ
男「声でけえなマジで。なんなんだホント」
95 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:55:08.48 ID:GPka43PY0
女「あたし……またこーやって、飲んで遊びたいなぁ……」
男「……」
96 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 20:59:17.83 ID:GPka43PY0
女「……」
男「……あー」
女「……」
97 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 21:03:30.66 ID:GPka43PY0
男「…………俺が相手でよかったら……喜んで」
女「……」
男「…………女さん?」
98 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/07/22(水) 21:05:14.51 ID:GPka43PY0
女「……くかー……すぴー……」zzz……
男「……不用心すぎんだよなあ……くそ……」
…………
99 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/07/22(水) 21:06:41.00 ID:GPka43PY0
今回はここまでです
このお話はフィクションです
作中で行われている行動を行ったとしても一切責任もちませんし、神に誓って私は作中の行動を行っておりません
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