二宮飛鳥「異能バトル」

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45 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/16(木) 12:39:30.85 ID:+2wmz9r5O

飛鳥「……それで、ボクとは戦わないのかい…?」

早苗「正々堂々ならともかく、そんなボロボロの状態の飛鳥ちゃんと3対1で戦うなんて、それこそギルティよ」

裕子「ムムッ!これは!…あっちの方から眼鏡を無理やりかけさせている気配がします!」ダッ!

雫「あ、ユッコちゃ〜ん!…早苗さ〜ん!行きましょう〜」

早苗「飛鳥ちゃん…悪の道には落ちないようにね。もし悪に染まってしまったら…私達が相手になるわ」

早苗「それか、私達が全ての悪を征した後に、正々堂々戦いましょう? じゃあね!」

裕子「早く!こっちですよ!」

雫「も〜ユッコちゃ〜ん、はやすぎですよ〜」

早苗「ほら!走るわよー!」

雫「早苗さんまで〜」

飛鳥「………………」

飛鳥「ありがとう…」
46 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/16(木) 12:42:30.34 ID:+2wmz9r5O

ナレーション『明日は明日の風が吹く!明日は明日の悪人がいる!』

飛鳥「ありがとぉーー!!」

ナレーション『しかし!忘れてはいけない!この気持ちを!この言葉を!!』

ナレーション『セクシーをもって悪を征する!セクシーギルティの戦いはまだまだ続く!』

ナレーション『頑張れ!セクシーギルティ!負けるな!!セクシー!ギルティ!!』

♪<Let's go! セクシー過ぎてゴメンネ★

♪<脳天直撃ドバババーン!  (以下、モーレツ★世直しギルティ カラオケver.)



       -出演-

      二宮 飛鳥

      橘  ありす

   諸星 きらり    宮本 フレデリカ

   的場 梨沙     結城 晴

   神崎 蘭子     鷺沢 文香


佐藤 心   佐久間 まゆ  森久保 乃々
星  輝子   早坂 美玲   双葉 杏
本田 未央   日野 茜    高森 藍子
片桐 早苗   堀  裕子   及川 雫
関  裕美   中野 有香   脇山 珠美
向井 拓海   木村 夏樹   松永 涼
多田 李衣菜  前川 みく   上条 春菜
浜口 あやめ  池袋 晶葉


       -声の出演-

      ナレーション:???


       -出典-

 川端康成
   『雪景色』

 芥川龍之介
   『藪の中』
   
 J?K?ローリング
   『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
   『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
   『ハリー・ポッターと死の秘宝』

 山田悠介
   『リアル鬼ごっこ』

 新美南吉
   『ごんぎつね』

 宮西達也
   『おまえうまそうだな』

 太宰治
   『駆け込み訴え』

 森見登美彦
   『有頂天家族』

 宮沢賢治
   『やまなし』

       〜fin〜
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/17(金) 03:41:18.11 ID:myYiKYYbo
おつ
能力ものは制限をどうするかが面白いな、他のも見たくなった
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/17(金) 06:11:52.52 ID:qjntpnoF0
セクギルの能力による偽EDかと思ってたけどこれここで普通に終わり?
49 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:04:59.44 ID:InFlWJwRO

ヒュウウゥゥゥ……




飛鳥「セクシー…ギルティー……」

飛鳥「…………」

ありす「飛鳥さん!飛鳥さん!まだ終わりじゃないです!終わってないですよ!」

飛鳥「………ハッ!……ボクは一体何を」
50 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:05:47.09 ID:InFlWJwRO

ありす「飛鳥さん、大丈夫ですか?……その、色々な意味で…」

飛鳥「あ、あぁ。大丈夫だ、多分…大丈夫だと信じたい」

ありす「飛鳥さん……」

飛鳥「あの三人が現れたあたりから体がいうことを聞かず、勝手に動いていた…」

ありす「色んな意味で恐ろしい人達でしたね。春菜さんが連れられた方向とは真逆の方に行きましたけど大丈夫なんでしょうか」

飛鳥「…さっきのアレを見てしまうと、心配なんてするだけ無駄なように感じてしまうね…」

ありす「そうですね…」
51 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:06:25.12 ID:InFlWJwRO

飛鳥「………………」

ありす「………………」

飛鳥「…………ん?ありす?」

ありす「はい」

飛鳥「ありす??君無事だったのかい??どうやって逃げれたんだ??杏にもあの三人にも気付かれてなかったみたいだし一体どんな手を使ったんだ??」

ありす「え、あ、い、いや、一度にいっぱい聞かれても困ります!一旦落ち着いてください!私は無事です!」

飛鳥「そ、そうか…ならよかった」

ありす「まずは路地裏かどこか行きませんか?ここじゃ目立ちます」

飛鳥「…あぁ、そうだな。 …とりあえずさっき向かおうとしていた道へ行こう」

ありす「分かりました」
52 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:08:22.01 ID:InFlWJwRO

ありす「…?このドアは、飲食店の裏口でしょうか」

飛鳥「建物内なら見つかる可能性も低いか…すまないが、スタミナと守コストが回復するまでそこで休もう」

ありす「わかりました。 ……あれ?」

飛鳥「ありす?」

ありす「……これ」


〔システムメッセージ:建物内には入れません〕


飛鳥「…なるほど」

ありす「どうしますか?」

飛鳥「仕方ない、ここで休もう。ボクのラジオとありすのタブレットがあれば、上から来ない限りは不覚を取らないハズさ」

ありす「上にも注意しないとなんですね…」
53 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:09:55.09 ID:InFlWJwRO

飛鳥「さて、ありす。無事でよかったが、一体何があったんだ?教えてくれるかい?」

ありす「はい。まずどうやって逃げたか。ですが、私は《小さな妖精》という小さくなれるスキルがあるんです。使える回数に限りがありますが」

飛鳥「小さくなる…それで避けたのか」

ありす「はい。イチかバチかでしたけど、なんとかなってよかったです。そのあとは杏さんに気付かれてなかったので飛鳥さんに情報を渡して弱点を突いてもらおうかと」

飛鳥「あの時はラジオの設定が50m近くだったけど、小さくなった状態であんなに早く移動できるのか…すごいな」

ありす「あ、それは《賢者の翼》という、空を飛べるようになるスキルのお陰で早く移動できたんです。あとはタブレットで飛鳥さんとの距離をはかって、ラジオのチューニングされている所に行けば」

飛鳥「ボクに弱点を教えられる…」

ありす「はい。私の唯一の攻撃スキルは4回しか使えないので、攻撃を飛鳥さんに全て任せてしまい…それで……」

飛鳥「いいよ。過ぎたことさ…………しかしありすの攻撃スキルは4回だけなのか…」

ありす「はい。水や炎を出したり操ったりできます。他にも風とか電気とか、色々できるようになります。…5分間だけですけど」

飛鳥「水を操る……ふむ……」
54 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:10:25.60 ID:InFlWJwRO

ブォンブォンブォンブォン!!ブオオオォォォン!!!


ありす「!」

飛鳥「バイクか??」
55 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:12:42.11 ID:InFlWJwRO

拓海「うおおおおお!!!夏樹と涼の仇ぃいいいい!!」

ブオオオォォォン!!




ありす「大通りをバイクがすごいスピードで走っていきました…」

飛鳥「目的は路地裏にいるボク達ではないみたいだな…」

ありす「飛鳥さん!ラジオで何か分かりませんか??」

飛鳥「探ってみる!」カチャカチャ

ラジオ『うっ………はぁ……はぁ……これで…………三杯目……終わりました……』

ありす「春菜さんの声です」

飛鳥「すごく苦しそうだ…三杯とは一体…?」
56 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:14:35.85 ID:InFlWJwRO

ラジオ『すごいです春菜さん!それでは、はい!四杯目です!』

ラジオ『うっぷ……もう…………許して……』

ラジオ『むむっ??あっちからたくみんがバイクでやってくるよ!』

ラジオ『ゆるふわさせとく?』

ラジオ『うーん…バイクはゆっくりにならないから危ないかも。あーちゃんは今目が見えないし』

ラジオ『でも先輩いるから大丈夫かなって』

ラジオ『私の全力トライでバイクなんて吹き飛ばします!』


飛鳥「…あの時も言っていたけど、先輩ってのは一体誰なんだ…?」

ありす「…!そういえば《スパイスパラダイス》を検索してませんでした!」

57 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:17:07.21 ID:InFlWJwRO

ラジオ『拓海……逃げろって言ったのに…』

ラジオ『アタシと涼の仇だとよ…愛されてるな』

ラジオ『仇って言っても、まだリタイアになっちゃいないけどな』

ラジオ『ハハッ!確かにその通りだ。まぁ時間の問題だけどな』


ありす「検索結果でました!……《スパイスパラダイス》ユニットスキル(ポジティブパッション)。カレーメシ先輩を呼び出し、捕獲した者をテントとパイプ椅子と長机で作った会場に連れて行く。そしてカレーメシを20杯食べさせる。20杯食べ切るまで会場から外に出れず、スキルも使えない。食べる手が止まったら無理矢理食べさせる。食べきれなくなった場合はリタイアとなる…………これは……」

飛鳥「これは……相当……」
58 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/17(金) 20:25:54.51 ID:InFlWJwRO
今気付いたけど、「 !! 」と「 !? 」を認識されなくて「 ?? 」になってますね。

ごめんなさい
59 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:23:15.68 ID:/Z01fQpj0

ラジオ『うっ……こんなやられかたは流石にロックじゃないって私でも分かるよ…』

ラジオ『夏樹チャンも同じ死因になりそうだからそれで我慢するにゃ……うぷっ…』

ラジオ『…みくちゃん』

ラジオ『何にゃ』

ラジオ『……毛玉?』

ラジオ『出るかぁ!みくは猫チャンアイドルであって猫そのものではないにゃ!………………?っぷ』

ラジオ『わぁああ!みくちゃん耐えて!せめてあっち向いて!』

ラジオ『フーッ!フーッ!』
60 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:24:34.10 ID:/Z01fQpj0

飛鳥「沢山捕まってるな……」

ありす「まるで地獄ですね…」


ラジオ『たくみんが来たよ!お願いあーちゃん!』

ラジオ『はい!《ゆるふわ空間》〜』

ラジオ『茜ちん!』

ラジオ『全力!トラアァイ!!』


飛鳥「ありす!全力トライ、検索!」

ありす「はい!検索結果……なし?」

飛鳥「……え?」
61 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:25:33.53 ID:/Z01fQpj0

ラジオ『ガシャガシャア!!』

ラジオ『ズザザァ…』

ラジオ『うわぁ危ない!茜ちん!自信満々に吹き飛ばすって言ったんだから吹き飛ばしてよ!』


飛鳥「つまり…」

ありす「スキルじゃなく、ただの掛け声みたいですね」


ラジオ『ごめんなさい!思いのほかバイクが早くて当たりませんでした!』

62 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:26:59.72 ID:/Z01fQpj0

ラジオ『な、なつきちーーー!!なつきちが!なつきちが!!』

ラジオ『夏樹……バイクが…』

ラジオ『……騒ぐなよだりー。傷口に響く……』

ラジオ『だって…なつきち…なつきち……!』

ラジオ『まぁ、あのまま食べ過ぎでリタイアよりはまだ…カッコ悪くない……かな…………ありがとな……拓海』

ラジオ『夏樹チャン…………』

ラジオ『なつきち!なつきち!』

ラジオ『…先に……行ってるぜ…………』

ラジオ『…………………………』

ラジオ『……なつきち?…………なつきち!』

ラジオ『なつきちーーーーーー!!!!!』

ラジオ『あれあれー?みんな、食べる手が止まってるよー?』


飛鳥「鬼畜か」

ありす「鬼畜ですか」
63 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:28:01.31 ID:/Z01fQpj0

ラジオ『鬼!悪魔!ポジティブパッション!』

ラジオ『やだなぁ、間違えてるよ、私は鬼でも悪魔でもなくシンデレラガールだよ?』

ラジオ『みくたちはこれに負けたのかっ……!』

ラジオ『はい、みくにゃん。あーん』

ラジオ『や、やめるにゃ…!いやにゃあ!もう限界にゃ!』

ラジオ『口を開いたね!えいっ』

ラジオ『にゃむ?ん〜!…ング……グ……はぁ…はぁ…』

ラジオ『はいみくにゃん、あーん』

ラジオ『ング!ん!ん〜〜〜!……』

ラジオ『はいみくにゃん。あーん』

ラジオ『あーん。あーん。あーん。あーん。あーん。あーん。あーん』


ありす「ひ、ひどすぎます……」

飛鳥「これが…8代目シンデレラガールのやることか……!」

64 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:29:19.65 ID:/Z01fQpj0

ラジオ『フーッ!…フーッ!……うっ……ッ……』

ラジオ『みくにゃん』

ラジオ『フーッ!……フーッ!……』

ラジオ『……毛玉?』

ラジオ『んなわけ……うッ!お…………』

ラジオ『よし!みくにゃん撃破完了!』

ラジオ『未央ちゃん!拓海さんを連れてきました!』

ラジオ『畜生離しやがれ!クソッ!…ん?…夏樹は…?』

ラジオ『夏樹は…逝ったよ……お前のバイクにやられてな』

ラジオ『な…?? ……う、嘘…だろ?』

ラジオ『いや、本当だ…』

ラジオ『そんな…助けに来たつもりが……畜生…畜生!』

ラジオ『泣くな拓海。夏樹はな、最後にお前にありがとうって言ったんだぜ』

ラジオ『え…?』

ラジオ『このままカレーメシにやられるよりもカッコ良い死に様にしてくれた…ってな』

ラジオ『夏樹……すまねぇ……!夏樹…』

ラジオ『だから泣くなって……鬼の特攻隊長じゃないのかもがが』

ラジオ『涼さん!手が止まってますよ!はい、あーん!!』

ラジオ『はいはーい、たくみんの分のカレーメシも沢山あるからね!』

飛鳥「鬼か」

ありす「せめて空気を読んであげて…」

65 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:30:36.90 ID:/Z01fQpj0

飛鳥「…ありす、このままじゃいけない。あのスキルは危険すぎる」

ありす「はい。このままではカレーメシ被害者の会が結成される可能性もありますね」

飛鳥「あぁ。これ以上カレーメシのキャンペーンガールにネガキャンをさせるワケにはいかない」

ありす「私も同じ気持ちです」

飛鳥「だから、あの三人を倒そう!ありす」

ありす「はい!」

飛鳥「と言ってもボク達が正面から行っても勝てない。まずは情報の整理からだ」

ありす「敵を知り、己を知れば百戦危うからず。ですね」

飛鳥「あぁ、そうだ。まず敵の状況として分かっているのは《スパイスパラダイス》と《ゆるふわ空間》」

ありす「あと藍子さんが視界不良ということです」

飛鳥「そうだ。……ありす、ユニットスキルと《碧落のリベレイター》について調べてほしい」

ありす「ユニットスキル…ですか?」

飛鳥「あぁ、発動する時にこう言っていたんだ。『ユニットスキル《スパイスパラダイス》』と」

ありす「なるほど…」

飛鳥「なんとなく予想は出来るが正確な情報が欲しい」

66 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:32:17.30 ID:/Z01fQpj0

ありす「分かりました。ユニットスキル…検索」

ありす「ユニットスキル…ニュージェネレーション、アインフェリア、*(Asterisk)等の特定の人物が集まった時に使えるスキル。とても強い。発動にはユニット全員の同意が必要で、1人でもリタイアしたら強制的に解除される」

飛鳥「全員倒す必要がないのはありがたいな」

ありす「《碧落のリベレイター》…手に電気を纏う。右手左手の切り替えが可能だが、両手は不可能。金属や水などの電気を通しやすいものには通電する。射程がとても短い」

飛鳥「通電する……これはいいことを聞いた」

ありす「これって飛鳥さんのスキルですよね」

飛鳥「あぁ。ボクの唯一の攻撃スキルだ」

ありす「射程が、とても短い……」

飛鳥「あぁ。だからこれからは通電するものを介して攻撃していこうかと思ってる。…ありす、カメラで大通りの様子を伺えるかい?」

ありす「はい、分かりました」

飛鳥「金属の棒とかがあれば理想的なんだが…」

ありす「金属の棒は…なさそうです……えっ?」

飛鳥「どうした、ありす」

ありす「カレーメシを食べさせられるあの会場に……」

飛鳥「何か使えそうなものがあったのか??」

ありす「カレーメシ以外のものが見当たらない…です」

飛鳥「……えっ…と…?……つまり…どういう………?」

ありす「あそこの人達…カレーメシ以外のものを口にできない状況なんです。水分を含めて」

飛鳥「なっ…!そんな……むごい」

67 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:32:52.14 ID:/Z01fQpj0

ありす「一刻も早く終わらせないといけません!あの地獄を!」

飛鳥「あぁ、同感だ…だがボク達はしっかり作戦を立てないと逆にやられるのは目に見えてる…」

ありす「はい。まずは作戦会議ですね」

飛鳥「あぁ。1つ作戦を考えたんだが聞いて欲しい」

68 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:33:18.74 ID:/Z01fQpj0

???「その作戦、まゆも聞いてもいいですかぁ?」

ありす「!?」

飛鳥「!?」

69 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:34:34.75 ID:/Z01fQpj0

ありす「ま、まゆさん…」

まゆ「はぁい、まゆですよぉ」

飛鳥「いつのまに……」

まゆ「いまですよぉ?」

飛鳥「一体どうやって…」

まゆ「それは、秘密です」

飛鳥(杏のこともあったし警戒はしていた!上にも異常はなかった…!しかも逃げ道を塞がれた…!これではポジティブパッションに見つかる方の道にしか移動できない!)

70 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:36:42.45 ID:/Z01fQpj0

まゆ「《まゆの繭》」シュルルルルル!!

ありす「リボンが!」

飛鳥「くっ…!《碧落のリベレイター》」バチバチバチ

飛鳥「ありす!ボクの後ろに!」

ありす「は、はい!」

シュルルルル!!バチィッ バチッバチィッ!

飛鳥(攻撃にしては動きが変だ…拘束か…?それでも…凌ぐので精一杯だ…!後ろには下がれないし…!)

まゆ「防戦一方じゃまゆは倒せませんよぉ?」

飛鳥「くっ!…こうなったらイチかバチか…ありす!逃げるぞ!」

ありす「えっ!?でも…」

飛鳥「ボクに考えがある!だから!」ダッ

ありす「わ、分かりました!」ダッ

まゆ「うふふふふ」シュルルルルル!!

飛鳥「くっ!」バチバチ!

飛鳥(迷わず追ってきた…!ここの通りの状況を知らないのか…それとも知ってて追ってくるのか…)

ラジオ『おや?未央ちゃん!路地から人が出てきましたよ!三人です!』

まゆ「!」

71 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:38:57.23 ID:/Z01fQpj0

ラジオ『お!また新たな試食者が!…って戦ってるみたいだね』

ラジオ『三人同時なんて大丈夫かなぁ…?』

ラジオ『ん〜…飛鳥ちゃんがありすちゃんを守ってるみたいですね!絶好のチャンスです!』

ラジオ『よーし!2人とも配置について!それじゃあ先輩!行っちゃってください!』


まゆ「へぇ……」

ありす「見つかったみたいです!先輩がこっちに走ってきます!」

飛鳥「あぁ!承知の上だ!」

まゆ「……さて、飛鳥ちゃん、ありすちゃん。共闘のお誘いです」

飛鳥「何…?」

まゆ「まゆもあのスキルの厄介さは知ってます。だからまゆも一緒に戦いましょうか?」

ありす「え……急になにを…?」

飛鳥「……見返りは、なんだい」

まゆ「あら。流石飛鳥ちゃん、鋭いですねぇ…」

飛鳥(ポジティブパッションに見つけさせてからの共闘…絶対裏があるハズだ)

まゆ「見返りはあなた方の情報収集の方法、です」

ありす「…………方法、ですか…?」

まゆ「はい♪」

飛鳥(それは、言わばボク達の生命線。一番対策されたくないものだ…)

ありす「えっと…それはですね」

飛鳥「ありす!!」

ありす「は、はい!…えっ?」

飛鳥「……ボク達がどうやって情報を集めているか、だったね」

まゆ「はい。そうですよぉ?」

飛鳥「ボクのスキルは人の会話を聞ける。距離は分かるが方向が分からない。話さずに近づかれると気付けない」

まゆ「つまり盗聴ですかぁ…さっき未央ちゃん達の声が聞こえた気がしたのも」

飛鳥「ボクのスキルだ」

まゆ「なるほど……それで、ありすちゃんは?」

飛鳥「地図アプリとカメラだ」

まゆ「カメラ……だから路地の角からタブレットを少しだけ出していたんですね」

飛鳥「(そこも見られていたか…)実際に顔を出して覗くより、よほど気付かれにくいからね」

まゆ「……なるほどぉ…参考になります」

飛鳥「これで満足かい?」

まゆ「でも、ありすちゃんはそれだけじゃないですよねぇ…?」

ありす「!」

72 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:43:04.87 ID:/Z01fQpj0

まゆ「それだけだったらありすちゃんのスキルの説明を、ありすちゃんを遮ってまで飛鳥ちゃんがしたことが不自然すぎますし」

飛鳥「………………」

飛鳥(歩けば頭の中に地図は出来ていく。角から顔を出しても見つからなければカメラを使わなくても一緒だ……つまりその『リスクを軽減できる』という情報なら渡してもまだ大丈夫だ。しかしこちらが能力を知れることだけはバレたらまずい……弱点を突いてくると分かってる敵は厄介だからな……!)

ありす「あ、飛鳥さん……」

飛鳥(どうする…?あれだけで満足してくれ……!)

まゆ「……言う気はなさそうですね。まぁいいです、そろそろ時間切れのようですし」

ありす「…!飛鳥さん!先輩が!」

飛鳥「そうだった!」

73 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:43:53.42 ID:/Z01fQpj0

まゆ「盗聴とその距離。地図とカメラ…そして更に言いたくない情報収集スキルをありすちゃんが持っている……うふふ。結構いい情報を貰いました」

飛鳥「じゃあ共闘してくれるかい?」

まゆ「いいですよぉ♪…ただし、まゆはここから15m以上は動きませんよぉ、そして危なくなったら何も言わずに逃げちゃいます♪あとは飛鳥ちゃんの指示に従いますね」

飛鳥「……じゃあ、カレーメシ先輩を引きつけておいてくれるかい?出来れば10分以上」

ありす「えっ…!でも先輩ってあのCMと同じ身体能力ですよね……?一人で大丈夫なんでしょうか」

まゆ「余裕ですよぉ♪じゃあまゆはカレーメシ先輩を足止めしますねぇ」

飛鳥「来るぞ!」

ありす「カレーメシ先輩だけなのがまだ救いですね…!」

飛鳥「じゃあまゆさん。頼んだよ」

まゆ「はぁい♪ 《まゆの繭》」シュルルルルル!!


シュルルルルル!! グルグルグルグル……


ありす「カレーメシ先輩が…あっという間に」

飛鳥(やはり拘束スキルだったか…)

まゆ「さ、これでまゆの仕事は済みましたよぉ…10分。でしたよねぇ…飛鳥ちゃん、ありすちゃん、あとは頑張って下さいね」

飛鳥「……あぁ。分かっているさ…行くよ!ありす!」ダッ!

ありす「は、はい!」ダッ!

74 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:46:49.57 ID:/Z01fQpj0

飛鳥「ありす。まゆさんとの距離を教えてくれ」

ありす「え?まゆさんとの?」

飛鳥「あぁ。まゆさんにラジオのチューニングを合わせる」

ありす「…?なんでですか?」

飛鳥「危なくなったらすぐに逃げるって言っていた…つまりすぐに逃げるための手段があるハズだ。まゆさんのスキルか、まゆさんのスキルじゃないかくらいはこちらも情報がほしい」

ありす「なるほど、分かりました……さっきの位置からは今30mくらいです」

飛鳥「30m…」カチャカチャ


ラジオ『………………』


ありす「内側のカメラを起動して…まゆさんはまだいますね。こっちをみています」


ラジオ『なるほどぉ…肩越しに……カメラはそんな使い方もできるんですね。知らなかったら今まゆの姿を確認したって気付きませんでしたよぉ』


ありす「…!」サッ!


ラジオ『うふふふ。慌ててタブレットを隠したということは…まゆの声も聞こえてるみたいですねぇ…』


飛鳥「予想はしていたが、まったく…手強いな…!」

ありす「バ、バレてる……!」

75 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:47:39.17 ID:/Z01fQpj0

茜「ボンバーーー!!うおおおおおーー!!」ダダダダダダ!!!

ありす「茜さんも来てます!まゆさんは」

飛鳥「ありす!ポジティブパッションの方に集中だ!」

ありす「でも作戦だってないのにどうするんですか??」

飛鳥「フッ…ありす、君は水を操れるんだろう?」

ありす「は、はい!」

飛鳥「なら存分に操って暴れてみせろ!」

ありす「ええ!?」

飛鳥「その水は!ボクが創(つく)る!」

飛鳥(これから創り出すのは楽園なんてものじゃない。いうならば、地獄を壊すための別の地獄というところか…本当に皮肉な名前だよ……)

飛鳥「いくぞ!全てを呑み込め!《楽園-エデン-の入り口》」

76 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:49:58.30 ID:/Z01fQpj0


ザアアアァァァァァァア


ありす「きゃっ?? ……ぷはっ…地面が水に…!?」

飛鳥「正確には、海水さ」

茜「うおおおおーーー!!」ダダダダザバババ!!

茜「あれ?走り過ぎていつのまにか海まで来ちゃいました!!ならば!うおおおおお!!!全力!トラーーイ!!」

茜「アスロン!!」ザバザバ!!

ありす「泳いで来ます!」

飛鳥「全力トライアスロンは初めて聞いたな…」


ラジオ『これは水…いや、海水ですかぁ…………ん?これは…まずいですね……《恋愛シンドローム》』


飛鳥「逃げるためのスキルはまゆさんの《恋愛シンドローム》か…」

飛鳥「っと、ありす!ボーっとしている暇はないぞ!」

ありす「え?」

飛鳥「水は創(つく)った!あとは」

ありす「…!私が水を操る!」

飛鳥「あぁ!ボクを中心に渦潮を作ってくれ!くれぐれもボクを攻撃しないでくれよ!」

ありす「分かりました!いきます!《ひかりの創り手》」

飛鳥「渦潮ができたらありすは感電しないように水に触らないでくれ!」

ありす「分かりました!……飛鳥さんを中心に渦潮を…!」

77 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:50:48.47 ID:/Z01fQpj0

ゴオオオオ!!ザバァッ!ザアアァァァ!!


飛鳥「え?……わっぷ!あ、ありす!うわ!……わああぁぁぁ!」

ありす「飛鳥さんを道の中心に……そして水をグルグル回して……藍子さんは飛鳥さんに近づけないように……!」


ザバァッ!ザァァァザザザザァァァァ!!


未央「う、うわあぁぁぁ!」

藍子「な、何が起こってるのぉぉぉ」

茜「うおおおおぉぉぉぉぉ!!水になんて負けません!!《全力熱血》!!!うおおおおおおおお!!」ジュウウウウ!!

ありす「茜さんの周りの水が蒸発してる…!まずい!」

拓海「す、水分だ!カレーメシの塩分で喉カラカラだったんだ!!ああああ!!!塩水だこれぇぇ!!」ガバガバブクブクブクブク……

李衣菜「あぁ……もうカレーメシ以外のものならなんでもいいやー…」

未央「カレーメシ地獄はたくみんのキャラも壊すのか…恐るべしカレーメシ!」

飛鳥「……よし、いい感じに集まってきた……あとは全てを一掃する!」

飛鳥(攻コストを全て使う!威力増強!)

飛鳥「……知ってるかい?塩水はただの水より電気をよく通すのさ……さぁ!紫電よ!新たな地獄を作り出せ!!《碧落のリベレイター》」

78 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/18(土) 06:51:45.91 ID:/Z01fQpj0

ザバァ!バチバチバチ!!ゴオオオオ!!バリバリバリバリ!!


藍子「きゃぁあああああ!!!」

未央「あばばばばばばは!!!」

茜「うおおぉぉばばばばあああぉぉおお!!」

ありす「荒れる海に紫の電撃…これが私と飛鳥さんの力……すごい……かっこいい」

ありす「……この様子だと、もしものために確保しておいた水は必要なさそうですね。…しかし我ながらいいアイデアですね、水を浮かせてその水に浮くことで空に浮かぶことができるなんて。しかもこの水、学校のプールの水より浮きやすいような…?……でも、これなら飛鳥さんも一緒に宙に浮くことができます」

ありす「このスキルさえあれば最早私と飛鳥さんは無敵のコンビですね!…まぁ私は《ひかりの創り手》をあと2回しか使えないんですけどね」



ダァン!



ありす「………………………………………え?」

79 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 07:01:41.34 ID:At0g/vNn0

ありす「………………あ、あああ!!?っ……くっぅぅぅぅ!」

ありす「うし…ろぉ…!」


ザッパァァ!!


ありす「誰もいない…!あるのはまゆさんの《まゆの繭》だけ……一体どこから…?」
80 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 07:04:54.99 ID:ckxTREjwO

ありす「飛鳥さんは…!?まだ無事みたい……飛鳥さん!!他にも敵がいます!攻撃されました!!」


ダァン!


ありす「ぐっ…うううぅぅぅ……」

ありす「やあぁぁ!!」


ザッパァァ!!


ありす「さっきの津波で倒せてない…?だったら多分今の津波でも……とりあえず身を隠さないと…!」
81 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 07:07:08.94 ID:ckxTREjwO

ザァァァァァァ…………


ありす「はぁ…はぁ……海水が…引いていく…もう足がつくくらいに……」

飛鳥「ありす!大丈夫か!?」ジャブジャブ

ありす「は、はい…なんとか……飛鳥さんは大丈夫でしたか…?」

飛鳥「ボクは大丈夫だ、ありすのおかげでなんの問題もなかったよ」

ありす「それは…よかったです…」

飛鳥「どんな攻撃をされたかは分かるかい?」

ありす「いえ…後ろから衝撃が来たので後ろ…《まゆの繭》のある方向からの攻撃だってことくらいしか…あと私の起こした津波が効いていないみたいです」

飛鳥「そうか…他に何か特徴は…音とか」

ありす「音……波の音で聞きづらかったですけど…何か音がしたような気はします……」

飛鳥「どんな音かは思い出せるかい?」

ありす「あの………爆発…とは違うんですけど、なんていうか……大きな鉄板を落としたような……?」

飛鳥「鉄板を落としたような音…?」

ありす「あ、アレです!あの…前、地方の果樹園にロケに行った時に鳥を驚かせるために大きな音を出す煙突みたいなのがあったんです」

飛鳥「鳥避け……」

ありす「それの音に似てたような気が……」

飛鳥「………もしかして……銃声…か……?」

ありす「銃…!」

飛鳥「遠距離で音が鳴る。そしてこのゲーム内なら銃を持っていても不思議じゃない人もいる。具体的には……ガンマンや猟師あたりか」
82 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 07:08:30.82 ID:ckxTREjwO

ありす「ガンマン…猟師……」

飛鳥「まだ銃と決まったワケではないけどね」

ありす「軍人さんもいそうです」

飛鳥「確かに…しかしありすの起こした津波にやられていないとすると、空かビルの屋上からの攻撃ってことになるのかな…」

ありす「私の《ひかりの創り手》の効果も切れましたし飛鳥さんの海もなくなってしまいました……どうしましょう」

飛鳥「……あー…ありす。すまない、さっきなんの問題もなかったと言ったが嘘を吐いていたよ」

ありす「え?」

83 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 07:09:55.33 ID:ckxTREjwO

飛鳥「一人だけ、生き残った者がいる…今は気絶しているのか動かないが」

ありす「カメラで確認します…………えっと……あれは……一体…?」

飛鳥「白い塊があるだろう?」

ありす「はい」

飛鳥「その…海水をすごい勢いで蒸発させられたから他の人より感電しにくかったみたいで」

ありす「蒸発……ってことはアレ茜さんですか??」

飛鳥「確認はしていないが恐らくは、ね」


84 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 07:11:17.93 ID:ckxTREjwO

ダァン!


ありす「!」

飛鳥「!」

ありす「今の音です!この音で攻撃されたんです!」

飛鳥「銃声っぽい…?そんな気がするな……」

ありす「あ!」

飛鳥「どうした!?ありす!」

ありす「茜さんが攻撃されたみたいです!」

飛鳥「道の真ん中で寝ていればそりゃ狙われるか…」

ありす「今の衝撃で茜さんの周りの塩が崩れて茜さんの体が少し見えるようになりました!」

飛鳥「そんな鯛の塩釜焼きみたいな」


85 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:32:48.93 ID:IOypaw6MO

ありす「あ、茜さんがゆっくりと立ち上がりました!」


茜「………………おおお!?誰もいません!?未央ちゃーん!藍子ちゃーん!」


飛鳥「…ありす、タブレットを隠すんだ。見つかるとまずい」

ありす「は、はい!」

飛鳥「……連射はしてこないみたいだね」

ありす「そうですね…」

飛鳥「…となるとガンマンではなさそうだな」

ありす「なんでですか?」

飛鳥「猟銃は装填に時間がかかるって聞いたことがあってね。それに比べて拳銃は弾を入れる所が回るから6発くらいは連発できるハズだ」

ありす「……なるほど、確かに映画でも拳銃は連射してます」

飛鳥「軍人の方は…使う銃次第だからまだ分からないな……」


ダァン!


飛鳥「!」

ありす「茜さんが撃たれました!」


茜「うおおおおおお!!!」ダダダダダダ!!


ありす「走っていきました…」

飛鳥「ボク達に気付くこともなかったね」

ありす「カメラで様子をみます!」

飛鳥「頼む。……しかしさっきからラジオは誰の声も拾わないな…喋ってないのか?」

ありす「…………ん?」

飛鳥「どうした?ありす」

86 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:34:09.93 ID:IOypaw6MO

ダァン!


ありす「…!」カシャッ!

ありす「飛鳥さん…これ見て下さい」

飛鳥「なんだい?」

ありす「ここ…ビルの壁から緑色の何かが…小さすぎて、拡大しても分かりづらいですが。この緑色のが出てからすぐに音が鳴りました」

飛鳥「…!なるほど…銃声と緑色は無関係ではなさそうだな………ビルの窓から銃撃を…?しかし建物内には入れないハズ…でも、だとしたらありすの津波が効かなかった理由にも納得がいく…」

ありす「ラジオは?」

飛鳥「いや、何も拾わない…あ、そうだありす」

ありす「なんですか?」

飛鳥「調べてほしい。《まゆの繭》と《恋愛シンドローム》どちらとまゆさんのスキルだ」

ありす「分かりました。《まゆの繭》…検索」

ありす「《まゆの繭》…リボンで拘束し、繭の中に閉じ込める。拘束中は解除するまで次の繭を出すことができない。ちなみに繭の中はカラオケ空間になっていて結構快適。ドリンク飲み放題」

飛鳥「あれの中カラオケだったのか…」

87 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:35:15.37 ID:IOypaw6MO

ありす「《恋愛シンドローム》…目で見えている相手の後ろに一瞬で移動する。手で触れている人を一緒に移動させることも可能」

飛鳥「じゃあ急にボク達の後ろに現れたのはこれか…!」

ありす「これはどうやって知ったんですか?」

飛鳥「ボクが海を出した時にまゆさんが逃げる為に使ったんだ。それをラジオで聴いたってワケさ」

ありす「なるほど…あれ?人の後ろに移動するスキルで逃げるってことは……」

飛鳥「……!」

ありす「仲間がいる…?」

飛鳥「しかもすぐに逃げられるようなことを言っていた…そして15m以上動かないという発言も」

ありす「つまりまゆさんの仲間はあの時、あの位置から見える所にいた…!」

飛鳥「そう考えると、例の緑色がまゆさんの仲間だという可能性が高い」

飛鳥「戦うか、逃げるか……どうする」

ありす「私は逃げた方がいいと思います。万全ではないですし、情報も全然足りません」

飛鳥「…わかった。一度大通りの様子を見てから、逆側に行こう」

ありす「分かりました」

88 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:38:01.44 ID:hTTQU4afO

飛鳥「……あっちは細い路地が入り組んでるような感じか…?ありす、落ち着いたら地図を」

ありす「飛鳥さん!」

飛鳥「!?」

ありす「美玲さんが走って来ます!」

飛鳥「奥に逃げよう!こっちは万全じゃない!」

ありす「はい!」

89 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:41:52.52 ID:hTTQU4afO

飛鳥「とりあえずここでいいか…」

ありす「角を1つ曲がっただけですよ?」

飛鳥「すぐに逃げられる地形だ。カメラで様子を見ながら隙をついていこう」

ありす「わ、分かりました」

飛鳥「ラジオをさっきボクらのいたあたりに…」カチャカチャ


ラジオ『まゆッ!こっちだ!すぐそこの角に隠れてるぞッ!』


飛鳥「既に位置がバレてるのか…!?」

ありす「しかもまゆさんの名前を呼んだってことは…」

飛鳥「まゆさんもいるってことか…!」


ラジオ『もが!もががが!……ぷはっ…!何するんだッ!』

ラジオ『いちいち紙に書くなんて面倒だぞッ!喋った方が絶対早いし!《∀NSER》で位置も分かるんだからもが!もががが!』

ラジオ『しーっ!しーーっ!!』


飛鳥「…! ありす、移動するぞ!」

ありす「え?あ、はい!」


ラジオ『あ、動いた!2人が逃げてくぞッ!』


ありす「私達が動いたこともバレてます!なんで!?」

飛鳥「分からない!そういうスキルなんだろう!ありす!地図を!」

ありす「は、はい!」

飛鳥(位置を常に知られているこの状況。圧倒的に不利だ…しかもまゆさんは筆談をしている……さっきラジオで何も聞けなかったのは周りに人がいないんじゃなく、喋ってなかっただけなのか…!)

ありす「飛鳥さん!地図です!」

飛鳥「ありがとう」

飛鳥(狭い道。しかも相当入り組んでるな……どこかで道幅が広くなることもなさそうだ…)

飛鳥「……どうする…?どうしたら……」

ありす「飛鳥さん…」

飛鳥(状況を整理しろ…ボクらは情報戦で勝たないとまず勝ち目はない……《楽園-エデン-の入り口》はもう使えない…)

飛鳥「ありす!あの水を操るのはあと何回使える?」

ありす「3回です。でもあの量の水は出せませんよ」

飛鳥「あぁ、分かった。いざとなったらありすの水とボクの電撃でなんとかしよう。回数に限りがあるから、できれば温存しておきたいが……」

ありす「……あの、飛鳥さん」

飛鳥「…? なんだい?」

ありす「…1つ作戦を思いつきました」

90 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:43:33.65 ID:hTTQU4afO

飛鳥「…! 聞かせてくれるかい?」

ありす「……でも、これは飛鳥さんの負担が大きすぎる作戦で」

飛鳥「そんなことはいいさ。結局ここで負けたら元も子もないんだ。聞かせてくれ」

ありす「………分かりました。…作戦というのは、杏さんの時のアレをやるんです」

飛鳥「杏の時の…つまり……セクシーギルティに任せる…?」

ありす「違います!私が小さくなってスキルの情報を飛鳥さんに教えるやつです!」

飛鳥「…なるほど、そうか!それがあった!」

ありす「私が《小さな妖精》で小さくなって、飛鳥さんの服にたくさん付いてるポケットの1つに入るんです。そうすればスキルの名前もすぐに聞けるからすぐに検索できます!」

飛鳥「それをボクのラジオで聞く……か」

ありす「はい。…………どうでしょう…?」

飛鳥「……いや、いい作戦だ。ボクにはそれ以上のものは思い付かない。それでいこう」

ありす「はいっ!《小さな妖精》」シュシュシュシュ

ありす(ミニ)「ガンバリマショウ! アスカサン!!」

飛鳥「声も小さくなるのか、よく聞こえない……すまないありす。すごく狭いとは思うけど、我慢してくれ」

ありす(ミニ)「ソノクライ モンダイナイデス!」ヨジヨジ スルッ!

飛鳥(ありすはポケットの中に入った…ラジオを1m以内に設定して…っと) カチャカチャ

飛鳥(これで周囲の状況が知れなくなった……曲がり角の近くにいない方がいいな、少し動くか…) テクテク

ラジオ『飛鳥さん、聞こえますか?』

飛鳥「あぁ、聞こえるさ」

ラジオ『《∀NSER》はインディヴィジュアルのユニットスキルです。質問を設定してから∀NSERをフルで歌って踊ると、その答えが分かるそうです」

飛鳥「つまりこの場合はボクとありすの居場所。ってところか……」

ラジオ『多分…そしてインディヴィジュアルのユニットスキルが発動してるということは…』

飛鳥「輝子と乃々も協力している、と」

ラジオ『はい』

飛鳥(そしてその2人も位置を知っている可能性が高い……か)

91 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:46:11.52 ID:hTTQU4afO

シュルルルルル!!


飛鳥「リボン!? まゆか!《碧落のリベレイター》」


シュルルルル!!バチィッ バチッバチィッ!


飛鳥(位置を知られてるから後手後手になる!…ならばいっそ!こっちから攻める!) ダッ!

美玲「りゃあああ!!ひっかくぞッ!」

飛鳥「くっ!」バッ!

飛鳥(両手に爪…!恐らくはボクと似た近距離攻撃!ボクのは片手だけだが美玲は両手か…)

美玲「む!避けるなッ!」シャッ!

飛鳥「避けるさ!」バッ!

美玲「やぁッ!りゃッ!」シャッ! シャッ!

飛鳥(こちらのスキルは力はいらない…! 当てるだけでいいんだ……なら!) バッ! バッ!

美玲「やぁッ」シャッ!


ザクッ!


飛鳥「ぐっ…! つかまえ……」

美玲「なッ??」

飛鳥「たぁ!」バチバチバチバチ!!!!

美玲「あばばばばば!!」

92 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:47:50.50 ID:hTTQU4afO

まゆ「美玲ちゃん!先に行かないで…って美玲ちゃん!」

美玲「あばばばばば」ビリビリ

飛鳥(まゆさんが来た…!)

まゆ「ま、《まゆの繭》」シュルルルルル!!

飛鳥「くっ…!」グルン

まゆ「か、解除!……美玲ちゃんを盾にするなんて……!」

飛鳥「さあ、まゆさん。どうする?今の美玲に触れても痺れると思うよ?」

まゆ「ぐぬぬ……!」

美玲「あばばばばば」ビリビリ


ラジオ『見えてないけど多分悪役の顔してますよ、飛鳥さん』

飛鳥(うるさいな)


美玲「ううう゛う゛う゛う゛!!」ビリビリ

美玲「《ポッ…ピン……パンク》」ビリビリ

ジャキン!

飛鳥「ぐあぁっ!」

飛鳥(刺さっていた爪が更に奥に……!?)

美玲「《ポッ…ピン……」ビリビリ

飛鳥(まずい!すぐに抜かないと!)

飛鳥「うぅ…! ぐぅっ!」バッ!

美玲「パンク》」シャキン!

飛鳥(爪が伸びた…!)

美玲「離れた…!まゆッ!」

まゆ「は、はい!《まゆの繭》」シュルルルルル!!

飛鳥「くっ…!」バチッバチィッ!

93 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:48:57.12 ID:hTTQU4afO

まゆ「やっぱり飛鳥ちゃんには《まゆの繭》が防がれてしまいますね…」

美玲「うぅ…まだピリピリする……」

飛鳥(《まゆの繭》は防げるがそれに手一杯だ…美玲が動けない今はまだなんとかなってはいるが……)

まゆ「ならこれで!《恋愛シンドローム》」

飛鳥(後ろ!)バッ!

まゆ「へ?」

飛鳥「もらったあああぁぁ!!」


バチバチバチィ!!


美玲「まゆッ!」

まゆ「きゃああああああ!!」バチバチバチバチ!!!!

美玲「まゆを離せッ!《ポッピンパンク》」シャキン!

飛鳥(今度はまゆさんを盾に!) バッ!

飛鳥(そして突っ込む!) ダッ!


ザクゥッ!


飛鳥「づあ゛ぁ゛!!」

美玲「ウチの爪はカーブして伸びてるんだッ!まゆを盾にされててもカンケーない!」

飛鳥「ぐっ…ぅ…!」

94 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:49:32.87 ID:hTTQU4afO

飛鳥「なら!」ドン!

まゆ「きゃぁっ!」フラッ

美玲「え? うわぁッ!」ドシーン!

飛鳥(一度退く!) ダッ!

美玲「う、重い……」

まゆ「え??お、重くないですよぉ!まゆはプレゼントは手作りを渡したいだけの女の子なんです!重くなんてないですよぉ!」

美玲「いいから早くどいて…」

まゆ「あ、ごめんなさい美玲ちゃん」


飛鳥(このまま逃げ切れればいいのだけれど…) タッタッタッ

95 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:50:30.21 ID:hTTQU4afO

美玲「いててて……あーッ!飛鳥逃げるなッ!まゆッ!アレだッ!瞬間移動!」

まゆ「ごめんなさい…まだピリピリしててうまく動けないんです…」

美玲「ぐぬぬ…だったらッ!《振袖まつり》 飛鳥をやっつけろッ!」


飛鳥「な…!獅子舞が宙を舞って追いかけてくる!?」タッタッタッ!

飛鳥(角を曲がって美玲の視界から消えても追いかけてくる!美玲が操ってるわけではないのか!?)

ラジオ『飛鳥さん!スキル名は聞こえましたか??』

飛鳥「あぁ!《振袖まつり》だ!頼む!」タッタッタッ!

ラジオ『はい!……えーと、《振袖まつり》…小さな獅子舞を呼び出し』

飛鳥「獅子舞は見たから知ってる!対処法か注意点を教えてくれ!」タッタッタッ!

ラジオ『え、あっ はい!えっと…風呂敷をめくって中を覗けば消えるそうです!』

飛鳥「わかった!それ!」ピラッ!

獅子舞「イヤーン! エッチー!」スウゥー

飛鳥「…………」

96 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:51:08.98 ID:hTTQU4afO

ラジオ『飛鳥さん!大丈夫ですか!?無事でしたか!?』

飛鳥「……なんだろう、この…」

ラジオ『…飛鳥さん?』

飛鳥「罪悪感が……」

ラジオ『あ、ハイ』

97 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:51:48.34 ID:hTTQU4afO

ラジオ『……ってそんなことより!早く距離を取りましょう!』

飛鳥「あ、あぁ。理解(わか)ったよありす…」



飛鳥(小学生低学年の頃、とある男子グループの中でスカートめくりが流行っていた時があったなぁ…スカートめくりをしないと絶交すると言われて、泣きながらスカートめくりをしたあの男子は元気だろうか……)

ラジオ『飛鳥さん』

飛鳥(あの頃は、例え泣いていても等しく最低だと思っていたが……今のボクなら、キミと仲良くなれると思うんだ……) ホロリ…

98 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:52:27.52 ID:hTTQU4afO

ラジオ『……あの……飛鳥さん…?』

飛鳥「あ、あぁ。なんだい?」

ラジオ『……大丈夫ですか?』

飛鳥「いや、大丈夫だ……ボクたちはダメだと理解(わか)っていても、それをやらなければ前に進めない時があるんだってことを知ったよ。」

ラジオ『はぁ。』

飛鳥「今がその時だっていうなら、ボクはもう迷わない。躊躇わない。躊躇なくめくってみせるさ。何度も、何度でも」

99 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:55:14.59 ID:hTTQU4afO
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100 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:56:36.73 ID:hTTQU4afO

ラジオ『いったい何の話をしているんですか?』

飛鳥「いや、こっちの話さ……ありすもいつか理解(わか)る時が来るさ。めくるときが」

ラジオ『いや獅子舞の風呂敷をめくるなんてこのゲーム以外ではやりませんよ。私はそんなイタズラしません』

飛鳥「あぁ、そうだね。そう思ってる時期が、ボクにもあったよ…」フ…

ラジオ『なんなんですかさっきから……そんなとこより!さっきの獅子舞ですが、美玲さんから150kmまでの範囲を自由に動けるそうです』

飛鳥「東京都全域をカバーして有り余るな」

ラジオ『しかも風呂敷の中を覗く以外に消える手段がないらしいです』

飛鳥「どんなにダメージを与えても無駄ってことか……」

101 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:57:16.82 ID:hTTQU4afO

ラジオ『他にスキル名の分かったはスキルはありますか?』

飛鳥「あぁ。確か《ポッピンパンク》と言っていたよ。美玲の爪が伸びるスキルみたいだ」

ラジオ『《ポッピンパンク》…爪が伸びる。爪の強度は鉄並みで、重ねてスキルを使うと爪が伸びる。最大8mまで伸びる』

飛鳥「8m……」

ラジオ『そこまで伸ばすと扱いづらそうですね…他には何かありましたか?』

飛鳥「いや、スキル名が判明したのはその二つだけだ。ただ、まゆさんの《恋愛シンドローム》について分かったことがある」

ラジオ『なんですか?』

飛鳥「後ろに移動する。というのが《恋愛シンドローム》の説明だっただろう?」

ラジオ『はい』

102 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:57:52.31 ID:hTTQU4afO

飛鳥「定義が微妙に分かりづらくてね、まゆさんがスキルを使う時に振り向いて顔だけ後ろを見てみたんだ。そうしたら、まゆさんはボクの目の前に現れた……つまり、まゆさんの移動先は背後。文字通り『背中の後ろ』に移動するスキルだ。顔の向きは関係ない」

ラジオ『えぇ…っと?それが分かるとどうなるんですか?』

飛鳥「振り向ける」

ラジオ『……? つまり…?』

飛鳥「まゆさん達から逃げる時にまゆさんの方に体を向けていると、背後に回られて挟み撃ちになるだろう?」

ラジオ『はい。そうですね』

飛鳥「つまり、まゆさんから逃げる時は常に背中を見せ続ける必要があるということさ」

ラジオ『たしかに』

飛鳥「その時、後ろの確認が出来なければ飛び道具や、それこそ《まゆの繭》のリボンを避けきれずに捕らえられてしまう」

ラジオ『なるほど…たしかに』

飛鳥「だから今回、まゆさん相手に『振り向き』が通用することが理解(わか)ったのは大きな収穫だ」

ラジオ『具体的な対策が立てれるようになったのは大きいですよね……それにしても…』

飛鳥「ん?」

ラジオ『追いかけてきませんね…諦めたんでしょうか』


103 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 12:59:06.57 ID:hTTQU4afO

飛鳥「確かに……移動しているとはいえ小走り程度だし、追いつこうと思えばすぐに追いつけるハズだが……」

ラジオ『あちらも私たちと同じように情報交換しているとか…?』

飛鳥「そうかもしれない…他に考えられる可能性は……」

ラジオ『……先回り!』

飛鳥「または、他の仲間との交信……」

ラジオ『そっか、乃々さんと輝子さん…』

飛鳥「あぁ。ボクらは今4対2の戦いを強いられているんだ。しかも常に位置を一方的に知られているハンデ付きで、ね」

ラジオ『私がポケットの中にいて力になれないので、実質4対1みたいなものですけどね……よく撤退できましたね…』

飛鳥「いや、力になってるよ。情報戦をするにはありすの力が確実に必要だからね、これからも頼むよ」

ラジオ『あ、ありがとうございます…』

飛鳥「さて、次の角はどっちだい?」

ラジオ『左でお願いします』

飛鳥「左だね、理解(わか)った」

104 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/20(月) 13:00:25.32 ID:hTTQU4afO

ザクゥッ!!


飛鳥「ぐッ!」

飛鳥(体に何か刺さっ!?)

ラジオ『飛鳥さん!?』

美玲「よし!当たったぞッ! 」

飛鳥(あんな遠くから!? )

美玲「もう一度!《ポッピンパンク》」


ズブブブブ!!!!


飛鳥「?あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

105 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 07:04:00.20 ID:oOx4v8HUO

飛鳥「ぐううぅ!」

美玲「解除!」

飛鳥(くっ…!掴む前に…!)

美玲「もうウチの爪は掴ませないぞッ!痛い目見るって分かったからなッ!」

ラジオ『飛鳥さん!大丈夫ですか!?』

飛鳥「シッ!静かに…!」


まゆ「美玲ちゃん!ありすちゃんの場所はわかりますか?」

美玲「う〜〜…飛鳥と同じ所にいるんだけど……飛鳥しかいないし……後ろに隠れてるわけでもないし……」

飛鳥(まゆさん……!とりあえず背中を見せなければ…!) サッ…

まゆ「……わざと背中をこっちに見せてますね…まるで《恋愛シンドローム》の効果を知っているかのように…」

106 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 07:05:02.35 ID:oOx4v8HUO

飛鳥(このまま背中を見せながら逃げる!) ダッ!

美玲「あ??また逃げるつもりだッ!今度は逃がさないぞッ!《小悪魔エース》まゆッ!乗れッ!」

飛鳥「ありす、《小悪魔エース》…ってまた車か!」

ラジオ『こ、《小悪魔エース》…検索!』

美玲「行くぞぉッ!」ブロロロロ!!

ラジオ『《小悪魔エース》…リリーフカーです!杏さんの車とほぼ一緒の能力です!』

飛鳥「つまり車体越しに乗員も感電させられるってことか!」

ラジオ『それはどうでしょう…?』

107 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 07:08:06.73 ID:oOx4v8HUO

飛鳥(こっちの方が車体が大きいな…)

美玲「この狭い道じゃ逃げられないだろッ!ブッ飛ばせ!」ブロロロロ!!

飛鳥(ギリギリで飛び乗るのは、流石に走りながらじゃ無理か……)ピタッ


ダァン!!

ガン!!


飛鳥「!?」

飛鳥(目の前に小さな何かが高速で通って道に当たった!?)

飛鳥(今偶然にも止まっていなかったら危なかった!走り続けていたら確実に当たっていた!)

ラジオ『今の音は!』

飛鳥(そうか!建物からの銃撃!壁ではなく道路に当たったということは!上か!) バッ!

乃々「ひぃ?? 一発でバレたんですけどぉ…!?」


108 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 07:09:56.97 ID:oOx4v8HUO

飛鳥(猟師!つまり連発はない!なら車に集中!)

飛鳥「本当に休む暇がないな!《碧落のリベレイター》」

まゆ「まるで事前に知ってるみたいに対処が早いですねぇ…」


ブロロロロ!!


飛鳥「ギリギリで……ギリギリで……」


飛鳥「ギリギリで……飛び乗る!」


ガァン!

バチバチバチッ!


美玲「あばばばばば」

まゆ「きゃああああ!」

飛鳥「ぐぅ…っうぅ……!」

飛鳥(飛び乗れた…!あとは《碧落のリベレイター》の発動している手を車から離さないようにしながら登る!)

美玲「ううう゛う゛う゛う゛!!」ビリビリ

飛鳥(すぐ壁にぶつかる!早く飛び降りなければ!) バッ!


109 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 07:16:24.99 ID:Rw+U9U46O

ガシャァアン!!


飛鳥「くぅっ…!うぅ…!」ゴロゴロゴロ

ラジオ『飛鳥さん!無事ですか??』


飛鳥「!」

飛鳥(乃々が銃を!逃げ)

乃々「う、うらまないでくださいぃぃ……」チャキ

ラジオ『飛鳥さん!』

飛鳥「あ、ぁあありす!いまだ!その窓だぁ!!」

ラジオ『えっえぇ!?な、何がですか!?』

乃々「ひぃっ!?」ダァン!

ガン!

飛鳥(外れた!今のうちに逃げる!) タタタッ

飛鳥(咄嗟に出たにしては、我ながらいい感じのブラフだったな)フッ…

110 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 07:17:12.78 ID:Rw+U9U46O

飛鳥「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」タッタッタッタッ

飛鳥(ゲームだからか、足に疲れがたまらずずっと走っていられる…何故か息切れはするけど)

ラジオ『飛鳥さん!《小悪魔エース》も杏さんの《おーる・ふぉー・ふぁん》と同じで安心安全設計らしいです!』

飛鳥「安全だから人を轢いても安心。か…? 安心安全設計なら自動ブレーキをつけてくれ…」

111 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:10:09.95 ID:bQL8nPHrO

飛鳥「………………ん?」

ラジオ『どうかしました?』

飛鳥「……いや……道の端に棺桶が置いてある……」

ラジオ『かんおけ……ですか……』

飛鳥「あぁ……棺桶だ……」

ラジオ『…………』

飛鳥「…………」

ラジオ『…………』

棺桶「…………」

飛鳥「…………」ソロー…

棺桶「…………」

飛鳥「…………」ソロー……

棺桶「…………」

飛鳥「…………!」ダッ!

輝子「無視して走るんじゃネエエエェェェェェ!!!!」バァン??


112 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:13:55.67 ID:bQL8nPHrO

飛鳥「………………ん?」

ラジオ『どうかしました?』

飛鳥「……いや……道の端に棺桶が置いてある……」

ラジオ『かんおけ……ですか……』

飛鳥「あぁ……棺桶だ……」

ラジオ『…………』

飛鳥「…………」

ラジオ『…………』

棺桶「…………」

飛鳥「…………」ソロー…

棺桶「…………」

飛鳥「…………」ソロー……

棺桶「…………」

飛鳥「…………!」ダッ!

輝子「無視して走るんじゃネエエエェェェェェ!!!!」バァン!!

113 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:20:39.77 ID:bQL8nPHrO

飛鳥「……!」タタタタッ!

輝子「無視するなって発言を無視するんじゃネエェェ!!寂しいだろうがあああアアアア!!」ブォン!!


ゴシャア!!


飛鳥「!? 棺桶が…!」

ラジオ『どうしました!?飛鳥さん!』

飛鳥「棺桶が飛んできた……」

輝子「この棺桶は鎖付きなんだぜェ?だからこうやって振り回して武器にもできるのさァ!」

飛鳥「くっ……!」

輝子「フ…フヒヒヒヒ、フハハッアッハッハー!さぁここからが本番だぜえぇェェ!!」

飛鳥「……ん?鎖?鎖か…」ガシッ


飛鳥「《碧落のリベレイター》」


バチバチバチバチ!!

輝子「あばばばばばは」

114 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:22:05.40 ID:bQL8nPHrO

シュウウゥゥゥ……


飛鳥(??…解除してないのに途中で切れた…!?……スタミナ切れか!スタミナなんてパラメータすっかり忘れてた!)

輝子「……い…いきなり電撃なんて…フヒ…ひどいじゃないか……」

飛鳥「そ、そっちこそいきなり棺桶を投げてきたじゃないか」

輝子「た…たしかに……その節はごめん…フヒ…」

飛鳥「え、あ、うん。こちらこそごめん……」

輝子「…………」

飛鳥「…………」

飛鳥(なんだろう……なんか気まずい……)

輝子「そ、それじゃあ改めて…フヒ…攻撃…するね」

飛鳥「あ、あぁ。分かった。ならこちらも反撃するか逃げるかするけど…いいかい?」

輝子「うん…大丈夫……それじゃあ行くぜ……《毒茸伝説》ヒャッハァァァアアアア!!」


ポコポコポコポコ


飛鳥「ありす!《毒茸伝説》だ…!」

ラジオ『流石にあの声量なら聞こえました!』

飛鳥(輝子の体から赤い茸が生えてくる……!知り合いの体から茸が生える姿は正直見たくないな…精神的になんかこう……クるものが……)

115 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:23:03.11 ID:bQL8nPHrO

ラジオ『体から毒茸を生やします!取り外して投げることもできるそうです!』

輝子「マァッシュァァアアアアップ!!!カエンタケエエェェェェ!!」ダダダダ

飛鳥「走ってくる…!」

ラジオ『カエンタケ!?』

飛鳥「知っているのか!?」

ラジオ『えっと…要約すると触ると死ぬ毒キノコです!」

飛鳥「触るだけで!?」

ラジオ『はい!無人島に行く前に輝子さんのキノコ講座で教わりました!』

輝子「それは間違いだああぁぁ!!触るだけじゃ人は死なない!皮膚がただれたりかぶれたりするだけだあぁぁ!!何を聞いていたんだぁ!ありすぅぅ!!」

ラジオ『ご、ごめんなさい!』

輝子「ヒャッハァァアア!……ア?」ピタッ

輝子「…あれ?なんで飛鳥ちゃんからありすちゃんの声が聞こえるんだ…?」

飛鳥「!!」

116 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:27:00.72 ID:bQL8nPHrO

輝子「も、もしかして……このカエンタケくんみたいにありすちゃんも飛鳥ちゃんの体にくっついている……とか?」

飛鳥(八割型正解…!まずい…)

飛鳥「…ボ、ボクがありすを背負っていたら、見るだけですぐに分かるだろう?」

輝子「あ…たしかに……でも、ありすちゃんも飛鳥ちゃんも同じ場所にいるってことになってるし……」

飛鳥(《∀NSER》でボクらの位置は知られ続けている…まずいぞ……!)

輝子「よくわかんないけど、一緒にいるなら……離れさせればぁ!いいだけだああぁぁ!!《PANDEMIC ALONE》」

飛鳥「うわっ!」グンッ!

飛鳥「わ、とっ、とっ……」

飛鳥(少しだけだけど後ろに飛ばされた…?)

ラジオ『きゃ、きゃあぁぁ!』
ありす「キャ、キャアァァ!」

飛鳥「!? ありす!?」

飛鳥(ありすがポケットから勢いよく飛び出てきた!?)

輝子「みんなボッチだあぁ!3m以上近づけない!ボッチのパーソナルスペースは!ひろいんだぜええぇぇ!!」

飛鳥「ぐっ…!ありすの方にも輝子のほうにも近づけない……!」

飛鳥(3m…!スタミナ切れ以前に完全に射程外だ…!どうする…!?)

117 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:27:58.11 ID:bQL8nPHrO

ありす「カイジョ!」ポンッ!

ありす「飛鳥さん!役割交代です!」ブンッ!

飛鳥「うわっと、と……これは…タブレット?」

輝子「さあカエンタケェェ!お前の力を見せてみろおぉぉ!!」ポイポイポイポイ

飛鳥(投げてきた…!)

ありす「《ひかりの創り手》 風よ!」


ビュオオォォ!!
(風に舞い飛んでいく茸達)


輝子「アアァァ!?カエンタケェェェェ!!」

飛鳥「ありす!それは…!」

ありす「もうつかっちゃいました!だから時間いっぱい暴れるしかないです!電気!」


バリバリバリバリ!!


輝子「あばばばばばは!」


シュウウゥゥゥ……
ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ


ありす「ひぃ!?」

飛鳥「キノコがすごい勢いで生えてくる!?」

輝子「光れ稲妻!轟け雷鳴!私はお前を歓迎するぜサンダァァー!ヒャッハァァ!!」ポイポイポイポイ

ありす「なら!炎!」


ゴオォォァァ!!
プス…プス…シュゥ〜(炭になった茸達)


輝子「アアァァ!?カエンタケェェェェ!!」



118 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:29:33.36 ID:bQL8nPHrO

ギュン!!


ありす「!?」

飛鳥「浮いてる獅子舞…!」


ガブッ!


飛鳥「ぐっ!狙いはボクか…!ありす!風だ!風呂敷をめくれ!」

ありす「はい!風よ!」


ビュオオォォ!! ピラッ


獅子舞「イヤーン! 風サンノエッチー!」スウゥー

ありす「…………」

飛鳥「…………」

輝子「…………」

ありす「………なんでしょう…この、やるせない気持ちは……」

輝子「…………ありすちゃんの…エッチ」

ありす「え、や!違うんです!違うんです!不可抗力というか!仕方なかったんです!そうしないといけなかったというかなんというか」

119 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:30:25.91 ID:bQL8nPHrO

まゆ「でも、めくったことには変わりないですよねぇ?」

飛鳥「まゆさん…!追いつかれたか!」

ありす「そ、それはそうですが、その…えっと……」

飛鳥「ありす!気持ちは分かるがそのことは後にしよう!」

ありす「は、はい!」

120 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:33:19.30 ID:bQL8nPHrO

美玲「まゆッ!もっと奥に行ってくれないと乃々の射線が通らないぞッ!今は人と近づけないんだから」

乃々「輝子さんが《PANDEMIC ALONE》を解除すればいいだけなのでは……」

輝子「あ、ごめんよ…解除……」


まゆ「乃々ちゃん!あの作戦でいきますよぉ!《トリート オア トリート》」

飛鳥(箒が宙に浮いてる…?)

乃々「は、はぃ…!お、《おどおど狩人》」チャキ

ありす「つ、土!」ヒュンヒュン!

美玲「ウチに任せろッ!《スウィートデビル》」バシッ! バシッ!

飛鳥(ありすの飛ばした土塊がすべて扇子ではたき落とされた…!?)

まゆ「いきますよぉ♪」ギュン!

飛鳥(箒が飛んでき)


ヒュン!


飛鳥「え?」


ドスッ!


ありす「?っ!」

飛鳥「ありす!」

飛鳥(早すぎて見えなかった…!)


ダァン!


ありす「あ゛あ゛ぁ゛!!」

飛鳥「ありす!」

飛鳥(くっ…!この状況で温存とか言ってる場合じゃない!一回撒かないと!)



ピーンポーンパーンポーン♪


飛鳥「…??」

まゆ「…!」

121 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:34:54.68 ID:bQL8nPHrO

晶葉『あー、テステス。諸君、聞こえるか?聞こえるな?このアナウンスはフィールド全域に聞こえるようにしてある』


飛鳥「なんだ…?」


晶葉『今しがたプレイヤーの半分が脱落した』


乃々「もう…半分に……」

輝子「…あれ……?元々何人だったんだ……?」

美玲「そういえば教えられてないな」


晶葉『これより、レイドバトルを開催する!』


122 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:35:37.06 ID:bQL8nPHrO

まゆ「レイドバトル?」


晶葉『レイドバトルとは、一人だけでは到底敵わないレイドボスを何人かで協力して倒すというイベントだ!』

晶葉『今回はスキルとの相性が良すぎて強くなりすぎてしまった人をレイドボスとして、15分後にフィールド内のどこかに投入する』


飛鳥「このバトルロイヤルゲームで協力前提の敵……」


晶葉『と、いうことでレイドボスから皆に意気込みを発表してもらおうか』

???『え、そんな急に……』

123 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 12:38:19.79 ID:bQL8nPHrO

ありす「ぐっ…!」

飛鳥「ありす、大丈夫か…?」

ありす「はい、なんとか……」

飛鳥(この間に逃げられるか……?それとも協力を申し出るか……どうする…?)


文香『みなさん、こんにちは…今回レイドボスに選ばれました、鷺沢文香です。精一杯頑張りますので、よろしくお願いします…』


ありす「文香さん!?」

飛鳥「文香さんがレイドボス…か」

美玲「文香か…あんま強いイメージないな…」

まゆ「スキルとの相性。と言ってましたし、イメージは関係ないのでは…?」


124 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 15:11:24.05 ID:bQL8nPHrO

晶葉『ではこれから、スキルの交換ガチャをするぞ』


輝子「ガチャ…?」

美玲「急にデレマスっぽくなってきたな……」

乃々「メタ発言なんですけどぉ……」


125 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/21(火) 15:12:25.88 ID:bQL8nPHrO

晶葉『今あるスキルを一種類捨てると、代わりに一つだけスキルを貰える。運次第では同じスキルを手にしてしまうかもしれないが、それはそれだ』

晶葉『今から10分間、シンキングタイムを与えよう!よく考えてスキルを選んでくれ!』


飛鳥「…………レイドバトル…だってさ、まゆさん」

まゆ「えぇ。そうですねぇ」

飛鳥「プレイヤー同士が協力することが前提のイベント…」

美玲「あッ!飛鳥がこれからなんて言うか分かったぞッ!」

輝子「最後まで言わせてあげて……」


飛鳥「ボク達と、共闘しないかい?」


美玲「予想通りだったなッ!」

乃々「シリアス気味なので空気読んであげてください美玲さん…」


126 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 07:04:26.36 ID:5JyVXeRGO

まゆ「うふふ。」


まゆ「だめです♪」

127 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 07:05:37.68 ID:5JyVXeRGO

飛鳥「な、何故だ!プレイヤー同士で協力しないと勝てない相手なんだ!」

まゆ「まゆはすでに3人と協力しています。戦力的には十分じゃないですかぁ?」

飛鳥「相手の戦力もわからないのに『十分』は流石に慢心しすぎじゃないのかい?」

まゆ「まゆたちには相手が一人なら確実に勝てる作戦がありますからねぇ…それを無闇に知らせるとレイドバトルの後に対策されるかもしれないので」

飛鳥「くっ……!」

まゆ「……さて、飛鳥ちゃん。時間もないのでそろそろ終わりにしますねぇ」

飛鳥「ありす!逃げるぞ!《桜風リフレイン》」

128 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 07:06:53.10 ID:5JyVXeRGO

ブワアアァァ……


乃々「きれい…」

美玲「満開の…桜?」

輝子「もはや桜の木の森だな…こんなにあるなら少しくらい菌床用に持ち帰りたい……」


飛鳥「ありす!大丈夫か!?」

ありす「なんとか……っ」

飛鳥「逃げるぞ!このスキルなら確実に逃げれる!」ダッ!

ありす「はい!」ダッ!

まゆ「逃がしませんよぉ♪ 《恋愛シンドローム》」

飛鳥「フッ…残念だったね、まゆさん」

まゆ「何がですかぁ?《まゆの繭》」シュルルルルル!!


飛鳥「この桜の花びらは、全てボクの支配下にあるのさ」

129 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:22:54.69 ID:S9SDz2YDO

ブァアア!!


まゆ「きゃあ!花びらが顔に!み、見えな…ぺっ!口に…!ぺっ!ぺっ!」


飛鳥「今のうちだ!逃げるぞありす!」

ありす「はい!《賢者の翼》」

飛鳥(ありすに翼が!)

ありす「飛鳥さん!手を!」

飛鳥「あぁ!」ガシッ!

バサァ!

130 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:23:24.50 ID:S9SDz2YDO

バサッ!バサッ!バサッ!
タッタッタッタッ……

飛鳥「…って飛べないのか??」タッタッ

ありす「ひと1人持って飛ぶなんて出来ませんよ!ですが私の翼の進む力と飛鳥さんの走って進む力があわされば、2人がそれぞれ走るよりずっと速いはずです!」バサッ!バサッ!

飛鳥「な、なるほど……?」タッタッ

ありす「なんでちょっと腑に落ちてないんですか!」バサッ!バサッ!


131 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:26:35.22 ID:S9SDz2YDO

まゆ「乃々ちゃん!2人の場所はわかりますか!?」

乃々「花びらが顔から離れなくて前が見えないんですけど…」

美玲「ウチも目が開けられないけど分かるぞッ!あっちだあっちッ!ウチが指差してる方!」

乃々「指差してる美玲さんも見えないんですけど…」

輝子「見えなくても感覚で分かるはずだぞ、ボノノさん…」

乃々「あ、そうでした…えっと、こっちの方で…」

乃々「《おどおど狩人》」チャキッ!

美玲「乃々ッ!」

まゆ「乃々ちゃん!仕留めて下さい!」


ダァン!!

132 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:27:12.09 ID:S9SDz2YDO

まゆ「…かふっ」

まゆ「……………………え?」


まゆ「乃々…ちゃん?な、なんでまゆを撃ったんですか……?」

133 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:29:22.58 ID:S9SDz2YDO

乃々「……え?」

美玲「まゆ?今なんて」

乃々「ひぃ!?もしかして森久保はとんでもないことをやってしまったのでは!?」

輝子「お、落ち着けボノノさん…飛鳥ちゃんとありすちゃんの位置は分かっても、それ以外は、目が見えないから分からなかったんだ……」

乃々「わざとじゃないんです!まゆさんごめんなさいぃ……」ガタガタ…


134 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:30:25.08 ID:S9SDz2YDO

飛鳥「…………追ってこないな…」

ありす「一回止まりますか?」

飛鳥「いや、このまま出来る限り距離を稼ごう」

ありす「でもスキルの交換が…」

飛鳥「そうか。そうだったな……」

ありす「どうしますか?」

飛鳥「よし。すぐに決めて、また走ろう」

ありす「分かりました」


バサァ…


飛鳥「……よし、ボクは元々もう回数の残っていないスキルがあったからね。交換に出すのは《楽園-エデン-の入り口》にするよ」

ありす「私は……どのスキルもまだ使えるけど…」

飛鳥「交換しない、というのも一つの手さ。使い勝手の悪いスキルになる可能性だってあるんだからね」

ありす「はい…でも………いや、決めました」

飛鳥「どうする?」

ありす「《小さな妖精》を交換に出します」

飛鳥「何故だい?そのスキルは有用じゃないか。さっきもボクのスタミナがきれなければなんとかなったかもしれないし」

ありす「飛鳥さんに全部任せて自分は安全な所にいるだけなんて嫌です!これからは私も戦います!」

飛鳥「でも戦闘スキルはあと1回しか使えないんだろう?」

ありす「交換ガチャで手に入れます!」

飛鳥「手に入らない可能性だってあるんだ」

ありす「その時はその時です!」


135 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:31:09.92 ID:S9SDz2YDO

飛鳥「…………」

ありす「…………」

飛鳥「わかった、ありすのことだ。ありすに任せるさ」

ありす「ありがとうございます」

飛鳥「……さて、交換にだすスキルの設定は終わったかい?」

ありす「はい、大丈夫です」

飛鳥「よし、じゃあ走ろうか」

ありす「はい!」

バサァ!

136 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:32:06.42 ID:S9SDz2YDO

ありす「それにしても…追ってきませんね」バサッ!バサッ!

飛鳥「潜んでいるのか、それとも諦めたか……できれば後者であって欲しいけどね」タッタッ

ありす「でも私たちの位置は常に知られてるんですよね?」

飛鳥「あぁ。だが、ひとつ分かったことがある」

ありす「分かったこと?」

飛鳥「ボク達のいる方向と距離が分かるが、その間に障害物があるかないかは感知できないってことさ」

ありす「…? 障害物があるって目で見れば分かりますよね?」

飛鳥「そう。だからさっきみたいに視覚を奪うことが出来れば、乃々にまゆさんを撃たせたりできるってことさ」

ありす「おぉ…!ちなみにあの桜はあと何回使えるんですか?」

飛鳥「2回だ」

ありす「2回……」

137 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:32:39.93 ID:S9SDz2YDO

ピーンポーンパーンポーン♪


ありす「!」

飛鳥「……!」


晶葉『さて、時間になったので締め切らせてもらうぞ』

晶葉『では、ドキドキワクワクのガチャの時間だ!』

晶葉『…うむ。今スキルの交換が問題なく終わったぞ。各々確認しておいてくれ。しかし!間髪入れずに次のイベントだ!モバゲーの方のデレマスっぽいだろう!』


ありす「モバゲーの方でも半日は休憩くれるのに…」

138 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:35:05.30 ID:S9SDz2YDO

晶葉『さぁ!お待ちかねのレイドバトルの開催だ!ちなみにレイドボスも優勝する権利があるので、レイドボスを無視して他のプレイヤーを倒していくと最終的にはレイドボスとの一騎討ちになるぞ』

晶葉『レイドボスを撃破した者にはとあるアイテムを贈ろう!レイドボス撃破に一定以上貢献したと思われる者にもとあるアイテムを贈ろう!きっと役に立つぞ!』


ありす「アイテム……」

飛鳥「スキル以外で物を持つということがないこのゲームでのアイテムか…実質5つ目のスキルを手にするようなものか……?」

ありす「どうします?レイドバトル、参加しますか?」

飛鳥「…参加しよう。だが、出来るだけ他の人のサポートに徹するんだ」

ありす「サポートに?」

飛鳥「あぁ。ボク達の一番の強みは能力を知れることだ。つまり、レイドバトルで出来るだけ多くの人のスキルを知ることができれば?」

ありす「レイドバトルが終わった後、有利に戦える…」

飛鳥「そうだ」

139 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:36:06.32 ID:S9SDz2YDO

ありす「でも、そんなにうまくいくんですか?」

飛鳥「まず前提として、レイドバトルを生き残らなくちゃいけない。だから出来るだけ前に出ないことが望ましい。しかし後方すぎると戦闘力のある人達のスキルを知れない……」

ありす「絶対うまくいかないと思います」

飛鳥「そんなことはないさ。ボクのラジオを使って軍師からの指示を戦線に伝える、伝令役になればいいのさ」

ありす「うまくいかないと思います」

飛鳥「『絶対』が消えたね、じゃあ可能性はあるってことだ」

ありす「むぅ…屁理屈を……」

140 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:40:14.91 ID:S9SDz2YDO

晶葉『それではお待ちかね!レイドボスが出現するぞ!』



ありす「しまった!」

飛鳥「忘れてた!」


晶葉『レイドボスの出現地点の近くにいるプレイヤーは攻コスト、スタミナを回復しておいたぞ。参考にしてくれ!』


飛鳥「……………」

ありす「………………」

飛鳥「…………ありす」

ありす「…………はい」

飛鳥「…回復してるね……」

ありす「回復してますね……」

飛鳥「すぐにここを離れるぞ!」

ありす「はい!」バサァ!


晶葉『それでは諸君。レイドバトル、スタート!』


141 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:41:33.79 ID:S9SDz2YDO

《『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』(川端康成「雪国」より)》


飛鳥「!?」ズボッ

ありす「地面に急に雪が!」

飛鳥(雪に足がとられる…!)

飛鳥(それ以前に…!)

飛鳥「ありす!頑張ってくれ!この足場じゃうまく走れない!」

ありす「分かってます!既に全力です!」バサッ!バサッ!

飛鳥(範囲スキルは使った位置が他のプレイヤーにバレる…!その位置は感覚で分かる!)


飛鳥(後方125m!状況から言って文香さん以外ない!文香さんの声だったし!)

飛鳥「なんでいつも準備する時間をくれないんだ!」


142 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:42:56.03 ID:S9SDz2YDO

ありす「前から誰か来ます!」


「やあああぁぁぁぁぁ!!!!」ズバババババ!!


ありす「珠美さんです!雪を斬りながら進んでます!」

飛鳥「雪を!?」


珠美「やあああぁぁぁぁぁ!!!!」ズバババババ!!

ありす「珠美さん!」

飛鳥「珠美さん!ボク達と協力しないか??」

珠美「ごめんなさい!助太刀無用でお願いします!」ズバババババ!!


ありす「行ってしまいましたね……」

飛鳥「あ、ああ……」

ありす「……!飛鳥さん!珠美さんの作った道が」

飛鳥「そこだけ雪が少ない…!これで少しは走る速度が…!」

ありす「逃げましょう!」

飛鳥「だが、珠美さんが…!」

ありす「でも助太刀無用って!」

飛鳥「…そうか。よし、残ろう」

ありす「飛鳥さん!」

飛鳥「どちらにしても手の内が知りたい。言っただろう、ボク達の武器は情報だと」

ありす「でも…!」


143 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:43:33.88 ID:S9SDz2YDO

珠美「やあやあ我こそは!アイドル界随一の剣豪、脇山珠美なり!貴殿を強者(つわもの)とお見受けした故、一騎討ちを申し込みたい!」

文香「…わかりました。お受けしましょう」

珠美「それでは尋常に!《流浪の剣客》脇山珠美!いざ参る!」

文香「《『わたしの太刀は二十三合目に、相手の胸を貫きました。』(芥川龍之介「藪の中」より)》」


ガキィン!!
キィン!キン!キィン!ガキン!
ガガガガガガガガ!!


飛鳥「文香さんが刀…?そんなものを持ったときなんてあったか……?」

ありす「イメージにもないです……ですが」

飛鳥「どうした?」

ありす「今、芥川龍之介って」

144 : ◆a4r7B45BeM :2020/07/22(水) 12:44:42.00 ID:S9SDz2YDO

珠美「中々やりますね!これは本気でいかないといけませんね!」

文香「今までは本気ではなかったのですか…?」

珠美「今までも本気でしたし、これからはもっと本気でかかるということです!」

文香「…すみません、珠美さん。私は…」

珠美「覚悟!やああぁぁ!」

ガガガガギィ!キン!ギィン!



ありす「飛鳥さん!もう行きましょう!どっちが勝つにしても、このままじゃ次は私達です!」

飛鳥「…………分かった。行こう!」

バサァ!
タッタッタッタッ…

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