貴方「僕がヒロインを攻略するまどか☆マギカ…オカルト?」マミ「それは終わったわ」

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64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/08(土) 01:53:12.57 ID:T+ngz7Qm0
1
65 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/08(土) 21:25:12.69 ID:ojRJUnT80


貴方「そっちのがいいんじゃないかな? ほどよく目立ちそうだし」

まどか「ピンクのほうだね。ちょっと派手かなって気もするけど可愛いよね!」


 たしかに無難っていうよりは少し派手かもしれない。

 まあでも、こっちのほうがいいって思ったのはそこも含めてだった。


まどか「黒猫だから、わたしも茶色や黒みたいな暗い色だとわかりづらいかなって思ってたんだ」

まどか「でも黄色も目立つほうじゃないかな?蛍光色みたいな」

貴方「それもそうか。でもなんとなく、そっちのほうが鹿目さんらしいなって思ったから」

まどか「わたし? そうかな。でもこれはエイミーのだよ?」

貴方「なんというか……鹿目さんが選びそうかなって。つけてるリボンとかも、もっと赤みが強いけど似たような色だし」

まどか「実はこれは選んだのはわたしじゃないんだけどね。でもこれ、気に入ってるの」

まどか「もちろんそれだけで変われるわけじゃないけど、外見を少し変えるだけでも違う自分に『変身』できる気がしない?」


 そう言うってことは、『変身』する前と後があったってことなんだろう。それも外見だけの話じゃなくて。

 ――――いつからだっけ?

 それだけじゃないなら他の理由もあるってことだ。


 優しそうな印象や自己主張の強くないところ。変わらないところは変わらないけど、言われてみると、変わった――……のかな。

 いつもはもっと目立つさやかとかもいるから印象は埋もれがちだった。それでも鹿目さんにとってはとても大きな変化。

66 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/08(土) 22:07:11.23 ID:ojRJUnT80


貴方「魔法少女の『変身』もそうかな」

まどか「! うん。そうなの。前にも話したよね。わたしは魔法少女になれたことが誇りだって」

貴方「じゃあ――やっぱりそのくらいの時期からなんだ。さっきの話も」

まどか「うん……リボンのこと言ったけど、それが一番大きいよ。もし契約してなかったら、まだわたしは自分に自信が持てないままだったと思う」

貴方「そうか、そんなに……」

まどか「普通の女の子が可愛い衣装に変身してかっこよく戦うのって、小さい頃にも憧れてたの」

まどか「さすがに大きくなったらそんなのもう忘れてたけど、本物の『魔法少女』に出会ったら小さい頃よりももっと強く憧れた」

まどか「そんな憧れの魔法少女になれて、お話の中の魔法少女みたいに普通の女の子のわたしが魔女と戦ってるんだよ!」

まどか「だから、辛いこともあるけど、仲間にも恵まれてるし今はとても幸せ」


 鹿目さんの表情は自信で満ちていた。自信に満ちた、穏やかな笑顔だった。

 ――ああ、そうか。この表情をするようになったのは契約してからなんだ。


 鹿目さんの魔法少女に対しての想いはかなり強そうだった。

 ……同時に、前にも感じた自己評価の低さ、それ自体が自信につながってるんだって気づいて少しだけ脆さを感じた。

 鹿目さんの自信は魔法少女に関することだけで、それ以外はまだ自信を持てないままなんだろうから。


 変身という言葉から連想しただけだったけど、魔法の力を得る契約は良くも悪くも人生や人柄すら変えるほど影響を与えるものなんだろう。

 なら、俺自身はなにか変わっただろうか――?


 考える前に、ふとよさげな雰囲気になってたところに幼い女の子の声に水を差さされて現実に帰るはめになる。


*「あのおねえちゃん魔法少女なのー?へんな話してたー」

*「しっ、聞こえちゃうでしょ!」


貴方「…………」

まどか「――こ、こんなところで堂々とする話じゃなかったよね!」

まどか「じゃあ首輪はこれにしようかな。意見ありがとう」


 自信のある表情から一転、慌てふためいてた。


 ……さっきの会話の流れで、もしかしたらチョーカーとかも似合うかなって想像してみたことは秘密だ。

 鹿目さん、あんまりそういうファッションしなさそうだけど。


 と――、それは置いといて、別の棚を見にいく。

67 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/08(土) 22:36:13.58 ID:ojRJUnT80


まどか「爪とぎにブラシに歯磨きセットに、色々あるんだね……。飼うなら全部必要なのかなあ」

貴方「どうなんだろう……。飼うならあったほうがいいんだろうけど、さすがにそこまではやってられないんじゃない?」

貴方「お金もそんなにあるわけじゃないし」

まどか「うーん……今は全部は買えないかな……。本当は色々と準備が必要なんだろうね。動物飼うのって」

貴方「急だったし準備が揃ってないのは仕方ないよ……」


 これからどうするか、どこまでやるのかは考えなきゃいけないとは思った。

 思ってたよりも、考え出せば次々と出てくるようだ。

 ここまでやって見放したくないし、俺もできることはやりたい。でも――……。


貴方「これが猫トイレか。容器も砂もいろいろ種類がある」

まどか「けっこう高いのもあるね……。子猫用なら小さいし少し安いね。小さくないと茂みに隠せないし……砂、どれにしよう?」


 漠然と見にきたけど、事前に調べたりもしてないからなにがいいのかさっぱりわからない。

 悩んでいたところに店員が尋ねてきて、結局そのおすすめ通りに買うことにした。

 出来るだけコンパクトで費用がかからないものを選んでもらった。


 ……野良猫、ということは言えなかった。

 それは俺たちだけの秘密。それに、どこか知られることに怖さがあった。何か後ろめたいような気持ちを感じていたんだと思う。


まどか「首輪とトイレの代金、出してくれてありがとうね。どのくらいかかるかわかってなかったし、一人じゃけっこうきつかったかも……」

貴方「鹿目さんは餌まで用意してるんだし、このくらいなら安いもんだよ。二人の秘密だからさ!」


 買い物が終わると、ふたたび茂みに戻ってくる。

 エイミーはまだここにいた。昼寝中のようだ。
68 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 00:05:10.24 ID:pFKoOvFd0


貴方「よく寝るね」

まどか「猫ってそういうものなのかも……。ただいま、エイミー」


 先に茂みにトイレを置いて、砂を入れてセットする。この場所に物がまたひとつ増えた。それも今度のはそこそこ大きい。

 子猫用の小さいサイズとはいえ茂みの中を覗くとかなり存在感があった。


まどか「これがエイミーのトイレだよ。今日からはここでしてくれる……?」


 昼寝から起きたばかりのエイミーは、わかっているのかいないのか。

 まあ、言葉がわかったとは思ってない。いっそ人間の言葉が通じたら楽なのに。


まどか「……これって子猫用なんだよね。大きくなったらもっと大きいのが必要になるのかな」

貴方「どうだろう……」

まどか「小さくて使いづらいって思ったら、別のところでするようになるかも」

まどか「というか、ちゃんと使ってくれるかな。せっかく用意しても使ってくれなかったり、別のところでもするとしたら……」


 それを考え出すとどうしようもなくなる。それに、さっきは首輪を人間の都合って思ったけど。


貴方「今まではどこでしてたんだろう。この辺にはないし……。猫からしたらそこらでしたって困らないんだもんな」

まどか「うちの庭でしてたのもエイミーだったりして……」


 鹿目さんは苦笑いで言う。

 もしもピンクの首輪をつけた黒猫が自分ちの庭を荒らしてるのを発見したら気まずいだろうな。


まどか「……うちのっていうのも嫌だけど、人に迷惑かけるわけにはいかないよ。でもどうしたらいいんだろう」

貴方「ここだけでしてくれるようになるのが一番いいんだけどね」

まどか「うん。もちろんそれはそうなんだけど……とりあえず、してくれるかどうか様子を見るしかないかな」


 慣れないと暴れるかとも思ったけど、首輪は簡単につけられた。

 もう見た目は立派に飼い猫に見える。


まどか「……とりあえず、今日はこれで帰ろうかな。エイミー、またね。【貴方】くんも」

まどか「今度はまたエイミーのこと以外でもショッピングとかしに行こうか。まだ当分は余裕ないかもしれないけど……」

貴方「うん、そうだね。またどこか行ったりしよう」


 どうなるかは様子を見るしかなさそうだ。

 今日はこれで別れた。



四回目【貴方】 37日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・問題共有↑
・美樹さやか・・・親友
・志筑仁美・・・親友
・暁美ほむら・・・気まずいことがあった→
・佐倉杏子・・・興味なさげ?
・巴マミ・・・親友

[攻略済]
美樹さやか
暁美ほむら1
巴マミ
志筑仁美


強制ENDまで【残り:3回】
69 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 00:16:55.33 ID:pFKoOvFd0
※初詣イベントは【40日目】
―――――――
38日目 冬休み



 いつも通りに起床してのんびりと過ごす。今日も寒いけど、カラッと晴れて日が差している。いい天気だ。

 【38日目】――今日は志筑さんが旅行に行くと言ってた日だ。

 今日から少しの間会えなくなる。寂しいな。




・何して過ごそうか
1誰かに連絡してお誘い(まどか/さやか/ほむら/マミ)※キャラによっては断られることもあります
 a遊びに行く
 bパトロールに行く
 c訓練する
 d家に誘う
 e相手の家に行く
2手軽に誰かとチャット(まどか/さやか/ほむら/マミ/仁美)
3QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
4でかける
 a猫のいた茂み
 b繁華街
 c訓練場所
5家の手伝いでもするか
6自由安価

 下2レス
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/09(日) 00:42:36.34 ID:HaKKPURQ0
加速支援
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 01:04:20.59 ID:dg/Wt0k+0
1ほむら
72 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 01:23:06.58 ID:pFKoOvFd0
-----------------------
1は内容(a〜e)もセットで選ぶんやで
ちなみに「気まずい」から「気まずいことがあった」になってますが、ほとぼりが冷めるにはもう少しかかります
基準としては冬休み明けくらい


・何して過ごそうか
1誰かに連絡してお誘い(まどか/さやか/ほむら/マミ)※キャラによっては断られることもあります
 a遊びに行く
 bパトロールに行く
 c訓練する
 d家に誘う
 e相手の家に行く
2手軽に誰かとチャット(まどか/さやか/ほむら/マミ/仁美)
3QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
4でかける
 a猫のいた茂み
 b繁華街
 c訓練場所
5家の手伝いでもするか
6自由安価

 下2レス
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 01:27:37.00 ID:d9j8i0eP0
加速
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 01:31:02.94 ID:B5AsBi5X0
6杏子を探しにいく

杏子も攻略進めないと
75 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 01:49:18.25 ID:pFKoOvFd0



 ……天気のいい日だし、外に出てみようか?



・探すといっても闇雲では見込みはないぞ!どこにいく?
1猫のいた茂み
2繁華街
3訓練場所
4QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
5自由安価

 下2レス
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 02:23:07.56 ID:Pw/IrULbo
12月30日か・・・
2
ウィンドウショッピングとかどーよ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 02:38:12.00 ID:fxy0KWh90
2
78 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 18:24:39.67 ID:pFKoOvFd0


 駅前の繁華街のほうに出てみた。

 年の瀬ということもあり、通りのあちこちでセールの文字を見かけられる。

 ……しかし、あまりショッピングできるほどの余裕はないかな。


貴方(来てみたはいいけど、この辺はやっぱりお金がないと楽しめないことのが多いだろうな……)

貴方(必要なものが出てきたらまた買いにいくことになりそうだし)



1お金がなくてもウィンドウショッピング
2もう一度ペットショップ見てみる
3そのへんをぶらついて帰る
4自由安価

 下2レス
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 18:26:15.86 ID:m4JdcwTOo
1
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 18:41:40.45 ID:czwI1GpU0
1
81 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 19:00:06.52 ID:pFKoOvFd0


 まあ、見るだけならタダ……か。

 デパートは人でにぎわっていた。見てるとたしかにお買い得な服とかあるんだけどな。

 ――と、暫く見ているとふいに声をかけられた。


さやか「よっ、【貴方】!」


 家族と一緒みたいだ。


貴方「さやか、ひさしぶり。家族で買い物?」

さやか「ん、ひさしぶり。まどかも誘おうと思ったんだけど付き合い悪くてさ〜。ほむらはなにしてんのかよくわかんないし」

貴方「よくわかんないっつーと?」

さやか「学校で会わなくなると、連絡取るほどでもないんだよね。【貴方】は話したりしてんの?」

貴方「いや、全然……」


 そういえば冬休みがはじまる前、気まずい空気だったんだっけ。


さやか「そうだよね。ていうか、あいつ一人でこの街来てるんでしょ?年末年始くらい実家に帰るんじゃない?」

貴方「ああ、そうかもしれないか」

さやか「まあわかんないけど。それも含めて全然わかってないんだよね!」




1暁美さんに連絡してみれば?
2他の仲間とはどう?
3自由安価

 下2レス
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 19:04:40.13 ID:03dIXDEp0
1
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 19:22:22.67 ID:m4JdcwTOo
1
84 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 19:42:35.02 ID:pFKoOvFd0


貴方「暁美さんに連絡してみれば?」

さやか「それもそうだね。一応仲間なんだし」


 さやかの家族にも挨拶して、それから少し店の中を回ってから帰った。


 ……そういえば、他にも冬休みが始まってからどうしてるかわかってない人は他にもいるな。

 パトロールとか、みんなどんな感じなんだろう?



四回目【貴方】 38日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・問題共有
・美樹さやか・・・親友
・志筑仁美・・・親友
・暁美ほむら・・・気まずいことがあった
・佐倉杏子・・・興味なさげ?
・巴マミ・・・親友

[攻略済]
美樹さやか
暁美ほむら1
巴マミ
志筑仁美


強制ENDまで【残り:3回】
85 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 19:52:09.20 ID:pFKoOvFd0
39日目 冬休み



貴方(今日は一段と寒いな……)



 ……布団が恋しすぎる季節。



・何して過ごそうか
1誰かに連絡してお誘い(まどか/さやか/ほむら/マミ)※キャラによっては断られることもあります
 a遊びに行く
 bパトロールに行く
 c訓練する
 d家に誘う
 e相手の家に行く
2手軽に誰かとチャット(まどか/さやか/ほむら/マミ/仁美)
3QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
4でかける
 a猫のいた茂み
 b繁華街
 c訓練場所
5家の手伝いでもするか
6自由安価

 下2レス
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 19:56:27.78 ID:03dIXDEp0
このスレ7年以上やってるのか
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 20:15:09.03 ID:xnohPt9a0
訓練場所に行く
88 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 21:11:59.05 ID:pFKoOvFd0
月日が流れるのは早いものです……
-----------------------------------


 ……億劫な気持ちを振り切って暖房の効いた家から繰り出す。いつもみんなが集まってる訓練場所に行ってみた。


 新人の頃はよくここにみんなで集まって訓練してたけど、今では集まるのも週に一度程度だ。

 休みに入ってからは各自色々と都合があるからと日程は決めておらず。


 ここに来たのは昨日仲間のことを考えたからっていうのもあったかな。誰もいないけど、動けば身体も温まるだろう。


貴方(まずは基礎的なところから……!)


――――
――――


 自己鍛錬に集中し、寒さも気にならなくなってきた頃、妙な音に気づいて後ろを見る。

 ――……『パリッ』、という小さくなにかが砕けるような音。


貴方「!?」

杏子「やっと気付いたのか? 気配の察知はまだまだだな。そんなんじゃ後ろからグサーッとやられちゃうんじゃない?」


 ……佐倉さんが座ってスナック菓子を食べていた。

 正直、いきなり現れたようで腰が抜けそうになったんだけど。


貴方「……気配消してた?そんな特技あるの?」

杏子「べつに。なんかやってんなって思って見てただけ。一人で特訓とは立派な心意気だな」

貴方「ま、まあいつもはやらないけど……佐倉さんも一人でここに来るの?」

杏子「毎回訓練しに来てるってわけじゃないけど。そうそう人こないし、一人のほうが気楽なこともあるんだよ」


 今までこの場所に自分が来るのはみんないる時だけだった。

 でもその気持ちは少しだけわかる気がした。訓練をするにしてもそれ以外でも、誰かがいれば人の目は気にしてしまうから。


貴方「……少しわかるかな。今日は訓練をしに?もしそうなら見てもらいたいんだけど」

杏子「いや、見ての通り食ってんだよ。面倒臭いから見てるだけ」


 ……それも一応見てくれてる、ってことになるのかな。組手とかはする気はないみたいだけど。

 一人が気楽なのは共感したが、訓練となると人の目を気にした方が成果が出ることもありそうだ。



1佐倉さんって、一人が好きなの?
2年末どう過ごしてた?
3自由安価

 下2レス
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 21:15:01.09 ID:HmP0/0lt0
1
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 21:18:22.50 ID:Pw/IrULb0
2
91 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 22:36:03.68 ID:pFKoOvFd0


 訓練の続きに励む。佐倉さんは本当に見ているだけだ。

 その視線を受けながら、少し会話を交わしてみる。


貴方「もう年末だけど、どう過ごしてた?」

杏子「その話はあたしに聞いても面白いことなんか一つもないぞ。いつもと何も変わんないし」

杏子「話したいならそっちが話せば?」

貴方「そうだな……大体は家のことや掃除を手伝わされたりするのが日課だよ。この時期は忙しいから」

杏子「家がなんかやってんのか?」

貴方「神社だからたくさん人がくるんだ。まあ、たまに褒められたりするから悪い気はしないよ」

杏子「……ふーん」

貴方「あとはたまに散歩に出たりとかかな」


 ……そういえば、相変わらず興味なさげな反応に見えるけど、こう見えて人の話を聞くのは好きなんだったな。

 特訓をしながらぽつりぽつりと話すことができた。

 二人の時は会話に困るなって印象だったけど、まずは自分のことを話してみるのがいいのかもしれない。


 反面、佐倉さんのことはまだわからないことも多い。なんとなく人から聞いて知ってたことがほとんどだ。


 ――しかし、どのくらい経つだろうか。

 そろそろ訓練も終わりにしてもいいかなと思う頃だが、お菓子は無限に出てくる。


貴方「……まだあるの?お菓子」

杏子「まあな。特訓で腹減っただろうから、これやるよ」

貴方「あ、ありがとう」


 大きな袋に入ったうんまい棒を一本くれた。

 ……こういうお菓子もたまに食べるとうまい。腹が減ってたのは本当だった。




四回目【貴方】 39日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・問題共有
・美樹さやか・・・親友
・志筑仁美・・・親友
・暁美ほむら・・・気まずいことがあった
・佐倉杏子・・・自分のことを話した↑
・巴マミ・・・親友

[攻略済]
美樹さやか
暁美ほむら1
巴マミ
志筑仁美


強制ENDまで【残り:3回】
92 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 23:26:16.94 ID:pFKoOvFd0
40日目 冬休み
境内


 今日は朝から大忙しになる。人でにぎわっていた。


 ――――年明け。

 一年の中の一番といっていい大イベントだ。もう一つ大イベントのカウントダウンはまあ、深夜なので手伝いはなかった。


 家の手伝いをしながら知り合いの姿を待っていると、約束してた通り、振り袖姿の志筑さんが来ていた。


仁美「あけましておめでとうございます!」

貴方「あけましておめでとう。そしてただいま。旅行はどうだった?」

仁美「たまにはいつもと違う景色を見るのも新鮮でしたよ。これ、お土産です」


 紙袋を手渡される。中を見てみると、焼き菓子のようだった。


仁美「人気のお店なのだそうです」

貴方「わあ、ありがとう!」

仁美「今年も頑張っていきましょう。もう最後の一年になりますから」

貴方「卒業したら離れ離れか、寂しいな」

仁美「あの……前に言ったお話、どうですか?同じ高校を目指さないかっていう」


 ……そういえばそんな話をされたことがあったっけ。その時もそんなにまともに考えてなかったし、大して受験を頑張るつもりもなかった。

 でもどうだろう? そろそろ勉強のほうも本気で頑張ってみてもいいんじゃないか。それに何より、進路についてちゃんと考えてみても。


貴方「……まだすぐには決められないけど、考えてみようかな」

仁美「視野に入れてくださるということですね!」

93 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/09(日) 23:51:29.97 ID:pFKoOvFd0


貴方「でも志筑さんこそいいの?お嬢様学校行くとか言ってなかったっけ?」

仁美「納得させられればいいのですわ。優秀な学校なんていくらでもありますし。それに、ちゃんと私が選んだ道を行きたいですから」


 こんな言葉を聞いたら、やっぱり俺もちゃんと考えないといけないなって気がしてきた。


仁美「そして……学校を卒業しても、私たちにはあの約束がありますよね。いつか話してくれるって」

仁美「いつでも……いつになっても、待ってますからね」


 ……そうだ。志筑さんとはその約束もある。

 勉強も頑張らないといけないし、魔法少年のほうも頑張らないといけないな。


貴方「ああ。約束だ」


 なるべく早く安心して話せるように、全ての魔女を倒すんだ。――絵馬には書けない願いだけど、そう胸の中で再び誓った。


貴方「その振袖、いいね。志筑さんって和服も似合うんだね」

仁美「! ありがとうございますっ」


 ふわりと花開くように、志筑さんが微笑んだ。


 ――――そこにまた、聞き覚えのある話し声が聞こえてくる。


まどか「ぱんぱんっと手を叩いて……あれっ、その前にもおぎじだっけ」

「ぱんぱんぱん!」

まどか「たっくん、めちゃくちゃにやったらよくないよ」

「おぎじー!」

「二拝二拍手一拝だよ。その前に手も洗わないと」


 鹿目さんとそのご家族だ。

 弟に参拝の仕方を教えてたらしい。

94 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 00:29:47.93 ID:Bg6291ZZ0


貴方「鹿目さん、来てくれたんだね。あけましておめでとう」

仁美「あけましておめでとうございます」

まどか「あけましておめでとう。仁美ちゃんも来てたんだね」

仁美「はい。午前中だけしかいられませんが」

まどか「やっぱりおうちのこと?仁美ちゃん、毎年冬休みは忙しそうだなって思ってたから」

仁美「なかなかゆっくりとはしてられませんわね……」

まどか「うちはもうゴロゴロとだらけきっちゃってるよ」

貴方「まあうちもそうかな……」

仁美「【貴方】くんはしっかり働いているじゃないですか」

貴方「まあ家の手伝いはしてるか」

貴方「じゃあ、特別に優先して……とはいかないけど、参拝しにいこうか。わからなかったら同じようにやってくれたらいいから」

まどか「たっくんも、まねっこしようね!」


 みんなで列に並ぶ。

 鹿目さんの家族、この間は全員家に揃ってる時の休みの風景を覗いてしまったけど、ちゃんと会うのは初めてだった。


 ――参拝が終わると、おみくじを引きに行った。

 ここだけは友達特権で割引することを許してもらっていた。




・みんなの運勢
 下1(貴方),2(仁美),3(まどか)レスコンマ判定

0~20大吉
21~40中吉
41~70吉
71~80末吉
81~90凶
91~99大凶
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 00:35:19.78 ID:wZN+LhsL0
どうだ
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 00:39:01.09 ID:blDkiKAeO
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 00:44:47.91 ID:U1gzsgrbO
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 00:51:58.50 ID:3zeqxZ190
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 01:10:03.17 ID:tWb6jxqS0
まどか、大凶・・・
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 01:18:39.03 ID:/cBBBRbuo
不吉やな
101 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 01:36:37.83 ID:Bg6291ZZ0


 古典的なおみくじ。結果が出る瞬間っていうのはなんとなくワクワクするものだった。

 俺も今はじめてみんなと一緒に引く。結果は――。


貴方「末吉……地味だなぁ」

仁美「地味でも幸せならいいじゃありませんか。私は……まあ、大吉!気分いいですわね」

貴方「慰められた気がしなくなった……」

まどか「……こ、これって、逆にレアだったりするんだよね?」

貴方「え?鹿目さんは? だ、大凶か。うーん、逆に……?」


 俺はともかく、こうも大きく結果が分かれるとは。


貴方「まあこれは現時点での運で、悪くても変えていけると思うからさ」

貴方「運も人生も自分でつかみ取るもんだよな!」

まどか「うん。そうだよね!大凶でも頑張るよ!」

仁美「この幸せを維持できるように頑張りますわ」


 神社の息子らしいことを言って、かっこいいことを言って締めてみた。

102 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 02:05:16.03 ID:Bg6291ZZ0

――――
――――


 ――……昼時になると、仁美は用事があるからと帰っていった。

 自分もまた手伝いに戻ってた。


 昼食休憩中に鹿目さんと二人で話す。今日は食べ物や遊びの屋台も出ている。

 鹿目さんの家族も今はちょうど弟と一緒に遊びに行っているようだ。


貴方「これ差し入れでたくさんもらったから、鹿目さんもよかったらどう?うまいよ」

まどか「ありがとう!」


 屋台のごはんも美味しいものだった。お祭り気分。


まどか「今日は呼んでくれてありがとう。おかげで家族みんな楽しんでるよ」

貴方「それはよかった。あ、そうだ。エイミーはあれからどう?」

まどか「トイレは使ってくれてるみたい」

貴方「そっか、ならまあとりあえずこれでいいのかな……」


「お、まどかいた。お友達とお喋り中か」


 エイミーの話をしてたところにご家族がやってきて、少し慌てる。

 とはいえ内容までは聞かれてなさそうだ。


まどか「たっくん、荷物増えたね!景品?」

「そこのスーパーボールすくいでとってきたんだ」

「【貴方】くん、この前はうちも何の準備もしてなかったしすぐ行っちゃったけど、余裕がある時にまたおいでね」

「きっとああいうことがなければ、まどかは男の子を家に招くなんてそうそう自分からしないだろうし」

貴方「あ、はい。ありがとうございます!」

「まどかのお友達の幅が広がったなら嬉しいし、それに……ま、歓迎するよ」

まどか「わたしももちろん歓迎はするんだけど……ママ、その間はなに!?」



 鹿目さんや鹿目さんの家族と少し話をして、また手伝いに戻っていった。

 2012年、か。 良く耳に馴染んだ年が去り、まだ聞きなれない新年が明けた。

 ――――今年もいい年になりそうだ。



まどか(もちろん歓迎はするんだけど、ママにからかわれそうなのがイヤなんだけどなぁ……)



四回目【貴方】 40日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・問題共有↑
・美樹さやか・・・親友
・志筑仁美・・・親友
・暁美ほむら・・・気まずいことがあった
・佐倉杏子・・・自分のことを話した
・巴マミ・・・親友

[攻略済]
美樹さやか
暁美ほむら1
巴マミ
志筑仁美


強制ENDまで【残り:3回】
103 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 02:07:35.80 ID:Bg6291ZZ0

― 八週目(冬休み前半) 終了 ―



[好感度] to貴方
美樹さやか★★★巴マミ★★★志筑仁美★★★>鹿目まどか★>佐倉杏子>暁美ほむら

★…フラグ一段階目 「気になる」
※大抵の場所なら誘ったらOKしてくれると思います。
※放課後行動では勝手についてくることもあるかもしれません。

★★…フラグ二段階目 「特別」
※【貴方】との行動を優先します。
※ここまでくればあとは流れに乗るだけだ!

★★★…フラグ三段階目 「恋慕」
※実質落ちてる。
※個別ENDにいってもいかなくても攻略済み。

☆…互いに恋人として誓い合った仲。他の人の好感度上げすぎると多分マズイことになる。
  もし他の人に言い寄るようなことしたら普通に浮気です。

▽…嫉妬Lv1
※ハーレムならつきものくらいの可愛い嫉妬だよ。
※この辺で留めておかないと色々濁るかもよ。マズそうな選択肢は控えよう。
104 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 21:39:25.27 ID:Bg6291ZZ0
41日目 冬休み



 年が明け、イベント事も終えて冬休みも後半戦。




・何して過ごそうか
1誰かに連絡してお誘い(まどか/さやか/ほむら/マミ)※キャラによっては断られることもあります
 a遊びに行く
 bパトロールに行く
 c訓練する
 d家に誘う
 e相手の家に行く
2手軽に誰かとチャット(まどか/さやか/ほむら/マミ/仁美)
3QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
4でかける
 a猫のいた茂み
 b繁華街
 c訓練場所
5家の手伝いでもするか
6自由安価

 下2レス
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 21:40:14.23 ID:3zeqxZ190
1bほむら
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 21:40:59.28 ID:/cBBBRbuo
107 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 22:21:36.83 ID:Bg6291ZZ0


 ……この前は佐倉さんにも会ったし、旅行に行ってた仁美も帰ってきて、さやかや鹿目さんも誘えばすぐ会える距離にいる。

 で、前に話題に出た気がするけど結局暁美さんってどうなったんだっけ?


貴方(さすがに携帯に連絡入れれば届かないってことはないだろうけど……)


 久しぶりにパトロールどうですか、とメッセージを送ってみたものの。


貴方(まだ年明け早々だし、帰ってきてないかな)



 ――――その後、結構経ってから返事がこないことに気づいた。

 どこにいるのか、真相はわからない……。




四回目【貴方】 40日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・問題共有
・美樹さやか・・・親友
・志筑仁美・・・親友
・暁美ほむら・・・気まずいことがあった
・佐倉杏子・・・自分のことを話した
・巴マミ・・・親友

[攻略済]
美樹さやか
暁美ほむら1
巴マミ
志筑仁美


強制ENDまで【残り:2回】
108 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 22:29:32.65 ID:Bg6291ZZ0
【訂正】>>107 40日目終了→41日目終了
---------------------------------------------

42日目 冬休み



 ……朝、か。



・何して過ごそうか
1誰かに連絡してお誘い(まどか/さやか/ほむら/マミ/仁美)※キャラによっては断られることもあります
 a遊びに行く
 bパトロールに行く
 c訓練する
 d家に誘う
 e相手の家に行く
2手軽に誰かとチャット(まどか/さやか/ほむら/マミ/仁美)
3QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
4でかける
 a猫のいた茂み
 b繁華街
 c訓練場所
5家の手伝いでもするか
6自由安価

 下2レス
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:31:02.05 ID:3zeqxZ190
1e仁美
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:36:13.08 ID:FNfY+3UJ0
1bほむら
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:39:12.10 ID:tWb6jxqS0
ほむらどうした?
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:42:03.64 ID:3zeqxZ190
もしかして期間的に消えたのか?
113 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 22:46:39.11 ID:Bg6291ZZ0

※【強制END確認】※
強制ENDまで【残り:2回】→強制ENDまで【残り:1回】



 現時点で攻略途中のキャラクターが二人、かつ、ほむらが未攻略です。

 エンディングはいわゆる世界観の根底をゆるがすタイプのものであり、ほむら自身の好感度も展開に関係します。

 それでも強制エンディングフラグを進めますか?



1強制エンディングへのフラグを進めます
2やっぱやめよう

 下4レス中多数決
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:47:29.40 ID:FNfY+3UJ0

今はやめろってことか
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:47:34.61 ID:VzDcBSe3o
1
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:47:41.94 ID:yo/kxF3c0
1
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 22:47:48.42 ID:3zeqxZ190
1
118 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 23:11:25.54 ID:Bg6291ZZ0


 ……もしかして、昨日は気づいてもらえてなかったのかも?

 もう一度送ってみようか?


 ちょっとためらったけど、もう一度昨日と同じものを送ってみた。

 単に無視されてるだけだったのかもしれないから。……まあ、その心当たりはあった。


貴方(……そうか、単に暁美さんのことが知りたいならさやかに聞けばいいんだよな)

貴方(連絡してみたらって言ったのは俺だし)


 今日も返事はこなかった。

 その代わりにさやかに連絡してみる。


さやか『……ああ、ほむらのこと?連絡はしてみたよ』

さやか『普通にこっちにいるみたい。今頃一人でお雑煮でも食べてるんじゃない?』

貴方「……あ、そうなの?」


 じゃあ、本当に無視されてるだけなのか……。いや、嫌われすぎじゃないか!?


貴方「一人でお雑煮って言い方寂しいなあ」

さやか『言ってやるなよ!』

貴方「ていうかそれも想像だろ。……でも、一人暮らしでこっちにいるならそうなるのか。お雑煮自体食ってないかもしれないけど」

さやか『帰ってやればいいのにねー。家族仲悪いのかね?』


 暫くさやかと電話口でとりとめのない話をして過ごす。

 ――その間も返事がくることはなかった。



四回目【貴方】 42日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・問題共有
・美樹さやか・・・親友
・志筑仁美・・・親友
・暁美ほむら・・・気まずい→
・佐倉杏子・・・自分のことを話した
・巴マミ・・・親友

[攻略済]
美樹さやか
暁美ほむら1
巴マミ
志筑仁美


強制ENDまで【残り:1回】
119 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/10(月) 23:59:34.67 ID:Bg6291ZZ0
43日目 冬休み


 ……朝だ。


 まだ半分あると思っていた冬休みももうすぐ明けてしまう。

 なんだか少し無為に過ごした気がするな。



・何して過ごそうか
1誰かに連絡してお誘い(まどか/さやか/マミ/仁美)※キャラによっては断られることもあります
 a遊びに行く
 bパトロールに行く
 c訓練する
 d家に誘う
 e相手の家に行く
2手軽に誰かとチャット(まどか/さやか/マミ/仁美)
3QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
4でかける
 a猫のいた茂み
 b繁華街
 c訓練場所
5家の手伝いでもするか
6自由安価

 下2レス
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 00:00:35.39 ID:bTulGf/w0
a
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/11(火) 00:00:47.92 ID:V3gAVYCMO
3杏子に伝言
パトロールに誘う
122 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/11(火) 00:36:22.55 ID:wZH+dhK70


貴方「キュゥべえ、いる?」

QB「はいはい!なにかな?」

貴方「…………!」


 なんとなくそんな気はしてたけど、なんかもう当然のようにきやがった。


QB「??」

貴方「……いや、本当に来るとは思ってなかった」

QB「これまでと変わらないサポートを提供するためだよ!今までだったら学校にいけば杏子以外は揃ってたけど、今はみんなバラバラだから大変なんだよね」

貴方「いやたぶんそれはサポートという名のストーカー」

QB「それで、呼んだからには用があるんじゃないのかい? いつもと同じくらいの用件なら承るよ?」

貴方「じゃあ……佐倉さんに会ったら伝言頼めるか?パトロールに誘いたい。時間はいつもの放課後くらいからで構わないから。待ち合わせ場所は――」


 ――ふむふむと頷いて、キュゥべえは飛び去って行った。

 夕方まで暇だな。少し時間を潰すことにした。


――――
――――


 夕方になって、街に出る。街中から、街の隅っこへと。

 待ち合わせ場所に選んだのはいつもの訓練場所だった。この前もここで会ったから、なんとなくだった。


貴方(キュゥべえはちゃんと伝えてくれたみたいだな……)


 人目につかないほうへと踏み込んでみると、先に来ていた佐倉さんが一人で訓練してる姿があった。

 こういうの見るのって珍しいな。巴さんから指導されてたり、逆にさやかとかを指導してたりするのは見るけど、自己鍛錬ってあまり見ないから。

123 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/11(火) 01:10:00.96 ID:wZH+dhK70


 この前とは逆に、気づかれないようにそーっと近づいてみようとする。


杏子「!」


 ――が、さすがに気配を察する力にも長けているらしい彼女の方が一枚上手だった。

 振り向きざまに突き付けられた槍には必要以上の敵意は感じられない。相手が誰だかもわかった上で、驚かされただけだった。


貴方「さ、さすがだね。佐倉さん」

杏子「あたしの背後を取ろうなんて百年早い。じゃ、行くか?」


 さすがに百年は言いすぎだと思う……。そんなことを思いながら出発した。

 冗談のやりとりをできるようになっただけ進展したといえるのかな。


貴方「たまに一人で訓練してるんでしょ? 佐倉さんも努力家なんだね」

杏子「まあ、むしろ一人になるついで? たいしたことじゃない」

貴方「そうか。そう言えるのがすごいよ。俺もがんばんなきゃなぁ……」

杏子「おー、頑張んな。あたしなんかよりずっとご立派な志掲げてるんだろ?」


 投げやりな言い方だけど、一応応援と受け取っておいたほうがいいのかな。

 足頼みに怪しい場所を回っていく。ある程度はパトロールのルートは決まっていた。

 そのうちに魔力の反応を見つけ、結界に入っていった。

124 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/11(火) 01:14:09.08 ID:wZH+dhK70
-------------------------
今日はここまで あしたもたぶんやる
125 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/12(水) 01:35:30.19 ID:N2BbTA6k0


貴方「この結界、暗くて足元が見づらいな……そうだ!ソウルジェムで照らすのはどうかな?魔力の使い方次第ではライトにできる!」

杏子「魔力の使い方としちゃ考えたほうかもな。でも却下だよ」

貴方「えっ、なんで!?」

杏子「この通路、そんなに狭くないし。こんな暗いとこに住む住人はあたしたちより闇にも目が慣れてるだろうねえ」

杏子「そんな中で目立つことしたら相手にも目印知らせるようなもんじゃん?」

貴方「ああ、言われみればたしかに……」

杏子「それに、光だけじゃない。あたしたちが魔力を辿ってここまで来たように、魔女や使い魔だって魔力に反応する」

杏子「囲まれたらちょっとキツいんじゃない?――まあ、あたしならまとめてぶっとばせないこともないけど」


 佐倉さん、考えるより動くのが得意そうなタイプに見えて意外と考えてるんだなって思った。

 ……経験の量か。


杏子「しっかりしてよ、ガッコじゃ頭いいんでしょ?アンタ」

貴方「あれ……それは誰から聞いた?」

杏子「まどかが話してた」


 鹿目さんが俺の話を、かぁ――……なんて、浮かれてる場合じゃない。


杏子「まあこのくらいならそんなに見えないわけでもないだろ」

貴方「! じゃあ、魔力で視力のほうを強化する方法は?それなら使う魔力も少しで済む」

杏子「いいんじゃない? アンタに言われたのが悔しいけど、認めてやるよ」

貴方「悔しいって、そんなぁ」


 佐倉さん、素直すぎるのか素直じゃないのか、どっちが近いのかな。

 まあまだ他の仲間に比べて信頼しきってないのはわかってる。地道に認めていってもらうしかないか。

126 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/12(水) 02:00:17.23 ID:N2BbTA6k0


 ――魔力を目の神経に通していくと、目に入る光が増幅され、暗闇でも細部まではっきりと輪郭が見えるようになった。

 視力といっても、普通に健康診断で測るような距離によるものの見え方だけではない。

 今だけ普通の人間の目よりも夜行性の猫や猛禽類の目の性能に近くなる。


杏子「見えるようになったな。じゃ、いくか――――っ、ん?」


 隣でなにかをぐにゅっと踏みつけたような音がした。さっきからも歩いているうちにたびたび足を取られることがあった。

 改めて足元を見てみると、なんかとりもちのような――汚い話をすれば痰の塊のような――粘着物が落ちていた。


杏子「……! きっも、うわきっも!!」

貴方「これは見えないほうがよかったかもな……」


 しかし、良く見えるようにしたのにその直後に踏んづけるって、うっかりなとこもあるのかな。


杏子「とっとと魔女を倒すぞ!こんなとこさっさとオサラバしてやる!」

貴方「それには賛成だ。……それにしても、なんで魔法少年は少なからずいるのに敵は魔女だけなんだろう?」

杏子「知るか。キュゥべえが言ってたからってだけだよ。化け物共に性別もなにもないと思うけどな」

杏子「じゃあこんなキモイことするのは男だろ」

貴方「それは男女差別……」


 とはいえ、見えるようになったらだいぶ気持ちの悪い結界だ。

 これで家主が女……というかメス?と言われたらちょっと引くかもしれない。


貴方(それこそ化け物相手に考えることでもないか……)

127 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/17(月) 00:01:22.00 ID:B3NRTABa0


 ――――結界の奥に居たのは予想通りの化け物らしい見た目の化け物だった。

 最深部に来た途端、眩しいまでの明かりが部屋全体を照らしていた。視力の強化に当てた魔力を解除する。


杏子「なんか思った通りの奴だなあ」

貴方「たしかにね」

杏子「さっさと片付けるか!」

 
 佐倉さんが先に攻撃を仕掛けにいく。これには注意をひきつける意味もあった。

 魔法少女として先輩だからということもあるが、彼女が率先して切り込み隊長になっていることが多かった。

 毎回こういう危険な部分を任せるのも気が引けるけど、やっぱり上手く出来るのは彼女のほうだし、プライドもあるんだろう。


 佐倉さんは武器のリーチが長く足も速い。おまけに一撃の威力もある。いざとなれば力押しでなんとかすることもできる。

 こっちも中距離までは対応できるけれど、もっと近づかないとそこまでの威力は出ない。


貴方(前も思考を大事にってのは言われてたもんな……できることを活かさないと!)


杏子『よしっ、回り込んだな!』


 死角を突いた攻撃で結界の壁へと拭き飛ばし、飛び道具で磔にする。

 魔女が起き上がらないうちに、佐倉さんが槍を振るって勢いをつけた一撃でトドメを刺す。

 連携はスムーズだ。


杏子「いっちょあがりか」

貴方「なんとかなったね」


 近くに居た佐倉さんがグリーフシードを掴みあげ、今回も何事もなく終わった――――と思った矢先だった。


杏子「…………は?」


 こっちももう気を抜いてたし、佐倉さんがそんな声を上げたことすら深く気に留めなかった。


 ――――景色が変わるまでは。

128 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/17(月) 01:31:03.20 ID:B3NRTABa0


 魔女を倒せば結界は消滅し、元の景色が戻ってくる。しかし今回は予想と違う。景色は戻らず、『別の物』に塗り替えられていく。

 気を抜いていた俺も、さすがにその光景を見れば異変は察する。


貴方(別の魔女が潜んでた……!?)


 再び戦闘態勢をとる。何が敵かわからない中、周囲を見回す。

 佐倉さんがグリーフシードを手から離したのが見えた。


杏子「まだだ!セコいマネを……!」


 つまり、倒したと思ったのが偽物だったということだったんだろう。

 それに別の魔力があれば二人もいればどっちかが気づけたはずだ。

 変わりゆく景色の向こうに何かの影が揺らぐ。彼女はそこに再び狙いをつけて穿つ。しかし、魔女が現れたのはその背後だった。


貴方(違う!そっちじゃない――――!)

杏子「これもハズレかよ!」


 現れた影は囮。もちろん佐倉さんもそれにすぐ気づく。

 しかし、囮は囮でも実体を持った囮だ。絡み付いた靄が動きを遅らせた。


 ――――間に合えと念じ、なりふり構わず走り出す。

 俺にもっと実力があれば颯爽と魔女に一撃ぶち込んで助けることもできたのかもしれない。

 今度は巴さんの時みたいにはいかなかった。こんなとき、どう頑張っても何かを犠牲にしなければいけない『限界』があることを思い知った。

129 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/19(水) 22:26:39.72 ID:svJCOAsf0


杏子「……はぁ!?」


 仲間に危機が迫って出来たのは、間に割って入ることだけだった。

 佐倉さんは覚悟していた衝撃が来ず、代わりに訪れた展開に驚いていた。


 敵の攻撃を、腕を伸ばして遮った。その片腕が肘から『無くなっている』。

 自分でも驚くほどに他人事に捉えてた。しかし、自覚すればするほどに痛みが現実味を伝えて悲鳴を上げた。


 ――……他人事じゃない。どうにかなるのかこれ。


貴方(くっ……カッコつけたけど俺も無様だよな、でも)


 身体は起き上がれなくとも心ではまだ踏ん張ろうとする。俺たちの戦いは終わってない。

 正直悔やみそうにもなった一瞬もあったが、それでもやっぱり、こう思った。


貴方「――――佐倉さんが無事で、よかった」

杏子「お前、ホントなにしてんだよ!? ……チッ」


 ベテランでも必ず勝てるわけじゃない。相性次第なことはわかってた。

 でも今までなにかあってもなんだかんだで自分や仲間に大きな被害が出ることがなかったから、こんなことは初めてだった。

 ……大怪我なんてもんじゃない。もし一人だったらどうにもならなかった。


貴方「ごめん……後のこと頼んだ」

杏子「言われなくてもすぐ終わらせてやる!そこで待ってろ!」

130 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/19(水) 23:52:58.28 ID:svJCOAsf0


 ――――ついに目の前に姿を現した魔女を、佐倉さんは今度こそ無駄ない動きでなぎ倒していった。

 囮なしの一騎打ちとなれば佐倉さんが負けるはずもない。戦いに舞う赤色は鮮烈に映った。


 その光景を眺めているうちに戦いは終わっていた。


杏子「……なんでこんなことしたんだよ。言っただろ。あたしは治癒魔法が得意じゃないんだぞ」

杏子「あたしがやられるくらいの相手ならすぐ逃げろって」

貴方「でも……仲間は守るって誓ったから。気付いたら動いてたんだよ」

貴方「それに本当に佐倉さんはすぐに倒してくれたから、佐倉さんが動けなくなるよりはよかったんじゃないかな?」

杏子「馬鹿かアンタ……!」


 そう言いつつ佐倉さんは治してくれてた。

 落とされた腕は幸い回収できた。治療が得意じゃなくても二人がかりで治せば繋げるくらいにはなる。

 ただ完全に修復しきれてないのか失った血の分か、まだ少し違和感は残ってるけれど。


杏子「……自業自得であるべきなんだよ」

貴方「……『自業自得』?」

杏子「今日のはアンタが勝手にヘタ打ったのとは違う。あたしの失敗だ」

杏子「『守れた』なんて思うなよ。下手したらまとめて全滅ってこともありえたんだ」

杏子「仲間ったって赤の他人庇って共倒れとかおかしいだろ。割に合うわけねえ」

杏子「……なんで自分より他人を優先する奴がいっぱいいやがるんだよ、この周りには。まさかとは思ってたがアンタもだったってわけか」


 険しく呟かれたその声は、悔しげな感情も乗せていた。

 ……まるで認めたくないみたいな。
131 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/20(木) 00:40:41.61 ID:55AozeoU0


貴方「前に言ったことも口だけって思われてたなら、それはちょっと悲しいかな」

貴方「……でも佐倉さんは、前から仲間がいる時の失敗は連帯責任だって言ってたよ」

杏子「それとこれとは別だ!」

貴方「自分だけで勝てた自信もないし、むしろ佐倉さんには助けられたと思ってるけどね」

貴方「自分の身も守れなかったのは悔やまれるけど、やっぱり後悔はしてないよ」

杏子「死んでも同じことが言えんの?」

貴方「死んだら何も言えない、っていうのは置いとくとして……自分だけ生き残るよりはきっと。それはそれで後悔して生きてくことにはなるだろうから」

杏子「……そうか」

貴方「佐倉さんこそ、その言い方だとまるで自分は死んでもいいみたいに聞こえるよ」


 佐倉さんは戦いについての考え方はかなり真面目なところがある。

 魔法少女としてはあまり褒められたものではない行動をしてたっていうのも、聞いたことはあった。

 ……凄惨な過去のことが絡んでいるのだろう。この反応を見るにあまり間違ってなかったのかもしれないと思った。


杏子「……あたしはいいんだよ、別に」

杏子「好きでこういう生き方してんだから、それでいつか死ぬのもとっくに了承済みだ」

杏子「まあ、さっきのことは礼はしとく。アンタのことはマジに認めてやるよ」



 『好きで』――と言ったけど、それだけじゃないのも知ってた。

 認めると言ってくれたのは嬉しかったけど喜びきれない気分だった。




四回目【貴方】 43日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・問題共有
・美樹さやか・・・親友
・志筑仁美・・・親友
・暁美ほむら・・・気まずい
・佐倉杏子・・・認められた↑
・巴マミ・・・親友

[攻略済]
美樹さやか
暁美ほむら1
巴マミ
志筑仁美


強制ENDまで【残り:1回】
132 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/20(木) 01:05:10.45 ID:55AozeoU0
44日目 冬休み



 ……契約者にも得意な魔法と苦手な魔法がある通り、身体能力にも差はある。

 俺も回復魔法は得意じゃないけど、苦手というほどでもない。魔法少年として自然治癒力も人並みよりはあったようだ。


貴方(――……よしっ)


 準備運動のように腕を動かす。一日経つと違和感は気にならないくらいには消えていた。


貴方(でも考えてみると、不思議なもんだよな)

貴方(一度完全に切り離されたってのによくくっつくもんだよ……)


 ……思い出したら寒気がしてきた。

 こういうのって戦いに気が向いてる時より、後になってからのほうがくる気がする。



・何して過ごそうか
1誰かに連絡してお誘い(まどか/さやか/マミ/仁美)
※キャラによっては断られることもあります ※ほむら及び強制END関連の選択肢は冬休み明け以降
 a遊びに行く
 bパトロールに行く
 c訓練する
 d家に誘う
 e相手の家に行く
2手軽に誰かとチャット(まどか/さやか/マミ/仁美)
3QBよぶ ※雑談、相談、杏子への伝言をたのめます
4でかける
 a猫のいた茂み
 b繁華街
 c訓練場所
5家の手伝いでもするか
6自由安価

 下2レス
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/20(木) 01:26:32.96 ID:09OjLYvBO
4a
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/20(木) 01:43:50.17 ID:mfmS4vrH0
135 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/24(月) 00:54:49.96 ID:XQCMjiMg0


貴方(そういえば、猫……エイミーはどうしてるかな)

貴方(行ってみるか)


 様子をこの前鹿目さんから聞いたぶりだ。

 散歩がてらにあの茂みへと足を延ばしてみる。鹿目さんほど近所でもないが、遠い散歩というわけでもなかった。


貴方(――――この辺だったよな)


 エイミーが留守でもタオルやトイレといった物が目印になってる。特にトイレはおおきいぶん少し奥を覗けばすぐに見える。

 見つけると少しほっとした。たった数日ぶりだ。毎日通ってるわけじゃないがそんなに時間が経ったわけではない。


貴方(エイミーも散歩にでも出かけてるのか……?)


 相変わらずの寒空だが今日も晴れてる。散歩日和といえばそうかもしれない。

 エイミーは不在らしいので住み処の様子を覗ってみる。

 トイレは綺麗に掃除されてた。使ってないから……というわけではないと思いたい。鹿目さんから聞いた限りでは使ってるらしいし。


 そうしてると、いつのまにか鹿目さんも近づいてきてた。


まどか「あっ、【貴方】くん来てたんだ」

貴方「ああ、ちょっと気になって。トイレもちゃんと綺麗にしてるんだね」

まどか「うん、お掃除はごはんあげるついでにしてるんだけど……」


 鹿目さんはどこか暗い表情で言いよどむ。


貴方「……だけど?」

136 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/29(土) 22:52:45.04 ID:9InJi2Sv0


まどか「掃除したのは一昨日きりなの。ご飯も毎日あげにきてて、減ってることもあるけど、エイミーの姿を見てないんだ」

貴方「一昨日……か。ちょっと心配だね」

まどか「うん。前からここを住み処にしてたし……」

貴方「一昨日からトイレも使われてないんだよな。たまたま鹿目さんが来た時不在だったってだけならまだいいけど」


 その場合はどこで食事とトイレを済ませてるのかが気になるとこだが。

 どっか別の場所で良くしてもらってるとか、誰かが保護したとかなら……寂しいけれど、まだいい。


まどか「……今もご飯持ってきたんだけど、やっぱ心配だよ」

貴方「ご飯たまに減ってるって言ってたのは?」

まどか「エイミーが食べてるのか、他の猫や動物が食べてるのかわからないんだよね」

貴方「そうか。そうだな」

まどか「わたし、今から探しに行ってみる」

貴方「探すって、どうやって? 闇雲に探すのは無謀だよ。魔女みたいに魔力の反応もないんだから」

まどか「無謀でもいてもたってもいられないの」


 鹿目さんは不安そうにしている。

 まあ、たしかに俺も心配だ。ここまで気にかけてきたんだし、野良とはいえすでに自分たちで飼っているような意識はあった。


1(行先提案)
 a公園
 b歩道橋
 c土手
 d廃工場
 e駐車場
2キュゥべえの奴とか知ってたりしないかなあ…
3自由安価

 下2レス
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 22:58:45.04 ID:G80TsAp60
安価↓
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 00:02:15.97 ID:HbmDKXI7o
単発だけどいいよね

役所の清掃事務所に相談
死んでないかだけでも確認する
139 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/30(日) 00:36:33.81 ID:HBJBAFBr0
もちろん歓迎ですよー
--------------------------



貴方「あのさ……縁起でもない話だけど、どこかでもし動物が死んでたりした場合って、どうなるのかな」

まどか「ふえ……? どうって……」


 いけない、さらに不安そうになってしまった。


貴方「ごめん、最悪の場合を確認したいだけだから……。そういうとき、街に片づける人がいるんじゃないかと思って」

まどか「あ…… その人に聞けば確かめられるかもってこと? 誰に聞けばいいのかな?」

貴方「街の…… 市役所の人とか?」

まどか「市役所かぁ。そうだね、闇雲に探し回るよりもまずは聞いてみたほうがいいのかも」


 鹿目さんも納得してくれたようだ。とりあえず二人で市役所に向かう。

 ネガティブなことばかり考えてたわけじゃない。俺だって安心がしたいんだ。


 ――――そして、目指すは駅のほう。見滝原のもっとも賑わう中心部。

 普段そうそう入ることのない場所に足を踏み入れるのは少し緊張する。


貴方「……ここか」

まどか「えぇと、どこに行けばいいのかな……?」


 こっちはただの中学生二人。周りには大人ばっかりだ。来てみたはいいものの広すぎて尻込みしてしまう。

 そうしていると、案内の人が声をかけにきてくれた。

 事情を話して案内された先で待つ。


まどか「エイミー、大丈夫かなぁ……」

貴方「だ、大丈夫だよ、きっと…… ここに来たのも念のためだし」


 特徴は伝えた。首輪があるのが役に立った。黒猫というだけではいくらでもいるだろうから。

 なによし、そんなありふれた外見特徴だけでエイミーだなんて信じたくない。

 でももしこれで遺体を片づけたって聞かされたら信じるしかないんだろうか。


 悩み始めた時に呼ばれる。

140 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/30(日) 01:09:55.88 ID:HBJBAFBr0


貴方「――――あっ、そうなんですか?」

まどか「よかったぁ……」


 ――――結論から言って、特徴に一致する猫の遺体を清掃した報告はないらしかった。

 俺たちみたいな子供相手でも優しく話してくれる人でよかったと思う。

 ひとまず最悪の返事は聞かされなかったけど、まだ安心できたわけではない。


まどか「うん、見つかったわけじゃないからまだ心配だね……。どこにいるんだろう」


 ただ――、こうも釘を刺されてしまう。


*「君たちの飼い猫なんだよね?出来ればこうやって心配することがないように、完全室内飼いを推奨しますよ。やっぱり平均寿命も違いますから」

貴方「え……、あー」

まどか「野良猫なんですけど……」


 言葉に詰まって、鹿目さんが代わりに言った。

 ……死骸もだが、この人たちは前に鹿目さんのお父さんが気にしてたように糞尿も片づけてそうだ。


 提案されたのは、里親を探してみてはどうかということだった。ボランティア団体に頼れば引き受けてくれるとこもあるらしい。

 保健所は拒否感がある。そこでも募集はしてくれるらしいけど、一定期間以内に決まらなければ処分だそうだ。

 それはいやだ。


貴方「と、とにかく、エイミーを見つけなきゃだよな。振り出しに戻っちゃったけど……」

まどか「一つ情報が得られただけでも嬉しいよ。少し安心もできたから」

141 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/08/30(日) 02:36:29.85 ID:HBJBAFBr0


 帰り道、回り道をしながら元の場所へと戻るように歩いてみる。

 道の隅に注意を向けてみると、野良猫は稀に見かける。でも首輪をしてるのはそう見かけない。

 思った通り、闇雲に探すのはきつい。注意を張りすぎて、猫かと思ったらビニール袋だったこともあった。


 ……結局見つからずに戻ってきてしまったと思ったが、エイミーはあの場所の近くに居た。

 黒い塊のように道の隅にうずくまってる首元にはたしかに前につけてあげた首輪があった。


まどか「エイミー!こんなところに……! もどってたんだね」

貴方「なんだ、戻ってたのか。よかった」

まどか「……エイミー?」


 近づいてもいつもみたいに寄ってくることもなく、力なさそうに見えた。

 よく見てみると怪我をしてるみたいだった。多分、傷痕からして猫同士の喧嘩だろうか。

 猫は具合が悪くなると姿を隠すっていうのはどっかで聞いたような気はする。


まどか「エイミー!」


 鹿目さんもそれに気づくと、そばに寄っていって治癒魔法をかける。


まどか「……怪我してたから姿を見せなかったのかな?喧嘩したんだよね」

貴方「それで隠れてたのかな」

まどか「縄張りを争って負けちゃったのかなぁ……」


 そういえば、魔法少年・少女の世界もグリーフシードを巡って縄張り争いは多いと聞いたっけ。

 より稼げる場所を求めて元居た契約者を追い出したり、追い出されたりは日常茶飯事らしい。

 自分たちのいる世界と少しだけ被る。入った頃には攻め入る隙もないほどチームが出来上がってたから、実感はほとんどないけれど。

 ……考えてみれば、野生っていうのはもろにそういう世界だよな。思っていたよりも過酷だ。


 魔法の力があればたちまち怪我は治る。医者なんかに診てもらうよりもはるかに早く完璧だ。

 ……しかし、それですべて解決とは思えなかった。


まどか「……【貴方】くん、わたし、やっぱり里親探してみようと思う」

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/03(木) 20:22:50.76 ID:Q2ueVRnW0
ここも平日無理かあ
143 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/04(金) 00:42:02.94 ID:o3TxXGyN0


まどか「役所の人にも言われて気づいたの」

まどか「最初はお腹すかせて可哀想だからって思いで始まった。だけど、ご飯をあげてればいいわけじゃなくて、他にも気にすることがたくさんあって……」

まどか「必要なものは揃えたつもりだったけど、本当だったらこういう予想外のことが起きた時にお医者さんにつれてくお金も用意できないから」


 ……さっきの市役所でも聞かされていた。

 猫を保護している人たちが何をやっているか。かかる費用。これからワクチン注射や避妊手術もしなきゃいけないらしい。

 その金も自分たちでは払えないし、野良のままでは車に轢かれたり動物や悪い人に襲われる危険から守れない。


まどか「エイミーはとてもわたしに懐いてくれたし、わたしも張り切ってた。出来ることはなんでもしようって思ってた」

まどか「でも……エイミーのことも人のことも考えたら、これが一番いいんだと思う」

貴方「うん。実際、鹿目さんはよくやってたと思うよ」

まどか「ありがとう、【貴方】くん……」


 そう言った鹿目さんは、やっぱり寂しそうで。

 ご飯をあげた。お世話をした。名前を付けた。首輪も着けてあげた。半分は飼ってるって感覚はあった。


貴方「……俺もここまで見てきたから他の人の家に行くのは寂しいけど、寂しいってだけじゃやっぱエゴなんだよな」


 でも結局、“二人の秘密”にしかできなかったのも後ろめたい気持ちがあったからだ。


貴方「二人でエイミーに最高の里親を見つけてあげよう!」

まどか「うん!」


 行き先が決まるまでの数日くらいなら、エイミーを家に置くのも親に頼み込めばなんとかなるかもしれない。

 幸い二人ともペット禁止の家ではない。

 そう決めて、まずは近い鹿目さんの家に頼みに行くことにした。



 ――――……こうして、初めて二人で共有した“秘密”は幕を閉じた。

144 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/04(金) 01:15:56.10 ID:o3TxXGyN0


まどか「ママ、本当にいいの!?」

貴方「話してみてよかったね……」


 鹿目さんの家には今日も両親が揃ってた。

 大人からしたら新年最初の平日が終わった週末、らしい。俺たちからすればもう少しで冬休みが終わっちゃうなぁと思う頃だけれど。


「にしても、野良猫かぁー。最近まどか毎日のようにコソコソ家を出てるから何かと思ったけど、そんな理由とはね」

「友達とも毎日は遊ばないだろ? ついに好きな人でも出来て密会でもしてるのかと思ったけど、違ったか」

まどか「もう、ママったら茶化さないでよ」

「いや、間違いじゃなかったか?そのこと知ってたのって【貴方】くんだけなんだっけ?」


 クラスメイトとかにも少しくらい話したっけ? でも、多分ここまで関わったのは二人だけかな。

 しかし、こういう風にからかわれるのは嫌じゃないだろうか……。鹿目さんの表情は髪に隠れててよく見えない。


「とにかく、一人で抱え込むなって。言ってくれれば最初から一緒に考えたのに」

まどか「ちなみに、うちでは飼えないよね……」

「うちは……暴君がいるからなぁ」


 視線を向けた先から、元気の良い声が聞こえる。

 こうしてる間にもお父さんはつきっきりで面倒を見てるらしい。


「どうしても飼い主が見つからなかったら考えなくもないけど、まあ子猫だし貰い手見つかるんじゃないか?」


 飼い主が見つからなかったら――それに少し期待を抱きかけたが、そう考えるのは止そうとする。

 新しい飼い主が決まったらもう二度と会うことはないんだろうな。そう思うとやっぱり寂しいけれど、エイミーのためには仕方ないんだよな。


 バッグもなしにここまで大人しくついてきてくれたエイミーを見遣る。

 ……こんなにいい子なんだ。きっと貰い手だって見つかるはずだ。

145 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/04(金) 01:37:13.86 ID:o3TxXGyN0


まどか「うん……そうだね」

「じゃ、ネットで募集かけてみるか。今の時代ホント便利になったもんだよ」

「事務的なことはこっちでやっとくから、飼い主を選ぶのはアンタたちにしな」

「エイミーだっけ?その子のこと見てたのは二人なんだろ。きっと合う人を見極められるさ」

まどか「うん。ありがとう、ママ」

貴方「はい!責任をもって見極めます」



 ひとまず、今日のところは鹿目さんのお母さんに任せて帰ることにした。

 休みはもう一日ある。……それはこっちも大人も同じようだった。




四回目【貴方】 44日目終了


★まどかルート★


▼[まどかルート]に入りました。なにもしなくても好感度の上がるイベントが進みます。
 個別ENDの準備はできてます。
 それに伴い、ルート終了まで強制全体ENDを抑制します。
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/09/05(土) 00:18:04.81 ID:yT6ZaXas0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
147 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/06(日) 22:26:44.50 ID:ikGzE6UQ0
45日目
鹿目宅


 冬休み最終日。

 ……昨日ネットに載せたエイミーの里親募集にさっそく応募が来たと聞いて、鹿目さん家に呼ばれていた。


貴方「子猫なら需要高いっていうの本当なんだなぁ」

まどか「そうだね。2件も……」


 呼ばれた時には1件と聞いてたけど、ここに来る間にちょうどもう1件来たらしい。

 こうして複数の人が見て飼いたいと言ってくれてると思うとやっぱり悩む。

 一方がどう考えても渡したくないようなヤツとかだったらあれだけど、どっちも真剣に応募して来てくれてるんなら尚更。


「どっちが良い悪いっていうか、こういうのってある程度フィーリングも大事なんじゃないかな? ご縁っていうか」

「まあ、別に無理に今来てる中から決める必要もないけどね」


 お茶菓子を持ってきたお父さんが話に入ってきた。

 手作りらしい。鹿目さんのお父さんが料理得意って話は聞いたことはあったけど、まさかこうしてお菓子を味わえるなんて。


まどか「あ、だからまだ締め切ってないんだね」

「それを考えるのもアンタたちだろ?」


 続いて入ってきたのはお母さん。


貴方「鹿目さんはどう思う?」

まどか「うーーん……」

148 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/06(日) 23:04:15.60 ID:ikGzE6UQ0


 しばらく悩む。


まどか「いったん締めきってみようかな? まずは今来てる人を見てみようと思う」

貴方「まあそうだな。増えすぎたらやりとりも大変だし」

まどか「とりあえずメッセージを返さないとだね……」


 鹿目さんのご両親とも文面を相談しつつ、パソコンの画面と向き合う。

 ――その最中、派手に何か物が落ちる音がしてみんなで肩を揺らす。


「……あっ、しまった!目を離した隙に!今のはどっちー!?」

貴方「やんちゃが増えちゃったみたいだね」

まどか「エイミーってやんちゃさんだったんだね……」


 そんなに手のかかる印象はなかったけど、やっぱ子猫は子猫だったらしい。

 今までずっと外にいたからわからなかったが、見たことない物がたくさんあるし、色んなものに興味を持つのは仕方ないのかな。

149 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/07(月) 00:55:48.67 ID:l4visoTJ0


貴方「ていうかこれ、すっごい美味しいですね」

「うん、口に合ってよかったよ」

まどか「初めてちゃんと呼ぶからってパパ張り切っちゃって」

「今日はママも休みでタツヤの面倒見ててくれるしね。まどかも作るの手伝ったんだよ」

まどか「型を抜くところだけだけどね……。いつか一人で作れるといいなあ」

貴方「ちゃんと家のお手伝いしてるんだね。お父さんに家事習ってたら上達しそう」

まどか「上達するといいなあ。家のお手伝いは【貴方】くんも頑張ってるんでしょ?」

貴方「まあ掃除くらいだよ」


 クッキーをつまみつつ談笑する。

 とりあえず応募の2件に返答して今日はお開きになった。



四回目【貴方】 45日目終了


★まどかルート★

150 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/07(月) 23:48:13.73 ID:l4visoTJ0
46日目


 ついに明けた冬休み。ついに始まった学校。

 二年生最後の学期が幕を開けてしまった。


 ――と、そんな実感はまだあまり追いつかないが、午前のまだゆるめの授業をこなすと見知った面子で昼を食っていた。

 結局ここにいる人とは冬休み中も会ってたんだよな。


さやか「やられたわー。気を抜いてたら休み明けに漢字の小テストあるなんて」

仁美「休み前に告知されてましたけどね……」

さやか「そんなの記憶からとぶ!」

まどか「わたしも実は直前まで忘れてて……」

貴方(一応忘れず警戒しといてよかったな……)


 喋ってる内容もいつもどおりくだらないことで、それに安心していた。

 それから昼休みの終わり間際、中庭から戻る途中で随分久しぶりに聞くテレパシーの声が聞こえた。


マミ『【貴方】くん、明けましておめでとう!』


 ……そういえば、こっちは普通にお久しぶりだ。

 各自の予定を考慮してか、休み中にチームの集まりがなかったせいもあるけど。


貴方『明けましておめでとうございます!あと久しぶりです!』

マミ『そうね。良い休みを過ごせたかしら?』

貴方『ええ、まあ充実してましたよ。巴さんは何してました?』

マミ『色々普段できないことをやったわよ。細かいところの掃除とか、一段と料理に手間をかけてみたりとか』

マミ『換気扇ってなんてあんなに汚くなるのかしらね?』

貴方『さあ……なんでですかね』


 なんだか大変だったらしいことは伝わる。

151 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/09/08(火) 00:01:57.79 ID:FI3Ag9An0


マミ『おせちも作ったのだけど、売り物にも負けないくらい綺麗に出来たのよ。今度写真を見せてあげる!』

貴方『楽しみにしておきます。……巴さんって、いい嫁になりそうですよね』

マミ『えっ!? やだもう、いきなりどうしたのよ』


 ……嫁というか主婦というか。多分言葉にするのに印象がいいのは前者だ。

 なにはともあれ、巴さんは充実した一人の時間を送ってたらしかった。


マミ『あとは、もちろんパトロールもね。ああ、そうだ。早速だけど、次の日曜に恒例の訓練&パトロールできるかしら?』


 巴さんの声が少しだけ真面目なトーンになる。

 日曜……か。それまでにはエイミーの貰い先も決まってる頃かな。


貴方『はい。もしかしたら予定入るかもですけど』

マミ『ええ。駄目になったら連絡してくれればいいから』


 授業開始まで念話をしつつ、ふとクラスメイトに話しかけられてしどろもどろになる。

 前に巴さんが経験を積めば口頭での会話と念話を両立できると冗談で言ってたが、やっぱそんな高度なマルチタスクは不可能だ。


――――
――――
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/09(水) 23:21:00.22 ID:rqTy4nYo0
マミさんアプローチ?!
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/05(月) 20:27:06.40 ID:5MADVrI20
いつになったら戻ってくるんだ?
154 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/10/13(火) 23:30:18.09 ID:GKEZNZFp0
約1か月放置!ここまでの放置は初か…
------------------------------------------------------



 応募の件は、放課後に実際にエイミーと俺たちに会ってみることになっていた。

 まず今日は1件目。隣の市から来てくれるらしい。


まどか「じゃ、いこっか」


 放課後になると自然に駆け寄ってくる鹿目さん。

 思えば学校内ではさやかたちと一緒に関わることはあれど、二人で話すことってなかなかなかったか。

 そんな様子を見て茶々を入れられる。


さやか「なになに?なんかいつのまにか仲良くなってない?そんな感じだったっけ二人とも」

まどか「えっと、冬休みの間とかいろいろあって」

さやか「『色々』?」

まどか「エイミーのこと!」

貴方「さやかには話してたんだっけ?今、エイミーの里親を探してるんだよ」

さやか「へー、そうなんだ」


 そんな話を少しだけした後、テレパシーで悪いけどパトロールは任されてくれないかと去り際に頼みこんでみた。


さやか『もう、二人して同時に同じこと頼むんだから』

さやか『わかってるわよ!まかせときなさい!』


 ……思わず鹿目さんと顔を見合わせた。


まどか「【貴方】くんも同じこと言ってたんだね……」

貴方「なんか息が合っちゃったね。明日は一緒にパトロールどう?」


 同じこと考えてた、ってことか。

 パトロールに熱心なのはみんな同じだ。今から明日の約束をとりつけて、学校を後にする。

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/14(水) 00:05:44.69 ID:COY8dvBNo
おかえり
156 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/10/14(水) 00:10:07.50 ID:nxpTQcC40


 ――――面談の場所は鹿目さんの家。

 エイミーも実際にここにいる。さっきまでここにいた訪問者は、慈しみに溢れた目を向けて可愛いと、家族になりたいと言ってくれた。

 湯呑に残っていた緑茶を飲み干して、鹿目さんは息をついた。


まどか「緊張した〜〜……」

貴方「俺も……知らない大人の人と話すのはやっぱ緊張したよ。鹿目さんが隣にいてくれたし、おじさんも見守っててくれたからよかったけど……」

貴方「エイミーは緊張してなさそうだなあ。知らない人の前でも堂々としててすごいよ」


 そう言うと短い鳴き声が返ってきて、それがなんとなく誇らしげに聞こえた。

 言葉が伝わったとはさすがに思っていないけれど。


まどか「人懐っこい子だし、新しい飼い主さんにもすぐに慣れてくれるよね、きっと」

まどか「……少しさみしいけど」

貴方「うん。きっと……鹿目さんは今日の人、どう思う?」

まどか「いい人だと思う。前にも猫ちゃん飼ったことあるって言ってたし」


 経験があるなら心強い気はする。

 俺たちなんてなんもわからない状態で手探りでやってたから、大先輩だ。


 しかし、まあ。


貴方「『どっちが良い悪いというよりもフィーリングが大事』、か……」

まどか「そう言われると、難しいよね」


 それからおじさんに『お茶をもう一杯どうか』と言われたのでありがたく甘えさせてもらった。

 今日はおばさんはいない。前まではみんな揃ってたけど、今日はなんてことのない平日だ。

 エイミーとも今のうちに触れ合っておかないと。


 もう1件のほうは明後日だから、それが終わったらまたきちんと考えよう。自分たちなりの答えを出すために。

 それまで――明日はとりあえず、自分たちの使命でもあるパトロールのほうに専念だ。



四回目【貴方】 46日目終了


★まどかルート★
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/16(金) 18:35:35.51 ID:C19L9NMe0
続き来た!
待ってたよ!
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/17(土) 10:31:53.28 ID:l3ws+/ad0
まってたぜ
159 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/10/27(火) 23:35:15.50 ID:2ltlTyXY0
47日目 放課後



 約束してたパトロール。

 とくに危なげなく2回目の戦いを終えて、寒空の下を歩いていた。


まどか「さっきはありがとう!」

貴方「さっき?なにかしたっけ……」

まどか「急に突進してきた使い魔、あれすごいびっくりしたから」

貴方「ああ、でもそのあと手の届かないとこまで飛び上がってったのを鹿目さんがすかさず射抜いてたからすごいなーと思ったよ」


 協力して倒せた思い出を語ると温かな気持ちが湧いた。

 物腰が柔らかくいつも前向きな姿勢は見てるだけでも元気をもらえる気がした。そんな彼女が近くにいることが嬉しい。

 ……クラスメイトって関係はもうすぐ終わってしまうけど、これからも仲間で友達だ。


貴方「それにしても、もうだいぶ暗くなってきたね。戦いも終わったし日がないと一気に寒くなるなぁ」

まどか「あ……あのね、もしよかったらなんだけど、今日もこのあとエイミーに会って行かない?温かいお茶も出すよ」

まどか「明日はまた面談でしょ?そしたら……もう決めなくちゃいけないんだよね」


 鹿目さんは、少し寂しそうにしみじみと言った。


貴方「……うん。そうだね。甘えさせてもらおうかな」


――――
――――
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/27(火) 23:50:55.75 ID:8VwQrZoJ0
待ってたよ
161 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/10/28(水) 00:19:47.62 ID:RfQ048290
48日目 放課後



 ――――この日の面談も無事に終えると、ひとまず脱力した。

 つぶらな瞳で見上げてくるエイミーの背に手を置いて見返すと、ふいっと顔をそらされてしまった。

 猫の瞳って宝石みたいで綺麗だ。でもなかなかまじまじとは見せてくれない。


貴方「今日ので応募の分の面談は全部おわりか。鹿目さんはどう思ってる?」

まどか「どっちもいい人だとは思うんだよね。一人は猫を飼ってた経験もあるし、もう一人も猫じゃなくても本当に動物が好きなんだろうなって思ったし」

貴方「ああ、犬の話とか聞けて面白かったね」

まどか「ね、面白かった」


 ふふふと笑い合う。……その奥で考えていた。次の飼い主を決めて渡したら俺たちのやることは終わりだ。

 鹿目さんとこうしてお茶を飲むことも減っちゃうのかな。


貴方「エイミーはどっちのほうが気に入ってたかな?」

まどか「エイミーはどう思う?」


 にゃ、と猫の声がする。

 もともと人を怖がらない子だ。どっちにもらわれてもうまくやっていけるとは思う。


 ……エイミーは伸びをすると、会話と名前をメモしてた紙に手を置いて、ふたたび短く鳴いた。

 さすがに偶然だとは思う。名前を決めた時もこんな感じだったっけ。次の人のところに行ってもエイミーはエイミーと呼ばれ続けるんだろうか?


 なんとなくそのしぐさが自分で選んだように見えて、俺たちはその選択に任せることに決めた。


 おじさんにもそのことを伝えて、また連絡の文面を考えて――。

 土曜にもう一度会って渡すことになった。



 そして――――。


162 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2020/10/28(水) 00:48:16.64 ID:RfQ048290
数日後



 ――――土曜日。この日も早くから鹿目さんの家に来ていた。

 久しぶりに鹿目さんの家族が揃ってる日だ。あと……もう最後になるけど、エイミーも。


 なにかやりのこしたことはないかな?


まどか「あっ……そうだ、写真!今のうちにみんなで撮っておこうよ!」

貴方「あ、それ賛成!」

*「いいこと言うね、まどか。うちでもいくつか撮ってたけど、【貴方】くんも一緒にいなくちゃな」



 写真の中では鹿目さんの腕の中からちょこんとエイミーが顔を出していて、隣には俺とタツヤくん。

 後ろに鹿目さんのお父さんとお母さんもいる。

 みんながいい笑顔で写っていた。



――――
――――
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 00:58:35.19 ID:DF9cDiGv0
よそに行っても遊びにきそうだな、エイミー
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