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未来「翼と百合営業する話」【ミリマス 】
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/06/26(金) 03:45:16.96 ID:9rrQTzr/0
テスト
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1593110716
2 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:48:46.06 ID:9rrQTzr/0
ガチャリと学校の屋上へと続くドアを開ける。屋上には私を呼び出した張本人、伊吹翼がいた。
「遅かったねー未来。待ってたんだよ」
翼は給水タンク横の少し高くなっている段からハシゴも使わず飛び降りた。
その姿はすごくサマになっていて、まるで翼が生えているようなんて思った。
「私に用ってなに、翼?」
「もお未来ってば分かってるくせに。それとも分かんない? じゃあ教えてあげる」
そのときタイミングよく風がふいて、翼の髪と私と比べて短く折ってあるスカートを揺らした。
そして今までケラケラと笑っていた翼の雰囲気が変わる。少女漫画のヒロインみたいに顔を赤らめて、目はうるんでるように見えた。
「あのね、わたしはね、好きなの。未来のことが好き」
3 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:49:48.70 ID:9rrQTzr/0
少し心臓がドキッとした気がしたけど、気のせいだと思う。しかも翼に乗せられるなんて悔しいから、いつもの私らしくなるように言った。
「それで、この告白練習はいつまで続くの」
「も〜っ未来ってば、そんなこと言わないで」
翼は再びケタケタと笑った。
私がもう、っとため息をついたとき、バンッとドアが開く。そこには琴葉ちゃんが立っていた。
なんで琴葉ちゃんがいるかって? だって学校はあくまで設定で、ここはシアターの屋上なんだもの。
「シアターの屋上は危ないから上がっちゃダメって言ってるでしょう。誰かの許可はとったの?」
「わあ、琴葉ちゃんごめんなさい!」
言葉は優しいけど琴葉ちゃんはすっこぐ怖い。翼と2人でひたすら謝るはめになってしまった。
4 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:50:37.14 ID:9rrQTzr/0
さて、なんで翼と告白の練習をしているかというと、この前の事務所であった出来事が始まりだ。
あれは、いつだっけ。そうそう帰ってからお気に入りのドラマを見たから先週の金曜日のことだった。
そろそろお腹すいたし、帰ろっと思ったちょうどそのとき、プロデューサーさんに話しかけられた。
「なあ未来、ちょっと社長室に来てくれないか」
その言葉をきいて、思わず血の気がひいた。だってプロデューサーさんに呼びだされるときには怒られてばっかりだもの。職員室に呼び出されたときと同じ気持ち。
この前のテストの点が悪かったからかな? とか変なボタンを思わず押してしまったからかな、とか思い当たるフシがありすぎることにグルグルと頭を悩ませながら、社長室に入ると、プロデューサーさんと律子さんとあと何故か翼もいた。
翼がいて安心したけど、同時にはっきりもした。これは叱られるぞと。
翼がちょいっと挨拶をしてきたので私も軽い素ぶりでそれを返す。
5 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:51:22.30 ID:9rrQTzr/0
そしてタイミングを見計らったようにプロデューサーさんはわざとらしい咳払いをして言った。
「忙しいときに呼び出してすまない。未来を叱ろうと思ってるわけじゃないからその点は安心してくれ」
よかったぁ。翼と夜遅くまで通話してて次の日のレッスンに遅刻した件ではなかったみたい。
「じゃあ何で私たちは呼ばれたんですか?」
「ああ、それはな……」
プロデューサーさんは一息置いて言った。
6 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:52:11.17 ID:9rrQTzr/0
「未来と翼には百合営業をして欲しいんだ!」
「百合営業?」
聞いたことのない言葉に首をかしげる。けれどもすぐにピンときた。
「あっ分かりました! マッチ売りの障子みたいな感じで百合のお花を売るんですね。私、頑張ってみます」
割と自信はあったのだけど、皆は渋い顔をしている。あれ? 外したかな。
翼が教えてくれる。
「未来ってば百合営業も知らないの? 百合っていうのは女の子同士で恋愛することで、営業っていうのはそのフリってこと」
「じゃあ私と翼が恋愛するフリをしろってこと?」
「そうそう」
「な、なんで」
7 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:53:26.70 ID:9rrQTzr/0
私がびっくりしていると律子さんから付け加えて説明があった。
「プロデューサーは説明を端折りすぎです。未来にはこれを見てもらうのが早いかしらね」
律子さんはそう言いながら、一冊の雑誌を取り出した。
私でも知っている有名なゴシップ誌だ。アイドルを始めたばっかりの頃、あの手の雑誌や記者さんには気をつけろとプロデューサーさんに教えてもらったことがある。
律子さんが指すページをみると、男の人と女の人が仲良く肩を抱き合って歩いている写真が載っていた。カメラはその2人を後ろから撮っているんだろうけどこの2人、見覚えがある。
「これってまさか翼とプロデューサーさん!? 2人って……」
いやいや違うとプロデューサーさんは必死に否定する。
「ち、違うぞ未来! これはだな」
慌てるプロデューサーさんをよそに律子さんが代わりに説明をする。
「ねえ翼、この写真を撮られたとき、やってたことを再現してくれないかしら」
「え、いいですけどあんまり正確に覚えてないですよ〜?」
「それでもいいから」
律子さんに促され、翼はこの時のことを再現した。
「ねえ、プロデューサーさん。今日はたくさんお買い物に付き合ってくれてありがとうございまーす。つ、ぎ、も、お買い物に付き合ってください。ねぇダメぇ? え、ほんと? やった! プロデューサーさんダイスキ!」
「パシャ」
律子さんが写真をとる真似をした。
8 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:54:36.09 ID:9rrQTzr/0
「なるほど〜。ようするに翼がプロデューサーさんにいつもみたいに、じゃれついてたらそこを写真に撮られちゃったと」
「さすが未来ね理解が早いわ」
律子さんに褒められ、少しうれしくなったけど、当然の疑問もわいてくる。
「それでなんで私と翼が百合営業? することになるんですか?」
「ウチでは恋愛禁止は特に明文化していないけど、翼のスキャンダルは仮想恋愛を楽しむ人もいるファンにとって、これは大きな痛手なの。翼のファンが減ってしまうどころかこれからのアイドル活動が続けられるかは分からないわ」
「た、大変じゃないですか!?」
私は身を乗り出して言う。
「でしょう。しかも翼ってミーハーなところあるから、ちょっとカッコいい芸能人に声を掛けられたらホイホイついていきそうだし」
「わたしはそんなに軽くないですよ〜」
律子さんの少しイジワルセリフは日頃の心配の裏返しかもしれないなって思った。
「だからこそ百合営業ってわけだ」
ここでプロデューサーさんがばばんと宣言する。
「そもそもプロデューサーが軽率だからこんなことになったんですからね」
「す、すまん」
プロデューサーさんもいっつも律子さんに怒られてるなあ。
9 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:55:28.94 ID:9rrQTzr/0
「まあやってしまったことは仕方ないですから、とやかくは言いません。それで私も最初は百合営業ってのもどうかと思ったけど、案外、いい案かしらと思い始めてて。それに未来と翼の同学年、百合も匂わす仲良しユニット。これはひょっとして芸能界を代表するユニットになるかもしれないわ」
グッと拳を握って言う律子さん。すごいなあ。こんな時にまでお仕事につなげようとするなんて。
「それで翼はイヤじゃないの?」
「うん? 別に未来とだったらいいよ。」
翼は私の疑問にあっさりと答えた。まあ翼がいいって言うならいっか。翼を助けることもできるし。
「分かりました! じゃあ私、翼と付き合います」
「ありがと、未来。よろしくね。」
「で、付き合うって何をしたらいいんですか〜?」
その疑問に皆はがくっとひっくり返った。
10 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:58:07.93 ID:9rrQTzr/0
◆
さて帰り道、私と翼は家の方向が同じなので同じ駅へ向かうことになる。
「それにしても百合営業かあ。やっぱり私よく分かんないや」
私はでへへと笑いつつ、あっけらかんと告げると、翼はくすくすと笑いながら言った。
「わたしもよく分かんないけど、2人で探していこ」
「まぁそうだね。それにしても翼、やけに楽しそうだよね」
「だってフリとは言っても、恋人ができたんだよ。なんかワクワクしちゃうかも〜」
「翼ってば」
翼はこの状況を楽しんでいるだけなんじゃ……?
11 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:58:48.41 ID:9rrQTzr/0
「じゃあ手でもつないでみよっか」
私が手を出しながらそう提案したけど、翼はのってくれなかった。
「未来ってば分かってないな〜」
「え?」
「こういうときは、歩いてるときにふと指がちょんって触れ合っちゃって、2人は意識しちゃって顔を赤らめて、でも夕日せいとか言ってごまかして、どちらからとも言えないまま手をつないで、でも手汗をかいてないか気になっちゃって〜」
「翼ってモテモテライフって言ってるくせにけっこう乙女だよね」
「もう未来ってばからかわないで」
唇をとがらせる翼に私はでへへと笑い掛ける。
「翼の理想通りにはいかないかもしれないけど、とりあえず手、つなごっか。理想はつないでから考えるよ」
「まあいつもやってるけどね」と付け加えつつ私は手を出すと、翼は一瞬きゃとんとしつつも、とびきり笑顔で手を握ってくれた。
「これからよろしくね。未来!」
こうして私たちのの恋人生活が始まったのであった
12 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:59:39.47 ID:9rrQTzr/0
それからお家に帰り、晩ご飯を済ませ、お風呂から上がったときにふとスマホを見ると、翼から絵文字ゴテゴテでメッセージが入っていた。
「やっほー! わたしの未来へ。未来と付き合えてうれしいなー」
いつのまにか翼のモノになったのだろうと私は苦笑いする。それでもたしかに心がフワフワしてポワポワするのもウソじゃないとは思う。この気持ちは何て言うのかな。
私は返信を返す。
「私も翼と付き合えてうれしいよ。でも翼は飽きっぽいから、飽きられないようにしなくちゃ」
「未来ってばひどーい。わたしが浮気するかもって思ってるの」
「そういうわけじゃないけど。そういえば私たちが付き合ってることはお仕事でも言うの?」
「ううん。やめとこっかなーって」
「そうなの?」
「公言するんじゃなくて匂わせる程度がいいってプロデューサーさんが言ってたよ。その方が妄想が加速するとかなんとか。でも匂わせ女子ってイマドキだしドキドキするかも」
「そういうものなんだ」
「それに未来と秘密を共有しあえるってステキだと思わない?」
「それはそうかも」
秘密を共有しあえる。小さい頃に友だちとこっそりイタズラをするような感覚に近いかな?
「劇場にみんなに言うのもだめかな? 例えば静香ちゃんとか、頼りになると思う」
「静香ちゃんでもダメ。それに恋人同士でメッセージ飛ばしあってるときに他の女の子の名前を出すのはマナー違反!」
「あはは、ごめん」
そのあといくつかチャットをし合って、眠くなったので寝たのだった。
13 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:00:40.26 ID:9rrQTzr/0
◆
次の日、学校で授業を受けながら別のことを考えていた。翼と付き合うことになったのはいいんだけど、やっぱり付き合うって何をすればいいのかなあ。それに公言禁止で匂わせるなんて難しいって思う。
「ねえ、未来。さっきから何考えてるの? もう下校時間だよ」
「あっごめん、翼。ちょっとボケーっとしてて」
「翼って誰? 私はサキでしょ。まあ未来がボーっとしているなんていつものことだけど」
サキちゃんは私のクラスメイトでお友だちだ。
つい翼の名を呼んでしまい、顔が熱くなった。
「あはは、ごめんサキちゃん」
「まあいいけど。それでね、あの校門の方見てみて」
「うん?」
外を見ると、よく知った顔がいた。
14 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:01:12.83 ID:9rrQTzr/0
「すごい美少女だよね。制服的に他校の生徒かな。もしかして誰の彼女? ウチの男子もやるなあ。ひょっとしてサッカー部の先輩の彼女とか? よくモテるって聞くよ」
「でへへ〜」
「なんで未来が照れてるのよ」
それは私の彼女だからと言いそうになったけど、なんとかこらえることができた。
帰りの会が終わって急いで校門まで向かう。翼もこっちに気がついたみたい。
「やっほー未来」
「急に迎えにくるなんてびっくりしたよ」
「だってサプライズだもん。言ってちゃ意味ないでしょ」
「そうかもだけど、翼、噂になってたよ」
「ホントー? なんて言われてた?」
「美少女がいたって」
「やったーうれしいな! 未来もそんなわたしと付き合えてうれしいでしょ?」
翼はそう言って私にぴとっとくっついてくる。
「もお、歩きづらいってばー!」
「これぐらいの方が恋人らしくていいもーん」
「昨日、雰囲気がだいじって言ってたくせにー」
「それはそれだよー!」
こうやって2人でシアターに向かった。言うまでもないとは思うけど、翼と過ごせて楽しかった。
15 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:02:00.10 ID:9rrQTzr/0
◆
翼とくっついたまま、事務所に入るとまずプロデューサーさんと会った。2人でイチャイチャしている様子を見ると、グッと親指を立てていた。すごくニヤニヤとしていて、なんか百合営業と違った目的もあるような……。
そんなことを考えていると後ろから静香ちゃんがやってきた。
「おはよう、未来、翼。2人とも今日はやけに仲がいいわね」
わっ! し、静香ちゃん!
「どうしてたの? 未来、ぎょっとして」
「いや、なにもないよ。急に話かけられたからびっくりしただけ」
「未来ー! 静香ちゃんとなにお話してるのー?」
翼が後ろから抱きついてくる。
「翼ってばー!」
静香ちゃんの様子をみると、困ったように笑ってた。
「ほら、2人とも、事務所の入り口付近ではしゃいでいると他の人の邪魔になるわよ。早く入りましょ」
静香ちゃんはなにも気にしてないようにそう言う。
「静香ちゃん気がついたかなー」
翼はそう言ってるけど、あれは気がついてないなって思った。まあ私たちいつもこうだしね。
16 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:02:55.30 ID:9rrQTzr/0
◆
レッスンも一通り終わったけど翼と私はシアターに残っていた。翼はホワイドボードの前に立って、私は近くのパイプいすに座っている。
「じゃあ早速はじめちゃおっか。第1回レディピンクポップ会議」
翼はそう言ってホワイドボードに文字を書いていく。女の子らしい丸文字だーとぽけーっと思った。
「で、そのレディなんとかって何するの?」
「もちろん恋愛の練習。フリだとはいっても未来と付き合うことになったんだから、恋人らしいことがしたいなーって」
「恋人らしいこと?」
「そうだよー。例えば壁ドン」
「あーこの前ラーメン屋さん行った時、本棚に入ってたよ」
「ドカベンじゃなくて壁ドン。壁ドンっていうのは〜って説明するよりもやった方が早いかも。ほら、未来。壁のとこに立って」
「こ、こう?」
翼に言われた通り、壁を背にして立ってみる。
翼はスイッチを入れるように、ペロッと唇をなめて、表情をクールにさせて、私に迫ってきた。そしてびっくりぐらい至近距離にきて、翼は壁をドンとたたく。
「今夜は帰さないよ、未来」
わ。これはやばいかも。私は今とろけきっただらしのない顔をしてるに違いない。ほっぺただって、熱くなってきた。
翼の赤い瞳に見惚れてしまう。ずっと見てると翼の瞳に私が映っていることに気がつく。翼が私だけを見てるんだよね。
17 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:03:50.06 ID:9rrQTzr/0
どうしても恥ずかしくなってきて、慌てて目をそらすと、翼がニッと笑って言ってきた。さっきまでのかっこいいモードは解いて、いつもの翼だ。
「どう? きいたでしょ?」
私はこくこくとうなずいた。
「これはすごい! すっごく、すーっごくドキドキした」
「えへへ、でしょう」
「うんうん」
「じゃあ次は未来の番ね」
「わ、わかった。やってみるよ」
翼と場所を入れ替わって、えーい! と壁にドンってする。
「どうかな?」
「……」
翼が黙っちゃうから妙な静けさが訪れた。でもそれも一瞬のことで
「未来ってば壁つよく叩きすぎーしかも目をつぶってちゃ意味ないよ」
そう言っていつもみたいにケラケラと笑うのだった。なんだ、壁ドンでドキドキしたのは私だけだったみたい。
18 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:04:51.76 ID:9rrQTzr/0
「それじゃあ壁ドンの次はなにする?」
私がそう聞くと翼はこう応えた。
「そうだねー。告白タイム?」
「え、もう告白までいくの?」
「だってそれが一番ドキドキするでしょ?」
「まぁそうかも」
「未来は理想の告白シチュエーションある?」
「告白シチュエーション……むずかしい」
私がむむむと悩んでいると翼がこう切り出した。
「じゃあ、わたしから先にするね。わたしの理想の告白は……」
「部活の後輩だっけ」
たしか前にステージでそう言ってた気がする。
「そうそうよく覚えているね。……やっぱ未来ってむっつりさんだね」
「え〜! なんでそうなるの?」
「だって『でへへー私は恋愛なんて分からないですし、興味もありませーん』みたいな顔してさっきの壁ドンでも興味シンシンだったし」
「そんなこと言ったことないよ〜」
「でも言いそうー」
翼に抗議したけど、興味があるのは本当だったとは思う。でもなんか恥ずかしいからそうは言えない。
「私はアイドルやる前、いろいろ部活やってたから、こう……印象に残ってて」
「はいはいそれでいいよー」
「もう!」
翼があまりにもからかってくるから、ぽかぽかと肩あたりにじゃれつく。
19 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:05:30.42 ID:9rrQTzr/0
「ごめん、ごめん。じゃあ告白のシミュレーションやってみようか。お仕事の練習にもなると思うよ」
「わかった」
たしかにドラマだとか舞台だとか演技の練習にもなるかもしれない。
「じゃあ未来は頼りないけど部活の先輩ね。それで私は後輩のマネージャー」
「たよりないは余計だよっ」
「はいはい分かった分かった。じゃあスタート♪」
20 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:06:56.76 ID:9rrQTzr/0
◆
「せんぱーいお疲れさまでーす。タオル持ってきました」
「あ、ありがと翼」
「どうしたんですか、センパーイ。顔が赤いような……」
「き、きのせいだよ」
翼に先輩と呼ばれて、でへへってなったのは内緒。
ちょっと間ができたので私から切り出してみる。
「ちょっと悩んでて、なかなかうまくなれなくて。レギュラーになれるかなぁ」
「大丈夫です。センパイなら絶対わたしを甲子園に連れて行ってくれます」
「あっ私野球部なんだ」
「素に戻るのキンシ!」
「ごめんごめん」
翼はまた後輩モードに戻る。
「それでセンパイ、最後の大会前に伝えたいことがあるんです」
「うん、なんだい?」
我ながら、なんだいってなんだろ。でも翼は気に留めなかった。
「気が付いたらセンパイのことを目で追ってるんです。マネージャーなんだから、部員のみんなを見なきゃならないのに……。試合でセンパイが活躍したら、自分のことみたいにうれしくてほこらしくて」
「そ、そうなんだ」
「はい。センパイは一生懸命で誰よりもがんばっていて……。ねぇ聞いてください」
翼は一瞬間をおいて言った。
「わたしはセンパイのことが好きです」
翼は真剣に私を見つめてくる。なんかこう、ぞわぞわするような、居づらさを感じるようなこの感じ。思わず黙っちゃう。
「……」
翼は返事を待ってるのか、黙ったまま。
「……」
21 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:07:36.83 ID:9rrQTzr/0
ついに耐えきれなくなった私は、ついやってしまった。
「でへへ〜」
いつものように手を頭にやって照れ笑いすると翼がムウッと不満そうな顔をしてきた。
「でへへじゃないよ! 返事待ってたのに」
「いや、こう……あんまり思いつかなくて」
「まったく未来は〜。まぁいいや。未来ってあんまりセンパイって気がしないし」
「そう?」
「身長だってわたしの方が高いんだもんねー」
翼に身長が負けてるのはなんか悔しい。
「そんなに変わんないよ。あっ分かったアホ毛の差だー」
「アホ毛って言うなー。これは跳ねちゃうだけー」
翼と2人で笑いあってると、「あっそうだ」と切り出した。
「未来の理想の告白は?」
「えっ私の理想?」
「そうそう。女の子だったら理想はあるよね」
翼は楽しそうに言ってくるけど、なかなかこれっていうのが思いつかない。
「う〜ん。難しいかも……」
「そう? だったら今日の宿題。未来はお家で理想の告白を考えてきて」
「宿題、かあ」
私が苦笑いしていると、翼が注意してきた。
「ちゃんと宿題はするんだよ」
「私はちゃんとやってるよ! やってないときは宿題自体の存在を忘れているだけで」
「それもどうなの?」
「翼だって宿題ちゃんとやってるの?」
「そういえば次のライブたのしみ〜」
「すっごく分かりやすくごまかした!?」
そういうことで、私は理想の告白について考えることになったのだった。
22 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:08:25.57 ID:9rrQTzr/0
◆
「う〜ん。むずかしいなぁ」
ベッドに寝転がり、告白について考える。私と翼だったら……と考えてしまってる自分にふと気がついて苦笑いしてしまう。なんか翼のことばっかり考えてる気がする。
理想の告白……伝説の木の下……それとも夜景が綺麗な場所……。
ぼけーっと考えてるうちにいつのまにか寝てしまったみたい。
こんな夢をみたっていうのは国語の教科書に載ってるやつだっけ。とにかくこんな夢をみたよ。
23 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:09:10.27 ID:9rrQTzr/0
「今日から転校生としてお世話になりまーす。伊吹翼でーす」
「翼ぁ! 急に私の学校に転校って!」
急に翼が私の学校へ転校してきた。私がアワアワしていると翼はピースしながら言ってきた・
「だって私たち付き合ってるんでしょ。少女漫画とか読んでも、そういうのはだいたい同じクラスだもん」
「付き合ってるっておっきな声で言っちゃダメ!」
「えへへ、ごめんごめん」
24 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:09:42.80 ID:9rrQTzr/0
翼が私の学校に転校してきたのはびっくりしたけど、翼との学校生活は楽しかった。
翼は隣の席になった。授業中、ふとそちらをみると、意外と先生の話ちゃんと聞いてるんだな〜って思った。それにしても黙ってるとやっぱり美人だなぁなんて考えたり。
私の視線に気が付いたのか翼がこっちを向いて、小さく手を振ってくる。それがうれしかったのか私はでへへと頬を緩ませたりする。
授業が終わると、翼が私の席にやってくる。実はそれがちょっとありがたかったりする。だって私から翼の席にいくのは恥ずかしいから。
「未来ってば授業中、わたしのこと見てたでしょ? ひょっとして見惚れてた? なーんて」
「そ、そんなんじゃないってば」
「あわてすぎだって。冗談だよ。やっぱり未来はおもしろーい」
みたいな感じで翼にからかわれたり、翼といっしょに給食食べたり、授業中こっそり手紙を交換しあったり、とにかく楽しかった。
翼がお仕事で学校を休んだときにはさみしかったけど、お昼から顔を出してくれてうれしかったりもした。
25 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:10:15.70 ID:9rrQTzr/0
……
…
ふと目が覚める。思わず1人で笑ってしまう。翼と一緒な学校の夢をみるなんて。きっと告白ごっこをしていてセンパイなんて呼んでもらったからだ。……ってもうこんな時間!? 早くシアターに行かなきゃ遅刻しちゃう!
シアターにつくと翼が椅子に座って雑誌を読んでいた。
「つ、翼ぁ! 早くレッスンいかないと遅刻遅刻!」
「え、レッスン? わたしたちのレッスンは1時間後じゃない?」
「え、あ! ほんとだ」
「また未来ってば、時間間違えてたの? まぁ遅くくるよりかはいいかもね」
「でへへ、そうかも」
遅刻じゃなったことに落ち着いて、改めて翼の顔をみると、なんだか照れくさくって目をそらしてしまった。
「どうしたの?」
「ううん、なにも」
うう……夢に翼が出てきたなんて言えるハズがないよ……。それに夢に出てきたから意識しちゃう、なんてありがちすぎて漫画やドラマでもあんまりない。こっそりと深呼吸をして、いつもみたいに振る舞うのだった。
26 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:11:17.95 ID:9rrQTzr/0
◆
「未来と翼にぴったりな仕事をとってきたぞ!」
レッスンが終わったあと、プロデューサーさんはすっごく張り切った感じで私たちにそう告げてきた。
「どんな仕事ですか〜」
翼がそう訊くとプロデューサーさんはある雑誌を取り出した。私も知っているファッション雑誌だ。
「来月号のファッション雑誌で数ページ分もらってきた。ここに翼と未来に出てもらおうと思う」
翼はそれを聞いてガタッと立ち上がった。。
「ファッション雑誌ですか〜? ということはかわいいお洋服がたくさん着れちゃうってことですよね。うれしいな〜。あれ、未来はうれしくないの?」
「いや、私もうれしいけど……そういう雑誌って恵美ちゃんや翼みたいにかわいい子が載ってるイメージだから、私が出てもいいのかなって」
しかも翼はファッションイベントでスカウトされたことがアイドルを始めるきっかけって聞いたことがある。こういうのはちょっと私と世界が違う気がする。
「え、未来も出てもいいと思うよ?」
「そうかな?」
「だって未来もかわいいし」
ボンッと顔が沸騰したように熱くなる。しかも翼ってばお世辞で言ってるんじゃなくて、無意識に言ってるから余計タチが悪い。ダメだ。夢に出てきたからって意識しすぎかも。
27 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:12:26.74 ID:9rrQTzr/0
「顔が赤いけど大丈夫?」
「ううん、なんでもない」
私たちのやり取りは特に気にしてない感じでプロデューサーさんは言った。
「かわいい服がたくさん着られるのもあるが、休日の過ごし方と言ったインタビュー記事もある。そこで2人の仲の良さをアピールしてもらえれば、百合営業も認知されるかもしれない。頼んだぞ」
「はーい!」と元気よく返事をする翼。たぶん、お洋服がたくさん着れることに気持ちがいって勢いで返事をした感じがした。
私はプロデューサーさんにあくまで百合営業だということに改めて気が付かされて、なんだか舞い上がっている自分に冷たい水をかけられたような気持ちになるのだった。
28 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:14:42.18 ID:9rrQTzr/0
◆
「はーいOKです」
写真を撮られることに慣れている翼はなんなくOKをもらって、あとは私がうまく撮られれば終わりだった。
「未来ちゃんはもっと自然な笑顔を出してみようか」
「こ、こんな感じですか?」
「うーん……」
だけどプロデューサーさんにあくまで営業であると言われたせいで、頭の中でそれを何度も考えてしまって、私はうまく表情が出せなかった。
やっぱり自分はモデルなんて向いてなかったのかな? と考えた始めた矢先、翼がおっきな声で言ってきた。
「みっらい! わたしがカメラマンさんの後ろで手を振ってあげるから、わたしに向かってニコってしてみて!」
そう言って翼はカメラマンさんの後ろで飛んだり跳ねたり、手を頭の上でびろろ〜ってやったりする。
なんだかそれがおかしくって私はつい笑ってしまった。
「おっ未来ちゃん、その表情いいね」
そう褒められ、なんとかOKを出せたのだった。ありがとね、翼。
29 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:15:19.36 ID:9rrQTzr/0
撮影が終わり、インタビューへと移った。私もアイドルがちょっと慣れてきたので、よく聞かれる質問は上手に答えられたと思う。でも気になる質問があって……。
「2人はどんなアイドルを目指しているのですか?」
私はそれにこたえる。
「でへへ、やっぱり自分でいうのもなんかなって思いますけど、やっぱりトップアイドルです! 私はいつもファンの人に元気をもらってるので、それをお返しできならなって」
「う〜んいいね。翼ちゃんはどんなアイドルを?」
「え〜っとわたしは、やっぱりキラキラでモテモテなハッピーライフでーす!」
「ハッピーライフ?」
「そうです。美希先輩みたいにキラキラしてて、たくさんの男の子に告白されたりするんです」
「あはは、なるほど。たしか星井美希さんは同じ事務所の先輩だったね……って未来ちゃん。ぼおーっとしてどうしたの?」
「え? あっいや。なんにもないですっ。でへへ〜」
翼はハッピーライフについてよく言ってるのに、なぜか今回だけは胸に突き刺さった気がした。だってフリだけど、今は美希さんじゃなくて私と付き合っているのに。しかもモテモテだなんて誰とでもいいんだ、なんて思ったり。
30 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:16:40.41 ID:9rrQTzr/0
◆
それからはあとも翼との仕事が増えていった。例えば2人でラジオやったり、デュオを組ませてくれて新曲を歌ったり。
心のモヤモヤは消えていった。だってアイドルのお仕事でいっぱいいっぱいだし、そもそも翼と居るだけで楽しいからこれでいいかなって思ったり。
そうそう、翼の隣で歌って踊っていると、やっぱり翼はすごいんだと改めて思った。
でも、それでもついていきたいと思った。だって同級生だし、それに……なんというか翼とは、お母さんのように面倒をみてくれる静香ちゃんとは違って「対等」でいたいと思っているから。
だからこそかもしれない。翼に実力で勝てないと感じたときは悔しかった。
そういうときは付いて行けるように自主練を増やしたりもした。
勉強のため翼のダンスをみていると、翼ってかわいいだけじゃなくて、カッコいい表情もするんだなって思ったりもした。特にアイルは鳥肌が立つくらいかっこよかった
あと1個意外に思ったのは翼は思ってたより人をフォローするうまいってことだ。私がクイズ番組でいっぱい間違えて微妙な空気になったときも、ステージで振り付けを忘れてしまったときも助けてくれた。
31 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:18:16.37 ID:9rrQTzr/0
◆
「えっ!? 翼が熱を出したってホントですか!」
ある日のこと翼と一緒にレッスンするはずだったけど、居なかったのでプロデューサーさんに聞いてみたら、体調不良だと教えられた。
今までの翼だったら、もしかしたらズル休みかもしれないけど、私とのデュオはすごくやる気マンマン! っ感じだったから、ズル休みではないって思う。
「わ、私、翼の家いって様子を見てきます」
翼のことを聞いて居てもいられなくなったので、レッスンを休んで翼のお見舞いにいくことにした。
みんなに病人相手に長居して迷惑かけちゃダメよって教えてくれたけど、やっぱり足は駆け出していた。
「だって翼の彼女だもん!」とはさすがに言えなかったけどね。
32 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:19:08.37 ID:9rrQTzr/0
翼の家についてチャイムを鳴らす。インターホンの機械に向かって春日未来です! って挨拶する。
「えっ!? 未来きてくれたの」 と機械を通して声がして、ガチャリとドアが開いた。
そこには熱冷まシートをおでこにひっつけて、パジャマをきた翼がいた。顔は赤いし目はぽけーっとしている。
「あっ未来。きてくれたんだ。でも見ての通りの感じで」
「うんだからスポーツドリンクとか買ってきた!」
「うーん。でもうつすと悪いし、どうしよっかな。でも来てもらって帰すのもなあ……って、わっ!」
翼はぽやぽやと独り言を言ってたけど、よろけて私の方に倒れてきた。
「だ、大丈夫?」
思わず翼を抱きかかえる形になって、体はぴったりと密着する。そうするといい匂いと体温の高さと、体重の軽さに驚いた。
ってドキドキしてる場合じゃない。私は煩悩を振り払って、家に上がらせてもらい翼の部屋のベッドまで誘導するのだった。
33 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:20:06.88 ID:9rrQTzr/0
「で、なにしてほしい?」
「うーん、じゃポカリ飲みたいかも」
トポトポとコップに注いでそれを手渡す。翼はベッドに寝ていたけど上体だけ起こしてそれを飲んだ。
「はー いきかえった」
「ほんと?」
「うん、汗かいてて。って汗で濡れてちょっと体が気持ち悪いかも」
「た、タオルもってくる」
「あっタオルは向こうね」
私は駆け出していた。
34 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:20:51.25 ID:9rrQTzr/0
お湯が入った洗面器とタオルを持ってきて、タオルを絞る。
「じゃあ体ふいてもらってもいい?」
ぽーっと熱っぽい視線(というか熱だ!)でそう言う翼。
「う、うん。お腹とか?」
「お腹は自分で拭けるよ。背中をお願い」
そう言って翼は背を向ける。心臓がバクバクとなる。どうして私の方が汗かいてきてるんだろう。
「未来?」
ちょっとした間を不思議に思ったのか翼がこっちをむいてくる。ってそんなはだけた状態でこっち振り返っちゃダメだって。
「ううん、なんもない。痛かったら言ってね」
そうこうしている内に背中を拭き終わった。
「ありがとうスッキリしたよ」
「そ、そっかあ」
「未来もちょっと顔が赤くない? ひょっとしてうつしちゃった?」
「ち、ちがうよ。大丈夫!」
「? ならいいけど」
35 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:21:25.99 ID:9rrQTzr/0
きまずいなあと思って、間をごまかすために部屋に視線をさまよわせた。
改めて見ると、翼の部屋って女の子っぽいなって思った。
あちこちにピンク色が使われてる。それとレースが好きなのかな。
しかも翼のベッドにはおっきなクマさん。恥ずかしいからあんまり言わないけど、私のベッドにもぬいぐるみはある。寝るとき落ち着くから。翼も私と一緒なんだなって。
「未来ってば、人のお部屋ジロジロみすぎ」
翼に軽く注意される。
「あはは、ごめんごめん」
「もう」
軽くほっぺたを膨らませる翼。
「そ、そうだ。食欲はある? ぜったいに何か食べた方がいいよ」
「うーん。そういえば今日まだお昼たべてないかも」
「じゃあご飯つくる!」
「え、なにつくるの?」
「風邪といえばおかゆ?」
「おかゆってけっこう難しいよ。水の加減とかダシとったりとか」
「え、そうなの?」
「うん、まあ。でもせっかくだからお願いしよっかな。ちょっとお腹すいたし」
「ほんと?」
「うん。キッチンは自由に使っていいよ」
「わかった。やってみる」
私はキッチンの方へ向かった。
36 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:22:45.11 ID:9rrQTzr/0
◆
「じゃん! 春日未来特製のおかゆができたよ」
「ありがと未来」
「あんまりお料理得意じゃないから、すっごくシンプルになっちゃったけど」
「ううん、おいしそうだよ」
塩で味付けして梅干しをつけただけのおかゆを眺めながら言う。
「あっ特製ドリンクをいれればよかったんだ! そしたら栄養もとれるし」
「み、未来それだけはやめて! ぜったいにおいしくなくなっちゃう」
「そうかなー」
「うん絶対そう」
「まぁいっかあ。じゃあほら、あーん」
「えっ!?」
翼がすっこぐ驚いた顔をする。
「あーんなんてするの?」
「でへへ。ちょっとやりすぎたかな」
こっちも恥ずかしくなって頭をかく。
「じゃあ1口だけ未来に食べされてもらうってどうかな」
翼も恥ずかしいのかな。視線をそらしながら言う。
「じゃあ1口だけ、あーん」
あーんの声に合わせて翼が口を開ける。なんだか変な気持ちになりつつも、口からこぼれないようにおかゆを運んだ。
「ど、どうかな?」
「あっおいしい」
「ほんと? よかったあ」
ふうっとため息をつく。
「じゃあ次も行っちゃおうかな」
「だからあとは1人で食べられるってば」
調子に乗りすぎて怒られた。
翼は自分でおかゆを食べ始める。
私はそれをぼおっと眺めていた。
37 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:23:26.15 ID:9rrQTzr/0
ひとしきり食べ終えて落ち着いたあと、翼は聞いてきた。
「ねえ、未来ってなんでここまでしてくれるの?」
質問の意味が分からなかったので聞き返す。
「ここまでって?」
「お家まで来てくれて、その看病とか」
「そりゃあ私は翼の……か、彼女だから」
未だにこうやって宣言するのは照れくさくってくすぐったい。でもこう言うと翼も喜んでくれる。
「……そっか」
だけど今回だけは複雑そうに翼は小さな声で返事をした。
「どうしたの翼?」
「ううん、なんもない。疲れちゃったのかも」
少しあれっ?とは思ったけど、翼は病人だ。落ち込んでしまうこともあるかもしれない。
「翼も疲れてそうだから私、そろそろ帰るね」
「分かった。うつしたらわるいしね。玄関まで送ってくよ」
「ううん、ベッドから起き上がるのも辛いだろうし、ここでいいよ。ありがとう」
「そう?」
「じゃあバイバイ。翼、早く元気になって劇場に来てね」
「うん」
私は立ち上がって翼の部屋を出た。閉まっていく扉の間から見えた翼は最後まで何か言いたげだった。
38 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:25:33.99 ID:9rrQTzr/0
次の日から翼の体調はよくなったみたい。でもどこか元気がなかった。病み上がりだからかな。
でも百合営業の方は好調で、元々私たちは仲もいいし、ボディタッチも少し多めにやってるおかげで仲良しユニット! だとか、一部ではもしかして百合的な関係も? みたいな噂が流れているらしい。そうプロデューサーさんが教えてくれた。
翼のスキャンダルも世の中ではもう噂されなくなったし、これは成功なのかもしれないなって思った。
ある日、翼がこう提案してきた。
「ちょっと思ってたんだけどね、わたしたちって恋人らしいことしてないよね?」
「ま、まあそうだよね。でへへ」
「どうしたの未来? そんなデレデレして」
「ううん、なんもないよ」
だって私たちがやってない恋人らしいことなんといったら、こう、キスとか。
「だからもっと恋人らしいことやらないとって思って」
「う、うん」
「だからデートしよ」
「デ、デート!? わかった!」
「じゃあ今度のオフあけといね〜」
なんてあっさりとデートの約束が決まった。最初は喜んでたけど、後から落ち着いて考えてみると思った。デートって言葉の響きは恋人らしいけど、中身は2人で遊びに行くってよくやってるやつだ!
39 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:26:16.21 ID:9rrQTzr/0
◆
なんだかそわそわして待ち合わせ場所には30分も早くついてしまった。
私は日にちや時間をよく勘違いするからなんどもメッセージを見返して間違ってないことを確認する。
今日はデートってことになるけど、どんな日になるんだろう。
翼ってああ見えてけっこう夢見がちだから思ってたよりロマンチックなデートになっちゃうかも、なんて。
「未来? 1人でバタバタしてどうしたの?」
「ひゃ!? つ、翼!」
「なーあに? 人を幽霊が出たみたいにびっくりして」
そうやってほっぺたをぷくーっと膨らませる翼。かわいい。
「あはは、ごめんごめん。さあ行こっか」
こうして私たちのデートがスタートした。
40 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:27:17.72 ID:9rrQTzr/0
「まずご飯食べよっか。わたし、お腹すいちゃった〜」
翼にそう提案されて、もちろんお誘いに乗った。
「私もご飯食べたい! 何食べる?」
「美希先輩に教えてもらったカフェに行ってみたかったんだよね。すっごくおしゃれなんだよー」
「じゃあそこにしよっか。この近くなの?」
「うん。このあたりだよ」
翼は自分のスマホで地図を表示させたので、それを覗き込むようなかたちになる。必然的に翼と距離が近くなった。
スマホの画面を見るつもりが翼のおっきな胸を、そして横顔に視線をずらす。翼って横顔きれいだよなーと思う。
そういえば今日はデートってことだけど翼とキスとかするのかな、なんて唇に目がいってしまった。
そんな考えにハッと気がつき、顔をぶんぶんと振ってそれを自分で否定する。そもそも恋人のフリなんだ。キスなんて必要ないはずだよ。
「どうしたの? 未来」
心配してくれた翼が下から覗きこんでくれる。
「いや、あの、あんまり地図が分かんなくて」
「未来ってばしょうがないな〜。ならわたしについてきて」
そう言って私の手を引いてくれた。
41 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:28:01.36 ID:9rrQTzr/0
◆
「ええ〜!? 今日は定休日ー!?」
目的地についたものの、入り口のドアにそう張り紙がついてあった。たしかに遠目からみても思ったよりお客さんいないなって思ったけど。
「ごめんね。せっかくついてきてもらったのに」
翼にそう謝られるけど、定休日なら仕方ないことだ。しかも張り紙を読むに不幸があっての臨時休業みたいだし。
「だ、大丈夫だよ。ほかの店でもぜんぜん」
「じゃあちょっと歩くかもだけど、他に気になっていたお店もあるんだ」
「うん、じゃあそっちいこうか」
そういうわけで他の店にいくことになったんだけど、道の途中で知らない人に話しかけられた。
「ひょっとして伊吹翼ちゃん?」
言い当てられた翼はうれしそうに答えた。
「えへへ、正解でーす。でも秘密にしてくださいね」
「ホンモノだ! 握手してもらっていいですか?」
翼のファンの人みたい。ちょっと誇らしい気持ちもあるけど、寂しい気持ちもあった。だって私だってアイドルなのに!
「あれ、横にいるのは春日未来ちゃん?」
「わ、わわっ。はい、そうです!」
まさか言い当てられるとは思わなくてちょっとびっくりしてしまった。
「未来ちゃんも握手お願いします!
それにしても翼ちゃんと未来ちゃんはプライベートでも遊びに行くくらい仲がいいんですね。これは捗るなあ」
捗るってなんだろ? と思いつつ握手やサインに応じているといつのまにか人だかりができていた。
「なになに、有名人?」
「翼ちゃんと未来ちゃんだ」
「私たちも握手してもらおう!」
どうする? と翼に視線を送ると翼も受けるしかないよねと苦笑いしている。
こうなったら応じるしかなさそうだよね。
42 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:28:50.58 ID:9rrQTzr/0
◆
「ふー。やっと落ち着いたね」
即席の握手会からやっと解放され翼と一息つく。
「まあ、わたしたちがそれぐらい有名になったってことじゃない?」
「それはうれしいけど疲れたかも」
「そうだね。次からはもっとちゃんと変装しよっか」
さすがの翼も疲れた表情をしていた。
「今何時くらいだろ? ってあっ!」
「どうしたの翼?」
「行こうと思ってたお店のランチタイム終わっちゃった……」
「えー!? 」
たしかにスマホの画面をみるとお昼の時間はとっくに過ぎていた。
43 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:30:20.03 ID:9rrQTzr/0
「ど、どうする?」
私があわてながら聞くと翼はこう答えた。
「うーんと、ファミレスならこの時間でも開いてるからそこでもいい? せっかくのデートなのにいつもとあまり変わらなくてごめんね」
「ぜんぜん大丈夫だよ」
そういうことでファミレスに向かうことになった。
44 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:31:14.73 ID:9rrQTzr/0
翼はファミレスはいつも遊びに行くときは変わらないと言ったけど、案外こっちの方が楽かもしれない。
あとメニューがたくさんあるので好きなの選べて、思わず笑顔になっちゃう。
ドリンクバーももちろんつけて、あとは、何にしよう。翼はビーフステーキが好きだったから、それを選びそう。
「未来はきまった?」
「うん、きまったよ」
「じゃあ店員さん呼ぶボタンおしていいよ」
「もう、そこまでボタンにこだわってないってば」
「いいからいいから」
「はーい」
翼に促され、店員さんを呼ぶ。
翼はメニューを指しながら「これくださーい」とパスタを注文する。私もその写真みてたら、おんなじものが食べたくなったので、注文しようと思っていたものから、急遽変えて、同じものを注文した。
店員さんが言ってから翼が言う。
「おんなじもの注文したね」
「なんだか見てたら美味しそうにみえてきて、でへへ」
「もう、シェアするとかでもいいのに」
「あっそうすればよかったかも」
「未来ってば」
そうやって2人で笑いあった。
45 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:31:48.79 ID:9rrQTzr/0
ご飯を食べながら、今度はあの店にリベンジしようねと誓い合ったり、アイドル活動の話をしたりした。
話し込んでいて気がつかなかったけど、時刻を確認すると、そろそろ夕方も過ぎる時間になっていた。お昼からあれこれあったせいで、そもそもご飯を食べ始める時間が遅かったから。
私が時刻を確認したことに翼を気がつき、そろそろ帰ろっかと言った。もう解散かあと思ったけど、仕方がないよね。だって私たち中学生だもの。
ファミレスでご飯を食べたあとは、帰宅するために電車に乗って家の最寄り駅で降りた。
翼とは家が近くて最寄り駅は同じだから、同じ駅で降りて一緒に歩いていたけど、こっから先は家の方向が違う。
翼にバイバイを言おうとしたところ、「ねえ未来、ちょっとだけお話いい?」と切り出された。
ちょっと不思議に思ったけど、特にこのあと予定もなかったので、お誘いに乗った。
46 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:32:55.54 ID:9rrQTzr/0
ここじゃなんだからと言われたので翼についていく。どこに行くの? 訊いても曖昧に言われて教えてくれなかったけど、途中で分かった。たぶん公園の方向だ。
さっきまでは楽しくおしゃべりしていたのに、翼が妙に難しい顔をして黙っているから私も同じように黙っていた。
公園に着く。あたりは暗くなり始めている。見慣れた公園だけど、時間が遅いので雰囲気が違ってみえて不思議な気持ちになった。
外灯っていうのかな。数メートルおきに電気が立っていて公園の中はそこまで暗いとは思えなかった。
時間が遅いのもあるだろけど、公園の中は私たち以外にいない。地面をザッザッと歩く音が2つ重なる。まるで私たちしかこの世界にいないような気分になった。
「ちょっとお話しよっか」と翼にベンチに座るように言ってきたのでそうした。
ベンチ近くの動物の形をした遊具があるんだけど、片方は色あせてて、もう片方は最近置かれたのか妙に新しくてすこしおかしく思った。
47 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:33:53.07 ID:9rrQTzr/0
「で、どうしたの改まって」
翼にそう訊くと「うーんとね」と迷ったように伏せ目がちに言ったけど、こう切り出した。
「ねえ未来」
そう言われた瞬間、ゾクリと身の毛のよだつ思いがした。なぜか翼がこれから言うことがわかってしまったから。
「わたしたち、お別れしよ」
「……え?」
胸がきゅーっと重くなる。とっさに言葉が出なかったけど、なんとか絞り出して翼の言葉を聞き返した。
「お別れって、どういう意味?」
自分でも往生際が悪いなって思った。言葉の意味はすでに分かっていたのに。
「これから普通の友だちに戻ろうってこと。付き合ってるフリも終わりにしよ」
がんばって明るくふるまって訊く。
「えーっと、やっぱり……もうスキャンダルがなくなったから?」
「それも、あるんだけどね。その……静香ちゃんに怒られたの」
48 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:35:36.38 ID:9rrQTzr/0
「静香ちゃん?」
「バレちゃった。未来と百合営業してるの。プロデューサーさんとお話しているときに聞かれて」
「静香ちゃんなんて言ってた?」
「翼なら未来を任せてもいいって思ってたのにって。それと自分のために未来を利用しているだけだって」
翼の言葉を急いで否定した。
「わ、私は利用だなんて」
「でも結果的にはそうだよ。そのことをグルグルって考えたら、この前熱出しちゃって。知恵熱ってやつかなあ?」
この前、翼を看病したことを思い出す。だから熱も出したし元気もなかったのかと納得した。
「それでね」と翼が続ける。
「看病までさせちゃったし、未来はイイコだから……」
話の雲行きが変な方向にいきそうだったから私は勢いで翼に伝えた。
「私は利用なんかされてないよ。だって私は翼が……むぐっ」
翼に口を手でふさがれて、次の言葉が言えなかった。
翼は余計悲しそうな顔をする。
49 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:37:16.30 ID:9rrQTzr/0
「その言葉は言っちゃダメ」
ふさがれた手を振り払う。
「ぷはっ、な、何で!」
「えっとね、思ったんだ。わたしも、そしてもしかして未来も恋を扱うにはまだ早かったんだよ」
「い、意味がわかんないよ」
うーんとね、と翼は慎重にゆっくりと選びながら言う。
「恋愛はキラキラしてて、しすぎているから。その熱に浮かされちゃう。よくある歌詞だけど恋に恋する少女なんていう分かりやすいかな。恋だとか付き合うだとかで、その気になってしまっただけ」
「じゃあ私は翼が言うように恋に浮かされてただけなの?」
「きっとそう」
自分の気持ちが偽物であることを突きつけられ、戸惑いと悲しみが生まれる。でもどっかでそうじゃないと否定しきれない気もして、次の言葉がつげなかった。
50 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:38:37.50 ID:9rrQTzr/0
「だから、わたしは未来を騙してた。ごめんなさい」
「あ、謝らないでよ」
声がかすれ声になるのを自分で気がついた。
「こんな純粋な子、騙してるんだなって思うと罪悪感でいっぱいになっちゃって。わたしも辛くなってきて……だから今日のデートで一区切りって思って」
「……そっか」
「それにいつかわたしたちはお別れするでしょう」
「え?」
「遠いことだけど、いつかはアイドルを引退して、そのうちステキな旦那さんが見つかって、もしかしたらその先子どもができて……なんてよくある人生があるかもしれない。いつまでもこんな関係は続けられないよ。いつかお別れするなら早い方が傷つかないよ」
翼の言ってることは分かる。でもあまりピンとこなかった。
翼が今が辛いって言うなら別れるしかないのかなって思った。それに自分の気持ちが偽物って言われたのがある意味決定的だった。
51 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:39:54.39 ID:9rrQTzr/0
「ま、まあ最初からフリだって話だったしね」
「そうそう。それにお別れなんて言っても前と一緒の関係に戻るだけだし、なんも変わらないよ」
私は精いっぱいの強がりを、翼はなんの慰めにもならないこと言った。
「じゃあ今日は解散ね。今までありがとう」
翼は気まずさも感じたからか、先に足早に去っていく。大切だったもの手からポロポロと落ちていく感覚。私は自分がひどい顔をしてるのが分かっていたので、翼がこっちを振り向かないように祈るだけだった。
翼が角を曲がって、姿が見えなくなる。
……やっぱり振り向いてほしかったなあ。
52 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:43:07.25 ID:9rrQTzr/0
◆
「なあ、今日未来がずっと泣いとるんやけど、静香なんか知らんの?」
「わ、私は……その」
「ふーん、なんか訳知り顔やなあ」
「それでも、今回は立場的にでしゃばることはできませんから」
「まあ静香がそういうならええけど、でもあそこまで落ち込まれると私も話かけづらいわー」
奈緒さんと静香ちゃんが心配してくれてるみたいだけどまるで頭に入らなかった。
今日もレッスンがあったので、がんばってシアターに来たけど、机に突っ伏して泣くことしかできなかった。
翼には幸い(?)まだ会ってない。どうやらサボってるとは聞いたけど……
53 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:44:24.11 ID:9rrQTzr/0
「どうしたのよ。未来ちゃん、そんなに泣いたりして。ひょっとして失恋でもした?」
そんなときに莉緒さんが話しかけてきた。失恋、という言葉を聞いてさらにどばっと涙があふれてくる。
「えっ!? いや本当にそうだったとは知らなくて……ごめんなさい」
そう言ってあわてる莉緒さん。それを近くにいた、このみさんが注意する。
「今のは莉緒ちゃんが不注意だったとは思うわ」
でもこの2人が話しかけてくれたのはラッキーかもしれない。大人だから色んなこと知ってそう。
「2人は失恋したとき、どうしてますか?」
顔をあげて2人にそう訊く。
「私は未来ちゃんほど可愛かったら、もう一回押してみてもいいかとは思うけど」
「と莉緒ちゃんは言うけど、本人は案外そうはいかないから。ファミレスで男の人と食事するのにニンニクが入ったソースがかかった特製ステーキを食べたことがあるくらい恋愛には不慣れよ」
あっそこは翼と行ったファミレスだ。
「ちょっとこのみ姉さん!」
「ふふっ。でもこういうのは相手がいるから、一概にはなかなかいえないわね。失恋って一言にいっても、色んなパターンがあるだろうし。なんて言われたの?」
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