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未来「翼と百合営業する話」【ミリマス 】
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/06/26(金) 03:45:16.96 ID:9rrQTzr/0
テスト
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1593110716
2 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:48:46.06 ID:9rrQTzr/0
ガチャリと学校の屋上へと続くドアを開ける。屋上には私を呼び出した張本人、伊吹翼がいた。
「遅かったねー未来。待ってたんだよ」
翼は給水タンク横の少し高くなっている段からハシゴも使わず飛び降りた。
その姿はすごくサマになっていて、まるで翼が生えているようなんて思った。
「私に用ってなに、翼?」
「もお未来ってば分かってるくせに。それとも分かんない? じゃあ教えてあげる」
そのときタイミングよく風がふいて、翼の髪と私と比べて短く折ってあるスカートを揺らした。
そして今までケラケラと笑っていた翼の雰囲気が変わる。少女漫画のヒロインみたいに顔を赤らめて、目はうるんでるように見えた。
「あのね、わたしはね、好きなの。未来のことが好き」
3 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:49:48.70 ID:9rrQTzr/0
少し心臓がドキッとした気がしたけど、気のせいだと思う。しかも翼に乗せられるなんて悔しいから、いつもの私らしくなるように言った。
「それで、この告白練習はいつまで続くの」
「も〜っ未来ってば、そんなこと言わないで」
翼は再びケタケタと笑った。
私がもう、っとため息をついたとき、バンッとドアが開く。そこには琴葉ちゃんが立っていた。
なんで琴葉ちゃんがいるかって? だって学校はあくまで設定で、ここはシアターの屋上なんだもの。
「シアターの屋上は危ないから上がっちゃダメって言ってるでしょう。誰かの許可はとったの?」
「わあ、琴葉ちゃんごめんなさい!」
言葉は優しいけど琴葉ちゃんはすっこぐ怖い。翼と2人でひたすら謝るはめになってしまった。
4 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:50:37.14 ID:9rrQTzr/0
さて、なんで翼と告白の練習をしているかというと、この前の事務所であった出来事が始まりだ。
あれは、いつだっけ。そうそう帰ってからお気に入りのドラマを見たから先週の金曜日のことだった。
そろそろお腹すいたし、帰ろっと思ったちょうどそのとき、プロデューサーさんに話しかけられた。
「なあ未来、ちょっと社長室に来てくれないか」
その言葉をきいて、思わず血の気がひいた。だってプロデューサーさんに呼びだされるときには怒られてばっかりだもの。職員室に呼び出されたときと同じ気持ち。
この前のテストの点が悪かったからかな? とか変なボタンを思わず押してしまったからかな、とか思い当たるフシがありすぎることにグルグルと頭を悩ませながら、社長室に入ると、プロデューサーさんと律子さんとあと何故か翼もいた。
翼がいて安心したけど、同時にはっきりもした。これは叱られるぞと。
翼がちょいっと挨拶をしてきたので私も軽い素ぶりでそれを返す。
5 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:51:22.30 ID:9rrQTzr/0
そしてタイミングを見計らったようにプロデューサーさんはわざとらしい咳払いをして言った。
「忙しいときに呼び出してすまない。未来を叱ろうと思ってるわけじゃないからその点は安心してくれ」
よかったぁ。翼と夜遅くまで通話してて次の日のレッスンに遅刻した件ではなかったみたい。
「じゃあ何で私たちは呼ばれたんですか?」
「ああ、それはな……」
プロデューサーさんは一息置いて言った。
6 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:52:11.17 ID:9rrQTzr/0
「未来と翼には百合営業をして欲しいんだ!」
「百合営業?」
聞いたことのない言葉に首をかしげる。けれどもすぐにピンときた。
「あっ分かりました! マッチ売りの障子みたいな感じで百合のお花を売るんですね。私、頑張ってみます」
割と自信はあったのだけど、皆は渋い顔をしている。あれ? 外したかな。
翼が教えてくれる。
「未来ってば百合営業も知らないの? 百合っていうのは女の子同士で恋愛することで、営業っていうのはそのフリってこと」
「じゃあ私と翼が恋愛するフリをしろってこと?」
「そうそう」
「な、なんで」
7 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:53:26.70 ID:9rrQTzr/0
私がびっくりしていると律子さんから付け加えて説明があった。
「プロデューサーは説明を端折りすぎです。未来にはこれを見てもらうのが早いかしらね」
律子さんはそう言いながら、一冊の雑誌を取り出した。
私でも知っている有名なゴシップ誌だ。アイドルを始めたばっかりの頃、あの手の雑誌や記者さんには気をつけろとプロデューサーさんに教えてもらったことがある。
律子さんが指すページをみると、男の人と女の人が仲良く肩を抱き合って歩いている写真が載っていた。カメラはその2人を後ろから撮っているんだろうけどこの2人、見覚えがある。
「これってまさか翼とプロデューサーさん!? 2人って……」
いやいや違うとプロデューサーさんは必死に否定する。
「ち、違うぞ未来! これはだな」
慌てるプロデューサーさんをよそに律子さんが代わりに説明をする。
「ねえ翼、この写真を撮られたとき、やってたことを再現してくれないかしら」
「え、いいですけどあんまり正確に覚えてないですよ〜?」
「それでもいいから」
律子さんに促され、翼はこの時のことを再現した。
「ねえ、プロデューサーさん。今日はたくさんお買い物に付き合ってくれてありがとうございまーす。つ、ぎ、も、お買い物に付き合ってください。ねぇダメぇ? え、ほんと? やった! プロデューサーさんダイスキ!」
「パシャ」
律子さんが写真をとる真似をした。
8 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:54:36.09 ID:9rrQTzr/0
「なるほど〜。ようするに翼がプロデューサーさんにいつもみたいに、じゃれついてたらそこを写真に撮られちゃったと」
「さすが未来ね理解が早いわ」
律子さんに褒められ、少しうれしくなったけど、当然の疑問もわいてくる。
「それでなんで私と翼が百合営業? することになるんですか?」
「ウチでは恋愛禁止は特に明文化していないけど、翼のスキャンダルは仮想恋愛を楽しむ人もいるファンにとって、これは大きな痛手なの。翼のファンが減ってしまうどころかこれからのアイドル活動が続けられるかは分からないわ」
「た、大変じゃないですか!?」
私は身を乗り出して言う。
「でしょう。しかも翼ってミーハーなところあるから、ちょっとカッコいい芸能人に声を掛けられたらホイホイついていきそうだし」
「わたしはそんなに軽くないですよ〜」
律子さんの少しイジワルセリフは日頃の心配の裏返しかもしれないなって思った。
「だからこそ百合営業ってわけだ」
ここでプロデューサーさんがばばんと宣言する。
「そもそもプロデューサーが軽率だからこんなことになったんですからね」
「す、すまん」
プロデューサーさんもいっつも律子さんに怒られてるなあ。
9 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:55:28.94 ID:9rrQTzr/0
「まあやってしまったことは仕方ないですから、とやかくは言いません。それで私も最初は百合営業ってのもどうかと思ったけど、案外、いい案かしらと思い始めてて。それに未来と翼の同学年、百合も匂わす仲良しユニット。これはひょっとして芸能界を代表するユニットになるかもしれないわ」
グッと拳を握って言う律子さん。すごいなあ。こんな時にまでお仕事につなげようとするなんて。
「それで翼はイヤじゃないの?」
「うん? 別に未来とだったらいいよ。」
翼は私の疑問にあっさりと答えた。まあ翼がいいって言うならいっか。翼を助けることもできるし。
「分かりました! じゃあ私、翼と付き合います」
「ありがと、未来。よろしくね。」
「で、付き合うって何をしたらいいんですか〜?」
その疑問に皆はがくっとひっくり返った。
10 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:58:07.93 ID:9rrQTzr/0
◆
さて帰り道、私と翼は家の方向が同じなので同じ駅へ向かうことになる。
「それにしても百合営業かあ。やっぱり私よく分かんないや」
私はでへへと笑いつつ、あっけらかんと告げると、翼はくすくすと笑いながら言った。
「わたしもよく分かんないけど、2人で探していこ」
「まぁそうだね。それにしても翼、やけに楽しそうだよね」
「だってフリとは言っても、恋人ができたんだよ。なんかワクワクしちゃうかも〜」
「翼ってば」
翼はこの状況を楽しんでいるだけなんじゃ……?
11 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:58:48.41 ID:9rrQTzr/0
「じゃあ手でもつないでみよっか」
私が手を出しながらそう提案したけど、翼はのってくれなかった。
「未来ってば分かってないな〜」
「え?」
「こういうときは、歩いてるときにふと指がちょんって触れ合っちゃって、2人は意識しちゃって顔を赤らめて、でも夕日せいとか言ってごまかして、どちらからとも言えないまま手をつないで、でも手汗をかいてないか気になっちゃって〜」
「翼ってモテモテライフって言ってるくせにけっこう乙女だよね」
「もう未来ってばからかわないで」
唇をとがらせる翼に私はでへへと笑い掛ける。
「翼の理想通りにはいかないかもしれないけど、とりあえず手、つなごっか。理想はつないでから考えるよ」
「まあいつもやってるけどね」と付け加えつつ私は手を出すと、翼は一瞬きゃとんとしつつも、とびきり笑顔で手を握ってくれた。
「これからよろしくね。未来!」
こうして私たちのの恋人生活が始まったのであった
12 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 03:59:39.47 ID:9rrQTzr/0
それからお家に帰り、晩ご飯を済ませ、お風呂から上がったときにふとスマホを見ると、翼から絵文字ゴテゴテでメッセージが入っていた。
「やっほー! わたしの未来へ。未来と付き合えてうれしいなー」
いつのまにか翼のモノになったのだろうと私は苦笑いする。それでもたしかに心がフワフワしてポワポワするのもウソじゃないとは思う。この気持ちは何て言うのかな。
私は返信を返す。
「私も翼と付き合えてうれしいよ。でも翼は飽きっぽいから、飽きられないようにしなくちゃ」
「未来ってばひどーい。わたしが浮気するかもって思ってるの」
「そういうわけじゃないけど。そういえば私たちが付き合ってることはお仕事でも言うの?」
「ううん。やめとこっかなーって」
「そうなの?」
「公言するんじゃなくて匂わせる程度がいいってプロデューサーさんが言ってたよ。その方が妄想が加速するとかなんとか。でも匂わせ女子ってイマドキだしドキドキするかも」
「そういうものなんだ」
「それに未来と秘密を共有しあえるってステキだと思わない?」
「それはそうかも」
秘密を共有しあえる。小さい頃に友だちとこっそりイタズラをするような感覚に近いかな?
「劇場にみんなに言うのもだめかな? 例えば静香ちゃんとか、頼りになると思う」
「静香ちゃんでもダメ。それに恋人同士でメッセージ飛ばしあってるときに他の女の子の名前を出すのはマナー違反!」
「あはは、ごめん」
そのあといくつかチャットをし合って、眠くなったので寝たのだった。
13 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:00:40.26 ID:9rrQTzr/0
◆
次の日、学校で授業を受けながら別のことを考えていた。翼と付き合うことになったのはいいんだけど、やっぱり付き合うって何をすればいいのかなあ。それに公言禁止で匂わせるなんて難しいって思う。
「ねえ、未来。さっきから何考えてるの? もう下校時間だよ」
「あっごめん、翼。ちょっとボケーっとしてて」
「翼って誰? 私はサキでしょ。まあ未来がボーっとしているなんていつものことだけど」
サキちゃんは私のクラスメイトでお友だちだ。
つい翼の名を呼んでしまい、顔が熱くなった。
「あはは、ごめんサキちゃん」
「まあいいけど。それでね、あの校門の方見てみて」
「うん?」
外を見ると、よく知った顔がいた。
14 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:01:12.83 ID:9rrQTzr/0
「すごい美少女だよね。制服的に他校の生徒かな。もしかして誰の彼女? ウチの男子もやるなあ。ひょっとしてサッカー部の先輩の彼女とか? よくモテるって聞くよ」
「でへへ〜」
「なんで未来が照れてるのよ」
それは私の彼女だからと言いそうになったけど、なんとかこらえることができた。
帰りの会が終わって急いで校門まで向かう。翼もこっちに気がついたみたい。
「やっほー未来」
「急に迎えにくるなんてびっくりしたよ」
「だってサプライズだもん。言ってちゃ意味ないでしょ」
「そうかもだけど、翼、噂になってたよ」
「ホントー? なんて言われてた?」
「美少女がいたって」
「やったーうれしいな! 未来もそんなわたしと付き合えてうれしいでしょ?」
翼はそう言って私にぴとっとくっついてくる。
「もお、歩きづらいってばー!」
「これぐらいの方が恋人らしくていいもーん」
「昨日、雰囲気がだいじって言ってたくせにー」
「それはそれだよー!」
こうやって2人でシアターに向かった。言うまでもないとは思うけど、翼と過ごせて楽しかった。
15 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:02:00.10 ID:9rrQTzr/0
◆
翼とくっついたまま、事務所に入るとまずプロデューサーさんと会った。2人でイチャイチャしている様子を見ると、グッと親指を立てていた。すごくニヤニヤとしていて、なんか百合営業と違った目的もあるような……。
そんなことを考えていると後ろから静香ちゃんがやってきた。
「おはよう、未来、翼。2人とも今日はやけに仲がいいわね」
わっ! し、静香ちゃん!
「どうしてたの? 未来、ぎょっとして」
「いや、なにもないよ。急に話かけられたからびっくりしただけ」
「未来ー! 静香ちゃんとなにお話してるのー?」
翼が後ろから抱きついてくる。
「翼ってばー!」
静香ちゃんの様子をみると、困ったように笑ってた。
「ほら、2人とも、事務所の入り口付近ではしゃいでいると他の人の邪魔になるわよ。早く入りましょ」
静香ちゃんはなにも気にしてないようにそう言う。
「静香ちゃん気がついたかなー」
翼はそう言ってるけど、あれは気がついてないなって思った。まあ私たちいつもこうだしね。
16 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:02:55.30 ID:9rrQTzr/0
◆
レッスンも一通り終わったけど翼と私はシアターに残っていた。翼はホワイドボードの前に立って、私は近くのパイプいすに座っている。
「じゃあ早速はじめちゃおっか。第1回レディピンクポップ会議」
翼はそう言ってホワイドボードに文字を書いていく。女の子らしい丸文字だーとぽけーっと思った。
「で、そのレディなんとかって何するの?」
「もちろん恋愛の練習。フリだとはいっても未来と付き合うことになったんだから、恋人らしいことがしたいなーって」
「恋人らしいこと?」
「そうだよー。例えば壁ドン」
「あーこの前ラーメン屋さん行った時、本棚に入ってたよ」
「ドカベンじゃなくて壁ドン。壁ドンっていうのは〜って説明するよりもやった方が早いかも。ほら、未来。壁のとこに立って」
「こ、こう?」
翼に言われた通り、壁を背にして立ってみる。
翼はスイッチを入れるように、ペロッと唇をなめて、表情をクールにさせて、私に迫ってきた。そしてびっくりぐらい至近距離にきて、翼は壁をドンとたたく。
「今夜は帰さないよ、未来」
わ。これはやばいかも。私は今とろけきっただらしのない顔をしてるに違いない。ほっぺただって、熱くなってきた。
翼の赤い瞳に見惚れてしまう。ずっと見てると翼の瞳に私が映っていることに気がつく。翼が私だけを見てるんだよね。
17 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:03:50.06 ID:9rrQTzr/0
どうしても恥ずかしくなってきて、慌てて目をそらすと、翼がニッと笑って言ってきた。さっきまでのかっこいいモードは解いて、いつもの翼だ。
「どう? きいたでしょ?」
私はこくこくとうなずいた。
「これはすごい! すっごく、すーっごくドキドキした」
「えへへ、でしょう」
「うんうん」
「じゃあ次は未来の番ね」
「わ、わかった。やってみるよ」
翼と場所を入れ替わって、えーい! と壁にドンってする。
「どうかな?」
「……」
翼が黙っちゃうから妙な静けさが訪れた。でもそれも一瞬のことで
「未来ってば壁つよく叩きすぎーしかも目をつぶってちゃ意味ないよ」
そう言っていつもみたいにケラケラと笑うのだった。なんだ、壁ドンでドキドキしたのは私だけだったみたい。
18 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:04:51.76 ID:9rrQTzr/0
「それじゃあ壁ドンの次はなにする?」
私がそう聞くと翼はこう応えた。
「そうだねー。告白タイム?」
「え、もう告白までいくの?」
「だってそれが一番ドキドキするでしょ?」
「まぁそうかも」
「未来は理想の告白シチュエーションある?」
「告白シチュエーション……むずかしい」
私がむむむと悩んでいると翼がこう切り出した。
「じゃあ、わたしから先にするね。わたしの理想の告白は……」
「部活の後輩だっけ」
たしか前にステージでそう言ってた気がする。
「そうそうよく覚えているね。……やっぱ未来ってむっつりさんだね」
「え〜! なんでそうなるの?」
「だって『でへへー私は恋愛なんて分からないですし、興味もありませーん』みたいな顔してさっきの壁ドンでも興味シンシンだったし」
「そんなこと言ったことないよ〜」
「でも言いそうー」
翼に抗議したけど、興味があるのは本当だったとは思う。でもなんか恥ずかしいからそうは言えない。
「私はアイドルやる前、いろいろ部活やってたから、こう……印象に残ってて」
「はいはいそれでいいよー」
「もう!」
翼があまりにもからかってくるから、ぽかぽかと肩あたりにじゃれつく。
19 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:05:30.42 ID:9rrQTzr/0
「ごめん、ごめん。じゃあ告白のシミュレーションやってみようか。お仕事の練習にもなると思うよ」
「わかった」
たしかにドラマだとか舞台だとか演技の練習にもなるかもしれない。
「じゃあ未来は頼りないけど部活の先輩ね。それで私は後輩のマネージャー」
「たよりないは余計だよっ」
「はいはい分かった分かった。じゃあスタート♪」
20 :
◆z80pHM8khRJd
[saga]:2020/06/26(金) 04:06:56.76 ID:9rrQTzr/0
◆
「せんぱーいお疲れさまでーす。タオル持ってきました」
「あ、ありがと翼」
「どうしたんですか、センパーイ。顔が赤いような……」
「き、きのせいだよ」
翼に先輩と呼ばれて、でへへってなったのは内緒。
ちょっと間ができたので私から切り出してみる。
「ちょっと悩んでて、なかなかうまくなれなくて。レギュラーになれるかなぁ」
「大丈夫です。センパイなら絶対わたしを甲子園に連れて行ってくれます」
「あっ私野球部なんだ」
「素に戻るのキンシ!」
「ごめんごめん」
翼はまた後輩モードに戻る。
「それでセンパイ、最後の大会前に伝えたいことがあるんです」
「うん、なんだい?」
我ながら、なんだいってなんだろ。でも翼は気に留めなかった。
「気が付いたらセンパイのことを目で追ってるんです。マネージャーなんだから、部員のみんなを見なきゃならないのに……。試合でセンパイが活躍したら、自分のことみたいにうれしくてほこらしくて」
「そ、そうなんだ」
「はい。センパイは一生懸命で誰よりもがんばっていて……。ねぇ聞いてください」
翼は一瞬間をおいて言った。
「わたしはセンパイのことが好きです」
翼は真剣に私を見つめてくる。なんかこう、ぞわぞわするような、居づらさを感じるようなこの感じ。思わず黙っちゃう。
「……」
翼は返事を待ってるのか、黙ったまま。
「……」
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