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高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「紫陽花のカフェで」
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28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/14(日) 19:03:21.52 ID:vJp6Bzj50
>>27
度々申し訳ございません。下から2行目のセリフを修正させてください。
誤:<なんか楽しそう……!
正:<なんだか楽しそう……!
――10分後――
加蓮「笑ったら私までお腹ぺこぺこになっちゃった」
藍子「私も。お腹、ぺこぺこです」
加蓮「またお腹を鳴らしちゃうくらいに?」
藍子「…………し、」
加蓮「ごめん。ごめんなさい。もう言いません」
藍子「……。限定メニューが増えているみたいですよ、加蓮ちゃん」
加蓮「どれどれ? ……ゼリー?」
藍子「ゼリーみたいです」
加蓮「っていうかこれ……。ただのお皿の写真……? いや流石に、じゃないよね?」
藍子「どうやら、すごく透明色をしたゼリーみたいですね」
加蓮「雨を食べて、嫌な物も呑み込んで、梅雨を乗り越えよう――か。雨を食べるって、なんだかオシャレ」
藍子「注文してみましょう。すみませ〜んっ」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/14(日) 19:03:51.29 ID:vJp6Bzj50
……。
…………。
加蓮「おっ。来た来たっ」
藍子「これは……ゼリーですね」
加蓮「いやそれさっきも聞いた……。四角形のゼリーだね。店員さんが置いた時、ぷるって揺れたもん」
藍子「透き通った中に、ほんの少しだけ水色が入っているのかな……? ここ、こっち。この角度から見ると、上の方についている水色が、光の反射で……」
加蓮「ホントだー。雨を食べる、だもんね」
藍子「見ていると綺麗で食べるのがもったいないって思っちゃいますけれど……でも、よく見たら、ゼリーなんです」
加蓮「ね。普通にお店で売ってそうな……あ、いい意味でだよ?」
藍子「分かっています。だから、食べやすいってことですよね」
加蓮「ライチのジュースも、その気になれば自分で作れるのと同じようにね」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/14(日) 19:04:21.02 ID:vJp6Bzj50
藍子「いただきます♪」
加蓮「いただきます」
藍子「もぐもぐ……」
加蓮「……うん、ゼリーだ」
藍子「ゼリーですっ」
加蓮「ちょっと水っぽさが気になるけど……。あぁそっか、雨を食べる、か」
藍子「味はすごく薄くて、口の中に水たまりができたみたい。……ふふ。加蓮ちゃんが何度も言うから、本当に水を食べている気分になっちゃいました」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/14(日) 19:04:51.56 ID:vJp6Bzj50
加蓮「小さい頃さ、……はいはい身構えないの。小さい頃に、雨が降った時に空を見上げて口を大きく開けたりしなかった?」
藍子「加蓮ちゃんも? 私もやったことがありますっ。でも、雨は美味しくないし、ずっと見上げていたら目に入って泣きそうになっちゃって――」
加蓮「まぁ私じゃなくて窓から見えた小学生がやってたんだけど」
藍子「えっ」
加蓮「ばかだなー、って思いながら見てたよ。さすがにあれは羨ましいとは思わなかったなー」
藍子「……なんなんですか、それ〜。私だけが、恥ずかしいお話をしたことになっちゃったじゃないですか」
加蓮「たはは。入院時代の加蓮ちゃんは雨の日の外出許可なんてもらえたことありませーん。……病院の奴ら全員今すぐ雨に打たれて風邪を引けばいいのに」
藍子「なんだか黒いものがにじみ出てる……」モグモグ
藍子「加蓮ちゃんがお世話になっていた看護師さんにも、風邪を引いてほしいんですか?」
加蓮「……」ピタ
加蓮「……、」
加蓮「……できればもっと重い病気になっちゃえ」モグモグ!
藍子「もうっ。あんなに加蓮ちゃんのことを大切にしてくれてるのにっ」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/14(日) 19:05:21.31 ID:vJp6Bzj50
……。
…………。
「「ごちそうさまでした。」」
藍子「ライチのブレンドジュース、楽しみです♪ 他に入っている果物、今日こそは分かるかな……?」
加蓮「自信がなかったら今度家で試してみたら? そしたら正解が分かるかもね」
藍子「それもいいですねっ。加蓮ちゃん、今日この後は空いていますか?」
加蓮「ナチュラルに私を巻き込むんだね……。まぁ空いてるけどさ。じゃあお母さんにさっさと連絡、」カサ
加蓮「ん?」チラ
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/14(日) 19:05:51.04 ID:vJp6Bzj50
藍子「加蓮ちゃん?」
加蓮「いや……そういえばさっきも――あ、これ、入れっぱなしにしてたんだ」
藍子「それって……。紫陽花の花びら? ううん、折り紙でしょうか。加蓮ちゃんが折ったんですか?」
加蓮「あはは……。うん、一応ね? 今日さ、事務所に行ってからPさんに送ってもらったんだけど、その時にちょっとだけ時間があったの」
加蓮「で、事務所にちびっこ組がいて……折り紙で遊んでたから、私もちょっとだけ混ぜてもらって」
加蓮「でもさー、折り紙のやり方なんて全然覚えてなくて。みんなに教えてもらっちゃった」
藍子「ふふ。いつもとは逆だったんですか」
加蓮「……途中で、あー、年下の子に教えてもらっちゃったなぁ、って……落ち込んだってほどじゃないんだけど、こう……あるでしょ?」
藍子「なんとなく、分かりますよ」
加蓮「そしたらまたこずえちゃんが頭撫でてくれてさー」
藍子「いつかの神社と同じみたいに?」
加蓮「ふふっ。してやられちゃった」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/14(日) 19:06:21.41 ID:vJp6Bzj50
藍子「でも、この紫陽花はくしゃっと潰れてしまっています……」
加蓮「ずっとポケットに入れたままだったの、忘れちゃった」
藍子「みなさんと一緒に作った、ちいさなお守りだったのかも?」
加蓮「お守りは、役目を終えたら処分するのが決まりだって前に歌鈴が言ってたけど――」
加蓮「……うん。折り直そっか。それで今度は、みんなが撮影に行く時に渡してあげよっと」
藍子「ぜひ、そうしてあげてください♪」
加蓮「藍子ー。折り紙ってある?」
藍子「あっ。今度は、私が自然に巻き込まれる番なんですね。今は持っていませんけれど、私の部屋の机の中にあったかな……。帰ったら、一緒に探してみましょう」
加蓮「ん。……雨の日も、愉しもうって思って見方を変えれば色々あるんだね。紫陽花も、ゼリーも」
藍子「でしょ?」
加蓮「……でも、そのドヤ顔はムカつくっ」ペシ
藍子「きゃ。……も〜♪」
【おしまい】
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