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モバP「Uber Kaede……?」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 18:25:53.68 ID:9FOzmnE/0
P「ふー……」
P(結局、自宅に着いたのは21時を回ってしまった)
P(まぁ、もともと昼夜無用な所もあるこの業界だ)
P(魔法の解ける前なだけ上等、なんて思えるのは社畜心の芽生えなんだろうか)
P(結局夕飯は食いっぱぐれてたし……いいや冷凍チャーハンで)
P(フライパン洗うのもダルいし……レンチンだな)
P「っと……チラシ溜まってんな……」
P(少し放っておくだけですぐコレだ)
P(ポスティングの人達も大変なんだなぁ)
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1590312353
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 18:27:30.17 ID:9FOzmnE/0
P(宅配ピザ、宅配寿司、宅配弁当)
P(懐事情は悪くないし、食欲はくすぐられるが……)
P(どれも受付時間は過ぎてるな。おとなしく炒飯にしとこう)
P「……ん?」
【Uber Kaede】
P「……」
P「…………?」
【Uber Kaede】
P「……」
P「……」
P「……………………?」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 18:32:39.66 ID:9FOzmnE/0
P(思わず三度見してしまったが)
P(Uber Kaede……とは……何だろう)
P(よく似た名前のサービスなら利用した経験はあるが……何だろう)
P「あ、電話番号書いてあるな……」
P「……」
P「…………」
P(いやこれ楓さんのマジ番号じゃねぇか)
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 18:37:54.47 ID:9FOzmnE/0
P(企業が発注したにしては微妙なクオリティのチラシだが)
P(ただの悪戯にしては微妙に手が込んでいる)
P(ちひろさんが十五分で作ったら丁度これぐらいの出来栄えになりそうだ)
P(本当に何なんだこれ)
P「……」
P(試しに……試しに掛けてみるか)
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 18:45:19.96 ID:9FOzmnE/0
楓『はい。高垣です』
P「……ぁ、えと……楓さんですか」
楓『楓さんですね』
P「楓さんだった……」
楓『こんばんは。デートのお誘いですか?』
P「いえ、そうではないんですが」
楓『そうではありませんでしたか……』
P「少し楓さんにお訊きしたい事がありまして」
楓『本当にデートのお誘いではないんですか?』
P「本当にそうではないですね」
楓『しゅん』
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 18:50:22.06 ID:9FOzmnE/0
P「えっとですね……なんか、チラシが入ってまして」
楓『あら。Uber Kaedeのご注文ですか?』
P「ご注文」
楓『はい』
P「……」
楓『ご一緒にデートはいかがですか?』
P「まだ注文してないです」
楓『そういえばそうでしたね』
P「……」
楓『わくわく』
P「……じゃあ、CoCo壱の豚しゃぶカレー、ご飯400gの3辛で」
楓『あ、ウチそういうのやってないんですよ』
P「やってない」
楓『やっていませんね』
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 18:56:40.36 ID:9FOzmnE/0
P「と言うと」
楓『Uber Kaedeはまごころと愛情が売りなので』
P「……?」
楓『私が腕によりをかけてお作りしているんです』
P「楓さん」
楓『どうかしましたか?』
P「なんで名前だけ乗っかってみたんですか?」
楓『ちょっとお洒落かなと思ったので……』
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 19:02:52.21 ID:9FOzmnE/0
P「……まぁ、お腹も減ってますし、折角ですし……注文いいですか」
楓『どうぞ』
P「えっと……じゃあ……春巻きと」
楓『まき一丁』
P「それから……牛肉のしぐれ煮」
楓『ぐれ一丁』
P「それ居酒屋じゃないですか?」
楓『ご注文は以上でよろしいですか?』
P「はい」
楓『では、愛情とまごころを沢山こめますので』
P「…………はい」
楓『明日のお昼、事務所にお届けしますね』
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 19:10:18.70 ID:9FOzmnE/0
P「……えっ」
楓『では、お楽しみに。ご注文ありがとうございました』
P「あの」
P「……」
P「…………」
P「うん。やっぱフライパンで炒めた方が旨いな」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 19:15:17.76 ID:9FOzmnE/0
◇ ◇ ◆
楓「どうもー。Uber Kaedeでーす」
P「……それっぽいですね」
楓「予習してきましたから。どうぞ」
P「ご苦労様です……ありがとうございます」
楓「いえいえ」
P「……今更ですが……楓さんの手作りなんですね」
楓「はい。愛情は多めにしておきました」
P「…………ところで、その、お代の方は」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 19:53:23.21 ID:9FOzmnE/0
楓「……お代」
P「ええ」
楓「そういえばそうでしたね」
P「お幾らぐらいでしょう」
楓「うーん……」
P「……」
楓「じゃあ、お金は要りませんので、代わりに」
P「はい」
楓「遠慮がちに『……良かったよ』って囁いてくれるだけでいいです」
P「明日のランチ、俺が奢りますね」
楓「いいですね」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 19:59:47.18 ID:9FOzmnE/0
P「では、いただきます」
楓「召し上がれ」
P「まずは春巻きから……あむ」
楓「……」
P「……ん! 美味しいですね。揚げてから結構経ってるでしょうに」
楓「余分な油を紙に吸わせておいたんです」
P「こっちのしぐれ煮もしょっぱ過ぎなくて旨い」
楓「プロデューサーたる者、健康第一ですよ」
P「ごちそうさまでした」
楓「お粗末様でした」
P「いやぁ……美味しかったです」
楓「またのご利用をお待ちしていますね」
P「それは……どうでしょう」
楓「お待ちしていますね」
P「あ、はい」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:03:51.10 ID:9FOzmnE/0
◇ ◇ ◆
P「はー……」
P(午後休は何だか得した気分になる)
P(完全に気のせいだけども)
P(さて……夕飯はどうするかな)
【Uber Kaede】
P「……」
P「…………」
P(いや)
P(先週のアレはお試しで利用しただプルルルルルルルルルルルルルルルル
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:09:50.78 ID:9FOzmnE/0
P「……もしもし」
楓『Uber Kaedeです』
P「えぇ……向こうから営業かけてきた……」
楓『そろそろまた今夜あたりご利用になるかと思いまして』
P「顧客の動向をバッチリ把握してる」
楓『ご注文を伺います』
P「……じゃあ……辛口のカレーを」
楓『以上でよろしいですか?』
P「あ、はい」
楓『では今晩お届けにあがりますね。ご利用ありがとうございます』
P「あ、はい」
P「え? 来るの? あ、いや……合ってるのか……あれ? ん?」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:18:09.58 ID:9FOzmnE/0
◇ ◇ ◆
楓「Uber Kaedeです。こんばんは」
P「あ、こんばんは……まだ夕飯には早い気もしますが」
楓「これから作るのでちょうどいい時間ですよ」
P「え?」
楓「ほら。材料はご近所のスーパーで買って来ましたので」
P「えっ?」
楓「お邪魔しますね」
P「あっ、はい」
P「え?」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:25:01.56 ID:9FOzmnE/0
楓「では早速……あら?」
P「どうかされ……いやどうかしてるんですけど……どうかされました?」
楓「駄目じゃないですか、プロデューサー」
P「え、っと……はい」
楓「お皿が水桶に浸けっぱなし。まずはお片付けからですね」
P「すみません」
楓「少し待っていてくださいね」
P「……」
楓「〜〜……♪」
P「……」
P(なんか、良いな……こういうの)
楓「何か思いました?」
P「いえ、何でも…………ん?」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:29:02.28 ID:9FOzmnE/0
楓「お待ちどうさまでした」
P「ありがとうございます」
楓「辛口なのでヨーグルトドリンクも買って来ちゃいました」
P「どうも。コップ出しますね」
P「では」
楓「召し上がれ」
P「あむ」
楓「はむ」
P「……ん。そこまで辛くは……っと、後からちょっと来ますね」
楓「辛過ぎました?」
P「いえ、ちょうど良い塩梅です。俺は好きですね」
楓「そんな……急に……でも……」
P「カレーの話です」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:40:29.88 ID:9FOzmnE/0
P「と、言うか」
楓「?」
P「楓さんも召し上がるんですね」
楓「駄目でしたか?」
P「いや全く大丈夫ですが……Uber Kaedeってこんな感じなんですか」
楓「Uber Kaedeはこんな感じですね」
P「なら……まぁ……」
楓「かりゃい……」
P「ヨーグルトドリンクをどうぞ」
楓「どうも」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:47:29.34 ID:9FOzmnE/0
P「ありがとうございました。後片付けまで」
楓「いえいえ。サービスの一貫ですから」
P「明日のランチはおごります」
楓「楽しみにしていますね。お休みなさい、プロデューサー」
P「おやすみなさい。お気を付けて」
P「……」
P「…………」
P(……カレー、美味しかったな)
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:53:36.27 ID:9FOzmnE/0
◇ ◇ ◆
肇「最近、楓さんをデリしているという噂は……本当ですか?」
アーニャ「えっちですね」
P「えっちじゃないし、少し話を聞いてほしい」
肇「でも、プロデューサーさんのお家に楓さんが入り浸っていると聞いて……」
P「あ、なんだ……そういう事か」
アーニャ「……そういう、事?」
P「最近はよくUber Kaedeのお世話になってるからね」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/24(日) 20:59:17.27 ID:9FOzmnE/0
アーニャ「……」
肇「……」
アーニャ「…………?」
肇「…………?」
P「Uber Kaedeの注文でさ」
肇「……あ、はい……?」
P「俺の家まで料理を作りに来てくれてるだけだから」
アーニャ「……」
肇「……」
アーニャ「…………?」
肇「…………?」
P「…………?」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/24(日) 21:01:00.02 ID:c0XQuLr2o
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