【一部キャラ安価コンマ】村長「勇者よ、必ずや優勝して参れ」勇者「へいへーい」

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1 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:07:05.78 ID:5SQMnCgE0
SS9作目です。

物語の大枠は決まっていますが、途中で登場して物語に絡むキャラを安価とコンマで決めていこうと思います。

まずは物語のベースとなる序章を投下していきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1589897225
2 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:08:51.99 ID:5SQMnCgE0
ーーー数年前 王都闘技場ーーー

姫騎士「せいっ!!」

「ぐぉ…!」ガキン



シュッ(木剣を突き付ける)



姫騎士「……」キッ

「…降参だ」



シーン...



審判「し、勝者、姫騎士!」



「「「うぉおおおおお!」」」

「すげー!」

「あんな華奢な子が…」



姫騎士「……!」パアァ

姫騎士「やりました…やりましたお父様!」

姫騎士(これでまたお父様が喜んでくれる!)




3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/19(火) 23:08:53.25 ID:mJ0O35+R0
期待
4 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:10:05.98 ID:5SQMnCgE0
ーーーーーーー

勇者「ぐがー…すぴー…」

「起きなさい。起きなさい、私の可愛い勇者」

勇者「ぐごー……」

「……」



ドスッ



勇者「ぐべっ!?」

勇者「!……!?」

「おはよう、勇者」

勇者「母さん…?おはよう…」

勇者母「もう朝ですよ。今日はあなたの16歳の誕生日。村長さんから大事な使命を授かる日だったでしょう。この日のためにあなたを勇敢な男の子として育ててきたつもりです」

勇者「へ、へぇ…。そういや今日だったか」

勇者母「さ、行きなさい。村長さんが待ってます」

勇者「うん…」

勇者「…母さんあのさ、さっき」

勇者母「ん?」ニコッ

勇者「なんでもないですはい」




5 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:10:48.49 ID:5SQMnCgE0
ーーー村長の家ーーー

村長「よくぞ来た勇者よ!そなたがこうして現れる日を首を長くして待っておったぞ!」

勇者「しょっちゅう来てっけど」

村長「さて、そなたを今日ここに呼んだのは他でもない」

村長「…この村を救ってもらうためじゃ」

勇者「……」

村長「魔王が討ち倒されて数百年。世界は平和になり、人々を困らせる因子は取り除かれたものと思われた」

勇者(なんか始まった)

村長「しかぁし!それは違ったのじゃ!魔王が滅びようと所詮この世は弱肉強食!故に力の弱い我が村はどんどんその規模を縮小し、財政にも不安が募る一方じゃ…」

村長「すなわち」

村長「もう金が無くなりつつあるのじゃ!ついでにわしの髪もな!」

勇者(髪はもう諦めろって)
6 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:11:17.02 ID:5SQMnCgE0

村長「そこで勇者よ、お主の出番じゃ!」

村長「毎年王都で開催される闘技大会。そこで優勝すれば莫大な賞金が手に入る。そして大会への参加可能年齢は16から……何が言いたいか分かるな?」

勇者「分かりたくないっす」

村長「そうじゃ!類稀なる戦闘センスを持つお主に優勝してきて欲しいのじゃよ!そうすればわしの髪――この村も大いに救われる!おまけに知名度も上がって良いこと尽くめじゃ」

村長「お主は村の希望なのじゃ!」

勇者「えー…めんどい」

村長「お主、闘技が好きじゃろう?闘技大会では数多の強者共と会い見えることが出来るのじゃぞ」

勇者「好きだけど、俺っちそういうの興味ないんだよね」

勇者「ってことで用件終わり?もう帰っていい?」

村長「まぁ待て待て。…これは聞いた話じゃが、今年の優勝特典にはなんと美女が含まれているとか」

村長(嘘じゃが)

勇者「!」

勇者「…体型は?」

村長「ベリーグラマラス」

勇者「なるほど村を救う使命ね。うん、ま、そこまでお願いされちゃ断るわけにもいかんよね」

村長(ちょろいの)

村長「分かってくれたようじゃな」

村長「勇者よ、必ずや優勝して参れ」

勇者「へいへーい」




7 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:11:58.38 ID:5SQMnCgE0
ーーー勇者の家ーーー

勇者「しっかし闘技大会ねー。それが目的でずっと闘技の稽古つけられてたんかいな」

勇者「単に楽しくて続けてただけだったけど、美女の引き換え券になってくれるなんて、俺っちってばツイてる♪」

勇者母「勇者、村長さんからの使命は何だったのです?」

勇者「王都の闘技大会で優勝してくることだって」

勇者母「まぁ…!あの舞踊祭の!」

勇者「ぶようさい?」

勇者母「良かったですね。今のあなたなら難なく優勝出来ると母は信じてます」

勇者「母さんもそう思う?」

勇者母「えぇ。何と言っても私の息子ですからね」

勇者「だよねー。ぶっちゃけ俺っち強過ぎるからさ、闘技で俺っちに勝てる奴なんてこの世界にゃいないっしょ!」

勇者母「凱旋を楽しみにしていますよ」ニコニコ

勇者母「それでいつ出発するのですか?」

勇者「明日。大会の日まで余裕あるけど、さっさと行って敵情視察でもしておきたいからさ」

勇者(王都のかわい子ちゃんの視察も……むふふ)
8 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:13:54.67 ID:5SQMnCgE0



ガチャ!



魔法使い「勇者居る!?」

勇者母「あら魔法使いちゃん、こんにちは」

魔法使い「あ、どうもこんにちは」

勇者「なんだよいきなり家に押し入ってくるとか。さすが乱暴女」

魔法使い「誰が乱暴ですって!?」

勇者母「勇者、女の子に向かってその言葉は失礼です」

勇者「事実だしなぁ」

魔法使い「それより聞いたわよ。あんた王都に行くそうじゃない」

勇者「おう。この村の希望となりて、哀れな仔羊たちに救済の手を差し伸べんとするわけよ」

魔法使い「闘技大会に出るだけでしょ」

魔法使い「…いいわ、私も付いてってあげる」

勇者「え、いいです」

魔法使い「は?」

勇者「凄まないでくれません?」

勇者(昔から何かと口うるさいんだよなこいつ。付いてこられなんかしたら女の子視察なんて絶対出来ない!)

勇者「そもそもなんで一緒に行きたいんだよ」

魔法使い「な、そ、そりゃ…あんた一人で行かせたらちゃんと辿り着けるか分かんないし?魔法のことからっきしなあんたにアドバイスしてやれる人も必要でしょ?」

勇者「なるほどなぁ!オーケー分かった」

魔法使い「まったく…」

勇者「俺一人で行くわ」

魔法使い「何ですってぇ!」
9 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:14:28.70 ID:5SQMnCgE0

勇者「行き先王都だぜ?迷う要素ねーし、魔法のアドバイスなんか無くても負けないからへーきへーき」

魔法使い「魔法使えないくせにでかい口叩くじゃない」

魔法使い「私はこれでも村で一番魔法に長けてるのよ?」

勇者「こんな村でトップを誇られましても」プッ

魔法使い「」カチン

魔法使い「"小火球"」ボッ

勇者「バカッ、家ん中で火の魔法なんか使うなって!」サッ

ジュウゥ...

勇者「…ふぅ、だーから連れてきたくないんだよなー」チラッ

魔法使い「あ……ごめん……」

勇者(しめしめ、これで上手い具合にこいつを諦めさせられそうだ)

勇者母「大丈夫ですよ魔法使いちゃん」

魔法使い「え…?」

勇者母「勇者、私は魔法使いちゃんの意見に賛成です」

勇者「母さん!?」

勇者母「あなたはもっと多くの戦術を知るべきです」

魔法使い「おばさん…!」

勇者「いや、でもさぁ」

勇者母「あなたが本当に魔法使いちゃんの助けを必要としないと言うのならば、闘技でそれを示してみなさい」

魔法使い「……へ?」

勇者母「勇者と魔法使いちゃんで闘技を行い、勝った者の意見を優先させるのです」

勇者「闘技?こいつと?」

勇者母「はい」ニコニコ

魔法使い「……え」



魔法使い「えええええええええ!?」




10 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:15:05.36 ID:5SQMnCgE0
ーーー翌日 村の模擬闘技場所ーーー

勇者「はーぁ、なんでこうなったのやら」

勇者「本当なら今頃ハーレム(予定)旅の始まりを噛み締めてるはずだったのに」

子供A「あ!勇者の兄ちゃんだ!」

子供B「にぃちゃん、おうとってとこ行くんだよね!いいなー!」

勇者「ようチビ共。俺っちが居なくなっても元気にしてるんだぞー?」

子供A「任せろ!」

子供B「みてみて!にぃちゃんが教えてくれたやつ!」

子供B「かぶとわり!」ヘニョ

勇者「なはは!俺っちに並ぶにゃあまだまだ遠いな!」

子供A「でもなんでこんなとこいるの?またおけいこ?」

勇者「んにゃ、今日は稽古じゃなくて」



ザッザッザッ



魔法使い「……」

勇者母「……」ニコニコ

子供A「魔法使いの姉ちゃん!」

勇者「よう。逃げずに来るとはねぇ。まさか本当に俺っちに勝つつもりでいらっしゃる?」

魔法使い「当然でしょ」

勇者「これだからしつこい奴は」

魔法使い「……」グッ

勇者「どうせ母さんに何か仕込まれたんだろうけど、1日でどうにかなるほど俺っち弱くないぜ?」

勇者母「ふふ、やってみなければ分かりませんよ。ね、魔法使いちゃん」

魔法使い「……」...ザッザッ

魔法使い「私、絶対あんたと一緒に行くから」

勇者「やれやれ…」
11 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:15:42.69 ID:5SQMnCgE0

タッタッタッ

村長「ふぅ…ひぃ…間に合ったかの」ゼェゼェ

勇者「じいさんも言ってやってくれよ!俺の武者修行に同行者はいらねーって!」

村長「むむ?わしはただの観客として来ただけじゃよ」

村長(あわよくば魔法使いが共に行ってくれれば、勇者の監視役に出来るからの)

勇者「役に立たんハゲだ」

村長「お主言ってはならぬことを…!」

勇者「はぁ……ルールは分かってんだろーな?」

魔法使い「えぇ」

勇者「ふーん。じゃ、最初のテストな。闘技のルール一通り言ってみ」

魔法使い「…1対1の対人格闘戦。選手はそれぞれ剣術、体術、魔法の使用が許可されていて、持つことが許されるのは剣術に使うための指定の木剣だけ。闘技を行うのは15メートル四方の区画で、それより外に出るか、降参と言うか、気絶してしまったら負け。もちろん相手を殺すのは厳禁」

勇者「ま、基本はな」

勇者「それだけじゃないっしょ、母さん?」

勇者母「そうですね。今回、勇者と魔法使いちゃんの実力差を考慮して特別ルールを設けます」

勇者母「通常、1回勝負の闘技ですが、5回勝負とします。魔法使いちゃんが1度でも勝利を収めるか、5回すべて勇者が勝利したら終了。魔法使いちゃんの勝利条件に"勇者に僅かでも攻撃を当てること"を追加します」

村長(妥当じゃな。魔法しか扱えぬ魔法使いと縦横無尽に動き回ることの出来る勇者では、まともな勝負にならんからの)
12 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:16:16.29 ID:5SQMnCgE0

勇者「ほーん」

勇者「いや、いいよ。木剣も使わないでやるよ。あと"勇者は魔法使いに怪我させた時点で負けとする"ってのも追加で」

魔法使い「な!馬鹿にしてるの!?」

勇者「こうでもしなきゃ危ないぜ?」

魔法使い「っ…」

村長(大した自信じゃのう。あやつの天狗っ鼻、いつか折れてしまわぬか心配じゃわい)

子供A「なになに!兄ちゃんたち闘技すんの!」

勇者「おーう!兄ちゃんが圧勝する姿目に焼き付けとけよー?」

子供B「けいこ以外の闘技、はじめて見る!」

勇者「で、審判は」

勇者母「私ですよ。公平に行いますからね」ニコニコ

勇者「…いやうん、いいけどさ」

勇者「じゃ、ぼちぼち始めっか」

勇者母「はい」ニコニコ

勇者母「えーと最初は……なんでしたでしょうか…?」

村長「……」

村長「」ゴニョゴニョ

勇者母「!」ポムッ

勇者母「コホン…両者前へ!」



ザッザッ...



勇者「なぁやるだけ無駄だぞ?」

魔法使い「うっさい」
13 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:17:08.47 ID:5SQMnCgE0



ーーーーー

「魔法使いよーまた泣いてんのかー?」

「めそめそしてんな!おれっちがいてやっから!」

「おっきくなったらおれっちがお前のこと――」

ーーーーー



魔法使い「……なんで覚えてないのよ、馬鹿」ボソッ

勇者「ん?」



勇者母「始め!」



勇者「……」

魔法使い「……」ジリ..ジリ..

勇者「………」

魔法使い「……」ジリ...

勇者「どしたよ。魔法撃たないんか?」

魔法使い「…撃ったら当たってくれんの?」

勇者「ご冗談」

魔法使い「ふんっ」

勇者(魔法使いの得意魔法は火だったよな。よく目にすんのは火球系の魔法だけど、範囲魔法…火炎系だったか?上位の魔法も使えるんだろうな多分)

勇者(ま、関係ねーか。魔法にゃ必ず予備動作がある。かわすのなんてわけないわな)

魔法使い「……」
14 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:17:54.82 ID:5SQMnCgE0

勇者(何企んでるのか知らんけど)

勇者「来ないならこっちから行くぜ?」

ダッ

魔法使い(来る…!)

魔法使い(避ける時のコツは)

勇者「」タタタッ

魔法使い(ギリギリまで引き付けて)

勇者「」タタタタッ

魔法使い(体を逸ら――)

シュンッ

魔法使い(消えた!?)

魔法使い「嘘、どこに…!」



――ヒョイ



魔法使い「……?」

勇者母「あらあら」

子供A「あ、オイラ知ってる!あれお姫さまだっこってやつだー!」

勇者「お前軽いんだなー。意外」

魔法使い「……な、なななな…!」

魔法使い「何してんのよあんた!どさくさに紛れて…この馬鹿!変態っ!」

勇者「はいはい少し静かにね〜」タッタッタッ

魔法使い「ひゃん!ちょ、どこ触ってんの!?」

勇者「はいはい少し揺れるからね〜」タッタッタッ

魔法使い「早く下ろして…!下ろしなさい!」ジタバタ

勇者「この辺でいっか」

ストッ

魔法使い「あ…」

魔法使い「…な、なによいきなりセクハラでもする気なの?」

勇者母「えっとね、魔法使いちゃん」

魔法使い「何ですか!」

勇者母「場外です」

魔法使い「……………」

魔法使い(しまったあああ!)




15 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:18:20.23 ID:5SQMnCgE0
ーーー2戦目ーーー

勇者母「両者前へ!」

ザッ

魔法使い(こいつうぅ…とんだ恥をかかせてくれたわね…)

魔法使い(次は絶対にぎゃふんと言わせてやる!)

勇者母「始め!」

勇者「飛ばしてくぜぃ!」ビュン

魔法使い(速っ!?)

魔法使い「"火球"!」ボウッ

勇者「よっと」サッ

スタタタッ

ヒョイ

魔法使い(また――!)

勇者「次はどちらへ運びましょうか、お姫様?」ニヤニヤ

魔法使い「……〜〜!!」

子供B「おねぇちゃん顔まっかー!」




16 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:19:00.72 ID:5SQMnCgE0
ーーー4戦目ーーー

勇者母「始め!」

魔法使い「ぶちのめす…絶対にぃ…!」

勇者「ちょこっとからかっただけじゃんなー」

村長(これで3戦連続、お姫様抱っこ場外とな)

村長(勇者のやつおちょくって遊びよってからに。後でどうなってもわしゃ知らんからの)

村長(じゃがここまででもう勝負の行方は決まったようなもんじゃな。元々肉弾戦が出来ぬ魔法使いは勇者の接近を防がなければ敗北は必死じゃ。あの子の魔法じゃと、あやつに当てるどころか牽制にすらなっとらん)

村長(あの子も分かっとるのじゃろう。現にまだ1回しか魔法を使っておらん)

村長(勝機があるとするならそれは――)

勇者(――不意打ち以外にない)

魔法使い「」ガルル

勇者「……」

勇者(俺が隙を見せた瞬間の一撃にでも賭けてんだろうな)

勇者(でもまぁ残念。たとえ背中を見せたところで、魔法の"詠唱"が終わるまでには絶対かわせる)

勇者(魔法使いにゃ悪いけど、俺っちの夢色冒険譚の邪魔はさせんぜ)グフフ

魔法使い「……」



ーーーーー

勇者母「いいですか魔法使いちゃん。勇者は勝負事に関してはまだまだ未熟」

勇者母「あの子は勝ちが目前に迫るほど、大きな隙を見せるようになるでしょう」

勇者母「その時にこそ、ぶちかましてあげなさいな」ニコッ

ーーーーー



魔法使い(確かに…相手を前にしてキモい笑みを浮かべるくらいには隙があるわね)

魔法使い(けど、まだ。今じゃない)
17 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:19:33.81 ID:5SQMnCgE0

勇者「魔法使い」

魔法使い「!なに?」

勇者「やっぱ俺っちさっさと王都行きたいかんよ、そろそろ巻きでいかせてもらうなー」

魔法使い「え?」

勇者「」ダッ!

魔法使い(くっ…相変わらず速過ぎて動きが見えない…!)

魔法使い(こっちにかわせばいい!?)ササッ



ガシッ

ブンッ!



魔法使い(へ…私飛んで――)

ドサー

魔法使い「ぎにゃ!」

魔法使い(…なにが起きたのよ…)クラクラ

勇者母「魔法使いちゃん、場外です」

勇者「綺麗な着地だね〜」

勇者「飛び過ぎないよう調整して投げたはずだから怪我はしてないだろ?」

子供A「お姉ちゃんが一瞬、鳥さんになってた…!」

子供B「すげー…おもしろそー」

魔法使い「ほぇ…何?私、投げられたの…?」

村長「あー、なんじゃ、魔法使いよ」

村長「女子が投げられるというのも喜ばしい体験ではあるまい。ここは一つ、勝負を降りるという手も――」



魔法使い「絶対いや!」


18 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:20:01.56 ID:5SQMnCgE0

勇者「……」

勇者母「……」ニコニコ

魔法使い「嫌よそんなの。あいつには絶対ついて行くの!」

魔法使い(勝手に約束して、勝手に忘れて、ずっと待たせた挙句にこれだなんて許さないわ)

魔法使い(責任取ってもらうんだから)

村長「そ、そうかい。無茶はせんようにの…」

魔法使い「まだ1回残ってるでしょ」

魔法使い「最終戦、やるわよ」

勇者「……巻きだかんな」




19 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:20:31.43 ID:5SQMnCgE0
ーーー5戦目ーーー

勇者母「両者前へ」

ザッ...

魔法使い「……」

勇者「いつになく頑固だな」

魔法使い「………」

勇者「そこまで粘るもんか?お前そんなに旅行好きだったっけ」

魔法使い「別に」

勇者「……」



勇者母「始め!」



勇者「お前が何考えてようが知らんけど」

勇者「これでしまいよ」ダッ

魔法使い(来た、あいつの特攻…!)

魔法使い(体術であいつを出し抜こうだなんて所詮素人の付け焼き刃じゃ無理だった)

魔法使い(どうせかわせないなら…!)

魔法使い「これにすべてを賭けるわ!」

魔法使い「"火炎"!」

ブワァ!

村長(たまげたの…ここまで広範囲の火炎が使えるのか。魔法使いも勇者同様、才能に恵まれておるのかもしれぬな)

村長(じゃがそれでも)

勇者「わお、あったかそうな火だこと」

ピョン ピョンッ

スタッ

勇者「暖を取るにゃ、ちと過剰よな」ヘッ

村長(あやつの化け物じみた体捌きを封じるには至らん)
20 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:21:49.30 ID:5SQMnCgE0



タタタタッ!

ガシッ



魔法使い「っ!」

勇者「なかなかいい線いってるんじゃない?」

勇者「相手が俺っちだったのが不運だ、な!」ブォン!

魔法使い(くうっ…)

子供A「また飛んだー!」

村長「勝負あったの」

勇者母「……」ニコニコ

魔法使い(改めて投げられてみると超怖いわね…。浮遊魔法が使えたら、こんな感じなのかしら)

魔法使い(このまま地面に落ちれば終わり…)

魔法使い(――にしてたまるもんですか!)

勇者「…ふぁーあ…ねみ…」

魔法使い(そこ!)

勇者母「…ふふ」

魔法使い(小さい頃の私は泣き虫で、何かあるたびに泣いてた。何をするにもコバンザメのようにあんたの後ろについていってたわ)

魔法使い(でもいつしかそんな弱虫は捨て去った)

魔法使い「……」スッ

魔法使い(なんでか分かる?私がこんなに諦めの悪い女になったのは)



ーーーーー

「いいかげん泣きやめって。魔法の一つ失敗したくらいなんだってんだい」

「付き合うよ。できるまでやんだろ?」

「がむしゃらな魔法使い見てんの好きだかんよ」

ーーーーー



魔法使い(どこかの馬鹿の言葉を、馬鹿みたいに信じ続けてるからよ!!)
21 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:22:26.52 ID:5SQMnCgE0





魔法使い("小火球"!)ボッ





村長「魔法じゃと!」

勇者「…?」

勇者「はっ――!?」





――ドサ...




22 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:23:10.12 ID:5SQMnCgE0

魔法使い「うぅ…」

魔法使い(あれだけ飛ばされたのに痛くはないのね…)

村長「……」ゴクリ

子供A・B「「……」」マジマジ

魔法使い「…場外、かしら」

勇者母「いいえ」

勇者母「見てみなさい、勇者の腕」

魔法使い「…!」

勇者「…無詠唱魔法まで使えんのは、さすがに予想外だった」

勇者「お前の火、熱いわ。火傷しちまったじゃんか」

魔法使い「じゃあ…!」

勇者母「はい」ニコッ

勇者母「勝者、魔法使いちゃん」

魔法使い「……や……」



魔法使い「やったぁ!!」




23 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:23:49.05 ID:5SQMnCgE0
ーーーーーーー

勇者「じゃー行ってくっから」

村長「うむ。道中気を付けての」

勇者母「強くなって帰ってくるのですよ」ニコニコ

魔法使い「真面目に鍛錬してるかしっかり見張っておくから安心してくださいね!」

勇者母「あら心強い♪」

勇者「はぁ…」

「おう勇者!死体になって帰ってくんじゃねぇぞー!」

「お前が居なくなったらこの村も静かになるなぁ」

「かわいいねーちゃん居たら紹介してくれ!」

子供A「兄ちゃんオイラおうとのおいしいおみやげ!」

子供B「ぼくにもぼくにも!」

ワーワー

村長(誰一人勇者の優勝を鼓舞する者がおらんのは、こやつの人徳が為せる技じゃのう)

勇者「あーうっさい。わーったから」

勇者「お前ら!!」

シーン

勇者「…伝説を作ってきてやるよ!」

「「「………」」」

ワアァ!

「いつものお前で安心だぜ!」

「やったれやったれ!」



.........




24 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:24:15.69 ID:5SQMnCgE0
ーーー旅立ちの道ーーー

魔法使い「あーやっと静かになったわ…」テクテク

魔法使い「村のお祭りでもあそこまで騒がしくなんないわよ」

勇者「みんな俺っちが居なくなって寂しいんだな〜。分かるぜその気持ち」テクテク

魔法使い「自惚れもここまで来ると清々しいわね」

勇者「案外お前に行って欲しくないやつもいたんでねーの?」

魔法使い「…知らないわ。どうせ旅が終われば帰ってくるんだからいいのよ」

勇者「そだな」

勇者(…にしても)

勇者「無詠唱魔法か」チラッ

魔法使い「なに?」

勇者「いつから使えるようになってたんよ」

魔法使い「昨日。徹夜で特訓してもらったの。あんたのお母さんにね」

勇者「マジ?あれって宮廷魔術師クラスのエリートが使うようなやつだろ?」

魔法使い「自在に使えるわけじゃないわよ。まだ小さい火球しか出せないし、連続使用も無理。相当神経使うのよアレ」

勇者「へー」

魔法使い「ねぇあんたのお母さん何者なの?」

勇者「母さんは母さんだろ」

魔法使い「あんたに訊いても無駄ね…」

勇者「魔法詳しくねーけどさ、それが本当ならお前相当な才能あるんじゃね」

魔法使い「そ、そうかしら」

魔法使い(……♪)
25 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:24:44.70 ID:5SQMnCgE0

魔法使い「ねぇ勇者、私疲れた。少しおぶってよ」

勇者「はい?」

魔法使い「だってあんだけ激しく吹っ飛ばされたのよ?くたくたになるに決まってるじゃない」

勇者「えぇ…俺っちの方が激しく動いてたけども…」

魔法使い「つべこべ言わない」

勇者「へーへー。…ほれ」

魔法使い「ん」

(おぶさる)

勇者「しっかり捕まっててくれよー。落とすからなー」

魔法使い「焼くわよ」



テクテクテク



勇者「……」テクテク

魔法使い「……」

魔法使い(…背中、大きいな…)

勇者「……」テクテク



ーーーーー

魔法使い「……なんで覚えてないのよ、馬鹿」ボソッ

ーーーーー



勇者「…覚えてるよ」ボソッ

魔法使い「え?何て言ったの?」

勇者「なーんも」




26 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:26:01.18 ID:5SQMnCgE0
序章は以上です。
登場キャラは安価で4つの候補を出してもらい、その候補からコンマによって決定させます。

安価は以下の形式でお願いします。



キャラ名:(役柄や容姿など)
性別:(男か女)
年齢:(5〜100の間)
得意戦型:(剣術、体術、魔法のうちのいずれか。複数可)
備考・希望:(そのキャラの過去や、こうしてほしいなどがあれば)



あまりにも無茶あるいは意味が読み取れないもの、また、連投は再安価とします。
27 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:26:57.29 ID:5SQMnCgE0
一人目のキャラ決めを行います。
候補 >>27>>30
28 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/19(火) 23:27:31.91 ID:5SQMnCgE0
すみません安価指定ミスです。
改めて
候補 >>29>>32
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/19(火) 23:32:47.65 ID:s07UGRHm0
キャラ名: ルーナ
ヒーラー 白髪でオシャレなローブを纏ってる E:ダイアロッド
性別:男
年齢:16
得意戦型:魔法
備考・希望:威勢の良い啖呵をよく切る 前衛を盾として扱う後衛 ドクズの鑑
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/19(火) 23:59:58.82 ID:gmdQ6aKQO
キャラ名:グローバ(役柄や容姿など:小柄だが筋肉質な体つきをしたスキンヘッドのじいさん。)
性別:男
年齢:65
得意戦型:体術
備考・希望:
幼女相手でもセクハラする絵に書いたようなエロジジイ。
各地を観光しながら旅をする楽隠居。
体術以外に回復と強化の魔法に優れるが使用目的もエロのため。(しかしR板じゃないし出番はないだろう)
実は家督を息子に譲り現役を退いた貴族で、本名はグロスハルト・バーランドというが気楽な隠居生活のために隠している。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/20(水) 00:00:40.74 ID:NQc/B4Tb0
キャラ名: ハンニバル
自称(策士)剣士  軽装の中世騎士のような格好 
性別:男
年齢:28
得意戦型:剣術
備考・希望:性格は常識的な大人 ド真面目のせいでからかわれやすいポジション 当時の歴戦に詳しく語りだすと熱弁を振るう傾向がある やたらと現場の指揮を執りたがる
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