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勇者「ダウトだ」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:02:02.45 ID:QxcER/NO0
春らんまん。桜が街をピンク色に染めています。
柔らかな風が吹くこの季節ですが、勇者はどうお過ごしでしょうか。
国の情勢も悪化し、そろそろ旅立たれる頃でしょうか。
大変険しい道のりになるとは思いますが、是非旅路の最中にでも顔を見せてくれると嬉しく思います。
既に旅立たれている場合は、この想いが届いていることを願います。
決して最後まで諦めず邁進してくれることを私は願います。
天候不順のみぎり、どうかお体を大切になさってください。
かしこ
祖母より
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1589443322
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:04:42.27 ID:QxcER/NO0
母「勇者ー。そろそろ時間よー」
勇者「わかってるよー。今行くー」カリカリ
勇者「……うん、最後の手紙が書けた」
勇者「おばあちゃん、……ぼ、僕、頑張るよ」
勇者「そして、絶対会いに行くからね」
勇者「……だから待っててね、おばあちゃん」
母「勇者ー」
勇者「…はーい。わかってるよー」
勇者「……締まらないなぁ、もー」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/05/14(木) 17:06:18.50 ID:QxcER/NO0
ガチャ
母「おはよう。やっと出てきたわね」
勇者(テーブルには飲みかけのコーヒー1カップと未使用の男物のカップが1カップ)
勇者(台所には既に食事を済ませたであろう母の食器が片付けられていた)
勇者「おはよう、母さん。旅立ちの日だっていうのに随分急かすね」
母「旅立ちの日だから急かすんじゃない」
勇者「……そんなに早く出てって欲しいの? 」
母「違うわよ。これから王様に会いに行くんでしょ? 遅刻なんてしたら恥ずかしいじゃない」
勇者「そんな理由で……。こっちは感傷に浸ってたのに 」
母 「それは魔王に完勝してからになさい」
勇者 「……」
母「……何よ、辛気臭い顔してたから元気付けようとしてるのに」
勇者「……心機一転頑張るよ」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:08:19.20 ID:QxcER/NO0
母「それにしてもあなたも遂に旅立つのね。寂しいわね」
勇者「……本当に思ってるの?」
母「当たり前じゃない。旦那も旅に出て早15年。勇者も居なくなって、1人この家に残される悲しさがわかる?」
勇者 「……」
母 「……なんて勇者の方が大変よね。ごめんなさいね、私が弱音なんか吐いちゃって」
勇者「ううん、それは大丈夫だよ」
勇者(軽く化粧の施された母が伏し目がちに答える)
母「……そろそろ時間ね。頑張ってくるのよ。勇者」
勇者「……ありがとう、母さん。頑張ってくるよ」
母 「……ゆっくりでもいいから無事帰ってくるのよ。愛してるわ」
勇者 「……うん。じゃあ行ってくるね」
ガチャ
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:10:12.47 ID:QxcER/NO0
勇者(桜満開の中、家を後にした)
勇者(母を1人残し旅に出るのは不安だ)
勇者(20年一緒に過ごした母と離れるのも寂しい)
勇者(……だけど世界を救う旅をしなければいけない)
勇者(勇者として選ばれたからには世界を救いに行く義務がある)
勇者(戦いが終わるまでは弱音なんて吐いてはいけない)
勇者(自分にそう言い聞かせた)
勇者(そして、後ろ髪を引かれながらも歩を進めた)
勇者(母も同様に寂しく思ってくれているだろう)
勇者(……なんて)
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/14(木) 17:14:02.13 ID:2Oe4IQBmo
魔王まで頼むぜ!
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:14:26.83 ID:QxcER/NO0
勇者「ダウトだ」
<jbbs fontcolor=#000000>
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:20:09.31 ID:QxcER/NO0
勇者(まず空のコーヒーカップ)
勇者(あれは自分の為に用意されたものでは断じてない)
勇者(自分の為のものならば何故朝食が用意されていないのか)
勇者(母の分は既に片付け終わっているのに)
勇者(それに朝早くからしている化粧)
勇者(答えは明白だ)
勇者(これから誰が来るのだろう。それも父以外の男が)
勇者(あんなに家を早く出るよう急かして居たのも、家で落ち合う約束をしているからだろう)
勇者(……だから母は少しも悲しんでなんていないのだ)
勇者(寂しいなんて……帰ってくることを願ってる……愛しているなんて……)
勇者(そんなのは嘘だ)
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:22:07.43 ID:QxcER/NO0
−−−−−−
−−−−
−−
ガチャ
村人「お待たせ。遅くなったね」
母「いいのよ。丁度あの子も出ていった所だし」
村人「そうかそうか、それは丁度良かった」チッ、ジュッ
母「もう、煙草なんて吸って。うちには灰皿なんてないのよ」
村人「あー、ごめんごめん。でも寂しくなるんじゃない? 自分の子が旅立って行くのわ」スパー
母 「……そうね、だからあなたが慰めてね」
村人「お安い御用だよ!」
母「調子良いんだから、全く。はい、コーヒーと灰皿よ」コトッ
村人「おぉ、サンキュー。ってあれ、これ食器じゃないの? いいの、使って?」
母 「あの子の食器だけど……まぁいいわよ。だって」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:24:04.78 ID:QxcER/NO0
母 「もう使うことないでしょ?」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:26:02.33 ID:QxcER/NO0
勇者(この世は嘘まみれだ)
勇者(騙される方が馬鹿だと言うがそれは違うと思う)
勇者(騙されている方が幸せなのだ)
勇者(知らない方が良かった事なんてこの世には山程ある)
勇者(気づいたとしても黙っていた方が良い事なんて山程ある)
勇者(……だから自分を騙し、気づいていない振りを続ける)
勇者(騙している者も、騙されている者も幸せになれるから)
勇者(これはそんな嘘つき者達の嘘つき者達による嘘まみれの)
勇者(嘘つき物語だ)
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:28:02.98 ID:QxcER/NO0
−−−−−−
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-王城・入口-
勇者(さて、城の入口までついたものの……)
兵士1「ふあぁぁあ」
兵士2「こらっ、もっと気を張らんか!」ボカッ
兵士1「痛っ!」
勇者(ちょっと早く着きすぎたかな……)
勇者「おはようごさいます、兵士さん」
兵士2「ん……? これはこれは勇者様! お早いお着きで!」
勇者「……え、ええ、まあ。王様に会うのに遅れる訳にはいかないですからね」
兵士1「流石だね、勇者様はこんな早くに。俺は眠くて……ふあぁぁ」
兵士2「いい加減にしろ! 勇者様の前だぞ!」ボカッ
兵士1「痛い! そんなに殴らなくても!」
勇者「あはは……、平和そうで何よりです」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:30:02.23 ID:QxcER/NO0
兵士2「すみません、とんだ御無礼を! 新米なもので」
勇者「僕の事は気にしなくて大丈夫ですよ。それより通ってもいいですか?」
兵士2「もちろんです! どうぞお通り下さい!」サッ
勇者「ありがとうごさいます。それでは、見張り頑張ってくださいね」
兵士1「ありがとうございまーす。……ふあぁぁあ」
兵士2「お前は最後まで! ちょっと強いからといって図に乗りおって!」ボカッ
兵士1「痛いっ! だってこの国、何十年も魔物なんて襲って来たことないじゃないすか! それなのに見張りなんているんすか?」
兵士2「万が一危険があった時の為にいるんだろうが!」ボカッ
兵士1「痛っ! ……俺的には兵士さんが1番危険だっての」ボソッ
兵士2「何だと〜?」グッ
兵士1「わあぁ! タンマタンマ! 謝りますから! だから殴らな……」
ギャアアアアアア
勇者「……ぼ、僕は何も見てない聞いてない」スタスタ
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:32:01.86 ID:QxcER/NO0
-王城・広間-
ガチャ
兵士3「これはこれは、勇者様。お待ちしておりました」
勇者「お出迎えありがとうございます。ちょっと早く着きすぎちゃいましたけど大丈夫ですか?」
兵士3「全然大丈夫ですよ。待機室がございますのでお時間までそちらでお休みになられますか?」
勇者「そうですね、そうします」
兵士3「かしこまりました。それでは、案内します」
勇者「いえ、お気になさらず。場所さえ教えて頂ければ大丈夫ですよ」
兵士3「お気遣いありがとうございます。でしたら、あちらを右に曲がって、その後……」
勇者(……しかし)
兵士4「ふあぁぁあ……」
兵士5「……zzz」
勇者(随分と兵士が待機しているな)
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:34:02.99 ID:QxcER/NO0
兵士3「……で、そこが待機室です。わかりましたか?」
勇者「え? あ、はい?」
兵士3「それでは私はこれで。何かありましたらお声かけ下さい」スタスタ
勇者「あ……」
勇者(まずい、全然聞いてなかった)
勇者(……けどまぁ、適当に歩いてたら着くでしょう)
勇者(流石に建物の中で迷うようなことなんて無いだろうし)
勇者(それに、本当に困ったら声かければいいしね)
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:36:03.47 ID:QxcER/NO0
−−−−−−
−−−−
−−
勇者(……さて)
勇者「ここどこだろう……」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:38:02.13 ID:QxcER/NO0
スタスタスタ
勇者(おかしいな、さっきまではあってる気がしたんだけどな)
勇者(……気づけばなんか薄暗いところに出てるし)
勇者(このまま進んで大丈夫なのかな?)
勇者(それとも引き返した方が良いのかな?)
勇者(……けどここまで来たのに引き返すのもなんだかなぁ)
勇者(もしこの先が待機室だったら二度手間だし……)
勇者(うん、そうだよね。もうちょっとだけ先に進んでみよう)
勇者(もしかしたら合ってるかもしれないし)
勇者(……はぁ、早めに来ておいて良かったな)
勇者「……って、ん?」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:40:01.97 ID:QxcER/NO0
勇者「なんだろう、この扉……」
勇者(見るからに頑丈そうな材質に厳重な鍵)
勇者(お城の華やかな雰囲気にはそぐわない無機質で飾り気のない扉だ)
勇者(余程大切な物を保管しているのか、或いは余程見られたくない物を隠してあるのか)
勇者(間違いなく1つ断言出来るのは……)
勇者「とりあえずここは待機室では無さそうだね……」
???「そこで何をしている!!」ジャキ
勇者「ひぃっ! 私は決して怪しい者では……!」
???「不審者は決まってそう言う! ……って、なんだ、勇者じゃないか」
勇者「違うんです、誤解なんです! ……って、兵長さん?」
兵長「おぉ、勇者、久しぶり……って何!? 勇者じゃないのか!!」ジャキ
勇者「違います! 誤解ってそっちの方じゃなくて……って違いますも勇者じゃないっていう意味じゃなくて!」
兵長「あっはっは! わかってるよ。さっきのは嘘だよ、冗談だよ」
勇者「……洒落にならない殺気でしたけどね」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:42:22.56 ID:QxcER/NO0
兵長「しかし久しぶりだなー。で? 勇者が何でこんな所にいるんだ?」
勇者「……ちょ、ちょっとお城を探索してて」
兵長「ふーん…」
勇者「……それよりも兵長さんはこんな所で何してるんですか?」
兵長「俺か? あまりにも暇なんで城の見廻りだよ。お前みたいな不審者がいないかのな」
勇者「不審者じゃないですよ! ……それで、ここは何の部屋なんですか?」
兵長「ここか? さあ、俺にもわからんな」
勇者 「兵長さんでも知らないんですか? 随分と長い事ここで働いていらっしゃるのに」
兵長「そうだな、お前の親父と変わって15年にもなるが……って、あー」
勇者「……いえ、大丈夫ですよ。お気になさらず」
兵長「…悪い。でもこの部屋は俺も気になって色んな人に聞いたが、誰一人としてさっぱり知らねえんだよ 」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:48:12.42 ID:QxcER/NO0
兵士「まぁ、相当な財宝を隠しているとか、軍の実験施設だとか、昔死んだ王が化けて出るから封印しているとか噂は色々あるけどな」
勇者「へぇ……」
兵長「しかも、この部屋の謎を知ったやつが突然姿を消したという噂もある」
勇者「なるほど……。神隠しの噂まであるんですね」
兵長「ああ。だから触らぬ神になんとやらだ。知らない方がいい事だってあるからな」
勇者「……」
兵長「……さて、ちょっとお喋りし過ぎたな。俺はそろそろ行くぜ」
勇者「あ、ちょっと待って下さい。最後に1つだけお聞きしたいんですけど」
兵長「なんだ? といっても、他にこの部屋のことなんて知らないぜ」
勇者「いえ、この部屋のことじゃなくて…… 」
兵長「じゃあなんだ?」
勇者「えっと……、その……」
勇者「……待機室の場所を教えて下さい」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:50:02.46 ID:QxcER/NO0
-待機室-
ガチャ
兵長「ほれ。ここが待機室だ」
勇者「すみません、ありがとうございます……」
兵長「まったく。迷子になったんなら最初からそう言えよ」
勇者「い、いえ、ただお城の探索をしてただけであって、決して迷子になんて……!」
兵長「嘘こけ。全く、幾つになっても変わらんな」
勇者「え?」
兵長「昔も良く城の中で迷子になってわんわん泣いてただろ」
勇者「そ、そんな昔のことなんて一々覚えてないですよ!」
兵長「嘘こけ。はぁ、今度こそ俺は行くぞ」
勇者「あ、ありがとうございます。で、でも僕は本当に迷子になんて……!」
兵長「わかったわかった。そういう事にしておくよ。嘘の付き方も昔のまんまだな」
勇者「うっ……」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:52:04.39 ID:QxcER/NO0
兵長「まぁ頑張れよ。無事帰ってくることを祈ってるぜ」
勇者 「ありがとうございます、兵長さん」
兵長「あと……」
勇者「はい?」
兵長「もう少し自分に正直に生きたらどうだ? 親父の後を追うのはわかるけどよ」
勇者「そ、そんなことは……」
兵長「嘘こけ。きっとお前の親父も自分らしく生きてくれって思ってると思うぞ」
勇者「……」
兵長「……まぁお前がそういう風に生きるって決めたなら止めないけどよ。頑張れよ、じゃあな」
ガチャ
勇者「……」
勇者(自分に正直に……自分らしく……か)
勇者(とりあえず……)
勇者「時間までに待機室に着けて良かった……」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:54:02.38 ID:QxcER/NO0
−−−−−−
−−−−
−−
コンコンッ
勇者「はい」
ガチャ
兵士3「失礼します。お時間になりました」
勇者「あ、はい、わかりました」
兵士3「王がお待ちしております。王の間へお越しください」
勇者「はい、わかりました」
兵士3「……」
勇者「……」
兵士3「……あれ、向かわれないのですか?」
勇者「……あれ、案内してくれないのですか?」
兵士3「え? ですが王の間はすぐそこで……」
勇者「……いえ、一応念の為にお願いします」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 17:56:02.36 ID:QxcER/NO0
-王の間-
王「良くぞ来てくれた、勇者よ。楽にするが良い」
勇者「はっ、ありがとうございます」
王「さて、早速本題に入るが、今日ここに来てもらったのは他でもない。そなたを勇者として任命する」
勇者「はっ、ありがたき幸せ 」
王「これが勇者の紋章じゃ。受け取るが良い」
勇者「ありがとうございます」
王「うむ。よく似合っておるぞ。流石、前勇者の息子じゃな」
勇者「……あ、ありがとうございます」
王「さて、早速だが魔王討伐に向かって貰うぞ」
勇者「かしこまりました。……ところで、王様。1件よろしいでしょうか」
王「……なんじゃ、言うてみい」
勇者「ありがとうございます。通例では、餞別と仲間の紹介をしてくださるとお聞きしたのですが…… 」
王「……おぉ。そうじゃったな、すまない。今用意するからちと待っておれ」
勇者「……かしこまりました」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 18:00:38.53 ID:QxcER/NO0
−−−−−−
−−−−
−−
王「待たせたな。勇者よ」
勇者「……いえ、滅相もありません」
王「まずは餞別じゃ。武器は自前のがあるから良かろう」
勇者「……はい、ありがとうございます」
王「それと仲間の件じゃが……良いぞ、入って参れ」
ギィ
剣士「うーす。突然呼び出してなんの用ですか、王様」
勇者「……さっきの門番の」
兵士1「おぉ、勇者様じゃねえか! 朝振り! でも俺が呼ばれたのと何の関係が……って、もしかして朝の件で怒られんのか!?」
王「なんじゃ知り合いなのか。なら話が早い」
兵士1「ん?」
王「それと朝の件とはなんじゃ」
兵士1「え? いや、何でもないっすよ、あはは……」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/05/14(木) 18:02:45.85 ID:QxcER/NO0
王「ふむ、まぁ良い。何があったかは知らんが不問としよう」
兵士1「……ふぅ、助かった」
王「勇者よ、この剣士と共に魔王討伐に行くが良い」
勇者「……かしこまりました」
剣士(兵士1)「……ん? 何? どゆこと?」
王「剣士よ」
剣士「はぁ」
王「そなたに魔王討伐を命じる。勇者と共に魔王を討ち取って参れ」
剣士「はぁ……。って、本当か!?」
王「お主にも餞別金を授けよう。武器は支給の物を持っていくがいい」
剣士「ありがとうございます!」
王「……さて、この国の平和はお主らにかかっておる。必ずや魔王を倒してくれることを期待しておるぞ。さて、用件は以上じゃ。下がって良いぞ 」
剣士「うぃっす! 失礼します! 」
勇者「……失礼します」
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