比企谷小町の憂鬱

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1 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk :2020/04/29(水) 22:33:40.15 ID:EZLxuHKJ0
小町「...」

小町「...」

外の小鳥「チチチ...」

小町「...」

小町「...」

カマクラ「ニャァ」

小町「...」ナデナデ

小町「...」

小町「...いい天気だなぁ」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1588167219
2 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/29(水) 22:44:33.85 ID:EZLxuHKJ0
小町「...」

小町「...」

小町「...」

ガチャリ

小町「あれ...誰か帰って来たかなぁ」

八幡「だでーま」

小町「おかえりー、ごみいちゃん」

八幡「ゴミどころかコロナウィルスでも見たような顔でおかえりと言われてもな...」

小町「だってゴミ以下なんだもん」

八幡「小町ちゃん酷い」

小町「ってかさ、言いつけ通りにちゃんとダッツ買って来た?」

八幡「あのな、このご時世もうハーゲンダッツもまともに売ってないんだよ。
   そもそもコンビニ自体、2年前に比べて半分以下になっちまったし」

小町「はぁー、つっかえ」

八幡「小町、もう少し言葉遣いをだな...」

小町「いーじゃん、別に誰か目上の人に会う予定もないし。
   だいたい、高校の先生ですら始業式と終業式に一回会えるかどうかなんだからさ」

八幡「あー...」

3 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/29(水) 22:54:53.04 ID:EZLxuHKJ0
小町「それにお兄ちゃんだって同じようなもんじゃないの?」

八幡「それに関しては全く問題はない。
   どうせ俺の通ってるFラン大学なんざ、スマホのオンライン講義で全て賄えるからな。
   ゼミも通わなくて済むし、正直俺の理想郷と言って差し支えない」

小町「あぁー...まぁお兄ちゃんならそうかもね」

八幡「小町は...どうなんだ、最近のオンライン授業は」

小町「つまんない」

八幡「そうか...
   まぁ授業というものは面白くないから授業として成り立つものだ。
   なまじ面白ければ、それは授業ではなく独学でも十分楽しくなってしまうからな。
   つまり畢竟、授業は面白くないように構成されているものである」

小町「なぁにそれ、意味分かんない」ハハハ...

八幡「まぁなんだ、あと半年の辛抱だろ」

小町「......ソンナノヤダ」

八幡「え?なんだって?」

小町「そんなの嫌だって言ったの!!」
4 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/29(水) 23:06:17.79 ID:EZLxuHKJ0
小町「だいたいさぁ!!
   せっかくこの総武高校に入れたのに!!
   小町、高校に通ったのってこの3年間でたった10回位しかないんだよ!?」

八幡「...」

小町「それ以外は全部宿題で全部済ませようとするし、
   最近ようやくオンライン授業とかやるようになったけどさ、
   小町は自分のクラスで授業受けた事もないんだよ!?」

八幡「...」

小町「っていうか小町、高校に入ってから一人として新しい友達作れてないんだよ!?
   その時点でもうお兄ちゃん以下だよ!!」

八幡「...」

小町「ねえ!!いったい何なの!?このコロナってさぁ!!
   いつになったら流行って収まるの!?
   小町達、一体あと何年こうやって自粛期間を我慢すればいいの!?
   ねぇ!!教えてよお兄ちゃん!!」
5 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/29(水) 23:22:29.26 ID:EZLxuHKJ0
八幡「...すまん。
   だが、俺にも分からん」

小町「...」グズッ

八幡「だがな小町、正直外は危険なんだよマジで。
   何しろあのコロナウィルスは流行を繰り返すごとに変異を重ねてだな、
   今じゃ致死率50%なんて事になっちまったからな」

小町「...」

八幡「それに一旦感染したら、速攻で肺炎が重体化して呼吸不能になって死ぬか、
   もしくは血管をやられて心筋梗塞や脳梗塞になって死ぬか、
   たとえ一旦回復しても、ヘルペスみたいに何度でも繰り返し陽性になって発症したり
   無症状でも間質性肺炎になって余命が10年以下になったりする、
   そんな恐怖のウィルスなんだよ」

小町「...」

八幡「俺はな、小町をそんな目に合わせたくねぇんだよ」

小町「...」

八幡「だから、もうちっと我慢してくれよ...」
6 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/29(水) 23:32:46.64 ID:EZLxuHKJ0
小町「もう、もう嫌だよ、こんな生活...
   誰にも会わず、ただひたすらメールで送られてくる宿題をこなして、
   オンライン授業だとかオンライン予備校とかを時々スマホでチェックするだけでさ...

小町「だからってどこにも遊びにも行けないし、たとえ行ったところでどこも閉まってるか潰れてるかだし...
   TVだって最近はニュース以外全部再放送でもう見飽きちゃったし、
   好きな漫画のネット配信もどんどん終わるし、ツイッターも最近つぶやく人がめっきり減ったし...」

八幡「...まぁな、だいたいもうこの2、3年で日本だけでも2千万人が死んだからな...」

小町「もう、やだ...」ウッウッ

八幡「そうか...まぁ俺なんかは、別にこういう生活も悪くねぇなって思ってるけどな。
   確かに小町みたいな陽キャ志向のニュータイプオタクにとっては、地獄かも知れんな...」
7 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/29(水) 23:50:14.89 ID:EZLxuHKJ0
小町「そう言えば、最近雪乃さんとか由比ヶ浜さんに連絡取ってたりするの?」

八幡「何だよ藪から棒に...
   いや、最近はめっきりだな。雪ノ下は、アイツから連絡を取ってくる事自体滅多に無えしな。
   そういや由比ヶ浜からこの前メール来てたな。返してないけど」

小町「たまにはちゃんと返事出してあげないとダメだよ。
   お兄ちゃんに構ってくれる人なんてほとんど居ないんだから、希少価値高すぎるんだからさ」

八幡「アイツらはレッドデータアニマルだったのかよ」

小町「...小町ね、実は、高校に入ったらやりたかった夢があったんだ」

八幡「へぇ、何だ?
   実現可能なものならお兄ちゃんが代わりに叶えてやってもいいぞ」

小町「えー、多分もう無理だと思うなぁ...」

八幡「...高校に行かないと出来ない夢なのか」

小町「うん..まぁね。
   もうほぼ不可能だって分かったから、もうこの際に言っちゃうけどさ。
   小町ね...お兄ちゃんの奉仕部に、入りたかったんだ」
8 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/30(木) 00:02:09.19 ID:HVT662A+0
八幡「...マジでか」

小町「マジもマジ、本気だったよ。
   それでね、お兄ちゃんと、雪ノ下さんと、由比ヶ浜さんと一緒に、
   校内のいろいろな事件を解決するの。
   時には探偵、時には助っ人、時には必殺仕事人みたいな感じで」

八幡「必殺仕事人てまた懐かしい時代劇だな...」

小町「この前チバテレビで再放送やってたからずっと見てた。
   とにかくさ、そうやって学校の色々な場面で活躍するの、憧れだったんだ...」

八幡「だが奉仕部っつったって、現実はそんな華々しいもんじゃなかったぞ。
   小町だって知ってるだろ、俺があの頃どんだけ社畜みたいに働いてたか」

小町「当たり前じゃん。小町、あの時お兄ちゃんの悩みだとか散々聞いたんだからさ」

八幡「おいおい、俺がいつ小町にお悩み相談したんだよ」

小町「そうやって今さら韜晦しても意味ないって。
   まーいいじゃん、実際あの時、小町も楽しかったんだからさ」

八幡「いや俺は一向に楽しくなかったんだが...」

小町「もうちょっと時間が経ったら、お兄ちゃんも綺麗な思い出だけ残るかもしれないよ?
   小町も、最近はあの時の思い出ばっかり思い出すんだ」

八幡「忘れてくれ、あの頃の事は俺にとってはマジ黒歴史」

小町「忘れられるわけないよ。
   正直、小町の時間は、あの頃から止まったままなんだからさ...」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/30(木) 00:33:14.82 ID:8Od9FHlQo
期待
10 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/30(木) 12:34:38.55 ID:HVT662A+0
八幡「そうか...」

小町「...うん」

八幡「...なるほど」

小町「...?」

八幡「要は、新たな思い出をあの高校の中で作りたい、そういう事だな?」

小町「んー...まぁねー
   なんかそう言われると即物的っていうかアレだけど」

八幡「よし、分かった。
   小町、お前の願いを叶えてやるよ」

小町「へ?ほんと?」

八幡「ちょっと待ってろ。
   そんな大した準備をするわけじゃないが...
   思い立ったが吉日、できれば今晩にでも決行するぞ」
11 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/30(木) 15:20:44.14 ID:HVT662A+0
その日の晩

小町「じゃーーーん!
   どう?似合ってるでしょーーー!」

八幡「いや、似合ってるも何も制服だしな...
   それに小町が着れば何でも似合うぞ。
   今の八幡的にポイント高い!!」

小町「うわぁ...人の真似とか、相変わらず超ドン引きなんですけど。
   でもそんなお兄ちゃんでも微粒子レベルで仕方ないなぁと思えるのはお兄ちゃんの唯一の長所だよねー。
   って、今の小町的にポイント高い!!」

八幡「俺の発言を全否定しつつそれに乗っかるとか、
   小町ちゃんの毒舌はいっそ爽快感を伴うレベル。
   例えるならチョコミント食った時のような」

小町「小町はチョコミント嫌いなの知ってるでしょ。
   あんな歯磨き粉みたいなの食べられる人の気がしれないよ」

八幡「全国のチョコミント愛好家に謝れと言いたかったけど
   実際俺もそう思うから反論出来ないんだよなぁ...」

小町「っていうかさ、ダッツもそうだけどアイス自体最近まともに食べてないし。
   今年の夏なんか、家で砂糖水を凍らせたものしか食べられなかったよね。
   でもこんなんでも、人間慣れちゃうもんだよね」

八幡「まぁな」

小町「でも、それでもゆずれないものはあるよ...
   思い出とかさ...」

八幡「まぁ、それのまがい物でも良ければ
   今から作りに行くからな」

小町「ってかさ、お兄ちゃんも制服とっておいてたんだね。
   まぁまぁ似合ってるかも」

八幡「うむ、自分自身も二年半ぶりに着てみて
   こんなに違和感が無い事にびっくりしている。
   すなわち、社畜根性が未だに骨の髄まで染み込んでいるという事か」

小町「社畜って...お兄ちゃんはまだ就職どころかバイトすらして無いじゃん」

八幡「いやいや、学校というのは社会の縮図であり社会訓練の為の場である。
   また学校にて給金も出ないのに働かなければならないという状況は
   畢竟、社畜と言い換えても差し支えないレベル」

小町「えぇー」

八幡「それに小町、こんな大不況でバイトすら探すのむちゃくちゃ難しいんだぞ」
12 :Covid-19 ◆tLXvrqGuQk [saga]:2020/04/30(木) 23:17:51.91 ID:HVT662A+0
総武高校裏門

小町「えっ!?大丈夫お兄ちゃん?
   小町、この歳で不法侵入罪で逮捕とかされたら
   お兄ちゃんに略取誘拐されてここに連れて来られましたって言うけどいい?」

八幡「小町ちゃん酷い。
   つーかな、ここは昔からセキュリティが緩いんだよ。
   だからここから入っても用務員のおっちゃんとかに気づかれる事もない」

小町「ってか、ぼっちのお兄ちゃんが何でこんな陽キャっぽい学校裏情報知ってんの?」

八幡「ぼっちってあのなぁ...
   宿題忘れて、こんな時間に教科書取りに来た事なんか幾らでもあるからな」

ガチャリ

八幡「このドアから教室棟に入れるぞ」

小町「わぁーーー、なんか夜の学校の中って不思議な雰囲気だねぇ!
   ってか、そもそも高校に来る事自体、半年ぶりだけどさ...」

八幡「うむ、なかなかにおどろおどろしい感じだな。
   生徒が来なくなった事で、より一層廃墟感が増してるからかもな」

小町「もーさー、どーしてそうお兄ちゃんは興ざめな事言わないと気が済まないのかなー
   小町のちょっとウキウキした気分を返して欲しいんだけど」

八幡「すまんな小町。
   まぁぶっちゃけこの高校にはそんな良い思い出なんざありゃしないんでな...」

小町「それはお兄ちゃんの、ほんのいっときの感傷じゃん。
   でもいつか、ちゃんと良い思い出として定着する時が来るよ、きっとね」

八幡「そんなもんかね」

小町「そりゃお兄ちゃんはここで、社畜ばりに凄く働いてたって言うならそういう印象しかないのかも知れないよ?
   でもね、小町が入学する前、ここに文化祭とかで来た時には
   お兄ちゃんはガラにもなく輝いて見えなくもなかったんだよ?
   あ、これ小町的にポイント高い!!」

八幡「ガラにもなく、か...
   まぁ確かに、ガラにもなく無賃労働をしていた事は事実だが」

小町「あれ...?暗くて見にくいけど、廊下の向こうから誰か来たかも?
   やばいよ隠れた方が良くない?」

八幡「いや...その無賃労働を押し付けてくれた元凶が現れただけだ」

小町「?」



××「こんばんは、小町さん。
  お久しぶりね」

○○「やっはろー!小町ちゃん、ヒッキー!!」
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