主人公「安価とコンマで武装探偵社の一員として活動する」【文豪ストレイドッグス】

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9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 19:39:43.46 ID:CKpU29TI0
名前:西尾維新
性別:男
能力名:化物語
容姿:真ん中分けで左右対象の容姿をしている。黒い吸血鬼のようなコートを着用
性格:変態だが紳士である。左右対象のものを好む
喋り方:韻を踏むなど言葉遊びを好む
備考:なし
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 19:47:07.24 ID:haGryFkbO
名前: 二葉亭四迷
性別: 男
能力名: 『浮雲』
容姿: 逆立てた髪と着崩した服装
性格: 荒々しい性格
喋り方: 荒々しい口調
備考:性格に反して完璧主義。妥協を許さない
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 19:50:18.23 ID:HnmD/ODO0
(日本人限定ということに今気づいた顔)
よく読んでなくてすいません
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 19:54:09.69 ID:JWRlRBqbO
名前:小高和剛
性別:男
能力名:ダンガンロンパ
容姿:黒白チェック柄のスーツを着用。あご髭の生えたナイスミドル
性格:希望と絶望を愛し、常に劇的な物語を求めている。趣味はギャンブル
喋り方:語尾に 〜だべ 〜べ をつけて話す。一人称はオレっち
備考:リボルバー式の拳銃を所持
13 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/03/31(火) 20:16:40.80 ID:zelJpVOtO
安価ありがとうございます! >>1の独断で主人公は>>8の司馬遼太郎に決定です。一番主人公っぽい熱い性格なので。


それでは始めていきます。まずは主人公が武装探偵社に入社する切欠から……。
14 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/03/31(火) 21:05:56.67 ID:zelJpVOtO
夕刻の鶴見川の辺に、一人の男が倒れていた。


帽子付上着(パーカー)を羽織った彼の名前は司馬遼太郎。地元ではそれなりに名の売れた不良少年(バラガキ)だ。


余談だが───故あって餓死寸前である。



司馬(参った……腹が減っては戦は出来ぬ。腹が減っては動く事が出来ぬ……)

司馬(持ち合わせている物と云えば、この上着と木刀一本のみ……)

司馬(こんな処で朽ちたくは無いが……もはやここまでか…………)

司馬(…………ん?)



【司馬は何かを見つけたようであります。それは一体? 下から選択して下さい。】

壱、遠くから男が話し掛けて来た。
弐、男が自分の近くにどッと倒れて来た。
参、気が付くと、男が自分をじッと見て居た。

↓1
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 21:10:31.34 ID:dYpDcY4C0
16 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/03/31(火) 22:13:45.99 ID:zelJpVOtO
>>15選択:弐……登場するのは西尾維新です。



ドサッ……

男が自分の近くにどッと倒れて来た。黒い外套(コート)を着た変な男である。

西尾「痛たた……参ったね。悪戯が過ぎたのかな、少し。至って真面目だと云うのに、こっちは」

司馬「貴方は……」

西尾「マァ、僕は路傍の石ころだから、この扱いは不自然では無いけれども」

西尾「しかし、流石の僕にも自尊心(プライド)という物は有る。このままでは終わらないぜ」

司馬「あの、貴方は……」

西尾「まずは、あの娘の下着(パンツ)を見に行こう!」

司馬「何言ってんだッ!!」ガバッ!!

西尾「おや、生きていたのかい。てっきり僕と同じく石ころだと思ったぜ」

司馬「石ころ!?」

司馬「そ……そんな事より、ぱ、ぱ、ぱ……」

西尾「下着(パンツ)かい? 男ならスッと云いなよ」

司馬「そ、それを見に行くなんて、どういう了見なんだ!」

西尾「……? 変な事を云うんだね。下着(パンツ)は見に行く物だよ。それが常識(マナー)さ」

司馬「は、破廉恥だ! 許せん!」

司馬「お前みたいな不埒な輩は、叩き斬って……!!」フラッ……

司馬「あれ……?」


バタンッ!!


西尾「……倒れてしまった」

西尾「こんな木刀じゃあ叩く事は出来ても、斬る事は難しいと思うけどなぁ……」

西尾「……さて、どうしようか。男だから放っておいてもいいかな…………?」

西尾「……何てね」
17 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/03/31(火) 22:15:40.59 ID:zelJpVOtO
[場面転換中───]


司馬「…………」

司馬「…………ハッ!?」

司馬「こ、ここは……」

西尾「ここはとある事務所」

司馬「!」

西尾「やっと起きたね。待ち草臥れてしまったよ」

司馬「お前……さっきの変態!」

西尾「失礼な。唯の変態じゃない、紳士的変態だ。其処だけは勘違いしないように」

司馬「結局変態じゃないか……!」

司馬「ぐっ……!!」フラッ……

西尾「ほら、お腹が空いているんだろう。何か食べないと」スッ……

西尾「お茶漬けを用意した。梅干に刻み海苔、鶏肉を熱い白湯に浮かべた物だ。塩昆布と共に掻き込むと良い」

司馬「……!!」

西尾「まるで孤児院の台所で人目を忍んで食べた夜のお茶漬けのような味がするだろう」

司馬「い、いただきます……!!」ガツガツ……!!

西尾「おー、いい食べっぷりだー」
18 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/03/31(火) 22:24:04.94 ID:zelJpVOtO
西尾「ところで……君の名は?」

司馬「モグモグ……ゴックン!」

司馬「俺ですか? 俺は司馬遼太郎です」

司馬「貴方は……?」

西尾「僕の名前は西尾維新」

西尾「西尾維新の西、西尾維新の尾、西尾維新の維、西尾維新の新で、西尾維新だ」

司馬「……はぁ」

西尾「つれないなぁ。仕事を中断して君の相手をしてあげていると云うのに」

司馬「仕事……?」


西尾「なァに───探偵さ」


司馬「た、探偵……?」


西尾「探偵と云っても、猫探しや不貞調査ではない。斬った張ったの荒事が領分だよ」


西尾「異能力集団『武装探偵社』……知っているかな?」



【司馬は『武装探偵社』を知っているだろうか? コンマ一桁判定。】

1〜3:武装探偵社を知っている
4〜6:武装探偵社を知らない
7、8:武装探偵社を捜していた
9:武装探偵社に入社予定
0:武装探偵社どころか何も憶えていない

↓1
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 22:25:16.04 ID:LkDjaOtyo
20 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/03/31(火) 22:29:57.78 ID:zelJpVOtO
司馬が武装探偵社を知らない事が判った処で本日はここまで。少しばかり手探りではありますが、しっかりやっていきますのでよろしくお願いします。

なお、>>1はONE PIECEの安価スレ(現行スレ:https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1569650740/)もやっております。そちらの方では更新が無い場合は一週間ごとに生存報告をしていますが、こちらでは二週間ごとに生存報告を行いたいと思います(こちらの方が書くのに時間が掛かる可能性が高い為。文豪の作品を読む必要があるかもしれないし)。


最後にキャラクター安価をして終わります。先程と同じく日本の文豪縛りで募集します。性別は女性でも構いません。

名前:
性別:
能力名:
容姿:
性格:
喋り方:
備考:

↓10くらいまで。上記のテンプレをご利用ください
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 22:56:57.66 ID:l5MitnfZ0
名前:星 バーーーローー
性別:男
能力名:エヌ氏の遊園地
容姿:黒の短髪、幾何学模様の派手なスーツ
性格:飄々としているが意外にも嫉妬深い
喋り方:穏やか、シンプルな単語選びが特徴的
備考:異能を自分でも完全には把握出来ていない
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/31(火) 22:58:31.76 ID:l5MitnfZ0
>>21、名前引っかかるの忘れていた…
星 新一です
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 23:02:33.47 ID:JWRlRBqbO
名前:虚淵玄
性別:男
能力名:沙耶の唄
容姿:薄水色の患者服を着た白髪の青年。儚い印象
性格:常人とは世界の見え方が異なっており、常人が美しいと感じるものは醜く感じ、醜いと感じるものは美しいと感じる。生きているうちに世界を自分の手で終わらせる夢を持つ
喋り方:なし
備考:不老手術により身体の半分が機械化されていて、実年齢は100歳を超える
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 23:09:58.70 ID:bhDXUGxWo
名前:相田みつを
性別:男
能力名:にんげんだもの
容姿:Yシャツにスラックスと平凡だが最低限整った身なり
性格:心の赴くまま、あるがままを尊ぶ
喋り方:丁寧かつフランクに話す
備考:
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 23:21:12.52 ID:r5orYhOd0
名前: 三島由紀夫
性別: 男
能力名: 「金閣寺」
容姿: 軍服を着ており、目はギラついている。とても筋肉質。
性格: 排他的で、終末思想の持ち主
喋り方: 威圧するように話す
備考: 友達はいない
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 23:25:03.86 ID:V4v1edkHO
名前:又吉直樹
性別:男
能力名:火花
容姿:パーマのロン毛で和装に中折れ帽子を被っている
性格:インドアで静かな事を好むが反して注目されたいという願望有り
喋り方:ゆったりとかつ自分の意志ははっきりと話す
備考:本人いわく文化人ではなくあくまで芸人でいたいらしい
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 23:34:54.45 ID:dYpDcY4C0
名前:馳 星周
性別:男
能力名:不夜城
容姿:金髪オールバックでサングラスをかけたスーツ姿の男性
性格:孤高のアウトローを気取っているものの、いまいちなりきれていない
喋り方:口は悪いが目上の人間には敬意を持って話す
備考:意外とゲーム好き
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 00:07:08.16 ID:P5UfU3RQ0
名前:宮部みゆき
性別:女
能力名:模倣犯
容姿:短髪でカラフルなツバ付き帽子を後ろ向きに被ったボーイッシュなスタイルの女性
性格:姉御肌であり、弱者を救い犯罪者を憎むヒーロー気質
喋り方:荒っぽい喋り方
備考:対象の犯罪者の思考をトレースし行動を読む特技を持つが、気分が悪くなるデメリットがある
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 02:40:49.47 ID:WjiCSyDzO
名前: 北原白秋
性別: 男
能力名: 『邪宗門』
容姿:ぴっちりしたスーツに帽子を着用し、常にタバコを吸っているヘビースモーカー
性格:非常に自信家でありながら厳格、自他共に厳しい
喋り方:「〜かね!」「ーだね!」と語尾が疑問系か断定に分かれる
備考: 立ち振る舞いから育ちの良さが垣間みえる
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 05:01:05.85 ID:SJGbT9n2O

名前: 林芙美子
性別: 女
能力名: 『晩菊』
容姿: 黒髪ショートのどこにでもいそうな少女
性格: 前向きな性格。思ったことはズバッと物申す。
喋り方: ハキハキした話し方
備考: 重度の貧乏性。もったいないが口癖
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 05:32:21.17 ID:AFvl0O9x0
名前:宮本武蔵
性別:女性
能力名:「五輪書」
容姿:黒髪を後ろに束ねた長身の女性、純日本人な美人
性格:オンオフの切り替えが激しく、仕事中は冷静な武人であるが、平時は年相応の女性らしくなる
喋り方:基本的には丁寧語、ただし激してくると命令口調
備考:ある剣術道場の一人娘
32 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 17:45:23.25 ID:iTAmraR+O
それでは始めます。探偵社に入る切欠を終わらせて仕舞いましょう。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 17:47:26.11 ID:OgEK18zA0
待機
34 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 17:51:22.72 ID:iTAmraR+O
>>19選択:コンマ一桁4……司馬は武装探偵社を知りません



司馬「武装……探偵社?」

西尾「……その反応は知らないね?」

司馬「はあ……ヨコハマの事はあんまり……」

西尾「仕方無い……ならば説明してあげよう」

西尾「武装探偵社とは、軍や警察に頼れないような危険な依頼を専門にする探偵集団の事だ」

西尾「怪しい昼の世界と妖しい夜の世界……その間を取り仕切る薄暮の武装集団さ」

西尾「そして……探偵社の社員は多くが異能の力を持つ『能力者』なのだよ!」



司馬「ふーん……」

西尾「ふーん、て。もうちょっと反応しておくれよ。意気揚々と話した僕が馬鹿みたいじゃないか」

司馬「いや、御飯は本当に有り難かったんですけど……その話にはあまり興味が無いので……」

西尾「困った正直者だね……」

司馬「……実は俺、軍に入隊する為に村から出て来たんですよ」

司馬「ですが、思ったより遠くて……食糧が足りなくて行き倒れて居たんです」

西尾「馬鹿は君だったか……」

司馬「でも、貴方のお陰で復活しました! これで漸く軍の処に行けます! 本当に有り難う御座います!」


西尾「……! そうだ」ピーン


司馬「?」

西尾「先程も云ったけれど、僕の所属する武装探偵社は軍警とも連携しているんだ」

西尾「今日の仕事も軍警絡みの依頼でね。そこで……どうだい? その仕事を手伝ってみないかい?」

司馬「え……でも、俺は軍に……」

西尾「へえええええ……君は一宿一飯の恩義と云う物を知らないんだ。まさに恩知らずという訳だねえええええ……」

司馬「い、いやいや! そんな事は!」

西尾「うん! それじゃあ決まりだね」ガタッ!!


西尾「来いよ、司馬遼太郎。非日常の世界に連れて行ってあげるぜ」


司馬「…………」

司馬「……あれ?」

司馬「何でこんな事に……!?」
35 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 17:51:48.09 ID:iTAmraR+O



序章【人生万事塞翁が司馬】



36 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:03:52.06 ID:iTAmraR+O
[場面転換中───]


司馬「そう云えば……西尾さんも鶴見川で倒れてましたよね。何か有ったんですか?」

西尾「ん? いや、大した事じゃないよ。気にすんねー気にすんねー」

司馬「はぁ……」

西尾(気になるあの娘にムフフ……な事をしたとは云えないね。黙っておこう……)

西尾がそんな決心を密かにした処で、彼等は港近くの倉庫に辿り着いた。

司馬「この倉庫は……」

西尾「此処が今回の依頼の終点(ゴール)。正確には、この中に居る奴を何とかすれば完了だ」

西尾「時に司馬君、君は港の幽霊(ゴースト)≠フ噂を……知っている訳無いね」

司馬「はい、全く」

西尾「そうだよね……判っていたよ……」

西尾「港の幽霊(ゴースト)≠ニは、最近ヨコハマでまことしやかに囁かれている物語だ」

西尾「曰く、この港には幽霊が住んで居て、夜な夜なを人を襲い、魂だけ抜き取って捨ててしまうと云う……」

司馬「そ、そんな噂が……」ゴクリ……

司馬「まさか……その噂が本当だと?」

西尾「それを確かめるのが今回の仕事。噂じゃあ軍警は動かないからね」

司馬(何だ……やっぱり唯の便利屋じゃないか)

司馬(西尾さんには悪いけど……この仕事が終わったら早々に軍に行こう……)

西尾「さて……司馬君」



西尾「───ここからが、物語の始まりだよ?」


37 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:07:13.57 ID:iTAmraR+O


ガララ……!!


体格の良い男「!? 誰だ!!」

司馬「えっ……!? あの格好は……!」

司馬「……軍人!?」

司馬「それに、これは……!!」

其処には有ったのは……夥しい程の血痕。使い込まれた凶器の数々。そして、怪しげな貨物庫(コンテナ)……。

西尾「幽霊の、正体見たり枯れ尾花……ってね」

司馬「ど、どういう事ですか!?」

西尾「至極簡単さ。幽霊だと思われていたのは、あの可愛げの無い男。そして抜き取られていたのは魂では無く……」

西尾「……臓器」ドン……!

西尾「あの男は臓器売買の為の臓器を仕入れる役割を担って居るんだ。恐らく軍人という地位も利用して居るだろうね」

司馬「そ、そんな……」

体格の良い男「チッ……!! その情報を何処で知った、この糞餓鬼!!」

西尾「我が武装探偵社には優秀な人員が大勢居るんだよ。それこそ、僕が働かなくても良いくらいにね」
38 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:14:47.57 ID:iTAmraR+O
体格の良い男「武装探偵社……!? クソッ、面倒なのに目ェ付けられたな……!!」ジャキン!!

司馬(! 銃……!!)

司馬「下がって西尾さん!!」ダッ!!!

司馬「うおおおおっ!!」スッ……!!

西尾「!? 危ないよ、司馬君!!」

体格の良い男「ハッ、木刀一本で何が出来るッてんだ!!」バババッ!!!



司馬「───燃えよ剣! 俺に焔を!」


ボオッ……!!!


ギィン……!!!



体格の良い男「…………は?」


体格の良い男「な、何で……」


司馬「うおおおおおおおおおっ!!」


体格の良い男「何でこの男は無事なんだ───!?」


39 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:17:26.18 ID:iTAmraR+O
西尾「……アハハ! 『やっぱり』彼も能力者だったか……!」

西尾「成程……剣に焔を纏わせ、銃弾を『燃やし斬った』訳だね……!!」

西尾「という事は……」


司馬「───せいっ!!」ズバァッ!!!


ガタン!!!


体格の良い男「───!?」


西尾「当然、男の持つ銃も斬ってしまうよねぇ……」

体格の良い男「クソ……くそおおおおおおおっ!!」ブン!!

司馬「がはっ……!!」ドサッ……!!

体格の良い男「邪魔なんだよォ!!」ドカッ!!

司馬「……!?」バァン!!

西尾「……あれ? 何で劣勢? 壁に蹴り飛ばされてしまった……」

西尾「ははーん……焔で木刀が燃え尽きてしまったのか。効率(コスパ)が悪いなぁ……」

司馬「西尾さん……!! 何をブツブツ云ってるんですか!! 早く逃げて下さい!!」

西尾「……!」

西尾「君は善人だねぇ……その状況でも僕の身を案じているのか」

西尾「しかし、そういう訳には行かないよ。このまま逃げたら僕は悪人じゃないか」

体格の良い男「何をゴチャゴチャと……!! てめェもコイツも俺が殺して遣るよ!!」

司馬「西尾さん……!!」

司馬(不味い……このままじゃ西尾さんが……!!)
40 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:23:05.02 ID:iTAmraR+O

西尾「ああ、そうか。云い忘れていた……だから焦って居るんだね。大丈夫だよ」


西尾「───この噂を『無かった事』にするのも、僕の今回の仕事だ」


司馬「……え?」

西尾「だから安心して見ていると良い。君に『非日常』を見せよう」

体格の良い男「銃なんて無くてもなァ……この拳でお前なんか一撃だァ!!」

西尾「止めた方が良い。そういう台詞には……伏線(フラグ)がつきものだよ?」ズズズ……

西尾は胡乱な表情で男に向かって手を翳す。

体格の良い男「……!? な、何だ!? か、体が……動かない……!?」

司馬(な……何だ、この威圧的な空気は……!?)

身動きが取れない程の重苦しい雰囲気が、倉庫中を満たして居た。


西尾「僕の能力は、ありきたりで日常的な物語を『怪異』に変換する能力だ」

西尾「だけど、僕の能力は少し特殊でね……。『怪異』にする為には、その物語を理解しなければならないんだよ」

西尾「探偵社が居なければ、僕は能力を満足に使えないだろうね」

体格の良い男「お、俺を……どうする気だ……!?」

西尾「云ったろう。『無かった事』にするのさ」

西尾「僕が調べるまで、君は港の幽霊(ゴースト)≠セった。だけど僕が調べたせいで、その噂は『無かった事』になってしまった」

西尾「だから、僕は噂が『無かった事』になってしまった事を『無かった事』にするんだ」

西尾「……簡単に云おうか?」



西尾「───君を『怪異』として、僕の小咄(ネタ)帳に封印するんだよ」

体格の良い男「なっ……!?」
41 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:25:36.89 ID:iTAmraR+O
西尾「さよなら、男君。『怪異』としてまた会おう」


体格の良い男「や、やめッ……!!」


ズズズ……!!!


体格の良い男「うわあああああああああああああああ──────っ!!」


ズズズ……!!!


ズズ……!!


ズ……!


西尾「執筆、完了……」ドン……!





西尾「……どう、司馬君!? 僕の渾身の決め台詞!! 思わず意味が重複してしまう程の出来だろう!?」

司馬「…………」ポケー……

西尾「……あれ、もしかして、これも興味無い感じッスか?」

司馬「…………い」

西尾「異? それとも胃?」

司馬「……ごい」

西尾「恋?」

司馬「凄い!!」ガバッ!!!

西尾「うわ吃驚した!」
42 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:33:12.75 ID:iTAmraR+O
司馬「何て格好良いんだ……! これが武装探偵社! これが異能力者!」

司馬「俺も異能力は持ってたけど、比べ物にならない! 能力も使い方も何かもかも素晴らしい!」

司馬「……何で能力者である事を言わなかったんだい?」

司馬「西尾さんを何処まで信じていいのか判らなかったので!」

西尾「やっぱり困った正直者だなぁ」

司馬「西尾さん! 西尾さんは、普段からこう云った活動をして居るのですか!?」

西尾「そうなるかな」



司馬「───俺も武装探偵社に入れて下さい!!」

西尾「……え?」

司馬「誤解していました……武装探偵社は、軍隊何かよりも余程正義を遂行している!」

司馬「武装探偵社こそ俺の求めて居た組織です!」

司馬「俺を、探偵社に───!」


……バタン!!


西尾「……あらら? 気絶してる……」

西尾「矢張り体は限界だった様だね……。無理も無い、弱って居る処を吹き飛ばされた訳だからねぇ」

西尾「其れにしても……探偵社に入りたい、か」

西尾「ふふ……面白い」



西尾「却説(さて)───果たして彼は、僕等にどんな『物語』を提供してくれるのかな?」


[西尾維新(にしお いしん)───能力名『化物語』]


43 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:34:09.50 ID:iTAmraR+O
───これが事の始まり。


怪奇犇めく此の街で───変人揃いの探偵社で───これより始まる怪奇譚。


其の先触れ、前兆しである───



[司馬遼太郎(しば りょうたろう)───能力名『燃えよ剣』]





序章【人生万事塞翁が司馬】───了


44 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/02(木) 18:35:09.43 ID:iTAmraR+O
短いですが本日はここまで。お疲れ様でした。次回から探偵社の一員として様々な登場人物(キャラクター)が出て来ます。


今日も登場人物(キャラクター)の安価をします。特に縛りは有りません。皆様のお好きな小説家や詩人、シナリオライターなどの文豪を安価して下さい。

名前:
性別:
能力名:
容姿:
性格:
喋り方:
備考:

↓10くらいまで。上記のテンプレをご利用ください
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 18:49:59.55 ID:fkTdB/fo0
乙 面白い

名前:奈須きのこ
性別:女
能力名:月姫
容姿:茶髪ボブカット。高身長でかなりのグラマー。
性格:地上最強を目指す求道者。尊大な態度をとる。ちょっと厨二病っぽい。
喋り方:尊大な喋り方。一人称は妾。二人称は雑種。
備考:頭脳も身体もハイスペックだが、重要な場面でうっかりミスをしたり、ミスをしていたことに気づくうっかり屋。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 19:03:32.88 ID:OgEK18zA0


名前:小泉八雲
性別:男性
能力名:『怪談』
容姿:ハーフの長身の細マッチョのイケメン、コンタクトレンズ着用者
性格:知識欲旺盛で、人が隠すものほど知りたがる
喋り方:基本敬語、ただし慇懃無礼
備考:隠してはいるがビビり
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 19:04:17.94 ID:2LeOv8QN0

以前間違えたの再投稿します

名前: ロバート・ルイス・スティーヴンソン
性別:男
能力名:『ジキルとハイド』
容姿:金髪碧眼、眼鏡と白衣の似合う優男
性格:基本的に紳士的だが、ぶち切れると手がつけられない
喋り方:基本丁寧だが、キレるとすごく口汚い
備考: 元医者で薬オタク
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 19:21:39.90 ID:UV4t7ngBO

ワンピの方を知らないんだけどこれ流石に全採用じゃないよね?
有名所のネタはどんどん減っていきそうではある

名前:J・R・R・トールキン
性別:女
能力名:『指輪物語』
容姿:小柄で中世ファンタジー感ある服装、裸足
性格:平和主義者で楽しいことが好き、でもやるべきときにはやる
喋り方:ゆるふわな喋り方
備考:意識が現実と自分の考えた世界頭の中の世界を行ったり来たりしている
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 19:40:49.10 ID:1uDexdZQo
名前: 新海誠
性別:女
能力名:天気の子
容姿:髪は頭の後ろで結っている。服装は学生服にベスト
性格:明るく元気な女性と落ち着いてしっかりした男性の二重人格
喋り方:女性のときは特徴のある方言、男性のときは普通に男性らしく
備考: 二人の性格同士の意思疎通はできている
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 19:55:29.12 ID:zL4B0l+10
名前:森博嗣
性別:男
能力名:すべてがFになる
容姿:眼鏡をかけた長身でスーツ姿の男性。神経質そうな雰囲気
性格:冷静沈着で無駄な事が大嫌いな合理主義者
喋り方:常に落ち着いた口調で、時折科学や数学の用語が混ざった喋り方をする
備考:視力が非常に悪く、眼鏡が無いとほとんど何も見えない
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 19:58:34.81 ID:9tWZYXHiO
名前:鎌池和馬
性別:男
能力名:とある魔術の禁書目録
容姿:黒髪ツンツン頭でウルトラマンのような赤白Tシャツ、スラックスは深緑色で膝丈までの長さ
性格:少々説教臭い性格でビビリだがやるときはやる男、ツッコミ担当
喋り方:長母音と「ん」がカタカナ(ァ、ィ、ゥ、ェ、ォ、ン)で表記される喋り方
備考:科学にもオカルトにも詳しい
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 20:15:22.50 ID:x91+qp7W0
名前:山田 悠介(やまだ ゆうすけ)
性別:男
能力名:『リアル鬼ごっこ』
容姿:ガスマスクを付けていて、筋肉質の30代前半男性。レザージャケットを着ている。(ガスマスクは絶対に外さない)
性格:基本的にネガティブな性格だがみんなを楽しませるムードメーカーなところがある。
喋り方:関西弁。一人称は僕。歳上だと「(下の名前)さん」、歳下で男だと「(下の名前)君」、歳下で女だと「(下の名前)ちゃん」
備考:昔は総合格闘技をしていて、戦闘でも結構強い。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 21:06:19.45 ID:n14cpmOYO
名前:野上弥生子
性別:女
能力名:『海神丸』
容姿:女子大生。青髪にサイドテール。セクシー系の服装でモデル体型。
性格:おしとやかな性格。戦うときは冷静に情報分析することができる。(武術も得意)
喋り方:上品で丁寧な口調。たまに毒舌になる。
備考:お金持ちのお嬢様で頭がよく天才。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 23:05:24.17 ID:V7ObkDb00
名前: 川端康成
性別: 男
能力名: 雪国
容姿: 白髪で仕込み杖を持つ老人。
性格: 物静かだが、温かみがある。
喋り方: 理路整然として、的を得たような喋り方
備考:彼の放つ「雪国」は本気を出せば東京全体にまで範囲が及ぶ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 23:11:44.34 ID:V7ObkDb00
>>54
ごめん、勝手に舞台が東京だと思ってた。備考のところを''本人は能力を保つためと言ってアイスなどの冷たいものを好んで食べるが、本当はただ本人が好きなだけ。に変更お願いします。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 23:15:19.69 ID:fSXBuSdEo
規模で言うと東京全体に及ぶレベル、という風に取ればいけるんでない?
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 00:00:11.26 ID:/VLQ4oCS0
>>56
なるほど、確かにそれいいですね。1さん、何度も申し訳ないですが>>56さんのやつに変更でお願いします。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 00:13:27.54 ID:9+lmuB3ho
というか能力で指定できるのは能力名だけで能力の内容は>>1が考えるんじゃないの?
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 00:22:45.75 ID:Qro+4nG0O
強さ(範囲や制約)もコンマ十の桁で判定だから指定できるとこじゃないね
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 17:42:43.62 ID:lVAqzUezO
司馬遼太郎の本好きだけど捏造とは言わないけど歴史上の人物をそんな功績ないのに英雄のようにしてしまうのがな坂本とか龍馬とか
61 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 13:29:53.21 ID:iVUcr6d2O
>>48
基本的に全部採用するつもりでは居ます。ただ、ONE PIECEの方とは違い、登場人物(キャラクター)安価は少なめにする積もりです。素晴らしい文豪は沢山いるので大丈夫かなーと思っているのも有りますが。


それでは始めます。
62 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 13:35:40.59 ID:iVUcr6d2O
司馬「……」

司馬「…………んん?」

司馬「ここは……? 何処だ……?」ムニャムニャ……

司馬「……何だか“ここは……?”ばっかり云ってる気がするなぁ……」

ピピピピピ

司馬「!」がばっ!!

司馬「こ、これは!? け、携帯か!?」

司馬「え、えっと、ぼ、釦(ボタン)……どれ!?」

司馬「こ、これか!?」ピッ

司馬「は、はい?」

西尾『やぁ、司馬君。おはよう』

司馬「あ、えっと……おはよう御座います」

西尾『住み心地は如何(どう)だい?』

司馬(そうだ……あの後、俺は倒れてしまって……)

司馬「西尾さんが運んでくれたんですか?」

西尾『まぁ、そういう事だね』

西尾『そんな訳で、きっと君は僕に感謝しているよね? している筈だ。しててくれ』

西尾『そこで一つお願いがあるんだ。助けてくれない?』

司馬「はぁ……?」


[場面転換中───]


司馬(俺の名前は司馬遼太郎。辺鄙な村から正義の為に軍隊に入ろうとしていた男だ)

司馬(ひょんな事から西尾維新という人物に助けられ、更にひょんな事から彼に憧れを抱き、彼の働く武装探偵社なる処に入ろうとしているのだが……)



司馬(……今、俺の前には木に縛り付けられた西尾維新さんが居る)
63 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 13:38:31.54 ID:iVUcr6d2O
司馬「何してるんですか?」

西尾「おや、見て判らないかい?」

司馬「……朝の幻覚?」

西尾「違う」

西尾「これはね……広義の磔刑だよ」

司馬「成程……」

司馬「それでは……」スタスタ……

西尾「ああ───っ! ま、待って待って!」

司馬「いや、だって……磔刑って事は西尾さんが何かしたんでしょう?」

西尾「ち、違うんだよ! これは誤解! 本当に冤罪なんだ!」

西尾「ここの婦女子の着替えを覗いたと思われてしまったんだけど……」

司馬「覗いたんですね」

西尾「だから覗いてないんだって! 本当に! 覗いていたとしたら僕はもっと潔いよ!」

司馬(それもどうかと思うけど……)

司馬「分かりましたよ……今回は信じましょう」

西尾「ありがとう。出来れば次も信じてね」

司馬「何で次がある前提なんですか」シュルル……

司馬(本当にこの人についていって大丈夫かな? 少し不安になって来たな……)

西尾「ふう……助かったよ。では向かおうか」

司馬「? 何処に?」

西尾「決まっているだろう」



西尾「───武装探偵社さ」
64 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 13:39:10.07 ID:iVUcr6d2O



第一章【ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス】





第一話【司馬遼太郎、探偵に成る。】



65 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 13:42:21.03 ID:iVUcr6d2O
西尾「却説(さて)、それでこれから探偵社に向かう訳だけど……」

西尾「本当に君は武装探偵社に入りたいのかい? 今ならまだ後戻り可能だよ?」

司馬「男に二言は有りません。俺は武装探偵社に入りたいんです」

司馬「俺は正義の為に何かしたくて軍隊を目指してたけど、探偵社の方が俺のやりたい事が出来る筈です!」

西尾「……一応言っておくけど、昨日の一件で軍人全員が悪いとは思わないでよ。悪い軍警なんてそうそういないぜ普通」

司馬「判ってますよ。俺は昨日の西尾さんを見て探偵社に入りたいと思ったんです」

司馬「それに……軍隊って規則(ルール)厳しそうじゃないですか。俺、あんまり向いてないと思うんですよね」

西尾「まるで探偵社が規則(ルール)無用みたいな言い草だね……」

司馬「? 西尾さんが所属出来るんだからその通りじゃないんですか?」

西尾「実は司馬君って結構失礼だね?」

西尾「……まぁいいや。それはともかく───探偵社に着いたよ」

司馬「……この建物が……」

司馬(俺の……新しい居場所か……!)


[場面転換中───]


西尾「さぁ、入り給え。ここが事務所だ」

司馬(武装探偵社……一体どんな人が居るんだろう。俺やっていけるかな……)

司馬(いや、そんな弱気な事じゃいけないぞ司馬遼太郎! 俺が盛り立ててやるくらいの気持ちでいないといかん!)

司馬「失礼します!」ガチャ!!



司馬「…………あれ?」





司馬「───誰も居ない?」
66 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 13:45:21.82 ID:iVUcr6d2O
扉を開けると、そこは何も無い場所だった。どうやら空室のようだ。まだ借り手がいないのだろう。

司馬「西尾さん……これは───?」



ドゴォッ!!

司馬「がッ───!?」

司馬「くっ……!」バッ!!



西尾「ほほう、後ろに飛んで衝撃を逃がしたのか。昨日の君とは違うみたいだね」

司馬「西尾さん……!?」

司馬(今の強い衝撃……まさか西尾さんに殴られたのか!? 何故……!?)

司馬「西尾さん! どうしてこんな事を……!」

西尾「まだ判らないのか?」





西尾「僕は───君を殺そうとしているんだぜ」

司馬「!?」

司馬「な、何で……!」

西尾「理由なんて如何(どう)でもいいじゃん。だって───どうせ死ぬんだからさ!」ズズズ……!!

司馬「クソッ……!」

司馬(落ち着け……落ち着くんだ……!)

司馬(戦うにしても木刀は燃えてしまったんだよな……! どうするか……!)



【西尾が戦闘を仕掛けて来ました。如何(どう)する? 選択して下さい。】

壱、素手で戦う。
弐、武器を探す。
参、戦わず躱すに徹する。
肆、西尾を観察する。

↓1
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 13:46:15.44 ID:anuGpq7y0
68 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 14:46:47.73 ID:iVUcr6d2O
>>67選択:肆、西尾をじッ……と観察する。



司馬(……おかしい。西尾さんが急に攻撃して来るなんて……!)

司馬(仮に元々俺を殺すつもりだったとして……こんな処まで連れて来て殺す理由なんて有る筈が無い……!)

司馬(ならばきっと殺す為じゃなく……他に理由があるんだ! それを考えなければ……!)

司馬(落ち着け……! 周りをよく見るんだ……!)


ズズズ……


司馬「……!」

司馬(そう云えば……この威圧感、西尾さんの能力だよな……)

司馬(この威圧感……部屋に入った『最初から』あったんじゃないか?)

司馬(という事は……西尾さんがおかしくなったのは、まさか『怪異』のせいなのか……!?)

司馬「だったら……!」

西尾「アハハ……! ほらほら、かかって来ないのかい!?」

司馬(……あっ! 西尾さんの『怪異』ってどうすれば解けるんだ!?)ガーン!!

司馬(くっ……仕方ない、こうなったら……!)



司馬「あっ! 可愛い女の子!」

西尾「えっ!? どこどこどこ!?」

司馬(今だ!)ダッ!!

西尾「なっ……逃げるのかい!?」

司馬「戦略的撤退です! 場所を変えましょう西尾さん!」

司馬(西尾さんの『怪異』は条件が厳しい筈……! という事は場所を変えれば解ける可能性が有る……!)





西尾「───成程ね。中々悪くない」



パッ!!!



司馬「うわッ───!?」
69 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 14:52:45.20 ID:iVUcr6d2O
突然、部屋の灯りが強くなり、辺り一面を光が満たした。

司馬(何も見えない……!? これも西尾さんが……!?)

そして光が収まると…………



司馬「───えっ?」



「いやぁ、まさかいきなり撤退していくとはなぁ」

「俺は絶対そう来ると思ったぜ」

「嘘つくの止めなさいよ……」



そこには───沢山の人が居た。
70 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 15:00:47.90 ID:iVUcr6d2O
司馬「え……あ、え?」

相田「大丈夫ですか? 何処かお怪我は?」


[相田みつを(あいだ ───)───能力名『にんげんだもの』]


司馬「あ、えっと、はい。大丈夫です」

鎌池「ったく……西尾の奴もヤリ過ぎなンだよなァ。ちっとは手加減してやれよ」


[鎌池和馬(かまち かずま)───能力名『とある魔術の禁書目録』]


宮部「しょうがないだろう。これは試験なんだからさ」


[宮部みゆき(みやべ ───)───能力名『模倣犯』]


司馬「し、試験?」

二葉亭「そういう事だ」


[二葉亭四迷(ふたばてい しめい)───能力名『浮雲』]


二葉亭「恨むなら西尾を恨め。若しくは武装探偵社などに入ろうとした己を恨め」

西尾「判ったかな司馬君。つまりこれは……」

西尾「一種の───入社試験だね」

司馬「にゅ……入社試験……?」

北原「その通りだね!」


[武装探偵社社長 北原白秋(きたはら はくしゅう)──能力名『邪宗門』]


二葉亭「社長」

司馬「しゃ、社長!?」

北原「そこの西尾めが『有能なる若者が居る』と云う故、その魂の真贋試させて貰ったのだね!」

西尾「武装探偵社に好き好んで入りたいなんて人は珍しくて、社内でも如何(どう)しようか悩んでね」

西尾「鎌池君のお陰で君の素性に問題が無い事は判ったんだけど、果たして君が本当に役に立つかは不明でねぇ」

西尾「で、社長の一声で、それじゃあ実技試験だ!となった訳」

西尾「いやぁ、でもまさか撤退しようとするとはね。僕の『怪異』自体を何とかしようとしたんだろう?」

司馬「は、はぁ……まぁ……」

西尾「短い時間で考えたものだ。及第点なんじゃない?」

司馬「西尾さん……『怪異』に操られていたんじゃあ……」

西尾「……えっ、何、僕が『怪異』に操られておかしくなったと思ってたの?」

宮部「ハハッ、軟弱に見られてるねぇ西尾」

西尾「弱そうに見えて実は強い美男子(イケメン)って云う登場人物(キャラクター)だから構わないさ」

鎌池「自分で美男子(イケメン)って云うンじゃねェよ……」
71 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 15:03:17.15 ID:iVUcr6d2O
司馬「ええ……!? じゃ、じゃあ、開けた時に空室だったのは!?」

西尾「ああ、それは───」



軍服を着た少女「ねーねー維新ー、あたしどうだった?」

西尾「いやはや、それはもう興奮する程良い仕事だったよ!」デレデレ

軍服を着た少女「ほんとー? うれしーい!」

司馬「!? だ、誰!?」

西尾「おや、この子に見覚えは無いかい? 昨日会ったばかりだと云うのに」

司馬「え……?」


[回想中───]


体格の良い男「!? 誰だ!!」

司馬「えっ……!? あの格好は……!」

司馬「……軍人!?」


[回想終了───]


司馬「……えっ、あの軍人!?」

西尾「そう! 『港の幽霊(ゴースト)』改め『港野幽子(みなとの ゆうこ)』ちゃんさ!」

軍服を着た少女→港野「よろしくー!」

司馬「」ポカン

鎌池「……アイツの能力は知ってンな? 西尾は『怪異』を自在に操れンだよ。それこそ性別とか見た目も自由にな」

相田「西尾さんは自分の物にした『怪異』のほとんどを女性にしているんですよ」

司馬「……は」

鎌池「ハ?」

司馬「破廉恥だ!」グワッ!!

宮部「マトモな奴で嬉しいねぇ」
72 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 15:04:16.57 ID:iVUcr6d2O
二葉亭「それで、社長……結果は?」

北原「…………」フッ……

北原「───西尾に一任するんだね!」

司馬「……えっと」

西尾「合格だってさ」

西尾「それでは……改めて述べる事にしよう」



西尾「───武装探偵社にようこそ、司馬遼太郎君」



司馬「…………」

司馬「あ……ありがとう御座います?」
73 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 15:05:14.01 ID:iVUcr6d2O
何はともあれ───これで司馬遼太郎は武装探偵社の一員と相成った。



これで漸く、彼の物語が始まるのである───





第一話【司馬遼太郎、探偵に成る。】了



74 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/07(火) 15:07:39.10 ID:iVUcr6d2O
本日は此処まで。お疲れ様でした。今日出て来た文豪は武装探偵社の一員です。


今日も登場人物(キャラクター)の安価をします。特に縛りは有りません。皆様のお好きな文豪を安価して下さい。

名前:
性別:
能力名:
容姿:
性格:
喋り方:
備考:

↓10くらいまで。上記のテンプレをご利用ください
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 15:25:24.16 ID:oivh/cLo0
乙です

名前: 長月 達平(ながつき たっぺい)
性別:男
能力名: 『Re:ゼロから始める異世界生活』
容姿:逆立った黒髪に三白眼の目つきの悪いやや筋肉質の男、ジャージをこよなく愛する
性格:常にハイテンションで空気を『読まない』が、シリアスするところではシリアスできる
喋り方:「へいへいへーい!」と同じ言葉を繰り返したりやたらとテンションが高いが、シリアスする場面ではおそらくし平坦かつ冷静
備考:元々は平凡な高校生だったが、命の危険に晒されたことで異能が開花した
『生き残ること』に執着している
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 15:32:53.38 ID:LMzH+7HX0
乙。みんなキャラ立ってて良いね

名前:綿矢りさ
性別:女
能力名:「インストール」
容姿:派手なピンク髪と着崩した制服が特徴的なギャル
性格:いつでも明るく誰に対しても陽気に接する生粋の陽キャ。恋愛に関しては奥手
喋り方:一人称は「あーし」で若者言葉を多用する。たまに「チョベリバ」「ゲロゲロ」など世代が違う言葉も混ざる
備考:見た目や喋り方で侮られがちだが意外と頭が良く、鋭いことを事も無げに言って周りを困惑させがち
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 15:41:28.81 ID:ZxvPGYSiO
名前:輿水 泰弘[コシミズ ヤスヒロ]
性別:男
能力名: 『相棒』
容姿:メガネにスキンヘッドでやや小太りだが風格のある男
性格:非常に温厚だが、落とし前はきっちりつけるタイプ
喋り方:非常に穏やかで聞くものを安心させるが落とし前をつける時はドスが効いてる
備考:元軍警で、上司と反りが合わず辞めた
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 16:00:04.26 ID:hepoYNND0
名前:俵 万智
性別:女
能力名:『サラダ記念日』
容姿:黒髪セミロングでジャケット姿の女性。スタイルも抜群で、いわゆるデキる女風の雰囲気を醸し出す
性格:能力名に反して、食の好み的な意味でも性格的な意味でも自他共に認める肉食系である
喋り方:サバサバしたお姉さん風の口調
備考:彼氏募集中
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 16:53:25.07 ID:2QBKQoWx0
名前: 齋藤 隆夫
性別: 男
能力名: 『ゴルゴ13 』
容姿: いつも白や黒などのスーツに身を包んでおり、物静か。
性格: 寡黙、嘘を嫌う(仕事の場合のみ)。
喋り方: 簡潔的で、必要以上に自分のことも含めて喋ろうとしない。
備考: 彼の情報は謎に包まれており、利き手と血液型しか情報がない。また自身の後ろに立たれることを極端に嫌う。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 16:56:49.34 ID:qtAIhgszO
名前:滝本竜彦
性別:男
能力名:NHKにようこそ! (NHK=日本ひきこもり協会の略)
容姿:くたびれた緑の上下ジャージにボサボサの黒髪、目に隈
性格:ネガティブでコミュ症、躁鬱が激しい、アニオタ
喋り方:吃音症
備考:元引きこもりニート、または現引きこもりニート
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 18:18:37.42 ID:yh76EUiUo
名前:ジョージ・ルーカス
性別:男
能力名: スター・ウォーズ
容姿:白いスボン白いジャケットを着た白人の青年
性格:正義感と責任感が強い
喋り方:普通の青年らしい喋り方
備考:正義とはということに葛藤してたこともある
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 18:28:41.37 ID:ka4jharl0
名前:入間人間
性別:男
能力名:嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん
容姿:身長体重が平均的で特徴となる部分がない普通の容姿。常に微笑みを浮かべている
性格:感情がなく、感情があるように振る舞う嘘つき。自分の感情を目覚めさせるため悪事に手を染める
喋り方:抑揚のない喋り方
備考:なし
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 18:34:56.82 ID:VVqDspMgO
名前:平塚雷鳥
性別:女
能力名: 『元始、女性は太陽であった』
容姿:黄色のメッシュを入れた髪にパンクロッカーのような服装
性格:男勝りで女だからという引け目が大嫌い
喋り方:姉さん口調
備考:
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 19:07:41.69 ID:BP8aGGZOO
名前:孔子
性別:男
能力名: 「朝聞道、夕死可矣」
容姿:ゆったりとしたローブを身に着けた老人
性格:どんな時も飄々としている
喋り方:よくある老人みたいな喋り方
備考:よく核心を突くようなことを話す
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/08(水) 00:27:25.63 ID:wzDg4x1FO
名前:伊藤計劃
性別:男
能力名:虐殺器官
容姿:迷彩服の青年
性格:強者との決闘を望む殺人鬼。強者は好きだから決闘の末に殺し、弱者は嫌いだからただ[ピーーー]
喋り方:一人称オレ、二人称オマエ
備考:あちこちに武器や防具を仕込んでいる
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/04/08(水) 01:22:58.90 ID:n5BYHXTD0
名前:三条陸
性別:女
能力名:『冒険王ビィト』
容姿:中折れ帽がトレードマークのグラマラスな長身美女。しかし、顔と声が中性的な為男装すると完全に男にしか見えない。
性格:ハードボイルド気取りの半人前で人情家
喋り方:かっこつけたしゃべり方だが、ボロが出ると途端に蓮っ葉な口調になる。
備考:男装時は『瑳川竜』の名で通っている。身体能力が高く、情報は足で稼ぐタイプ。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/09(木) 14:30:26.52 ID:BgAXqMy4O
作品名に『東京○○』『歌舞伎町??』みたいに地名が入る場合、ヨコハマ表記にならって『トウキョウ○○』『カブキチョウ??』にした方がいい?
そういう作品名は避けた方がいい?
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/13(月) 22:43:14.57 ID:bGZUR4oEo
なんか見たことあると思ったら
おーぷんでリィンカーネーションの花弁の安価スレやってた人だ
そのスレ>>1が自分でキャラ安価投げてるのがシステムでバレてそのままエタらせたんだっけ
ここでも自分で投げてるかもな
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/14(火) 20:07:49.57 ID:5g1dkrAx0
まあ、一回やってしまったからと言って、また次やるとは限らないよね。
1さん頑張って!
90 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/04/21(火) 20:50:27.17 ID:1JPJr+fTO
>>87
特定の地名が付く作品でも何の問題もありません。もちろん片仮名表記にしなくても大丈夫です。


確かに『リィンカーネーションの花弁』の安価スレはやっていましたが、自分で投げた事は無いですね……。多分。やってない筈だけどなぁ……。

いずれ『リィンカーネーションの花弁』の安価スレも再開したいですね(序盤も序盤で終わってしまったので)。流石にONE PIECEかこちらのどっちかを終えないと始められませんが。


二週間経ったので生存報告です。次の一週間以内には出来ると思います。よろしくお願いします。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/21(火) 21:03:59.85 ID:naiftrCF0
待ってる
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/21(火) 21:14:23.95 ID:G8n/3Jcu0
楽しみにしてます!
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/21(火) 21:21:56.60 ID:T5qjrVyfo
おーぷんのスレ見たら分かるけどさ
あそこってスレ立てた人が書き込んだレスには、例えIDが変わってもcookieが同じなら(主)の表示があるんやで
94 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:02:30.19 ID:2f7y/1ODO
お久しぶりです。ギリギリでしたね……。そんな訳でやっていきます。第二話です。
95 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:08:20.99 ID:2f7y/1ODO
司馬「おはよう御座います!」ガチャ

社員1「おー、おはよう。早いねー」

司馬「今日が初仕事ですから!」

社員2「気合入ってんなぁ……流石は志願して武装探偵社に入社した男」

社員3「それに比べて……見てみなよアレ」

司馬「?」


西尾「」すぴー……すぴー……


司馬「寝てる!?」ガーン!!

社員1「実力は凄いんだけどねぇ……如何せんやる気が足りない」

司馬「ちょっと西尾さん! 何寝てるんですか! 仕事ですよ!」ピシピシ

西尾「んん……?」

西尾「何を云っているんだい司馬君……僕は今寝ているんだ。つまり、僕はまだ仕事の時間じゃないんだよ……」

司馬「つべこべ云わずに起きなさい!」ピシピシ

西尾「うう……しつこいなぁ、判ったよ……」ムニャ……

鎌池「おお……すげェなアイツ。あの西尾を起こしやがった」

相田「お母さんみたいですね」クスクス

二葉亭「フン、これは期待の新人だな」

西尾「云いたい放題だね君達……」

西尾「でもね、本当に僕は仕事じゃないんだよ。今日の司馬君には違う人と組んで貰う」

司馬「? 違う人?」





宮部「…………アタシさ」ズーン……

司馬「だ、大丈夫ですか宮部さん!?」
96 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:10:11.28 ID:2f7y/1ODO
西尾「宮部さんは武装探偵社の唯一にして無二の探偵だ。彼女の元で探偵の何たるかを学んできたまえ」

司馬「い、いや、その前に具合悪そうですよ!」

宮部「ああ……安心しな。別に体調が悪い訳じゃない。ちょっとした副作用みたいなものさ」

司馬「はぁ……」

宮部「うえええええ……」グッタリ……

司馬「ほ、本当に大丈夫ですか?」

宮部「大丈夫大丈夫……んじゃ、ヨロシク頼むよ司馬。早速行こうじゃないか」

司馬「? 何処に?」

宮部「決まってんだろ?」



宮部「───殺人事件の現場さ」
97 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:11:24.31 ID:2f7y/1ODO



第二話【殺人者は眠る】





西尾「いってらっしゃーい」ヒラヒラ

宮部「アンタも行くんだよ西尾」

西尾「えっ」

宮部「司馬、西尾を連れて来い」

司馬「は、はい!」ガシッ

西尾「うわー離してくれー、おにーあくまー」ジタバタジタバタ

司馬「そんな棒読みで云われても困りますよ。ほら、行きますよ」ズルズル
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/05(火) 16:14:41.39 ID:fiz+l3hXO
待ってました!期待!
99 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:19:08.48 ID:2f7y/1ODO
[場面転換中───]


宮部に連れられてやって来たのは、ヨコハマの町外れにある豪邸だった。

宮部「ここにはヨコハマでも有数の資産家が住んでいるんだ。金持ちッてのは直ぐデカい家を建てたがるよねぇ」

司馬「あの……つまり、ここで殺人事件が起こったって事ですか?」

宮部「そう云う事」

宮部「この事件はアンタが入る前から調べていてね。いよいよ大詰めなんだ」

宮部「司馬、アンタはアタシの護衛だ」

司馬「護衛……」

宮部「アタシが命令したら、躊躇わずに木刀を振り抜きな」

西尾「物騒だね」

司馬「判りました!」

西尾「快諾するんだ」

西尾「あ、そう云えば、新しい木刀を買ったんだね司馬君」

司馬「はい」

司馬「……給料を前借りして……」ズーン……

西尾(可哀想に……)

宮部「んじゃ……アタシについて来な。ああ、気持ち悪い……」ウップ……

司馬(大丈夫かなぁ……こんな処で吐いたら幾ら弁償しなきゃいけないのだろう……)

西尾「あの……僕は?」

宮部「アンタはいりゃいいよ。適当で」

西尾「雑だなぁ……」

宮部「いいから来い!」
100 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:23:59.12 ID:2f7y/1ODO
[場面転換中───]


執事「お待ちしておりました」ス……

司馬達が現れるや否や近づいて来たのは、六十代程の男性だった。

執事「武装探偵社の方ですね? 御主人様がお待ちです。どうぞこちらに」

宮部「ああ……頼むよ」

カツ、カツ、カツ……

執事「御主人様は心を痛めておられます……なので、決して失礼の無いようにお願い致します」

西尾「まぁねぇ……身内が三人も死んだ訳だもの。そりゃあ心も痛むよねぇ」

司馬「三人!?」

執事「おや、ご存知無かったのですか?」

司馬「す、すいません……入ったばっかりでまだ知らなくて……」

宮部「コイツは只の護衛でね。アタシが判ってればいいから伝えなかったんだ」

執事「左様ですか……」

執事「御主人様が経営していた会社をお継ぎになった息子様、その奥様、そしてお孫様……三人ともこの家で殺されてしまったのです……」

執事「警察にも懸命に捜査して頂いたのですが、何も証拠が出ず……捜査は打ち切りになってしまいました」

執事「そこで、武装探偵社に依頼する事にしたのです。こんなに証拠が出ないという事は、もしかしたら犯人は異能者ではないか……そう思ったもので」

西尾「餅は餅屋って訳だね」

執事「ええ、平たく云えばそうなりますね」

宮部「ううっ……吐きそう……」

西尾「相変わらずだねぇ」

宮部「うるせー……ぶん殴るぞ」

司馬「……俺が代わりに殴った方が良いでしょうか?」スッ……

西尾「コラコラ構えるんじゃあないよ司馬君」
101 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:35:48.80 ID:2f7y/1ODO
執事「……着きました、こちらです」ガチャ

宮部「司馬」

司馬「? はい」





宮部「───中に居る奴をブッ叩け!」


司馬「───はい!」


タッ……!!


執事「!?」


執事「お、お止め下さい! 中には御主人様が───!」


司馬「───せいッ!!」ブン!!!


ガキィン!!!


司馬「───何!?」





司馬「爺さんに、防がれた……だと……!?」


老人「フン……若造が! 突然入って来るでない! 無礼であるぞ!」


中に居たのは、松葉杖で司馬の木刀を受け止める老人。そして───


執事「なっ……!?」





───血塗れで倒れた一人の女使用人(メイド)だった。
102 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:38:00.28 ID:2f7y/1ODO
執事「こ、これは……!」

宮部「これなら赤ん坊でも判るだろうね。犯人はあのジジイだ」

執事「ば、莫迦な! 御主人様は体が悪く、一人で動く事などとても……!」

宮部「ああ……そのせいで此奴は容疑者から外れたんだ。だから犯人が見つけられなかった……」

宮部「此奴の事も調べておきゃあ、すぐに証拠が見つかって捕まっただろうに」

宮部「まっ、そこら辺も考えて犯行に及んだんだろうけど。なぁ、爺さん?」

老人「ククク……やっと判ったか! 愚鈍な奴等め!」

老人「この屋敷で殺人が起きたのだぞ。一番犯人である可能性があるのはこの儂に決まっておろうが!」

西尾「そして、また一人犠牲者が……やれやれだね」



宮部「あ? 何云ってんだよ司馬。あの女性はまだ生きてるぞ」

西尾「え?」


メイド「…………ううッ……」


司馬「!」

宮部「司馬! 回収!」

司馬「はい!」ダッ!!

老人「させるかァ!」

老人「……ぐッ!」

老人「さ……させるかぁ……」

司馬「!?」

司馬(何だ……動きが急に弱々しく……)

司馬「よしっ……!」だきっ!

司馬「すいません、この子をお願いします」

執事「えっ、あ、は……はい……!」
103 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:46:05.22 ID:2f7y/1ODO
宮部「この時間はキツイだろう? そろそろ薬物が切れる時間だからねぇ……」

老人「……!? な、何故それを……!」

宮部「事の始まりは半年前……病の痛みに耐えかねたアンタはとある薬物に手を出した」

宮部「最初はそれを打って束の間の幸せを感じていたアンタだが……その内に苦しみが襲って来た。病気の後遺症なんかよりも、ずっとずっとキツイのがね……」

宮部「それを抑える為にアンタは、殺しを始めたんだ。まずはやり易い身内からね……!」

宮部「アンタが犯人である事は直ぐに判ったが、そこから困ったんだ。アンタは体が動かないって事になっちまってるからねぇ……」

司馬「そうか……だから屋敷に来たんですね。俺や執事さんみたいな第三者に、あの老人が動けるようになったと見せる為に……」

宮部「…………」

司馬「……あれ? 違いました?」

宮部「チッ、変に理解力の高い……もうちょい莫迦な方が可愛げがあるのにねぇ」

司馬「えっ」ガーン

執事「し、しかし……この時間になると御主人様の薬が切れるとか、女使用人(メイド)がまだ生きているとか……そういう事は何故知っていたんですか?」


宮部「───模倣(トレース)さ」


執事「へ?」

宮部「アタシには、犯罪者の思考を模倣(トレース)して行動を読む能力があるんだよ。ちょっと気持ち悪くなるのが瑕だけどねぇ……」

宮部「火曜日のこの時間に奴の薬が切れる事……二週間以上殺人を我慢出来ない事……この時間であれば殺人はまだ終わっていない事……そして……」



宮部「───最後の力を振り絞って逃げようとする事もお見通しなんだよ!」
104 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:48:23.60 ID:2f7y/1ODO
宮部「司馬! 奴を捕らえろ!」


司馬「はい!!」ダダッ!!


老人「クソ……邪魔だ───!」


司馬「せいやっ!!」ブン!!


老人「ぐほぉっ!!」バキィ!!


ドサッ……!!


執事「ご……御主人様!」ダッ!!

司馬「ふう……」

司馬「倒しましたよ宮部さん! これで捕まえられますね!」

宮部「……あ、ああ。良くやった、うん」

西尾「ご老体から出てはいけない音が出ていたけど、大丈夫かい? 宮部さんの推理では如何かな?」

宮部「あんなん推理出来る訳ねぇだろ……うっ!」

西尾「?」

宮部「うえええええ……」

西尾「うわあああああ!」

西尾「……あ、まだ吐いていないね。良かった良かった」

西尾(本格的に吐く前に早く市警を呼んだ方が良いな……)
105 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 16:59:51.61 ID:2f7y/1ODO
[場面転換中───]


西尾「いやぁ、あの御老人も無事警察に連れて行かれて良かったねぇ。色んな意味で」

宮部「武装探偵社の人間が老人ぶっ叩いて殺したって吹聴されても困るしなぁ」

宮部「それより西尾、アンタいい加減婦警の下着見ようとすんの止めな! 誤魔化すこっちの身にもなってくれ!」

西尾「誤魔化す必要なんてないじゃないか。僕が下着(パンツ)を見たい気持ちに嘘偽りなんてないのだから」

宮部「アンタねぇ……!」

司馬「…………」

宮部「……どうした司馬? 最初から殺人事件はキツかったか?」

司馬「いや……そういう訳では無いです」

司馬「武装探偵社って、本当に探偵みたいな事しているんだなぁと思って……」

宮部「んなの当たり前だろ……」

司馬「いや、その……探偵社は西尾さんみたいに異能を使って町を平和にしている団体とばかり……」

西尾「おや、そう思っていたのかい」

宮部「成程ねぇ……別にウチは異能者だけ集めてるわけじゃないよ。社員の半分以上は普通の人間だし」

宮部「ただ、武装探偵社が町の平和を守る集団ってのは当たってる」

宮部「覚えておきな。武装探偵社は、軍警が扱いきれない危険な依頼を主に専門にする探偵集団だ。けど……」


宮部「……例えどんな大した事の無い依頼でも、アタシ達は弱者を護り悪を挫くだけさ」


司馬「!」

司馬「───はい!」

武装探偵社に入った事は間違いではなかった───司馬は、改めてそう思った。
106 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 17:01:15.16 ID:2f7y/1ODO
司馬「でも凄いですよね! 犯罪者の思考を模倣(トレース)して犯人を見つける異能なんて! 格好良いなぁ……」



宮部「あ? 何勘違いしてんのさ、アレ異能じゃないよ」

司馬「……えっ?」

宮部「アタシの異能はそう云うんじゃないよ。もっと使い難いヤツさ」

司馬「じゃ、じゃあ、さっきのは……?」

宮部「アレはアタシの推理のやり方。頭を働かせただけだよ」

司馬「え……えええええっ!?」

宮部「アンタが来る前に事務所で推理してたのさ。資料と睨めっこしながらね」

西尾「僕も途中まで判ったけど……流石に全部は判らなかったな。流石は名探偵だ」

宮部「やめろって。アンタに褒められても嬉しくないんだよ」

西尾「なかなか酷いね!」

司馬「」ぽかーん

司馬(本当に……探偵のような推理を……)


……間違いではなかったが、自分は宮部のように推理出来るだろうか───と不安になる司馬なのであった。


余談だが、司馬は帰りに近所の古本屋で幾つかの推理小説を購(か)い、一日で読破したと云う。
107 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 17:05:03.17 ID:2f7y/1ODO
[場面転換中───]


西尾「それで?」

宮部「あ?」

西尾「あ? じゃないよ宮部さん。司馬君は帰ったんだから、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかな?」

西尾「僕をこの事件に介入させた理由は何だい?」

宮部「……チッ、やっぱり察していたか」

宮部「そうさ、この事件には不可解な点があってね。だからアンタを呼んだ」

宮部「あのジジイは薬物キメた事で殺人を行なっただろう? 心がぶっ壊れて体も強化されてねぇ」

宮部「だが……その薬物を売った人間の足取りが掴めない」

西尾「おや、天下の名探偵である宮部さんが足取りを掴めないなんて……」

宮部「判ってんだろ? 掴めない理由」



西尾「───売人は異能者である可能性が高い。そういう事か」

宮部「御名答。残念ながら異能者を追うのはアンタの方が得意だからねぇ……任せるよ」

西尾「何だか気に掛かる言い方だけど……まぁ良いか。任せてくれ給え」
108 : ◆WlXBYBXWS3zL [saga]:2020/05/05(火) 17:07:10.14 ID:2f7y/1ODO
西尾「……ついでに云っておくけど、気を付けた方が良いよ宮部さん」

宮部「あ? 何がさ」

西尾「何って訳じゃないけどね……嫌な予感がするんだ」

宮部「止めろよ……アンタの第六感は異常に当たるんだから」

西尾「そうなんだよ。何も無いと良いんだけどねぇ……」



西尾(……本当に、ね)



【これから何度か今回のように登場人物(キャラクター)と交流します。とある条件を満たして先に進むまで、交流は続きます。】

【それでは、次に交流する登場人物(キャラクター)を選択して下さい。選択した安価のコンマが50以上だと、新しい登場人物(キャラクター)が現れます。】

壱.西尾維新
弐.宮部みゆき
参.相田みつを
肆.鎌池和馬
伍.二葉亭四迷

↓1
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