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【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」
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840 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 21:26:20.69 ID:c80CQWaw0
>>839
アローラすっ飛ばしちゃったんでね…番外編作れたらいいですね(願望)
マリナルはたしかにホウエンにいそうです
安価あるところまで投下します
841 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 21:27:05.57 ID:c80CQWaw0
藍子「……あの、凛さん」
凛「ん?」
藍子「私、今までポケモンバトルを楽しいと思ったこと、あまりなかったんです。いつも勝たなきゃ、勝たなきゃって必死になっていて……きっと、負けることで凛さんに見放されるのが怖かったんだって、気づきました」
藍子「私、いつの間にかバトルを楽しむことを忘れていたのかもしれません。……でも今なら、思い出すことができるかもしれないです」
凛(……そっか。私にもそんな時期があったな)
藍子「バトルだけじゃない。私、ポケモンと過ごす時間が好きなんです。ポケモンと一緒に泣いたり、笑ったり、驚いたり――そんな時間が、とても楽しくて愛しいんです。だからこうして旅に出たんだと思います」
842 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 21:28:00.63 ID:c80CQWaw0
藍子「でも、そうやってポケモンと過ごす時間を脅かそうとしている人がガラル地方にいる。そんな事実をルミナスメイズの森で目の当たりにしました」
藍子「……だから私、もっと強くなりたい。強くなって、みんながポケモンと過ごす時間を守りたい」
藍子「かな子ちゃんには教えてもらえなかったけど、自分で答えを出せました。きっと今のジムチャレンジは、私達がガラルの危機に立ち向かうためにあるんだと」
凛「……」
藍子「……だから凛さん。私、今日からまた心機一転、頑張ります。これからもコーチ、よろしくお願いしますっ」ペコッ
凛「……わかった。その覚悟、ちゃんと受け止めたよ」
凛「私こそ、たくさん迷惑をかけるかもしれないけど……これからも、よろしくね」
843 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 21:29:27.34 ID:c80CQWaw0
藍子「はいっ!」
凛「……そうだ、藍子。これを藍子にあげようと思っていたんだ」
藍子「?」
凛「昨日、かな子に勝ったときにもらったんだけど……この道具、マホミルを進化させるために必要な道具らしいんだ」
藍子「! マホミルを……ですか!?」
凛「うん。私には必要ないから……マホミルに渡してあげて」
藍子は
>>844
を手にいれた!
安価
いちごアメざいく、ハートアメざいく、ベリーアメざいく、よつばアメざいく、おはなアメざいく、スターアメざいく、リボンアメざいくのいずれか
844 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/04(金) 21:55:40.73 ID:QpG719b70
おはなアメざいく
845 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 22:20:39.17 ID:c80CQWaw0
マホミルにおはなアメざいくをもたせた
マホミル「マホーッ♪」クルクル
藍子「……でも、どうやって進化させるんでしょう?」
凛「うーん……ポケモンによっては道具を与えたらすぐに進化するポケモンもいるけど」
マホミル「〜〜〜♪」クルクル
藍子「……変化なしですね。なにか条件があるのでしょうか」
凛「かもしれないね……」
マホミル「〜〜〜♪」クルクル
846 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 22:21:27.47 ID:c80CQWaw0
藍子「マホミル、さっきからずっとアメざいくを持ってくるくる回っていますね……」
藍子「……ふふっ、なんだか私も楽しくなってきちゃった♪」
藍子「〜〜♪」クルクル
マホミル「!」
マホミル「マホーッ♪」クルクル
凛(……マホミルと藍子がひたすら回っている)
凛(二人ともよく目を回さないな……それにしても)
凛(……平和だなあ……)フッ
847 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 22:22:12.71 ID:c80CQWaw0
マホミル「マホーッ」クルクル
マホミル「マホッ」クルクルクルクル
藍子「……?」ピタッ
マホミル「」ギュルルルル
藍子「マ、マホミル……?」
カッ
848 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 22:23:16.96 ID:c80CQWaw0
凛・藍子「!!」
ゴゴゴゴゴゴ
マホイップ「マホ〜」
藍子「……! 進化、した……!」
>>849
コンマ
0-10 ミルキィバニラ
11-21 ミルキィまっちゃ
22-32 ミルキィソルト
33-43 ミルキィレモン
44-54 ミルキィミント
55-65 ミルキィルビー
66-76 キャラメルミックス
77-87 ルビーミックス
88-99 トリプルミックス
849 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/04(金) 23:32:07.00 ID:QpG719b70
てい
850 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:35:38.95 ID:c80CQWaw0
マホイップ クリームポケモン フェアリータイプ
ミルキィバニラ おはなデコレーション
クリームを作る細胞が進化のときに揺らぎを受け、フレーバーが変化するポケモン
ホイップされたクリームの味はマホイップの幸せとともに美味しくなっていく
藍子「わあ……!」
藍子「マホイップ……これからよろしくね!」
マホイップ「マホ〜♪」
凛(……びっくりした。こんな形で進化するなんて)
凛(もしかして……回転することがカギだったの?)
藍子「……よし! マホミルも進化したことだし……」
藍子「凛さん、改めて朝練、よろしくお願いします!」
凛「……うん、わかった」
851 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:36:36.78 ID:c80CQWaw0
アラベスクジム
かな子「……」ザッザッ
かな子「ようこそ、ジムチャレンジへ♪」
藍子「……かな子ちゃん」
かな子「藍子ちゃん。正直、こんなに早く再挑戦しに来てくれるとは思わなかったよ」
かな子「そんなに知りたかったんだね。私の言っていた言葉の意味を」
藍子「……いえ、それはもう教えてもらわなくて結構です」
かな子「?」
852 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:37:21.78 ID:c80CQWaw0
藍子「かな子ちゃんが言っていた言葉の意味も、私に足りなかったものも。私なりに、答えを出すことができました」
藍子「……こんなに早く気づけたのは、きっと私のすぐ近くに、私を支えてくれる人がいたから……」
藍子「だから私は、もっと強くなります。かな子ちゃんも倒して、もっと強くなります!」グッ
かな子「……!」
かな子「……いい笑顔だね、藍子ちゃん」チャキッ
かな子「ルールは昨日と同じ。3匹のうち2匹が倒れたらおしまいだよ。それと、ダイマックスバンドも使って大丈夫だからね」
かな子「それじゃあ……いくよ!」
ジムリーダーのかな子が勝負をしかけてきた!
853 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:37:51.55 ID:c80CQWaw0
都「藍子さん、ファイトー! です!」
凛「……」
凛(都ったら、今日も聞き込みするぞって意気込んでたのに、藍子の応援を優先してくれるなんて)
凛(……大丈夫、藍子。絶対、勝てるよ。自分を信じて)
ドローンロトム『バトル・スタート!!』
藍子「……いくよ、ゴリランダー!」ポンッ
かな子「ピクシー、よろしくお願いします♪」ポンッ
854 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:38:21.41 ID:c80CQWaw0
凛(まずはピクシー……ということは昨日と同じ戦法を使ってくるはず)
藍子(でも、対策はできている!)
藍子「ゴリランダー、ちょうはつ!」
ゴリランダー「ゴリィ〜??」クイックイッ
ピクシー「ピ、ピクーッ!」キーッ
かな子「あらら……」
かな子「これじゃまともに戦えないね……ピクシー、戻って!」
855 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:38:53.77 ID:c80CQWaw0
かな子「ペロリーム!」ポンッ
ペロリーム「ペロッ」
ゴゴゴ……
ペロリーム「!」
藍子「ドラムアタック!」
ゴリランダー「ゴリ!!」ドンドコドンッ
ペロリーム「ペロッ……!」バババ
856 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:39:21.52 ID:c80CQWaw0
藍子「よしっ……!」
藍子(……けどペロリームはほのお技を持っている。ゴリランダーじゃ危険だ)
かな子「ペロリーム、かえんほうしゃ!」
藍子「ゴリランダー、交代!」シュゥゥ
藍子「いくよ……マホイップ!」ポンッ
マホイップ「マホ〜」
857 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:40:05.64 ID:c80CQWaw0
ペロリーム「ペロッ!」ボォォ
マホイップ「!」ボォォ
マホイップ「……マホ〜」ケロッ
かな子「なるほど、かえんほうしゃを読んでの交代……いい立ち回りだね、藍子ちゃん!」
都「いい感じですね! 流れが藍子さんに傾いてます!」
凛「そうだね」
凛「でもここからが正念場……勝負のカギは、マホイップにかかってる」
都「……マホイップが、ですか?」
858 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:40:44.81 ID:c80CQWaw0
藍子「よし……マホイップ、いくよ!」
藍子「デコレーション!」
マホイップ「マホ〜」サッ
シュシュシュシュシュ
かな子「……!」
都「デ、デコレーション……? どういう技なんですか?」
凛「相手の攻撃力を上げる技だよ」
都「あ、相手の!? そんなの犯人をわざと逃がしちゃうようなものじゃないですか!?」
859 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:41:26.55 ID:c80CQWaw0
凛「……そう、本来はね」
都「本来は……?」
マホイップ「マホ」シャキーン
かな子「……なるほど。自分自身をデコレーションするとは……」
藍子「そうです。……これで準備は整いました」
860 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:41:59.62 ID:c80CQWaw0
藍子「マホイップ、マジカルシャイン!」
マホイップ「マホ〜」ピッカァ
かな子「! ペロリーム!」
ペロリーム「ペロ――」
ズバァン
かな子「……!」
ペロリーム「ペロッ……」ドサァ
861 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:42:28.34 ID:c80CQWaw0
『す、すげぇ……』
『なんちゅう威力や……!』
ワァァァァァ
かな子「……っ」
かな子「ペロリーム、サイコキネシス!」
ペロリーム「ペロッ!」ミョミョミョミョ
マホイップ「!」グワッ
862 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:42:57.19 ID:c80CQWaw0
かな子「マジカルシャインを叩き込んでください!」
ペロリーム「ペロッ!!」ピッカァ
ズバァン
マホイップ「マホッ……」ドサッ
かな子「まだまだ……エナジーボール!」
ペロリーム「ペロ!」ボッ
863 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:43:26.51 ID:c80CQWaw0
藍子「マホイップ!」
マホイップ「マホ」サッ
バシュゥ
都「ク、クリームで受け止めた!?」
凛「……いや、受け止めたっていうより、吸収した、って感じかな」
都「そ、そんなこともできるんですか!?」
藍子「トドメです! マジカルシャイン!」
マホイップ「マホ〜」ピッカァ
ズバァン
864 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:43:56.97 ID:c80CQWaw0
ペロリーム「ペロッ……!」
ドサッ
ドローンロトム『ペロリーム戦闘不能! ペロリーム戦闘不能!』
藍子「……! す、すごい……」
藍子「すごいよ、マホイップっ!」
マホイップ「マホ〜♪」
865 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:44:26.75 ID:c80CQWaw0
かな子「……お疲れ様、ペロリーム」シュゥゥ
かな子「ふふっ。藍子ちゃん、楽しそうだね♪ 私もどんどん楽しくなってきたよ!」
藍子「はい……私、バトルがすごく楽しいです!」
かな子「ふふっ……そう、その気持ち。藍子ちゃん、前の試合ではずうっと眉をしかめていたでしょ?」
藍子「……はい。今までの私は、勝つことに集中しすぎて、バトルを楽しむことを忘れていました」
かな子「でも思い出せたんだよね? よかった!」
866 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:45:11.53 ID:c80CQWaw0
かな子「ねえ、藍子ちゃん。李衣菜ちゃんから聞いたよ。ガラルに怪しい集団がいるって話」
藍子「!」
かな子「しかも、その集団が各地のジムを狙っているかもしれないってことを。その話を聞いて、ジムリーダーの中でもチャレンジを中止にすべきじゃないかって意見が出た」
かな子「でも私は、続行するべきだって考えたんだ。チャレンジを通して強くなったトレーナーが、いつかガラルを守るために立ち上がって、戦ってくれるって信じているから」
かな子「……もちろん、藍子ちゃんもね」
藍子「やっぱり……そうだったんですね」
867 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:47:28.55 ID:c80CQWaw0
かな子「藍子ちゃんは変わってくれた。私はもう心配していないよ。……だから」
かな子「今はただ、私を越えて、もっと強くなってみせて!」ポンッ
かな子のマホイップ「マホ!」
マホイップ ミルキィルビー ハートアメざいく
手から生みだすクリームは、マホイップが幸せなほど甘酸っぱく、コクが深まる
藍子「! かな子ちゃんもマホイップを……!」
かな子「いくよ、藍子ちゃん!」シュゥゥ
都「! これは……ダイマックスが来ます!」
868 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:48:01.38 ID:c80CQWaw0
グンッ
かな子「マホイップ、キョダイマックス!」
ブウンッ
カッ
ズドォォォォォン
かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ」
869 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:48:33.29 ID:c80CQWaw0
ワァァァァァ
都「キョダイマックス……昨日も見ましたがものすごい迫力ですね……!」
凛「そうだね。私はドリュウズがいたから何とかなったけど、藍子にはフェアリータイプに弱点を突ける技がない」
都「……ええ。藍子さんの真の実力が試される場面ですね」
藍子「……あれが、キョダイマックスしたマホイップ……」
藍子「……」
870 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:49:03.43 ID:c80CQWaw0
藍子「いや、このまま戦います! マホイップ、マジカルシャイン!」
マホイップ「マホ!」ピッカァ
かな子のマホイップ「!」
バシィ
かな子「いい攻撃だね……でも!」
かな子「マホイップ、キョダイダンエン!」
かな子のマホイップ「マァァーーホ!」
グワッ
871 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:49:36.48 ID:c80CQWaw0
かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ!!」
ギュン
藍子(!? あれは……クリームの弾丸!?)
ドドドドドドドドドド
藍子「っ……マホイップ!」
マホイップ「マホ……」グラッ
藍子「マホイップ、大丈夫!?」
藍子「これは……ただダメージを受けただけじゃない……!」
872 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:50:15.96 ID:c80CQWaw0
かな子「そう。いくら甘くて美味しい食べ物でも、食べすぎたら頭が痛くなっちゃうよね? 藍子ちゃんのマホイップは今そういう状態、かな」
かな子「キョダイダンエンは高カロリーのクリームで相手を行動不能にする技だよ。そして同時に……」
ズズズ……
藍子(飛び散ったクリームが……マホイップの所に還っていく……?)
シュゥゥゥ
パァァ
藍子(……!)
かな子「エネルギーを還元して、体力を回復させる技でもあるんだ♪」
873 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:50:49.99 ID:c80CQWaw0
藍子(そんな……能力を上げたマホイップの攻撃が通じなかった……!)
マホイップ「マホ……」フラフラ
藍子「……っ」
藍子「マホイップ、交代!」シュゥゥ
藍子(あの技に対抗するには、どうしたらいい……? 身体がクリームでできたマホイップすらも耐えられないなら……)
藍子(……でもダイマックスは温存したい。ならどうすれば――)
874 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:51:33.03 ID:c80CQWaw0
かな子「藍子ちゃん、また顔が硬くなってるよ?」
藍子「……はっ」
かな子「ふふっ。……藍子ちゃんにはもうわかるはずだよ。どうしたら、キョダイマックスしたマホイップともっと楽しいバトルができるのか」
藍子「……!」
藍子「そう……ですね」
藍子(そうだ……ここで出し惜しみしているようじゃ、この先には進めない)
藍子(私は……かな子ちゃんを倒すんだ!)
875 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:52:02.72 ID:c80CQWaw0
藍子「ゴリランダー!」ポンッ
ゴリランダー「ゴリ!」
藍子「ゴリランダー……力を貸して!」シュゥゥ
グンッ
藍子「ダイ……マックス!!」
カッ
ズドォォォォォン
876 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:52:37.16 ID:c80CQWaw0
藍子「……!?」
藍子「……ゴ、ゴリランダー……なの……!?」
ゴリランダー「ゴォォォォォォォォン!!」
ドワァァァァァァ
都「あ、あれは……凛さん、もしかしてあの姿は……!?」
凛「……!」
凛「まさか、キョダイマックス……!?」
877 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:53:03.74 ID:c80CQWaw0
かな子「……やっぱり」
藍子「……!」
藍子(お、大きい……大きすぎて、ここからじゃドラムしか見えないけど)
ゴリランダー「……」キッ
藍子(……)コクッ
藍子(技の名前はわからないけど……やるしかない)
藍子(ゴリランダーなら……きっと大丈夫!)
878 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:53:34.20 ID:c80CQWaw0
藍子「ゴリランダー!」
ゴリランダー「ゴォォォォォン!!」
ドンドコドンッ
ゴゴゴゴゴゴ
都「うわっ!? ス、スタジアムが揺れてますっ! じ、地震!?」
凛「……落ち着いて、都。これは……」
凛「ドラムアタックを繰り出したときの地響きによく似ている。ということは……」
グワッ
879 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:54:05.87 ID:c80CQWaw0
かな子のマホイップ「!?」
ズドォォォォン
藍子「……! 木の根が、マホイップを貫いた……」
藍子(これがゴリランダーの……キョダイマックス技……!)
かな子「……マホイップ!」
かな子のマホイップ「マホォォォォ」
グググ……
バチィッ!!
880 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:54:37.50 ID:c80CQWaw0
かな子「……なかなか効いたよ、今の技」
かな子「でもね、マホイップの身体は衝撃を受けるほど固くなっていくの! もう次は通用しないよ!」
かな子「反撃だよ、マホイップ! キョダイダンエン!」
かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ!!」
ギュン
881 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:55:04.27 ID:c80CQWaw0
藍子「ゴリランダー!」
ゴリランダー「ゴォォォォォン!!」
ドンドンドコドンッ
グワッ
藍子「攻撃を防いで!」
かな子「!!」
ズドォォォン
882 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:55:33.82 ID:c80CQWaw0
かな子「キョダイダンエンが防がれた……!」
かな子「木の根をダイウォールの要領で使われるなんて……」
ググッ
藍子「このまま攻撃するよ、ゴリランダー!」
藍子「これで……終わりです!!」
ゴリランダー「ゴォォォォォン!!」
ドンドコドンッ
883 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:56:03.83 ID:c80CQWaw0
かな子「……マホイップっ!」
かな子のマホイップ「マァァァァーーーホッ」
ズドンッ ズドンッ ズドンッ
かな子のマホイップ「マァホ……ッ」ズザァ
かな子「うっ……! 踏ん張って、マホイップ!」
かな子のマホイップ「……!!」
ズドンッ
884 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:56:46.25 ID:c80CQWaw0
藍子「……!!」
かな子のマホイップ「マァホォォォォォォ……!!」
ズドォォォォォン
ガクッ
かな子のマホイップ「マホ……」
ドローンロトム『マホイップ戦闘不能! マホイップ戦闘不能!』
ドローンロトム『勝者、チャレンジャー・藍子!!』
ワァァァァァァァ
885 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:57:18.50 ID:c80CQWaw0
藍子「……!」
藍子「やった……勝てた……勝てたよ、ゴリランダー!」
バシュゥッ
ゴリランダー「ゴリ」
かな子「……マホイップ、ゆっくり休んでね」
かな子「いい勝負だったよ、藍子ちゃん!」
886 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:57:55.47 ID:c80CQWaw0
藍子「かな子ちゃん……ありがとうございました」ペコリ
藍子「かな子ちゃんのおかげで……ジムチャレンジを続けようと思えました」
藍子「そして、かな子ちゃんに負けたからこそ……自分に足りなかったものを自覚することができました」
かな子「ううん、そんなに気にしないで。きっと藍子ちゃんなら、乗り越えてくれるって信じてたから♪」
藍子「そうだ……あの、さっき『やっぱり』って言ってたのは?」
かな子「ああ、あれはね……ゴリランダーのこと」
887 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:58:40.06 ID:c80CQWaw0
かな子「最初のバトルで、薄々気づいてたんだ。このゴリランダー、キョダイマックスの素質があるポケモンだって」
藍子「そ、そうなんですか? 私、全然そんなこと気づかなかったです……」
かな子「そうだったんだ。だから最初のバトルではダイマックス、使わなかったんだね」
かな子「私もあんまり詳しくないんだけど、特別な環境で育ったポケモンはキョダイマックスの素質を秘めているんだって。藍子ちゃんのゴリランダーも、もしかしたら特別なポケモンなのかも」
藍子「……私のポケモンが。そんなこと、考えたこともなかったな……」
かな子「ちなみにさっきの技はキョダイコランダ。ゴリランダーのキョダイマックス技だよ」
888 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:59:22.27 ID:c80CQWaw0
かな子「……藍子ちゃん。さっきのジムチャレンジを続行すべきか――って話の続きなんだけどね」
かな子「ジムチャレンジを中止すべきって意見を唱えていた人は、いつかチャレンジャーが変な情報を吹き込まれて、怪しい集団に取り込まれるしれないって危惧していた。でもね、私はこう思う」
かな子「バトルを楽しめたり、バトルを通して自分や相手の価値を高められるトレーナーなら、きっと悪い心には染まらないだろう……って」
藍子「……!」
かな子「……うん、藍子ちゃんなら大丈夫だよね♪ じゃあ……はい、これ!」
藍子はドルチェバッジを手に入れた!
藍子は技マシン「じゃれつく」を手に入れた!
889 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/04(金) 23:59:49.68 ID:c80CQWaw0
かな子「それと、これも」
藍子はしんせんクリームを手に入れた!
かな子「……藍子ちゃん。また必ず、バトルしようね!」
藍子「……はい! こちらこそ!」
グッ
890 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/05(土) 00:00:23.34 ID:dY7cDLqO0
凛「藍子、お疲れ様」
都「いいバトルでしたね! バッジゲット、おめでとうございます!」
藍子「二人ともありがとうございます! でもまさか、ゴリランダーがキョダイマックスするなんて……」
凛「私も驚いたよ。マホイップのように本体が大きくなった、というよりはドラムが大きくなったような感じだったけど」
都「ということは……藍子さんのマホイップもキョダイマックス、するんですかね!?」
藍子「うーん、それはどうなんでしょうか……」
藍子「かな子ちゃんは特別な環境で育ったポケモンがキョダイマックスできるって言っていたんです。特別な環境ってどういうことなのか……」
891 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/05(土) 00:00:56.13 ID:dY7cDLqO0
凛「特別な環境……」
凛「ということは、同じ種族のポケモンでも、キョダイマックスする個体としない個体がいるってこと、なのかな」
凛「うーん、キョダイマックス……まだまだ謎が多いね」
藍子「そうですね。……ところで、次はどの町に向かいましょうか?」
都「あ、そのことなんですけど」
892 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/05(土) 00:02:14.33 ID:dY7cDLqO0
都「実は先ほど、さくらさん――あ、私の助手を務めてくれているんですけど――から連絡がありまして」
都「さくらさんはキルクスタウンのジムリーダー、泉さんと親しいんですが、泉さんが事件の情報を提供してくれるみたいなんです」
都「それで、よければ都さんも来て話を聞かないか、と連絡を受けました」
都「泉さんは一番最初の暴走事件の時も現場にいました。もしかしたら重要な情報を知っているかも……」
893 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/05(土) 00:02:43.58 ID:dY7cDLqO0
凛「なるほど、キルクスタウンか。えっと……」
凛「いったんナックルシティに戻って、東へ進むんだね」
凛「それに今、ジムリーダーって言ったよね。じゃあ次に挑むジムもそこでいいんじゃないかな、藍子」
藍子「私も賛成です!」
都「わかりました! では今日はゆっくり休んで――明朝、キルクスタウンへ向けて出発しましょう!」
894 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/05(土) 00:09:37.54 ID:dY7cDLqO0
アラベスクタウン編 終幕
次回>>>キルクスタウン編
長かったアラベスクタウン編が終わりました。いやあ長かった…
そして遂にマホミルが進化しました。チート級のバフ技も獲得しました
さて、そろそろレスも残り少なくなってきたので、次回は本編の補足となる小話を挟んでキルクスタウン編は次のスレから始めることにします
まだバッジは5つ、先は果てしなく長いですがのんびり頑張っていきます
お疲れさまでした
895 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/05(土) 00:14:43.27 ID:RFTM9XRc0
乙 デコレーションで自己強化可能っていいな...まあゲーム以外だとできそうだよね
896 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 11:55:12.81 ID:NxmgMlPk0
乙
キョダイマックスゴリランダーキタ━(゚∀゚)━!手持ちになる前ダイキノコ食ったりしたんかね?
てか藍子にサルノリ譲った親戚って誰だろう?
897 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/06(日) 16:33:31.87 ID:YQy1shPyO
というかまさかの伝説以外の出禁が出来るとはな
どんだけ暴れたんだか…
898 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:02:56.33 ID:O+c1N9Zr0
投下します。今回は本編の補足回です
899 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:04:45.06 ID:O+c1N9Zr0
『小レポート@ -ドラメシヤの精神状態と現状についての考察および対策-』
藍子「そうだ、凛さん。少し相談したいことが……」
凛「ん、どうしたの?」
藍子「あの、ドラメシヤのことなんですけど」
藍子「実は先日、夜に森を散歩していたらトレーナーとバトルになって、私はドラメシヤをくり出したんですが……」
藍子「ドラメシヤはずっと怯えた様子で……私の指示も聞こえていなかったみたいで、何もできなかったんです」
凛「……」
藍子「……やっぱり、前のジム戦のこと、まだ引きずっているんでしょうか」
900 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:05:52.47 ID:O+c1N9Zr0
凛「……そうかもね」
凛「スタジアムでのバトルはただでさえプレッシャーが大きいから、もともと臆病なドラメシヤはさらに負担を感じただろうね」
凛「でも私と特訓している時は普通に動けていたよね?」
藍子「そうなんです。だから余計に驚いちゃって……」
藍子「凛さんや私のポケモン相手なら、きっといつも通りに振る舞えるんです。でもいざ実戦になると、そうもいかないみたいで」
藍子「こんな状態で他のトレーナーとバトルをさせるのは、やっぱり厳しいでしょうか」
901 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:06:57.20 ID:O+c1N9Zr0
凛「そうだね。……荒療治って手段もあるけど、やっぱり少しずつ慣れさせていくのが一番いいと思う」
凛「まあ、特訓を通じて少しずつ様子を見ていくしかないね。その分他の手持ちよりレベルアップは遅れるだろうけど」
藍子「……」
凛「藍子、不安なのはわかるよ。バトルに出せないポケモンを連れていくのって、私もすごくモヤモヤするだろうし」
凛「でもせっかく仲間になったポケモンだもん。簡単には手放したくないよね」
藍子「……はい」
藍子「私、信じてみます。この子が、いつかラテラルジムの時みたいに 、笑ってバトルできる日が来ることを」
902 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:08:28.53 ID:O+c1N9Zr0
藍子「それに、ドラメシヤがこうなったのは私の責任です。だからちゃんとドラメシヤと向き合っていかないといけないですよね!」
凛「……」
藍子「……あれ、凛さん? どうかしました?」
凛「……あ、いや。藍子、頼もしくなったなあ、って思っただけ」
藍子「へ、へっ!? ど、どういうことですか……!?」
凛「ふふっ。責任とか、ちゃんと向き合うとか、前の藍子は言わなかった台詞だなって思って」
903 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:10:11.66 ID:O+c1N9Zr0
藍子「ま、まあ……確かにそうかもしれないです。……そうでしょうか?」
凛「……たしかにトレーナーとしてそういう責任感は持つべきだと思う。でもね」
凛「今はそんなに深く考えなくてもいいんじゃないかな。ドラメシヤはいずれ戦えるようになるよ」
藍子「!」
藍子「……そうですね、私もそう信じています!」
※これ以降、ドラメシヤはトラウマを克服するまで対人戦には顔出ししません。
904 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:11:07.67 ID:O+c1N9Zr0
『小レポートA 或る計画』
ナックルシティ マクロコスモス本社
『ID認証をお願いします』
??「……」
【ID:196S#】
ピッ
ウィィン
905 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:11:48.76 ID:O+c1N9Zr0
??「……社長」
つかさ「お、その声は時子サンか」カタカタカタカタ
時子「……明日のスケジュールについて再確認しに来たわ。ちょっといいかしら――」
つかさ「……」カタカタカタカタ
時子「……」
つかさ「……」カタカタカタカタ
つかさ「あ、悪ィ。耳は傾けてるから、話してくれていいぜ」カタカタカタカタ
906 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:12:36.68 ID:O+c1N9Zr0
時子「……そう。じゃあ午前の会議での議題の件だけど――」
つかさ「……」カタカタカタカタ
時子「以上よ。なにか意見はある?」
つかさ「いいんじゃないか?」
時子「……」ハァ
時子「やけに適当な返事ね……いったい何の作業をしているの?」
つかさ「適当じゃないさ。で、今やってるのは作業というより調べもの、かな」
907 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:13:47.55 ID:O+c1N9Zr0
時子「……?」
クルッ
つかさ「時子サン」
時子「あん?」
つかさ「……この地方には、ガラル粒子のエネルギーが至るところに満ちている。そのエネルギーがあるからこそ、ダイマックスバトルという独自の文化も隆盛してきた」
時子「……」
つかさ「でもさ、考えたことはないか? ガラル粒子はポケモンを巨大化させたり、時に姿形を変化させたりするけど、でもあくまでも短時間の、限定的な力としてのみ働く」
つかさ「そんなエネルギーが何時、何処から湧き出てきたのか……」
908 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:16:06.11 ID:O+c1N9Zr0
時子「……うちの社長はいつから考古学者気取りになったのかしら」
時子「ま、でも、少し興味はあるかもね」
つかさ「だろ?」
つかさ「このガラル粒子の出所については、ガラルの地下にそうしたエネルギーが充満していて、少しずつこの大地に漏れてきているって説が有力だ。歴史ある文献にもそう書いてる」
つかさ「けれど、アタシはそれとは違う一つの仮説を立てた」
909 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:19:11.60 ID:O+c1N9Zr0
時子「仮説……?」
つかさ「もしガラル粒子が自然の産物ではなく、第三者から与えられたものだったとしたら?」
つかさ「……この場合の第三者はニンゲンとも言えるし、ポケモンとも言えるし、あるいは別の生命体とも取れる」
時子「……」
つかさ「ま、ニンゲンじゃないだろうな。こんな未知数のエネルギーが故意に生まれたとは考えにくい。何かの弾みって線もナシだ」
910 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:20:37.25 ID:O+c1N9Zr0
つかさ「別の生命体、というのも曖昧だし、裏付けなんて何もないから信用に値しない」
つかさ「じゃあポケモンはどうか。他のポケモンにも影響を与えるほどの莫大なエネルギーを持っているポケモンが存在するのか……」
時子「……それこそ裏付けはないんじゃない?」
つかさ「そうとも限らないぜ? 世界には大地や海を広げたポケモン、感情や時空を司るポケモン、世界を生み出したとされるポケモンまでいるんだから」
つかさ「……もしも、圧倒的な力をもつポケモンの力で、今のガラルが形成されているとしたら。そのポケモンが、今も生きているとしたら」
911 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:21:29.75 ID:O+c1N9Zr0
時子「……それを考えてどうするの? まさか手なずける気?」
つかさ「やろうと思えばできるはずだぜ。時子サンのいた会社で作られていた、アレがあるならな」
時子「……質問が悪かったわ。手なずけて、どうする気?」
つかさ「……へえ。それはまだ考えたことなかったな。よし、何か絞り出してみるか」
時子「……」ハァ
つかさ「おっと、世間話に付き合わせて悪かったな。明日も早いし、今日はもうゆっくり休んでくれ」
912 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:22:08.38 ID:O+c1N9Zr0
時子「……社長は?」
つかさ「アタシはもう少し起きてるよ」
時子「……そう」
ガラッ
つかさ「……」
つかさ「……さて」
rrrrr……
ガチャッ
913 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:23:02.92 ID:O+c1N9Zr0
つかさ「……突然すまないな。アタシはガラル地方に籍を置くマクロコスモスのつかさだ」
つかさ「……ああ。アンタがそこそこ権威のある考古学者だということはネットで調べさせてもらった」
つかさ「折り入って頼みがある。あるポケモンについて調べてほしいんだ。そのポケモンの生態的特徴、活動記録、潜在能力――どんな些細な情報でも構わない」
つかさ「ポケモンの名は――ムゲンダイナ」
914 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:24:57.15 ID:O+c1N9Zr0
『世界が変わった日』
ガチャッ
??「ふう……ただいま」
マーイーカ「マーイーカッ!」ピョンピョン
??「ああ、マーイーカ。ただいま。お腹は空いてるか?」
マーイーカ「マーイーカッ」
??「そうか。なら先にシャワーを浴びさせてもらうよ。夕食はそれからにしよう」
915 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:26:25.51 ID:O+c1N9Zr0
??(……私はこの小さな町に唯一ある図書館で司書として働いている)
??(女手一つで育った私に、母は理知的な人物になってほしいという望みを託した。それを図書館司書という形で叶えた私は、昨年からこの町に移り住み、新しい暮らしを始めた)
??(……正直、生活に余裕はないし、将来の見通しもない。それでも本に囲まれ、優しい町の人に囲まれる暮らしは、質素だが充実したものだった)
??(常に何かに追われていた感覚の中で生きてきた私にとって、この町が与えてくれる安らぎは他の何にも代え難かった。私はこの町が好きだ)
??(いや……今となっては、そんな言葉も遠い過去に置いてきてしまったか)
??(あの日を境に、私の心は壊れてしまった)
916 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:26:58.92 ID:O+c1N9Zr0
八百屋
??「どうも」ガラッ
オヤジ「おー、今日は仕事は休みなのかい?」
??「ああ。今日は第3木曜日だからな」
オヤジ「あらら、じゃあ今月ももう後半なんだ。早いなあ」
オヤジ「っとと、はいよ。今日はちょっとオマケ付きだよ」サッ
??「ありがとう。いつも悪いな」
917 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:27:32.77 ID:O+c1N9Zr0
オヤジ「いいって。アンタが毎日話し相手になってくれてるおかげで、うちの親父のボケが進むのも遅れてるんだぜ」
??「どうだか」フフッ
??「……ん?」
オヤジ「……? どうした――」
オヤジ「……どうにも焦げ臭いな」
??「外で何かあったのか……?」
ガラッ
??「!!」
918 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:28:21.89 ID:O+c1N9Zr0
ゴォォォォォォォォ
??「か、火事……だと!?」
ワァァァァァァ
キャァァァァァァ
??「おい、どうした! 何があったんだ!」
年配の女性「そ、そこの家から急に火が……! きっと家主が火の元の確認をしていなかったんだわ!」
年配の女性「あなたも早く逃げなさい! この辺は家が密集しているから、すぐに火が燃え広がっちゃうわ!」
919 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:29:05.38 ID:O+c1N9Zr0
町長「そ、そうじゃ! ――くんも早く逃げなさい!」
??「町長! 消防隊は!?」
町長「あいにくこの町には消防署がないのじゃ。隣町から来てもらわないと……」
??「隣町だって……!?」
??「そんなの遅すぎる! この町は森に囲まれているんだろう。このまま指を咥えて待っていたら山火事になるぞ!」
町長「じゃ、じゃが……」
920 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:29:41.71 ID:O+c1N9Zr0
??「くっ……」
??(なんとか……この町を守れないのか? 私を受け入れ、愛してくれたこの町が消えるのをただ見ているだけなんて……)
ポンッ
??「!」
ウパー「ウパー!」
町長「ウ、ウパーちゃん! こら、危ないからボールに入っていなさい!」
??「ウパー……」
921 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:30:43.50 ID:O+c1N9Zr0
??「……町長、このウパー、少し借りてもいいか?」
町長「なっ、何を言っておる!? ダメに決まっているじゃろがっ!!」
??「……ウパーはやる気みたいだが?」
町長「なっ……」
ウパー「ウパー! ウパー!」
??「……よし、ウパー! 少しでも火が燃え広がるのを抑えてくれ!」
??「みずでっぽう!」
922 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:31:20.13 ID:O+c1N9Zr0
ウパー「ウパー!」ボッ
ドバアッ
ジュゥゥ……
??「よし……いい調子だ、ウパー!」
ウパー「ウパッ!」
町長「……おおっ……」
町長「……い、いいぞウパーちゃんっ! ナイスファイトじゃっ! さすが私の自慢のウパーちゃんじゃな!」
923 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:32:37.53 ID:O+c1N9Zr0
??「皆は早く高台に避難してくれ! 私とウパーはなるべく火の勢いを抑えておく!」
町長「お、お前さん……なんて健気な若者なんじゃっ」
年配の女性「わかったわ! さ、早く避難しましょ!」
オヤジ「ほら行くぞ爺さん! ……ありがとよ!」
………………………………………………
ゴォォォォォォォォ
??(さすがにウパーだけでは厳しいが……)
??(先ほどより火が落ち着いてきている。効果はあったみたいだな)
924 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:33:13.35 ID:O+c1N9Zr0
??「さて、町の人は避難を終えたのかな」
ウワァァァァァン
??「! 女の子が……母親に引きずられている?」
女の子「嫌だぁぁぁぁ!! ママのいじわるぅぅぅ!!」
ママ「もう、ワガママ言わないで!! 仕方ないでしょう!!」
??「おい、どうしたんだ?」
ママ「あっ、――さん。実は……」
925 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:33:49.35 ID:O+c1N9Zr0
女の子「ブルーが……ブルーがまだお家の中にいるのぉ!!」
??「何っ……あの家の中にか!?」
ママ「は、はい。この子、ブルーとかくれんぼをしていたみたいなんですけど、火事に気づいた私が何とか連れ出して……でもブルーだけはどうしても見つからなかったんです」
ママ「きっとどこかに隠れていて、出られなくなったのかもしれません。私も助けてあげたいのですが……」
ゴォォォォォォォォ
??「……これはたしかに厳しいな」
女の子「うわぁぁぁぁん!!」
926 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:34:22.87 ID:O+c1N9Zr0
??「……」
??「わかった。私が助けに行こう」
女の子「えっ?」
ママ「ちょ、ちょっと、本気なんですか!? あの状態じゃ、ブルーはもう……!」
??「……母にこう教わったんだ。『我が身を顧みず人を助けよ。さすれば人も己も救われる』、と。……だから、もう泣くな」
??「ウパー。さすがにあの中は危険だ。すぐに戻るから、ここで大人しくしていてくれ」スッ
ウパー「ウパー」
??「……!」ダッ
ママ「ああっ……!」
927 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:34:50.37 ID:O+c1N9Zr0
ゴォォォォォォォォ
??「ぐっ……目の前がほとんど見えない……」
??「それに意識が朦朧としてきた……早くしないと」
??「……おい、ブルー! いるなら返事をしてくれ! ブルー!」
??「……」
??「……!」
ヒョコッ
928 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:35:17.01 ID:O+c1N9Zr0
ブルー「ブル……?」
??「ブルー……ここにいたんだな! 無事でよかった――」
ブルー「ブル――」
ガダンッ
??「!!」ハッ
??(しまった、上から瓦礫が……!)
??(……手遅れ、か――)
929 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:35:53.36 ID:O+c1N9Zr0
ブシャァァァァ
??「!?」
ドガンッ
ウパー「ウパーッ!」
??「ウパー!? 助けてくれたのか……!」
??「……いや、なぜ来たんだ! 危険だから待っていろと言ったはずだ!!」
ウパー「ウパー!!」
??「! お前……出会ったばかりの私に、どうしてそこまで……」
930 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:36:24.50 ID:O+c1N9Zr0
??「……いや、まずはこの家から脱出しないと――」
??「!!」
??(そんな……さっき辛うじて通ってきた道が塞がれている……)
ゴォォォォォォォォ
ゴォォォォォォォォ
??「……くそっ……」
ギュッ
??「ブルー、ウパー……せめてお前たちだけでも……」
931 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:36:50.97 ID:O+c1N9Zr0
ウパー「……」
ゴオッ
??「……!」
ウパー「ウパッ――」
ウパー「ウパーーーーーー!!!」
カッ
ズドォォォォン
932 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:37:36.16 ID:O+c1N9Zr0
若い男性「な、なんだ!? なんの爆発だ!?」
ママ「! あれは……!」
ガタッ
ズザァァァァ
??「ぐはっ……」
ブルー「ブル……」
女の子「!! ブルー!!」ダッ
ママ「そんな……本当に助けてくれるなんて……!」
女の子「ブルー! ブルー!!」
933 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:38:12.75 ID:O+c1N9Zr0
??「……うっ……」
ママ「あ、あなた、大丈夫!?」
??「あ、ああ……一体何が……?」
ママ「何がって、あなたとブルーがあの家から飛び出してきたのよ!」
??「あの家から……? いったいどうやって――」
??「……! そうだ、ウパーは!?」ガバッ
934 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:38:45.92 ID:O+c1N9Zr0
??「……!!」
ガラッ
ドガンッ ドガンッ
ゴォォォォォォォォッッ
??「……!! そんな……ウパー!!」
??「ウパァァーーッ!!」
935 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:39:20.65 ID:O+c1N9Zr0
町外れの病院
ガラッ
看護師「……こんにちは」
町長「看護師さん……ウパーちゃんは無事なんですか!?」
看護師「……はい、こちらに」
サッ
町長「……!!」
看護師「全身がひどく火傷していますが、命に別状はありません。意識も戻っています」
看護師「ですが――」
936 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:40:06.14 ID:O+c1N9Zr0
町長「ああ……よかった……ありがとう……ありがとう……!」
町長「ウパー……私だよ、わかるかい……?」
ウパー「……?」
町長「ウパーちゃ――」
ウパー「……ウパ……?」
ウパー「……ウパ……」
町長「……どうしたんだ、ウパーちゃん……疲れてるのかい?」
看護師「……」
937 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:41:19.31 ID:O+c1N9Zr0
看護師「町長さん。解離性健忘というのをご存知ですか」
町長「かいり……何だって?」
看護師「解離性健忘です。強いトラウマや心的外傷によって引き起こされる記憶障害です。自分にとって大事な記憶を忘れたり、記憶に空白期間が生まれることもあります」
看護師「……おそらく、そのウパーは、火事の恐怖とショックで記憶を失って……今は、自分がなぜベッドに横たわっているのかもわかっていないのでしょう」
看護師「そしておそらく……あなたのことも」
町長「……!」
町長「……そんな。そんなの……」
町長「あ……あんまりじゃないか……」ポロッ
町長「あ、ああ……私のかわいいウパーちゃんが……!!」
938 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:42:14.66 ID:O+c1N9Zr0
………………………………………………
??「……それじゃあ、ウパーは……」
町長「……まだあの病院じゃ。退院しても、記憶が戻ることはないだろう」
??「……そんな……」
町長「……」
町長「君は……あの親子のブルーがどうなったのかも知っているかね?」
??「いえ……」
町長「あの時……ブルーは見てしまったんじゃ。私のウパーちゃんが瓦礫に押し潰されてしまう所を」
町長「それ以来、ブルーも火事のショックが脳裏に焼き付いて、家族にさえ塞ぎ込んでしまうようになったらしい」
939 :
◆7P/ioTJZG.
[saga]:2020/09/11(金) 21:43:58.37 ID:O+c1N9Zr0
??「……!!」
町長「……お前のせいじゃ」
町長「私が……どれだけウパーちゃんを大切にしていたか、知ってただろう?」
町長「あの時お前がしゃしゃり出てこなければ、こんなことには……」
町長「全部……全部……お前のせいだ!! 私のウパーちゃんを……返してくれ!!」
??「……!!」
………………………………………………
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