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【モバマス】凛・藍子「1・2・3で飛び込め!」

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739 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:38:36.78 ID:iR3S4rVw0

凛「遅い。トレーナーが焦ってちゃ元も子もないよ、藍子」

藍子「す、すみません……」

藍子「防御しようかとも思ったんですけど、ギリギリで躱せるかな……とも思っちゃって、迷ってしまいました」

凛「……進化して図体が大きくなったから、バチンキーの時みたいに素早く攻撃を躱すのは厳しくなる局面もあるかもしれない。少なくとも今の攻撃は、回避はムリだっただろうね」

凛「たった一手のミスが勝敗を分けるかもしれない……だからこそトレーナーは常に冷静でいないとね」

藍子「は、はい」
740 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:39:28.90 ID:iR3S4rVw0

凛「でもさっきのドラムアタックはすごくよかった。地面から攻撃する技だから相手も読みにくいだろうし、使い勝手は抜群だと思うな」

凛「……どうする? そろそろ休憩する?」

藍子「いえ、まだやります!」

凛「そうは言っても……朝から一度も休んでないじゃない。本当に大丈夫なの?」

藍子「はい。私、まだまだ頑張れます!」

藍子「昨日、かな子ちゃんに会って、なんだかただ者じゃないオーラを感じたんです。こう、なんというか……うまく説明できないですけど」

藍子「このままじゃ勝てない気がしていて……だからもっと努力しないといけないなって、一晩中考えていたんです」
741 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:40:22.87 ID:iR3S4rVw0

藍子「だから……もう少しだけお願いします」

凛「……わかった。じゃあ続けようか」

都(……)

都(二人とも頑張ってるなあ……何だかすごくキラキラして見えます)

都(ジムチャレンジはすごく華のあるイベントだけど、その裏ではみんなこうして努力しているんだなあ……)

都(……ふふ、お二人の新しい一面が見れてよかったです! 早起きは三文の徳、ですね!)

都(……あれ? でもさっき、凛さんが「朝から一度も休んでない」って言ってたような……)

都(……)

都「も、もうお昼だぁ!?」
742 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:41:09.61 ID:iR3S4rVw0


アラベスクジム


凛「それじゃ藍子、頑張ってきてね」

藍子「はい! 行ってきます!」

都「今日は私も応援させてもらいます! 的確なアドバイスを届けられるように頑張りますよ!」

凛「まあ、チャレンジャーへの助言は禁止だけどね」

都「な、なんですって……!? 私の推理力を披露するチャンスが……」
743 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:41:49.63 ID:iR3S4rVw0

凛「……言葉は届けられないけど、きっと気持ちは伝えられるよ」

都「り、凛さん……! カッコいいです……!」

都「わかりました。私も全力でエールを送りますね! もし口を開きそうになったら……その時は止めてください」

凛「……善処するよ」

藍子「あ、あはは……それじゃ行ってきます!」

ガラッ
744 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:42:48.22 ID:iR3S4rVw0

志保「いらっしゃ……じゃなかった。こんにちは、チャレンジャー!」

志保「私はこのジムの案内役、志保です。よろしくお願いします!」

藍子「よ、よろしくお願いします」

藍子「あの、案内役って……? それにこの部屋、何もないですけど……」

志保「ふふ、驚いたでしょ? このジムのシステムはちょっと変わっていて……今から説明しますね♪」

志保「まず、チャレンジャー……藍子ちゃんには、左の扉の先に入ってもらいます。そこで今から挙げる3つのアイテムを集めてきてください」

志保「一つはブリーの実。もう一つは赤いミント。 最後にあまいミツです。制限時間は特にないので、頑張って見つけてきて下さい!」
745 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:43:33.90 ID:iR3S4rVw0

志保「3つ集めたらこの部屋に戻ってきてください。これで課題はクリアです!」

藍子「これで……? あの、バトルとかはしないんですか?」

志保「はい。このジムではジムトレーナーとのバトルはありません! 私もトレーナーではないので」

藍子(バトルがない……ガラルにそんなジムがあったなんて、意外だなあ)

志保「ちょっと変わってるジムだけど……以上がチャレンジの説明になります」

藍子「な、なるほど……!」

志保「ではさっそく、アイテム集めに向かってください! 頑張ってね♪」
746 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:44:24.41 ID:iR3S4rVw0

藍子「は、はい!」

藍子「あの扉の向こう……何があるんだろう」

ガラッ

藍子「!?」


藍子「ここは……ルミナスメイズの森!?」
747 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:45:03.30 ID:iR3S4rVw0

藍子「す、すごい……森をジムの仕掛けに使うなんて……!」

藍子「えっと、まず最初に……ブリーの実、ですね」

藍子「木の実がなってる木は……あった、あそこですね」

ザッザッ

藍子(相変わらず暗い……けど)

ポウッ

藍子(キノコを触れば、少しは明るく……)
748 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:45:47.73 ID:iR3S4rVw0

??「……」ノソノソ

ネマシュ「ネマーーーシュッ!!」

藍子「うわっ!?」

ネマシュ はっこうポケモン くさ・フェアリータイプ
薄暗く湿った場所を好むポケモン
夜になるとキノコのカサに詰まった胞子が発光する

ネマシュ「ネマシュ! ネマシュ!」

藍子「や、野生のポケモン……!」

藍子「そうか……ジムトレーナーとのバトルがないってこういうことだったんですね、志保さん!」
749 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:46:35.99 ID:iR3S4rVw0

……………………………


ユッサユッサ

ボトッ

藍子「よし……これがブリーの実ですね――」

ヒョイッ

藍子「えっ」

??「……」タッタッタッ

クルッ

ホシガリス「ホスィ?」

ホシガリス ほおばりポケモン ノーマルタイプ
ガラルのいたるところに生息する
常に左右のほっぺに木の実を蓄えていないと不安らしい

藍子「ああっ、ちょっと……木の実を返してください〜!」
750 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:47:30.86 ID:iR3S4rVw0

………………………………


藍子「あった……これがミントですね……!」

藍子「それにしても、こんな草むらの真ん中にあったなんて」

藍子「……あれ? 草むらの真ん中……?」

ザザッ

藍子「!」

バッ

ウツドン「ウツドーン!」

ウツドン ハエとりポケモン くさ・どくタイプ
葉っぱの部分はカッターになって相手を切り裂く
口からはなんでも溶かす液体を吐く

藍子「や、やっぱり!?」
751 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:48:14.57 ID:iR3S4rVw0

……………………………………


藍子「最後はあまいミツ……ですけど」

ドドン

ビークイン「ビーク」

ビークイン はちのすポケモン むし・ひこうタイプ
胴体が子供たちの巣穴になっている
ミツハニーの集めたミツで子供たちを育て、時には自在に操る

藍子「うう、やっぱり倒さないと……ですよね……」
752 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:50:33.22 ID:iR3S4rVw0

……………………………


ガラッ

志保「あら、お帰りなさい! それじゃさっそくアイテムを確認しますね」

志保「……うん、バッチリ! これでジムの課題はクリアですね♪」

藍子「は、はい! 想像以上に大変でした……」

志保「ふふっ。ここは森の中にあるジムだから、なかなかジムのスタッフが集まらなくて。だからこういう仕掛けになっているんです」

志保「……それは置いておいて、では藍子ちゃん。右の扉に入ったらその先にスタジアムがありますよ! 頑張って下さいね!」

志保「……そうそう。かな子ちゃんはフェアリータイプの使い手です。くれぐれもドラゴンポケモンは使わないようにね♪」
753 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:51:19.35 ID:iR3S4rVw0

ガラガラ

ウィーン

藍子(……)ザッザッザッザッ

かな子「こんにちは、チャレンジャーさん♪」

かな子「……あら、昨日町で会ったトレーナーさん! たしか……藍子ちゃん、だっけ?」

藍子「はい! 昨日はお菓子、ありがとうございました。すごく美味しかったです!」

かな子「うふふ、それはよかった♪ 美味しいお菓子を食べたときの、皆の幸せな笑顔が昔から大好きなんです」
754 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:52:21.92 ID:iR3S4rVw0

藍子「……そういえば、かな子さん」

かな子「そんなにかしこまらないでいいよ♪」

藍子「あっ、じゃあかな子ちゃん。私、昨日からずっと気になっていたことがあったんです」

藍子「昨日、喧嘩の仲裁をしてくれた時……もしかして、私たちが男の人と話していた内容、聞いていました?」

かな子「……」

かな子「うん。聞いていた、というよりは聞こえてきたって感じかな。それで気になって、家を訪ねてみたの」
755 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:53:29.16 ID:iR3S4rVw0

藍子「この状況でジムチャレンジを続けるのは場違いかもしれない……私はたしかにそう言いました。あれには色んな意味があったんですけど……」

藍子「でもかな子ちゃんは、そう思うならジムに来てみてほしいって言われましたよね」

かな子「うん、たしかにそう言ったよ」

かな子「もちろんその理由はちゃんと話すね。……今からのバトルの最中に」チャキッ

藍子「!」チャキッ

かな子「使用ポケモンは3匹。そのうちどちらか2匹が戦闘不能になれば終了です。3匹全てではないので、気をつけてくださいね」

かな子「みんな大好きなあ甘いお菓子のように、あなたも私と私のポケモン達の虜になってもらいますね♪」


ジムリーダーのかな子が勝負をしかけてきた!
756 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:54:05.95 ID:iR3S4rVw0

藍子 手持ちポケモン

ゴリランダー ♂(しんりょく) Lv35
むじゃきな性格 血の気が多い
ドラムアタック/アクロバット/たたきつける/いやなおと

マホミル ♀(スイートベール) Lv33
おだやかな性格 のんびりするのが好き
ドレインキッス/てんしのキッス/メロメロ/あまいかおり

サニーゴ ♀(はりきり) Lv33
わんぱくな性格 うたれづよい
アクアブレイク/げんしのちから/じたばた/こらえる

ドラメシヤ ♂(すりぬけ) Lv31
さみしがりな性格 すこしおちょうしもの
おどろかす/でんこうせっか/かみつく/みがわり
757 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:54:36.40 ID:iR3S4rVw0

かな子「まずはこの子で相手するね♪ ピクシー!」ポンッ

藍子「サニーゴ、お願い!」ポンッ

ピクシー「ピクシー♪」

サニーゴ「サニ!」

ピクシー ようせいポケモン フェアリータイプ
1キロ先で落ちた針の音も聞き分ける優れた耳を持つ
用心深いので滅多に人前に現われない
758 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:55:08.92 ID:iR3S4rVw0

ワーワー

都「おおっ、ここがスタジアムですか……初めて来ましたが、たくさんの人がいますね!」

凛「そうだね。……」

凛(それでも少し空席が目立つ感じはする。森の中のスタジアムだから、っていうのもあるんだろうけど……)

凛(やっぱり、ポケモン暴走事件が影響しているのかもしれない――)

凛(……って、今は考えなくていいか。とにかく藍子を応援しよう)
759 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:55:43.91 ID:iR3S4rVw0


一方その頃 そらとぶタクシー発着所


バサッバサッバサッ

男性「……ん? 誰か来たみたいだな」

男性「こんな辺鄙な場所にわざわざそらとぶタクシーで来るなんて……いったい誰だ?」

男性「よーこそ、アラベスクタウンへ――」

ガラッ

男性「……!?」

男性「アンタ……まさか!?」
760 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:56:39.42 ID:iR3S4rVw0

ワーワー

??「……」スタスタ

??「……」スッ

女性「……?」

ジーッ

女性「!? あなた……もしかして、チャンピ――」
761 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:57:25.02 ID:iR3S4rVw0

??(しーっ)

女性「……!?」モゴッ

??(……知っていても、今はしーっ、ですよ。目の前のバトルに集中していて下さい)
762 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:58:05.92 ID:iR3S4rVw0

藍子(相手はピクシー……どんな攻撃をしてくるんだろう)

藍子(まずは……攻める!)

藍子「サニーゴ、アクアブレイク!」

サニーゴ「サニ!」バシュゥ

ギュン

かな子「コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」コァァァ
763 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:58:36.73 ID:iR3S4rVw0

藍子「!」

ドンッ

サニーゴ「サニ……!」グググ

藍子「サ、サニーゴが止められている……!?」

バチィ

サニーゴ「サニ!」スタッ

ピクシー「ピクシー」
764 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 20:59:04.82 ID:iR3S4rVw0

都「コスモパワー……自分の守りを固める技ですか」

都「かな子さんは手堅く攻めてくるタイプのトレーナーなんでしょうかね?」

凛「……」

凛「なんか、変だ」

都「ん? 変とは?」
765 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:00:40.38 ID:iR3S4rVw0

凛「ピクシーはサニーゴよりも素早いはず……なのにサニーゴの方が先に行動した。相手はサニーゴが動くのを待っていたんだ」

都「ほほう。例えるなら、犯人を逮捕できる状況だったのにあえて逮捕しなかった……みたいなことでしょうか」

凛「……まあそう、なのかな」

都「なるほど。あえて泳がせた……つまり、かな子さんはまず藍子さんやサニーゴに関する情報を集めたいようですね」

藍子「……まだまだ! もう一度アクアブレイクです!」

サニーゴ「サニ!」

かな子「わあ、すごいパワー……でも」
766 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:01:12.33 ID:iR3S4rVw0

かな子「狙いが外れているよ!」

サニーゴ「サニ!?」スカッ

藍子「外れた……そうか、『はりきり』……!」

かな子「空回りしちゃったみたいだね。ピクシー、もう一度コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」コァァァ

都「ま、また能力を上げてきました!」

藍子「っ……どんどん防御力が増していく……」
767 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:02:04.36 ID:iR3S4rVw0

かな子「……なるほど。そのサニーゴ」

かな子「スピードが遅い分、相手の攻撃を受けてから反撃するっていうバトルスタイルなんだろうね」

藍子「!?」

かな子「まず相手の攻撃を受けて、それから攻撃する……そういうカウンターが得意なんだろうけど、だとしたら私のピクシーは苦手だろうな」

かな子「最初から攻撃するつもりのない相手には」
768 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:02:39.90 ID:iR3S4rVw0

藍子「っ……! 全部見透かされている……!?」

かな子「もちろんお見通しですよ♪ これだけコスモパワーで様子を見ているのに、ひたすらに攻撃してくるんだから」

かな子「……藍子ちゃんの戦い方、今のでだいたいわかりました。それじゃあ私はこうさせてもらうね!」

かな子「ピクシー、コスモパワー!」

ピクシー「ピクシー!」

藍子「ううっ……このままだと埒が明かない……!」

藍子(どうする……どうしたらいいの!?)
769 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:04:05.74 ID:iR3S4rVw0

凛(……まずいな。藍子はああいう戦法のトレーナーと戦うのは初めてだ)

凛(対策をしようにも、私のポケモンもアタッカーばかりだったし……ずっと特訓しているうちに、藍子にも攻めて攻めて攻めまくるってスタンスが根付きすぎちゃったのかもしれない)

凛(……もっと色んな戦法への対処法を教えていれば……)

藍子(……)

藍子「アクアブレイクがだめなら……サニーゴ、げんしのちから!」

サニーゴ「サニ」ゴゴゴゴ

サニーゴ「サニッ!」ビュン
770 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:04:47.63 ID:iR3S4rVw0

かな子「ピクシー、バトンタッチ!」

ピクシー「ピクシー!」シュゥゥ

スカッ

ドゴッ

藍子「な……」

凛「バトンタッチ……!?」

凛「……まさか、さっきのコスモパワーはただの様子見じゃなかった……!?」

かな子「……これで準備は整ったね」

かな子「藍子ちゃん、ここからが本番だよ!」
771 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/15(土) 21:07:28.88 ID:iR3S4rVw0
脳筋戦法がバレた藍子に積みバトン型ピクシーが容赦なく牙を剥く!
藍子、早くも絶体絶命…!?

今回の課題はまんまマオの試練ですね
そろそろアニポケにもSM勢来ないかなあ

読んでいただきありがとうございました
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 21:21:12.58 ID:ABB3bQHY0
乙 凛に影響受けなかったら藍子の性格だと受けルやトリパやってそうな気がするね...
てかこのSSだとかな子の戦い方が珍しく感じた
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/15(土) 23:17:02.61 ID:P3BP856hO
もしかしてこのピクシーそもそも攻撃技がないのか!!
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/16(日) 13:32:31.91 ID:6dSIte/g0

積みバトンは愛梨のフワライドがしてたな甘いもの好きは積んでくんのかね
775 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:05:37.40 ID:ziI4odqi0
投下します
776 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:06:43.77 ID:ziI4odqi0

凛(しまった……バトンタッチは能力変化を交代先のポケモンに受け継ぐ技……)

凛(コスモパワーを引き継がれたら、次に出てくるポケモンに生半可なダメージは通用しない……!)

かな子「いくよ、ペロリーム!」ポン

ペロリーム「ペロ!」

ペロリーム ホイップポケモン フェアリータイプ
人の1億倍以上の嗅覚を持つ
その能力を活かしてパティシエやカフェの手伝いをしたりもする

藍子「っ……苦しい状況ですけど……」

藍子「私は攻めます! サニーゴ!」
777 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:07:12.21 ID:ziI4odqi0

かな子「ペロリーム、マジカルシャイン!」

ペロリーム「ペロ!」ピカーッ

サニーゴ「!!」

ドゴオッ

藍子「!! サニーゴっ!」

サニーゴ「サニ……」

藍子「頑張って、サニーゴ! アクアブレイク!」

サニーゴ「サ……サニ!」
778 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:07:42.49 ID:ziI4odqi0

ドンッ

ペロリーム「……」ズザァ

ペロリーム「ペロッ」

藍子「……全然効いていない……」

藍子(ダメだ、このままじゃ何もできない……!)

藍子(どうする……どうする……!?)

藍子(とにかくこのまま無闇に攻撃しちゃダメだ。まずは……)
779 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:08:33.14 ID:ziI4odqi0

藍子「サニーゴ、戻って!」シュゥゥ

藍子「お願い、ゴリランダー!」ポン

ゴリランダー「ゴリ!」

かな子「ゴリランダー……いいポケモンを持ってるね♪」

かな子「さあ、どんなバトルをしてくるか見せて!」

藍子「ゴリランダー、いやなおと!」

ゴリランダー「ゴリ!」ォォォン
780 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:08:59.50 ID:ziI4odqi0

ペロリーム「ペロッ……」

藍子「よし、怯んだ……その隙に!」

藍子「ゴリランダー、ドラムアタック!」

ゴリランダー「ゴリ!!」ドンドコドンッ

グワッ

ペロリーム「!!」

ドドドドド
781 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:09:42.11 ID:ziI4odqi0

かな子「っ……」

藍子「これでどう――」

ボッ

藍子「!?」

藍子「根っこが……燃えてる!?」

かな子「かえんほうしゃ!」

ペロリーム「ペロ!」

ボォォォォ
782 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:10:31.72 ID:ziI4odqi0

ゴリランダー「ゴリ……!」

藍子「そんな……ほのお技があるなんて……」

かな子「ふふっ。どうやら上げた防御力を地道に下げていく戦法を取ったみたいだけど……」

かな子「このままだとゴリランダーが倒れるか、ペロリームが倒されるか……どっちが先になるかな?」

藍子「くっ……」

都「わわわ……藍子さん、大ピンチですね……!」

凛「……そうだね」
783 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:12:08.77 ID:ziI4odqi0

凛(かな子の言う通りだ。この調子じゃ、藍子はまともにダメージを与えられない……)

凛(それにペロリームを倒せたところで、このままじゃまたピクシーに同じ手を使われる)

藍子(だからいやなおとが使えるゴリランダーは温存したい。けどこのままじゃペロリームの攻撃に耐えられない……)

藍子(ゴリランダーが倒されてしまったら、もう成す術がない……でもゴリランダーがいないとペロリームは倒せない……)

藍子(……どうすればいいの……?)
784 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:12:49.04 ID:ziI4odqi0

ボッ

藍子「!!」

ゴリランダー「ゴリッ……」ズザァ

藍子「ゴリランダー!」

藍子「……もう体力も限界だ。これ以上は……」

藍子(……どうしよう……どうしよう……)

かな子「……」
785 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:13:20.72 ID:ziI4odqi0

かな子「藍子ちゃん」

藍子「は、はいっ」

かな子「ごめんね。私がジムに来てみてほしいって言った意味、教えるって言っていたけど」

かな子「やっぱり、今の藍子ちゃんには教えられないよ」

藍子「……!」
786 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:14:12.32 ID:ziI4odqi0

かな子「もう終わりにするね。かえんほうしゃ!」

ペロリーム「ペロ!」

ボォォォォ

ゴリランダー「ゴリッ……!!」

藍子「……」

ゴリランダー「ゴリ……」ドサッ

ドローンロトム『ゴリランダー戦闘不能! ゴリランダー戦闘不能!』

都「ああっ、ゴリランダーが……!」

凛「藍子……」
787 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:14:55.07 ID:ziI4odqi0

『おいおいどうした、戦意喪失か?』

『まあ仕方ないですよ。あの戦法は知識がなきゃ攻略するのは難しいし』

『かな子ちゃんも意地悪だなあ』

??「……」

藍子「……戻って、ゴリランダー」

藍子「っ……」キッ

藍子「まだ……まだ諦めません! サニーゴ!」ポン

サニーゴ「サニ!」
788 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:15:35.70 ID:ziI4odqi0

藍子「アクアブレ――」

かな子「エナジーボール!」

ペロリーム「ペロ!」ボッ

サニーゴ「……!」

ドゴオッ

藍子「えっ……」

サニーゴ「サニ……」ドサッ
789 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:16:47.24 ID:ziI4odqi0

ドローンロトム『サニーゴ戦闘不能! サニーゴ戦闘不能!』

ドローンロトム『勝者、ジムリーダー・かな子!』

ワァァァァァ

??「……」スッ

スタスタ

都「ああっ……そんなっ……」

凛「……!」
790 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:17:49.41 ID:ziI4odqi0

藍子「……」

藍子「……負けた……」

かな子「ペロリーム、お疲れ様」

かな子「ねえ、藍子ちゃん。今のままじゃ私には勝てないよ。だって」

かな子「藍子ちゃんは大事なことを忘れているから」

藍子「大事な……こと……?」

かな子「ごめんね、勝手に期待させちゃって。でもどうしても教えるわけにはいかないんだ。今の藍子ちゃんには、きっと教えても意味がないから」
791 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:18:32.31 ID:ziI4odqi0

藍子「……!」

かな子「もう一度考えてみて。藍子ちゃんがどうしてポケモンと一緒に過ごしているのかを。なんだか今の藍子ちゃん、らしくないよ」

藍子「……らしくないなんて、昨日会ったばかりのかな子ちゃんに何がわかるんですか?」

かな子「……うん、そっか。そうだよね」

藍子「そうだよねって……」

かな子「うん、この話はもう終わり。またいつでもチャレンジしに来て下さいね♪」
792 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:19:09.68 ID:ziI4odqi0



藍子「……」スタスタ

都「あ、あの、藍子さん……」

藍子「あ…都ちゃん。凛さん」

都「あの、あまり落ち込まないで下さいね……? その、やっぱり時には負けることもあるでしょうし……」

都「次にリベンジできたらいいんですよ! ね、凛さん!」
793 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:19:42.15 ID:ziI4odqi0

凛「……うん。そう、だね」

藍子「……凛さん」

凛「……」

都「あ、次は凛さんのチャレンジでしたね! 時間、大丈夫ですか!?」

凛「あ……そうだったね」

凛「じゃあ、行ってくるよ」

都「はい! 私も引き続き藍子さんと一緒に応援しますね!」

藍子「……」
794 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:20:12.15 ID:ziI4odqi0

藍子(その後、凛さんはすぐにスタジアムまでたどり着いて……)

藍子(気づいたら、かな子さんに勝っていました)

藍子(スタジアムは大盛り上がりで、都ちゃんもずっとテンションが高かったけど)

藍子(私は凛さんのバトルを、何も覚えていませんでした)
795 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:20:53.81 ID:ziI4odqi0

かな子「――――」

凛「――――」

藍子(いつも凛さんがバトルしている時は瞬きもせずにその様子を見守っていたんですけど……)

藍子(かな子ちゃんに言われた言葉が頭から離れなくて、バトルの内容はいっさい頭に入りませんでした)

藍子(……凛さんのチャレンジ中、私はずっと考えていました)

藍子(凛さん、なんだか元気がなかった。それってもしかして、私のバトルを見て失望したからなのかもしれない、と。期待に応えられなかったのかもしれない、と)


藍子(私が、もっとしっかりしていれば……)
796 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:21:42.70 ID:ziI4odqi0

ペロリーム「ペロ……」バタンキュー

ワァァァァァァ

凛(かな子には勝った。難なく勝つことができた)

凛(……だけど、素直に勝利を喜ぶことはできなかった)

凛(チャレンジの間もずっと、藍子のことが頭から離れなかった)
797 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:22:18.28 ID:ziI4odqi0

凛(そもそも藍子は夏美さんとのバトル以来、負けを経験していなかった。失敗や敗北を知らないんだ)

凛(私は彼女を、知らない間に甘やかしていたのかもしれない。もっと厳しく接すればよかったのだろうか。いや、でもそうしたら――)

凛(そんな考えを巡らせるうちに、こう思い始めてしまった。こんな私が藍子のコーチになってよかったのだろうか。私はいったい、何をしてあげられたのだろうか)


凛(私が、もっとしっかりしていれば……)
798 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:23:00.15 ID:ziI4odqi0


その夜

都「すぴー……すぴー……」zzz

凛「……」スヤァ

藍子「……」

藍子(結局、あれから凛さんとは一言も交わさなかったな……)

藍子(なんで話せかったのか……理由はだいたいわかる)

藍子(言ってしまったら、今の関係が壊れてしまうかもしれない。今まで保たれていた関係が……崩れてしまうのが怖いから)
799 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:23:27.80 ID:ziI4odqi0

都「すぴー……すぴー……」スヤァ

藍子(……本当に都ちゃんがいてくれてよかった。都ちゃんがいなかったら、もっと気まずくなっていたかも)

藍子(……)

藍子(……やっぱり眠れないな)

ムクッ
800 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/21(金) 23:27:30.25 ID:ziI4odqi0
たった一つの敗北。それを引きずるあまり、二人はすれ違ってしまう
眠れなくなった藍子は一人、夜の森へ消えていくのだった

サニーゴがエナボ一発で沈んだのは急所に当たったから
あとかな子のペロリームのモデルはショータのペロリームです
サトシVSショータ戦はどれも名勝負なので全人類見るべき

pixivにもまとめ&加筆版を挙げました、こちらもよろしくお願いします

ワイルドエリア〜ナックルシティ編
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549448

ラテラルタウン編
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549847

ここまでありがとうございました
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/21(金) 23:33:40.30 ID:9H+Vkbv90
乙 URL張るときは「https://」の「s」抜いた方がいいよ

ワイルドエリア〜ナックルシティ編
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549448

ラテラルタウン編
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13549847
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 12:53:03.82 ID:TFZM+ZRC0

凛の敗北って
・シンデレラ団の初戦(幹部&ボス)
・真奈美さん(稽古)
・楓さん(ガラルチャンピオン?)
と全部野良試合てかイベント戦みたいなので負けてるが実は公式戦では負けたことってないんだよな...
803 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:17:46.75 ID:aBbC9o4U0
>>801 わざわざありがとうごぜーます
>>802 しぶりんは初バトルの頃からセンス全開でしたからね〜

投下します
804 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:18:23.03 ID:aBbC9o4U0


ルミナスメイズの森


藍子(なんとなく森の入り口まで歩いてきちゃったけど……)

藍子(……うう、暗いなあ。でもキノコを頼りに進めば迷うことはない……はず)

ザッザッ

ボクレー「ボクー」フヨフヨ

バケッチャ「バケ?」ヒョコッ

藍子「……あ、あそこにキノコがある」

藍子「ちょっと座ってみよう」ポスッ
805 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:18:54.79 ID:aBbC9o4U0

藍子「……」

藍子「この森……好きだなあ。キノコの光が幻想的で落ち着くし、なんだかずっとここにいたくなっちゃう」

藍子「それにあの浮かんでいる光って……昼間に戦ったネマシュだよね」

ネマシュ「ネマ?」フヨフヨ

藍子「……キレイ……」

藍子「……そうだ」

パシャリ
806 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:19:41.91 ID:aBbC9o4U0

藍子「……そういえば写真を撮ったのも久しぶりな気がするなあ」

藍子「ふふっ。明日、都ちゃんや凛さんに見せてあげよっ」

藍子「……」

藍子「凛さん……そういえばもともとガラルにはポケモンの調査をしに来ていたんだっけ」

藍子「それなのに私の目的にばかり付き合わせて……ジムバトルも負けちゃって。私、本当は凛さんに迷惑ばかりかけているんじゃないかな」

藍子「……私は……」
807 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:20:19.29 ID:aBbC9o4U0

藍子「……ん?」クンクン

藍子「いい匂い。これは……カレー?」

藍子「……誰かがキャンプしてる?」

ザッザッ

パチパチパチ……

藍子(焚き火の音も聞こえてきた。キャンプはすぐそこだ……)

ザッザッザッザッ
808 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:21:04.65 ID:aBbC9o4U0

藍子「……あっ」

??「……んんっ?」

??「もしかして、トレーナー……?」

藍子「は、はい、そうです」

??「しかも女の子……? 女の子がこんな夜遅くに一人で出歩いてて大丈夫か? 危なくね?」

心「あ、はぁとも女の子だったわ。てへっ☆」

藍子「……? はぁと……?」
809 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:21:58.01 ID:aBbC9o4U0

心「そーだよ、はぁとはシュガシュガはぁとだぞ☆ 以後お見知り置きを☆」

心「おいそこ、心って表記やめろ☆ シュガシュガはぁとだっつってんだろ☆」

藍子「……?」

はぁと「あ、ごめんごめんこっちの話。で、こんな夜更けにどうしたのー?」

藍子「い、いえ……森を歩いていたら、カレーの匂いがしてきて、その匂いをたどっていたらここに着いたんです」
810 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:22:42.53 ID:aBbC9o4U0

はぁと「へー。まぁ今日は色々あってご飯遅くなっちゃったからなー」

はぁと「って匂いにつられてきたって……たまにそういうポケモンもいるけどさー。もしかしてお腹ペコペコ?」

藍子「い、いや――」

はぁと「なら一緒にカレー食べよ☆ ちょうど作りすぎたと思ってたんだよねー。ほらほら、遠慮せず味わえって☆」

藍子「あ、は、はい……」
811 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:23:29.87 ID:aBbC9o4U0

……………………………………


はぁと「ぷはー、満腹だわー。あー、ビール飲みてー」

はぁと「ってビール切らしてたんだった……まぁいっか、オレンジジュースで乾杯しようぜ☆」

藍子「は、はい」

カキーン

藍子「あの、ごちそうさまでした。すごくおいしかったです」

はぁと「んー? いいっていいってー! むしろ食べるの強制した側だし☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」
812 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:24:48.75 ID:aBbC9o4U0

藍子「そのピカチュウ、かわいいですね。リボンとスカートを着てるなんて」

はぁと「お、わかるー? はぁとのセンスが爆発してるっしょ☆ もっと褒めて褒めて☆」

はぁと「そーいえば藍子ちゃんだっけ、こんな時間まで一人で何してたの?」

藍子「いえ、今はアラベスクタウンで泊まっていたんですけど……眠れなくて 、森を散歩していたんです」

はぁと「あ、そうなんだー。てかそこに住んでるの? それともジムチャレンジ?」

藍子「ジムチャレンジです。今日もジムに挑んだんですけど、負けちゃって……」

はぁと「お、はぁとと同類じゃん☆ じゃあそこそこ強いトレーナーなんだ! うっし、じゃあ勝負しようぜ☆」ザッ
813 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:25:45.38 ID:aBbC9o4U0

藍子「え、ええっ?」

はぁと「ちょうど食後の運動したいと思ってたんだよねー。ねー、ピカチュウ☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」

藍子「い、いいですけど……」

はぁと「よっしゃ☆ じゃあ行ってこいピカチュウ! ぶちのめしてこーい☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」ダッ

藍子「えっと……」
814 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:26:18.61 ID:aBbC9o4U0

藍子「じゃあ……ドラメシヤ、お願い!」ポンッ

ドラメシヤ「ドラッ――」

ドラメシヤ「……!!」ビクッ

はぁと「ピカチュウ、エレキボールッ☆」

ピカチュウ「ピィッカ☆」ギュン

藍子「躱して!」

ドラメシヤ「ドラ……」


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』
815 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:26:51.88 ID:aBbC9o4U0

ドラメシヤ「!!」

ドンッ

藍子「!!」

ドラメシヤ「ドラッ……」

はぁと「よっし命中ー☆ ピカチュウやるぅー☆」

藍子「ドラメシヤ、相手の動きをよく見て!」

ドラメシヤ「ド……ドラ……」
816 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:27:20.32 ID:aBbC9o4U0

はぁと「可愛さ見せつけたれー! ドレインキッス!」

ピカチュウ「ピッカァ!」バッ

藍子(ピ、ピカチュウなのにドレインキッス……!?)

藍子「ドラメシヤ!」

ドラメシヤ「ドラ……!」

はぁと「……」

はぁと「ちょい待ったピカチュウ! ストーーップ!!」
817 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:28:05.25 ID:aBbC9o4U0

ピカチュウ「ピカ?」キキーッ

藍子「……えっ?」

はぁと「いや待て待て。何があったそのドラメシヤ? めちゃくちゃ怯えてますけど?」

ドラメシヤ「ドラ……」ブルブル

藍子「……!」

藍子(まさか……ドラメシヤ、前のジムバトルがトラウマになっていて……!?)
818 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:28:33.99 ID:aBbC9o4U0

はぁと「どうやって育てたらそんなことになる? あれか? もしかして藍子ちゃんの教育方針スパルタか?」

はぁと「……はあ。これじゃ勝負になんねーわ。中止中止っ」

藍子「……」

藍子(……私、ドラメシヤに何てことを……)

はぁと「……藍子ちゃん、これどういうこと――」

はぁと「……!」
819 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:29:18.72 ID:aBbC9o4U0

藍子「……うっ」

藍子「うっ……ううっ……!」

はぁと「あ……ごめん。泣かせるつもりじゃなかった。いやほんとごめん……」

はぁと「……藍子ちゃん、もしかしてはぁとの想像以上に壮絶な人生歩んできてるカンジ?」

藍子「……」グスン

はぁと「……ツライなら話さなくていいけど。はぁとおねーさんでよかったら話、聞いてやるぞ」

藍子「……はい……」
820 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:30:30.37 ID:aBbC9o4U0

……………………………………………………

藍子「私、内気な自分を変えたくて……今回のジムチャレンジに参加することにしたんです。でも最初は何となく自信がなくて……」

藍子「そんな時に、凛さんというトレーナーと出会ったんです。凛さん、すごくバトルが強くて。カッコいいなって思った私は、凛さんにコーチをしてほしいってお願いしたんです」

はぁと「ふんふん」

藍子「凛さんはもともとガラル地方のトレーナーではなくて、別の地方からポケモンの調査をしに来ていたんです。それでも私のお願いを受けてくれて、一緒に旅をすることになりました」

藍子「……凛さんはすごいトレーナーですし、私なんかのコーチをしてくれてることは奇跡みたいなことで。だから私、なんとか凛さんに見損なわれないように、今まで必死でジムチャレンジをクリアしてきました」

はぁと「ふんふん」
821 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:31:30.83 ID:aBbC9o4U0

藍子「……でも、今回のジムチャレンジは負けちゃったんです。それも手も足も出せずに」

藍子「負けて帰ってきた私を見て、凛さんはすごく落ち込んでいました。それで私……」

はぁと「ガッカリさせちゃったって思ったんだね」

藍子「……はい」

藍子「それで凛さんとは気まずくなってしまって、もう夕方からずっと話せていないんです。私に失望したかって聞くのも怖くて……」

藍子「……こんなことで悩んでいる自分も嫌いなんです。ポケモンを持って旅に出たら、もっと自分を変えられると思っていました」

藍子「でも結局、怖くて閉じこもって逃げてばかり……これじゃ昔の私と同じですよね」
822 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:32:26.95 ID:aBbC9o4U0

藍子「……ドラメシヤは、前のジム戦で色々あって……もしかしたら、トラウマを作っちゃったのかもしれません」

藍子「……いちばん近くにいる人とも向き合えない。手持ちのポケモンのケアもできない……。私、本当にダメダメですよね」

はぁと「……」

はぁと「はい、じゃあはぁとからしつもーん☆ どうしてポケモンを持って旅に出たら変われると思ったんですかー?」

藍子「……」

藍子「……どうして。考えたこともなかったです」
823 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:33:46.20 ID:aBbC9o4U0

藍子「ただぼんやりと、私もいつかポケモンと一緒に旅をすることになる、とは思っていたんですけど……」

藍子「……言われてみればそうですね。どうして変われると思ったんだろう……」

はぁと「まーでもさ、旅に出るのを決めた頃の藍子ちゃんは変われると思ってたわけでしょ?」

はぁと「じゃあ何かしら結びつけるものがあったんだよきっと。ポケモンを持つことと変われること――その二つを繋ぐ何かが。知らんけど☆」

藍子「……」

はぁと「……ま、それを今から考えようよ。そこが曖昧だとさ、そりゃ旅する目的も見失っちゃうよ」
824 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:34:23.43 ID:aBbC9o4U0

藍子「……はぁとさんは、どうしてピカチュウと一緒に旅をしているんですか?」

はぁと「はぁと? はぁとはね……楽しいから、かな!」

藍子「……!」

はぁと「バトルも楽しい。キャンプもカレーも楽しい。ピカチュウと一緒にオシャレするのも楽しい。そう、はぁとの人生は楽しいことだらけ!」

はぁと「どうだ、聞いてるだけで楽しそうだろ☆ まぁカレシとかいないけどな☆ ずっと独り身だわこのヤロウ☆」

藍子「……」
825 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:35:16.45 ID:aBbC9o4U0

はぁと「……でも、ピカチュウがいてくれたら辛いことなんかどっか行っちゃうの。負ける悔しさとか、野宿のツラさとか、旅してたら色々あるけどさ……それ以上に楽しいんだよね」

はぁと「……うん、それに尽きるわ。はぁとの人生はピカチュウのおかげでバラ色なの☆」

ピカチュウ「ピッカァ☆」

はぁと「藍子ちゃんにも、そんな瞬間はあったんじゃない? あ、今めちゃくちゃ楽しいわ☆ 人生バラ色☆ みたいな☆」

藍子「……」

藍子「わからないです。あったかもしれないですけど……今はちょっと思い出せない……」
826 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:35:59.81 ID:aBbC9o4U0

藍子「……はぁとさん。どうやったら、ポケモンと過ごす時間が楽しくなりますか?」

はぁと「え、それ聞いちゃう? んー、そうだなぁ……」

はぁと「……知らねーよ☆」

藍子「……!」

はぁと「まあでも、どうやったら、とか考えてるうちは楽しくないだろーな。だって楽しいって理屈じゃないんだもん。わかる? わかれ☆」

藍子「……」
827 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:36:49.12 ID:aBbC9o4U0

はぁと「うん、とりあえず笑顔な、藍子ちゃん。さっきからずっとしかめっ面じゃんか。笑顔は女の武器だぞ☆ なんてなっ☆」

はぁと「というわけで……今夜は寝かさないぞっ☆」

藍子「……えっ? それってどういう――」

はぁと「よーし! はぁと、藍子ちゃんを笑顔にするまで徹夜するぞー! マジだからなー☆」
828 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:37:16.44 ID:aBbC9o4U0



翌朝

凛「……うーん……」

ムクッ

凛「……もう朝か」

都「すぴー……すぴー……」zzz

凛「都は……まだ熟睡してるみたいだね」

凛「そうだ、そろそろ藍子と朝練の時間だな」

凛「……」
829 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:37:46.35 ID:aBbC9o4U0

凛「藍子は……私をどう思っているのかな」

凛「昨日、何も言えなかった私に……失望してるのかな」

凛「……ん?」チラッ

凛「藍子、もう起きてるんだ……」

ガチャッ

凛「ロビーにいなかったってことは、もう外で待ってるのかな……」

ザッザッ
830 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:38:27.13 ID:aBbC9o4U0

藍子「……」

凛「……藍子、おはよう」

藍子「あ……おはようございます、凛さん」

凛「……」

藍子「……」

凛「……あの」

藍子「凛さんっ」

凛・藍子「あっ……」
831 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:38:55.34 ID:aBbC9o4U0

凛「……」

藍子「……」

凛「……藍子。昨日は本当にごめん」ペコッ

藍子「……!」

藍子「……どうして、凛さんが謝るんですか?」

凛「昨日、藍子が負けたのは藍子が弱かったからじゃない。私がもっとしっかりコーチの役割を果たしていれば……」
832 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:39:47.02 ID:aBbC9o4U0

凛「……それだけじゃない。今までコーチとして付き添ってきた時間が、藍子にとって正しかったのかどうか……ずっと引きずっていたんだ」

藍子「……」

凛「私は藍子のコーチにふさわしくなかったんじゃないか……って考えたりもした。だからあの時、何も言葉をかけてあげられなかった」

凛「……藍子、きっとガッカリしただろうね。情けないコーチで、ごめんね」

藍子「ガッカリしたなんて、そんなっ……」

藍子「……」グッ
833 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:41:22.48 ID:aBbC9o4U0

藍子「……凛さんは悪くないです。悪いのは……ひどい負け方をした私なんです」

凛「……!」

藍子「私も、昨日は凛さんをガッカリさせてしまったと思いました。ひょっとしたら、凛さんに愛想を尽かされてしまうんじゃないか――そう思って、昨日はよく眠れませんでした」

藍子「……それに、私は凛さんにとってお荷物なんじゃないか、とも思いはじめました」

藍子「もともとはポケモンの調査に来られたのに、勝手にコーチにして……凛さんの足を引っ張っているんじゃないかって」
834 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:41:51.49 ID:aBbC9o4U0

凛「……」

藍子「私なんか、凛さんの弟子としてふさわしくないんじゃないか……。そう考えたら、凛さんにどう接すればいいかわからなくなって…… 」

藍子「……こんなに情けないトレーナーで、ごめんなさい!」ペコッ

凛「……」

凛「……そっか。そうだったんだね」
835 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:43:09.65 ID:aBbC9o4U0

藍子「……!」

凛「……でもさ。お荷物なんて、弟子としてふさわしくないなんて……一回負けたぐらいでそんなこと思うわけないじゃんっ……!」ポロッ

藍子「り、凛さん……」

グスッ

藍子「わ、私だって……凛さんのこと、悪く言うわけないじゃないですかっ……! だって、だって、ここまで来れたのは、凛さんのおかげなのに……!」

藍子「うわあああんっっ」ガバッ

凛(……そうか。私たち、ずっとすれ違っていたんだな)

藍子(凛さんは私を、私は凛さんを想いすぎて……)
836 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:43:51.02 ID:aBbC9o4U0

凛・藍子(……私ったら、何を心配してたんだろ。馬鹿みたい)


はぁと「……」

はぁと「……友情って、いいなー。マリナルも、向こうで元気してっかな……」

はぁと(あ、やべ……泣いたらメイク落ちちゃう)

グッ

はぁと「藍子ちゃん……次はちゃんとスウィーティーなバトルしような☆ はぁとは相手が女の子だろうが容赦しねぇぞ☆」
837 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2020/08/28(金) 23:49:41.78 ID:aBbC9o4U0
お互いの気持ちを再確認し合い、蟠りを解消した藍子
心機一転、次回はかな子へリベンジだ

シュガシュガはぁと初登場。今後もどこかで出てきます
連れているのはORASで登場したおきがえピカチュウの一種、アイドルピカチュウです
あとマリナルはアローラでマンタインサーフ頑張ってるみたいですね

ドラメシヤのトラウマ疑惑はそのうちちゃんと補足します

今回は以上です。次回いよいよかな子リベンジ!
その前に大事な安価もあります
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 23:51:17.12 ID:YPoupqqk0
乙 アイドルピカチュウか懐かしいそして流石心さん勝手にクララ枠と思っててすいませんでした
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