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少女「お兄、すき」男「そうか」その2
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1 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:03:23.45 ID:CrbqfshB0
SS7作目です。
少女「お兄、すき」男「そうか」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1567934619/
の続編となります。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1583942603
2 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:09:09.14 ID:CrbqfshB0
ーーー町外れの森ーーー
ザッザッザッ
ザッザッザッ...
「………」
簡素な墓『薬屋姉妹 此処に眠る』
「……」
「………キヒッ」
3 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:11:01.54 ID:CrbqfshB0
ーーーーーーー
……………
少女『お兄』
…あぁ、少女か。どうした?遊んで欲しいのか?
少女『……バイバイ』
少女?おい、どこへ…
薬屋『男』
……なんだ。何故そんな顔で見るんだ
薬屋『お前が悪いんだよ』
……………
薬屋『少女が死んだのも』
薬屋『私を殺したのも』
薬屋『全部お前のせいだ』
また、か
薬屋『そうだ。お前のせいで、"また"死んだんだ』
言うな……分かってる……
薬屋『お前は結局何一つ守ることが出来ない』
薬屋『──なぁ、何のために生きているんだ?』
──やめてくれ…!
4 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:11:53.69 ID:CrbqfshB0
ーーーーーーー
「──男!」
男(っ!)
男「…女盗賊か」
女盗賊「随分うなされてたみたいだね」
男「気にするな、いつものことだ」
女盗賊「いつものこと、ね」
男「何の用だ?お前の部屋は隣だろう」
女盗賊「あぁ、今すぐここからズラかれるかい?この宿に目を付けられたらしい」
男「む…」
(階下の声)
「──この顔の人物が来なかったか」
宿屋「いや困りますよあなた方。そういうのはお客さんの個人情報でございましてね」
「答えろ。我々は役所の人間だ。この男は国家反逆罪で令状が出ている。従わない場合お前も同罪だ」
宿屋「……確かに、よく似た方ならご案内した気がしますが…」
「どの部屋だ!」
男「これではせっかく考えた偽名も意味がないな」
女盗賊「そんなん言ってる場合?」
男「」バッ
男「すぐにでも発てる」
女盗賊「ウチの部屋の窓が死角になってる。行こう」
5 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:13:08.31 ID:CrbqfshB0
ーーー郊外ーーー
サッサッサッ
女盗賊「あーぁ。ったく、夜もおちおち寝れやしないなんて勘弁して欲しいんもんよ。肌に悪い」サッ、サッ
男「肌が荒れたところで気にする玉か?」タッタッ
女盗賊「失礼ね。これでも女の子よっ」
女盗賊「あんたこそ、あれからまともに寝られてないように見えるけど?」
男「…それは昔からだ」
女盗賊「ほー。それで睡眠剤を?」
女盗賊「差し詰め、以前は奥さんと娘さんが頭から離れなかったけど今はそれが薬屋ちゃんと少女になった」
女盗賊「違う?」
男「……放っとけ」
女盗賊「はぁー!ウチはいつまで辛気臭い奴と逃走劇を続けなきゃなんないのかねぇ」
男「なら別行動といくか。面倒がないぞ」
女盗賊「そういうことじゃないっつの!」
女盗賊「!ストップ」ピタッ
「おい居たか?」
「いや、ここで張ってたが人っ子一人通ってねぇ」
「宿を出てから大して経ってないんだろ?なら逃してはないはずだ」
「この包囲網を抜けられる奴なんざいねぇさ。俺はここに居る。お前も持ち場に戻んな」
「おう」
タッタッタッ
女盗賊「……ちくしょう、奴らいつの間にウチらの居場所を」
男「あの程度の兵、容易にのしてしまえるが」
女盗賊「ダメだよ。ありゃ国の正規兵だろ?今でこそ謂れのない罪状で追われてるウチらだけど、奴らに楯ついたら本当にお尋ね者になっちまう」
女盗賊「しょうがない、迂回しよう」ススッ
男「……」スッ
.........
6 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:14:32.80 ID:CrbqfshB0
女盗賊「…どこもかしこも追手だらけ」
女盗賊「ウチらそんなに悪いことしたかね?」
男「フッ、この有様だと依頼の報酬金も端から渡す気などなかったように思える」
女盗賊「何も知らない子羊ちゃんでいればこうはなってなかったろうにね 」
男(……ならば、全ての事情を知っていた薬屋はどの道追われる身か)
女盗賊「男」
男「なんだ」
女盗賊「……はぁ」
女盗賊「また、薬屋ちゃん達のこと考えてたろ?」
女盗賊「当ててあげるわ。今のあんた、自分がどうなっても構わないと思ってる。だから奴らへの応対も雑だし、寝ていたとはいえ追手の気配にも気付かない」
女盗賊「むしろ見つかればいいとか考えてないかい?」
男「………」
男「お前も、俺の近くにいない方がいい」
女盗賊「それが答えってわけ?」
女盗賊(どうすればこいつの自責はなくなるのかねぇ…)
女盗賊「…ん?」
町娘「えっと…なんでしょうか…?」
兵1「嬢ちゃんこそこんな夜中にどうしたよ?」ニヤニヤ
町娘「私は父へお薬を…」
兵2「偉い子だなぁ。薬なんて安くないだろう?」
兵3「小遣いやるけぇ…ちょっとばかり俺らに付き合ってくれないかな?」ゲヒ...
女盗賊「うぇ…」
女盗賊「この国はあんな下品な輩まで兵として雇ってんの」
男「……」...スタスタ
女盗賊「お、おい男…!」
7 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:15:05.23 ID:CrbqfshB0
町娘「やめて下さい、離して…!」
兵1「ちょっとだけだっつってんだろ?」
兵2「俺たちゃお国の兵隊さんだ。それに逆らうってことが何を意味するか、嬢ちゃんにも分かるよなぁ?」
兵3「うひひ…いい身体して──」
ビシッ! ドンッ! ドスッ!
兵1・2・3「「「」」」ドサッ...
町娘「わ……」
男「汚物に触れた気分だ」
女盗賊「もう!本当後先顧みないんだ…!」
男「顔を見られてはいない。こいつらは職務怠慢でここに寝ていただけだ」
女盗賊「バレなきゃ罪にならないってか。違いないけどさ。…お、こいつら良い身なりしてんじゃん。さては持ち金も…」ゴソゴソ
町娘「……あの」
女盗賊「あぁ、平気?こいつらに何もされなかった?」ガサゴソ
町娘「はいっ、ありがとうございます」
女盗賊「礼ならそっちの無愛想な男に言うんだね」
男「…こんな時間に一人歩きなど、狙われて当然だ。最低限の自己防衛くらいしておくんだな」
町娘「そ、そうですよね…」
女盗賊「あんたが説教垂れるとはねぇ……ま、そういうことだ。早いとこ家戻んなよ」
町娘「あなた方は…?」
女盗賊「ちょっとした事情でね。逃げてるとこなのよ」
男「悠長に立ち話を続けてる余裕はないぞ、女盗賊」
女盗賊「はいはい。じゃあ元気でね」クルリ
町娘「待って下さい!」
町娘「…もし、よろしければ…」
8 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:16:17.44 ID:CrbqfshB0
ーーー町娘の宿屋ーーー
町娘「どうぞ」コトッ
女盗賊「ありがとさん」クイッ
女盗賊「…ぷはっ。にしても」
女盗賊「本当に宿屋を経営してるなんてねー」ミマワシ
男「無警戒過ぎだ。躊躇なく出されたものを口にするな」
女盗賊「堅い事言いなさんなって!この子は大丈夫よ!」
女盗賊「美味い茶だよ、飲んでみな?」
男「………」...クイッ
町娘「……」ドキドキ
男「…悪くはない」
町娘「…!お口にあったのなら何よりです」
女盗賊「でも宿って割には客がいないように見えるね」
町娘「それは…実は父と私の二人でここを切り盛りしてるのですが、父が病に伏せってしまいまして…」
女盗賊「あぁ、それでさっき薬の買い出しを」
町娘「はい。お医者様が言うには手術を施せばすぐに治せるそうなのですが、そのようなお金はどこにも…」
町娘「近頃は物価も高くて何をするにもお金が取られていくようです」
女盗賊(そりゃ、戦争を始める軍資金となりゃちょっとやそっとの端金じゃ足りないだろうからね)
町娘「…あなた方は、何故追われているのですか?」
女盗賊「ん?んー、まぁそれは」
男「女盗賊」
女盗賊「…はいはい。言われなくても」
女盗賊「ウチら怪しいもんじゃないんだけどちょっち面倒な連中に目付けられちゃってて」
女盗賊「悪いね、朝には出てくから今夜だけ──」
男「いや、もう出る」
女盗賊「?奴らを出し抜く算段でも思い付いた?」
男「そうではないが、一箇所に留まるのは危険だ」
女盗賊「おいおいおい…」
女盗賊「どう考えてもこの警備の中出て行く方が危ないでしょうに。んな簡単な判断も出来なくなったの?」
町娘「そうですよ!さっきみたいな人達がたくさんいるんですよね?…だったら駄目です、ここに居て下さい…!」
女盗賊(おぅ、思わぬところから援護射撃が)
男「む……」
女盗賊「…巻き込みたくないんだろ?この子を」ボソッ
男「……」
9 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:18:17.51 ID:CrbqfshB0
女盗賊「そこで、あんたお得意の論法よ。ウチらが勝手に寝床を拝借しただけ。この子は何も知らなかった…な?」
男「………分かった」
女盗賊「決まり」
女盗賊「そういうわけで、一晩だけ借りてくよ。そん代わしお代は弾むからさ。こんくらいでどう?」ジャラ
町娘「いえ…お金は要りません」
女盗賊「えー?いくらウチでもサービスに対する正当な対価くらい払うのに」
町娘「お金ではなく」ジッ
男「…?」
町娘「あなた方が追われることになった原因が知りたいのです」
女盗賊「…だからそれは──」
町娘「それを知るまで、私ここを動きません」
男「………」
町娘「……」
女盗賊「……いいかい、お嬢さん」ズイッ
女盗賊「ウチらは鬼ごっこをしてるわけじゃないんだ。下手を打てば命を落とす…そういう状況に身を置いてる。あまり深入りするとあんたも同じ目に遭う」
女盗賊「それとも何かい?赤の他人のために命を賭す覚悟があると?」
町娘「あります」
女盗賊「…!」
町娘「……」
女盗賊(……驚いた。この子、震えてすらいない)
女盗賊(それどころか…)
男「もういいだろう。床を借りる。行くぞ、女盗賊」ガタッ
女盗賊「…あぁ、分かった」
町娘「………」グッ...
女盗賊「教えてやろうじゃん」ニシッ
町娘「え…!」
男「は…?おいふざけてる暇は」
女盗賊「まぁまぁ落ち着き?」
女盗賊「冷静に考えてみなよ。事情を知る知らない以前に、こうしてウチらを匿った時点でこの子はアウトだ」
女盗賊「巻き込みたくなかったんなら、さっきの路地で見て見ぬ振りをするべきだったんだろうさ」
10 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:19:08.64 ID:CrbqfshB0
男「………」
女盗賊「それに、どうせもうすぐおっ始めんでしょ?当てもなく逃げ回ったところで状況が好転するわけでもあるまいし、ここいらでウチらの身の振り様考えた方がいいかもね」
男「…この娘の居るところでか?」
女盗賊「肝の据わった嬢さんだよ。少なくとも、あんたよりは」
男「……………」
男「勝手にしろ」ストッ
女盗賊「さって!話もまとまったよ!こいつ無駄に意気地のないとこあってさ、ごめんね〜」
町娘「そんな、私なんかよりずっとお強いのに…」
女盗賊「あーいいのいいの。そういうのは。これには逆効果だから」
女盗賊「ウチは女盗賊。こっちのは男。これでも傭兵やってんのよ」
町娘「町娘と言います。傭兵さんだったのですね。先程は助けて頂いてありがとうございました」
女盗賊「で、ウチらの事情だったね?どこから話したもんかな…」
町娘「その前に一つ、いいでしょうか…?」
女盗賊「ん?」
町娘「……その……」
女盗賊「どうした?言ってごらんよ」
町娘「……お二人はご夫婦なのですか…?」
男「………?」
女盗賊「」ポカン
町娘「……」ソワソワ
女盗賊「…あっははは!」
女盗賊「いやー!どんな質問が飛び出してくるかと思いきや…くくっ」
女盗賊「冗談はよしてよ、誰がこんなトラブルメーカーと!むしろウチはこいつの面倒事に巻き込まれた側だよ!」
男「自分から首を突っ込んできたんだろうが」
女盗賊「細かいことは気にしなさんな」ヘヘッ
女盗賊「ま、こいつとウチはただの共犯者よ。一緒にいても甘いやり取りなんか一ミリもない」
町娘「そ、そうですか」ホッ
女盗賊(…へぇ?)
町娘「共犯者…」
女盗賊「そ。始まりは大して前でもないんだけど──」
.........
11 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:20:20.01 ID:CrbqfshB0
町娘「国が、戦争を…!?」
女盗賊「ウチらはそういう汚い裏側を知っちまったから追われてるってことさ」
女盗賊(さすがに薬屋ちゃんのことは伏せたけど)
町娘「そういえば中央広場で御触れが出てました。自衛強化のため志願兵を募ってるとかで」
女盗賊「露骨だね」
町娘「この頃事件が多かったじゃないですか。人を襲う動物に、盗賊団に…皆それらの影響だと言っていましたが…」
女盗賊「表向きはそういうことにしたいのよ。あんな連中でも兵になれんのは予想外だけど、それだけ軍備増強が火急なんだろうね」
女盗賊(とはいえ、あの肉体強化薬だかなんかがあれば少数でも十分な戦力になりそうなもんだけど)
町娘「戦争なんて…痛くて苦しいだけなのに」
女盗賊「経験したことが?」
町娘「他国で少しだけ…」
町娘「…その頃は母も居ましたが、ここへ逃げてくる最中に…」
女盗賊「あー…要らんこと訊いたね。悪い」
町娘「いえ…」
男「戦が起これば、死人は増える。同時に金持ちもな」
男「無論、勝利した方に莫大な益が舞い込んでくる。言うなれば戦争はそれ自体が一つのビジネスだ」
男「肯定する気などないが、この世からなくせるものでもあるまい」
女盗賊「それ、励ましてるつもり?」
男「……」
女盗賊「…事実だけどさぁ」
女盗賊「こいつの言う通り、利権の絡む戦争ってのはどこにでも起き得るからね。ウチら一般人はそいつをうまく避けつつ暮らしてくしかないのよ」
町娘「それでも巻き込まれてしまう時は…」
女盗賊「全力で逃げる。今のウチらみたいに」
12 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:22:39.15 ID:CrbqfshB0
町娘「……悔しいです。人が始めたことを、同じ人の私たちでどうにか出来ないなんて」
女盗賊「そりゃ高望みし過ぎってもんよ。個々人がどう思おうがどうにも出来ない事なんていっぱいある」
男「…どれだけ力を持っていようとな」
女盗賊(…はぁ。こいつは本当に…)
女盗賊「」パシッ
男「!…何故叩いた」
女盗賊「さぁね?話を本題から逸らした罰とでも思えば?まともな逃走案の一つでも出したら謝ってやろうじゃない」
男「お前が今言ったように、逃げ続ければいい」
女盗賊「戦争中もその後も、一生?」
男「どこかしらに隠れ住む」
女盗賊「しらみつぶしされたらいずれ見つかる」
男「…いっそ、国ごと潰すか」
女盗賊「…ウチは遠慮する」
女盗賊「最後はともかく、その辺りはウチも考えた。でもねぇ……国に目を付けられるなんてことそもそもなかったし、シミュレートのしようがないよ」
女盗賊「うーん…」
男「……」
町娘「……匿ってもらう、というのはどうでしょう?」
町娘「事情を知ってる方に手伝ってもらって、遠く離れたところで隠してもらうんです。ちょうど、今みたいに」
女盗賊「……んー……なくはないけど、そんなアテ、ウチには……」
女盗賊「男、あんたは?」
男「仕事を共にした程度の者ならいる。国の息がかかっているだろうがな」
女盗賊「論外じゃないの…」
女盗賊「第一ウチらがそこまで信頼を置ける知り合いがそうそういないわな」ウムム
町娘「………例えばですが、私が──」
女盗賊「あっ!あるよ、心当たり!」
女盗賊「男!ちょい前あんたにも話したことがある人物!」
男「まさか情報屋か?」
女盗賊「それこそまさかよ」
女盗賊「師匠…ウチを育ててくれたじいさんのこと」
女盗賊「匿うとまではいかないまでも、あの人無数に隠れ家持ってるから隠居にうってつけの場所くらい教えてくれるかも」
男「その御仁はどこにいるんだ?」
女盗賊「今はこの町にいる。ほら、この間捕まりそうになったって言ったろ?しばらく大人しくしてるんだと」クスッ
男「そうか。ならば夜が明けたら向かうとしよう」
13 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:25:18.22 ID:CrbqfshB0
男「……親父さんは今も寝ているのか?」
町娘「!はい。朝には一度目を覚ますと思います」
男「…短い間だが、世話になる」
町娘「お気遣いなくっ…」
男「……」スッ
女盗賊「もう寝るのかい?」
男「あぁ。部屋はどこでも構わないな?」
町娘「大丈夫です」
トットットッ
パタン...
女盗賊「…ありがとね」
町娘「え?」
女盗賊「さっき、自分がウチらを匿いますよって言おうとしてくれたでしょ?」
町娘「!え、えっと……はい」
女盗賊「気持ちは嬉しいけど、ちとお人好しが過ぎるねぇ」
女盗賊「何でもかんでも無条件に信用するのは危険だってちゃんと覚えとくんだよ?」
町娘「あなただって私を信じてくれました」
女盗賊「違いない」ハハッ
14 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:25:55.36 ID:CrbqfshB0
町娘「…男さんには反対に怪しまれているのでしょうね、きっと…」
女盗賊「んにゃ、あいつが仏頂面なのはいつものことよ。確かに最近は輪をかけてひどいけど」
女盗賊「……怪しむとか、そういう次元の話じゃないのさ。あれは、臆病なだけなんだ」
女盗賊「自分の相対するもの全部に怯えて、何も出来なくなる」
女盗賊「今の男は、意思を持って動くただのオブジェ。生きてるんじゃなくて、死んでないだけね」
町娘「何があったのですか…?」
女盗賊「ま、ちょっとね。ウチの口からは言えない」
町娘「……」
女盗賊「つまり、あいつをものにしようと思ったら一筋縄じゃいかないからそのつもりでいること!」
町娘「…?………!?」
女盗賊「しっかし男はよくモテるよ。この国は無愛想な野郎の方が好かれんのかね〜」
町娘「す、好きって…!?」
女盗賊「違った?」ニヤニヤ
町娘「っ……違いませんっ」
女盗賊「素直でよろしい」
女盗賊「あんなんでも根はいい奴だからさ。はずれ物件でないことはウチが保証したげる」
女盗賊「…ま、明日の朝までに落とすのは難しいか」ククッ
町娘「そちらを抜きにしても、後日改めてお礼が出来たらと思ってたのですが……傭兵さんとなると決まった所で働くのではないですよね…」
女盗賊「仕事も引退するだろうしね」
女盗賊「そのうち手紙でも届けさせようか?なんて──」
町娘「本当ですかっ!是非、お願いします!」
女盗賊(あ……この子本気だ)
15 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:28:13.58 ID:CrbqfshB0
ーーー深夜ーーー
ガチャ パタリ
町娘「……」トットットッ
町娘(お父さん、大分良くなってきたみたい)
町娘(この調子ならもうお薬買い足しに行かなくて平気かな)
町娘「……」トットッ
「……ぁぁ……」
町娘「…!」
町娘(この声……男さん?)
町娘「」ソッ
男「…く……や…」モゾ...
町娘「……寝てる……のですよね…」
町娘(とっても苦しそう)
町娘「………」
キィ...
.........
16 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/03/12(木) 01:28:53.96 ID:CrbqfshB0
町娘「」パッ、パッ
スッ
男「ん………」
町娘(濡れたタオルを乗せただけだけど、これで多少はマシになるのかな…)
男「……っ……」
町娘「……」
ーーーーー
女盗賊「──ま、ちょっとね。ウチの口からは言えない」
ーーーーー
町娘(…一目惚れというのもあったと思う)
町娘(けれどこの人はそう、最初から物憂げな顔をしていたものだから)
町娘「……気になってしまったんです」
男「……?」
男「君は…」
町娘「起こしてしまいましたか、ごめんなさい」
男「あぁ、いや。俺は寝付きが悪くてな……ん?」
(額のタオル)
男「そういうことか。すまない、余計な気を遣わせた」
町娘「そんな風に言わないで下さい。宿屋の娘として当然のことをしたまでですから」
町娘「今は休業中なので、ただの娘ですけどね」フフッ
男「……」
男「…こんな時間に、何を?」
町娘「父の様子を見るのが日課なんです」
男「それほどに酷いのか」
町娘「もう快方に向かってます。昔から病気がちで」
男「礼の一つでも言いたかったが…」
町娘「私から伝えておきますよ」
男「まさに寝耳に水だろうな」
町娘「本当に」
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