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【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」

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860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/30(日) 23:20:03.97 ID:DwMwc5eJ0
更新乙。提督ってどんな体つきだったっけ?
861 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/01/31(月) 21:27:28.07 ID:y3ExNOm9o
>860
そういえば言及していませんでした。

追加で書き足しです。
862 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/01/31(月) 21:28:51.16 ID:y3ExNOm9o

 * 食堂 *

長門「……」

陸奥「長門、どうしたの? 考え事?」

長門「いや、ついさっき、初めて提督の裸を見たんだが」

陸奥「!?」

不知火「!?」ブボッ

如月「きゃあ!?」

不知火「げほ、げほっ! す、すみません……」フキフキ

陸奥「ちょ、ちょっと長門! どういうことなの!?」

長門「いや、それがな。かくかくしかじか……」

不知火「こほん……なるほど、電も思いつめていたと」フキフキ

長門「ああ。それで提督が上半身裸になる羽目になったんだが、軍人としてはどうも細いなと思ってな」

長門「肉がついていないわけではない。が、無駄がないと言えばいいのか、無駄がなさすぎるというか……」

長門「やせすぎとか貧相とまではいかないが、最低限の筋肉しかついていない。減量中のボクサーみたいな体つきだったな」

如月「そういえば司令官も、もうちょっと脂肪を付けたいとは言ってたわね。でもここは離島だし、食肉だけは補給に頼るしかないから……」
863 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/01/31(月) 21:30:47.98 ID:y3ExNOm9o

長門「確かに動物性の脂質を摂るのは難しいな。魚ばかりというのもそれはそれで栄養が偏るか」

不知火「……私の方から本営に掛け合います」

長門「そうしてもらえると助かる。それから、提督も結構、体に傷が多いというか……とくに腕はひどいな? 無数の引っ掻き傷ができていた」

如月「あれって、学生時代にケンカでできた傷なんですって。ほら、司令官って殴る蹴るより、まず掴むじゃない?」

如月「そうすると、振りほどこうとして腕を掴まれてああいう傷が増えたんですって」

長門「掴んでいれば、その間は相手が腕一本分有利にはなるからな。反撃もそれなりにもらうわけか」

如月「そもそも司令官、殴るのを嫌ってるし、ね?」

陸奥「如月ちゃん、詳しいのね……やっぱり初期艦だからかしら」ジッ

長門「付き合いは長いだろうからな。私たちより提督のことを知ってて当然だろう」

如月「え、あの……はい。そうですね」ポ

如月(今の話を司令官と一緒に寝たときにしたって言ったらどう思われるかしら……)セキメン

不知火「……どうしましょう、不知火は司令の体については何も知らないのですが」

不知火「不知火も司令に裸体を見せていただくようお願いすべきでしょうか」カオマッカ

陸奥「そ、そこまでしなくていいと思うわよ……?」
864 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/01/31(月) 21:33:34.64 ID:y3ExNOm9o
追加ここまで。

177センチ、やや痩せ気味、というのがここの提督の体型です。
南の島にいるため、若干日焼け気味、というのも書き足したかったんですが、
できるだけ自然に文中に入れるのは、なかなか難しいですね。
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/01(火) 08:03:55.49 ID:KQgVQk10O
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/02(水) 17:49:08.97 ID:1DrWRJvo0
さあ、続きを待ってるぞ
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/02(水) 22:37:01.07 ID:7tdVfInX0
乙です。島にイノシシとかはいないの?
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/02(水) 22:49:08.24 ID:dc5tZu/D0
乙乙。わざわざ書き足してくれてありがとう。
結構ガッチリした体型だと思ってたけどなるほど痩せマッチョか確かに無人島生活ならそれでもおかしくないわ、
869 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:18:37.86 ID:O3CU2Q2io
>867
イタチのような小動物は見かけるが、猪のような中型の獣は見たことがない、と言う状態です。
もしかしたら毒蛇であったり、過去に住んでいた人間が仕掛けた罠であったり、
どんな危険が潜んでいるかがわからないため、提督たちは島の西側の林の中には立ち入っていません。
また、野生生物は寄生虫が心配と言うことから、釣った魚以外は食べないようにしています。
鮭も養殖物でなければ生食はできませんし。

それでは続きです。
870 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:19:32.82 ID:O3CU2Q2io

 * 翌日の朝 墓場島埠頭 *

提督「なんだ、お前かよ……身構えて損したぜ」

L大尉「なんだじゃないよ、ひどい挨拶だなあ。少しは歓迎してくれたっていいじゃないか」

提督「何言ってんだ、お前の秘書艦のせいで鹿島がああなってんだろが」ユビサシ

鹿島「うわああああん!」ナミダジョバー

香取「大変だったわね、鹿島」ダキヨセ

鹿島「香取姉えええええ!!」ヒシッ

L大尉「あれは僕のせいでも香取のせいでもないと思うぞ?」

ガンビアベイ「Oh...これが、緊張の糸が切れる、デスカ」

山風「鹿島さんも、無理してたんだね……」

千歳「相当気を張り詰めてたでしょ?」

足柄「反動もあるんじゃない?」

朝雲「さっきまで話してた時はすっごいしっかりしてたのに……」

山雲「山雲は〜、ちょっとだけ、気持ちがわかるかも〜」

白露「やっぱり姉妹艦だと気の持ち方とかいろいろ違うよね〜」

山風「うん……あっ」
871 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:20:17.81 ID:O3CU2Q2io

海風「良かった、千歳さんも足柄さんも無事だったんですね!」

白露「あっれぇ、海風じゃん!」

海風「海風姉……!」

海風「白露姉さん!? 山風も!?」

白露「なになに、海風ってば足柄さんたちの知り合い?」

海風「は、はい、私は波大尉の鎮守府の所属です! 白露姉さんも被害に遭ったんですか!?」

白露「私はこの鎮守府の所属だよ。被害に遭ったのは山風!」

海風「そ、そうだったんですか……!」

千歳「海風、どうしてあなたがここに?」

海風「はい! 千歳さんたちがこちらの鎮守府に向かったと聞いて、お迎えに上がったんです!」

足柄「波大尉はどうしたの? 海風に秘書艦を引き継いだのに……」

海風「……波大尉は、その……入院、しています」

足柄「え?」

千歳「もう、あの子ったら……あの程、お酒は控えてって言ったのに……!」

海風「ち、違います! その……お酒もあるかもしれないですけど、鬱、です。司令官は、うつ病になったんです」

千歳「うつ……!?」
872 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:21:02.78 ID:O3CU2Q2io

朝雲「ええっ!? ちょっと、あんなに明るい人が、いったいどうして!?」

足柄「うつ病って、なにがあったの……?」

海風「……こちらの鎮守府の用を済ませて、ブルネイまで医療船を届けた後、お二人と大喧嘩して艦隊から除名されましたよね」

L大尉「喧嘩? それで除名だなんて、いくらなんでも短絡的じゃないか」

足柄「それは……いろいろ仕方ないのよ。あのときだって、酔った勢いで売り言葉に買い言葉、ってやつだったんだから」

千歳「私も居合わせたけど、ひどかったの。波大尉の部屋の床に無数のお酒の空き缶が転がってて、そこで更に飲もうとしてるから」

千歳「飲むなって言っても聞かなくて、私も思わず感情的になっちゃって……お医者様からもお酒は控えたほうがいいって言われてたのに」

足柄「おまけに波大尉ってお酒が入ってネガりだすと止まらないの。それで、勢い任せに私たちの解任と除名の手続きを始めちゃって」

足柄「千歳でもどうにもならなくて……私が怒鳴ったのが決定的だったのよ。泣くわキレるわ怯えるわ、まともに話せなくなっちゃって」

L大尉「それはまた……」

提督「それでお前らが路頭に迷う羽目になったってか」

海風「そう……です。お二人が鎮守府を離れることになって、私が秘書艦を務めたんですが……波大尉がもう……」フルフル

海風「千歳さんたちを解任したことをものすごく後悔なさってて、それ以来ろくに執務が出来なくなって」

海風「自己嫌悪からくるやけ酒と不摂生から体を壊して……入院なさってからも、私が病室に行くたびに、ごめんなさい、ごめんなさいって」

海風「千歳さんと足柄さんの名前を出して、私に謝られるんです……!」ポロポロ…

千歳「……」

足柄「……」
873 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:21:47.96 ID:O3CU2Q2io

L大尉「そういうわけで、診断の結果を見て、本営は、波大尉にこれ以上の軍務を続けさせられないと判断したんだ」

千歳「……!」

足柄「それって……!!」

海風「……」グスッ

提督「退役して一般人に戻る、ってことか」

L大尉「……だね」コクン

L大尉「それで、波大尉の入院先が、彼女の地元に近い神戸に移ることになったんだ。徐々に艦娘や海軍から離れてもらうためにね」

L大尉「彼女が回復するまでは、海軍が責任を持って看病することも決まって、僕がそこに一枚かむことになった」

L大尉「僕も元民間だったから、その民間人の視点でどう彼女をリハビリさせた方がいいか、その相談役のひとりとして、ね」

提督「波大尉が海軍を辞めるんなら、後釜はどうなる」

L大尉「それがいなくてね。かといって艦娘たちも全員フリーにするわけにはいかないから、O中尉だったかな? 彼が身元を引き取るらしいんだ」

提督「O中尉……あいつか。まあ、預け先としちゃあ悪くねえかな?」

L大尉「知り合いかい?」

提督「中佐んところで善行積みすぎて目障りになって切られた奴だ」

L大尉「……と、とにかく信用できるんだね?」

提督「知らん」

L大尉「……」
874 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:22:32.77 ID:O3CU2Q2io

朝雲「知らない、って、あのN中佐の騒動のときに手伝ってもらったんじゃなかったの!?」

提督「過去に協力してもらったことはある。が、あいつが提督業についてからの働きぶりまでは俺は見聞きしちゃいねえ」

朝雲「あ、そっか……それじゃ知らないって答えて当然よね」

提督「で、千歳と足柄もそっちに異動するって話なのか?」

L大尉「そこは香取にも立ち会ってもらって、二人の希望を取りたかったんだよ。香取?」

香取「は、はい! 鹿島、ちょっと離れててくれる?」

鹿島「ぐすぐすっ……うえっ、ふぎゅっ」グジュグジュ

香取「こほん。この話をする前にひとつ、問題があるのですが……」

香取「今回、遠大佐ならびに留提督とともに行動した艦娘6隻については、呉へ戻ることはできないとお達しがありました」

山風「え……?」

提督「なんだそりゃ。戻ってくんなってか」

L大尉「平たく言えばね。呉の中将がまあ縁起を担ぐ人物というか……」

提督「んじゃあ、L大尉も呉は出入り禁止になんのか?」

L大尉「そうなるだろうね〜……」ハァ

千歳「……あら? 准尉、誰か呼んでるわよ?」ユビサシ
875 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:23:17.87 ID:O3CU2Q2io

黒潮「……はーん! しれえはーーん!」ブンブン

提督「ん? ありゃ黒潮か? 一緒にいるのは不知火と……誰だ?」

足柄「ちょっと!? なんで那智がいるの!?」

不知火「先程、砂浜で仰向けに倒れ込んでいたところを黒潮が見つけたんです」

那智(中破)「すまないな二人とも、案内してもらって」

提督「工廠じゃなくて直接こっちに来たのか?」

黒潮「司令はんと話したいことがあるんやて。死にそうってわけでもないし、連れてきたんやけど、あかんかった?」

提督「まあ、いいけどよ」

那智「このような姿で失礼する。私は那智、貴様がこの鎮守府の提督か」

提督「ああ。俺がこの島の鎮守府の提督だ。何の用だ」

那智「私を、この島の艦隊に加えていただきたい」

提督「……!」

黒潮「は?」

足柄「はぁ!?」

不知火「本気ですか……?」

那智「ああ。この島が墓場島だろう? 轟沈した艦娘が集まる島だと聞いているが、間違いないな?」
876 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:24:02.92 ID:O3CU2Q2io

香取「そこまで御存知なのでしたら、なおのこと忌避される方の方が多いと思うのですが……理由を聞かせていただいても?」

那智「私は、呉の中将……和中将の鎮守府に所属していた」

L大尉「呉の……!?」

提督「なんだ? さっきの話か?」

香取「は、はい。呉鎮守府の墓場島嫌いなのが、件の和中将閣下です」

那智「うむ。そこで私は、和中将の酒飲み相手をずっとさせられていた。海に出ることも、海を見ることもかなわず、耐え忍ぶことはや1年」

那智「和中将の話を聞きながらグラスを傾け酒をあおり、ただ首肯する。私は、ずっとその役目を背負わされてきた」

那智「しかしだ。私は本来、艦娘として、人類の敵たる深海棲艦を打倒するものとして、生まれてきたはず」

那智「何度か具申させていただいたがそれも受け入れられず……それで私はあの鎮守府を抜け出し、和中将が忌み嫌うこの島へ来たんだ」

那智「私がここに来たとあの男が知れば、それ以上私に関わろうとは思わないだろうからな……!」

足柄「那智……!」ウルッ

提督「やれやれ、わざわざ死にに来たのか?」

那智「いいや、私は生きて、艦娘としての生を全うするために、ここに来たんだ」

提督「ふーん……」
877 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:25:02.56 ID:O3CU2Q2io

黒潮「司令はん? 顔がわろてるけど?」

提督「いやあ、いい覚悟してんじゃねえかと思ってな」ニィッ

不知火「いつもの質問もする必要がないということですね」

足柄「ちょっと、准尉の笑顔がすっごい悪役っぽいんだけど」タラリ

提督「しょうがねえだろ、これが地の顔だ。ま、とにかくだ、和中将に確認なんかいらねえな、ドロップ艦扱いで申請しても良さそうだ」

那智「本当か!」パァッ

提督「ま、お前みたいにこの島に着任したくて流れ着く奴なんて初めてだからな。今更引き返すなんてできねえぞ、いいんだな?」

那智「艦娘として、海で働かせてもらえるのだろう? であれば二言はない」ニコニコ

提督「それがお前の望みなら、好きに出撃しな。あとで大淀に連絡しとくぞ、黒潮たちも入渠に付き合え」

黒潮「了解やー」

提督「それにしても、よくここまで来られたな」

那智「この船が呉を出港する時に、鎮守府を抜け出してこの船を追いかけたんだ」

那智「横須賀に向かったときは少し焦ったが、その後に外海に出て、この島へ向かう航路に向かってくれて安心していたところだ」

香取「そういえば、この島に向かう途中、深海勢力の駆逐艦が数隻、電探に反応していましたが、そのうち数隻分の反応が突然喪失していました」
878 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:25:48.17 ID:O3CU2Q2io

香取「これは、私たちの船を追いかけていた那智さんが、敵艦隊を撃沈していたからということでしょうか」

那智「ん、反応されていたか。確かに、数隻の敵駆逐艦と戦闘になったな」

足柄「それでそこまでボロボロになるの?」

那智「仕方ないだろう、さっきも言ったが私は海に出るのは初めてだぞ?」

香取「なるほど……それでは致し方ありませんね」

提督「ともかく、那智はここに新規着任でいいな。L大尉も香取も、こいつがその和中将だかの鎮守府から来たことは黙ってろよ」

L大尉「……ああ、わかった。それから、ここにいる艦娘たち以外に、遠大佐によって轟沈させられた艦娘もいるんだったね?」

提督「おう。鳥海と加古だな」

鹿島「加古さん……というと、古鷹型の2番艦ですね」

L大尉「古鷹型!? 古鷹の妹なのか!? 遠大佐はその子を轟沈させたのか!?」グワッ

提督「ま、やったのは遠大佐じゃなくて留とかいう芸能人だけどな」

L大尉「芸能人?」クビカシゲ

提督「ああ、よくあるだろ、一日警察署長とか。あれの提督版で……」

L大尉「うげっ!! も……もしかして、そいつのお父さんは映画俳優の留父さん?」

提督「知らん。父親が大物だとか言ってはいたが」

L大尉「いや、でもその名前はそうだ……嘘だろ……!? 僕は留父さんの主演映画、大好きなんだぞ……!?」
879 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:26:32.94 ID:O3CU2Q2io

L大尉「バラエティでもすっごいいい人で尊敬すら覚えたほどなのに! それが本当だとしたら超ショックだよ」ガックリ

提督「トンビが鷹を生むって言うだろ。逆があってもおかしくねえよ」

L大尉「そうかもしれないけど……あああ、なんでそんなことに! 幻滅だよもう……」

提督「ま、どうでもいいが……俺たちこそお前らが来るなんて聞いてねえぞ。お前ら、中佐の命令聞くようになったのか?」

香取「いえ、此度の任務は、本営の中将閣下から直々にご指示いただいたものです」

提督「中将が? なんでまた……さてはまた何か粗相して目を付けられたか」

香取「いえいえ、今のところは大きな失敗もなく」ニコ

香取「むしろ……贔屓目かもしれませんが、L大尉が気に入られたのかも、と思っています」

L大尉「なんで僕が懇意にされているのか、わかんないんだけどね……」

L大尉「中将閣下を訪ねてくる将官佐官は錚々たる顔ぶれだ。そこに民間から登用された僕が並んだんじゃ、場違いすぎてストレスフルなんだけど」

香取「根っからの軍人ではないからこそ、重用されているということもあるかもしれませんよ?」

香取「それをさておいても、今回の栄転はL大尉が評価されたからこそではありませんか」

L大尉「うーん……まあ、そう言われれば悪い気はしないんだけど」

朝雲「それって、さっきの神戸へ行くとか言う話ですか?」

香取「はい。神戸に、提督候補生を育成する学校が新設することになりまして。今後は艦隊を指揮しつつ、そちらへも顔を出すことになりました」
880 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:27:18.01 ID:O3CU2Q2io

香取「波大尉が神戸の病院に移されたのも、それを見越してというのがありますね」

L大尉「正直、僕らはそっちにつきっきりになりそうだけどね。だからおそらくこの島に来るのは今回が最後になりそうなんだ」

提督「良かったじゃねえか」

L大尉「少しは寂しがってくれないか?」

提督「こんな島に好き好んで関わってちゃ出世に響くぞ」

提督「それに、この島の事情をある程度分かってる奴が海軍の上にもいてくれねえと、俺も安心できねえよ」

L大尉「む……!」

香取「出世しろと言うことですね。責任重大ですよ、L大尉」クスクス

提督「で、L大尉がいく学校ってのはどんなとこなんだ?」

香取「民間出身の提督を数名集めて、成功例や失敗例をいくつかまとめ、それを今後入ってくる提督候補生に伝授しようというのが狙いです」

提督「あー、あの失敗はくそでけえだろ」

L大尉「それは言わないでくれ……」ズーン

L大尉「確かにあのやらかしがあったからこそ、中将に覚えていただいたし、香取を秘書艦に迎えることになったんだけど」

足柄「何やったの?」

提督「ああ、そりゃあな……」

L大尉「頼むから掘り起こさないでくれないか」
881 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:28:02.76 ID:O3CU2Q2io

提督「古鷹べったりで全部古鷹に任せてたのを朝雲に指摘されて、観艦式があるってのに見栄で古鷹をこの島に置いてったんだよ」

L大尉「ちょ」

提督「で、観艦式で使う資材の保管庫の鍵を古鷹に預けてたせいで、燃料やらが使えなくて大コケしたんだ」

足柄「うわあ」

千歳「うわあ」

白露「うわあ」

海風「うわあ」

山風「うわあ」

黒潮「うわあ」

山雲「うわあ〜」

ガンビアベイ「Unbeleavable...」

L大尉「掘り起こさないでくれないか!」ウワァァア!

香取「ご愁傷様です」

提督「まあ、こういうへまをしたから香取にしごかれて今はよっぽどマシっぽいんだが……香取、そういう認識でいいんだな?」

香取「ええ、結構です」

鹿島「うええええん香取姉ええぇぇえ」グズグズ

提督「こいつも香取が面倒見てやんねーと駄目っぽいな」

香取「そ、そうですね……香取、こんなに甘えん坊だったかしら」
882 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:29:02.79 ID:O3CU2Q2io

ガンビアベイ「それは多分、遠大佐の下では、気が抜けなかったせいだと、思います」

香取「そうなんですか?」

山風「遠大佐、私たちを甘やかしてたところはあったと思う……それに危機感を募らせてたのが、巡洋艦のひとたちで……」

山風「でも、加古さんは面倒なことに関わりたがらないし、鳥海さんは割と疑わずに素直に従っちゃうし」

山風「このままじゃ駄目だ、って、奮起したのが鹿島さんなの」

千歳「駄目な大人ばっかりだったってこと!? それじゃ鹿島も苦労性になるわ……」

香取「鹿島は頑張ったのね」ナデナデ

鹿島「がんばったのおおおお!」ナミダジョバー

白露「むしろ山風のほうがしっかりしてない?」ナデナデ

海風「そうね、山風は立派ね。白露姉さんの言う通りよ」ナデナデ

山風「う、うん……ありがと」ポ

ガンビアベイ「あの、駆逐艦たちへの指導がオロソカ? になったのは、遠大佐の他の理由もあります」

提督「というと?」

ガンビアベイ「遠大佐、駆逐艦たちをとても可愛がってました。ちょっと行き過ぎるくらいで……」

ガンビアベイ「私たちのような空母や、戦艦のみんなが駆逐艦に注意すると、遠大佐がすごく怒るんです」

ガンビアベイ「Because, 駆逐艦と私たち、会話が減っていったんです」シュン…
883 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:29:47.66 ID:O3CU2Q2io

山風「だから、誰に対しても明るい留って人が一日提督として来たときは、みんなちょっとだけ期待したの……」

提督「あー……第一印象でころっとやられたわけか。詐欺師は外面いいからな、そんな状況下じゃしょうがねえな」

L大尉「とにかく、遠大佐は今回の件で降格処分。呉から海外の泊地に左遷されることが決まったそうだ」

L大尉「そのせいで遠大佐の鎮守府にいる艦娘も所属変更の手続きが必要になっててね……」

提督「それで移動の確認を、ってか」

朝雲「さっきの話に戻る訳ね」

L大尉「そういうこと。鹿島たち3人については呉に戻るなと言われているから、どうせなら僕たちと一緒に神戸に来ないか、聞きたかったんだ」

鹿島「わたしは香取姉と一緒がいい……!」エグエグ

香取「ほら、もう泣かないの」ナデナデ

L大尉「山風、ガンビアベイ、君たちはどうする?」

山風「……私たちの鎮守府にいた、みんなはどうなるの?」

L大尉「遠大佐の艦娘たちは、呉に点在する各鎮守府への異動するそうだ。呉の外に出る艦娘もいるみたいだが、行先は全員バラバラらしくてね」

L大尉「誰がどこに行くという細かい情報も、僕たちは把握していない……というか、不祥事だから大っぴらには知らせないみたいなんだ」

山風「……そう」

ガンビアベイ「……私、L大尉のもとにお世話になろうと思います。山風も、一緒に来ませんか?」

山風「……うん。鹿島さんも、一緒だし……」

L大尉「よし、じゃあ3人は決まりだね」
884 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:30:32.89 ID:O3CU2Q2io

海風「千歳さんと足柄さんも、一緒に行きましょう! 私も神戸に行って、L大尉にお世話になります!」

千歳「そうなの……!?」

香取「先程も申し上げましたが、波大尉の艦隊はほぼ全員がO中尉の艦隊へ異動することになりました」

香取「今のところ、海風さんだけはL大尉の艦隊へ。千歳さんと足柄さんが、未決定ということになります」

那智「ん、なんだ? 足柄はここの鎮守府の所属じゃないのか」

不知火「はい。説明すると長くなりますが」コク

L大尉「どうだろう。波大尉も、君たちが近くにいるのなら少し安心するんじゃないかな」

足柄「うーん……そうねえ……」

千歳「……私は、そうは思わないわ」

足柄「千歳……?」

L大尉「どういうことかな?」

千歳「私が波大尉といつでも会えるような場所にいたら、彼女は人間社会に戻れないんじゃないか、って……」

千歳「自意識過剰なのかもしれないけど、頼りにされてた実感があるし。何より、一緒にいて楽しかった。友達というかいい同僚というか……」

千歳「今ここで、私があの子の顔を見に行ったりしたら、きっと楽しかったことを思い出すんじゃないかって思うのよ」

千歳「思い出って、どうしても楽しいこと優先で思い出しちゃうから……そうしたら、またあの子が無理を言い出すんじゃないかって」

千歳「提督であることを自分の使命だと思い込んで、無理するんじゃないか、って……」

足柄「千歳……」
885 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:31:17.91 ID:O3CU2Q2io

千歳「波大尉、喧嘩別れした時に言ってたのよね。『自分の幸せをみんなに分けて欲しい、そう言われて海軍に入った』って」

千歳「『でも、私の幸せは、私の理想は、みんなの願いじゃなかった……私、何のために頑張ってたんだろう』って」

提督「……」

千歳「そのことで提督准尉を責める気は全然ないわ。人によって幸せの形や理想が違うのは、当然よね」

千歳「人の未来がかかっていることなら、私にできることなら、やる、って……」

千歳「そういう強い意志を持って入ってくれた子が、あんな風になっちゃったんだもの」

千歳「余計なプレッシャーをかけさせないためにも、もう私たちは関わらないほうがいいんじゃないかしら」

足柄「で、でも……」ウルッ

千歳「それに、波大尉は結婚願望あるでしょ? 提督の才能があったとしても、彼女が人並みの幸せを望む以上は、邪魔したくないし」

千歳「人間社会に戻って、民間人として生活できてた方が、良かったんじゃないかとも思うのよね」

足柄「それは……そうかもしれないわね」

千歳「海風、あなたに全部任せてしまって申し訳ないんだけれど……私は、一緒に行かないわ。波大尉には、もう会わないことにする」

海風「千歳さん……!」

提督「なあ、あの女提督も民間出身だって言うんなら、妖精が見えたりしてるのか?」

L大尉「いいや? 輪郭がうっすらぼやけて見える程度らしいね」

足柄「何もないところに小人の輪郭がうっすら見えるから、それを目で追ってたらスカウトされたって聞いたわよ」

提督「ふーん……なるほど」
886 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:32:03.59 ID:O3CU2Q2io

香取「それはそうと、千歳さん? あなたはこれからどうなさるおつもりですか? このままでは無所属のままですが……」

千歳「それなんだけれど」クルッ

提督「?」

千歳「提督准尉、私もここの艦隊に加えてもらえないかしら?」

足柄「ええええ!?」

海風「ち、千歳さん!? 何をおっしゃるんですか!?」

千歳「うーん、興味がわいたっていうか。どうしてこの人が、海軍で人間の未来のために戦っているのか……」

提督「人間の未来のため? 俺はそんなつもりは毛頭ねえぞ」

足柄「ええぇぇぇえええ!?」

那智「お、おい! 貴様、どういうことだ!?」

提督「俺は人間の未来なんてどうでもいいっつったんだよ。俺が戦うのはこの鎮守府の艦娘のためだ」

提督「格好つけて言えば、艦娘の未来のため、だな。考えてもみろよ、艦娘ってのは現状、人間に利用されるだけの存在だ」

提督「沈んで生き延びた連中を助けてやりたいってのがきっかけだったが、その助けた後も人間に利用されるだけじゃあ救われねえだろ」

L大尉「……!」

提督「これから先、深海棲艦がいなくなったら艦娘たちはどうなる? こんな不思議な力を持った連中、良くも悪くも人間が放っておくと思うか?」

提督「最悪の事態に陥らないために、艦娘だけで生きられる手段を誰かが考えなきゃいけねえ。そう、思わねえか」

足柄「そ、それは……確かに、考えさせられるわね」
887 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:32:47.89 ID:O3CU2Q2io

提督「人間の平和はお前らが勝手に守っててくれ。俺は艦娘のこれからを考えるのに手一杯なんだ」

L大尉「……なんというか、すごいな、准尉は」

香取「はい……!」

提督「そういうことだから、俺のやることは人間のためじゃねえぞ。千歳、お前はそれでもいいのか?」

千歳「ふふっ、面白いじゃない。平和になったら用済みになるはずだった艦娘に、新しい生きる航路を見せてくれるんでしょう?」

足柄「……」

提督「足柄は乗り気じゃなさそうだな。L大尉んとこに入っても……」

足柄「ぐ……ああ、もう! わかったわよ! 付き合うわ!」

足柄「戦いと揚げ物作るの以外はそんなに得意じゃないけれど! 私が、この艦隊に勝利をもたらしてみせるわよ!!」

提督「……無理しなくていいんだぞ」

足柄「無理なんかしてないわよ!?」

提督「本当かよ……海風だったか、なんか悪いな? 本当ならお前ら全員でL大尉んところに行く手筈だったんだろ?」

海風「あ、いえ、大丈夫です。千歳さんが仰る通り、波大尉の担当医さんからも、徐々に私たちとは距離を取ったほうがいいと言われてましたし……」

海風「いつでもいいんで、また一緒にお仕事できるようになれば、私はそれで……」

提督「そうか。そん時ゃ、ついでにうちの白露型も面倒見てくれると助かる」

白露「ちょっ!? 提督、あたしたちのことが邪魔なの!?」

提督「俺がいなくなったら頼る相手として確保したいだけだ」
888 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:33:32.97 ID:O3CU2Q2io

朝雲「司令、そういうこと言うとまた誰かさんたちに睨まれますよ?」

提督「知らねえよ。俺と同道したいんなら、それ相応の覚悟しろって話なだけだ」

提督「……それでも付いてきそうな奴が多そうだから面倒臭えことこの上ねえんだけどな……」ハァァ…

山雲「朝雲姉も、司令さんに、ついて行くの〜?」

朝雲「うーん、あんまり変なこと言い出すときは考えるけど……言い方が悪いだけで方向性はまともなことが多いから、悩むわね……」

白露「私たちのやりたいことをやらせてくれるってところは最高だけどね」

千歳「ふーん……それじゃ、ある程度は我儘も聞いてくれるわけね」

黒潮「司令はんができる範囲でやけどね〜」

提督「そういうことだ。ま、食い物とかの自由はきかねえが、欲しいものがあるんなら遠慮なく言え。鎮守府の財布と相談すっからよ」

足柄「本当!?」キラッ!

海風「あ、あの、准尉さん! あまり迂闊なことは言わない方がいいですよ!?」

提督「なんでだ」

海風「このお二人も、その、酒豪なんです……」

提督「……飲むのか?」

海風「はい。際限なく」

提督「……」チラッ

足柄「」プイス

千歳「」プイス
889 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/02/13(日) 14:34:32.72 ID:O3CU2Q2io

提督「……食い物の恨みは恐ろしい、っつうしな。酔っ払い方にもよるが、悪酔いしない程度になら酒の手配もするさ」

足柄「本当……!?」パァッ

千歳「やったわ……!」パァッ

那智「私は飲まないぞ。今後は禁酒させてもらう」

提督「おう、それも自由にしろ。つか、俺も酒を強要されんのは大嫌いだ」

海風「それでですね、実は……お酒、準備してまして」

足柄「えっ、なにそれ!?」キラーン!

千歳「準備してるの!?」キラーン!

海風「お酒を暫く飲んでないだろうと思って、船に積み込んでるんです」

L大尉「もしかして、僕たちが横須賀でこの船に乗ったときに積んでいた荷物かい?」

海風「はい。本当なら神戸に着いたときに下ろそうと思っていたんですが、千歳さんたちがここに残ると言うのであれば……」

足柄「いやったああああ!」ガッツポーズ

千歳「嬉しい! 海風愛してる!!」ダキツキー

海風「きゃああ!」ダキツカレー

提督「……なんか、新しい頭痛の種が生まれた気がしねえか?」

朝雲「うーん……か、かもしれないわね」

千歳「おとといに久々に缶ビール飲んだんだけど、あれっぽっちじゃ全然物足りなくて!」

足柄「そうそう!! この船に積んであるんでしょ? 荷下ろし手伝うわよ!!」ガシッ

海風「」

L大尉「……」

香取「……」

山風「……大丈夫なのかな」

山雲「心配ね〜」
890 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2022/02/13(日) 14:36:54.79 ID:O3CU2Q2io

ねー。

というわけで、ここまでなんですが一箇所間違えた。

>871

誤:
海風「海風姉……!」

正:
山風「海風姉……!」

に脳内で修正をお願い致します。
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/15(火) 10:56:13.68 ID:gs4+90SSO

こまけーこたぁ気にすんな!
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/15(火) 19:29:29.26 ID:0tX4iaDp0
乙。さて、新人にはさっそくグロ耐性をつける訓練を強いることになるが頑張りたまへよ(ゲス顔)
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/17(木) 22:00:59.85 ID:tgT15HaD0
乙です。
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/18(金) 03:47:25.74 ID:fy/IAk9ZO
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/23(水) 01:26:16.97 ID:AMMAWhZY0
ひとつ気になったことがあるんですが、艦これの世界ではパラオ フィリピン等に泊地があるのですかね?
SSの途中でさんざん出てきているように未だ艦娘の存在自体が秘匿となってるわけなら、秘密基地なんか作ろうもんなら当然のこと現地政府の協力が
必要となると考えたんですが、やはり亜細亜諸国で協力関係を築いているのでしょうか?(それこそ協力機構のような国交組織だったり)
それとも、(ちょっとあり得ないけど)パラオやルンガなどの名前はただの秘匿名称だったりして…
いかんせん、SS本編の内容と全然かみ合ってないですけど、有識者の方がいましたら教えてくださると幸いです。
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/23(水) 02:35:52.41 ID:MT24QCVM0
ググレカス
上げてまで聞きたいことか?
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/25(金) 06:26:34.48 ID:h5YxuMS00
サゲキッズイライラで草
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/25(金) 20:13:04.55 ID:ZwaS6tXJ0
草キッズもイライラで草
899 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/03/12(土) 20:51:19.71 ID:D8vzWLxyo
私事で筆が進んでおりませなんですので、保守も兼ねて。

>895
あくまで自分が書いているこの世界の設定で言えば、
深海棲艦の跋扈に悩まされている諸国の協力を得て、
各国の港を借りて艦娘を秘匿しつつ運用している、という認識でいいです。

この手の設定は書き手によって全然違う
(そもそも公式が世界観について全く言及してない)ので、
書いてる文面そのまま受け取ってください。
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/13(日) 02:59:53.49 ID:4z7AbXcY0
>899
回答ありがとうございます。泊地はやはり現地政府の力を借りて成り立っていたんですね。
個人で調べたときには何も情報がなかったんですが、
やはり公式からの言及がなかったんですね。
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/16(水) 07:07:48.49 ID:2nFIThqQ0
ゲームでもラノベでも最初に設定細かくしちゃうと後々から矛盾発生したり辻褄が合わなくなっちゃうもんなぁ
ぼかしてるところ以外は個人のご想像にお任せします安定よな〜
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/16(水) 23:06:42.57 ID:SZLjXS/U0
提督「嫌われスイッチ?」明石「はいっ」
http://hayabusa3.open2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1427368381/
提督「嫌われスイッチだと?」夕張「そうです!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428849410/
魔剣転生というスレの作者ですが、断筆する事に致しました。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1602503948/

外野の反応に負けてエタった先人たち
彼らの冥福を祈りつつ我々は二の舞を演じない様に注意しよう
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/24(木) 06:58:04.24 ID:iryduEpM0
追いついてしまった…
これからが楽しみだ
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/24(木) 11:24:05.79 ID:dz9KEzXxO
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/03(日) 04:56:10.51 ID:1HxaIg8zO
そろそろ更新かなー
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/03(日) 22:16:34.90 ID:1HxaIg8zO
もうすぐ投下?
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 07:43:47.54 ID:cm8Bm4Hf0
学生にはわからんだろうけど忙しい時期だから気長に待ってるぜ
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 23:04:46.19 ID:jYevX+HJO
神風型2人の改装に沼っている可能性も微レ存
909 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:34:42.89 ID:f1G643mzo
お待たせしました、短いですが続きです。
910 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:35:31.38 ID:f1G643mzo

 * 停泊中の巡視船 貨物室 *

海風「……」

千歳「……」

足柄「不幸だわ」

泥酔した隼鷹「うーぃ……ひっく」

(座り込んだ隼鷹の足元に転がる無数のビールの空き缶と酒瓶)

L大尉「ちょっ……誰だ!?」ダッ

隼鷹「んああぁ?」ゲファア

L大尉「ぶわっ! 酒臭っ!! 目に染みるッ!?」ギャアア!

提督「なんだこりゃ……おいL大尉、こいつはお前の部下か?」

L大尉「知らないよあんな酔っ払い!」

隼鷹「……なんらぁ? 目的地に着いたのかぁ……?」ヒック

鹿島「あれは、隼鷹さん……!?」

提督「知り合いか?」

鹿島「い、いえ、知り合いではありませんが……あの方は、軽空母の隼鷹さんですね」
911 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:36:20.82 ID:f1G643mzo

香取「私も余所の鎮守府でお会いしたことがあります。同じ方かどうかはわかりかねますが」

那智「これはひどいな……何日ここにいたのかは知らないが、350の缶ビールとはいえ一人で3箱も空けるか?」

千歳「日本酒の一升瓶も数本空になってるわ。何升飲んでるの」

足柄「ああ! これ美味しいやつじゃない! 好きな銘柄なのにぃ!」

提督「こんだけ飲んだら死ぬだろ。馬鹿かこいつ」

隼鷹「んおっ、とぉ……んひっ、こんなもんれ、死にゃあ、しない、ってぇ……ひひっ」ヨロッ

提督「やれやれ、艦娘にもこういう困ったタイプがいるのか」ハァ…

千歳「ぜ、全部が全部こうじゃありませんよ!?」

提督「わかってるよ、そんなことは……」

隼鷹「おぉ〜、こっちにはいいワインがあるじゃんか〜」ゴソゴソ

海風「ちょっ、その箱は駄目です! 千歳さんも手伝ってください!」

隼鷹「おほぉ〜、美味しそうなワイン発見〜」

千歳「! それは……!」

海風「それはだめですっ!!」バッ

隼鷹「おっとぉ」ヒョイッ

海風「きゃっ!?」スカッ
912 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:37:01.70 ID:f1G643mzo

千歳「海風! ちょっと隼鷹!?」ダダッ

隼鷹「おお〜っとぉ、近付かないでくれよぉ? うっかり落としちゃいそうになるからねえ〜」

千歳「……っ!」

足柄「くうう! 人質ならぬ酒質を取るなんて! 卑怯よ!」

香取「彼女、いつの間に紛れ込んだんでしょう……いくら艦娘だからって、そう簡単にこの船に入れるとは思えないのですが」

提督「……とりあえず、部外者なんだな?」

香取「は、はい」

提督「そうか」スタスタスタ

香取「え」

千歳「ちょっ」

隼鷹「な、なんだよぉ! 近づくなって言っ……」

提督「知るか」ズイ

隼鷹「ひっ!?」ウデツカマレ

提督「おら、離せ」グッ

隼鷹「い、いだだだだ!? な、なんて力!?」
913 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:37:46.39 ID:f1G643mzo

提督「離せって言ってんだろが。腕、圧し折んぞ」ギリッ

隼鷹「に、人間なんかにそんなこと、できるわけないっしょ!? 離しなよぉ!」

提督「海風! 酒瓶落とさねえように確保しろ!」

海風「は、はいっ!」ダダッ ガシッ

隼鷹「な……!」

海風「酒瓶、掴みました!」

提督「よし、あとは隼鷹が手を離せばおしまいだ。ふんっ!!」ギュウッ!

隼鷹「い、ったあああああ!?」パッ

海風「やった……!」

千歳「海風! 早くこっちに!」

海風「はいっ!!」

隼鷹「あああ! あたしの酒えぇぇぇええ!!」

足柄「……あら? そのお酒、もしかして千歳が波大尉に贈ったやつと同じじゃない?」

千歳「そうよ。良かった、まだ開けられてなくて」

海風「私、波大尉が昇進した時に、記念に開けようって言ってたのを覚えていたんです。波大尉に持って行くつもりだったんですが……」

千歳「危ないところだったわね」
914 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:38:31.50 ID:f1G643mzo

提督「ほーう。それをお前は、あたしの酒、ってか」

隼鷹「寄って集って、なんなんだよぉ……離せ、離せよぉお!!」ジタバタ

提督「……おい、こいつ、どうしたらいい」

L大尉「えっ? そ、そうだね……とりあえずこれ以上被害が出ないように、捕まえておかないと」

鹿島「捕縛用の手錠とかはありますか?」

L大尉「クルーが知っているはずだ。取りに行ってこよう」

香取「私も参ります」

隼鷹「ちくしょう、離せ、離せぇえ〜! あたしに酒を飲ませろぉおお!」

那智「ふむ……とりあえず室内の掃除が必要だな。提督、まずは外に出ないか?」

提督「そうだな。さっさと連れ出すか」ガシッ

隼鷹「ふえっ!? ちょ、頭掴むんじゃな……あいたたたた!?」

提督「キリキリ歩け」ズルズル

隼鷹「痛い! 痛いってえの!!」ヨタヨタ

足柄「……ねえ、もしかして、准尉って強いの?」

千歳「さあ……?」
915 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:39:16.61 ID:f1G643mzo

 * 墓場島 埠頭 *

朝雲「で、積み荷のお酒の半分近くを、一人で飲んじゃったわけ?」ヒキッ

足柄「そうなの。缶ビールが殆どなんだけど、日本酒の一升瓶とかスクリューキャップのワインとかも飲まれてて……」ガックリ

千歳「せっかく海風が1か月分用意してくれたのに、これじゃ一週間もつかどうか……」ガックリ

那智「? 計算が合わなくないか?」

千歳「この鎮守府で過ごすつもりだもの。みんなにふるまわないわけにはいかないでしょ」

足柄「そうね、私たち以外に呑兵衛がどのくらいいるかだけど、人並みなら一週間くらいで見ていいんじゃない?」

海風「那智さんは飲まないんですよね?」

那智「ああ。控えさせてもらう」

朝雲「この鎮守府でお酒飲む人、どのくらいいたかしら」

山雲「う〜ん、あんまり、いないんじゃないかしら〜」

千歳「そうなの?」

白露「そもそも酒保にもあまりお酒を置いてないんだよね。墓地にお神酒で使うお酒も、ワンカップだったり紙パックだったりするし」

白露「たまに見かけても、煮物とかに使う料理酒だから飲んでもあんまりおいしくないらしいし」
916 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:40:01.53 ID:f1G643mzo

不知火「確かに……この鎮守府の艦娘がお酒を嗜んでいる場面はほぼ見ませんね」

黒潮「そうやなあ。潜在的に飲む人はおるんやろうけどな」

足柄「准尉はどうなの?」

白露「どうだろ? そもそもお酒飲んでるとこ自体、見たことないなあ」

山雲「司令さんに〜、直接訊けばいいんじゃな〜い〜?」

足柄「直接、ねえ……」チラッ


提督「……」ギロリ

隼鷹「……」ビクビク


千歳「准尉、滅茶苦茶殺気立ってるんだけど……」

不知火「……隼鷹さんを見張り中ですか」

黒潮「うち、あそこに声かけられる気せえへんわ」

白露「うん、無理だね!」
917 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:40:46.22 ID:f1G643mzo

山雲「そ〜お〜? じゃあ、山雲が〜、訊いてみるわね〜。いってきまぁ〜す!」トテテテッ

足柄「!?」

朝雲「ちょっ!?」


山雲「ねえねえ、司令さ〜ん?」

提督「……その口調は、山雲か」

山雲「ちょっと〜、聞きたいことがあるんですけれど〜、い〜い〜?」

提督「……隼鷹から目を離せねえ。お前のほうを向かないで、このまま答えてもいいか?」

山雲「いいわ〜、大丈夫〜」

提督「そうか。聞きたいことってのは何だ?」

山雲「司令さんは〜、お酒って飲むの〜?」

提督「酒は飲まねえな。特にうまいと思ったこともねえから好きでもねえし、料理には使うが特段飲みたいと思わねえ」

隼鷹「……」チラッ

山雲「じゃ〜あ〜、この鎮守府で、お酒飲む人って、います〜?」

提督「残念だがそれは知らねえな。その質問なら、よく厨房に出入りいる長門や比叡とか、仕入れしてる明石をあたったほうがいいな」
918 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:41:32.16 ID:f1G643mzo

提督「あいつらなら、厨房に置いてる酒の減り具合とか、誰が買ってくとか知ってると思うぞ」

山雲「あ〜、なるほど〜。よ〜くわかったわ〜、ありがとうございます〜」

提督「おう。L大尉が来たら教えてくれよ、はやくこいつをふん縛っておかねえと、俺の目の自由が利かねえ」

山雲「は〜い、了解ですぅ〜」


山雲「ですって〜。聞いてた〜?」

足柄「……うん、聞いてたけど、よく聞きに行けたわね」

黒潮「度胸ありすぎや……」

山雲「そ〜お〜?」クビカシゲ

朝雲「私も司令から『邪魔するな』くらいは言われるかと思ったんだけど……」

白露「そっかー、このくらいじゃ提督は怒らないのか〜」

L大尉「准尉! 手錠持ってきたよ!」

提督「おう、早く頼む」

足柄「ねえ……どっちが偉いんだかわかんないんだけど」

朝雲「まあ、そこは、L大尉が司令に迷惑かけたこともありましたからね……」

不知火「不知火も改めて欲しいと思っていますが、司令が人間関係を最初から投げ捨てていますので、改善は難しいかと……」ズーン

足柄「く、苦労してるのね……?」
919 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/10(日) 20:43:15.49 ID:f1G643mzo
今回はここまで。呑兵衛が続々と集結中です。
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/11(月) 23:20:43.20 ID:FhiWU9ow0
主さん、いくらでも待ちますので、どうかあの瑠提督とその愉快な仲間たち(テレビ局の方達)が大恥をかいたりするような出来事を書いてください!お願いします、、、、あんな処分じゃ気分がスッキリしないんです、、、、、、、、、
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/14(木) 22:03:23.11 ID:cuElg0lo0
乙、鳥海がどうなったのか気になる
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/14(木) 22:19:48.78 ID:thGCqkaF0
>>1以外が上げるの詐欺みたいなもんだわ
礼儀知らずの荒らしに粘着されたらエタりたくもなる
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/15(金) 00:48:12.64 ID:IAm3lpRM0
感想と文句の区別はつけようね
文句があるなら見に来ないでね気分が悪い
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/15(金) 21:57:10.43 ID:v7cowYdz0
乙、鳥海がどうなったのか気になる
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/15(金) 22:47:10.07 ID:3kOW1FiQ0
>>文句があるなら見に来ないでね気分が悪い
馬鹿だなクソスレを晒し上げて無理矢理見せるのがアゲガイジの性癖なのだ
926 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:29:32.59 ID:3ss71ySNo
続きです。
927 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:30:17.40 ID:3ss71ySNo

 * 拘束完了 *

隼鷹「……」

提督「これで俺も目を離していいな」フー

香取「はい、お疲れ様です」

L大尉「さてと、まずはどうしてこの船に侵入したのか、目的を聞かせてもらおうかな」

隼鷹「……ないよ、そんなの……」

L大尉「ない?」

隼鷹「あたしは厄介払いされたんだ。どうせ……あたしのことなんて誰もわかっちゃくれないし」グスッ

L大尉「……??」

足柄「なんか、複雑な事情がありそうね」

千歳「詳しく話を聞いてみたほうがいいんじゃない?」

提督「そう言うんなら、お前らがやってみるか? 千歳は艦種も近いし、話が合うかもしれねえ。L大尉、どうする?」

L大尉「そうだね……試しに任せてみようか。香取、サポートお願いしていいかい?」

香取「かしこまりました」
928 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:31:02.08 ID:3ss71ySNo

足柄「それじゃあさっそく!」ビールトリダシ!

千歳「口を滑らかにするために一献!」サカビントリダシ!

 ガシガシッ

足柄「あら?」アタマ

千歳「えっ?」ツカマレ

提督「シラフで説得しろ」

足柄「あっ!? ちょ、あ、あだだだだ!?」メキメキメキ

千歳「いだいいだいいだい!? な、な、なんですかその馬鹿力!?」ミシミシミシ

鹿島「あの……准尉さんって、あんなに細いのに怪力なんですか?」

朝雲「握力がすっごいらしいですよ?」

白露「あたしもやられたことあるけど、あのアイアンクローはしゃれになんないよ。大和さんや金剛さんでも痛がるくらいだもんね」

山風「大和さんが……?」ヒキッ

ガンビアベイ「Oh my god ...」シャッシャッ(←十字を切っている)

那智「なに、我々が恐れることはないだろう。先刻の山雲が話していたところを見ても、非常識な真似をしなければ良いだけじゃないか」

山雲「山雲も〜、そう思います〜。ね〜」
929 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:31:47.91 ID:3ss71ySNo

提督「ったく、呑兵衛のこいつから酒取り上げたってのに、お前らがこれ見よがしに飲みだしたら話にならねえだろうがよ」

千歳「わ、わかりましたから……あいたたた」

足柄「まあ、いいわ。ねえ隼鷹? 目的がない、って言ったけど、それ、どういう意味?」

隼鷹「……」プイ

千歳「だんまりじゃわかんないわ。やっぱりお酒が……」ガシッ

提督「……」ジロリ

千歳「じょ、冗談ですよ?」

足柄「っていうか、そもそもどこの艦隊の所属なのよ。別に私たちが絡まないで、そこの司令官に任せればいいんじゃないの?」

香取「それにはまず、隼鷹さんからどこの鎮守府の所属か、聞きださないといけませんね」

足柄「この島に向かう船の貨物に紛れこむくらいなんだもの、お酒を飲ませてもらえないような鬼みたいな提督なんじゃない?」

足柄「じゃなかったら、隼鷹が逃げ出すくらいの外道とか……」

隼鷹「そうじゃない……」ボソッ

足柄「えっ?」

隼鷹「そうじゃないんだよぉ……!」ボロボロボロ

千歳「!」

隼鷹「R提督に……あたしたちの提督に、会わせて貰えないんだよぉ……!」
930 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:32:31.65 ID:3ss71ySNo

隼鷹「どこ行っちゃったかも教えて貰えないし、出撃もさせて貰えない! 誰かと話すのだって制限されてる!」

隼鷹「いつ元の鎮守府に戻して貰えるかわからない上に、艦載機も全部取り上げられて外とのコンタクトも取らせて貰えない!」

足柄「……」

隼鷹「そうなったってのに、飲む以外に、何ができるってえのよ……!」

香取「R提督と仰いましたね。その方が何かしたのですか?」

隼鷹「……私の、せいなんだ。あたしが、酒の席で、提督をひっぱたいたのが悪いんだ」

香取「何があったんです?」

隼鷹「……ケッコンカッコカリ……」

香取「……!」

隼鷹「あたしはこの通り酒飲みだしさ。カッコカリとはいえ、品の良い告白なんてガラじゃないって思ってる」

隼鷹「でも、飛鷹は違う。飛鷹はあたしなんかと違ってしっかりしてるし、昔も今もお嬢様なんだ」

隼鷹「あたしだけならともかく、飛鷹も一緒に、居酒屋でカッコカリの告白をしたんだよ。そりゃーちょっとあんまりだと思わない!?」

足柄「あー……」

千歳「……それは、まあ……」

隼鷹「酒の勢いで告白なんてして欲しくなくてさあ……あたしがR提督を平手打ちして文句言ってたところを、上の人に見られて」

隼鷹「あとはもう、引き離されて閉じ込められて、まともな出番も用意して貰えなくなって。軟禁状態から逃げてきたってだけさ」
931 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:33:16.50 ID:3ss71ySNo

隼鷹「どこ行ったって装備もなけりゃ情報もないし、どうせ会えないんなら……って」

隼鷹「荷物開けてみたら酒があったから、何もかも忘れようってんで、ヤケになったってだけの話だよ……」

足柄「……」

千歳「……」

香取「なるほど。となると、R提督の居場所を探して、彼女を送り届けるのが最終目的になりそうですね」

L大尉「そうかもしれないけど、大丈夫かな? R提督が提督業を続けられなくなってたりしたら……」

香取「まだそうと決まったわけではありません。飛鷹さんの行方も含めて、確認するのが先決かと」

L大尉「うーん……」

提督「……まあ、隼鷹が痛飲するほど嘆いてるのはわかった」

千歳「提督……」

提督「話の続きはそいつが酒代を払ってからだな。無銭飲食だろ」

隼鷹「」

千歳「」

足柄「」

那智「……いや、確かにそうだが」

提督「いや、じゃねえだろ。ぶっちゃけそいつの事情なんて俺たちには知ったことじゃねえ」
932 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:34:01.41 ID:3ss71ySNo

提督「荷物勝手に開けて飲み食いすんのはよくねえよ。L大尉んとこでちゃんと働いて落とし前付けてこい」

L大尉「……まあ、確かにその通りだね。けど、僕のところに連れて行っても、ちゃんと仕事になるかどうかはわからないよ?」

提督「なんだ、嫌か?」

L大尉「ぶっちゃけると嫌だね。僕は酔っ払いは大嫌いなんだ」ムスッ

朝雲「うわー……L大尉があそこまで不快感をあらわにしてるの、私、初めて見たわ」

L大尉「酔っ払い相手に無理に飲まされた翌日、二日酔いで丸一日動けなくなったこともあってね……」

L大尉「そもそも、人がもういいと言ってるのに、無理矢理飲ませようとする神経が理解できないんだよねえ……!」イライラ

香取「そういうわけでして、L大尉はお酒を滅多に召し上がらないんです」

提督「そんな経緯があるなら当然だな。もしかして香取も酒飲みか?」

香取「嗜む程度にですけれども。まあ……晩酌のお相手がいないのが、少々寂しく思うのは否定できませんね」

提督「なら隼鷹連れてって相手してもらってもいいだろ」

L大尉「えーー?」

提督「うちにだって引き取る義理はねえよ」

足柄(押し付け合いになってるわ……)

千歳(自業自得とはいえ、隼鷹が気の毒ね……)

海風「あ、あのぉ……」

足柄「? どうしたの海風」
933 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:34:48.31 ID:3ss71ySNo

海風「准尉さんは、隼鷹さんが飲んだ分を働いて返せと仰るわけですよね」

提督「まあそうだな」

海風「もともとこの荷物のほとんどは、足柄さんや千歳さんのために持ってきた荷物です」

海風「その足柄さんたちが、こちらの……墓場島鎮守府に着任するとなれば、この荷物は全てこの島のものになります」

海風「もし、隼鷹さんもこちらの鎮守府に着任したとすれば、その荷物を盗んだ扱いにはならないのでは……」

L大尉「それだ!!」

提督「それだじゃねえよ! こっちが荷物受け取る前だぞ! ノーカンだろ!」

L大尉「いいじゃないか丸く収まるんだから!」

提督「収まるわけねえだろ!」

香取「准尉、仮に隼鷹さんを連れて帰ったとして、素直に神戸に入れると思えません」

香取「呉鎮守府からは、この島に行く人員について確認を求められています。この島に寄って、その帰りに艦娘を連れてきたらどうなるか」

提督「……なるほどな。叩けば埃が出るご身分じゃあ、連れて帰った方がどうなるかわからねえってか」

香取「はい」

提督「……」
934 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:35:31.35 ID:3ss71ySNo

L大尉「……准尉こそ、何か問題でもあるのか? ここは艦娘を匿うにはこれ以上ない場所だと思うし」

L大尉「君がさっき話した『艦娘の未来のため』には、隼鷹を含んでもいいだろうに」

提督「……おい、海風。ちょっと来てくれ。黒潮もだ」

海風「は、はい?」

黒潮「どうしたん?」

提督「L大尉たちはちょっと待ってろ。海風と黒潮はこっちだ」

海風「?」

 *

黒潮「司令はん、ゴミ袋なんか漁ってどうすんの?」

提督「さっき片付けた空の酒瓶は……あったあった、この四合瓶だったよな」ゴソゴソ

提督「海風、さっき足柄が高い奴だって騒いでた酒の瓶はこれだな?」

海風「は、はい、そうです」

提督「これを使って、ちょっと胸糞悪い芝居を打つからよ。悪いが口裏合わせててくれ」

海風「は、はあ……?」
935 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:36:16.53 ID:3ss71ySNo

提督「黙ってるだけでいいからよ。黒潮も、俺の素性を知ってる連中が声を上げないように、ちょっと黙らせててくれ」

黒潮「……何しよんの?」

提督「ちょいと、でけえ釘を打っておこうと思ってなぁ」ニタァ

黒潮「……」

海風「あの、准尉さんは一体何を……」

黒潮「んー……多分、悪いことやないと思うんやけど……」ウーン

 *

足柄「隼鷹の話、隼鷹がやったとはいえ気の毒ね」

千歳「お酒の席での話でしょう? 確かに少しは盛り上がってことが大きくなるけど……大袈裟にしすぎな気もするわ」

提督「待たせたな」

L大尉「あ、戻って……その酒瓶はなんだい?」

提督「隼鷹に訊きたいことがあってな」

足柄「あ、その酒瓶……」

千歳「さっきのいいお酒の瓶ね」
936 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:37:01.47 ID:3ss71ySNo

提督「おい隼鷹。この酒もお前が飲んだんだよな?」

隼鷹「え? ま、まあ、そうだけど……」

提督「うまかったか?」

隼鷹「??」

提督「うまかったか、って訊いてんだ」

隼鷹「ま、まあねえ……いいお酒だったよ」

提督「そうかそうか」ニッ

朝雲「……なに、あの薄ら寒い感じの笑顔」

那智「ん? そうなのか?」

不知火「ええ、そうですね……いつもならもっと不敵な感じの笑い方なのですが」

黒潮「それが、ちょいと訳ありなんよ……」ヒソヒソ

白露「どういうこと?」

黒潮「ええから、何も言わずに静かに見守っといてぇな」シー
937 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:38:01.82 ID:3ss71ySNo

提督「貴重な酒だからな。うまかっただろうさ」

隼鷹「……えーと……何が言いたいのかな……?」

提督「ああ、なんてことはねえ。この酒は俺の妻の命日に開けようと思ってたってだけだ」

隼鷹「……!!」サァァ…ッ

足柄「えええ!?」

千歳「め、命日!?」

L大尉「……そ、それは……!」

隼鷹「」カタカタカタ

提督「そうさ。妻の最後の贈り物が、全部お前の胃袋ん中に入っちまったからなあ。どうしてやろうか、ってなあ……?」ズイ

隼鷹「あっ……ご……ごめ……! ごめん……なさ……!!」ガタガタガタ

L大尉「……そ、それは、ごめんなさいで済む話か!?」

千歳「ちょ、ちょっと待って!? 准尉って既婚者なの!?」

足柄「嘘でしょ!?」

提督「ああ、嘘だぜ?」ケロッ

隼鷹「」

L大尉「」

千歳「」

足柄「」

那智「……」
938 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:39:02.08 ID:3ss71ySNo

海風「……あのう、准尉さん? 冗談にしては悪趣味ではないでしょうか」ドンビキ

提督「冗談? 俺は嘘とは言ったが、冗談にしたつもりはねえぞ」

海風「? それはどういう……」

提督「今の話が嘘にならねえ艦娘が、この鎮守府には少なからずいるんだよ」

香取「なるほど。ここには、愛する人を失った艦娘が在籍している、ということなんですね?」

朝雲「あ……!」

不知火「……」

提督「そういうこった。それも一人や二人じゃねえ上に事情も様々でな。お前らもわかるだろ?」

黒潮「うん、まあ……そうやねえ」

提督「好意を寄せていた相手を殺された奴、信頼していた相手に先立たれた奴、大事な仲間を失った奴……」

提督「それとは逆に、上に見捨てられた奴もいれば、ろくでなしから逃げてきた奴、捨て艦にされた奴もいる」

提督「そういう複雑な事情を抱えた連中がいるのに、酒を言い訳にして好き勝手するような奴は、俺としても放っちゃおけねえんだよ」

白露「うーん、そうだね〜……あたしはともかく、黒潮の話は重かったもんね」

山雲「朝雲姉は〜、そういう事情の人、知ってるの〜?」

朝雲「あ、うん……えっと、いち、にい、さん……」

那智「そんなにいるのか……」
939 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:40:03.08 ID:3ss71ySNo

L大尉「誰がそうなんだ……?」

提督「その辺は訊いてやるな。下手に刺激するとそいつがどうなるか保証できねえ。当人が話し出さない限りは余計な詮索はやめとけ」

L大尉「……そう、だな。すまない」

提督「それだけでも問題だってのに、ここは年中食糧不足の離島の鎮守府だ。食い物の恨みとなれば、どれほどのものか……」

提督「仮にそれが酒であったとしても、わからねえとは言わさねえぞ?」

足柄「確かに、御無沙汰しててお酒に飢えてた私たちとしてはね……」

千歳「すでに一度やられているものね。また次があったんじゃ、さすがにちょっと考えるわ」

隼鷹「……」シュン

提督「で? 結局どうすんだよ、隼鷹は」

L大尉「僕たちは連れて行くつもりはないぞ?」

提督「お前らにゃ訊いてねえよ。俺は隼鷹に訊いたんだ」

隼鷹「……」

提督「手っ取り早く訊くぞ。お前、生きたいのか死にたいのか、どっちだ」

隼鷹「……!」

那智「提督、貴様……!?」
940 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:40:47.86 ID:3ss71ySNo

提督「俺は死にたい奴に用はねえ。手前の望みがない奴も、手を貸したいとは思わねえ」

提督「生きる気がない奴を無理矢理生かしておいたら余計に残酷な目に遭うときもある。介錯してやるのも情けってやつだろうが」

隼鷹「あたしは……」

提督「!」

隼鷹「あたしは、死にたくなんかないよ……!」

隼鷹「あたしの提督に……R提督に、会いたいんだよ……!! 誰が、死んでやるもんか……っ!!」

提督「……はぁ、そうかよ。ったく、面倒くせえ」

不知火「司令」

提督「わかってるよ。引き取ってやろうじゃねえかよ、くそが」

香取「……准尉、お願いできますか」

提督「ま、今のところは仮で、だけどな。とりあえず決意を見せてもらおうじゃねえか」

香取「決意、と仰いますと」

提督「隼鷹、お前、酒を抜け」

隼鷹「え……?」

提督「シラフになれっつってんだよ。今飲んだ酒はR提督に会えないことに絶望して飲んだヤケ酒だ」
941 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:41:46.78 ID:3ss71ySNo

提督「その絶望の証が体から完全に抜けたら、この鎮守府への配属を考えてやる」

提督「R提督が今を何してんのかを調べんのも、それができてからだ」

提督「後で、酔っ払ってて何を言ったか覚えてねえとか、俺に無理矢理言わされたとか、酔った勢いとか、言い訳はさせねえぞ」

千歳「……少し、厳しすぎないかしら」

提督「それがなあ、俺が助けた相手に『お前に助けられなければ良かった』って言われたことがあるからな?」

提督「そうでなくとも、酔っ払いの言葉を信じるほど俺もお人好しじゃあねえんだよ」

提督「……そういうわけだから、隼鷹の酒が抜けるまではこの酒も隠しておかねえとな」

足柄「ええええ!?」

提督「当然だろが! 禁酒突きつけられた隼鷹の手前でこれ見よがしに飲む奴がいるか! ちったあ協力しやがれ!」

千歳「それは協力と言うより巻き添えよ……」

提督「嫌だっつうんなら、海風に全部持ってってもらうぞ」

千歳「協力します!」

足柄「だからお酒は置いていって!」

提督「……やれやれ」

L大尉「どうしてこう、お酒がやめられないのかなあ……」

提督「ああ……L大尉と意見があうなんて、時化が来そうだな」

L大尉「ひどいな!?」
942 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/04/18(月) 22:44:04.71 ID:3ss71ySNo
というわけで今回はここまで。

隼鷹たちの話は2スレ目の374〜参照です。
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/26(火) 14:08:27.36 ID:wlmEVjEz0
乙です。隼鷹ガンバレ
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/27(水) 09:00:01.82 ID:9+K71rV30
>>1本人がsage進行なのにアンチから執拗に上げられて可哀想
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/30(土) 13:11:25.53 ID:Zedt+PfH0
もうage sageの話やめようや。無駄にレス消費するだけだろ。俺だってこの作品が好きだからたくさん読みたい。だからあんまりレス消費せずに>>1に思う存分書いて欲しい。sageしないやつは今後ほっとけ。聞き分けのない馬鹿だと思ってもう手を出すな。俺も今後アンチに反応はしない。必要以上の発言はしない。手前勝手なお願いだが、アンチじゃないなら協力してくれ。俺の話を理解してるなら俺に対して反応はしないはずだがな。
とにかく、乙や感想は別にいいけど、読者間での言い合いはやめろってことだ。
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/30(土) 23:32:32.70 ID:vjTE+NxI0
乙です。ようやくここまで読み進めたぜ...一応他所で物書きのものまねのつもりのちんちくりんだから>>1の文才に嫉妬しつつ続きを期待しつつ全裸待機
947 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:27:01.44 ID:UtfV1pPCo
お気遣いありがとうございます。つべから来た人の中には、そもそもsageの仕組みすら
知らない人がいるであろうと思ってるので、そこまで神経質にもならなくて良いかと。

今回はちょっと小出しにしているので短めです。
948 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:29:00.84 ID:UtfV1pPCo

 * その後 執務室 *

大淀「L大尉が神戸に、ですか」

提督「ああ。いろいろあるらしいが……またここに来る機会がなくなるらしいし、白露に関係者集めてもらって盛大に見送ってやったぜ」

提督「加古の寝坊助っぷりに驚いてたが、まああいつにゃあ関係ねえしな」

大淀「それにしても、こんなにお世話になるとは思いませんでしたね」

提督「古鷹連れてきて、置き去りにして以来か……よくあそこまで持ち直したもんだ。まあ、内地勤務にもなったし、長生きはするだろ」

大淀「L大尉に運んでいただいたお酒は牢屋に保管したんですか」

提督「あそこも鍵かかってるからな。人が立ち入らなきゃ割とひんやりしてるし、置いといて味が変わったりはしないだろ」

提督「盗りに来るようならそのまま鍵かけてもいい。最悪、全部かち割って備え付けの便所に全部流しちまってもそれまでだ」

大淀「そうならないことを祈りたいですね」

提督「まあな。とりあえず鍵は俺が預かっとく。予備の鍵の管理は頼むぜ?」

大淀「はい、お任せください」

 ドタドタドタ

提督「ん?」
949 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:30:00.52 ID:UtfV1pPCo

吹雪「司令官司令官しれいかーーーん!」ガチャバーン!

提督「なんだなんだ、どうした?」

吹雪「これです! この新聞、見てください!」

提督「新聞?」

吹雪「そうです! S提督がお辞めになったときの新聞です!」

吹雪「あっちの吹雪ちゃんと話した後で、あの新聞を私に見せてくださったじゃないですか!」

提督「ああ、お前に預けるって言ってたあの新聞か」

吹雪「はい! 確かあの記事の周りに、R提督の名前があった気がしたのを思い出して……!」

提督「なに?」

吹雪「これですよね! 丁度S提督の記事の上!」

提督「おお……R提督ってちゃんと書いてるな。ショートランド泊地、っつうと太平洋の制海権の東端じゃねえか。マジで左遷扱いなんだな」

吹雪「大変なところなんですか?」

大淀「ゆるい場所ではありませんね。日本からは一番遠い泊地で補給も困難で、かつ対深海勢力の最前線ですから」

提督「長期滞在するにゃあ、少々しんどそうだ」
950 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:30:45.91 ID:UtfV1pPCo

吹雪「そこにR提督が行ってるんですね……」

提督「お前に預けたとはいえ、こんな記事のこと、良く思い出してくれたな。吹雪のお手柄だ」ナデ

吹雪「! あ、ありがとうございます!」パァッ

提督「よし、そんじゃあちょっと探り入れてみるか。この手の話は不知火と初春だな」

吹雪「初春ちゃんもですか?」

提督「不知火は真面目過ぎて、必要な要件聞いたらそこで話が終わっちまうんだと」

提督「で、初春が隣にいると、好奇心からかいろいろ質問してくれて、いろんな話が聞けて助かるんだそうだ」

大淀「たまに雑談が弾み過ぎて手持無沙汰になる、って言ってましたけどね」

吹雪「あはは……」

提督「居場所さえわかっちまえば、とっとと隼鷹連れて行きたいところなんだが……」

提督「仮にも鎮守府を脱走した奴を連れて行くわけだからな。連れて行ったら捕まりましたじゃあ話にならねえ」

提督「向こうが今どういう状態で、隼鷹が行って問題ないのか、探りを入れてから連れて行かねえとなあ」

提督「それから、隼鷹が脱走するまでにいた鎮守府の動きも確認しておきたい。艦娘の脱走だ、普通ただじゃ済まねえと思うんだが」

大淀「そちらも不知火さんに調べてもらうよう依頼しましょう」

提督「いずれにせよ、うちで隼鷹を匿う方針に変更はねえ。隼鷹の存在は誤魔化せるだけ誤魔化すさ」

吹雪「はいっ! 了解です、司令官!」
951 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:31:45.48 ID:UtfV1pPCo

提督「ところで、なんでお前がR提督の話を知ってんだ?」

吹雪「それは、食堂で隼鷹さんが泣いてて、それを千歳さんたちが慰めてたのを見たからです」

吹雪「そのときにR提督の名前が聞こえてきて、どこかで見覚えがある気がして……ふっと思い出したんです」

提督「食堂? あいつら、酒は入ってたか?」

吹雪「うーん、それはわからないです。隼鷹さんは明らかに酔ってたっていうか、お酒が入っていたような気がしますけど」

提督「隼鷹はここに来るまでにしこたま飲んでたからな。酒が抜けるまではこれ以上飲むなって言ったんだが」

吹雪「あの、飲んでいたのがお水かお酒かは、私の見た感じではちょっと……」

提督「涙流すにも水は必要だからな。何も飲ませねえわけにはいかねえし……まあいい。酒が抜けないなら見捨てるだけだ」

吹雪(……本当に見捨てるかなあ? なんでかんで口を出して無理矢理にでもシラフにさせそうな気がするんだけど)

提督「これを機会にちったあ酒の量減らす努力があってもいいよな。ショートランドだって酒がたくさんあるわけじゃねえだろうしよ」

大淀「減酒ですか……難しいと思いますよ?」

提督「減らすのすら、か?」

 コンコン

提督「!」

那智「私もそう思うぞ。酒を減らすには、それなりに覚悟が必要だ」スッ

吹雪「那智さん!」
952 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:32:45.76 ID:UtfV1pPCo

那智「失礼する。執務室のドアが開けっ放しというのは、少々感心できないな?」パタム

吹雪「も、申し訳ありません!」ビシッ

那智「食堂の3人の様子を見てきたが、アルコールの類は摂っていないようだ。隼鷹にしても、もう2日も我慢すれば完全に抜けるんじゃないかと思う」

提督「わざわざ見てきてくれたのか?」

那智「ああ、私も気になっていたからな。私が話した感じでは、落ち込んでいる隼鷹を、足柄と千歳が慰めている状況だったが……」

那智「私には、隼鷹を慰めたいのが半分、自分たちが早く酒を飲みたくて隼鷹を頑張らせているのが半分といったふうに見えたな」フフッ

提督「やれやれ……」

大淀「お酒の管理は厳重にした方が良さそうですね。明石にも伝えておきます」

提督「ああ、そうしてくれ」

那智「それから提督。これを預かっておいてくれないか」ゴト

提督「なんだ? 酒か?」

大淀「ウヰスキーですね」

那智「この達磨は、向こうの鎮守府を出るときに、事情を知っている士官から餞別代りに持たされたんだ」

那智「とはいえ、私は当分酒を控えるつもりでいる。なので、貴様に預かっていてほしい。飲んでもらってもかまわない」

提督「開ける気はねえが……わかった。とりあえず、預かっとく」

那智「ああ、よろしく頼む」ニッ
953 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:33:30.62 ID:UtfV1pPCo

那智「それにしても、隼鷹についたあの嘘にはヒヤリとさせられたぞ。貴様が嘘だと告げたときも、冗談ではないと告げたときもな」

那智「考えさせられたとはいえ、隼鷹は生きた心地がしなかっただろうな」

吹雪「? あ、あの、いったいどんな嘘をついたんですか?」

那智「ああ、隼鷹が盗み飲みした酒の一本を、提督が、死んだ妻の形見だと言ったんだ」

吹雪「うわ……」ドンビキ

提督「うわ、じゃねえよ。そのくらいのことを言わねえと、ことの重要性を認識しねえだろ。素面ならまだしも泥酔してたんだぞ」

提督「冷や水浴びせて目ぇ覚まさせた上で、でかい釘を刺しとかねえと、隼鷹が歓迎されない可能性だってあるんだからな」

大淀「どういうことですか?」

提督「隼鷹の場合、R提督が生きていれば幸せになる可能性が残ってる」

提督「もしかしたら、それがここにいる他の艦娘の嫉妬を生むかもしれねえと思ってんだ」

大淀「嫉妬……?」
954 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:35:04.09 ID:UtfV1pPCo

提督「隼鷹はR提督と再会できる可能性があるのに対して、うちの艦娘の中には慕っていた相手に先立たれてて二度と会えない奴らがいるだろ」

吹雪「ああ……」

提督「隼鷹が迂闊なことを言って、そいつらの不興を買うようなことは避けたいんだ」

提督「ぶっちゃけ、隼鷹みたいに望みがありそうな奴には、とっととこの鎮守府から出て行ってもらいたい」

提督「幸い、R提督がどこに行かされたかもわかった。無事を確認できりゃあ、あとは連れて行ける状況を作るだけだと思ってる」

提督「うちの連中と交流するのが悪いとは言わねえが、幸せになる道がある程度見えてる奴に、これ以上不幸になるような余計な寄り道歩いて欲しくはねえな」

大淀「確かに、そうですね……」

提督「隼鷹の話を聞く限り、自分の身内への告白を蔑ろにされたことに憤ってたみたいだし」

提督「もともとは他人を思い遣ったりできる奴だと思ってる。それを思い出せたんなら、言い方に注意するのも大丈夫だと思いたいな」

那智「ふむ……言い方にしろシチュエーションにしろ、随分と容赦ないなと思ったが、あれは貴様なりの試金石だったということか」

提督「そこまで大仰なもんでもねえがな。もし、あの嘘を理解できないくらいに頭がアルコール漬けになってたんなら、最初から隼鷹は見捨ててたぜ」

提督「あとは隼鷹が、自分が幸せになることに臆病にならないことを祈るだけだな」

吹雪「うわあ……」ドンビキ

大淀「提督がそれを言いますか……」ドンビキ

提督「なんで引くんだよ、くそが」

那智「?」
955 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/05/01(日) 23:38:28.29 ID:UtfV1pPCo
というわけで今回はここまで。

おそらく、もう一回くらい投下したら、
次のスレを立てることになると思います。
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/03(火) 22:15:51.52 ID:qIiZUc5v0
乙です。提督、ドンマイb
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/04(水) 09:06:59.07 ID:ACLHXSgA0
次回あたりが伊勢&日向くらい?
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/06(金) 17:18:15.27 ID:rYV+b3N9O
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/13(金) 22:08:26.05 ID:zTVyrmoc0
投下乙乙です。最近忙しくて見れてませんでしたがもうこのスレも埋まっちゃいそうですね。
隼鷹さん、見かけたことがあると思ってたけどあの時に出てきてたのか
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