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【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」

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654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/31(日) 04:59:43.11 ID:1Zz/4l1GO
>>653
もう最終回っていうか最後どうなるかは完結してるよ
655 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:55:36.04 ID:txAHe89eo
続きです。
656 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:56:15.97 ID:txAHe89eo

 * 夕食後 会議室 *

留提督「8時消灯!? いくらなんでも早すぎだよ!」

提督「阿呆か。この鎮守府で夜中に騒ぐ必要がどこにある」

遠大佐「鎮守府そのものの防衛は大丈夫なのか……!?」

提督「うちの場合はこれまでこうやってやり過ごしてきたからな。そもそもこの辺の不安定な潮の流れのせいで寄ってこないってのも一因だ」

提督「それに、発電機の燃料代が馬鹿にならねえ。だから基本的に夜間は通信機と保冷庫を動かす電力だけ確保して節約運転してんだよ」

提督「ま、今夜はお前らがいるから、大和たちを夜間哨戒させてしのぐつもりだ」

留提督「え、大和を外に出すの?」

提督「万一に備えてうちの艦娘に見張らせんだ。やらなくていいってか?」

留提督「あ、いや……うん、しょうがないか……」

提督「寝室も一応用意した。寝るだけの部屋なんで、晩酌はここで済ませてからそっちに移動してくれ」

提督「部屋割りは遠大佐と秘書艦の雷で一部屋、留提督とテレビスタッフ7人は4人ずつで二部屋。誰がどっちで寝るかは適当に決めてくれ」

提督「あとは遠大佐の艦娘3人で一部屋、足柄と千歳が2人で一部屋。寝室の場所も広さもばらばらだが、まあ我慢しろ」

留提督「我慢しろ、ってその言い方……」イラッ
657 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:57:01.18 ID:txAHe89eo

提督「それから、艦娘たちはすぐに寝るそうだ」

留提督「えええ!? 一緒に呑まないの!?」

提督「艤装もねえし、役には立てないから、大人しくしてるとよ。だから酒の席も遠慮するって話だ。だよな、遠大佐?」

遠大佐「ああ。我々も今日は早めに就寝する」ウナヅキ

留提督「なんでそこで付き合いで一緒に呑めとか言わないんだ……!」ブツブツ

提督「そういうわけなんで、今さっき鹿島たちを風呂へ案内した」

留提督「えええええ!?」ガタッ

提督「何をそんなに驚いてんだよ」

留提督「……いや、なんでもない」ストン

提督「? よくわかんねえな……」

提督「とにかく、夜間哨戒のためにうちの艦娘は大半が海に出る予定だ」

提督「その分、鎮守府の中で何かあっても対応できねえから、くれぐれも、大人しくしてろよ?」ギロリ

全員「「……」」

提督「風呂については、大浴場の隣に個室の風呂が3つ併設してある」

提督「今は鹿島たち3人が入ってるから、出たら次に足柄と千歳を呼ぶ。あんたたちはその後でいいな?」
658 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:57:46.36 ID:txAHe89eo

遠大佐「私と雷は一緒で構わないぞ」

提督「……は?」

雷「どうかしたの? 准尉さん?」

提督「一緒に入るのか? 風呂に……」

雷「ええ! いつも私が司令官の背中を流してあげてるのよ!」

提督「」

クルー2(准尉が固まった……)

留提督(さすがにロリは範囲外……なのか?)

クルー1(如月はロリじゃないのか……?)

提督「……お前らも風呂に入りたいなら20時までに申請しろ。人数が多いから時間は守れよ、これ以上の特別扱いはしねえ」

クルー5(考えるのを拒否して話題を変えたな……)

留提督「個室にお風呂はついてないの?」

提督「ねえよ、そんなもの! ぶっちゃけ真水も蝋燭も貴重品なこの島で、そんな要求通ると思ってんじゃねえ」イライラ

留提督「……」

提督「ここで飲み食いするときも、電池式のランプは貸してやる。満月だから月明かりでも十分だと思うがな」
659 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:59:00.77 ID:txAHe89eo

提督「それから風呂の希望者はいねえのか? いなけりゃ風呂場が開くのは明日の朝だぞ」

クルー1「入らせてもらいましょうよ、汗もかいたし……」

クルー6「留さんの服も洗っとかないとまずいっすよ?」

クルー7「寝るときはパンツ一枚でもいいと思いますけど……」

クルー5「余所の番組でも野宿するようなロケあるじゃないですか。風呂に入れるならありがたいもんですよ」

クルー1「下着も使い捨てで買っておきましょうよ。経費はうちで出しますから」

留提督「……しょうがないなあ」ムスッ

クルー5「そんならついでに俺たちの下着も買いましょうよ。贅沢言ってられないんですから」

クルー2「お前、経費って聞いたからそれ言い出しただろ」

クルー1「自腹切れ、自腹」

クルー5「ひっでぇ!?」

 ハハハハ…

提督「……風呂の解放は19時15分から19時45分までだ。酒保はその前後15分開けておく」

提督「19時から20時までは案内役に武蔵を付けさせる。昼間みたいに逃げ出そうものなら、覚悟しておけよ……?」
660 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 17:59:46.09 ID:txAHe89eo

遠大佐「それは私から言って聞かせておくよ。これ以上君に手間はかけさせない」

提督「……? だといいがな。んじゃ、俺は執務に戻るぞ」

 扉<ガチャッ

伊8「あ、出て来た」

榛名「提督!」パァッ

提督「なんだお前たち、わざわざ部屋の外で待ってたのか?」

伊8「はい」コク

榛名「提督、今夜、榛名はお部屋にお邪魔いたしますね!」

全員「「!?」」ギョッ

提督「なんだそりゃ? 別にいいけどよ」

全員「「!?!?」」

榛名「本当ですか!? 榛名、感激です!!」ウデニダキツキー

全員「「」」
661 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:00:31.08 ID:txAHe89eo

提督「そんな話、別に今じゃなくてもいいだろ。で、はっちゃんは何の用だ」

伊8「はっちゃんは榛名さんの付き添いです。報告は報告でありますけど、それは執務室に戻りながら話します」

提督「ん、そうか……」

 扉<バタン

クルー4「……行ったか……」

クルー5「なんだったんだ、今の……」

クルー7「部屋に行くとか言ってたよな……」

クルー1「やっぱりそういうことなのか……?」

留提督「イチャイチャしやがって……本っ当にむかつくやつだな、あの准尉ってのは」イライラ

雷「もう、留提督! もともと私たちを追い出すつもりだったのに、お夜食まで出すって言ってくれたんだから、ひどいこと言っちゃだめよ?」

留提督「う……」

遠大佐「まあまあ、雷も落ち着いて」

雷「でも司令官? 私、いろいろと気になるわ! 加古さんたちを連れ戻すなんて話、もともとなかったじゃない!」

雷「いろんな鎮守府に聞いて回ったでしょ? 轟沈した艦娘は呼び戻しちゃ駄目だって!」

遠大佐「雷……」

雷「司令官、私は心配なの……司令官は、なにか無茶なことをしようとしてない……?」

遠大佐「大丈夫だよ雷。不安にさせてしまったのなら謝る。だが、心配はいらないよ」ニコ

雷「司令官……!」
662 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:01:15.95 ID:txAHe89eo

遠大佐「……ああ、そうだ、ところで雷。私たちがどの部屋に泊まるか聞いてなかったな。准尉に部屋がどこか聞いてきてもらえないか?」

雷「! そういえばそうね! 私が聞いてくるわね! 准尉さーん!」

 扉<ガチャバターン

遠大佐「……留君」テマネキ

留提督「は、はい」チカヨリ

 グイ

留提督「!」

遠大佐「君の思い通りにならずに苛立っているようだが……」ヒソヒソ

遠大佐「君に望みがあるように、私にも私の望みがあるからこそ、君に全面的に協力しているんだぞ?」

遠大佐「ここで君が軽率な行動をとろうものなら、君にも私にも未来はない」

留提督「……そ、そうかもしれないけど」

遠大佐「我々の……君たちの目的は、轟沈した艦娘を救い出し、英雄として君を海軍に大々的に迎え入れることだ。違うのかね」

遠大佐「いくら君のお父様が海軍に顔が利いたとしても、私の地位を君に譲るつもりだったとしても……」

遠大佐「今、ここにいる君は、私の客将だ。弁えたまえ……!」

留提督「……っ!」

 扉<コココンッ

雷「司令官! お風呂の後に教えてもらうことになったわ! お風呂へ行くときに私たちの荷物も持っていきましょ!」ガチャー

遠大佐「おお、そうか! それじゃ、準備しようか!」ニコニコ

留提督「……」
663 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:02:00.87 ID:txAHe89eo

 * 執務室へ向かう廊下 *

提督「やっぱり、あいつは鹿島を狙ってるってか」

伊8「鹿島さんたちからこれまでの反応を聞く限り、鹿島さんに好意っていうか下心を持ってる、って感じですかね」

提督「下心ねえ……」

伊8「榛名さんをあの場でけしかけたのも、ああいうシーンを見せておけば動揺するかと思いまして」

提督「お前の仕業かよ。で、どうだったんだ?」

伊8「すっごい反応してましたよ。表情が死んでるのに目が殺気立ってたっていうか、これ以上なく嫉妬してたっていうか」

提督「……」

伊8「あ、それと、はっちゃん見てる人も結構いましたよ。胸部とか臀部とか脚部とか。ちちしりふとももってやつですね」

提督「その表現……」アタマオサエ

伊8「黒潮ちゃんの危惧してた感じになりそうですか?」

提督「まー、そうなりそうだな……そうなって欲しくねえけどよ」

伊8「……最初から本性が見たくて煽ってたのに、今更になって怖じ気づいてるんですか」

提督「風呂に案内した時の鹿島の落ち込み様が半端なかったからな。萎縮しまくってて消え入りそうって言えばいいのか」

提督「艤装がなくて戦力にならねえ上に、この鎮守府に迷惑かけるって立場なもんだから、目に涙いっぱい溜めててよ」
664 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:02:46.66 ID:txAHe89eo

提督「罪悪感が少々キツいが、あいつらを暴走させるための餌だからな。悪いが人身御供になってもらうさ」

伊8「奇稲田比売ですね」

榛名「くしなだひめ……?」

提督「八岐大蛇の生贄に差し出された娘だよ。須佐之男が助けて嫁にしたっていう」

榛名「よめですか!?」

提督「どこに反応してんだよ」

伊8「提督は鹿島さんのことはお嫁さんにしないと思うけど」

榛名「そ、そうですよね!」

提督「つうか俺は結婚しねえから嫁も何もねえよ、って何度も言ってんだろ」

榛名「そ、そうですよね……」シュン

提督「お前はさっきから極端だな。ほれ、少し元気だせ」アタマナデナデ

榛名「はいっ! 榛名は大丈夫です!!」シャキーン キラキラキラッ

提督「だから極端に元気になりすぎだろ……少しでいいんだぞ」

伊8(ちょっとうらやましい)ムー
665 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:03:31.14 ID:txAHe89eo

提督「ま、ともかくだ、何事もなきゃあそれでいい。明日の朝になりゃあ中佐の息のかかった連中が、遠大佐たちを連れ戻しに来るからな」

伊8「だったら、何もしなくてもいいんじゃないですか?」

提督「俺があいつらにお灸を据えたいだけだ。勝手が過ぎるし、牢屋にぶち込んで一晩見張っておかねえと、何しでかすかわかんねえ」

提督「つうか、今一番の気になるところは遠大佐の企みだ。できればそっちを汲み取りたいんだが……あの秘書艦も、どこまで知ってんのかね」

伊8「なんとなくですけど、あまりよくわかってなさそうですね?」

提督「んー……やっぱそういう感じか。あの駆逐艦にとってろくでもねえ話じゃなけりゃいいんだが」

伊8(他人の秘書艦なのに、心配し過ぎだと思うんだけど)

榛名「提督は、人には厳しいですけれど、艦娘には本当にお優しいですよね」

提督「!」

伊8「!」

榛名「榛名、少し焼きもちを妬いてしまいます」シュン

提督「……」

伊8「……」

提督「俺、そんなに甘いか?」

伊8「少しは自覚したほうがいいと思いますよ?」ジト
666 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:04:16.04 ID:txAHe89eo

 * 21:00 会議室 *

朝雲「お刺身お持ちしましたー!」

電「空いたお皿はお下げするのです」カチャカチャ

吹雪「焼酎と氷とお水、ここに置いていきますね! 失礼しました!」ペコリ

 扉<ガチャ パタン

クルー7「ぐへへ……駆逐艦は可愛いなあ」ヒック

クルー4「お前なあ……」

クルー7「なーにカマトトぶってんですかセンパーイ。知ってますよ、4さん、俺と同じ趣味の先輩でしょー?」

クルー4「ぐ……っ」

クルー7「あー、つくづくここに雷ちゃんがいないのが寂しいぜ。あの子にお酌して欲しかったなあ」

クルー1「遠大佐がそれを許してくれるかねえ? それより、4ちゃん酒が足りねーな。昼間の話、まだ気にしてんのかよ」

クルー4「え、ま、まあ……」

留提督「昼間の話ってぇ、提督に歯向かう艦娘がいるって話?」

クルー4「そ、そうです」

留提督「そりゃあれだよ、外れ引いたんだよ、外れ。遠大佐のとこの艦娘も、ここの艦娘もみんな従順じゃん」

クルー5「あの横暴な提督准尉の言うことを、ここの艦娘は全員大人しくきいてんだぜ? 何かあったに違いないよなあ」

クルー1「ああ。ありゃー間違いなく、ヤることヤってるよな」

クルー7「うわー、マジすか!?」
667 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:05:01.22 ID:txAHe89eo

クルー1「俺がたまたま准尉の部屋に入ったとき、大和とか金剛とかいたからなあ」

クルー7「駆逐艦は!?」

クルー1「そういやいたよ、一人いた!」

クルー7「うっわああああ! マジすかあああ!!」

クルー5「真っ黒確定っすね!」

留提督「ってことは大和は中古かあ。もらっちゃおうと思ったけど、どうしようかなあ」

クルー2「もらうだけはもらっちゃいましょうよ。なんでも資材を大量消費するから、使いづらいらしいですよ?」

留提督「そうなんだ?」

クルー2「練度上げるだけなら、鹿島と一緒に演習だけに出すといいとか聞きました!」

留提督「ふーん……」

クルー5「いやー、それにしても鹿島って子、めっちゃエロいっすよね!」

クルー7「ほんとほんと、目の保養目の保養」

クルー2「お前ロリコンじゃなかったのかよ」

クルー7「見るだけならなんでもいいぜー? 手は出さねえからいいだろー?」

 ギャハハハハ…

クルー6「……」
668 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:05:46.14 ID:txAHe89eo

クルー6(話のノリについていけねー……)

クルー6(俺も3さんみたいに外に行きゃー良かったかな)グビッ

留提督「……」ポケー

クルー1「? どうしました?」ヒソヒソ

留提督「んー? ああ……鹿島ってマジでイイ体してんだよなあ。顔も小悪魔チックでよー……どう見ても男誘ってるとしか思えねー」

留提督「思い出したらもうムラムラしてきててさ。さっき便所に行ったとき、見張りらしい見張りがいなかったから……」

留提督「やるなら今がチャンスなんだよ。今頃ベッドでおやすみなんだろ? ……なあ?」

クルー1「お……ということは」

留提督「……やるか?」

クルー1「やりますか!」

留提督「ああ……ただ、ノリの悪い陰キャにチクられても面白くないし、なあ」チラッ

クルー5「6のやつですね……それだったら俺にいい考えがありますよ」コソッ

クルー5「千歳と足柄の部屋に連れてってサシで飲ませてやるんです」

クルー1「え?」

留提督「あいつそういう趣味なの?」

クルー5「あの二人と挨拶した時、顔赤らめてましたからね、あいつ」

クルー1「よく見てんなあ」ククッ

留提督「怖え〜」ヒヒッ
669 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:06:30.87 ID:txAHe89eo

クルー5「共犯者は多い方がいいっすからね。俺がここから連れ出して部屋に押し込めますんで、その隙に行っててください!」

クルー1「いいのか?」

クルー5「適度に出来上がったあたりで俺も後から合流しますんで、先に楽しんでていいですよ!」

クルー7「?」

クルー4「何の話だ?」

クルー6「?」

クルー5「よお、6! お前、ちょっと付き合え!」ガシッ

クルー6「えっ!? な、なんすかいったい!」

クルー5「お前が一人で寂しそーに飲んでるから、いいトコロに連れてってやろうって話じゃねーか!」グイッ

クルー6「は、はあ!?」

クルー5「ほら、ビールとつまみ持てよ!」オシツケ
670 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/10/31(日) 18:07:26.32 ID:txAHe89eo

 * 鎮守府内 廊下 *

クルー5「さっきの駆逐艦、あの二人が9時まで厨房手伝うって言ってたよな? だとしたらそろそろ部屋に戻ってくると思ったんだが……」キョロキョロ

クルー6「ちょっと、勝手にうろうろしていいんすか……!?」

足柄「あら? あなたたち、どうしたの?」

千歳「飲み会はもうおしまい?」

クルー6「あ……!」

クルー5「いえいえ、待ってたんですよ、お二人を!」

足柄「待ってた? 私たちを?」

クルー5「そうそう。こいつ、俺たちと飲んでても全然楽しそうじゃないんで! だったら仕事してきた二人を労ってこいよと!」

クルー6「え? ええ、えええ!?」オロオロ

足柄「ふーん……まあ、やぶさかではないけど?」

千歳「……そうね。缶ビール1本くらいなら、付き合ってあげてもいいかしら」

クルー5「よぉし! それじゃあ、こいつのことはお願いします!」バシッ

クルー6「痛ってえ!? ちょっ、お、俺一人すか!? どこ行くんです!」

クルー5「野暮用! あと小便だ!」

クルー6「……」

千歳「なんだか大変ねえ」

足柄「それじゃ、軽くいただきましょうか」

千歳「ほら、君も早く部屋に入って」

クルー6「……は、はい」セキメン
671 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2021/10/31(日) 18:08:20.80 ID:txAHe89eo
というところで今回はここまで。
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/01(月) 06:45:44.02 ID:hU3aM3xE0
投稿お疲れ様です!毎回楽しみです。あいつら(クルー6以外)に何かバチが当たれと思います。
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/01(月) 18:08:19.46 ID:HM+/2D7H0
6が不憫だなぁww
この調子で行ったら明日朝にとんでもないことになる予感...
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/01(月) 23:11:49.56 ID:E47MV3sY0
墓場島艦娘の事情知ってるからこそ留とクルーの態度が腹立つ
これだと提督のED発覚した時の反応が気になるな〜
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/04(木) 09:03:35.21 ID:SFmAUNwlO
普通に提督が無能なだけだろ

1人くらい見せしめで首でも引きちぎればよかったのに
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/04(木) 13:12:39.67 ID:8a1Fwen70
>>675
んなことすればもっと面倒なことになるからやらんやろ…さすがに
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/06(土) 19:13:57.14 ID:iVU0iCaX0
コイツらマワす気なのか…何て外道な…
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 21:34:04.89 ID:QFZZCwjk0
>>672 >>677
sageしような
679 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:27:41.62 ID:xRpQIcl0o
少々短めですが、続きです。
680 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:28:45.98 ID:xRpQIcl0o

 * 鎮守府埠頭 *

 ザザーン…

クルー3「……」

クルー3(わからないな……)

クルー3「……」

クルー3(ここの准尉は、轟沈した艦娘を私兵にして好き勝手していると聞いていたが、だいぶ話が違うようだ)

クルー3(准尉のあの態度からして、余程島に入られたくない、後ろめたいことをしているのかと思ったが……)

クルー3(艦娘たちは、話を聞いたように閉じ込められて虐げられているようでもなければ、性的な関係を強いられているようでもなかった)

クルー3(もし、ここの誰かが苦しんでいて、外部に助けを求めたいというのなら、俺の取材に誰かしら答えてくれてもいいはずなのに)

クルー3(まさか逆に、この島から出て行けと忠告されてしまうって、どういうことなんだ……?)

クルー3「……」

クルー3(そもそもこの島に来たのは、留さんたちのせいで沈んだ艦娘の回収のためであって)

クルー3(加古や鳥海を連れて行くことができればそれで良かったんだ)

クルー3(だが、鳥海はともかく、加古が反抗して帰るのを拒否した……これがまたわからない)
681 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:29:30.58 ID:xRpQIcl0o

クルー3(遠大佐の鎮守府を見学させてもらったときも、あの個性的な艦娘たちがちゃんと言うことを聞いていたし)

クルー3(轟沈したとはいえ、数日前までは遠大佐の下にいた艦娘が、明確に嫌だと反発する姿なんて初めて見た)

クルー3(轟沈して心変わりするのなら、同じ海軍にいる准尉にだって反発するだろうに……)

クルー3「……」

クルー3(そもそも、艦娘は、艦隊の司令官である提督には忠実で、彼の号令の下、命を賭して戦うものだと思っていた)

クルー3(それが、轟沈もしていないのに命令に歯向かっただの、鎮守府を火の海にしただの、他の艦娘に嫉妬しただの……)

クルー3(あの艦娘が言っていたことが本当だとしたら、あまりに想定外過ぎる)

クルー3(艦娘が人間に反抗しないという前提があるから、留さんみたいな我儘な人でも艦隊の指揮ができそうだと思っていたのに)

クルー3(そうじゃないとなると、あの人に制御しきれるのか? この企画、最悪途中で投げ出すかもわからないぞ……?)

クルー3(もしそうなったら、誰が責任を取るんだ……? いや、責任なんてレベルになるのか……!?)

クルー3「……」

クルー3(考えれば考えるほど矛盾してくるな……民間人から『提督』に適性のある人材を募ったというが、どのくらい成功してるんだ?)

クルー3(准尉だってそうだ。あの傍若無人な態度で、どうやってこの鎮守府の艦娘を従えてきたんだ?)

クルー3(色目を使ったり媚を売ったりするようなタイプには思えないし……)

クルー3(かといって無理矢理言い聞かせるようなタイプなら、彼に反発する艦娘だって出るはずだ)
682 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:30:16.27 ID:xRpQIcl0o

クルー3(それなのに、加古は彼には反発するような素振りを見せてない……)

クルー3(准尉は、この島でいったい何を任されているんだ……?)

クルー3「……」

クルー3「……」

クルー3(わからない。まったくわからない)

クルー3(……なにかあるはずだ、この島にしかない何かがあるはずなんだ。あの艦娘が言ったことを思い出せ)メモトリダシ

クルー3(ここは、轟沈した艦娘が集まる島……准尉以外に人間はいないと、あの艦娘は言った)

クルー3(誰も近寄らない理由がある。問題はそこだ……なんでこの島がそんな扱いなのか)

クルー3(なんでこの島に誰も近寄らないのか、それがわからないと何が悪いのかがさっぱりわからないぞ……?)

 ザザーーン…

クルー3「……艦娘が、この近海で哨戒してるんだったよな」

クルー3「地道に聞き込むか……」
683 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:31:00.70 ID:xRpQIcl0o

 * 千歳と足柄の部屋 *

足柄千歳「「カンパーイ!」」カンッ

クルー6「か、乾杯……」カンッ

千歳「……」グィーーーッ

足柄「……」グビグビグビ

クルー6「……ふ、二人とも、すげー飲みますね……」

足柄「ぷはぁ……んー、まあね。割と飲む方じゃない?」

クルー6「割と……」アッケ

千歳「そうね、でも今日は控えめにしてるわよ?」

クルー6「ひ、控えめっすか……!?」

足柄「控えめよ控えめー。というか、あなたも今時珍しい控えめな子よね? テレビ局のスタッフにしては、大人しいっていうか」

千歳「そうねえ? 取材なんかだともっとぐいぐい来る人ばっかりだったけど」

クルー6「や、まだバイトで、入って1か月なんすよ……思い切って入りのいいバイト探してたら受かりまして」

足柄「それで初仕事がここなの?」
684 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:31:46.11 ID:xRpQIcl0o

クルー6「ええ、まあ。シンカイセーカン? ってのが暴れ始めてから、景気悪くなって入る予定だった会社が潰れて」

クルー6「それからは浪人しながら自転車であちこち回って、就活しながらバイトで食いつないでたんですけど」

足柄「苦労してんのねえ」

千歳「で、まだ就活してるの?」

クルー6「ええ、まあ。人に恵まれないっつうか、どーも上司が問題ある人ばっかりで……正社員は夢のまた夢っす」

クルー6「こんなだから、誰かと仲良くなる前に、はいさよーなら、ってばかりで。パスポートもとったのにそこじゃ使わないまま辞めましたし」

クルー6「今の職場にバイトで入ってからも、荷物持ちと接待ばかりで出会いもなくて……人の名前や物や場所を覚えるだけで精一杯すよ」

クルー6「研修期間なんかも全然作ってもらえなかったし……なんかすいません、俺、愚痴ってばっかっすね」

千歳「それはいいわよ。いきなりこんな島に連れてこられて、気の合う人もいなくて、そんな気分になっちゃったんでしょ?」

クルー6「あ、いや、まあ……3さんにはそれなりに気にかけてもらってたんすけどね」

千歳「ああ、あのちょっと張り切ってた人?」

クルー6「ええ。報道の関係者の乗った船が襲われた事件、あったじゃないすか。あの船に仲のいい人が乗ってたみたいで」

クルー6「かたき討ちのために艦娘の取材をして、そんで少しでも艦娘の活動を支援しよう、って感じで張り切ってるんす」

クルー6「で、まあ、今回の取材も、沈んだ艦娘を返さないで独り占めにしてる人から取り返そうって話みたいで」

足柄「え?」
685 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:32:30.51 ID:xRpQIcl0o

クルー6「協力的ならそれはそれで交渉を……って、なんか俺、変なこと言いました?」

千歳「ええ……だいぶ変よ?」

足柄「轟沈した艦娘は、深海棲艦になる可能性がある、って話、聞いたことないの?」

クルー6「え……」

千歳「おかしいと思ったのよ。留提督が一方的に話を進めてるから、話が伝わってないのか確認したかったんだけど」

足柄「これで確信犯だってことが判明したわね。意図的にこっちが口を挟む暇も与えてくれなかったってことかしら」

クルー6「ちょっ、待ってください、艦娘が沈むと深海棲艦になるんすか……!?」

足柄「実際に見たことはないけど、そうだって言われてるの」

クルー6「それ、3さんも知らないすよ、多分……つか、その話、本当なんすか?」

クルー6「本当だったら留さんたちだって、そんな危ないことしようなんて考えないはずっすけど……!」

千歳「本当か、って言われると、それがわからないのよ。実際に誰かが見たわけじゃなくって、過去にそういうことがあったから、ってだけよね?」

足柄「確かに言われてみれば……この島に流れ着いた艦娘も、深海棲艦になったって話は聞いていないし……」

足柄「でも、この島だけの特例なんでしょ? 轟沈した艦娘を運用していい、って話自体が」

クルー6「マジすか……」
686 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:33:15.85 ID:xRpQIcl0o

千歳「むしろそれ以外でも評判悪くて、みんなこの島に近寄らないって話だものね」

クルー6「え、なんすかそれ」

千歳「この島に立ち寄った人は、みんななにかしらの災難に遭ってる、って話よ」

クルー6「えええ……」

足柄「……実際、波大尉も、この島への上陸こそしなかったけど、あの後荒れまくったしねぇ……」

千歳「まあ、ひどかったわね。喧嘩別れになっちゃったのが本当に悲しいわ」

足柄「あれってさ、自分の幸福論を全否定されても仕方がない人と出会っちゃったのが致命的だったわよね、やっぱり」

千歳「だからって准尉を責めるのも筋違いだし、こればっかりはねえ……」

クルー6「もしかして……俺たち、すごい場所に放り込まれた感じっすか」

千歳「そうかもしれないわね。私たちもどうなることやらだけど」

 * * *

 * *

 *

687 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:34:00.45 ID:xRpQIcl0o

 * 鹿島たちの部屋 *

ガンビアベイ「Zzz...」

山風「」スヤァ…

鹿島「……」

鹿島「……」

鹿島「……眠れない……!」

鹿島「仕方ない……わよね。いつもなら夜間演習で駆逐艦のみなさんを指導してる時間なのに……」ムクッ

鹿島「みんなは、どうしているのかな……」

鹿島「……」

鹿島「どうして遠大佐は私たちを連れてきたのかな……」

鹿島「こんなことを、している場合じゃないのに……」ウツムキ

鹿島「……」

鹿島「……?」
688 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:34:45.60 ID:xRpQIcl0o

鹿島「窓の外に誰か……?」スクッ

 スタスタ…

 窓<ギィ…

鹿島「……」

鹿島「……」

鹿島「誰もいない……誰かの気配があったような気がしたんだけど」

鹿島「……」

 扉<コン…コン…コン…

鹿島「……!?」

鹿島(弱々しいノックの音……!?)

扉の外からの声「た……す、けて……だれ、か……」

鹿島「こ、この声……テレビクルーの……」

声「クルー1……です……」

鹿島「ど、どうしたんですか!」

声「腹が……痛くて……!」

鹿島「……!」
689 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:35:30.73 ID:xRpQIcl0o

声「みんな……酔っ払って……誰も、起きない、ん、です……!」

声「誰でもいいから……ここの、艦娘に……助けを……!」

鹿島(……どうしよう……二人が寝ているのに、扉を開けて留守にする訳にはいかないわ……)

 ドサッ

鹿島「え……!?」

 シーン…

鹿島「ど、どうしたんですか!? しっかりしてください!」

鹿島「1さん! 1さん!? ……仕方ない……行くしか、ありません!」

 ガチャッ

部屋の前で倒れているクルー1「」

鹿島「1さん!? しっかりしてくださ……!」

クルー2「今だ!」ガシッ

留提督「よし、早く入れ!!」ダッ

鹿島「な……!」ガシッ

 ドタドタドタ バタン
690 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:36:30.95 ID:xRpQIcl0o

留提督「鍵かけろ! 急げ!」

クルー7「はいっ!」カチャッ

クルー4「……」

鹿島「……は、放しなさ……むぐっ!?」

留提督「静かにしててね、鹿島ちゃん……?」ニヤリ

クルー2「留さんの言う通りでしたね! 艤装外すと力が出なくなるって話!」

鹿島「……!」

留提督「ああ、昔の悪友に教えて貰ったんだよ。そいつはドジこいて捕まっちまったけどな」

クルー1「留さん、これで口塞ぎましょう、ついでにこれも……」タオルトロープトリダシ

留提督「おっ、準備いいなあ!」

クルー1「いやあ、留さんの着任が待ちきれなくて持って来ちゃいましたよ」ギリッ

クルー2「1さん縛るの好きだもんねえ」

留提督「そっかそっか、じゃあ僕が呉の鎮守府に着任したら好きな子選ばせてあげないとね〜」

鹿島「……!?」
691 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:37:15.43 ID:xRpQIcl0o

クルー7「っていうか、1さん演技うまかったっすねえ」

留提督「ほんとほんと! びっくりだよ!」

クルー1「バラエティとかやってると、たまに俺たちに演技しろとか無茶ぶり来るんすよねえ」シュル ギチッ

留提督「ああ、駆り出されるときあるもんねえ」

クルー7「うほおおお……山風ちゃんの寝顔、たまんねえええ……」ジュルリ

クルー1「お前ら、留さんに感謝しろよ? わざわざお前らの好みの艦娘を連れてくるように、遠大佐にお願いしたんだからな?」

クルー2「マジありがとうございます!」

クルー7「ありがとうございます! いやー、先輩もお目が高いっすね!」

クルー4「い、いや、俺はそんなつもりじゃ……」

留提督「さあて、鹿島ちゃんもそろそろ脱ぎ脱ぎしましょうねえ〜」ニタニタ

鹿島「むぐ……!」ジロッ

クルー1「お前らも手早くやれよ?」

クルー7「うーっす!」

クルー2「ぐへへへ、マジもんの洋モノ金パツ巨乳だぁ……!」
692 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:38:00.58 ID:xRpQIcl0o

山風「ん……え? な、なに……!?」キョロキョロ

ガンビアベイ「……!?!?」ビクッ

クルー7「なにって、これからナニしちゃうんだよぉ?」ノシカカリ

山風「……!? い、いやぁ……いやあああ……!!」ノシカカラレ

ガンビアベイ「No... 無理、無理です……!」

クルー2「何が無理なんだよ! どいつもこいつも、女どもはお高くとまりやがって……!」

クルー2「お前らはおとなしく股開いてイエスイエス言ってればいいんだよ!」バシッ

ガンビアベイ「!?」

鹿島「むぐー!(山風さん! ガンビアベイさん!!)」

留提督「ほらほら、あっちも始まったみたいだし、鹿島ちゃんもおとなしく……」

 ブンッ!

クルー1「危ない!」ガシッ

鹿島「……!」

クルー1「こいつ、留さんに蹴りを入れようだなんて……」
693 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:38:45.80 ID:xRpQIcl0o

留提督「ああ、いいよいいよ、こういうときは……」

 ブンッ!

鹿島「っ!」バキッ

留提督「2、3発殴っときゃおとなしくなるよ」

 ガッ! ゴスッ!

鹿島「ん、ぐ……っ!」アオアザ

クルー1「顔はまずくないですか?」

留提督「修復できるんでしょ? 大丈夫だよ」ニヤニヤ

鹿島(……どうして)

鹿島(どうして、こんなことに……遠大佐は、何を考えてるの……?)

鹿島(どうしてこんな男に、ここまで好き勝手させられるの……!? 悔しい……悔しい……ッ!!)

山風「いやぁ……くさいよぉ……! 酒臭い……煙草臭いぃ……!!」ジタバタ

ガンビアベイ「No... Help... Please heeelp us... !」

鹿島「……」ジワッ
694 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:39:45.88 ID:xRpQIcl0o

クルー7「そんじゃあ、早速いただきますかねえ!」

クルー4「……」

クルー4(おい、止めろ! ロリが好きなのは罪じゃないが、手を出すのはアウトだろ! Yesロリータ、Noタッチだろ!)

クルー4(ここで止めなきゃどうなるかわかんねえぞ!? 艦娘が絶対服従とは限らないって聞いただろう!)

クルー4(それに、こんなことを黙って見過ごすことが人として本当に正しいことかよ!! 守らなきゃいけないだろう!?)

クルー4「あ……」

クルー4(馬鹿言うな、こんなおいしい場面、そうそうあったもんじゃないぞ? ここまで来てヘタレる気か?)

クルー4(それに、俺一人でこいつらをなんとかできると思ってるのか? 止めたところで袋叩きに遭って終わりだぞ?)

クルー4(下手すりゃ殺されるかもしれないし、余計なことを言えばこの後の仕事にだってどう影響するかわかんねえよ!)

クルー4「……う……」

クルー4(それで得られるものがなんだって言うんだ! 止めなきゃ後悔するぞ!)

クルー4「……ぐ……」

クルー4(いいから一緒にヤっちまえ! タマついてんだろうが! 欲望に素直になっちまえよ!)

クルー4「……っ……」
695 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/06(土) 22:40:32.03 ID:xRpQIcl0o

クルー2「どうした……?」

クルー4「……や……」

クルー1「?」

クルー4「やめろおおおおおおおおおおお!!!」

クルー7「!?」ビクッ

クルー4「……はー、はー……」ドクン…ドクン…

留提督「……あーあ。しらけるなあ」

クルー1「黙らせますか」

 カチャンッ

留提督「……!」

クルー1「扉の鍵が……!?」

 扉<ガチャ

全員「「!?」」

提督「……よぉ」
696 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2021/11/06(土) 22:41:20.39 ID:xRpQIcl0o
今回はここまで。
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/07(日) 00:25:52.42 ID:7sIp7N0H0
流石4 同志の鑑
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 02:44:52.87 ID:NAN1t8IG0
4のやつ、やるやん。やっぱりロリコンは紳士だった!ロリコンに下衆はいねぇ!もしいたならそいつはロリコンじゃない…ただの変態だ!
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 06:05:11.69 ID:tCq6ccfP0

今回の無礼者一行には最大限に酷い目に遭って欲しい
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/07(日) 18:38:37.82 ID:4ucaHv6q0
南無阿弥陀仏
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 23:50:19.33 ID:8zudNUCKo
裁きの時間だ
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 01:21:28.97 ID:XU1RLXLN0
いざ、南無三っ
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/09(火) 12:05:36.50 ID:V+W2a8xQ0
次はまだか?
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/09(火) 20:31:01.19 ID:9dmay0EU0
まんまとハマってくれましたねぇww
気になるのは4と6を提督がどうするかだよなぁ
毎度投稿を切る場所が丁度いい
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/10(水) 14:00:49.63 ID:Cem6l4RZO
阿部定の刑
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/19(金) 08:16:43.34 ID:T1WrqLRcO
レイプ未遂現場を実名付きでビデオに撮って脅すが妥当かな
707 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:53:48.20 ID:zSOq3Kobo
正直、この辺りの悪役の台詞回しを考えるのはかなり苦痛です。
どうしても陳腐な台詞しか出てこないし、表現を過激にするわけにも行かず……。

というわけでちょっと時間がかかりましたが、続きです。
708 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:54:32.51 ID:zSOq3Kobo

提督「邪魔すんぞ」ズカズカ

留提督「ちょっと、勝手に入ってこないでくださいよ」

提督「……」ミギミテ

提督「……」ヒダリミテ

提督「はぁ……気分が悪いな。吐きそうだ」

クルー7「だったら出ていきゃいいのに……邪魔しやがって」ボソ

提督「……」ジトッ

クルー2「おい4、おまえ、准尉が来るの知ってたのか?」

クルー4「い、いや、そんなつもりは」

クルー2「すっとぼけてんじゃねえぞ! 最初からグルだったんだろ!? こいつに尻尾振って、見逃してもらおうって考えてたんだろ!!」

クルー1「おい、そうなのか?」

留提督「准尉、うちのクルーを懐柔したというのは、本当ですか?」

提督「……」

クルー2「おい、無視してんじゃねえ!」

提督「……」スタスタ
709 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:55:18.02 ID:zSOq3Kobo

鹿島「……!」

提督「殴られたのか?」カシマニチカヨリ

留提督「ちょっと、勝手にうちの鹿島に触らないでくださいよ!」ウデツカミ

提督「……」グイ

留提督「ちょっ……ば、馬鹿力……っ!?」ヒッパラレ

提督「口を塞いでるタオルを外すぞ。痛かったら悪いな」シュル…

鹿島「……!」

留提督「おい! 俺の艦娘に、勝手な真似をするなって言ってんだろ!」

留提督「だいたい、勝手に鍵を開けて入ってくるのが非常識だろぉ!? プライベートの時間だってのがわからないのか? ねぇ?」ズイ

提督「……息がくせえ」ボソッ

留提督「……っ!」

 バキッ!

提督「……」

鹿島「ぷは……准尉さん!!」

提督「ふん……」
710 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:56:20.21 ID:zSOq3Kobo

留提督「生意気な態度もそこまでにしておけよ? 俺は日本に戻ったら大佐になるんだ」

鹿島「!?」

留提督「遠大佐は、日本に帰ったら俺に大佐としての全権を譲ってくれると約束してくれた」

留提督「呉の大将にも、俺の父さんを通してその話をしてある」

鹿島「そ、そんな権限、許されるわけありません!」

クルー1「ところが留さんの御父様にはあるんだよ……!」ニヤリ

クルー1「留さんの祖父はもと日本海軍の関係者、そして御父様もその流れで今の呉の大将とは大親友であると同時に、世界的な映画俳優でね」

クルー1「過去には災害のあった地域に、そして今回は深海棲艦の被害を受けた地域や、海軍に対して多額の寄付をしているんだ」

クルー1「いわば、留さんの御父様は海軍のスポンサーなんだ」

鹿島「だからって……!」

クルー1「留さんの御父様のお力添えがあって、今回の取材や、留さんの海軍への着任の件も含めて、お世話になれているんだ」

留提督「そういうこと。今回の企画でも、絶海の孤島に大破して漂流した艦娘が閉じ込められていることを大々的に放送する予定なんだ」

留提督「態度を改めれば、お前も協力者としてテレビに出してやろうと思ったけど、全然そんな感じじゃないしね?」

提督「……」
711 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:57:32.26 ID:zSOq3Kobo

留提督「そういうわけなんで。明日になったら、この島から、出てってもらいますよ」ニィ

留提督「文句を言ってもいいけれど、大佐の権限で、あなたを牢屋に入れてやることもできるんですよぉ?」

留提督「わかってますか? じゅ、ん、い?」

提督「……」チラッ

山風「……!」

ガンビアベイ「……!」

提督「おい、鹿島」

鹿島「! は……はい!」

提督「お前はどうする? これからどうしたい?」

留提督「おい、何を……」

提督「俺は艦娘と話をしに来たんだ。お前じゃねえ」ギロリ

留提督「っ……!」ビクッ

鹿島「……私たちと、話を……?」

提督「そうだ。この島に来た艦娘にはな、俺はよくこう聞いてんだよ」

提督「死にたいか、生きたいか……ってな」

全員「「……!?」」
712 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:58:17.52 ID:zSOq3Kobo

クルー4「し、死にたいって……」

提督「それがいなくもねえんだ。世を儚んで生きる希望もなく、ただ世界を恨んで、目に入るものすべてをぶち壊してからら死にたいってだけのやつがよ」

提督「でだ、鹿島。お前はどうする」

鹿島「……」

提督「死にたいって言うのなら見捨ててやる。どこへなりとも失せやがれ」

提督「生きたいって言うのなら手伝ってやるよ。お前に望みがあるのなら、俺のできる範囲で手を貸そうじゃねえか」

鹿島「……」

提督「俺は、お前が言葉に出さない限りは手を貸さねえ。テレパシーなんか使えねえからな」

留提督「おい、いい加減に……」

鹿島「准尉さん!!」

留提督「!」

鹿島「私は、死ぬ気はありません……ですが、こんな人たちの下で働く気もありません!」

鹿島「お願いです! 山風さんとガンビアベイを助けてください! 私はどうなってもかまいませんから!!」

留提督「……おい」

鹿島「こんな人たちに、国防を……この世界の守護を、任せるわけにはいきません!!」
713 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:59:02.13 ID:zSOq3Kobo

留提督「な、何を言ってんだ! 俺はお前たちの上官だぞ!? それを……」

鹿島「何が上官ですか! 泣いて嫌がる相手を嘲笑うような、情けない下衆を迎え入れるなんて、恥以外の何者でもありませんっ!!」

留提督「……」

提督「わかった。さて、山風とガンビアベイだったな? お前らはどうだ?」

ガンビアベイ「ワ、私も、鹿島さんと、同意見です! こんな人たち、無理です! 無理ー!!」

ガンビアベイ「だから早く……Please help us, hurryyy !!」

山風「私も……同じ、だけど……」

提督「だけど?」

山風「か、鹿島さんも、助けてぇ……!」

提督「ふふ……ああ。わかった」ニヤリ

クルー1「……」ジャキッ

鹿島「准尉さん! 後ろ!!」

 ガッ!
714 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 02:59:48.20 ID:zSOq3Kobo

クルー1「……!」

 (提督の背後から振り下ろそうとしたクルー1の警棒を持つ腕を、不知火が受け止めている)

不知火「……司令」

提督「んー?」

不知火「少し油断しすぎではありませんか?」ウデヒネリ

クルー1「あ、あだだだだだ!?」グリッ

提督「そんなことねえさ、無防備を装ってるだけだ。これでも、お前らを信頼してんだぜ?」ニヤ

提督「だからこの場は任せる」

提督「やれ」

不知火「了解しました。出番ですよ」スッ

 ババッ

クルー7「ぐえっ!?」ドガッ!

白露「よくも山風をいじめてくれたねえ……!」クミフセ

山風「し、白露、お姉ちゃん……!」

クルー2「ぐるじ……たす、け……」チョークスリーパー

黒潮「助けて? どの口が言うんよ……っ!」ギチッ

クルー2「あが……!」
715 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:00:32.00 ID:zSOq3Kobo

摩耶「おらっ! てめーも来やがれ!」

クルー4「ひぃい!?」エリクビツカマレ

山風「あ! あの……その人は、違うから……優しく、してあげて……!」

摩耶「ん? そ、そうなのか? あー……その、悪かったな」ポンポン

クルー4「げ、げほ……いや、いいんだ。俺も……悪い人間だ」

提督「とりあえず、現行犯、だな?」

不知火「はい」

留提督「……おい、なにやってんだよ」

提督「ん?」

留提督「お前! 俺たちに歯向かってんじゃねえよ! 俺は大佐になるんだぞ! お前の上にも、もう報告してんだぞ!」

留提督「俺たちに手を上げればどうなるか、わかってんのか!? テレビにだって放送されるんだぞ!!」

提督「……で?」

留提督「!? そ、そうじゃねえだろ! お前の、お前の立場は……おまえ、なんか……!」

提督「……」ジッ

留提督「……っ」タジッ

提督「……」ジーッ

留提督「よ……寄るな!」ダッ

白露「あ、逃げた」

黒潮「寄るな、て、司令はんは見てただけやん」

摩耶「なっさけねえな……」ハァ…
716 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:01:17.37 ID:zSOq3Kobo

留提督(また外に逃げれば……!)

 扉<バンッ!

三隈「あら、お待ちしておりましたわ」

 ズラッ…(廊下に居並ぶ巡洋艦娘たち)

留提督「……」

最上「で、どうしよっか? この部屋から逃げる人がいたら、好きにしていいって言われてたけど」

三隈「ねえ最上さん、私、この人を撃ってもいいかしら?」

五十鈴「三隈さん、また男の人の大事なところを撃つつもり?」

利根「気持ちはわかるが、それはさすがに……」

最上「いいんじゃないかな」

五十鈴「いいの!?」

由良「提督さんなら許してくれそうよね、ねっ」

神通「実弾はさすがに死んでしまいますから、演習用の弾を一人一発まででお願いしますね」

五十鈴「あれ、人間が受けても大丈夫なの?」

利根「う、うむ……当たり所に依る……いや、どこに当たっても骨折しそうじゃな」

留提督「……」ガクゼン

 扉<パタン

最上「あ、逃げた」

由良「残念」ムー
717 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:02:17.95 ID:zSOq3Kobo

不知火「おや。部屋に戻ってきましたね。怖じ気づきましたか」

クルー1「留さん……!」

黒潮「大人しく『ごめんなさい』すればええのになあ?」ギチッ

クルー2「……っ」ピクピク

ガンビアベイ「そ、それで許してあげるんですか……」

白露「ううん! 絶対許さないよ!」ギリッ

クルー7「ぎゃああああ!」

摩耶「……なあ提督? わざと捕まえねーで泳がせてんだろ? 性格くそ悪いな、おまえ」ヒソヒソ

提督「まあな」ニヤ

留提督「……くそ」

留提督「くそおおおお!!」ダッ

 窓<バンッ!

  ダダッ

白露「で、今度は窓から逃げちゃった、と」

山風「お、追わなくて、いいの……?」

提督「ああ。そっちもそっちで罠はってるからな。それはそれとして……」
718 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:03:17.44 ID:zSOq3Kobo

提督「鹿島、山風、ガンビアベイの3人には、申し訳ないことをした」ペコリ

鹿島「じ、准尉さん!?」

ガンビアベイ「な、なんであなたが謝るんですか!?」

提督「俺がこいつらの暴走を煽って、この状況を作ったからだ」

鹿島「……!」

クルー1「……俺たちを、はめたのか!?」

提督「ここまではまると思わなかったがな。決定的な不始末を引き起こすよう、酒を用意して気を大きくさせ……」

提督「俺の艦隊は哨戒に出たと嘘の情報を流し、かつ鎮守府内をわざと無人にして、こいつらが動きやすい環境を作ったのは事実」

鹿島「……」

提督「そうして馬脚を現したところを、一網打尽にするつもりだった。お前たちを囮にして、な」

ガンビアベイ「Oh...」

提督「だからこそ俺はお前たちに謝らなければいけないし、鹿島の顔の怪我は、俺の落ち度としか言いようがない」

鹿島「!」ハッ

提督「……許す許さないは別にして、治療はさせてもらいたい」

摩耶「許さなくてもいいってことか? おまえ、それでいいのかよ」

提督「ああ、恨まれて当然のことをしたからな」

鹿島「……」
719 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:04:02.69 ID:zSOq3Kobo

 ドォン!(窓の外から響いてくる砲撃音)

山風「きゃあ!?」ビクゥ

ガンビアベイ「What !?」

鹿島「な、何の音ですか!?」

提督「始まったか」

鹿島「い、いったい何を」

 ドォン!

山風「ひっ!?」

 ドォンドォン!

ガンビアベイ「……」

 ドドドドォオン!

摩耶「……この音、空砲だよな?」

白露「うん、爆発音ではあるけど、打撃音じゃないよね」

鹿島「……」

山城「ふふ、ふふふふ……」ヌゥッ(山城が笑いながら窓の外から部屋をのぞき込む)

山風「!?」ビクッ
720 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:04:47.32 ID:zSOq3Kobo

山城「ああ……不幸だわ」ニィッ

山城「窓から逃げ出すなんて有り得ないでしょ、って言ったのに、まさか本当に窓から逃げ出そうとするなんて」

山城「おかげでこんな夜中に窓の外で張り込みよ? 何が悲しくて夜更けにこんなところで待ってなきゃいけないのと思ってたんだけど」

提督「でも、正解だったよな?」

山城「ええ、ええ……その通りよ。なんて不幸なのかしら」ニマァァ

山城「おかげで、一緒に張り込んでいた大和型と金剛型、そして扶桑お姉様と一緒にあの男を取り囲んで、私の号令で一斉砲撃したんだもの」

山城「なんで空砲なのかしら、実弾だったらこれ以上なく気分爽快だったのに。あぁ、不幸だわぁぁ」ポヤァァ

摩耶(くそ幸せそうじゃねーか……)

黒潮(恍惚の表情て、こういう顔を言うんやろなあ)

提督「で、首尾はどうだった」

山城「見てもらった方が早いわよ」ユビサシ

留提督「」ピクピク

提督「泡吹いてぶっ倒れてやがるな」

霧島「空砲ではありますが、撃ったときに砲口から勢いよく熱風が出ますので、その衝撃も影響したのでしょう」

比叡「普通に反動もすごいもんね!」
721 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:05:33.04 ID:zSOq3Kobo

武蔵「それに、大和と榛名の迫力がすさまじかったからな……鬼気迫るものがあったというか」

金剛「我が妹ながら、ドン引きデース……」

扶桑「そうねえ。でも、その不安の元凶もああなったことだし……」ニコニコ

榛名「敵の首魁を打ち取りました!」ハイタッチ

大和「これで安心ね!」ハイタッチ

提督「……ま、そうだな」

クルー1「……留さん……」

提督「さてと、とりあえずこいつらは牢屋にぶち込んどくか。武蔵、留提督の運搬は頼んでいいか?」

武蔵「ああ、任せろ」

提督「摩耶、こっちの連中も手分けして連行してくれ。神通は牢屋への道案内頼む」

神通「承知しました」

クルー1「……あんた」

提督「ん?」

クルー1「ただで済むと思うなよ……!」

提督「……ふーん」

最上「負け惜しみかな?」

クルー1「!?」ギッ!
722 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:06:17.04 ID:zSOq3Kobo

三隈「もがみん!」シーッ!

利根「最上は素直に思ったことを口に出し過ぎじゃぞ……」アタマオサエ

五十鈴「ほら、そっちの二人も連れて行くわよ」

クルー2「」グッタリ

クルー7「」グッタリ

由良「って、ちょっとやりすぎじゃない?」タラリ

提督「そりゃしょうがねえよ、白露は姉妹艦やられそうになったし、黒潮は昔の怒りを思い出してるし」

提督「こいつらに腹を立ててたのも俺は理解できる。二人が溜飲下げるくらいには痛めつけてもバチは当たらなねえよ。なあ?」

黒潮「せやせや」ウンウン

提督「それに場面が場面だから駆逐艦は連れて行かないつもりだったが、この二人はたっての希望だったしな」

白露「五月雨と島風が大人しく留守番してくれてて良かったよー」

五十鈴「とにかくこいつらも持っていきましょ。担架を持ってくれば良かったかしら」

白露「こんなふうに担いでいくと楽だよ。こうやって、ブロックバスターみたいに横から入って……」

三隈「ブロック……?」

白露「プロレス技だよ。知らない?」

由良「知らないわ……」
723 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:07:02.38 ID:zSOq3Kobo

白露「こういうふうに担ぎ上げて、後ろへ倒れ込む技がブロックバスターだよ。で、こういう担ぎ方をファイアーマンズキャリーって言うんだけど」

摩耶「良く知ってんなあ……」

白露「担ぐ相手のお腹側と背中側を逆にすると、アルゼンチンバックブリーカーとか、タワーブリッジとかになるよね!」

神通「そ、それはいいですから、とにかく連れて行きましょう? 案内しますから」

白露「はーい!」

摩耶「あ、そうだ、こいつはどうすんだ?」

クルー4「……」

提督「……おい、山風。お前、こいつはどうする? 牢屋に入れるか?」

山風「え……っと……」チラッ

山風「……そこまで、しなくていいと、思う」

提督「そうか。じゃあ、あんたは部屋に戻って大人しく寝ててくれ。俺の気が変わらないうちにな」

クルー4「わ、わかった……」

クルー4「それから、その……本当に、申し訳なかった。嫌な思いをさせてしまって……すまなかった」ペコリ

山風「……」コク

提督「よし、不知火と利根は執務室へ行って大淀に報告してくれ。あと他の連中は……」

クルー6「なんか、騒がしいっすね」スタスタ

足柄「准尉? なにかあったの?」スタスタ
724 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:07:49.68 ID:zSOq3Kobo

提督「ああ、なにかあったぜ。お前らこそどうしたんだ?」

足柄「さっきまで彼と飲んでて、お開きにしたところよ」

クルー6「すいません、いろいろ愚痴を聞いてもらってました」

足柄「そんなのお互い様よ!」バシバシ

クルー6「いてて!?」

提督「ふーん。そっちは平和そうだな」

足柄「で、何があったのよ」

提督「ああ、いろいろあってな……ちょっと面倒臭えことが……」

クルー4「……准尉さん。それなら、俺が説明しますよ。なにがあったか、ちゃんとお話しします」

クルー6「?」


 * *


クルー6「……マジっすか……はぁ……マジっすか」

足柄「なんで二回も言うのよ」

クルー6「そんくらいショックだったってことっすよ。はぁ……犯罪じゃないっすか、こんなの」

クルー6「4さんはあれっすか。土壇場で理性が帰ってきたって感じすか」

クルー4「……まあ、な。関わったら社会的に死んでただろうし、当然と言えば当然なんだが、勇気出して良かったよ……」
725 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:08:32.39 ID:zSOq3Kobo

クルー4「はあぁ、これで俺もめでたくクビか……次の仕事、どうすっかな」

足柄「勇気……って、どうせこうなるなら、この部屋に入る前に嫌だって言えば良かったじゃない」

クルー6「同調圧力ってやつっすよ。言えばどうなるか、わかってるよな? みたいな空気感、あるじゃないっすか」

提督「こいつの肩を持つわけじゃねえが、こんなもん持ち歩いてるような奴が上にいたんじゃ、大怪我してた可能性もあったな」スッ

足柄「なにそれ、警棒?」

提督「だな。下手に歯向かってたらこいつで殴られて、下手すりゃ殺されてたかも、だな」

クルー4「……」

提督「ともかく、こいつも証拠品として押収、明日にでもやって来た特警にでも押し付けるさ」

足柄「ここまで準備してたってことは、最初からこういうことを想定してたのかしら」

提督「いや、わかんねえぞ。こんなもん持ち歩いてるところを見ると、日常的に暴力的な奴だったんじゃねえの?」

クルー6「まあ、ちょっとパワハラ気味なところもあったっすけど……」

クルー4「かもしれないな。俺たちみたいに長く一緒にいると麻痺してきて、まあこの人だししょうがない、って思うようになっちまうし」

クルー4「今回の事件も、そういう感覚がまずかったんだろう。酒が入って気が大きくなって、なんとかなるの感覚で暴走して」

クルー4「……言いたくないですけど、甘く見てた……高をくくってたんでしょうね。留さんがいるから、たいしたことにはならないと」
726 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:09:17.70 ID:zSOq3Kobo

提督「そりゃあ、留提督の父親がいるからか?」

クルー4「ええ。1さんが言ってましたが、この企画も留さんのお父さんが呉の大将さんと仲良しだから通ったって話ですし……」

クルー4「留さんのお父さんが、留さんの起こしたいろんな不祥事を揉み消してるって噂もちらほらありますので」

提督「なるほどねえ……今後はその黒幕がどう出るか、か。面倒臭えな」フー

足柄「面倒って……」

提督「あとは遠大佐が何を考えてるか、だな。なんでこんな奴に大佐の役職を譲る気でいるんだ? そこがわからねえ」

足柄「えええ!? ゆ、譲るって、そんなことできるの!?」

提督「それこそ、留の父親のコネか何かで捻じ込むつもりだったんだろ。実際にできるかどうかは別としてな」

提督「けど、大佐の椅子を遠大佐が譲る気でいるのは事実っぽいからな。そこが俺は一番気になってんだ。何かメリットあんのか?」

足柄「あるわけないわよ、失職でしょ? ……でも、その気でいるのよね?」

提督「そうなんだよなあ……」
727 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:10:02.22 ID:zSOq3Kobo

クルー4「ところでお前、5さんと一緒じゃなかったのか?」

クルー6「いえ、俺に一人で行けみたいな感じで、一人でどっか行っちゃったんですよ。野暮用とか言って」

クルー4「野暮用? こんな夜中にか?」

クルー6「そうっす。3さんも戻ってきてないんすか?」

クルー4「ああ……」

提督「2人が行方知れず、か」

クルー6「3さんは風に当たってくるって言ってたんで、埠頭に行ったはずなんすけど」

提督「その埠頭にさっき川内が行ったんだが、誰もいねえって話だったぞ」

クルー6「そ、そうなんすか」

提督「やれやれ。随分好き勝手に動いてくれたもんだ。捜索は明日の朝から始めるぞ、今夜はもう消灯だ」

足柄「そういえば遠大佐たちはどうしたの?」

提督「寝てるってよ。ぐっすりだそうだ」

足柄「ええええ……?」
728 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:10:47.08 ID:zSOq3Kobo

 * 一方そのころ *

 * 墓場島 北東の砂浜〜伊8が作った露天風呂へ通じる道への入り口 *

 ザザーーン…!

(鼻歌を歌いながら、砂浜へ歩いてくるクルー5)

クルー5「うまく撮れてっかなあ。撮れてっといいなあ、ひひっ」

 ザザーーン…!

クルー5「それにしても今日は波が高えな。艦娘が海に出てるせいか?」

クルー3「……おい」

クルー5「うお!? な、なんだお前かよ……焦らせんなよ」サッ

クルー3「おい、今お前が隠したカメラ、長時間撮影できる定点カメラだったよな?」

クルー5「……」

クルー3「こっちに何があるんだ? お前、ここで何を撮ってたんだ?」

クルー5「……」

クルー3「お前、以前厳重注意を受けたよな? 俺は覚えてるぞ。私物のカメラを撮影現場に持ち込んで、更衣室に仕込んで隠し撮り……」

クルー5「お前なあ!」

クルー3「!」
729 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:11:37.93 ID:zSOq3Kobo

クルー5「昔っからごちゃごちゃうるさいんだよ! 俺のやることにいちいち口を出すな!」

クルー3「な……ふざけんな! お前がくっだらねー真似ばっかりしてるからだろうが!」

クルー5「くだらねーと思うんなら放っとけよ! 神経質すぎんだよお前は! この前だって屋上でタバコ吸ってたのチクりやがって!」

クルー3「お前が無神経すぎるんだよ! タバコくらい喫煙室で吸えよ!」

クルー5「ちょっとくらいいいだろうが! 灰皿持ってったんだぞ!? くそったれ!」

クルー3「おい、どこへ行く! 話は終わってないぞ! だいたいそのカメラ……」

クルー5「お前には関係ねえだろ!」

クルー3「俺はわかってるんだぞ! お前、この先に温泉があるのを地図で確認してたよな! そこに置いて盗撮してたんだろ!」

クルー5「チッ……あーはいはいそーですよ! そう答えりゃ満足か!?」

クルー3「ふざけんなよ! そんなもので小遣いを稼ごうだなんて、見下げ果てた奴だ!」

クルー5「あぁ!? 金目当てじゃねえよ! 俺が個人で楽しむだけだ、売ったら足が付くだろうが!」

クルー3「信じられるかそんなこと!」

クルー5「俺はこれまで撮った画(え)を売ったことなんかねえよ! 勝手に決めつけんじゃねえ!」

クルー3「そんな言い訳、通じると思うか!!」

クルー5「俺はこれでもわきまえてんだよ。撮られたことが誰にも知られず、俺以外の誰にも見られないなら、迷惑にはならねえだろうが!」

クルー3「……お前……!」
730 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:12:32.10 ID:zSOq3Kobo

クルー5「それに、誰かに公開しなくても撮影しただけでNGだって言うんなら、お前だって同じだろうが!」

クルー3「誰が同じだ!? 一緒にするな!」

クルー5「同じだろ! ここの提督は撮影禁止って言ってたんだろ! なのにカメラ持ち込もうとした留さんたちを止めなかったのはなんでだよ!」

クルー3「それは、もしここの提督が悪人だったら、証拠を掴むためにカメラは必要だろう! 必要悪だ!」

クルー5「自分に都合よく解釈してんじゃねーよ! 結局お前の屁理屈でどうとでもなるんだろ!?」

クルー3「違う! 悪人が定めた法律なら、守らなくて当然だろう!」

クルー5「はぁ!? お前が法律なのかよ! お前が良いって言うなら何やってもいいのかよ! 偉そうなこと言ってんじゃねーぞ!」

クルー5「で、結局ここの提督は悪人だったのか? もしそうじゃなかったら、お前のやったことも無断撮影で悪だよなあ!?」

クルー3「そ、そうなったら真摯にお詫びすればいいだろう!?」

クルー5「お詫びぃ? 謝ればいいってか? そんな軽いもんで済ませんのか!」

クルー5「無実を言い張ってた相手を勝手に犯人と同等に扱って、何もなかったらごめんなさいで済ますってか! 立派だなあおい!」

クルー3「お前……!」

クルー5「お前がこの島の取材の志願したのって、この鎮守府に閉じ込められて迫害されてる艦娘を保護するつもりで来たんだろ?」

クルー5「それが、ここの艦娘も困ってる様子がなくて、提督准尉を糾弾する当てが外れて……」

クルー5「振り上げたこぶしを下す場所がなくなって、それでさっき風に当たるとか言い出したんだろ?」

クルー3「……」
731 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:13:17.68 ID:zSOq3Kobo

クルー5「どうせこんな島に来たって、得られるもんは何もねーんだ。轟沈した艦娘はワケあって海軍に復帰できねーって話らしいし」

クルー3「は!? な、なんでお前、そんなこと知ってるんだ……!?」

クルー5「お前も集めた情報を鵜呑みにするんじゃなくて、裏を取れって言われなかったのかよ? 今時取らねえか、そういうの時間かかるしなあ」

クルー3「そ、そうじゃない! なんでそれを知ってて、なんでこの島に……なんで留さんたちを止めなかったんだ!?」

クルー5「言って聞く人じゃねーよ、あの人は。言うだけ無駄無駄」

クルー5「1さんだって留さんの腰巾着だし、下手なこと言って機嫌損ねたらどうなるかわかんねえって、お前も知ってるだろう?」

クルー3「だからって、そんな重要なことをなんで黙ってんだよ……」ヨロッ

クルー5「お前みたいに逐一報告してたら、あの人たちがなんて言うか想像つくだろ?」

クルー5「俺たちの邪魔をするな、って突っぱねられて終わりさ。最悪、次から仕事に呼ばれないなんてこともあり得る」

クルー3「っ……!」

クルー5「俺が、お前がこの島に来るのをさり気なく反対してたのもそういうことだよ!」

クルー5「お前が自分の正しさを証明したくてこの島に乗り込んだとしても、どうせ無駄骨だったんだからなあ!」

クルー3「……じゃあ」

クルー3「じゃあお前は、なんのためにこの島に来たんだよ!」

クルー5「そりゃあ仕事のためだ。ディレクターと主演男優がお仕事に来たんだ、付き従ってカメラを回すだけさ」

クルー5「失敗するのがわかっていても、言う通りにして迂闊な進言もしない。ちょっと気を回して、やる気を出すフォローをしてやりゃあいい」
732 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:14:17.43 ID:zSOq3Kobo

クルー5「考え方を変えろよ。今回の仕事はな、失敗したのを放送するのが仕事なんだ」

クルー3「……」

クルー5「艦娘の運用には複雑な事情があって、留提督たちにその試練は乗り越えられなかった、ってさ」

クルー5「トライして結果NGだった企画だってこれまでたくさんあったろ? それでいいんだよ、必ずしも予定調和にならなくていいんだ」

クルー5「その上で、協力的な態度を示せば、失敗も次の糧になるってもんだ。お前みたいに、身勝手で場違いな思惑を現場に持ち込むなよ」

クルー3「お、お前がそれを言うか……お前が、それを言うのか!?」ガシッ

クルー5「うおっ」エリクビツカマレ

クルー3「ディレクターやアイドルに従っていれば、何をしてもいいってのか!? お前がやってることは犯罪だろう!?」

クルー5「だからいちいちうるせえよ! 俺なんか可愛いもんだ、あっちじゃもっと派手なことやってんだからな!」

クルー3「……どういう意味だ」

クルー5「そんなもん言わなくたってわかってんだろ。艦娘のひとりやふたり、手を付けたって代わりなんて大勢いるだろ」

クルー3「……は? お前は……知ってたのか」

クルー5「今更イイ子ちゃんぶるなよ、童貞じゃねーんだからお前だって気付いてたろ? それか、見ないふりでもしてたか?」

クルー5「ま、どうせヤれても2番手か3番手だし、それよりも俺はこっちの方がいいしな……ひひっ」

クルー3「……」ボーゼン

 ザパーン…!

クルー5「おらっ、いい加減、手を放せよ!」バッ

クルー3「……」
733 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:15:17.51 ID:zSOq3Kobo

クルー5「ったく……あの人たち、まだヤってんのかな。しゃーねえ、乱交に混ざりたくもねーし、もう少し時間潰して疲れたってことにして寝るか」

 ガッ!

クルー5「ぐあっ!?」ヨロヨロッ

クルー3「……幻滅したよ。許せねえ」

クルー5「お、お前、なにしやがる……」

クルー3「艦娘ってのは、俺たちのために戦ってるんだぞ!?」

クルー5「そ、そうかもしれねえけど……」

 バキッ!

クルー5「がっ!」ドサッ

クルー3「かもしれねえじゃねえよ! そうなんだよ! 今、俺たちがこうやって海を行き来できるのも、艦娘がいるからだぞ!」

クルー3「それを! かもしれない、だと!? ふざけんな!」バキッ

クルー5「ぐえ……っ」ドシャッ

クルー3「挙句の果てに風呂場の盗撮まで……俺がこの島に来るのを反対したのは、それがしやすくなるからって言うのが一番の理由じゃないのか!」

クルー5「く……ほんっとうに、うるせえな! こんな電気も電波も通ってねえような島に、誰が好きで来るんだ!?」

クルー5「ロケに来るのに、娯楽が何もねえとか、やってられっかよ! くそ、なんで俺だけ、お前なんかに殴られなきゃなんねーんだ……」
734 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:16:02.12 ID:zSOq3Kobo

クルー3「……こんなもの……」

クルー5「はっ! お、おい、カメラはよせ!」

クルー3「こんなものがあるから……!」

クルー5「よせって言ってんだろ!!」ドガッ

クルー3「!」ズシャア

クルー5「くそ……仮にも会社の備品なんだぞ。壊したら弁償しなきゃなんねーだろ、ちくしょう……」

クルー3「会社の備品だって……? お前、そんなことのために持ち出したのか……!」ジリッ

クルー5「く……つ、付き合ってられるか!」ダッ

クルー3「逃げるな!!」ダッ

 ザッザッザッザッ…

クルー3「はあ、はあ……待て!」

クルー5「く、くそ……砂が水吸ってて重てえし、月が雲に隠れて暗いわで走りづれえ……」

 ガッ

クルー5「うわあ!?」ズデーン
735 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:17:02.48 ID:zSOq3Kobo

クルー5「ああくそっ、何に躓いたんだ……」

クルー3「や、やっと追いつい……な、なんだ? これは……」

(ゆっくりと月を覆っていた雲が薄れて砂浜を少しずつ照らしていく)

(二人の足元が見えるようになって現れたのは、砂浜に打ち上げられた艦娘の死体)

クルー5「ひ……!?」ズザザッ

クルー3「う、うわあああ!?」

クルー5「な、なんだこれ……艦娘か? 艦娘が死んでんのか!?」

クルー3「嘘だろ……お、おい、大丈夫か……?」

クルー5「ば、馬鹿! 頭吹っ飛んでんだぞ……それで生きてたら化け物だ……!」

クルー3「だ、だが……艦娘ってのは不死身なんだろ?」

クルー5「知るかよ! 現にこうやって死んでんじゃねえか!」

クルー3「け、けど、工廠に連れて行けばどんな怪我も治って、蘇るって……」

クルー5「そ、そんなわけあるか! 艦娘は死んだら深海棲艦になるって俺は聞いたんだからな!?」

クルー3「は!? じゃ、じゃあ、なんでこいつは深海棲艦になってないんだよ!」

クルー5「だから知るかって言ってんだろ!」
736 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/20(土) 03:18:17.24 ID:zSOq3Kobo

クルー3「もしかして、まだ間に合うんじゃ……おい、この艦娘を鎮守府に……工廠に連れて行くぞ! 手伝え!」ガシッ

クルー5「何言ってんだお前!? 嫌に決まってんだろ! 放せよ!」

 ザザーッ

クルー3「!」

 ザバーン!

クルー5「うわっぷ!?」バシャーン

クルー3「な、なんだ今の高い波は……!」ビッショリ

クルー5「……おい、よく見ろ。もしかして、こいつら、流れ着いてきたのか……?」

クルー3「こいつら? こいつらって……あ、あああ……」

クルー5「3……いや、4体いるか? こいつら全部、この浜に……今みたいな強い波で、押し流されて……」

クルー3「と、とにかく、誰かにこれを知らせないと……へきしっ」

 ザザァ…

クルー5「な、なあ、海の上に誰かいるぞ」

クルー3「艦娘か? おーい!」

??「……!」

クルー3「気付いたみたいだな、助かった……あれは長門か?」

クルー5「……いや……」

??「……」ザザァ…

クルー3「ん? あれ……?」

クルー5「あ……あれは……」ガタガタ

??→ル級「……」

737 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2021/11/20(土) 03:19:37.32 ID:zSOq3Kobo
今回ハ、ココマデ。
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 10:45:27.18 ID:4ASkvtmc0
妹のために静かにブチギレる白露お姉ちゃん好き過ぎる
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/20(土) 11:00:18.73 ID:j4bX3jwW0
5…逝ったな
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 03:41:31.82 ID:9R3zz0qR0
3と5の会話パートすげーな。>>1の文章力が溢れ出してるわ。
ル級さん、タイミング悪すぎですよ…さて、5はどうあがいても牢屋だとして、ちゃんと艦娘に対する敬意があって、善悪を自分なりにわかってる3が墓場島の全貌を目の当たりにした時の反応が気になるな。
741 :一般の艦これ好き :2021/11/21(日) 22:00:26.86 ID:3h7LDheI0
もうね、この人が神でいいと思うの。
話の構成、抑揚、口調、全部好き
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/11/24(水) 08:29:26.33 ID:7YZUb8Y70
ル級先輩が来た!これで勝つる!!
743 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:46:01.64 ID:K5+fZQPfo
続きです。
744 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:47:02.08 ID:K5+fZQPfo

 * 翌日 早朝 *

 * 北東の砂浜 *

霧島「司令、こちらへどうぞ」

提督「おう。ほれ、お前らもキリキリ歩け」

手を縛られた留提督「どうして僕がこんな扱いを……」

遠大佐「……自分の行いを省みてはどうかね」ジロリ

留提督「く……っ」

手を縛られたクルー1「なんであの2人は縛られてないんだよ……」

クルー4「……」

クルー6「……」

提督「そりゃお前らみたいに不届きな真似をしてねえからな」

手を縛られたクルー2「直前で怖じ気づいただけのヘナチンのくせに……」

手を縛られたクルー7「やっぱり、あいつ最初から准尉とグルだったんじゃないすか?」

提督「俺は最初から全員しょっ引きたかったんだがな。山風と足柄が許せっつったからそうしてるだけだ」

雷「あの……准尉さん、私たち、どうして砂浜に案内されてるの?」
745 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:47:48.57 ID:K5+fZQPfo

提督「この島が墓場島って呼ばれていることは知ってるよな?」

雷「え? ええ……知ってるわ、轟沈した艦娘が流れ着いてくる島だから、って……」

提督「それを改めて説明してやろうって話じゃねえか。よく見ろよ」

雷「え……えええ!?」

遠大佐「……こ、これは……!?」

(砂浜に流れ着いた艦娘たちを、電たちが囲んでいる)

電「ぐすっ、ぐすっ」

電の背中をさする由良「……」

敷波「摩耶さん、この子たちって……」

摩耶「ああ。B提督の艦隊の……あん時の艦娘たちだな……」

遠大佐「提督准尉。これはどういうことだ……!?」

提督「どうって、見ての通り、聞いての通りだろうが。知ってんだろ? この島がどんな島かを……!」

提督「少し前にテレビでも放送されたっていう、空母棲姫の戦い……あいつらはその戦いで轟沈した艦娘だ」

クルー2「轟沈、って、そういう……マジかよ……」

クルー6「う……」フラッ

クルー4「お、おい、大丈夫か」

クルー7「ちょっ、俺こういうの駄目……うぷっ」ヨロヨロ
746 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:48:32.02 ID:K5+fZQPfo

雷「こんな……こんなに、轟沈させられたの……!?」

留提督「なんだよこれ……なんなんだよ、これは!」

提督「これ? その言い草こそなんなんだよ、失敬な奴め」

留提督「そうじゃねーよ、なんで艦娘が死んでんだよ……!」

提督「ああ? 何言ってんだお前? ……まさか艦娘が死なないと思ってたのか?」

留提督「聞いてない……こんなになるなんて聞いてないぞ! 艦娘ってのは、いくら怪我したって修復材ぶっかけりゃ直るんだろ!?」

留提督「どんな大怪我しても戻ってこれるんだろ!? 死ぬわけがないって……!」

提督「なんだそりゃ? どこから湧いて出てきた、そんな話」

留提督「だ、だって、そうじゃなきゃ艦娘が海で見つかるなんて有り得ないだろ!?」

留提督「轟沈だって、しばらく動けなくなって一時的に眠ってるだけなんだろ!?」

提督「海で? ……ああ、もしかしてドロップ艦を、轟沈した艦娘が蘇ったもんだって考えてるわけか」

提督「説としちゃあ興味あるが、そいつは多分違うな。そもそも艦娘は不死身なんかじゃねえ」

留提督「そんな!? 深海棲艦だってすぐ復活してるじゃないか! あいつら、倒してもすぐ復活してくるだろう!? 艦娘だけ死ぬなんて……」

提督「そいつも多分違うな。俺が思うに、連中は復活してるわけじゃねえ」

提督「喩えは悪いが、おそらく魚とか蟻みたいに、同じ顔した奴がいっぱいいて、次から次と生まれ出てきてるだけなんじゃねえかな?」
747 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:49:17.14 ID:K5+fZQPfo

留提督「遠大佐! こいつの言うことは本当なんですか!?」

遠大佐「いや、それは私にもわからない」

遠大佐「しかし、深海棲艦が海に無尽蔵に出てくる以上、深海にも建造ドックと同じものがあって、大量生産されているという見方はある」

留提督「……」

提督「艦娘も、同じ顔、同じ名前の艦娘が複数存在してんのを、お前らも見たことあるだろ?」

提督「だが、そいつら全員が全員、性格や嗜好まで完全一致してるわけじゃねえし、艦娘になってからの記憶を共有してるわけでもねえ」

提督「ただ似ているだけの別人……と呼ぶには無理があるが、双子や三つ子が何十人、何百人にもなったようなもんだと、俺は思ってる」

留提督「……」

提督「ところでお前ら、艦娘を解体したことあるか? 毎日の任務にも出てくるんだ、やったことある奴のが多いんだろ?」

雷「それは……」

遠大佐「ああ、ある。日々の任務に指示されているからな」

提督「で、だ。お前らは、解体した艦娘を、元に戻せるのか? 建造したそいつは、どこかで解体された記憶を引き継いできたことがあるか?」

遠大佐「……」

留提督「……」
748 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:50:01.93 ID:K5+fZQPfo

提督「同じ艦娘を建造したり発見したりしても、そいつがどこかで解体した艦娘の記憶を引き継いだりしてたことなんか、なかっただろ?」

遠大佐「……ああ。確かに、それはない」

留提督「……」

提督「仮に魂というものが存在して、巡り巡って再び同じ艦娘として生まれたとしても……」

提督「過去に解体した、もしくは沈んだ艦娘の記憶が失われていたのなら、それは死んだのと同じじゃあねえのか?」

提督「……死ねば終いさ。それが艦娘であっても、人間であっても。そうだろ?」

留提督「……」

クルーたち「「……」」

遠大佐「……そろそろ戻ろう。呉からの船が戻って来るんだろう?」

提督「慌てんな。お前らをここに連れてきた一番の理由がまだ残ってる」

クルー2「?」

クルー1「……まさか」

霧島「司令、こちらです」

提督「ああ。ついてこい」

留提督「なんだって言うんだ……」
749 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:50:51.01 ID:K5+fZQPfo

 ザッザッザッ…

クルー4「……え? あれってもしかして……」

クルー1「おい、嘘だろ……やめてくれよ……!」

クルー3の水死体「」

クルー5の水死体「」

遠大佐「!!」

クルー2「うわあああああ!?」

クルー6「……そんな」

クルー1「もう駄目だ……もう、終わりだ……」ガクッ

提督「おい、誰でもいいから確認しろ。この2人は、お前らと一緒に来たテレビクルーの2人で間違いないな?」

クルーたち「「……」」

雷「准尉さん、クルーさんたちが亡くなってすぐ確認するのはさすがに無理よ……心の準備ができてないと思うわ?」

提督「ふん。しゃあねえな」

雷「あの……この二人が発見されたのはいつなの?」

提督「5時ごろか? 夜明けと同じくらいに砂浜を見回ったときに見つけて、その時点でこうなってたんだよな?」
750 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:51:46.85 ID:K5+fZQPfo

霧島「はい。それからこちらを……若干ですが、争った形跡が見られます」

提督「……顔にあざができてるな。殴り合いでもしたか?」

霧島「1人は埠頭に行ったということでしたので、そこで殴り合って海に落ち、溺れてこの浜に流れ着いた、と推測しています」

提督「んー……まあ、そのくらいしか思いつかねえな。案内もしてねえ砂浜へ夜中に二人で来る理由がわかんねえし」

提督「しかし、こいつら何を争ってたんだ? この二人、仲が悪いのか?」

クルー4「……え、ええ、まあ……良いとは言えませんね」

クルー4「同期だけれど、3さんは真面目で融通が利かなくて、5さんは要領はいいけど犯罪スレスレのことも平気でやる人でしたから」

提督「……面倒臭え関係だな。そんな奴等を同じ部署に入れてて大丈夫なのかよ」

クルー4「社長はバランスをとるためって言ってましたけどね……最終的には1さんがよく取り成して、双方納得させてましたよ」

提督「ふーん」

雷「埠頭からここまで流されてくるものなの?」

提督「この島の潮の流れは普通じゃない。だからこそ轟沈した艦娘が浜に流れ着いてくる。この島に来る輸送艦もたまにこっちに流されるくらいだ」

提督「それで海に落ちたんじゃあ、余程泳ぎが達者でない限りはこうなっても不思議とは思わねえがな」

クルー4「なくは、ないのか……2人が泳げたかどうかは俺も知らないし、今となっては確かめようもないか」

提督「服も着てるし、おまけに夜中だ。海に落ちて岸がどっちかわからなくなったら、助かるとは思えねえな」

雷「……」
751 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:52:34.91 ID:K5+fZQPfo

クルー6「なんで……なんでこんなことに……」

クルー6「3さんは艦娘を支援したくて、この撮影班に入ったんですよ。それなのに、こんなのって……」

提督「おい。事故や災害ってのは、悪人だけを殺すのか?」

クルー6「……」

提督「俺はお前らにこの島に入るな、帰れと言った。夜中も大人しくしてろと言った」

提督「それを無視して外に出た奴が、本当にいい奴なのか?」

クルー6「でも……っ」

提督「そこまでこの世は都合よく出来ちゃいねえよ。手前に都合の良いことばっかりほざいてんじゃねえ」

クルー6「……」

留提督「……だからって、まさか、死者が出るなんて、ないだろ……」

提督「おい。よりによって、お前がそんな台詞を吐いてんじゃねえぞ」ズイ

提督「いいか? 艦娘を『沈める』ってのは、こういうことだからな?」

留提督「……っ」

提督「鳥海と加古は、たまたまこの海岸に打ち上げられて、たまたま命が助かった。運が良かったってだけの話だぞ?」

提督「あいつらも、こいつらみたいに、なっていたかもしれねえんだ……お前の命令によってな」

留提督「……!!」ビクッ
752 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:53:33.17 ID:K5+fZQPfo

提督「お前は軽い気持ちで『行け』と言ったんだろうが、艦娘にとっては命懸けだ。深海棲艦だって死にたくないから必死に抗ってくる」

提督「俺たちは、その艦隊指揮を執った責任を取る立場にある。それが俺のような准尉であろうと、大佐であろうとな」

提督「ま、その艦娘をレ○プしようとしてた奴らが、死ぬのは残酷だ、とかほざくんなら……」ギロリ

霧島「司令」

提督「……とりあえず、見せたかったもんは以上だ。鎮守府に戻りな」

留提督「う……」

クルー2「……戻りましょう、留さん」

留提督「……あ、ああ」

クルーたち「「……」」ゾロゾロ…

提督「……霧島」

霧島「はい」

提督「勢い任せに要らねえ説教までしちまうところだった。ありがとな、止めてくれて」

霧島「いえ……」ペコリ

 ウワアアア!

提督「んん、なんだ?」
753 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/11/28(日) 10:54:16.92 ID:K5+fZQPfo

霧島「あれは……さっきのクルーの一人ですね」

クルー7「なんでですか! なんで5さんが死ぬんですか!!」

クルー2「おい、落ち着け!」

クルー7「あの人だけっすよ! 俺が番組でヘマしたのを笑って慰めてくれたのは!」

クルー7「飯おごってもらったし! 企画も取り上げてもらったのに……これからだって時に、なんで死んでんですか!!」

クルー7「ちくしょう……ちくしょおおお!!」

霧島「彼らにあまり良い印象がなかったのですが、そういうわけでもないのですね……」

提督「悪人と呼ばれる奴にも、いいところはあるだろうさ。カンダタだって蜘蛛の命を助けたことがあるんだぜ」

提督「ただ、それでそいつのやった事を帳消しにできるかと言えば、それとこれとは話が別だ」

霧島「……はい」コク

提督「さてと、霧島も案内ご苦労さん。あとは摩耶達と一緒に、こいつら弔うの手伝ってやってくれ」

霧島「了解しました。司令はこれから船の出迎えですか」

提督「ああ。ただ、その前にあいつを問い詰めねえとな」
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