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【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」

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174 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:37:46.74 ID:u48PShuYo

 * 会議室 *

妖精「提督は誰かに甘えるなんて考えたこともなかったからねー」

霞「そういうことね……子供のころから頼る人がなくて自立を求められたら、そりゃ反動が来たっておかしくないわよ」

霞「でもねえ、相手が駆逐艦って恥ずかしくないの?」ドンビキ

提督「恥ずかしいに決まってんだろうが! ちくしょう妖精め、べらべら喋りやがって……」

霞「妖精さんのせいにしないの! だいたい、言わなきゃあんたの感情も伝わらないでしょ!」

霞「それこそあんたがいつもやってることじゃない! 甘えたいなら甘えたいって言いなさいよ!」

提督「うるせえな! この齢で俺がお前らに言えるかってんだ!」

提督「だいたい、俺はお前らに艦隊運営を全部任せてんだぞ。これ以上甘えてどうすんだ」

 扉<コンコン ガチャッ

初春「まあ、そういう意味ではわらわたちも好き勝手やらせてもらっておるのぉ」

霞「!」
175 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:38:31.48 ID:u48PShuYo

吹雪「失礼します、司令官!」

朝潮「失礼いたします!」

暁「ごきげんようです!」

白露「なになに、何の話?」

霞「何の話……って、何が?」

妖精「みんなはわたしが呼んだんだ。ヒアリングしたいことがあるからね」

提督「? こいつらにか?」

妖精「そう、みんな駆逐艦のそれぞれの型のネームシップでしょ?」

白露「そう! 白露が一番です!」ガタッ!

吹雪「ちょっ、わ、私だって一番なんだから!」ガタッ!

提督「わかったからとりあえず座れ……」
176 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:39:16.25 ID:u48PShuYo

初春「で、妖精どの? 話とはなんじゃ?」

妖精「みんなそれぞれ一番艦だから、妹はいても姉はいないでしょう?」

妖精「誰かに甘えたくなった時、みんなはどうしてるのかなって聞きたくて」

吹雪「!?」

朝潮「甘え……っ!?」

初春「むう……!」

白露「うーん……」

暁「……それだったら、暁はみんなに甘えさせてもらってるわ」

妖精「みんなに?」

暁「ええ。お料理とかだと比叡さんや長門さんにたくさん教えてもらってるし、戦闘だって私一人で戦ってるわけじゃないし」

暁「だから、暁はみんなに支えてもらって、甘えさせてもらってるって、感じるわ」ニコ

暁「あ、勿論、暁もみんなに頼ってもらえるようにしっかりレディーらしくしてるつもりよ!?」

吹雪「……」

朝潮「……」

初春「……」
177 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:40:01.44 ID:u48PShuYo

白露「あはは、いきなり模範解答が来ちゃった感じ?」

提督「だな……」

暁「?」キョトン

妖精「ほかのみんなはどうなの?」

白露「私は、どっちかって言うと甘えたいって意識がなかったかなあ。早く妹たちを迎えて、一緒に海に出るのが楽しみだったから!」

白露「今は島風っていう超速い妹がいるし、五月雨も練度が高いから、どっちにも負けたくないんだよね!」

霞「五月雨はしょうがないんじゃないの? もともといた鎮守府の主力の一人だったんだから」

白露「それでもだよ! ううん、だからこそ、私は白露型の一番艦、一番お姉ちゃんなんだから、一番頼りにならないとね!」

提督「妹がモチベーターになってる感じか。競争相手であり、先陣切って戦う理由でもあると」

妖精「それじゃあ、誰かに甘えるとか言う発想は出てこないよね」

白露「あ、さすがに航空戦とか、私たちの手が届かないところは得意な人に甘えちゃうよ?」

提督「そりゃ畑違いだからな、役割分担の範疇だ」

吹雪「……」

初春「……」
178 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:40:46.69 ID:u48PShuYo

朝潮「……あ、あの、司令官。その、申し上げにくいのですが……」

提督「ん?」

朝潮「具体的に、甘えるというのはどういった行為をさすのでしょうか!?」

吹雪「!?」

初春「!?」

提督「真面目か」

霞「真面目よ」

白露「よく肩がこらないよね〜」

暁「朝潮は真面目なのが自然体なのよ、きっと」

霞「でも朝潮姉? 具体的もなにも、この前みんなに甘えてたじゃない」

朝潮「この前?」

霞「私や吹雪に抱き着いてきたでしょ? あれはそうじゃないの?」
179 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:41:31.60 ID:u48PShuYo

朝潮「あ、あれは、司令官が私たちに心を開いてくださったことが嬉しくて、その喜びを皆さんと分かち合いたくて……!」

提督「どういう意味だそりゃ」

朝潮「司令官が部屋の鍵をかけなくなったというお話からです!」

提督「」

初春「な、なるほどのう……心を開くとはそういう解釈であったか」

吹雪「それじゃ、朝潮ちゃんは根本的に甘えるって行為を知らないってこと?」

暁「聞く限りそうなんじゃないかしら……いつでも背筋伸ばしてるし」

白露「……うーん、例えばだけど、猫とかが構ってほしくてすり寄ってくるじゃない? あの感じ、わかる?」

朝潮「ね、猫ですか……?」

霞「残念だけど、私も朝潮姉も猫の実物は見たことないの」

白露「あちゃー、駄目かあ」
180 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:42:17.78 ID:u48PShuYo

吹雪「別に猫じゃなくっても……ほら、初春ちゃんは長門さんに甘えてるでしょ?」

初春「んにゃっ!?」カオマッカ

吹雪「初春ちゃん、長門さんに抱っこされたときにこーんな緩んだ顔してすりすりしてたでしょ?」

初春「んなっ、な、ん、にゃにを言っておるかぁぁぁあ!」

白露「噛んだ」

初春「噛んでおらぬ!」

朝潮「なるほど……あれが甘える行為ですね! それなら理解できます!」

初春「納得するでなぁぁい! 吹雪っ!! きさ、きしゃま一体何を口走っておるかぁあ!!」

暁「噛んでるわ」

初春「噛んでおらにゅっ!!」

霞「噛み噛みじゃないの」
181 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:43:01.74 ID:u48PShuYo

吹雪「でも本当でしょ? わかりやすい例として言っただけだってば」

初春「どうせ例えるなら潮あたりにせぬか!」

吹雪「潮ちゃんはしょうがないでしょ? そうなる原因があったわけだし。でも初春ちゃんは全然関係なかったじゃない」

初春「それを言うなら吹雪こそ提督に甘えたがっておるではないか!! 近頃はとみに提督の部屋に入り浸るようになりおって!!」

吹雪「ふあ!? そ、そ、それを今ここで言う!?」ガタッ

初春「今言わずしていつ言わんや! 提督よ! 吹雪が貴様に甘えているのは事実じゃろう!」ガタッ

提督「……」ハァ…

霞「あんたは毎度毎度、答えるのを面倒臭がらないの!」

提督「別に答えなくてもいいだろ、こんなの……」

朝潮「……あの、司令官」

提督「うん?」
182 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:43:31.25 ID:u48PShuYo

朝潮「朝潮も、司令官のお部屋にお邪魔して、一緒のお布団に入らせていただいているときがあります」

朝潮「司令官のお邪魔にならないようにと留意してはいるのですが……この行為も、甘えていると呼べるのでしょうか……?」

提督「……いや。お前は単純に隣で寝てるだけだしな。それで嬉しそうにしてるのはなんでかわからねえが……」

霞「単純にここで働けているのが嬉しいから、ってだけだと思うけど?」

朝潮「霞……?」

霞「目立った戦果をあげていないにしても、この鎮守府近海の深海棲艦の活動を抑えて、航路として活用してもらえるようになったのは事実」

霞「ル級さんとの約束事が大きいとは思うけど、それでも、これは私たちとあんたが一緒に成したことだわ」

霞「ただでさえ前の鎮守府で濡れ衣を着せられて沈みかけた私たちに、役目を与えてくれたのよ? 嬉しくないわけがないじゃない」

朝潮「か、霞……」アセアセ

霞「なによ。朝潮姉がわかんないって言うから、予想でだけど私が言ったんじゃない。間違ってる?」

朝潮「そ、そうではなく……も、申し訳ありません司令官、本来ならばこの朝潮が言うべきところを妹に代弁させてしまい……!」

提督「いいさ、気にすんな。朝潮はそういう心情を伝えるのは苦手そうだしな」
183 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:44:16.86 ID:u48PShuYo

霞「ともかく。司令官と寝食を共にすればそれだけ身近に感じられるし、連帯感や団結の精神が生まれて昂揚する感じ、わかるでしょ」

霞「なんていうのかしら、仲間意識、って呼ぶにはちょっと語弊があるけど、朝潮姉が求めているのはそういうことなんじゃないの?」

朝潮「か、霞、もうそのくらいに……!!」セキメン

白露「朝潮も照れることあるんだねー」

暁「それはあるでしょ。」

提督「俺がそこまでのもんかよ。あんまり過大評価してもらいたくねえんだけどな……」

霞「生活態度や自己評価や成績がクズでも、艦娘最優先の生活を提供しようとする人間に、艦娘が悪い感情を抱くとは思えないけど?」

提督「……人間ねえ。どうせなら人間も何かの機会に辞めたかったぜ」

霞「諦めなさい。そんなのできもしないことだし、あんたが人間だからこそ、尉官見習いとはいえ、海軍に所属して提督業できてるんだから」フン!

暁「そうね。司令官がいなかったら、この島に来たみんなはどうなってたかわからないわ」

朝潮「その通りです、司令官……司令官は私たちにとっても、朝潮にとっても大事な方です」

朝潮「何卒ご自愛いただきますよう、お願い申し上げます」ペコリ

提督「……」アタマガリガリ

妖精「うん、そういうわけだから、提督も無理しないで誰かに甘えていいんだよ?」

提督「いや、そういう理屈じゃねえだろ……」アタマカカエ
184 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:45:16.83 ID:u48PShuYo

霞「そうね……さすがにその話の持っていき方はちょっと無理があると思うけど」

妖精「そうかなー?」

霞「それに、どうせ言うなら戦艦や空母の人たちに言ってあげてよ。私もこいつが駆逐艦に甘える姿は見たくないわ」

妖精「それもそうだね」

吹雪「でも如月ちゃんは大歓迎しそうだよね」ヒソヒソ

初春「相違ない」ヒソヒソ

暁「ねえ、司令官より背が高い人じゃないと、甘えるのって不自然じゃないかしら……?」

白露「一番背が高いのは大和さんだよね。次が雲龍さん?」

暁「そうね、あの二人は180センチあるって言ってたわ」

朝潮「長門さんや霧島さんは司令官と同じくらいですね。ル級さんもそうだったかと……」

妖精「よし、それじゃ戦艦のみんなを呼ぼうか」

提督「やめろっつってんだろうが」アタマカカエ

山城「どうしてこういう話を私は立ち聞きするのかしら……不幸だわ」ヌッ

陸奥「まあまあ、聞いてしまったものはしょうがないわ」

提督「!?」
185 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:46:01.39 ID:u48PShuYo

 * 昼 食堂 *

金剛「テーーーートクーーーーーゥ!!!」ドドドドド キキーッ

摩耶「うわっ!? びっくりした!」

由良「こ、金剛さんどうしたんですか?」

金剛「テートクはどこデース! Lunch は済ませてしまったんデスカ!?」

摩耶「あいつなら小さい包みを持ってどっか行ったぞ?」

潮「あ、あの、提督、さっき、厨房でおにぎり作ってました」

金剛「Rice ball ... ? Holy shit !! そんな lonely lunch は許しまセーーン!」

金剛「私が、アーンして食べさせてあげマーーース!!」ドドドドドド…

暁「金剛さん! 食堂で走っちゃ駄目ーー!!」
186 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:47:17.57 ID:u48PShuYo

島風「……はっやーい」アッケ

龍驤「島風が言うんかい……」

雲龍「ご飯はゆっくり食べるべきだわ」モキュモキュ

陸奥「ねえ山城、あの話、もう喋ったの?」

山城「扶桑お姉様に魔の手が伸びないように金剛型に愚痴っただけよ」

陸奥「……」

扶桑「提督は、私たちに手を出すような方だとは思えないのだけれど……」

山城「甘いです扶桑お姉様ッ!」ギンッ!

扶桑「もう……山城ったら、こんなに警戒心が強い子だったかしら」ナデナデ

山城「はへぇ……」デレデレ

陸奥「山城はなんて顔してるのよ……」タラリ

龍驤「甘えまくりやな……うちはこうならんよう、肝に銘じておかななぁ」

雲龍「私は一向に構わないけど」

187 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/03(火) 22:54:24.04 ID:u48PShuYo
今回はここまで。


ちなみに身長順ソートがこちら。あくまでこの鎮守府限定の設定です。
左側の数字は、180以上、と読んでください。参考までに提督の身長は177cmです。

180 大和雲龍
175 霧島ル級提督長門
170 山城陸奥扶桑
165 金剛榛名比叡最上
160 三隈摩耶古鷹利根由良明石
155 大淀川内那珂神通黒潮朧不知火山雲五月雨
150 白露島風初春朝雲朝潮吹雪敷波伊8龍驤如月初雪潮若葉
145 霞暁電

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/07(土) 11:54:20.03 ID:EeBfHBYmo
待ってる
189 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:23:03.57 ID:osq2iXQgo
少しだけ続きです。
190 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:23:49.21 ID:osq2iXQgo

 * 一方その頃 *

 * 島の北部 岩場 *

提督「……」オニギリモグモグ

伊8「……」サンドイッチモグモグ

(二人並んで岩に腰かけて、海を眺めながら昼食をとっている)

提督「……」

伊8「……提督、食堂から逃げてきたの?」

提督「まあ、そんなところだ」

伊8「やっぱり。なんとなく、だいたいの事情は知ってますけど」

提督「耳が早えな」

伊8「山城さんが喋りまくってましたから」

提督「……あんにゃろめ……」

伊8「食堂、騒ぎになってません?」

提督「構うもんかよ。どうせ金剛や大和あたりが騒いでゆっくりできねえさ」

伊8「提督、誰かに甘えるの嫌そうですもんね」モグモグ
191 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:24:30.75 ID:osq2iXQgo

提督「まーな。つっても、艦隊運営とかは口出しできるレベルにねえから、完全にお前らにおんぶにだっこだけどな」

提督「甘えてねえ、っつったら嘘になるさ」

伊8「……」

提督「……」モグモグ

提督「さっきお前に声かけられた時も、ちょっと焦ったがな。こんな隠れ家教えてもらえたのは幸運だ」

伊8「たまたまです。たまたま見かけて、声をかけただけですから」

提督「……」パク

伊8「……」モグモグ

提督「なあ」

伊8「はい?」

提督「俺はお前を殺そうとしたよな?」

伊8「はい」

提督「なんでお前は俺に優しくできる?」

伊8「提督が優しい人だってわかったからです」ニッ

提督「……」
192 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:25:16.09 ID:osq2iXQgo

伊8「提督、今ははっちゃんのことを助けてくれるでしょ?」

提督「……ああ」

伊8「だから、はっちゃんも提督に優しくしますし、協力もします」

伊8「私が頼れる『人間』は、あなただけだから」

提督「……そうか」

伊8「それから、はっちゃんは、どちらかと言えば提督に甘えたいと思ってます」

伊8「これまで誰かに可愛がってもらったことがなかったので」

提督「……」

伊8「初雪ちゃんあたりも、そうでしょ?」

提督「まあ、確かにな……」

伊8「それに私たち、艦娘です。いつ死ぬかもわかんないですし……」

提督「……させねえよ」

伊8「!」
193 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:26:04.02 ID:osq2iXQgo

提督「お前らに『生きたい』と言わせたのは俺だ」

提督「お前らがそれを覆さない限り、少なくともその俺の目の黒いうちは、何があっても死なすつもりはねえぞ」

伊8「……じゃあ、提督も、長生きしないといけませんね」ニコ

提督「……」

伊8「そんな顔しないでください。提督がいなくなったら困るの、はっちゃんだけじゃないんですよ?」

提督「……善処する。約束はできねえが」

伊8「ずるい」ムスッ

提督「できねえ約束はしたくねえんだ」

伊8「いい加減、頑固すぎです」


伊8(これだけ言っても駄目なんて……提督が根本的に変なこと考えないように、どうにかしないと)ハイライトオフ

伊8(色仕掛けも通じないわけじゃないみたいだけど、一線を絶対超えたがらないから、時間がかかりそう)

伊8(……やっぱり、既成事実作っちゃうしかないかなー……)ザワッ

提督(……なんだこの悪寒……)ゾワ

194 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:26:46.01 ID:osq2iXQgo

 * 昼過ぎ 執務室 *

提督「……」

金剛「Hey, テートクゥ! Please Com'in !!」リョウテヒロゲテ

提督「何の真似だ」

霞「午前中の話を聞きつけて来てくれたのよ。ありがたく甘えさせてもらったら?」ジトッ

提督「……お前らは俺を困らせたいのか?」

金剛「No ! テートクはいつも独りで抱え込みすぎデース!」

提督「吐き出したいときは遠慮なく吐き出してんだろが」

霞「そうやって吐き出してるのは悪態と逃げ口上じゃない」

霞「本音を吐露しないのとデリカシーがないのは話が違うわよ。論点すり替えないでよね」

大淀(霞ちゃんもそういうきらいがあると思うんだけど……)

提督「だったら俺の本音は『俺抜きで幸せになってくれ』だよ。何遍も言わせんな」

霞「そういうのが受け入れられないって言ってんでしょうが、このクズ!」

金剛「ンー、テートクも頑固が過ぎマース」
195 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:27:31.09 ID:osq2iXQgo

提督「生き方なんて、ほいほい変えられるようなもんでもねえだろ。諦めろ」イスニスワリ

金剛「Hmm... Okay」

 ツカツカツカ

 ガシッ!

提督「!?」アタマツカマレ

金剛「そういうことなら、私にも考えがありマース」

提督「お、おい、なにを……もがっ!?」

(金剛が提督の頭を自分の胸に強引に引き寄せ抱きしめる)

金剛「こうなれば実力行使、問答無用デス……! テートクは、力づくで可愛がってあげマース……!!」ナデ…

提督「んなっ!? い、いいっつってんだろ!」

金剛「もがいたって無駄デース、私、喰らいついたら離しまセンヨー?」ギュー ナデナデ

提督「……っ!!」ギチッ

金剛「覚悟を決めて大人しくするデース……!」ニッコリ

大淀「こ、金剛さんも結構強引ですね……」
196 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:28:15.90 ID:osq2iXQgo

金剛「Huh〜♪」ナデナデ

提督「……」ピクッ

金剛「ンー、イイ子デスネー……」ナデナデ

提督「……」

大淀「……」

霞「ね、ねえ、あいつの様子おかしくない?」

大淀「そ、そういえば……抵抗してませんね」

金剛「Yes, このままゆっくりお休みするデース……」

提督「……う、うおああああ!?」トビノキ

金剛「!?」

霞「!?」

大淀「!?」

提督「はーっ、はーっ……あ、危ねえ……!! こ、金剛っ、お前、何なんだ!? 何しやがった!?」

金剛「Oh shit, 逃げられてしまいマシタ」
197 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:29:00.86 ID:osq2iXQgo

大淀「あ、あの、提督? 大丈夫ですか?」

提督「大丈夫じゃねえよ! もうちょっとでダメにされるとこだった!!」

霞「……は?」

提督「は? じゃねえよ! マジで落ちる寸前だったぞ!?」

霞「落ちるってなによそれ。古鷹さんのときだって同じことされてたじゃない、あんたが腑抜けたんじゃないの?」

提督「ちっ……金剛。霞に俺と同じことしてやってくれ」

金剛「? いいデスケド……」

霞「なに? あたしがそんなことでどうにかなると思ってるわけ?」イラッ

提督「いいからやってもらえ。どうもならないなら、それでいい。お前のお叱りも甘んじて受ける」

霞「わけわかんないわ……」

金剛「それでは霞? Please come here」

霞「……わかったわよ」スタスタ

金剛「Okay... !」フワッ

霞「……!」ダキシメラレ
198 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:29:45.80 ID:osq2iXQgo

金剛「……♪」アタマナデナデ

霞「……」

提督「……」

大淀「……」

金剛「ンー、霞もとっても素直でイイ子デス……!」ギュ ナデナデ

霞「……」

金剛「……♪」ナデクリナデクリ

霞「……」ギュ

大淀「霞ちゃんが自分から抱き着き返した……!?」

提督「落ちたな……」

大淀「え?」

提督「金剛、そのくらいでいいぞ? 大淀は後を頼む」

大淀「えええ?」

金剛「? もういいんデスカ?」スッ

霞「……ふえ?」カオミアゲ

大淀(あっ)キュン
199 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:30:31.07 ID:osq2iXQgo

霞「もうおわり……?」ウルウル

大淀(あっっ)キュンキュン

金剛「ほらー、テートクー? 霞が物足りなさそうな顔をしてマスヨー?」ナデナデ

霞「……!?」ハッ

大淀「か、霞ちゃん……?」

霞「……っっ!!!」カオマッカ

金剛「Oh, 霞、どこに行くデース?」

霞「こ……っ」プルプル

大淀「こ?」

霞「この、このクズーーーーー!!!」ダッシュ&ジャンプキック

提督「うおっ、あぶね」バッ

霞「避けてんじゃないわよ! 一撃入れさせなさい!」ハイキックコンボ

提督「なんでだよ! 俺は最初からやべえって言ってたじゃねーか! っつうかなんで俺に当たんだよ!?」ガード

金剛「霞? ケンカは良くないデスヨー?」

霞「ひっ……!」ジリッ
200 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/08(日) 21:31:45.69 ID:osq2iXQgo

提督「霞、とりあえずわかったろ。金剛のあれは洒落にならねえ」

提督「五月雨が、金剛にだっこされて十数秒で寝ちまったのも頷ける」

霞「そ、そんなことがあったの!? そんなにやばいならそれを早く言いなさいよ!!」

提督「言っても信じてたか? 俺だって体験しなきゃ信じられなかったんだ、こっちの方が理解は早い」

金剛「二人とも、もう私に甘えてくれないんデスカ?」

提督「あ、ああ、もう大丈夫だ。これ以上甘えたら仕事ができなくなる、なあ霞?」ジリッ

霞「え、ええ、そうね、その通りよ。もう十分だから……!」ジリッ

大淀「あの、金剛さん? 午後は工廠で艤装の点検があったはずです。もうそろそろ向かった方がよろしいかと……」

金剛「!? もうそんな時間デスカ? すぐ準備しマース!」タタッ

提督「……助かった……」

霞「……あ、ありがと、大淀さん……」

大淀「そんなに危険だったんですか?」

提督「やばかったな。心地いい布団っつーか、底なし沼みたいにどこまでも引きずり込まれていくような感じだった」

霞「……同意せざるを得ないわ。一瞬でも抜け出したくないって思わせられたもの」

大淀「……」

提督「仕事すっか……」フラフラ

霞「そうね……」フラフラ

大淀(二人とも、大丈夫かしら……)タラリ
201 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2020/11/08(日) 21:32:46.14 ID:osq2iXQgo
今回はここまでー。
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/09(月) 05:19:42.89 ID:So/AUEV+o
金剛…恐ろしい娘…!
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/10(火) 00:09:38.82 ID:BQ+bi72H0
大淀がキュンする霞の顔が見てみたい
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/18(水) 06:58:07.19 ID:dsdcKhEb0
最初から全部読んで追いついてしまった
205 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:46:16.82 ID:I8THug57o
続きです。
206 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:47:07.22 ID:I8THug57o

 * 午後 北東の砂浜 *

榛名「……」

 ザザーン…

榛名「……」

榛名「……!」

提督「榛名か。何してんだ?」

榛名「はい、海を見ていました。海と、この砂浜の様子を見に」

提督「……」

榛名「先程まで電ちゃんが、背中にかごを背負ってゴミ拾いをしていました」

榛名「かごの中身は殆ど入っていなかったみたいですけれど」

提督「俺もしょっちゅう見回ってるからな。掃除もしてるから、我ながら綺麗な砂浜だと思うぜ」

榛名「……はい。願わくば、ずっと、綺麗なままであって欲しいですね」

提督「ああ……けど、電は俺が砂浜の掃除してること、わかってるよな? なんでわざわざ……」

榛名「……あの、提督?」

提督「ん?」
207 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:47:49.57 ID:I8THug57o

榛名「多分……なのですけれど」

榛名「電ちゃんは……ここに、誰かが流れ着くのを待っているんだと思います」

提督「……B提督の部下たちか?」

榛名「はい。きっとそうです」

榛名「榛名も……同じですから」

提督「養成所のか。待っててもいいが、必ずしもこの島に流れ着いてくるわけじゃねえぞ?」

榛名「……」ウツムキ

提督「……」

榛名「提督、申し訳ありません。榛名は……榛名は、ずるい子です」

提督「?」

榛名「ここに来た本当の理由は、提督と一緒に砂浜を歩きたかったからなんです」

榛名「ですがここへ来て、それとなく、思い出していたんです。あの日のことを……」

榛名「ここに来るまで、榛名は、自分のことしか考えていませんでした。あの日も、自分の身を守ることだけで精一杯でした」

榛名「私と那珂さんだけ生き延びて……そして、私だけ、提督に甘えようとしていることが……」

榛名「とても、罪深いことだと、思ってしまうんです……」

提督「……」
208 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:48:33.09 ID:I8THug57o

榛名「……提督、榛名は……榛名には、あなたの隣を歩く資格があるのでしょうか……」

提督「……」

榛名「……」

提督「面倒臭えな」ハァ

榛名「は……はい!?」

提督「前に言わなかったか? んなもん考えたって意味ねえよ。答えて欲しい相手が不在なんだからな」

提督「だから今後は沈んだ奴らの話はすんな」

榛名「……っ!」

提督「あいつらが沈んだのを悔しがるのは構わねえが、結果的にはお前も轟沈してんじゃねえか。お前にも那珂にもどうしようもなかったんだろ?」

提督「結局は無理難題を押し付けた養成所の人間どもが悪い」

榛名「で、ですが」

提督「お前らが出撃前に殺された那珂の同型だって、お前に力があったら救えたか?」

榛名「そ、それは話が別なのでは……!?」

提督「同じだろ。連中が用意した戦場だぞ? いくら足掻いたって最初から詰んでんだ。だから忘れちまえ」

榛名「忘れ……って、本気なんですか!?」
209 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:49:18.23 ID:I8THug57o

提督「んじゃあ、言い方変えるか。いい加減、そいつらを解放してやれ。浮かばれねえからよ」

榛名「……解、放……?」

提督「これから先、お前に何らかの不幸があったとして、それが榛名があいつらを救わなかった報いだ、ってなるか? 関係ねえだろ?」

提督「それに、あいつらのために何かしてやるのはお前の勝手だが、じゃああいつらは今、お前のために何かできるのか?」

提督「なにもできねえだろうが。お前が勝手に気を揉んで、勝手に気を病んで……自分で自分を追い詰めてるだけにすぎねえんだよ」

榛名「……」

提督「沈んじまった奴らは、もう、しょうがねえ。俺が埋葬した連中にも、俺からはゆっくり眠ってくれとしか言えねえ」

榛名「!」ハッ

提督「そりゃあ、あいつらも無念だったかもしれねえさ。けど、そうだったかも結局はわからねえ。その時の当事者にしかわかんねえんだ」

提督「この浜に流れ着いて野晒しになったあいつらが可哀想で、俺は丘の上に埋めたんだが、それももしかしたら余計なお世話だったかもしれねえし」

提督「俺がそうしたいと思ったのも、結局は自己満足のためだ。それがいいと、俺が思ったから、そうしたんだ」

提督「そんな俺が、勝手にあいつらの気持ちを『騙る』わけにはいかねえよ」

榛名「提督……」
210 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:50:02.73 ID:I8THug57o

提督「で、榛名。お前の望みはどうなんだ? 正直に言いな」

榛名「正直に……」

榛名「……」

榛名(榛名の望みは、提督と……)

榛名「……」カァァ

提督「?」

榛名「あ、あの、榛名は……し……その……」

榛名「……(提督と)……し、幸せに、なりたい、です……!」カオマッカ

提督(なんで顔を赤くしてるんだ?)クビカシゲ

榛名「……ですが、その……」

榛名「あの出来事を、忘れることだけは、できません……」

提督「……」
211 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:50:48.63 ID:I8THug57o

榛名「短い間でしたが、一緒に戦った仲間です……全滅こそしましたが、お互いを鼓舞しながら戦ったのは事実です」

榛名「勿論、榛名は幸せになりたいですが、みんなを忘れてまで幸せになりたいとは思っていません……」

提督「……なるほど」

榛名「提督、申し訳ありません……」ペコリ

提督「謝んな。お前が忘れちゃだめだって言うんなら、それでいいじゃねえか」

提督「ただ、そうやってずっと罪の意識を抱え込んでたんじゃあ、多分お前は早かれ遅かれ潰れちまう」

提督「それで死んで昔の仲間の恨みだなんて話になったら、それこそマジに怨霊扱いされて、浮かばれるものも浮かばれねえ」

提督「電や摩耶、霧島あたりもそうだが、お前らみんな優しすぎて罪悪感が強すぎるんだ。許されたくて罰して欲しいって考えてるだろう?」

提督「だから俺は忘れろって言ったんだ。完全にじゃなくてもいい、少しは自分を許してやれ」

榛名「……」ウルッ

提督「で、前を向いて、たまに振り返ってその時だけ思い出しゃあいいさ。ずっと後ろ向いて歩いてたら危ねえからな」

榛名「提督……!」ウルウル
212 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:51:33.22 ID:I8THug57o

提督「……どうだ? 少しはお前の望んだ答えにはなったか?」

榛名「はいっ! ありがとうございますっ!!」ダキツキッ

提督「うおっ!?」

榛名「榛名、これほどまでにご心配いただいて、感激ですっ!」ギュウ

提督「……ま、昔のことに縛られ続けてもしょうがねえしな」

榛名「いえ! 榛名は、提督に縛られるのならいくらでも……!」スリスリ

提督「なに?」

榛名「……あ」

提督「……」

榛名「……な……」カオマッカ

榛名「なんでもないですぅぅぅうううう!!!」ダット!

提督「……大丈夫かあいつ」ポカーン

 <ハルナハダイジョウブデスゥゥゥゥ!

提督「本当かよ」
213 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:52:18.06 ID:I8THug57o

 * 酒保内の個室 *

龍驤「……」ゴソゴソ

雲龍「……」ニコニコ

古鷹「……」ニコニコ

明石「……付け心地はどうですか?」

龍驤「よ、ようわからんけど……これでどう、かな……?」クルリ

明石「うん、いいんじゃないですか? このサイズのブラジャーなら!」

雲龍「可愛いわ」パチパチ

古鷹「良かったですね!」

龍驤「おおきに……ほんま、おおきにな!!」ウルウル

龍驤「それもこれも古鷹のおかげや……! めっちゃ痛かったけど、それだけに感無量や!」

龍驤「ほんまにおっぱいが作れるとは思ってもなかったで!!」

古鷹「でも、この形で固定するためには、マッサージはもう少し続けないといけないんです」

龍驤「うちとしては引き続きお願いしたいけど……古鷹、今後も面倒見てもらってええかな?」

古鷹「はい、任せてください!」
214 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:53:03.02 ID:I8THug57o

雲龍「ねえ明石」テマネキ

明石「はい?」

雲龍「こっちの可愛い柄のと、こっちの綺麗なの、今龍驤がつけてるサイズであるかしら」カタログトリダシ

明石「あー、ありますね。取り寄せてみましょうか」

雲龍「ええ、お願い」

龍驤「なんや、うちのことはええから、雲龍も自分のを買おたらええやん」

雲龍「……ないの。こういう可愛いのが……」シュン

龍驤「そ、そうなん……?」

明石「あー、確かにサイズが大きすぎると、そもそもの種類がないんですよ」

明石「龍驤さんが今つけてるジュニアブラだと、やっぱり可愛いデザインが多いんですけどね」

龍驤「そういうもんなんか……」

明石「そういうのでなければ、私たちみたいに戦場に出るような人向けの下着は実用一辺倒の味気ないのしかありませんし」

龍驤「あー、あのプロテクターみたいなあれかぁ」

明石「雲龍さんにもおすすめしたんですが……」

雲龍「龍驤に触ってもらえなくなるから嫌」

龍驤「ちょっ」セキメン

明石「仲がおよろしいことで」ニヤァ

古鷹「仲良きことは美しきかな、ですね!」ニコニコー

龍驤「……大天使と小悪魔がおるなあ」
215 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:53:48.55 ID:I8THug57o

 * 夕方 入渠ドックそばの大浴場 *

明石「提督! できましたよ!」

提督「すげえな……うちの明石は大工でもやっていけそうだな」

増築して作られた個別の風呂<デェェェン!

明石「お風呂と更衣室のセットを3組! 防音処理もしてるので、これで個別にゆっくり入れます!」

明石「お湯は大浴場のお湯をそのまま引いてますから、個別の温度調整はできませんけど、このお風呂用にだけお湯を沸かすこともできますよ!」

提督「十分だ。これまで個別の風呂は、俺の部屋のシャワールームしかなかったからな。利根や如月もこれなら安心だろ」

提督「ありがとうな明石。妖精たちもいい仕事してくれたぜ」

島妖精たち「「いえーい!」」サムズアップ!

明石「戦艦のみなさんにも、出撃の合間に手伝っていただいてるんで、お礼を言ってあげてくださいね!」

提督「ああ、わかった」ウナヅキ

提督「……こういうときに、間宮や伊良湖がいれば良かったんだがな」

明石「? 何の話です?」
216 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:54:33.29 ID:I8THug57o

提督「以前N大尉の鎮守府に行ったときに初めて間宮や伊良湖に会ってきたんだが、アイスとかが人気なんだってな」

提督「それで、大昔に妖精に助けてもらったときにアイスとかを御馳走してたのを思い出したんだ」

明石「ああ、そういえば聞きましたね、そのお話」

提督「今回もそれに近いものを用意したかったんだが……」チラッ

明石「?」

提督「いや、これだけの仕事をしてもらってアイス程度じゃあ、子供へのお駄賃みたいでいまいちなあ……」

提督「なんかこう、ねぎらいというか、ご褒美というか、働きに見合ういいものがないかと思ってなあ」

明石「あー……でも、この前はあのマルチ工具買ってもらいましたし、そのほかの工具も間に合ってますし……」

明石「あ、そうだ」

提督「?」
217 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:55:19.59 ID:I8THug57o

 * 個人浴場の更衣室 *

明石「まさか私が一番最初に使うことになるとは思ってませんでしたね〜」ヌギヌギ

提督「お前が着替えてる最中は俺は退室しててもいいだろ……」ウシロムキ

明石「そう言って逃げる気ですね?」モゾモゾ

提督「逃げねえよ」

明石「はい、着替え終わりましたよ、こっち向いてください」Tシャツキガエ

提督「……」クルリ

明石「マッサージ、しっかりお願いしますね!」

 * *

明石「うーん、もうちょっと強くしてもいいですよ?」

提督「……」モミモミ

明石「あっ……うん、丁度いいです……んん〜……っ」

提督「お前の両肩、鉄板でも入ってんのか?」

明石「まあ、艦娘ですから! 艦種柄、重たい資材とかしょっちゅう運んでますしねー」
218 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:56:03.87 ID:I8THug57o

提督「クレーンも積んでるし、か」モミモミ

明石「ええ、そうで……くぅんっ」

提督「変な声出すなよ」

明石「いいでしょうが、誰もいないんですし……んっ、んくぅ……!」

提督「……」

明石「ほらぁ、手が止まってますよ〜?」

提督「わかったよ……」グリッ

明石「くはぁんっ! あぁ……そこ、いいっ……んんっ……!」ウットリ

提督「……」グリグリ

明石「んあっ、い、いい……ごりごりして、あっ、あ、あああ〜〜……!」

提督「……」ギュッギュッ

明石「す、すご……っ、てい、とく……上手……んひっ……!」

明石「あっ、そ、そこっ……もっと、そこ、強く……あぁんっ、や、声出ちゃうぅ……っ!」

提督「……」

明石「あぁん、や、やめちゃだめです……っ、もっと、もっとしてぇぇええ!」

提督「……」
219 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:56:52.40 ID:I8THug57o

 * *

明石「……っはぁ……すっごい気持ちよかったぁ……!」スッキリ

明石「提督、ありがとうございました!」

提督「おう……」グッタリ

明石「なんですか、その燃え尽きた灰みたいな顔色して」

提督「……今度から耳栓持ってくる」

明石「何言ってんですか。そんなことしたらマッサージする箇所がわかんないじゃないですか」

提督「俺を殺す気か」

明石「あら、普段から死にたがりの人が命乞いですか」

提督「こんな死に方じゃ死んでも死にきれねえよ」

明石「我慢してくださいよ。そもそもお礼がしたいっていうからマッサージをお願いしたのに、どうして提督が死にかけてるんですか」

提督「だったら少し黙っててくれよ。変な声聞かされて頭がおかしくなりそうだ。力が加減できなくなっても知らねえぞ」

明石「そう言う割には、とってもいい力加減でしたよ? 提督ってば握力とんでもないですよね?」

提督「おにぎり握るときに全力出すか?」

明石「あー、それもそうですねぇ。それにしても、提督のその握力、どうしてそんなに強いんでしょうねぇ?」
220 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:57:38.13 ID:I8THug57o

明石「いくら鍛えたからって、人間がそんな握力を持つなんて、普通じゃありませんよ」

提督「……」

明石「まあ、それ以外にも、提督って何かと普通じゃありませんよねって、最近つくづく思うんですよねぇ……!」

提督「……何が言いたい?」

明石「……」

提督「……」

明石「提督。あなた、本当に人間なんですか?」

提督「……」

明石「……」

提督「お前にどんな意図があるかは知らねえが……一応は、な。一応は人間だ」ハァ

提督「この前の医療船で調べてもらったときの診断書、お前にも見てもらったと思うが、おかしなところはあったか?」

明石「……何もありませんでしたね」

提督「多分どこかに俺が人間として異常なところがあるんだろうが……」

提督「検査の精度にもよるが、人間ドックに入って特におかしなところが見つからなかったとなると、俺もどこを疑えばいいのかわからねえ」

明石「……そうですか」

提督「不服そうだな」
221 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:58:19.38 ID:I8THug57o

明石「もうひとつ、気になることがあるんです」

明石「以前、私があなたの頬を引っ叩いたことがありましたが……私、本気だったんです」

提督「……なに?」

明石「提督には、私がここに流れ着いたときの経緯をお話ししましたよね」

提督「ああ……確か、口封じされたんだよな? お前が手を貸さざるを得なかった悪事の」

明石「はい。その口封じを、前の司令官は、北上さんに……私の友達にさせたんです」

明石「それと同じようなことをしたあなたが、どうしても許せなくて……!!」

提督「……」

明石「だから、あのとき、私は手加減なんかしてなかったんです。本気で殴ったんです」

明石「艤装を装備した艦娘の力がどんなものか、提督もご存知ですよね?」

明石「それなのに、どうしてあの程度で済んだんですか……?」

提督「……」

明石「それからもうひとつ。N提督の鎮守府へ治療にいきましたけど、1日で帰ってきましたよね? 骨にもひびが入っていたのに」

明石「艦娘洗脳ツールの騒ぎで有耶無耶になっていましたが、提督の回復力も人間じゃ考えられません」

提督「……」
222 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 14:59:18.39 ID:I8THug57o

明石「しかも、あちらでは高速修復材を食べたそうですが……あれは人間が食べていいものかどうかすら、わかっていないんです」

明石「あなたの顔の怪我がすぐに治ったのは、その修復材のおかげではないんですか……?」

提督「……」

明石「どうなんですか、提督……!」

提督「……」

明石「……」

提督「わかんねえ」ウーン

明石「なっ!?」

提督「あの怪我も、言ってしまえばたかがビンタだと思ってたからな。顔が青くなっても、ぶっちゃけ何日かすりゃあ治ると思ってた」

提督「修復材の話も、言われてみればそうかもしれねえ。確かにあの怪我がすぐ治ったのはそうなのかもしれねえが……」

提督「それじゃあ俺が何者なのか、って言われても、どうにも答えようがねえ。むしろ俺が訊きたいくらいだ」

明石「……」

提督「俺としちゃあ、人間じゃなくなるってのはある意味お望み通りだ。ショックでもなんでもねえ」

提督「ただ、誰に言われたか忘れたが、仮に俺が人間じゃなくなったら、この鎮守府の管理を任せてもらえなくなったりしないか?」

明石「あ……た、確かに……!」アオザメ
223 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 15:00:05.86 ID:I8THug57o

提督「仮に、俺の正体が艦娘と関係してるとかならまだいいんだ」

提督「っつうかこの前、那珂にも同じ質問をされたんだよな。で、そのとき俺が深海棲艦じゃねえか、って言われたって……話したよな?」

明石「う、え……そ、それ、冗談じゃなかったんですか!?」

提督「冗談なもんかよ。那珂に砲口向けられたんだからな?」

明石「ええぇえ!?」アワワワ…

提督「それでだ。お前は俺から深海っぽい雰囲気を感じたことはあったか?」

明石「い、いえ、そこまでは……」

提督「山雲みたいにそういう確証があるんなら話も早いんだが……」

明石「いやいやいや、そもそもあったら提督が鎮守府を任せてもらえたかどうかすら怪しくないですか!?」

提督「それもそうか」

提督「まあ、あとは俺が艦娘や深海に関りがあるんなら、泳げないのもどうなんだ、ってのはあるな」

明石「むしろ深海に関りがあるからこそ沈んでしまうとも考えられますよね……ル級さんと交流できてるのも……うわあああ」アタマカカエ

提督「俺に関していろいろと考察してもらってはいるが、これ、っていう確証がない」

提督「どうする? 俺をどうにかして、人間じゃないって証明したほうがいいか?」

明石「……」

提督「……」

明石「いえ……やめておきます」
224 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 15:00:48.07 ID:I8THug57o

明石「私は、単純にあなたが何者なのかが知りたいだけで、あなたを追い詰めたり糾弾したりしたいわけではありません」

明石「私はこの鎮守府の平穏を脅かすつもりはありません。これ以上踏み込んで、取り返しのつかないことになるのは御免です」

提督「そうか」

明石「あの、提督? 提督は、小さいころから妖精さんと話ができていたんですよね」

提督「ああ」

明石「提督の弟さんには見えなかったんでしょうか」

提督「……そういやそうだな。見えてる感じはしなかった」

明石「だとしたら、隔世遺伝とか、一代限りの突然変異……と、考えざるを得ないですね」

明石「通説だと、なんらかのきっかけがあるはずなんですが」

提督「例えば?」

明石「私が聞いたことがある話だと、その方の祖父が海軍の関係者だった、とかですかねえ……艦に乗船した生存者や、開発者とか」

明石「艦娘と長く接触していた人の子供が、妖精さんを目で追ってたとか言う話もありましたが、これは最近の話ですし」

提督「俺のジジババの話は聞いたこともねえな……」

明石「仮に提督のお祖父さんが関係者だったとしたら、ご両親や弟さんにもなんらかの影響が出るはずなんです」

提督「そんな気配どころか、全否定だったから絶対ねえな。俺だけ何かあったってことか?」
225 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 15:01:33.36 ID:I8THug57o

明石「提督が物心つく前に、その身になにかあったのかもしれませんね。艦娘なり、妖精さんなりと接触があったとか」

提督「けど、俺が生まれたのは妖精も来ないような山奥だぞ。関わりようがねえんだよな……」

明石「うーん……」

提督「妖精。今の話、聞いてたか?」

妖精「うん」ヒョコッ

明石「いたんですか!?」

提督「こいつ、気配消すのはうまいからな。で、俺に見つかる前に俺の村に来たことあったか?」

妖精「ううん、ないね。あの村に行ったの、わたしが最初じゃないかな?」

明石「妖精さんはどうして提督のいた村に行ったんですか?」

妖精「特に深い意味はないよ? わたしは散歩というか、散策のつもりで行ったんだ」

妖精「まさかこんなことになるなんて、思いもしなかったけどね」

明石「そうですか……」

提督「俺の正体が何者でも構わないが、お前らに危害を加えそうなら躊躇なく始末してくれていいからな?」

明石「冗談でもやめてくださいよそういうの……大和さんだけじゃなく、如月ちゃんとか金剛さんあたりも黙ってませんよ?」

明石「とにかく、この話は他言無用にお願いします、不確定情報も多いですし、憶測の域を出ないので。妖精さんも、いいですか?」

妖精「うん」

明石「誰が何を言い出すかわかりませんからね……よろしくお願いします」
226 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/21(土) 15:03:08.34 ID:I8THug57o
というわけで今回はここまで。
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/21(土) 15:54:40.45 ID:3uqJHgTNo
明石のお乳も揉みたい…心の底からそう思いました
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/22(日) 00:55:07.54 ID:eeYKgFi4o
お尻を揉みたい
時々手を滑らせてあのスリットに…むふぅ
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/22(日) 10:11:05.10 ID:2cSSaaoRO
魔人になる片鱗がでてきたか
後は罠達がいつ来るのか
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/27(金) 12:16:10.65 ID:RrGyHR6p0
こっち完結してから本編読むつもりだったけど、待てなかった...それでも墓場島の話を読んだ後に罠読んでるからなるほどってなる。まだその2まで行ってないけど...それと陸奥に驚いた。そこまで回復してんのかって。すごく面白い。更新楽しみに待ってます!
231 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:08:56.65 ID:69Vo60mdo
こっちはまだまだ描くネタがあるので、当分は追いつかないかと……。

では少しだけ続きです。
232 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:10:04.33 ID:69Vo60mdo

 * 夜 提督の私室 *

提督「今日は一段と振り回された気がすんな……寝るか」

 扉<コンコン

大和「提督……大和です。入っても、よろしいでしょうか」

提督「本当に今日は多いな……」ハァ

提督「……入っていいぞ」

 扉<チャッ

大和「し、失礼、致します」オズオズ

提督「? いつになく縮こまってんな。どうかしたか?」

大和「は、はい……お、折り入ってご相談がありまして」

提督「相談?」

大和「あ、さ、先に着替えさせていただきますね! 脱衣所、お借りします!」

 トタタッ パタン

提督「……?」
233 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:10:49.24 ID:69Vo60mdo

 * *

大和(パジャマ姿でベッドの上に正座)「こ、このような姿で失礼します……」セキメン

提督「これまで何度もこの姿で抱き着かれて目を覚ましてんだがな……今更恥ずかしがることもねえだろ」

提督「まあいいや、それで相談ってのは?」

大和「……そのぉ……」

大和「最初に確認したいことがございまして……」

大和「提督は……甘やかして欲しいと、思ってらっしゃったり……する、のでしょうか?」

提督「それはねえな」

大和「で、ですよね!? ですよね……!」

提督「相談ってのはそのことか?」アタマカカエ

大和「い、いえ、本題はこれからでして……」モジモジ

提督「?」

大和「……私は……戦艦、大和です」

大和「日本海軍の技術を結集して建造され、国全体の期待を背負い、この国そのものの名を冠した、大型戦艦です」

大和「それゆえに、その……」

大和「誰かに、頼るといいますか……その……」

提督「……」
234 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:11:34.62 ID:69Vo60mdo

大和「甘える、といったことを……したことがなくて……」モジモジ

提督「あー……」

大和「へ、変ですよね、大和がこんなことを言い出すなんて」

提督「……」ウーン

大和「あの、提督……?」

提督「大和が建造されてから、1年と経ってねえよな」

大和「は、はい」

提督「建造された直後から、足で立って、話もできる」

提督「考えてみりゃあ変な話だよなあ……」

大和「……」

提督「生まれるときには大きな体が用意されてて、記憶とかも準備されてる」

提督「そうだよな……お前らがどこから来たのか、よくよく考えてみれば理屈がわからねえ」

大和「は、はい……」

提督「だとしたら、甘えるなんて経験もしたことがねえ、か……」

大和「……そ、そうですね……」セキメン
235 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:12:19.38 ID:69Vo60mdo

提督「……」

 グイ

大和「きゃ!?」アタマヲヒキヨセラレ

提督「……こうだったか?」ナデ

大和「て、提督……!?」カオマッカ

提督「力加減がわからねえ。痛かったら言えよ?」

大和「い、いえ……!」

提督「そういや、たまに駆逐艦たちの頭を無意識に撫でたりもしてたな……なんとなく撫でたくなって撫でてたが」ナデナデ

提督「なんで撫でたくなったんだろうな……誉めてやりたいって感じでもねえし……」

提督「誉めるにしても、お前みたいに背が高いと、こうやって頭をなでられたりする機会もねえか」

提督「というより、普通に失礼だよな……子供扱いしてるようなもんだしなあ。でも、この世に現れてまだ間もないわけだし……」ナデナデ

大和「……」ギュゥ

提督「大和?」

大和「……ふぁい?」ポヤーン

提督「……」
236 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:13:04.79 ID:69Vo60mdo

大和「……ふえっ!? も、申し訳ありません! き、気持ち良くて、つい!!」バッ

提督「気持ち良かったのか……?」

大和「はい……これまでにない経験でしたので」カオマッカ

提督「そうか。お前が良いならそれに越したことはねえ」

大和「……」モジモジ

提督「……」

大和「あのう……提督?」

提督「ん?」

大和「これから、なんですけれど……二人きりの時は、こんなふうに甘えても……」

大和「その、よろしい、でしょうか……?」ポ

提督「……ああ。それがお前の希望ならな。断る理由もねえ」

大和「ありがとうございます!」パァ

提督「相談ってのはこのことか?」

大和「はい!」ニコニコー
237 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:13:49.67 ID:69Vo60mdo

提督「まあ無理もねえか。戦艦の艦娘は駆逐艦に比べて見た目も年上で、おまけにお前は背丈もあるしな」

提督「最初から大人で建造されたんじゃ、こんなこと言い出すのも勇気がいるか」

大和「提督、さっそくですけれど……!」

提督「うお!?」ダキツカレ

大和「少し、甘えさせてくださいね……!」スリスリ

提督「……なんか、これまでとあんまり変わってねえな……」

大和「えへへ……」スリスリ

提督(……子供みたいな顔してやがんな)

提督「ま、たまには緊張からといてやるのも、悪くねえか」ナデナデ

大和「はい……!」ゴロゴロスリスリ

提督「そろそろ寝るぞ。明かり消していいな?」

大和「はい!」


大和(私の、こんな子供みたいなお願いを聞いてくださる提督……)

大和(大和は、何があっても提督のために尽力致します……!)

大和(だから今だけは……)

提督「」スヤ…

大和「うふふ……」スリスリ


 * 翌朝 * 

大和「」スヤァ…

提督「……で、結局、抱き枕にされるわけか」ガッチリ
238 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:14:34.32 ID:69Vo60mdo

 * それから数日後 *

 * 深夜2時 工廠 *

島妖精C「……と、まあ、今度はそういうことがあってね……」

島妖精E「また? このごろみんな提督に甘えすぎじゃない?」

島妖精F「提督も態度はアレだけど、艦娘のみんなには誠実だしねえ」

島妖精B「つくづくあの態度だけはねえ……」

島妖精D「それでも、提督のガードが緩くなってきてるのは確かかなあ……」

島妖精A「……」

島妖精E「Aちゃんどうしたの?」

島妖精A「風紀が……乱れている……!」

島妖精たち「「……」」

島妖精G「あー、それは……うん。まあ、そうね……」

島妖精D「提督も諦めて鍵をかけなくなっちゃったからねえ」

島妖精A「……資材もきりの良い数まで貯まった」

島妖精A「あの大和に対抗できる強さの艦娘が欲しい」
239 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:15:19.85 ID:69Vo60mdo

島妖精F「……そんな子いるかなぁ」

島妖精C「そうなると、同じ大和型の武蔵くらいしかいないんじゃない?」

島妖精たち「「……うーん……」」

島妖精H「なに面白そうな話してるのさー」ヒョコ

島妖精たち「「うわああ!?」」

島妖精E「い、いたのか……」

島妖精H「うわー、ひっどい、なにそれー」

島妖精B「ていうかHちゃん、この前はたまたま建造ドックにいなかっただけじゃない」

島妖精E「いつも工廠の作業場にいるしね」

島妖精H「だからって声をかけないのはあんまりじゃない?」

島妖精A(作者が忘れてて、途中から出しても収まり悪いからって出さなかっただけなんだが)

島妖精G(Aちゃんメタい話はやめて)

島妖精A(こいつ……直接脳内に!?)

島妖精D「とりあえず落ち着け。また新しい艦娘を建造したいって話なんだから」
240 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:16:04.19 ID:69Vo60mdo

 * *

島妖精H「……ふーん、なるほどー」

島妖精D「というわけでだ。みんな提督が好きなのはわかるが、節度を持って接してほしくてねぇ」

島妖精G「暴走するみんなを止められそうな艦娘を建造したいんだよ」

島妖精H「それなら……ビスマルクはどうかな?」

島妖精G「ビ、ビスマルク!?」

島妖精E「……いいかもしれない。ドイツ艦だけあって規律には厳しいし」

島妖精F「どうせなら空母のグラーフ・ツェッペリンのほうが良くないかな。うち、空母不足だし」

島妖精B「でも、建造例ってあるの?」

島妖精F「……う、うーん、グラーフは聞いたことないなあ」

島妖精C「パラオでビスマルクを建造できた鎮守府があるらしいよ。あと、海域では探せないって情報もある」

島妖精F「あるのか……」

島妖精A「……やってみるか。ビスマルク狙い」

島妖精たち「「……!」」コクン

島妖精H(何か重要なことを忘れてる気がするけど……まあいっか)
241 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:16:49.30 ID:69Vo60mdo

 * 翌朝 執務室 * 

 扉<コンコン

陸奥「お邪魔するわね」チャッ

提督「おう」

陸奥「……!」

提督「? ……ああ、大淀と朝雲なら、今ちょっと外に出てる。じきに戻るはずだ」

陸奥「そ、そう……」

提督「その様子だと、一対一じゃあまだ俺が怖いか」

陸奥「……そうも言っていられないわ。このままじゃ、いつかみんなに気付かれてしまうもの」

陸奥「戦艦陸奥として、男性が苦手だなんて知れたら笑いものだわ……」

提督「そうか? ここの連中の何人かには知られてるだろ」

陸奥「それは、私の事情も知ってもらっているから……」

提督「……なんにせよ、俺はどっちでもいいがな。無理は推奨しねえ」

陸奥「……ありがとう」

提督「俺は何もしてねえよ」
242 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:17:34.78 ID:69Vo60mdo

陸奥「そんなことはないわ。私がここで気持ち悪くしたとき、私を背負ってドックまで運んでくれたのはあなたでしょう?」

提督「普通だろ? 助け合いなんて、普段からお前らがやってることだ」

陸奥「……だとしたら、助けられたらお礼を言うのも、普通でしょ?」

提督「……なるほど」フフッ

提督「まあ、ここんとこ不安そうな顔も見せてなかったし、俺さえ干渉しなけりゃ……」

陸奥「それじゃ駄目だと思うのよ」

提督「!」

陸奥「いつまでも……私のことを心配させるのは、どうかと思うの……」コツ…コツ…

提督「……」

 (提督にゆっくり近づいていく陸奥)

陸奥「……」

提督「……まだ、つらそうだな」

陸奥「……っ」

提督「背中向けりゃあ、もう少し近づけるか?」クルリ

陸奥「!」
243 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/11/28(土) 21:18:32.21 ID:69Vo60mdo

提督「……」

陸奥「……」コツ…コツ…

提督「……」

陸奥「……」

陸奥(私……この背中に、背負われてたのよね……)

陸奥「……」ス…

 (陸奥が提督の背中にそっと手のひらで触れる)

提督「……!」

陸奥「……」

提督「……」

 (陸奥がゆっくり提督から離れて)

提督「……大丈夫だったか?」

陸奥「……そうね……思ってたよりも、平然としていられたわ」

提督「そうか、ならいい」

陸奥「……なんていうか……ごめんなさいね、こんな艦娘で」

提督「悪いのはお前を怖がらせた人間どもだ。謝る必要はねえよ」

陸奥「……ありがとう、本当に」ニコ…

提督「……」アタマガリガリ

提督「ところで、一人でここに来るなんて珍しいな。何かあったのか?」

陸奥「え、ええ……明石に急いで伝えて欲しいって言われたんだけど。建造ドックが稼働してる、って」

提督「建造ドック? つうことは、また妖精たちか……?」
244 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2020/11/28(土) 21:19:36.20 ID:69Vo60mdo
今回はここまで。

タイミング良く陸奥の話が出てきましたが偶然です。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/29(日) 03:02:32.61 ID:92vKW/Eq0
乙。ついに〇〇型〇〇、○番艦、〇〇が!?
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/04(金) 18:53:11.65 ID:yylMO2zd0
>>245 隠しすぎ 
半年ほど前にちらっと見た罠だらけの序盤とつながるあいつっぽいな。。
247 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:53:19.35 ID:IvmCtElco
お待たせしました、続きです。
248 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:54:16.82 ID:IvmCtElco

 * 翌日 午前 *

 * 提督の私室へ向かう廊下 *

初雪「……」テクテク

初雪(今日は、膝枕してもらえる日じゃない)

初雪(だから、代わりに司令官のお部屋のベッドで、お昼寝)

初雪(……名案!)フンス!

 テクテク

初雪(……)

初雪(到着)

初雪(? ……部屋の中に、誰か、いる?)

初雪(誰だろ……)

 コソ…ッ

ベッドの上にうつぶせになり顔を突っ伏している由良「すぅぅぅぅ……」

初雪「!?」
249 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:55:02.20 ID:IvmCtElco

由良「……んすー……」

初雪「……」

由良「……すふぅぅぅぅぅぅ……」

初雪(由良さん……なにやってるの)アッケ

由良「」ムクリ

由良「」キョロキョロ

由良「」ゴソゴソ

初雪(……洗濯籠の中、漁ってる……)

由良「」Tシャツヲトリダシ

由良「すんすん……」

由良「んすうぅぅぅぅ……」

初雪(もしかして……におい、嗅いでる?)ヒキッ
250 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:55:47.20 ID:IvmCtElco

初雪「……」

初雪(……お昼寝どころじゃなくなった……)

初雪(戻ろう)スッ クルリ

扶桑「あら?」

初雪「!?」ビクッッ

扶桑「どう……」

初雪「しーーーーっ!!」(小声)

扶桑「え、ええ……?」

初雪「はやく、こっち……!」フソウノテヲヒイテ

扶桑「????」テヲヒカレ
251 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:56:33.11 ID:IvmCtElco

 * 渡り廊下 *

初雪「……ここなら、誰もいない」キョロキョロ

扶桑「提督の部屋で何があったの?」

初雪「耳、貸して。ごにょごにょ……」

扶桑「……まあ。由良さんが」

初雪「一応、秘密にしておいて」ポ

扶桑「……初雪さんは、どうして提督のお部屋に?」

初雪「ん、お昼寝、したくて。あのベッド、すっごく気持ちいいから」

初雪「なんか、提督のお部屋、鍵をかけなくなった、って聞いたし」

扶桑「そう……それでなのね」

初雪「そういう扶桑さんは、どうしてお部屋に……?」

扶桑「私? いつも提督にお世話になっているから、少し身の回りのお世話をさせてもらおうかと思って……」

扶桑「例えば洗濯物がたまってないか、とか、お部屋が散らかっていないか、とか、ね」フフッ
252 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:57:18.43 ID:IvmCtElco

扶桑「もし初雪さんが寝てたら、ベッドのシーツのお洗濯は、また明日だったわね」

初雪「……今は今で、恥ずかしくて部屋に入れないけど」

扶桑「ふふっ、刺激が強かったかしら」

初雪「うーん……どうだろ。っていうか、私、においって意識したことなかったし……」

初雪「はっ!? も、もしかして、私、汗臭い……!?」クンクン

扶桑「すんすん……大丈夫だと思うけど?」

初雪「うう……ちゃ、ちゃんとお風呂入る……」カオマッカ

 < ユラサンナニヲシテルンデスカーー!

初雪「!?」

扶桑「! ……大淀の声だわ」

初雪「あー……」

扶桑「せっかく初雪さんが秘密にしてくれていたのにね?」

初雪「うん……」コク

初雪「まあ、周りに誰もいないみたいだし、部屋の周りに誰もいなければ、多分、大丈夫だと思うけど……」ミワタシ
253 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:58:02.15 ID:IvmCtElco

 * 提督の私室へ向かう廊下 *

??「提督の部屋はこちらでいいのだな?」コツコツコツ

島妖精C「そうだけど……なんで本人に会うより先に部屋を見に行こうとするのかな」

??「その人間の本質を見るには、本人のプライベートルームを見るのが一番早い」

??「お前たちは、この鎮守府の乱れた規律を正すために、私を建造したんだろう?」

島妖精G「あー、それは……うん。まあ、そうね……」

島妖精H「だからってねえ……」

??「見てわかるなら、そちらの方が話が早い」

??「話すだけならいくらでも隠し通せるし、私はそのような小細工は苦手だ」

??「さっさと証拠を掴んで突き付けるのが簡単だろう」

島妖精A(……これが脳筋というやつか)

島妖精G(それ、本人に直接言っちゃダメだよ?)

島妖精A(お前は電探妖精じゃないだろう! 直接脳内に話しかけてくるな!)
254 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:58:47.32 ID:IvmCtElco

島妖精C「でも、提督の部屋って、ベッドと着替え以外なにもなかったんじゃない?」

島妖精D「最近は艦娘があれこれ持ち寄ってるらしいけど?」

??「やれやれ……どうやら本当に規律が乱れているようだな」

 キャーキャー

??「おや? 誰かいるようだな」

島妖精B「何人かいるみたいだね?」

??「まあいい……失礼する!!」ガチャ!

ベッドの上に突っ伏している由良「え……!?」

ベッドの上に突っ伏している大淀「ええっ!?」

島妖精C「いや、その『えー』はこっちの台詞なんだけどなあ」

??「お前たち……一体何をしているんだ!?」

由良「ま、待って!? どうして……この島にあなたがいるの!?」

大淀「そうですよ! どういうことなんですか!?」


大淀「武蔵さん!!」

255 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 12:59:31.76 ID:IvmCtElco

??→武蔵「知れたこと。この鎮守府を預かる提督准尉の人となりを、私なりに確かめに来たんだ」

由良「それでお部屋に来るってどういうことなの……」

武蔵「一番わかりやすいではないか。本人のプライベートがどのようなものか、部屋を見れば一目瞭然だろう」

大淀「ほ、本人にはお会いしたんですか!?」

武蔵「いや、まだだ」

大淀「だとしたら、勝手にお部屋に入ってはいけないでしょう!?」

武蔵「ほう。お前たちは許可を取ったのか」

大淀「」ギクッ

由良(大淀……)アチャー

大淀「と、とりましたとも。提督のベッドのシーツが汚れていないか、見に来たんです」

武蔵「ほう……それは本当か」ギラリ

島妖精E(苦しい言い訳だなあ)

武蔵「ということは、提督は自分の部屋の片づけを、数少ない艦娘にやらせているということか」

由良「」

大淀「」

島妖精B(あっ、逆効果だコレ)
256 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:00:16.85 ID:IvmCtElco

武蔵「これはなかなか、叩き直し甲斐のある男と見て良さそうだ……くくくっ」

由良「ちょっ、ちょっとどうするのよ大淀!」オロオロ

大淀「し、仕方ないでしょう! どこかで提督には埋め合わせを……!」オロオロ

島妖精H(……まったく、しょうがないなあ)ヒョイッ タタタタ…

島妖精A「!」

武蔵「よし、大淀そこをどけ。徹底的に家探ししてやろう」

大淀「おやめください! 何の権限があってそんなことを!!」

武蔵「隠し立てするか……怪しいな」シャガミ

武蔵「ふむ……ベッドの下には何もないか。マットレスの下は」ガバッ

由良「む、武蔵さん!?」

武蔵「なにもなし……ここは洋服ダンスか」ガチャ

大淀「武蔵さんっ!?」

武蔵「なんだ? 異様に服が少ないな……」ゴソゴソポイッ

由良「ちょっ、勝手に漁っちゃ駄目だったら!」
257 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:01:02.45 ID:IvmCtElco

武蔵「何を言う、後ろめたいものがなければ何を見られようと問題ないだろう?」ゴソゴソ

由良「だからって出してそのままじゃ……」

武蔵「やけに私物が少ないな。断捨離でもしてるのか?」ゴソゴソポイポイ

 ガシッ

武蔵「うん?」カタヲツカマレ

大淀「いい加減にしとけよ……?」ビキビキビキッ

武蔵「!?」ビクッ

由良「!?」ビクッ

島妖精たち(うわあ)

大淀「だいたいなあ、当人にも顔を見せずに部屋に押し入って、タンスの中を物色するたあどういう了見だ……?」ミシミシッ

武蔵「」

由良「」

大淀「おまけに漁るだけ漁って散らかしっ放し……お片付けもできねえのかよ? あぁ?」ゴゴゴゴ…

由良「」シロメ

武蔵「あ、いや、その……」タジッ
258 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:01:47.00 ID:IvmCtElco

大淀「元に戻せ」

武蔵「は、はい……?」

大淀「元に戻せっつってんだろうが」

武蔵「いや、私は……」

大淀「戻せねえんなら部屋に入ってくんじゃねえぞくそがあああ!!!」ドカーン

武蔵「ひいい!?」ダッ!

 ドタドタドタ…

大淀「……」

大淀「はぁ……もう、こんなに散らかして。仕方ありませんね……」イフクヲオリタタミ

由良「」

大淀「あ」

由良「はっ!? なんだかものすごく衝撃的なものを見た気がしたんだけど!?」

大淀「き、気のせいでしょう……」メソラシ


 * 一方その頃 執務室 *

提督「戻ったか……ん? 大淀はどうした?」

朝雲「補給してくるから、先に行っててって言われたんだけど」

提督「補給?」

259 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:02:32.03 ID:IvmCtElco

 * 鎮守府内 廊下 *

島妖精E「あれは武蔵が悪いよ……」

武蔵「な、なんだったんだあの大淀は……」

島妖精B「そっちに関しては私たちもびっくりだよ」

島妖精F「提督そっくりだったもんねー」

武蔵「あれが……提督の雰囲気、か」

島妖精C「うん、まあ、だいたいあんな感じかなー」

武蔵「あの大淀があの態度……! もしや、日頃から提督にきつく当たられているのではないか?」

島妖精D「いや、そういうわけじゃ」

武蔵「そうか、部屋を荒らせば自分が叱られるから……くっ、この武蔵としたことが迂闊だった!」

武蔵「提督め、艦娘に対するこの仕打ち……正さねばならんな!」

島妖精A「なあ、この武蔵、違う意味で迂闊じゃないか?」ヒソッ

島妖精G「あー、それは……うん。まあ、そうね……」ウーン

島妖精E「提督ってさあ、人の話を聞かない人、嫌いだよね」ボソッ

島妖精たち「「……」」タラリ

島妖精F「ねえ武蔵、そうじゃなくって」

武蔵「すまない、ちょっと話しかけないでくれ。どうやったら提督を説得できるか……うーむ」ブツブツ

島妖精B「ちょっ、武蔵ー!?」
260 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:03:17.90 ID:IvmCtElco

 * その30分後 *

 * 墓場島 埠頭 *

島妖精H「……というわけでさー」

大和「武蔵が来たんですか!?」

朝雲「また妖精さんが建造したの!?」

島妖精H「そうだよー、って、大和の建造には私は関わってないんだけどさ」

朝雲「っていうか、なんでピンポイントに大和型が建造出来ちゃってるのよ……」

島妖精H「本当はビスマルクを建造したかったんだけどね」

島妖精H「でも、海外艦は海外に縁のある艦娘の力を借りないと、建造できないの忘れてたんだ」

朝雲「でもそれで武蔵さんが建造できちゃうとか、普通にすごい確率なんだけど!?」

提督「また戦艦が増えるのか……」

大和「も、申し訳ありません……」

提督「いや、お前が謝る必要はねえだろ。資材は問題だけどな」

朝雲「確かに切実よね。今の体制でも、戦艦の人たちは満足に出撃できてないし」
261 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:04:19.13 ID:IvmCtElco

提督「駆逐艦の練度向上が急務になっちまってるな」

提督「若葉や朧みたいなやる気ある奴に頼りっぱなしってのもよろしくねえ」

提督「そのためにも今日は今日で、神通に率いてもらって能力を見るために出撃してるわけだが……」

 ザザァ…

提督「おう、戻ってきたか」

神通「はい、水雷戦隊、ただいま帰還致しました」ケイレイ

吹雪「司令官! 今日は誰も中破しませんでしたよ!!」ブンブン

提督「そいつは重畳だ。黒潮と山雲の調子はどうだった」

黒潮「ま、まあまあやないかな?」ゼェゼェ

神通「砲撃時の構えも安定していますし、心配だったメンタル面の不安も解消したようですから」ニコ

不知火「残る課題は体力面だけですね」

黒潮「さすがに、出撃、久々やったから……」ゼェゼェ

提督「黒潮がこうなら、山雲は……」チラッ

如月「出撃自体がまだ数回目だもの、今日は少しハードだったと思うわ」ヤマグモニカタヲカシ

山雲「はー、はー……ちょおっと、疲れちゃった、かも……」ゼェゼェ
262 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:05:16.78 ID:IvmCtElco

朝雲「山雲、大丈夫? 如月、山雲のフォローありがとね」ヨイショ

大和「提督、今回の出撃メンバーに朝雲さんを加えなかったのはどうしてですか?」

提督「朝雲が山雲のケアをしながら戦ったんじゃあ、山雲の実力が見えないからな」

神通「全体的に粗さが目立ちますが練度を考えれば当然でしょう、これからだと思いますよ」

朝雲「え? 山雲、無傷なの!? すごいじゃない!」ナデナデ

山雲「えへへぇ〜」ニヘラ

吹雪「不知火ちゃんがデコイになって動き回ってたからね!」

黒潮「せやなあ……不知火の動きがすごかったもんなあ」

神通「中将のところで鍛えられてるだけあります」ニコ

不知火「お、恐れ入ります」

黒潮「ああいうの見せられると、うちも頑張らなな、って思うわ」

提督「大破艦が出るかと思って大和を呼んだんだが、いらない心配だったな」

大和「何よりですね!」ニコッ

提督「よし、それじゃあ……」

武蔵「ここにいたか!」ザッ

全員「「!!」」
263 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:06:01.88 ID:IvmCtElco

大和「武蔵……!」

吹雪「えっ、えええええ!?」

提督「お前が武蔵か……」

武蔵「いかにも! 大和型戦艦2番艦、武蔵! 推参だ!」ビシィッ!

黒潮「うっひゃああ! 大和型二隻が揃い踏みなんて、すごいやん!!」

不知火「ええ、ですが……」

如月「司令官……?」

提督「……」

山雲「なんだか〜、あんまり嬉しそうじゃないみたい〜?」

神通「朝雲さん、なにかあったんですか?」

朝雲「それがですね……」ゴニョゴニョ

神通「……なるほど……」

山雲「それじゃあ、あまり歓迎できないかしら〜」

武蔵「さて提督よ。この鎮守府の妖精たちによって建造されたこの武蔵、ある使命を帯びてここへ来た」
264 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:07:01.72 ID:IvmCtElco

武蔵「それがなにかわかるか? わかるだろう提督! 貴様の行い、正してくれる!」

提督「知るか」

武蔵「」

島妖精H「ちょっ」

大和「て、提督!?」

朝雲「……」アタマカカエ

神通「まあ、予想通りといえばその通りですが……」ハァ

吹雪「な、何の話なんですか!?」

武蔵「提督、貴様、この期に及んでしらばっくれるとはどういうことだ!?」

提督「マジで知らねえよ。お前が何の用で来たかなんて知るわけねえだろが」

武蔵「……こ、この不躾な物言い……大淀のあの言動は貴様の影響か!」プルプル

提督「大淀?」

武蔵「ああ! 貴様そっくりだったぞ!」
265 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:07:47.22 ID:IvmCtElco

提督「俺そっくり? ……本当かよ。誰か見たことあるか?」

如月「うーん、私はないわ」

大和「私もありません」

不知火「初耳です」

黒潮「うちもそんなん聞いたことないなあ」

朝雲「私たちもないわよね?」

山雲「聞いたことないわ〜?」

武蔵「馬鹿な!? 貴様と同じ調子で叱られたんだぞ!?」

提督「なんだそりゃ。確かに俺が自暴自棄になったときに大淀に叱られたことはあるが、言動が俺みたいになったって話はなあ」

大和「提督、大淀さんにも叱られてたんですか……」

吹雪「何回言ってもきかないんですね、司令官は!」プンスカ

提督「最近は言ってねえよ」

如月「考えても駄目ですからね?」ウフフー
266 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:08:32.15 ID:IvmCtElco

提督「へいへい。とりあえずお前らは明石んとこ行って修理受けてこい」

武蔵「待て! 私の話は終わっていないぞ!」

提督「なんだよ……じゃあとっとと要件を言え」

武蔵「うむ……こほん。提督、貴様、艦娘に手あたり次第、手を出しているそうだな!」

全員「「……」」

武蔵「……何だその沈黙は」

提督「いや……俺、手ぇ出してるか?」クビカシゲ

武蔵「!?」

如月「いいえ、出してもらってないわ?」

大和「ですよね」

武蔵「!?」

山雲「司令さんから手を出すって、ないんじゃな〜い〜?」

黒潮「むしろ司令はんがいろんな人から手ぇ出されてる感じやんな?」

朝雲「司令が怒ってアイアンクローするって意味でなら手が出てはいるけど……」

吹雪「あはは……でも、最近は司令官が誰かにアイアンクローしてるとこ、見てないよね」

不知火「司令がそこまで怒ることも、最近はなくなりましたから」
267 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:09:17.61 ID:IvmCtElco

武蔵「……おい、話が違うぞ妖精たち」

島妖精E「いや、武蔵ってば話を聞いてくれなかったじゃない」

島妖精A「私たちとしては、最近、艦娘たちが提督にくっつきすぎなのをどうにかしてほしいと考えていたんだ」

島妖精G「うん、提督が問題あるわけじゃないんだよね」

武蔵「それを早く言ってくれ……!」ガックリ

 *

提督「それじゃあ何か。武蔵は、この鎮守府の風紀を正そうとしてたわけか」

武蔵「そういうことだ。気の緩み、規律の乱れは軍属である我々の規範とは真逆に位置するもの」

武蔵「平たく言えば、えっちなのはいけないというだけの話だ」

提督「それを言ったらお前の格好が一番の問題だろ」

武蔵「」

神通「提督、声に出てますよ?」

提督「わかってる」

不知火「……」アタマカカエ
268 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:10:02.14 ID:IvmCtElco

武蔵「わ、私の姿はどうでもいい! 貴様こそ生活態度はどうなんだ!」

提督「生活態度? どうと言われてもな……俺、変なことしてるか?」

神通「さあ……特には。強いて言うなら、たまに不精しておひげが伸びているときがあるくらいですが」

如月「普段生活してる分には、司令官って几帳面よね?」

不知火「人の嫌なところばかり見ていますので、それが反面教師になったものかと推測しますが……」

神通「……なるほど……」

朝雲「なんかすごく納得できるわ……」

吹雪「さすが! 最古参だもんね、如月ちゃんと同じで!」

武蔵「えっ、最古参って……吹雪じゃないのか?」

黒潮「それがちゃうねんて、なあ?」

武蔵「……訳が分からなくなってきたぞ。提督に問題がないのなら、艦娘が提督にちょっかいを出しすぎだというのか?」

提督「まあ、確かに最近ガードを緩めすぎてる気がするな。新造艦娘にそこまで心配されるとなると、事態は深刻と見るべきか……」

不知火「え?」
269 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:10:46.76 ID:IvmCtElco

提督「やっぱ寝るときに部屋に鍵かけるか」

如月「は?」ピシッ

大和「え?」ガーン

吹雪「そんなぁ! 駄目ですううう!!」ナミダメ

武蔵「!?」

 ゴボボボッ

伊8「はっちゃん、なんだか嫌な話が聞こえてきたんですけど……?」ザブッ

黒潮「!?」

山雲「ど、どうやったら、海中から聞こえるの〜……?」

 ザッ

金剛「Hey, 私も聞いてしまいマシタヨー……?」ユラリ

榛名「提督……本当にお部屋の鍵をかけてしまうんですか……?」ドロリ

武蔵「!?」ビクッ
270 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:11:31.92 ID:IvmCtElco

朝雲「……司令、あなたいったい何人と寝てるんですか」

提督「何人? 何人は覚えてねえな……ここに来てないやつだと、電と朝潮と初雪と……」

武蔵「駆逐艦ばかりじゃないか! この犯罪者め!!」

提督「全員、俺が寝付いてからベッドの中に入り込んできてるんだがな。電なんか一人寝が寂しいって理由だし、無碍にはできねーだろ」

提督「丁度いいから訊くけどよ、お前らなんで鍵かけた俺の部屋に入れるんだ?」

如月「秘密よ?」

大和「内緒です」

金剛「Yes, it's Top secret デース!」

吹雪「言えません!」

伊8「いざとなったら扉を壊しますからいいですけど」

榛名「榛名もそれで大丈夫です!」

提督「……」アタマカカエ

島妖精C(そりゃー私たちが資材を貰った引き換えにやってたなんて言えないよねえ)

島妖精B(そのおかげで大和と武蔵が建造で来たわけなんだけどねえ)
271 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:12:16.76 ID:IvmCtElco

朝雲「えーと……司令? 鍵、かけてたんですよね?」

提督「ああ」

朝雲「……」

提督「……」

朝雲「ということは、司令も本当に知らないんだ……」ガックリ

提督「だからさっきからそう言ってんじゃねーか」

武蔵「おい、信じるのか!?」

朝雲「ええ、信じるわ。司令はこの手の嘘をつかない人だし」

朝雲「なにより艦娘のことを優先する人だから、嫌がる艦娘を部屋に連れ込むなんて真似、絶対にしないもの。疑うだけ時間の無駄だわ」ハァ

山雲「朝雲姉がそこまで言うなら、間違いないわね〜」

武蔵「だとしたら、さっき提督の部屋にいた由良と大淀は何をしていたんだ?」

如月「は?」ハイライトオフ

大和「え?」ハイライトオフ

伊8「Was ?」ハイライトオフ

金剛「What ?」ハイライトオフ

榛名「はい?」ハイライトオフ

武蔵「!?」ゾクゾクゾクッ

朝雲「みんなして何やってんのよもう……」
272 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:13:01.86 ID:IvmCtElco

吹雪「武蔵さん、何をしてたって何をしてたんですか!?」

武蔵「な、なにって、部屋を掃除していたと聞いたぞ……ベッドの上に乗っていたし、ベッドメークでもしていたのかと……」

神通(大淀さんは前からそうだと思っていましたが、由良さんもですか)

伊8(ということは、あの二人もナニかしてたんでしょうねえ)

提督「本当かそれ。ベッドくらいなら自分で直してんだが」

武蔵「そ、そうなのか……?」

大淀「ええ、その通りです」ザッ

由良「武蔵さん、ここにいたんですね」

提督「! 大淀と由良も来たのか」

大淀「はい、誤解のないように言っておきますが、私は時間が空いたので提督のお部屋の洗濯物がないかどうかを見に来ただけです」

大淀「そうしたら、由良さんがお部屋のベッドの上に寝ておりまして」

由良「ちょっ、大淀!?」

大淀「提督のお部屋のベッドがすごくいいものなので、どんなものか確かめに行ったんでは?」

由良「ま、まあ……そう、だけど」

由良(そういうことにしておいた方がいいか……)ポ
273 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/12/05(土) 13:14:01.93 ID:IvmCtElco

大淀「それで私も気になって、ベッドを拝借したところに武蔵さんがいらっしゃったんです」

黒潮「司令のベッドってそんなにええの?」

如月「ええ、私と大和さんで一番いいのを選んであげたの」

黒潮「ほえー……」

提督「……まあ、あれはあれでありがたかったけどな……」アタマガリガリ

武蔵「と、とにかくだ! 艦隊の規律を考えても、艦娘が提督と同衾するのはいかがなも」

大和「あぁ?」ギロリ

如月「なんですって?」ドロリ

伊8「ふーん……」ジロリ

榛名「本気で仰っていますか?」ヌラリ

武蔵「ひぃぃぃ!?」ビクゥッ

不知火「食い気味に反応しましたね……」

吹雪(抗議しようと思ったけど、その必要もなかった……)タラリ

金剛「皆さん、落ち着くデス。そこに関しては私も思うところがありマス」

榛名「金剛お姉様……?」
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