千早「今日は肉じゃがを作って優勝していきます。……優勝?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:01:55.17 ID:JFx2Eemx0

千早「ねぇ、春香、優勝って?」

春香「すっごく幸せってこと! 今の流行りなんだよ!」

千早「へぇ……なるほど……面白いわね。本来自分の中でそうと位置づけるはずの幸福という概念を、あえて、勝ち負け、相対的な成果である優勝という言葉を使うことで――」

春香「ストップストップ千早ちゃんストップ! そんなに難しく考えなくていいから!」

千早「そう? なかなか含蓄のある表現だと思うのだけれど。流行っているということは、作詞家の先生もご存じなのかしら? 次の新曲には是非そういう概念を――」

春香「この動画は! 自炊にも大分手慣れて来た千早ちゃんが、楽しくお料理をする動画です!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1582628514
2 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:03:50.09 ID:JFx2Eemx0

千早「こほん。改めまして、こんにちは。如月千早です。お料理にも動画にも、まだまだ不慣れな点が多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」

春香「カメラ&アシスタントの天海春香です! 可愛い千早ちゃんをバシバシ撮って行きますよー!」

千早「か、かわっ……もう、春香、そういうの止めて……」

春香「千早ちゃんは可愛いなぁ!(えへへ、ごめんなさい)」

千早「もう! 春香!」

春香「わわ、間違った! ごめん、ごめんってばー!」

千早「可愛い禁止!」

春香「え、それは……」

千早「春香……?」

春香「はーい……」

3 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:05:29.42 ID:JFx2Eemx0

千早「さて。それでは、早速お料理に取り掛かって行きたいと思います。……今更なのだけれど、どうして肉じゃがなのかしら?」

春香「千早ちゃんの作った肉じゃが食べたいです!!」

千早「そ、そう……」

春香「それにほら、私たちにとってもある意味で思い出のお料理というか……ね?」

千早「あの時は本当に……その、春香には迷惑をかけてしまって……」

春香「やめてよー。千早ちゃんと仲良くなるきっかけの一つになった、すっごく大切な思い出なんだから!」

千早「春香……ふふ、そうね。……ありがとう」

春香「千早ちゃんかわい」

千早「……春香?」

春香「な、なんでもないでーす!」

4 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:10:14.58 ID:JFx2Eemx0

春香「え、えーと。そんな肉じゃがを今日は作ってもらうんだけど、あ、千早ちゃん、ちょっと下の方指差してみて」

千早「指差す? こう?」

春香「もうちょっと上、できれば両手で……うんうん、おっけー! 材料はこんな感じでーす」


  じゃがいも  4個
  人参・玉ねぎ  各1個
  豚肉こまぎれ  300g
  しらたき(糸こんにゃく)  200g
  水  300ml
  醤油・酒・味醂・砂糖  各大さじ3


千早「? こんな感じ?」

春香「後で律子さんにテロップ入れてもらうんだー」

千早「なるほど……口で説明するよりも分かりやすそうね。ありがとう、律子」


  どういたしまして

5 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:11:46.66 ID:JFx2Eemx0

春香「ちなみに今回のレシピは、いつも千早ちゃんが作ってるやつ?」

千早「いつもという程作っているわけではないのだけれど……量が分かりやすいからいいかなって。ただ……」

春香「ただ……?」

千早「普段一人で食べるには、ちょっと量が多いのよ……」

春香「あー。確かに。これ、結構すごい量になるよね」

千早「でも、半分にしちゃうと、人参と玉ねぎが余っちゃって……。お料理できる日も限られてるから、なるべく一度に使い切りたいの。結果的に、2、3日同じものを食べることになったり、ね」

春香「なるほど。一人暮らしあるあるなのかなぁ? 響ちゃん……は家族の分もあるし、貴音さん……は全部食べちゃうだろうし……、あ、律子さんなら共感してくれそう!」

千早「律子……律子、ねぇ……? ああ見えてプライベートでは結構ズボラな所あるから、ふふ、多分余らせた食材を冷蔵庫で腐らせてると思うわよ」


  うるさい!!

6 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:13:43.25 ID:JFx2Eemx0

千早「まぁ、今日は春香がいてくれるから。食べきれるんじゃないかしら?」

春香「えへへー。ごちになります!」

千早「ところどころ手伝ってもらうことにはなると思うけれど」

春香「はーい。先生、よろしくお願いします!」

千早「むしろ先生は春香の方……って、これじゃいつまで経っても進まないから……えーと、まずはお湯を沸かします。これはしらたきの下茹で用ね」

春香「はい、先生、どうして下茹でをするんですか?」

千早「こんにゃく特有のくさみを取るためね。友人の春香って子から教えてもらったの」

春香「なるほどなるほど……きっとその春香って子は、明るくて可愛くてお料理も上手で千早ちゃんの大親友なんでしょうねぇ……」

千早「お湯を沸かしている間に野菜の皮を剥いて、切っていきます。ほら、春香、手伝って」

春香「ちょ、スルーは傷つくよぅ、千早ちゃーん……それに手伝うの早くない?」

千早「目の前に丁度いい労働力があるんだもの。使わない手は無いわ」

7 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:16:09.16 ID:JFx2Eemx0

春香「えーと、それじゃあ、カメラを一度設置して……このくらいかな? うーんと……良し。天海春香、現場入りまーす!」

千早「ふふ、じゃあ今までどこにいたのよ」

春香「はーい。改めまして、こんにちはー。春香さんでーす」

千早「手を洗ったら、そっちのじゃがいもお願いね」

春香「うわ、この人、皮剥くの面倒な方任せてきた!」

千早「じゃがいもと人参は乱切り……一口大……じゃがいもはもう少し大きい方が好みね。適当な形に切って、玉ねぎは、えーと、くし形切りって言うんだっけ?」

春香「うんうん、合ってるよー」

千早「半分に切ったら、真ん中に向かって……実際に見てもらうのが早いわね」

春香「千早ちゃん、ピーラー使う?」

千早「ええ。ありがとう」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/25(火) 20:17:42.07 ID:eXnw98wDO
らら?お水入れるんだ
9 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:18:28.14 ID:JFx2Eemx0

千早「春香は……流石ね、包丁でするすると……」

春香「えへへ。慣れですよ、慣れ」

千早「まるで普段のどんくささが嘘のように……」

春香「ちょ、千早ちゃん!?」

千早「ふふ、冗談よ。半分は」

春香「残り半分はっ!?」

千早「皮を剥いた人参は、こんな感じで、回しながらランダムに切っていきます。なるべく同じ大きさになるように」

春香「うぅ……千早ちゃんがバラエティ慣れしてきて、嬉しいやら悲しいやら……」

千早「春香たちのお陰よ、ありがとう」

春香「え、えへへ……うん? あれ、これ褒められてる?」

10 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:20:42.36 ID:JFx2Eemx0

千早「玉ねぎは……よっ、と。こういう風に、上と下を包丁で落として、そしたら手で皮を剥いて……あ、こういうちょっと皮っぽい色の所は包丁で削っちゃいますね。よっ、と。半分に切ってから……とん、とん、とん。こんな感じで中心に向かって切っていきます」

春香「今の、とん、とん、とん、可愛かった……」

千早「はーるーかー?」

春香「だ、だって可愛かったんだもん!」

千早「もう……で、じゃがいもは剥けたの?」

春香「はい、この通り! 買ったばかりのじゃがいもならそんなに心配もいらないと思うけど……芽っぽい所はこうやって削っておくねー。半分に切って、ほっ、ほっ、人参と同じように乱切りにして、水の中に……」

千早「へぇ……切ったものから水につけていくのね?」

春香「うん。あく抜きと、えーと、他にも何か意味があったような……。律子さん、お願いします!」


  変色を防ぐ、表面から出てくるでんぷん質を流してくっつくのを防ぐ、などの効果があります

11 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:23:08.94 ID:JFx2Eemx0

千早「ふふ、春香にも知らないことがあるのね」

春香「もちろん! ……というか、知らないことばっかりだよ!」

千早「ちょっと信じられないけれど……きっと、それだけ、お料理は奥が深いということなのでしょうね……」

春香「そうそう。……と、野菜の準備もできたし、この辺で私はカメラに戻るね!」

千早「ええ、ありがとう、春香」

春香「えへへ。どういたしまして! それではみなさん、天海春香でしたー!」

12 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:24:45.64 ID:JFx2Eemx0

千早「さて。次は、あ、お湯が沸いてるみたいなので、しらたきを下茹でしましょう。袋からざるに開けて……ちょっと長めのようですね……とん、とん。適当に切ったら、お湯の中に入れて……春香ー、何分くらい?」

春香「え、ちょ、ちょっと待って! カメラがまだ……よいしょ……うん、オッケー! えーと、何だっけ? しらたき?」

千早「ええ。どのくらい茹でるものなの?」

春香「3分くらいかなぁ……? あんまりちゃんと気にしたことないかも」

千早「こういう時は」

春香「うん」

千早「律子、よろしくね」
春香「律子さん、お願いします!」


  ……調べてみたのですが、30秒〜5分と物によって様々でした。というか、しらたきの入っていた袋に書いてあるでしょう?

13 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:25:45.46 ID:JFx2Eemx0

千早「いよいよ火を通していきますね。大き目のお鍋に火をつけて、油を入れて……中火くらい? 温まる間に、豚肉も適当な大きさ……これくらいかしら? に切っておきます」

春香「いいよいいよー。千早ちゃん、手慣れてる感じ出てるよー」

千早「茶化さないの。温まったお鍋に切った豚肉を入れて、そのまま――」

春香「待って! 千早ちゃん、一度手を洗っとこ?」

千早「……そうね。生肉を扱った後ですもの。ごめんなさい、少し迂闊だったわ」

春香「そのためのアシスタントですから! なんて、えへへ」


  肉(魚)を触った後には必ず手を洗いましょう。まな板、包丁などもその都度洗浄を欠かさないように!!

14 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:28:07.20 ID:JFx2Eemx0

春香「そういえば、千早ちゃんは豚肉派なんだねー」

千早「? 肉じゃがは豚肉じゃないの?」

春香「牛肉を使う人も多いみたいだよ? どっちが正解ってわけじゃないんだけど。ちなみにうちも豚肉だなー」

千早「……あ」

春香「……あ(やば、ちょっとマズったかも……)」

千早「…………ふふっ!」

春香「……ち、千早ちゃん?」

千早「そうね。こういうの、家庭の味っていうのかしら。特に意識したことは無かったのだけれど、自然と、『肉じゃがといえば豚肉』になっていたみたい」

春香「え、えへへ、お揃いだね!」

千早「ええ。……家庭の味……そうよね、私にも……ふふっ」

15 : ◆0NR3cF8wDM [saga]:2020/02/25(火) 20:31:06.22 ID:JFx2Eemx0

千早「と、お肉に火が通ってきたところで、じゃがいもから入れていきます」

春香「その心は!?」

千早「え? 火が通りにくい順に……と思っていたのだけれど……」

春香「………………正解っ!」

千早「もう! 急に驚かさないでよ!」

春香「あはは、ごめんごめん。……でも、レシピによっては、旨味を出すために玉ねぎから炒めるっていうのもあるんだよ?」

千早「……そうなの?」

春香「うん。お料理って、絶対の間違いはあるんだけど、絶対の正解も難しかったりするから、『どうしてそうするのか』考えながらやるといいのかもね」

千早「なるほど……流石は春香ね……とてもためになる言葉だわ」

春香「そ、そうかな? えへへ……」

千早「早速作詞家の先生に連絡を取って、次の新曲には今の言葉を……」

春香「やめて!!」

千早「ふふ、冗談よ」

春香「うぅ……千早ちゃんがいぢめるぅ……」

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/25(火) 20:33:21.89 ID:vLWjq9hK0
メンドクサイフェアリーの人?
23.54 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)