【安価】ダーウィンズゲーム

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97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 09:04:28.69 ID:1vZvlqsDO
はい
98 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 20:53:09.87 ID:7dWZOs1QO
>>97 「9」全国大会レベル
次に射撃センスを決めます。
運動神経「9」により、射撃センスが+2されます。
ただし補正でカバーできる範囲は9までです。
コンマ一桁が3だった場合、補正後の値は5です。
コンマ一桁が7だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が8だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が9もしくは0の場合は、それぞれその値です。
コンマ二桁がゾロ目だった場合は固定で7です。
このときこれ以上の補正はかかりません。
レインの射撃が9ぐらいのつもりでいます。
下2のコンマでお願い致します。】
99 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 20:55:05.77 ID:7dWZOs1QO
>>97 「9」全国大会レベル
次に射撃センスを決めます。
運動神経「9」により、射撃センスが+2されます。
ただし補正でカバーできる範囲は9までです。
コンマ一桁が3だった場合、補正後の値は5です。
コンマ一桁が7だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が8だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が9もしくは0の場合は、それぞれその値です。
コンマ二桁がゾロ目だった場合は固定で7です。
このときこれ以上の補正はかかりません。
レインの射撃が9ぐらいのつもりでいます。
下2のコンマでお願い致します。】
100 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 20:55:52.88 ID:7dWZOs1QO
【謝って2回投稿してしまいました。
下2でお願いします。】
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 21:02:40.93 ID:8G8Azj1eO
コンマは下1でいいよ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 21:03:10.71 ID:M7k/cnfg0
103 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 23:03:20.72 ID:7dWZOs1QO

>>102 「1」 補正がかかって「3になります」】

「っ……ていうか、早すぎッ……!」

運動部にも文化部にも所属していないトウカの足はイトウを撒くには十分すぎるほどだった。

常に五十メートル走をしているかの如く校舎を駆け、そのペースが落ちることはない。それどころか軽々と階段の四段飛ばしを連続でし、イトウは追うのを諦めた。

「くそ……なんだよ、あいつ……」

去年の一年間、彼女とは一緒に体育の授業を受けていたはずだ。普段から目立たないやつだったため、体育の授業中も変わらず目立つことはなかった。しかし思い返してみれば長距離走でのタイムやソフトボール投げの飛距離などの体力テストでは常ぬ華々しい成績を残していた。

ともかく逃げ切られた後を追うのは効率が悪い。待ち伏せをされている可能性を考慮すると、待ち構えるというのが最善であった。

「まぁいいさ。これだけ逃げ回っていても結局、最後には私のもとに来るんだから。せいぜい足掻いてよね、トウカ」

残り四十五分と表示された画面に向かって笑みを浮かべ、イトウはシギルを発動した。




104 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 23:03:49.69 ID:7dWZOs1QO


「ここまで来れば、大丈夫……かなぁ」

だいぶ前の時点でイトウのことを撒いたのは知っていた。しかしそれでも走り続けたのは正体不明の異能を回避するためだった。

手の内は明かされていないが、もしかすると不可避の遠距離攻撃を仕掛けてくるかもしれない、などと念には念を入れて走り回った。さすがに校舎の何階に居るのかを把握されていない限りは安全だろうと、二階の化学室に立て籠もる。

「あと四十五分……」

ダーウィンゲームのアプリを起動するとその画面が表示される。四十五分後に何があるのかは分からない。引き分けとして何もなかったことになるのか、どちらも敗北者として────

「死ぬとか、あるのかな…」

夢にまで思わなかった超常現象の渦中で、思っていたよりも冷静に最悪のケースを想定できている。少し走って気が紛れたか。しかし拳銃を握る手は震えていた。
105 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 23:04:29.40 ID:7dWZOs1QO

これからのことを考えると、逃げっぱなしという訳にはいかない。制限時間を迎えたタイミングでどうなるかが分からないからだ。どこかでイトウと決着をつける必要がある。それは何処で。残り何分の時点で。

「……信用は、していないけれど」

常に最善の選択を取りたい願望を自己否定するかのように、自分の計画に自信が持てない。新しくスマホにルーレットやくじ引きといったアプリをインストールして運で決めるというにも考えたが、どうにも信用できない。

しかしそれらと大差のない一つの方法だけは信頼こそ出来なかったものの、疑う余地にまでは信頼を寄せているものがあった。

『虚構と現実』

そのアプリを開くと、ホームボタンを長押しするように推奨されたメッセージが表示される。

二秒ほどホームボタンを長押しすると、専用の音声認識のアプリが立ち上がる。

「これからどうしたらいい?」

必ずしもこの選択を取らなければならない訳ではない。あくまでも一つの選択肢として視野に入れるため、トウカは問う。


【安価です。このあとどうするか。
1.グラウンドへ
2.体育館へ
3.校舎の中に止まる
4.その他(できそうなものに限ります)
下1でお願いします。】
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 23:06:39.22 ID:M7k/cnfg0
2
107 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/21(金) 08:23:24.33 ID:7M/rcccyO

>>106 2.体育館へ】

最悪窓からなら逃げられると踏んでいた二階の化学室を棄てトウカは体育館へと向かう。

体育館に決めた理由は三つある。

一つ目はイトウの姿を常に視界に入れられ、かつ狭すぎず広すぎずの限られた空間であること。

二つ目はこの勝負に勝つ決定打。射撃のセンスに一抹の不安はある。しかし体育館ならば隣接している準備室にイトウを怯ませる道具が無数に眠っているはず。

そして三つ目は────

『体育館へ行ってみよう』

問いかけに対してのリアルタイムな返答。これは疑う余地無くナビの役割を果たしている。困ったらこのアプリを使うよう推奨されているのか。

しかし依然として自分の異能について、またイトウの異能については掴みきれないまま体育館へと繋がる連絡路前へとたどり着く。

もしイトウが待ち伏せをするならこの場所だろう。柱の陰にでも隠れて体育館へと急ぐトウカが通り過ぎたところで後ろから銃で撃てばいい。慎重に通る必要があると息を呑み、トウカは忍び足でおよそ十五メートルの連絡路を渡る。

「………」

壁を背にして歩くこと十数秒で連絡路を渡りきる。拍子抜けするほどあっさりと抜けられたが、勝負が終わっていないのは変わらない。

制限時間は残り三十分を切っていた。このゲームの勝利条件、敗北条件に気絶が戦闘不能としてカウントされることを願いつつ、体育館の扉を開ける。

バスケットボール部やバドミントン部の部活動中真っ只中の時間のはずだが、体育館は無人だった。校舎と同じく一般人は退避させられているのだろう。

【安価です。
2、5、7、0:準備室へ
1、3、8、9:トウカ
4、6:???
下1の方、コンマ一桁でお願い致します。
今晩続きをします。】
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/21(金) 08:26:19.18 ID:LT92WTOk0
109 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/21(金) 08:39:01.80 ID:7M/rcccyO
>>108 「8」
1、3、8、9:トウカではなくイトウでした。
イトウということでよろしいでしょうか。
改めて安価し直しした方がよろしいでしょうか。】
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/21(金) 08:51:58.09 ID:C1cB5SMDO
マイナスもしくはプラスイベントのままならそのまま
プラス→マイナスもしくはマイナス→プラスのイベントに変わるなら改めて安価し直しで
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 17:24:19.49 ID:SQ9+y9y00
>>110の書き込みに迷ってる感じ?
安価し直しで
112 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/22(土) 20:48:16.48 ID:y3Y3E7SXO
【昨日は更新できず申し訳ありませんでした。
>>107の安価ですが、再安価させていただきます。
2、5、7、0:準備室へ
1、3、8、9:イトウ
4、6:???
下1の方、コンマ一桁でお願い致します。 】
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 20:49:47.16 ID:LYqYrPRS0
114 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:41:57.58 ID:y3Y3E7SXO
>>113 「6」???】

校舎から繋がる連絡路を抜けた先から入り、真正面に見えるステージ。全校集会などにも使われているそこの垂れ幕は閉じていた。

バスケットボールやバドミントンの羽根がステージに入ってしまうのを避けるために幕を閉じて余計な手間を取らせないようにしているのだろう。

ダーウィンズゲームが始まって部員は強制的に退去させられたのか、そこら中にバスケットボールや羽根が転がっている。羽根はともかく、ボールは銃には及ばないものの凶器になりえる。数も申し分なく、十分に撃退可能な道具の一手として数える。

「準備室には……」

通常、バレーボールは授業も部活動も第二体育館で行われる競技だが、確か予備のためにボールが準備室に眠っていたはずだ。バスケットボールよりは多少威力が落ちそうだな、と思いながら準備室にある道具を記憶から掘り返す。

ただし教室や部室の戸締りにはそこそこ厳粛な学校のため、それは今も例外に漏れず準備室は開けられないかもしれない。
115 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:42:24.02 ID:y3Y3E7SXO

ひとまず非常用にバスケットボールを一つ抱え、内ポケットに入れた拳銃の重さに色々と想いを募らせつつステージから脇の準備室に入る。

ステージ上部のプロジェクタースクリーンに投影する用のプロジェクターや、それを操作するノートパソコンなどが保管されていた。

部活動などの表彰者が待機する場所としても造られており、物が置いてあるとはいえ準備室の空間はかなり広く感じた。何か撃退に使えそうな物は無いかと物色していると、奇妙なモノを部屋の隅の方に見つける。

「……穴?」

まるでその空間が削り取られたかのように大小さまざまな大きさの正方形の数々が床から壁へと伝って不自然に空いていた。

どうしてそのような穴ができたのかは分からない。ただ、それを最初に見たとき人が壁に寄りかかっているように見えてしまったのがトウカにゾッとした印象を与えた。

「人型アートってやつ……なわけない、かな?」

先生が言っていた『人型アート』の存在と酷似していることを頭の隅に追いやり、この準備室に使えそうな物は無いと判断して準備室の内側にかかっていた鍵を施錠して体育館へと出る。
116 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:42:56.84 ID:y3Y3E7SXO

それとほぼ同時に、対戦相手は連絡路から現れる。

「おや、もう来てたのかい? なんだなんだ。シギルを使うまでも無かったってことなのかな」

誰もいない体育館で彼女の声はとてもよく響いた。

「その準備室、何があったか聞かせておくれよ」

「穴があった。不思議な穴が……」

「そう、それがダーウィンズゲームで負けた敗北者の後の姿さ」

「後の姿って…言ってる意味がよく分からない」

「いやいや、簡単な話だよ。とっても不思議だけれどね」

続けてイトウは饒舌に語る。

「ダーウィンズゲームのプレイ中に死ぬ、もしくはタイムアップになって点数の低い方は、ああなるのさ。体の周りに四角い枠が出来てね。足の先から少しずつ消えていくんだ。そうして残ったのがあのカタチだよ」

「そ、……」

そんな超常現象も同然のこと有り得ない、と口しかけるがガチャのこともある。そして今この状況でイトウが嘘をつく理由もない。
117 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:43:35.56 ID:y3Y3E7SXO

その事実を知った上で、疑問はただひとつ。

「だれ」

「ん? 何か言った?」

「誰なの。あそこで負けた人は」

「もうここまで言ったんだから、わかるだろう?」

銃を顔の側へと持っていき、イトウは微笑む。

「ちゃんとやったのはソレが初めてだ。なんと表現したらいいか分からないけれど、とにかく善かったよ。普段の彼女の行には全く非は無かったはずなのにね。無遅刻無欠席の優等生の人生を踏みにじった感覚は堪らないの一言に尽きる」

ふふふ、とお腹を抑え、堪えていた笑いが口から溢れ出すイトウを前に、トウカは内ポケットから拳銃を取り出してイトウへと向ける。

「もう喋らなくていい……!」

「ちゃんと狙って撃ちなよ。初心者」

挑発の意味も込めて、より当たりやすいようにイトウは腕を広げる。

「断言しよう。君に銃の才能はない。だって震えているんだもの。そんなんじゃ命中率は二割も無いんじゃないかな。だったらまだ床に転がってるバスケットボールを投げるか、バドミントのラケットと羽根で────流石の君でもそれは届かないか」

たしかに銃の腕が未知数である上に、牽制で良いはずが人に当ててしまうかもしれないという恐怖。また、シギルが不明な相手には分が悪い。

「どう、しよう……」

ブレザーの胸ポケットに音声認識の状態で待機させていた『虚構と現実』の意見を仰ぐ。

【安価です。
1.拳銃を使って攻撃(2割)
2.バスケットボールを使って攻撃(8割)
3.より確実に当てにいくため近づく(1割UP)
この後すぐの安価で命中について取ります。
ひとまずここではどの攻撃をするかお願い致します。
下1の方で決定です。】
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 22:44:57.91 ID:8Ho6O6ut0
119 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 23:07:24.72 ID:hTtAjRxt0
>>118
2.バスケットボールを使って攻撃
下1のコンマ1桁 4と8以外で命中です。】
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 23:09:24.07 ID:91EgRpJDO
はい
121 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 23:48:34.65 ID:hTtAjRxt0

>>120 「7」命中】

命中に不安の残る銃を辞め、トウカはバスケットボールを手にする。威力こそ劣るものの、元より殺すつもりはない。殺傷能力の高い武器に頼るより、イトウを生かしたまま降参に導く一手を取る。

投げ方は素人そのものだっただろう。ただ単純に投げて、腕を大きく広げるイトウへと向かわせる。

「はは、さすがに届かないっしょ。……え、まじ?」

コートの端から端以上の距離を渡り、ボールはイトウの腹部に命中する。ただし流石にそこまで届くのに威力が落ちていたのか、少しフラつかせる程度だった。

「いや、まじか。トウカは運動やった方がいいよ、本当に。君の輝かしい才能をダーウィンズゲームに誘ってしまったのは少し後悔している。十年後とかに君がテレビの奥で活躍していたかもしれないのにね?」

いたたた、と脇腹を手で撫でてイトウはもう片方の手で拳銃を構える。銃口の先にはトウカが居て、手は震えていない。このまま引き金を引けば命中は確実だろう。

「私はトウカの才能を買っているんだ。君ならきっと拳銃の弾だって避けられる。まぁ別に無理して避ける必要もない。バスケットボールを盾にすれば弾は止まるかもね。ただし、これから私は本気でトウカのことを撃つ。準備室に隠れようとしても無駄だ。必ず背を撃ち抜こう」

「ッ……!」

動体視力は良い方だと自覚している。避ける自身があるか無いかで言えばある。しかし当たりどころが悪ければ死ぬのは確実だろう。

「さぁ、いくよ」

脇腹を抑える手を拳銃へと持っていき、トウカへと狙いを定めた。たったの人差し指一本で生きるか死ぬか手綱を握られてる感覚がトウカを臆病にさせる。

【安価です。
1.避ける(6割) +避けた場合は1回攻撃
2.バスケットボールを投げて弾に当てる(7割)
下1の方お願い致します。】
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 23:49:51.01 ID:LYqYrPRS0
2
123 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 01:06:27.55 ID:IF7jcs2s0
>>122 「2」
2.バスケットボールを投げて弾に当てる(7割)
3、6、9以外なら銃弾回避
下1コンマでお願い致します。 】
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 01:13:50.43 ID:IjqfwiSe0
125 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 01:20:20.41 ID:IF7jcs2s0
>>124 「3」
銃弾回避ならず
当たった場所
1、3、6:右腕
2、7、0:左足
5、8、9:腹部
4:心臓
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 01:41:02.91 ID:D6APpw8kO
4
127 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 22:43:27.32 ID:l/CBfFp0O

>>126 「1」右腕】


「ぐっ……ッッ!」

バスケットボールは銃弾に擦りはしたものの、完全に軌道を逸らすことはできなかった。おそらく胸を一直線に撃ち抜いていたであろう銃弾は逸れて右腕に命中する。

なんとも言えない痛みが右腕から全身へじわじわと伝わる。壁に頭をぶつけたとかタンスの角に足の小指をぶつけたとか、そういった次第に引いていく痛みとは異なり、絶対に引かない痛みがトウカを襲う。

「いやいや、それでもすごいよ。確かに君は擦り当てたんだからね。才能がある。ここで失うのは惜しい才能だ。……だからこそ、ここで仕留める」

左手で右腕を抑えるトウカに突き付けるように、再びイトウは銃口を向ける。右腕を負傷した今、利き手じゃない方であることも含めてバスケットボールによる軌道逸らしはほぼ不可能に近い。

「そろそろ時間も無くなってくる頃だし、言い残すことがあったら聞いておくよ」

「……時間切れになったら、どうなるの?」

「さっきも言ったけれど、あーなんだったかな。たしかダメージと技術、そして芸術だったはずだ。その三つの要素を運営が判定してポイント化する。合計値が低かった方がああなるってことだよ」
128 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 22:44:02.70 ID:l/CBfFp0O

イトウは銃口をトウカからステージ脇の準備室────人型アートへと向ける。

「今のところ、ダメージでは私、技術ではトウカ、芸術でもトウカが優っているんじゃないかな。この距離でバスケットボールを当ててくるんだもん。ただし、ダメージでは圧倒的に私が優っている。トータルでトントンもしくは私の方が有利のはずだよ」

「……」

「無理しなくていい。右腕が痛い、死ぬのが怖い、ササキのことを────存分に断末魔を聞かせてくれ。誰にも言わないと約束しよう。見なかったことにするし、聞かなかったことにする。だから、私の知らないカツラギトウカを見せてくれよ」

ダーウィンズゲームを通して殺人に悦を感じるイトウのことをトウカは心の中で蔑む。口調も相まって憎たらしくてたまらない。

ササキ、自分、そしてまた他の誰か。彼女の殺人衝動は今後とどまることを知らず、さぞかし悪名を轟かせるのだろう。

「……どうして、わたしなの?」

「君と縁のある人物。ササキを最初に選んだのは、彼女の最期の表情を拝みたかったから。次に君を選んだのはササキの友達だったからだよ。私のシギルでここに誘導して、準備室の痕を見せるつもりだった。数少ない友人の見る影もない姿を見て、どんな表情をするか観察したかった。まぁその願望は叶われた」
129 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 22:44:42.39 ID:l/CBfFp0O

「まだ続ける? このゲーム」

「あぁ。続けるとも。続けるしかない。このゲームは退会という機能は無いんだよ。放課後にすぐ退会手続きが出来ると言ったが、つまるところ死ねばそれまでということだ。で、次のターゲットはもう決まっている」

縁のある人物を標的にするとしたら、誰か。最も親交のあったササキは亡くなってしまっている。その他にも少なからず話し相手こそ居るものの、それはイトウの言う縁には不十分だろう。

だとしたら、誰か。

「たしか妹が居るって言ってたよね」

「ッ……!」

「行方不明になったお姉ちゃんを探すために妹さんはどうするだろうねぇ」

「そんなの……」

親友の安否に釣られた実績がある以上、姉の安否に釣られる妹の思考は十分に理解できる。

「これで三人。妹さんのお友達を誘うのは流石に無理があるだろうからね。また一から誰かを探すことにするよ」

「……った」

「ごめん、流石にこの距離だ。もう少し声を出してくれないと────」

「わかったと言っているッ!」

トウカの激昂にイトウは意表を突かれたように一瞬固まり、そして高らかに笑った。

「あははっ。そうそう、私が見たかったのはそれだよ。あー、いいものを見れた。くく、あのトウカがねぇ」

ひとり笑みをこぼすイトウを前に、トウカは



【安価です。
1.拳銃を使用(命中率3割 → 右腕負傷のため2割
交互に銃を打ち合う判定あります。

2.銃弾を避けて直接攻撃(2回判定。
最初は6割で回避、次は5割で回避。
どちらも受けた場合は死亡)
下1でお願い致します。】
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 22:46:18.93 ID:7QvlUMlDO
2
131 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 23:15:54.27 ID:l/CBfFp0O
>>130 「2」
2.銃弾を避けて直接攻撃(2回判定。
最初は6割で回避、次は5割で回避。
どちらも受けた場合は死亡)
1、3、7、9以外で回避。
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 23:21:30.40 ID:G8UshtNx0
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 00:02:14.11 ID:Cg+J0IQ00
一応
134 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/24(月) 22:07:39.52 ID:YJkyl0V4O

>>132 「0」回避
>>133 かなり今さらですが、ゾロ目の場合も
回避としたいですね。次以降忘れずに記載します。
ありがとうございます。】

ひとり笑みをこぼすイトウを前に、トウカはイトウへ向かって走り出した。動けば動くほど右腕の痛みが全身へと響くが、もはや気にしている余裕が無い。

「おぉ、来るか」

トウカは腕の痛みに耐えながら、一直線ではなく多少左右にフェイントを入れている。

「これでっ……!」

あのペースで向かってきたとして、二発か三発か打ち込む余裕がイトウにはあった。

それでも後退りしてしまうのは、トウカの気迫に万が一を感じたからだろう。おおよその狙いを定めながら拳銃の引き金を引く。

「────っ!」

「まじか……!」

十メートル程度の距離。トウカは寸前のとこで右に避けることにより銃弾をかわす。しかし右に大きく踏み込んだことが負荷になったのか険しい表情を浮かべ、一瞬立ち止まる。

「……絶対に止めないとッ」

死の連鎖をここで断ち切り、これ以上の被害者を出さないためにトウカは左足、右足と前へ突き出し元凶のもとへと再び駆け出す。

当然、銃を持つ相手に近付けば近付くほど、弾は避けにくくなる。さっきはギリギリ見えて身体が即座に反応が出来たものの、次は避けられないかもしれない。

それでも、イトウのもとへたどり着くだけの体力だけは残っていると見立てている。

人並み外れた運動神経には多少自信があるものの、特別力が強いわけでも格闘技の心得があるわけではない。もしイトウが何かしらの格闘技に精通していた場合、勝ちの目は皆無となるだろう。しかしそういったことに疎かった場合は勝機ありと確信している。

「次が最後だ……! トウカ!」

想像していたより彼女はずっと早い。腕の痛みなんて全く無かったかのように、イトウのもとへと近付いている。

これが最後、という言葉には偽りなく、当たれば勝ち、外れれば負けということは逆の立場であるトウカも理解していた。


【安価です。
2、4、6、8、0以外で回避。
また、コンマ2桁がゾロ目だった場合も回避です。
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 22:08:25.67 ID:/T9Ssast0
回避できるかな
136 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/25(火) 22:10:29.77 ID:xmQk7eQpO

>>135 「7」 回避】

あと一発か二発か。最悪、二発目を当てればいい。

その考えを捨て、次の一発をこのゲームの締めくくりにしようとイトウは慎重に狙いを定めて引き金を引くが、

「ッ────届いたっ!」

わずか五メートルほどの距離でもトウカは銃弾を避けた。そして一歩前へと力強く踏み込み、華奢な左腕をイトウへと伸ばす。

「ああ、すごいよトウカ……!」

拳銃を捨て、ブレザーの内側から柄と刀身を合わせて十センチ程度のナイフを取り出すイトウの姿を視認したトウカは真っ先にそのナイフを持つ手を掴む。

ナイフを取り出したということは格闘技の心得が無いと推測される。咄嗟にナイフを持つ手を掴めたことが功を奏したのか、至近距離でお互いが膠着する。
137 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/25(火) 22:11:05.66 ID:xmQk7eQpO

「やっと、ここまで届いた」

「あの距離で銃弾を避けるだなんて。右腕も右足も痛いだろうに。恐れいった。それに私がナイフを隠し持っていたのを知っていたかのような反応速度だ。一歩間違えればその手が真っ赤に引き裂かれていたかもしれないのにね?」

「ふざけないで。あとその口調やめて。イトウさんはそんな喋り方しないでしょう」

「まぁ確かに、Dゲームプレイヤーの中には他人に偽装するシギルの持ち主も居るだろうさ。しかし知っての通り、私は私だ。君のその言葉は深くない。普段の私と比べて少し違うな、程度だろう。言い方には気をつけたまえよ、トウカ。勘違いを呼ぶぜ」

トウカの知るイトウという人物は、少々悪ふざけが過ぎる程度のムードメーカーであった。どんな時も白線の内側で悪戯を繰り返していたはずだ。

「どうして、Dゲームを?」

「非日常だろうな。それと、ありきたりで申し訳ないが金だ。始めた当初、三十ポイントを保有していただろう。ガチャ一回につき一ポイント。また、一ポイントは日本円に換算して十万円だ。口座登録をすればすぐに三百万おろせるんだよ」
138 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/25(火) 22:11:40.09 ID:xmQk7eQpO

「……」

「間違っても『イトウさんも被害者なんだ』なんて思うなよ。自分の命を賭けているところも含めて私は好きでやっている。お金なんて二の次さ」

悪質なゲーム設計を描いた人間がイトウを変えた。

その思考を読まれ、真っ向から否定されるとトウカは下唇を噛んで、視線を下げる。

依然としてイトウはナイフを手放さない。一瞬の隙をついてナイフを振られる可能性が捨てきれない以上、トウカはイトウの手を掴み続けるしかない。

しかしイトウは左手でナイフを持っていて、右手はフリーだ。対してトウカは左手を使っており、右手は力が入らない。この至近距離でもイトウは有利な状況にも関わらず右手を使わないのは、どうしてか。

「そんな顔するなよ。まだゲームは終わってないんだから」

「降参とか出来ないの?」

「降参? あぁ、まぁ────」



【安価です。
7:「そういう選択肢もある」
7以外:???
下1のコンマ1桁でお願い致します。】
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/25(火) 22:14:23.94 ID:ApV3Kl0A0
140 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/26(水) 22:12:51.93 ID:klDLSs1DO
>>139 「4」 ???】

「降参? あぁ、まぁ────っ! トウカッ!」

イトウはナイフを手にしていない右手で強くトウカを押した。体幹には多少自信があったものの、右足首の痛みと切羽詰まる表情をした彼女へ為す術なく、掴んでいた手を離して二歩下がる。

「ッ……!」

トウカのすぐ背後から二発の狙撃音が響く。一発目で体育館のギャラリー後ろの換気用の窓に穴を開け、二発目で穴を通して容易くイトウの腹を貫いた。

振り返るが、敵の姿は視認できない。

イトウは手にしていたナイフを落とし、その場で膝をついて倒れる。

「シギルだ……。逃げろ、トウカ。奴はシギルで狙っている。次が来る前に逃げるんだ」

「そ、そんなの、勝手すぎるっ! どうしてわたしを……」
141 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/26(水) 22:13:23.56 ID:klDLSs1DO

「いいか。シギルというのはなんでもありだ。一発目で百メートル先の窓ガラスを割って、二発目でその穴を通して人に当てることだって出来る。今みたいにな。……かなり離れているのにも関わらず、トウカにはすぐ後ろから銃の音が聴こえたのだろう? だが、私も後ろから音がした」

お互いが向き合っていたのにも関わらず、どちらも背後からの銃声を耳にしている。そして銃弾はトウカの背後、イトウの正面からやってきた。

「覚えておけよ、トウカ。このゲームはやらなければやられるだけだ。殺さないと殺されるぜ?」

その直後、両者のスマートフォンから「TIME UP」というアラームがマナーモード状態にも関わらず鳴る。

「スマホの画面には、さっき言ったダメージ、技術、芸術の点数が出ているだろうさ。……ほら、私の負けみたいだ」

イトウの身体を幾つかの立方体が包み込む。その立方体は次第に輝きを増していき、左足の先、右足の先、左足、右足、腰と足の先から頭へと向かって床に正方形の穴を開けながらイトウの身体を消滅させていく。

「ま、待って! まだ、たくさん訊きたいことがあるのに!」

「まぁ、せいぜい上手くやんなよ。私はこの殺し合いから一抜けだ。あー、そうだな。強いていうならエイスってクランには気をつけておけな。アイツらは揃って頭のネジが飛んでいる。イケてないトウカに限って寄ることは無いと思うが、渋谷には近寄るなよ」

「エイス……クラン…?」

聞き覚えの無い単語にトウカは首を傾げるが、判定は待ってくれない。早くもイトウの身体は胸あたりまで消失していた。
142 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/26(水) 22:13:49.43 ID:klDLSs1DO

「私のシギルも効果切れだ。そろそろ生徒や教師が戻ってくる。……あぁ、そうだよ。私のシギルは人を誘導する力だ。大したもんじゃないだろう? でも、やる気を出せば放課後の文化部の連中ぐらいは────いや、そうだ。ササキの最後だ。アイツは最後にお前に対して『生きて』って言ってたな」

「ッ……あなたのことを、許したわけじゃないから」

「そりゃあ……そう、だよね」

「……」

「ごめん、トウカ。頑張って」

最後の最後で仮面を被るのを辞めたイトウは、そう言い残して消失した。体育館の床には人型アートだけを残し、遺物を残さない。

床に膝をつきっぱなしだったトウカはイトウのシギル切れで生徒が戻ってくる前に体育館を後にする。

謎のスナイパーからの追撃は無かった。イトウを撃った時点で踵を返したのだろう。

校舎と体育館を繋ぐ連絡路でトウカは振り返り、ササキとイトウの跡を脳裏に焼き付けて下駄箱へ向かう。


「拳銃で撃たれたなんて、正直に保健室で言えないもんね。……病院に行けるはずもないし」


【安価です。コンマ一桁。
奇数、0:狐の仮面を被った女性
偶数:イケてそうな女子高生
ゾロ目判定はなしです。
下1 コンマ一桁でお願い致します。】
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 22:14:37.45 ID:eyBk4WFE0
144 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 00:57:20.91 ID:3jdkCZm50

>>143 「5」
5:狐の仮面を被った女性】

保健室には寄らず、ローファーに履き替えた冬華は校門を抜ける。学校外に出て、真っ先にしたのは連絡だった。

週末の夜、いつもなら家族揃って夕餉の時間にも関わらず、年頃の娘との連絡が途絶えたとなれば心配するだろう。ましてや佐々木の件もある。

ゲーム終了後、外部との連絡が取れるようになったおかげでメッセージだけでなく電話が何十件と一斉に通知が来た。

「……うん、うん。大丈夫。ごめんね、連絡するの遅くなって。明日帰ったら食べるから。……うん、はーい」

言葉とは裏腹に、冬華は痛みに耐えかねていた。未だに右腕に命中した弾は摘出できておらず、とっくの前から力が入らない。

どうしたものか、と左手で操作していたスマートフォンをロックし、ブレザーの内ポケットにしまい、すっかり暗くなった空を仰ぐ。

今夜泊まる場所がない。腕をどうにかしないといけない。Dゲームについて知らなければならない。

目下、するべきことはこの程度か。およそ十六年間生きてきて、どれもが初めてのことばかりだった。
145 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 00:57:50.68 ID:3jdkCZm50

もう少しで満月か、なんて思い耽たところで、月の前を何かが横切る。長身で後ろ一本に結った髪、身体つきから察するに女性か。

「いやいや、見間違いだって…」

件の人影は二階建ての一軒家と一軒家の間を跳躍で駆けているようだった。

人間業ではない。でも、シギルはなんでもありだ。

見間違えでなければ────

「良い眼をしておるな」

背後から声をかけられ、冬華は咄嗟に振り向く。

先には件の女性が佇んでいた。白い服に長い髪を後ろで一本に結っている。顔立ちは狐の面で隠れているが、美人な顔立ちをしているのは想像がつく。

「怪我をしているのか? ……ふむ。右腕が酷いな。右足はまぁ放っといても良かろう」

「あな、たは……」

「名乗るほどのものでもない」

ふっ、と面の奥で女性は笑みを浮かべるが、

「もちろん雑魚に教える名など持たぬというだけよ」

敵意を剥き出しにして、狐の女性は構えを取る。

「また……っ!」

またダーウィンズゲームか。心の中で悪態を吐くが、どうやっても戦闘を避ける手段は思いつかない。

眼前に立ちはだかる女性はいわゆるプロなんだな、と業界に参入して間もない冬華でも分かる。

手負いでなくとも端から逃げ延びる術は無いだろう。少なくとも冬華には二階建ての一軒家の屋根を跳躍で飛び回ることは出来ない。

「まずは小手調べよ」

左足をバネにし、コンクリートを抉ったんじゃないかと錯覚させるほどのスピードで女性は右手の手刀を冬華に振りかざす。


【安価です。
4、7、0以外:回避
ゾロ目の場合も回避です
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 01:24:02.44 ID:uh74PKjL0
酒羅胃鵡
147 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 08:10:04.29 ID:I1LhlMTjO

>>146 「44」ゾロ目のため回避
本文の人物名ですが、原作(漫画)だとずっと
カタカナのため日本人はカタカナで統一します。】

「っ!」

右足を地に着けたまま左身を後ろに引かせることで、トウカは手刀を避ける。軸にした右足首が鋭い痛みを全身に響かせるが、そうも言ってられない。

正確には軽く当たっていた。腰まで伸ばした黒髪の先がソレによって斬られ、パラパラと空を舞っている。

「ほう、避けるか。まぁこれくらいは避けて貰わねばな。……次は、少しだけ当てに行くぞ」

女性は二歩、三歩と下がり、トウカも合わせて下がる。初撃と同じ距離を取らせてくれるらしい。

しかし「当てに行く」という言葉の通り、鋭い殺気が眼前の女性から放たれる。呼吸さえ忘れてしまいそうな威圧感に、トウカはこれ以上後退ることもなく、ただ良く相手を観察することしかできない。

「手負いじゃ。これを避けたら儂が何とかしてやる」

その言葉が聴こえてきたのは、狐の面をした女性が地を跳ねた後だった。


【安価です。
2、6、8、0:回避
1、3、4、5、7、9:直撃
ゾロ目は回避です。
下1 コンマ1桁】
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 08:11:15.69 ID:45i6NbAh0
149 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 21:58:31.04 ID:ZCO1WkVcO

>>148 「9」直撃】

「遅い。これでは避けれぬな」

狐の面をした女性はたった一度だけコンクリートを片足で蹴り、地面と平行に五メートルは移動してトウカの耳元で囁く。

一瞬遅れて、手刀はトウカの腹を突き抜いた。

「ぐ……ッ!」

「当てに行くと言ったであろうに」

女性の声がトウカに届くことはない。意識はある。聴覚がやられたわけでもない。ただ、痛すぎる。

正常な呼吸方法を忘れてしまったかのようにトウカの呼吸は乱れ、額には脂汗が滲む。制服は貫かれた辺りを中心にして血に染まり、コンクリートの上に血溜まりを作る。

「は……ぁ、はっ……ぁっ……!」

「……おい」

呼吸を乱しながらも、トウカが地面の上に伏すことは無かった。自分の腹を貫いた女性の腕を無意識に左手で掴んでいる。

「意識が無いか。……しかし困るぞ、これは」

解こうと思えばすぐに解けるほど力が弱かったが、邪険にも扱えない。女性にとって、トウカの評価は優に『助ける』の価値を超えていた。

「士明よ。シンジュクじゃ。カエデのところへ連れて行く。我ながら、なかなか面白い拾い物をしたの」

「承知致しました、お嬢様」

電柱の裏から現れた燕尾服で身を包んだ老紳士は、恭しく頭を下げて近くに停めてある車を取りに行く。



「さて、シンジュクまで生きられるか。娘よ」



150 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 21:59:09.55 ID:ZCO1WkVcO
【安価です。
イベント「宝探しゲーム」の開催まで残り10日
参加は確定とさせてください。
下1のコンマ一桁で完治するまでの日数を決めます。
一桁が1だった場合、翌日には完治。
一桁が9だった場合、9日後に完治。
また、イベントまでの特訓期間にも影響します。
1日で完治した場合は9日特訓、
9日で完治した場合は1日特訓です。
一桁が0の場合は10日で完治とし、すぐにイベントです。
今回はゾロ目判定なしです。
完治早くない? というのは最もなご意見です。
ご容赦ください。
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 22:00:07.60 ID:kgzzsa0H0
152 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 23:30:48.51 ID:ZCO1WkVcO
>>151 「0」10日後(イベント開始日)】


この十日間─────正確には七日間、本当に色々なことがあったとトウカは目を覚ますのと同時に思う。

瞼を閉じればそれらの出来事は鮮明に蘇ってくる。

運び込まれたダンジョウ拳闘倶楽部というランキング第四位が率いるクランにはおよそ三十人弱のDゲームプレイヤーが所属していた。

その中には自然治癒を促進させるシギルを持つカエデという金髪碧眼の女性が居て、意識を失っている三日間は付きっきりで看護をして貰っていた。

目を覚ましてからは一日に三回程度カエデのもとを訪れ、自然治癒の促進に励む。

五日も経つ頃には不自由なく動けるようになっていたものの、まだ安静にしていろとクランリーダーからのお達しにより外出は一度を除いて叶わなかった。
153 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 23:31:17.47 ID:ZCO1WkVcO
その一度というのは、家族と学校への挨拶だ。

ダンジョウ拳闘倶楽部へ長期間お世話になるきっかけにもなった狐の面をした女性─────名を雪蘭(シュエラン)の執事をしている士明(シーミン)と共に実家へ赴き、

「トウカ様ほどの才能を眠らせておくのは惜しい」

と合法的に格闘技の世界へ引きずり込まれた。

両親は「どうぞどうぞ」と、常日頃から運動の才能があるのにも関わらず運動部に所属してこなかったトウカへの不満が解消されたように快諾し、学校も夏休み間際だけれど申請すれば可能よ、と手続きは簡単に済んだ。

それらを経てダンジョウ拳闘倶楽部にてDゲームについて詳細を知り、またイベントの告知にも目を通した。

「宝探しゲーム、かぁ」

渋谷を舞台にした宝探しゲームと言うが、もちろんそれには人の生死が密に絡んでくる。ダンジョウ拳闘倶楽部からも何名か選出されている。

トウカは初心者ということもあり、好意に甘えて一緒に行動してくれるという約束までこぎつけたが、開始位置はランダムのためすぐに合流できるかは分からない。

何度も何度もルールに目を通し、迎えた今日。

トウカは初のイベント開始日を迎えた。

【安価です。
1.ダンジョウのもとへ
2.カエデのもとへ
3.イヌカイのもとへ
4.両親・妹に電話(父、母、妹を選択してください)
安価下1】
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 23:44:14.15 ID:Z+gzoUB6o
4
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 23:44:40.54 ID:Z+gzoUB6o
ミスった
4妹
156 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 00:03:49.95 ID:kwPSjrAM0
>>155 4.家族に電話 → 妹
今後の展開を考えて、妹との仲を決めます。
コンマ一桁
4、8:仲悪い
1、3、7、9:仲良し
2、5、6、0:とても仲良し
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/28(金) 00:08:15.65 ID:4NIRjkQh0
虎視眈々
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/28(金) 00:08:28.36 ID:MRsdpO4g0
159 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 22:00:59.67 ID:cT3hmF/RO
>>157 「5」とても仲良し】
家族の名前は以下の通りです。
父:葛城 蓮(かつらぎ れん)
母:葛城 秋葉(かつらぎ あきは)
長女:葛城 冬華(かつらぎ とうか)
次女:葛城 玲美(かつらぎ れみ)
父親の名前は>>43
母親の名前は>>45
妹の名前は>>44からいただきました。
ありがとうございます。】
160 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 22:01:32.92 ID:cT3hmF/RO

前回のDゲームは確かに命を賭けたものだった。

たまたま対戦相手が油断していて、多少の友情関係があったから無事にこうしているが、何も知らないまま見ず知らずのプレイヤーと対戦していたら確実に負けていた。

その自覚のあるトウカは休学の理由としている格闘技について学ぶ必要があった。銃を使うつもりは依然として無いため、必然と格闘技に頼らざるを得ない。

「雪蘭さんとまではいかないけどね…」

十日前、胸の下を手刀で抉られた経験のあるトウカにとっては笑い事でなく、格闘技を越えた暗殺術を学ぶつもりはなかった。少なくとも護身術。近距離で敵の銃などを無力化するくらいまでを目下の目標とする。

ただし今日までは身体を動かすことは禁止されているため、格闘技の門を潜るのはイベント終了後ということになる。

そう打診した数日前に雪蘭は相手してる暇などない、と踵を返しながらこう言った。

「格闘技? 教えてやっても良いが、まずは次のイベントとやらを生き残らねばな。そうしたら考えてやる」

暗殺術を極めた雪蘭には当然、格闘技の心得があるはずだと確信している。
161 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 22:02:05.44 ID:cT3hmF/RO

また、ダンジョウ拳闘倶楽部に所属していない以上、このクランを頼り続けるわけにはいかない。対して雪蘭はクランに属さないソロプレイヤーかつ少なからず両者間に関係性が出来てしまっているため自然と頼りたくなってしまう。

「……怖いけど、いい人なんだよね」

トウカには手刀を受けた以降の記憶が無い。無意識に腹を貫いた腕を掴んでいたことも、それでいて雪蘭から視線を外さなかったことも。

そういった記憶が無いからこそ、「避けたらなんとかしてやる」と言いつつ、避けれなかったにも関わらず傷の治療をしてくれるカエデのもとへと連れて来られているのは彼女も気にかけてくれているのだと思う。

かくして大会とかには全く興味が無いけれど、生き残るために敵を無力化できるくらいの技術はちゃんと身に付けようと思い至ったトウカはひとまず今日から始まるイベントに備える。

「……そうだ」

イベントは開始日こそ決まっているものの、開始時刻は明言されていない。曰く、突然転送が始まるらしい。もしかしたらすぐに始まるかもしれない。

最後にやり残したことはないか、と考えると真っ先に最愛の妹のことが思い浮かんだ。
162 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 22:02:40.78 ID:cT3hmF/RO

もう二度と声が聞けないかもしれない─────トウカが妹の声を、ではなく、妹がトウカの声を聞けない可能性が大であるため、手軽に電話をして話しておこうと思い至り、『葛城 玲美』の名前をタップする。

早朝だというのに、レミはすぐに出た。

「レミ? おはよう。早いね」

『えー? いつもこの時間には起きてるよー。それよりさ、お姉ちゃんこそどうしたの?』

「なんとなくレミの声が聴きたくなっただけ」

『なにそれ。練習は順調? お姉ちゃんの運動神経なら余裕かなー。格闘技って運動神経関係あるよね』

「まぁ、うん……」

饒舌に話すレミに、格闘技の門をくぐるという名目で家出をしているトウカは話を合わすしかない。実際にはまだ門をくぐる前で止められている。

身体を動かす系だから運動神経は密に関係いているだろうと、憶測で物を言う。

『てっきりやるならスポーツかなって思ったのにね。バレーとかバスケとか、サッカーは似合わなそうだけど、お姉ちゃんならなんでも出来そう。私的には水泳やって欲しかったんだよ。水着姿がテレビ越しに観れるから』

「テレビ越し……」

『いや、実際さ。お姉ちゃんってこれまで体育の評価ずっと良かったじゃん。学校一、足が速かったり、トスとかシュートとか上手かったり。ちゃんとやってたら全国大会とか余裕で狙えたんじゃない?』

単純にその気が無かった、の一言に尽きる。
163 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 22:03:24.68 ID:cT3hmF/RO

小学校では地元の各スポーツ業界のクラブから勧誘を受け、中学校ではほぼ全ての運動部から勧誘を受け、高校に入学して一年と少しが経過した今でも熱烈な勧誘を受けている。

それでもやらなかったのはきっと嫌だったからなのだろう。上手くなればなるほど衆人の目に晒される機会が増える。何百個、何千個といった目に見られるのが恥ずかしくて、失敗したときにブーイングを受けるが嫌だと殻に閉じこもってきた。

特別これまで失敗があった訳ではないが、ありえる可能性を考えると表舞台に立つことができない。

『私は嬉しいな。お姉ちゃんが活躍できそうな業界に足を踏み入れてくれて。師範代とかに殴られるとかしてない? 大会って地下闘技場みたいなところで殴り合いとか?』

「そういうのは無いからねっ? あくまで護身術的な」

『ふーん。えー、でもでも、ムキムキになったりしちゃうのかなー? そういうのはやめてほしいなーって』

「そこまで鍛えるつもりは無いってば」

理想としているのは雪蘭ただ一人。無駄のない女性らしさ溢れる肉体というのはあのことだろう。

少なくとも外から見る限りは羨ましい限りだが、実際のところ服の下は腹筋が割れているかもしれない。

そこまでするのは勘弁、とトウカは話を変える。

「最近困った事とかない?」

『困ったこと? んー?』

電話越しでもレミが頭を傾げているのが想像つく。

「近況を知りたいだけだよ」

『困った……不思議に思ってることならあるけどね』

「不思議? 人によって階段の段数が違うとか?」

『そういうありふれた七不思議じゃなくてさ。渋谷のモアイ像あるよね。アレにどうやって穴を開けたのかなって』

「あぁ…」

三日ほど前、渋谷駅近くの待ち合わせ名所であったモアイ像の周辺に人型アートが出現した。
164 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 22:04:07.66 ID:cT3hmF/RO

事情を知っている者の間では『渋谷の十二人殺し』と言われているもので、ネットニュースを見たトウカは心底驚いた。

ただし事情を知らない者からすれば、あれはもはや人型の原型を留めていない物が多く、正体不明の穴がモアイ像周辺に点在している程度の認識だろう。

「なんだろうねー」

『私の勘だと、あれは人だね』

「えっ……?」

『死体がああなったんじゃないかって。名探偵レミの勘がそう告げてるの。ほら、近ごろ失踪者の報道多いでしょ? ……あぁ、そういえばお姉ちゃんの同級生のササキさんとイトウさんもだったね』

「そ、そう……だね。怖いね」

勘の良すぎる妹に少し嫌な予感を覚えながら、トウカは妹との電話を終わらせようとまとめに入る。

「名探偵レミさんの言う通りかもだから、あまり遅い時間に外出とかしないでよね?」

『はーい。わかってまーす』

「あと、知らない人からの変な勧誘は受けないこと」

『ん、なにそれ。受けるわけないじゃん』

「友達からでも怪しい勧誘は断るようにね」

『なんか具体的じゃない? もしかしてお姉ちゃん、道場に入るのを名目に拉致とかされた? この何気ない会話の中でSOSしてたとか? お、落ち着いてっ! 冷静に外の風景を電話越しに伝えて……!』

「そういう冗談はもういいから。ほら、もうすぐ夏休みだからって怠け過ぎないようにね」

『んーーー。はーい。お姉ちゃんも元気でね。練習が辛くなったらすぐに電話するんだよ?』

「レミもね。困ったことあったら聞くから」

悪ふざけの流れを断ち切り、トウカは最愛の妹との電話を終える。

『葛城 玲美』と表示されていた画面が閉じると、特別『ダーウィンズゲーム』と『虚構と現実』のアプリが目に付いた。


【安価です。
1.イベント開始
2.ガチャ
3.ダンジョウ拳闘倶楽部を散策
2もしくは3を選択した場合は、それぞれの行動終了後に自動的にイベントが開始されます。
2と3の両方は選択できません。
下1でお願い致します。】
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/28(金) 22:05:30.67 ID:LgQvWX240
3
166 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 22:36:27.91 ID:qL0h6nCz0

>>165 「3」ダンジョウ拳闘倶楽部を散策】

イベントのルールは何度も目を通した。今さらアプリを開いてすることもないだろう、とトウカは与えられた自室を後にする。

いつ転送が始まるか分からないということで念のため拳銃を携帯し、日々の特訓に励むDゲームとは何の関係もない倶楽部の一員らを横目に建物内を散策する。

昨晩のうちにカエデとの最終調整は済んでいて、本調子となったトウカの足取りは軽い。

未知のイベントへの不安はあるし、生存を賭けたロワイヤルにも恐怖心はある。しかし今になって足掻けることもない、と。おろしたての新品の高校の夏服に気持ち良さを感じながら建物内を歩いていると、


【安価です。
1・4・8:ダンジョウ
2・6・9:カエデ
3・5・7・0:イヌカイ
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/28(金) 22:38:07.66 ID:xj5wGmYi0
168 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 23:25:59.78 ID:qL0h6nCz0

>>167 「6」 カエデ
カナメの学校の女子生徒の制服はセーラー服でした
今さらですが、ブレザー等々はお忘れ下さい。】

「あ、トウカちゃん。もういいのー?」

ふわふわとした金髪が目立つ小さな女性─────カエデと遭遇する。カラーコンタクトとは一線を画す宝石のような本物の碧眼が金髪と相まって眩しい。

「はい。色々とお世話になりました」

「いいってば。雪蘭さんの頼みだしねー。それより、トウカちゃんの制服姿はやっぱりステキねー」

「そ、そうですか……?」

舐めるようにトウカの周りを一周しながら微笑むカエデにトウカは気恥ずかしさを感じる。

これと言って目新しいものはない。地味なセーラー服だ。首元には赤いリボン、白と黒を基調とし、スカートも至って普通の紺色だ。

「まぁねー。こっちでは良く見かける制服なんだけどー、トウカちゃんが着ると……いやらしさ? があるわ」

「それ、日本では褒め言葉じゃありません……」

日本贔屓しているロシア人のカエデにとって日本の制服姿はどれも素敵なものらしい。服飾も文化の一部と捉え、異国の文化へ敬意を評しているのか。
169 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/28(金) 23:26:30.61 ID:qL0h6nCz0

「黒タイツってエロいんじゃないのー?」

「好きで履いてるだけですっ!」

まさかただの黒タイツをエロいと解釈されるとは思っておらず、顔を少し紅く染めながらトウカは間違いを正す。

新品の制服は士明によって手配されていた。まったく一緒のものをサイズの狂いなく、七着も。

一週間ずっと制服姿でいるというのも流石に飽きてくるため、黒のハイソックス縛りにとらわれず、ニーハイソックスや黒タイツを取り入れることで気分を一新しようとした。季節柄、黒タイツは暑くて仕方がなかったが、よく動くことを想定されたタイミングで黒タイツ以外は憚られた。

なおボロボロになった制服は意識を失っているうちに処分されている。一年間と少しの付き合いがあった制服に袖を通すことはもう二度とない。

「何にしてもイベントまでに怪我が治って良かったわ〜。いつ死んでもおかしくない状況だったけれど、そのあたりはトウカちゃんの生命力がよほど強かったのねー?」

「それは、よく言われます」

普通は腕を撃たれたまま数分、數十分も動けないと。それに腹を貫かれながらも生きていることは奇跡だと、何度もダンジョウ拳闘倶楽部の面々に賞賛された。

「私やダンジョウは今回のイベントに参加しないけれど、トウカちゃんならきっと生き残れるわ。きっとまたこうしてお話できることを楽しみにしてるわねー」

「はい。……絶対にご恩はお返し致します」

「気にしなくてもいいのにー。……あ、そろそろみたいね」

カエデの表情が変わってからトウカは気がつく。自分の体を、いくつもの正方形が包み込む。

思い返すのはイトウの最後。

間違って死亡判定にならないでよね、とトウカは祈りながらカエデに別れを告げる。

「絶対に、生きて帰ります」

カエデの声が届く前に、トウカは渋谷へ転送された。


【安価です。
奇数:ホテルの一室(カナメと一緒のルート)
偶数:渋谷のとある場所(オリジナル)
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/28(金) 23:27:33.80 ID:BTD4nN3x0
さげ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/29(土) 00:04:07.75 ID:bL0hssj4O
レーベンズ入りは遠そう
172 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/29(土) 13:52:40.81 ID:lAQj6srXO
[>>170 「0」 渋谷のとある場所】

「ここは……?」

転送先はシックなバーだった。

日中である今は営業時間外らしく、カウンター周辺には誰もいない。席の数は8個。ボックス席は無く、たった一つの出入り口からカウンターと平行に細長い内装をしている。照明は薄暗く、雰囲気がとても良い。

「ドラマで見たような場所だ」

そんな感想を抱きながら、棚に並んでいるボトルを横目にスマートフォンのロックを指紋で解除する。

『ダーウィンズゲーム』を開くと、イベントルールが目に入る。

「誰もクリア出来ずに制限時間を迎えた場合は、リングが三個未満のプレイヤーはゲームオーバー…」

ゲームオーバーとは、つまりこのゲームから一抜けということだろう。現状、唯一のDゲームから解放される手段である。

ただしそれには死が伴うことをよく知っている。
173 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/29(土) 13:53:08.19 ID:lAQj6srXO

制限時間は二十四時間だったのだろう。着々と一秒ずつカウントダウンしていき、残りは二十三時間と五十九分を切ったところだ。

参加プレイヤーは三百人。さすがにものの一分で脱落した者はいないらしく、キリ良く三百と表示されている。

「トパーズ、ペリドット、ラピスラズリ、ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンド……」

トパーズが100ポイント、ダイヤモンドが2000ポイントと、日本円換算すると最低でも一千万円、最高で二億円の配布という大盤振る舞いだ。

七種類の宝石が埋め込まれたリングを集め、誰もクリア出来なかった場合は制限時間終了時にリングを三個持っていなかったらゲームオーバー。

その際のリングのランクは問わないようだ。

一通りルールを読み終えたトウカは首を傾げる。

「んー」


【安価です。
イベントルールを見て気がつくことがあるか。
の前に、頭の良さをコンマで決めます。
頭の良さに応じてイベントルールの判定をします。
下1のコンマ二桁を反転します。
「.28」 → 「82」
「.31」 → 「13」
以下、目安です。
200人の同級生のうち
01〜10:180番
12〜30:150番
31〜50:110番
51〜70:70番
71〜80:50番
81〜90:30番
91〜95:10番
96〜97:1番
98:全国模試一位
11〜66までのゾロ目は81〜90の30番とします。
88は96〜97の1番とし、
99は98と同じ全国模試1位とします。
77もしくは00は素で世界関数とします。
下1のコンマ一桁を反転でお願い致します。
夜続きをやります。】
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/29(土) 14:21:33.50 ID:0BL9BqyDO
はい
175 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/29(土) 20:55:07.57 ID:7wlnrynLO
>>150 「50」 → 「05」 200人中180番ぐらい
脳筋……アホな子ですね。
次にイベントルールを見て気づくことを判定します。
7もしくはゾロ目:気がつく
それ以外は無しで
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/29(土) 20:59:56.18 ID:7KSU0mLC0
177 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/29(土) 22:04:49.72 ID:7wlnrynLO

>>176 「8」気づかない】

「ペリドット、ラピスラズリ……て、なに?」

ルビーやサファイア、ダイヤモンドのことはもちろん知っていた。しかし聞きなれない二つの宝石にトウカは首を傾げる。イベント中はダーウィンズゲーム以外のアプリが起動しないため、調べる術がない。

少し考えた挙句、「まぁルビーとかサファイヤ以下の宝石なんだろうね」と結論を下してカウンター席から降りる。

歩きながらイベント専用のアプリ、異次元カメラを起動すると、ルールに記載されていた通り建物越しにリングの在り処を教えてくれる。

「……ということは、リングが動いてたらそこに人が居るってことね」

早速いくつかのリングが動き始めた。渋谷を舞台として三百人がそれぞれリングを漁っている割には近辺に人が多すぎる。

時間はまだたっぷりとある。うかつにリングを手にすれば他のプレイヤーを招きかねない。しかし、だからと言って制限時間ギリギリまでこのバーで粘っていても、そのときリングを抱えているのは強者のみだろう。

動くか動かないか、選択を迫られる。


【安価です。
1.移動(遭遇、戦闘判定、リング獲得判定)
2.この場に留まる(この後の安価で来訪者の判定)
下1でお願い致します。】
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/29(土) 22:27:07.85 ID:0BL9BqyDO
1
179 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/01(日) 22:00:34.66 ID:x6tYAX6iO

>>178 「1」移動】

時間の経過と共に一部へリングが集中することは簡単に予想できた。

関東において悪名を轟かせているエイスの王(ワン)がもし噂通り参加しているとしたら、後半戦からのリング探しは困難だろう。

参加プレイヤーのカウントが緩やかに減っていくスマホの画面を見ながら、バーを出ることを決心する。

異次元カメラ越しに外を見る限り、近辺にリングの反応はない。しかしリングを持っていない人は居るかもしれない。扉を開けてすぐ襲われる可能性だって十分にありえる。

「……迷ってても仕方ないよね」

一度決めたことを考え直していては埒があかない。
180 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/01(日) 22:01:10.24 ID:x6tYAX6iO

シギルの詳細についてハッキリと分かっていれば多少自信を持てたのかもしれないが、十日経った今でも分からないものは仕方がなく、頼れるのは人一倍動ける身体そのものだった。

バーの扉に触れ、ギィと音を立てながらゆっくりと前へ押す。夏らしい全身に絡むようなジメッとした空気を浴びながら、バーを後にする。

転送先であるバーは地下にあったらしく、扉を出てすぐの斜面がそこそこある階段をゆっくり登る。

「会いませんように。会いませんように」

ルールにリングのやり取りには必ず戦闘をしなければならないというルールは無かった。しかしバトルロワイヤルモードとして、殺し合いは推奨されている。

見つかり、分が悪いと感じたとき差し出せる物は命しかないのか。手早くリングを集めればそれで見逃して貰えるかもしれない。

イベント開始前は「まぁ大丈夫でしょ」という謎の自信に満ちていたが、実際に始まると嫌な汗が滲み出るのがわかる。

階段を登りきり、その先の外と繋がる重い鉄の扉を押すと、眩しい陽の光を浴びる。


【安価です。
奇数:他のプレイヤーと遭遇
偶数:遭遇なし
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/01(日) 22:06:02.89 ID:9jYsD8Z30
182 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/01(日) 22:13:32.83 ID:x6tYAX6iO
>>181 「9」 他のプレイヤーと遭遇
1:制服姿の女子高生
2:四十代ぐらいの小太りのおじさん
3:大学生くらいの男性2人組
4:左目に切り傷のある隻眼のカタギじゃなさそうな男性
5:制服姿の女子高生
6:目元に隈のあるスーツ姿の女性
7:???
8:大学生くらいの男性2人組
9:制服姿の女子高生
0:左目に切り傷のある隻眼のカタギじゃなさそうな男性
ゾロ目:シュカ
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/01(日) 22:14:10.59 ID:6icjUtMDO
はい
184 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/01(日) 23:29:08.54 ID:x6tYAX6iO

>>183 「9」制服姿の女子高生】

さて、と一呼吸ついてトウカは異次元カメラを頼りに数年ぶりの渋谷を散策する。

ダンジョウ拳闘倶楽部にて聞いていた話の通り、プレイヤーでない一般人は強制的に退去させられている。

なんでもイベント開始時と同時にエリア内に居る一般人のスマートフォンから特殊な電子音が流れ、自然とエリア外に出るという信じがたい現象が起こっているらしい。

今回はその光景を見損ねたが、人が洗脳されている姿を特別見たい願望はトウカに無かった。

異次元カメラによると、最寄りのリングは六百メートルほど離れていた。見渡す限り人の姿は無く、また日陰も極端に少ない。日陰を壁伝いにリングのある場所まで辿り着くのは不可能らしい。

しかし裏を返せば待ち伏せするような場所も無いと解釈することもできる。

距離は六百メートル。体力には自信がある。全力で走り続ければ二、三分程度で着くだろう。
185 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/01(日) 23:29:43.91 ID:x6tYAX6iO

行くか、行かないか。

短時間であったものの、考えが一つの物事に集中していたせいか、すぐそばまで忍び寄る人の気配にギリギリになって気がつく。

「そ、そこに居るのは分かっているんだからっ!」

リングのある方面とは逆。バーへと続く階段のある扉からすぐ近くの路地裏から人影が覗いていた。

影だけでは背が分からず、男性か女性か分からない。

しかし、すぐに性別を知ることはできた。

「あ、影出てたのね。ごめんなさい、驚かせるつもりは無かったの」

そう言いながら路地裏から黒のローファー、紺のハイソックス、すらっと伸びた白い脚に、膝上数センチのチェック柄のスカート、紺のベストを着た女性が現れる。

見たところ年齢はトウカとそう変わらない。制服姿であることを加味して同い年か一つ違いだというのはすぐに分かった。


【安価です。
1・3・7・0:「よければこのイベント中だけ協力しない?」
2・5・6・9:「驚かせるつもりは無かったの。驚かせる前に殺れたらなって思ってたわ」
4・8:「あっちから人、来てない?」
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/01(日) 23:34:29.53 ID:9jYsD8Z30
187 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/02(月) 08:27:53.19 ID:vYBpqwtcO

>>186 「3」
「よければこのイベント中だけ協力しない?」】

「えーと、一人よね?」

トウカは首を縦に振った。

初対面の相手とはどうにも口で話せない。根の暗さがこういう時に限って嫌になる。

「あぁ、よかった。団体行動はどうにも苦手でね? 私も一人なの。よければこのイベント中だけ協力しない?」

「協力?」

「えぇ。二人合わせてリングを六個集めるの。ポイントはどうでもいいわ。私は生き残りたいだけ。あなたがダイヤモンドとかを狙うんだったら、ちょっと考え直させて欲しいけれど」

一人で三個を集めるより、二人で六個を集める方が現実的だ。何よりも後ろをケアできる存在が大きい。

トウカにとっては願ってもない申し入れだった。

「私も、なんでもいいです。生き残れれば」

「そう? じゃあ契約成立ね」

小走りで近寄り、女性はトウカの手を取る。

「……かわいい。近くで見るとかわいいわね、あなた」

「か、かわ……?」

「ぱっちり二重でまつげ長くて、髪も────って、こんなこと話してる場合じゃないっ。まずは自己紹介ね」

女性は一歩、二歩と下がり、短いスカートの端を摘んで恭しく一礼をした。


【安価です。
今回は女子高生の名前を決めます。
このあと頭の良さ、運動神経、シギルと決めます。
下3までで案をお願い致します。】
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 08:38:24.05 ID:HzhuPiRD0
壬生 翔子(みぶ しょうこ)
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 08:45:25.65 ID:2ouX4dT70
諸星 琴音(もろぼし ことね)
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 08:46:45.59 ID:cvTpkC/DO
緑河 弥生 (みどりかわやよい)
191 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/02(月) 12:08:38.20 ID:vYBpqwtcO

1.>>188 壬生 翔子(みぶ しょうこ)
2.>>189 諸星 琴音(もろぼし ことね)
3.>>190 緑河 弥生 (みどりかわやよい)
先に2票入った名前に決定します。】
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 14:54:27.83 ID:cvTpkC/DO
1
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 15:58:54.93 ID:OaiacpBs0
3
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 16:27:17.05 ID:pQZa5sZr0
3
195 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/02(月) 21:19:06.63 ID:aoJ9SvKQO
【先に3票入ったため、緑河弥生に決定です。
次は頭の良さを決めます。
次の運動神経と決め方がちぐはぐで申し訳ありませんが、
トウカと同じくコンマ2桁を反転させて決めます。
「.28」 → 「82」
「.31」 → 「13」
以下、目安です。
200人の同級生のうち
01〜10:180番 トウカ
12〜30:150番
31〜50:110番
51〜70:70番
71〜80:50番
81〜90:30番
91〜95:10番
96〜97:1番
98:全国模試一位
11〜66までのゾロ目は81〜90の30番とします。
88は96〜97の1番とし、
99は98と同じ全国模試1位とします。
77もしくは00は素で世界関数とします。
下1のコンマ一桁を反転でお願い致します。
196 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/03/02(月) 21:19:50.00 ID:aoJ9SvKQO
【先に3票ではなく2票でした。
安価は下1の二桁でお願い致します。】
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