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深月フェリシア「かなえって怖くね・・・?」 さな「はい・・・」
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1 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 18:38:38.16 ID:IgUGHyAB0
さな「私この前こんなことがありました―――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さな「んっ、コホンッ、こうかな・・・?」
さな「くちのなかに て〜 つっこんで おくば がたがた いわせたろぉか〜〜いっ」
みふゆ「あら? さなさん何をしているんですか?」
さな「あっ、はい、強そうに見える練習をしていたんです。今のどうでしたか? 強そうに見えましたか?」
みふゆ「う、う〜ん・・・。強そうというよりは、可愛いというのが正直な印象ですねえ。あっ、そうだ。かなえさん、かなえさん」
かなえ「ん?」
さな「ひっ・・・」
みふゆ「かなえさん、こういうの得意そうじゃないですか。ちょっとやってみてくださいな」
かなえ「ん。・・・・コホンッ」
かなえ「テメェの汚ねぇクソ穴に手ぇ突っ込んで、奥歯バラバラにしてやる・・・! このクズがあッッ!!!」 (ドス声
さな「ふぇぇ」ジョバー....
かなえ「あっ・・・・」
みふゆ「あ、あらあら・・・・」
やちよ「ちょっと! あなたたちなに二葉さんをいじめてるのよ! 大丈夫二葉さん? よしよし。かなえとみふゆは罰としてトイレ掃除よっ!」
みふゆ「ええっ?! ワタシもですかっ?!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さな「―――ということがありまして・・・・」
フェリシア「こぇえ・・・・」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1581586718
2 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 18:41:24.01 ID:IgUGHyAB0
フェリシア「オレもこの前こんなことがあったぞ―――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フェリシア(かなえって怖いけど、それは見た目だけで実は弱いんじゃないか?)
フェリシア(魔女退治はいつも一人でやってて戦っている所は見たことないし)
フェリシア(もし弱っちいなら、もうかなえにビクビクしないでいいよな。よしっ、今からちょっと確かめてみるかっ!)
フェリシア「・・・おっ、おいっ、かなえっ!」
かなえ「ん?」
フェリシア「うっ・・・。あっ、えと・・・。あ、あれだ・・・その・・・。お、オレと勝負しろっ!」
かなえ「勝負? あたしと喧嘩したいの?」
フェリシア「お、おうっ、そうd―――」
フェリシア(い、いやっ、待てよ・・・。もし本当にかなえが強かったらどうする? 強くて怖いやつに喧嘩売ったら、オレ、バキボコにされちまうんじゃ・・・?)
フェリシア(だ、だめだ・・・! やっぱ喧嘩はだめだ・・・! ここは念のため何か別のケガしなさそうな勝負で・・・)
フェリシア「・・・ええと・・・あっ! 腕相撲! 腕相撲で勝負だ!」
かなえ「ん。いいよ」
みふゆ「あっ、なんですかなんですか。かなえさんとフェリシアさんが腕相撲するんですか? 面白そうですね。それじゃワタシがレフェリーしますよ」
フェリシア「おうっ、頼むぜっ!」
みふゆ「はい。それじゃ両者テーブルに肘を置いて、手を握ってください」
フェリシア「ああっ、いくぜっ・・・!」スッ ガシッ
かなえ「ん」スッ ガシッ
みふゆ「まだですよ。ワタシが手を離したらスタートですよ」
フェリシア「・・・・!」ゴクリッ....
かなえ「・・・・・」
みふゆ「それでは・・・はっけよ〜い・・・・のこった!」パッ
フェリシア「うぉりゃああああ先手必勝だぁあああああああ!!!!」グワッ!!
かなえ「・・・・・・・・・」
フェリシア「ぃよっしゃああああ入ったあ! このままブッ倒し・・・・・・はえっ?!?!?!?」
かなえ「・・・・・・・・・」
フェリシア(う、ウソだろっ?! 1ミリも動いてねえっ!! 全体重を腕に乗せていきなり勢いを付けたのに・・・・! まるで山を相手に勝負してるみてえに動かねえっ・・・・! どうなってんだ・・・・!!)
3 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 18:43:28.63 ID:IgUGHyAB0
フェリシア「このっ・・・! このくそぉおお!!!!」グググッ......
みふゆ「わあ、すごいですね、ぴったり止まってます。まったくの互角ですねっ」
かなえ「・・・・・・・・・」
フェリシア(あの余裕の無表情・・・! こっちは全力なのに・・・! 全然互角じゃねえ・・・!)
ミシッ... パキパキッ......
みふゆ「んっ? なんでしょうこの音」
フェリシア「んなら全力以上にやってやるぁあああ! てやぁッ! 界王拳100億万倍だぁぁああああッッッッ!!!!!!」グオッ!
かなえ「・・・・・・」 .....ググッ
フェリシア(っ?! 逆に押し返され―――)
パキパキパキパキッ
バリーンッ!!!
かなえ「あっ」
フェリシア「うおっ?!」
みふゆ「あー・・・。テーブルが割れちゃいました・・・。これじゃどっちが勝ったか分かりませんね」
フェリシア(い、いや・・・。あのまま続けてたらオレの方が倒されてた・・・)
やちよ「なに今の音?! ・・・って、きゃあ?! テーブルが!? あなたたちなにしてんのよっ!」
かなえ「ご、ごめん・・・・」
やちよ「ケガはない!?」
かなえ「ん」
やちよ「よかった・・・。でも罰としてあなたたち三人の今月のお小遣い減らすからっ!」
みふゆ「ええっ?! なんでワタシまでっ?! ひどいっ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フェリシア「―――ってことがあったぞ・・・。かなえって怖いだけじゃなくて、チョー強いのな・・・」
さな「ひぃぃ・・・。かなえさんには絶対に逆らっちゃダメですね・・・」
フェリシア「だな・・・。普段から全然しゃべんねーし、きっといつも怒ってるんだよかなえって・・・。下手に刺激したらぶっ飛ばされるぞ・・・・」
さな「はい・・・」
4 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 18:45:23.42 ID:IgUGHyAB0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やちよ「さて」
やちよ「今年もこの日がやってきたわね。みかづき荘年末大掃除! みんな気合入れて掃除するわよ!」
かなえ「ん」
さな「はい・・・」
フェリシア「ぶー・・・面倒くせー・・・・」
みふゆ「もお、なんでやっちゃんは毎年この日はウッキウキになるんですか。掃除なんて毎日やっちゃんがしているからいいじゃないですか」
やちよ「ごちゃごちゃ言わない! 掃除も花嫁修業の一つだと思ってちゃんとやる!」
みふゆ「やっちゃんがワタシのお嫁さんみたいなものじゃないですか〜」
やちよ「それじゃ分担して掃除をしていくわよ。私は水回りを掃除していくわ。かなえは大きい家具を動かして、その裏を掃除して」
かなえ「ん」
やちよ「みふゆとフェリシアはとりあえず自分の部屋を掃除しなさい。あなたたちの部屋は特に散らかってるんだから、この日くらいはちゃんと綺麗にしておきなさいっ」
みふゆ「は〜い・・・・」
フェリシア「う〜い・・・・」
やちよ「二葉さんは一階と二階の窓ふきをお願いできるかしら」
さな「は、はい・・・・」
さな(ううっ・・・。お腹が痛い・・・。でもちゃんと掃除しなきゃ・・・。やちよさんはあんなに張り切ってるし、私だってみかづき荘の一人なんだから・・・!)
さな「ふぅふぅ・・・・」ヨロヨロッ....
かなえ「・・・・・・・」
5 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 18:46:24.67 ID:IgUGHyAB0
かなえ「・・・・さな」
さな「へっ?! あっ、は、はい、な、なんでしょう・・・?」
かなえ「ちょっと、こっち」
さな「えっ・・・?」
かなえ「こっち、来て」
さな「は、はい・・・」
さな(うっ・・・。やちよさんの目が届かない所に連れて行かれる・・・。一体何でしょう・・・? 私、何かかなえさんの気に障るようなことしちゃったのかも・・・?)
さな(私、仕返しをされる・・・? なにをされるのかな・・・? ・・・カツアゲ・・・とか? それとも指詰め・・・?! 根性焼き?! ひぃぃっ!!)ビクビク
かなえ「これ」スッ
さな「わああっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなs―――・・・・・へっ? こ、これは・・・。ロキソニン?」
かなえ「ん。これ飲んで、今日は横になって」
さな「え、えと・・・。ど、どうして・・・?」
かなえ「その・・・あたし・・・血の臭いには敏感で・・・それで、分かったから・・・」
さな「あっ・・・」
かなえ「窓ふきはあたしがやっておく。やちよにもうまく言っておくから、さなは休んだ方がいい」
さな「えと・・・い、いいんですか・・・?」
かなえ「ん」
さな「あ、ありがとうございます・・・」
かなえ「ん」
さな(かなえさん・・・。私の事気遣ってくれた・・・?)
みふゆ「あらあら。うふふっ、イイコト思いついちゃいました♪」
みふゆ「アイタタタタッ。やっちゃんやっちゃん!」
やちよ「みふゆ? どうしたの?」
みふゆ「ちょっと持病のシャクで頭の辺りの腰痛が痛くて痛くて・・・。今日はもうワタシ休みますね」
やちよ「あらそう。じゃあ私が代わりにみふゆの部屋を片付けるわね。とりあえず最近着ているのを見ていない服からバザーに出しに行こうかしら」スタスタ
みふゆ「きゃーっ! 待って待って! そんなひどいっ! ウソですごめんなさいっ! ちゃんと自分で掃除しますから〜っ!」ガシッ ズルズル
6 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 18:48:05.98 ID:IgUGHyAB0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やちよ「さて」
やちよ「今年ももうクリスマスね。・・・みんなでご飯食べて、ケーキ食べてこの家で賑やかにクリスマスパーティー」
やちよ「うふ、うふふっ」
フェリシア「うあ・・・。なにニヤニヤしてんだよ、気持ち悪ぃ・・・」
みふゆ「やっちゃんたら毎年一番楽しみにしてますよね、クリスマスパーティー」
さな「クリスマスパーティー・・・するんですか・・・?」
やちよ「ええ、もちろん。我が家の伝統みたいなものだもの。ということで早速準備をするわよ。みんな手伝って」
フェリシア「イヤだ! オレはクリスマスパーティーなんてやんねーから!」
やちよ「どうしてよ。楽しいわよ。食って騒いで」
フェリシア「楽しくねー! オレはクリスマスなんて嫌いなんだ! やちよババアだけで勝手にやってろー!」ダッ
やちよ「あっ、ちょっとどこに行くのよっ!」
フェリシア「どこだっていいだr―――」
ドンッ
フェリシア「わっ!? なんだ・・・あっ、か、かなえ・・・」ビクッ
かなえ「・・・・・・」
やちよ「あら、かなえ。おかえりなさい。今日は早いのね」
かなえ「ん。クリスマスだから準備するだろうと思って、音楽の練習を早く切り上げてきた」
フェリシア「えっ・・・? か、かなえもクリスマスパーティーすんの・・・?」
かなえ「ん」
やちよ「ねえ、フェリシア。毎年みんなでやってるんだから、フェリシアもやりましょう、クリスマスパーティー」
フェリシア「はあっ?! だからオレは―――」
かなえ「・・・・・・・」ジーッ
フェリシア(ひっ・・・。かなえが睨んでくる・・・。こぇぇ・・・。ワガママ言ったらぶっ飛ばされそうだ・・・)
やちよ「フェリシアは興味ない? 食って騒いでの『食って』には」
フェリシア「う・・・・」
やちよ「ご馳走をたくさん用意するから。ね?」
フェリシア「うう・・・・・」
やちよ「それでもまだイヤ?」
フェリシア「イヤ・・・じゃない・・・」
やちよ「それじゃ私と買い物に行きましょう。食べたい物、フェリシアも選んでいいから」
フェリシア「分かった・・・」
みふゆ「クリスマスパーティーの食べ物ですか〜。う〜ん、今年ワタシは何を食べようかなあ。とりあえず、お店に着いてからゆっくり考えますか」
やちよ「何言ってるのよみふゆ。貴女は大学のレポートがまだ終わってないんでしょ。終わるまで外出もパーティーもお預けに決まってるじゃない」
みふゆ「ええっ?! そんなひどいですっ!」
7 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 19:39:04.77 ID:IgUGHyAB0
やちよ「飾り付け担当の方はかなえと二葉さんにお願いしていい?」
かなえ「ん」
さな「へっ・・・?! わ、私がかなえさんと・・・?」
かなえ「とりあえず」
さな「は、はひっ・・・!」
かなえ「街に買い物に行こう」
---------------
さな「・・・・・・」ビクビク...
かなえ「・・・・・・」
さな(かなえさんと二人でお買い物・・・)
さな(失礼が無いようにしないと・・・。かなえさんは怖い人だから・・・)
さな(んん・・・。でも、この前は私の事気遣ってくれたし・・・。もしかしたら、思ったより怖くない人なのかな・・・?)
かなえ「さなは」
さな「ひゃっ?! は、はい・・・?」
かなえ「もしかして、クリスマス、好きじゃない?」
さな「えっ、ど、どうして・・・?」
かなえ「さっきからあまり楽しそうじゃない。街のイルミネーションも全然興味がなさそうだから」
さな「あっ・・・よ、よく見ていますね・・・私の事・・・すいません・・・」
かなえ「別に謝らなくていい。それで、どう?」
さな「そう・・・ですね・・・。好きじゃないというか、クリスマスってよく分からないんです・・・」
かなえ「分からない?」
さな「はい・・・。前に住んでいた家ではそういうこと一切やらなかったので・・・。父からは、そんなのに浮かれてる暇があったら勉強しろって言われていました・・・」
かなえ「・・・・・」
さな「だから分からないんです・・・。何でみんなクリスマスを楽しめるのか・・・。何でみんなで集まって楽しんでいるのか・・・」
さな「どうして楽しんでいるのか・・・。どうして集まるのか・・・。どうして煌びやかにするのか・・・。どうして・・・どうして・・・」
さな「突き詰めて考えると・・・私・・・楽しむってことが分からないのかもしれません・・・」
かなえ「・・・・・」
さな「あっ! ご、ごめんなさい! みかづき荘のみんなでクリスマスパーティーを楽しむのに、私ばっかりこんなネガティブで・・・!」
かなえ「ん。さなのその気持ち、あたしにもよく分かる」
さな「えっ・・・?」
かなえ「あたしは昔から友達がいなかった。家族との折り合いも悪かった。ずっと一人で過ごしてきた。喧嘩ばかりしてきた。だからあたしにも分からなかった。誰かと何かを楽しむとは、どういうことなのか」
さな「そうなんですか・・・」
8 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 19:41:49.88 ID:IgUGHyAB0
かなえ「あたしがみかづき荘に来て最初のクリスマスは、あたしはパーティーに出るのが嫌だった」
かなえ「だけどあたしの恩人が、『みかづき荘では、みんなでパーティーを作るのが伝統だ』って言った。だから嫌でもパーティーをしなきゃいけないと思った。恩人の続けてきた伝統を続けるために」
かなえ「そんな義務感で始めたあたしの初めてのパーティーだったけど・・・。始めてみると・・・ん・・・なんというか・・・意外と・・・」
さな「楽しかったんですか?」
かなえ「ん・・・。やちよのおいしい料理を食べて、みふゆのとりとめもない恋愛話を聞いて・・・」
かなえ「そんな気兼ねなく一緒に居られる人たちと、あのみかづき荘で過ごす時間は、あたしの心を優しく包み込んでくれたから・・・」
かなえ「あの優しさをあたしに教えてくれたやちよとみふゆには、感謝してもしきれない。あたしはいずれ二人に恩返しをしたい。たとえこの命を燃やしてでも」
かなえ「あっ、これは秘密だから。二人には言わないで」
さな「は、はいっ」
かなえ「さなの『楽しむのが分からない』というのは分かる。でも、少なくともあたしはさながパーティーに居て欲しい」
さな「えっ? 私が・・・? ど、どうして・・・?」
かなえ「あたしは一人は得意。だけど、やちよと出会ってからは少し苦手になった。・・・ちょっと、恥ずかしいけど・・・」
かなえ「だから、さなにも居て欲しい。あたしにはさなが必要なんだと思う。みかづき荘で気兼ねなく過ごせる人は多いほうが嬉しいから」
さな「わ、私が必要・・・? あ、う、で、でも、私なんか、落ちこぼれで、楽しめることなんてなんにもできないし・・・・」
かなえ「そんなに自分を卑下するのはやめたほうがいい。不要に強張る必要もない。さなは純粋でいい子だから、そのことを素直に出したらいい」
かなえ「・・・あたしの恩人の言葉を借りたけど、嘘はついていない」
さな「ほ、本当ですか・・・? 私、かなえさんの側に居てもいいんですか・・・?」
かなえ「ん」
さな「はい、ありがとうございます」
かなえ「・・・・・・・・」
さな「・・・・・・・・」
かなえ「・・・・・・・・」
さな「・・・・・・・・」
かなえ「・・・・さ、さな?」
さな「はい?」
かなえ「側に居ていいとは言ったけど・・・。そ、そんなに引っ付かれるのは・・・ちょっと、こ、困る・・・」
さな「あっ・・・! す、すいません・・・! やっぱ私全然ダメダメですね・・・調子に乗って・・・」
かなえ「うっ・・・い、いや、さなは悪くない。あたしが、こういうの慣れていないだけ・・・。いい、さなの好きなようにしていいから・・・」
さな「そうですか・・・? そ、それじゃあ・・・。かなえさんのすぐ後ろを歩いてもいいですか・・・?」
かなえ「えっ・・・。あたしの後ろは・・・」
さな「ダメですか・・・?」シュン...
かなえ「あっ・・・い、いい・・・。あたしの後ろでもいい・・・」
さな「はいっ」
さな「・・・・///」 ヒッソリ
9 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 21:05:23.80 ID:IgUGHyAB0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やちよ「さて」
やちよ「始めましょうか。みかづき荘新春恒例の・・・福袋イベントを!」
かなえ「ん」
みふゆ「わ〜いっ♪ 待ってました〜♪」パチパチ
さな「福袋イベント・・・?」
フェリシア「なんだよそれ」
やちよ「祖母が始めたみかづき荘の恒例行事でね、毎年この水徳商店街でみんなに福袋を買ってもらうの。お金の大切さを学んでもらうためにね」
やちよ「そのためにこれをあげるわ。二葉さん、受け取って」
さな「えっ、これって、もしかして、お年玉ですか・・・? もらっていいんですか?」
やちよ「みかづき荘の一員なんだから、当たり前じゃない」
さな「ありがとうございます・・・!」
フェリシア「なにーっ! いいなぁー、さな!」
やちよ「はい、フェリシアにも」
フェリシア「うおー!! お年玉っ! 本当に本当にお年玉だっ!!」
みふゆ「うふふっ。嬉しいですよね。楽しいですよね。ワタシも毎年この瞬間がとってもハッピーなんですっ。ささ、というわけでやっちゃん、ワタシにもお年玉くーださいなっ♪」ウキウキ
やちよ「何言ってんのよ。みふゆはもらう側じゃなくてあげる側でしょ。もうそういう年齢になってしまったことにそろそろ気が付きなさい」
みふゆ「ええっ?! そうなんですかっ?! ひどいっ!」
やちよ「二葉さんとフェリシアは今渡したお年玉で買える福袋を買うこと! さっきも言った通りお金の大切さを学んで欲しいから、どの福袋がいいかきちんと考えて、自分が本当に欲しいものを買うのよ」
フェリシア「おうっ!」
さな「はいっ!」
やちよ「そして分かっていると思うけど、年上の子は年下の子に付き添って、お金の使い方のアドバイスをすること」
かなえ「ん」
みふゆ「は〜い・・・。せめて楽しそうに買い物する子の姿を見て癒されることにします・・・。それじゃ、ワタシはさなさんに付き添いましょう」
さな「あっ、はい、よろしくです」
やちよ「そう。なら、かなえはフェリシアをお願いね」
かなえ「ん」
フェリシア「えっ・・・!? か、かなえがオレに付き添うの・・・? う・・・あ・・・や、やちよは? やちよじゃダメなのかよ・・・?」
やちよ「私は大変なのよ。これから戦場に行かないといけないから。初売りと言う名の戦場にね・・・!! それじゃまた後でねっ!」タタッ
フェリシア「え・・・え・・・」オロオロ....
かなえ「行こうか。買いたいものを買いに」
フェリシア「あ、う、うん・・・・」ビクビク...
10 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 21:06:25.31 ID:IgUGHyAB0
かなえ「・・・・・・」
フェリシア「・・・・・・」
かなえ「・・・行かないの?」
フェリシア「う、あ、い、行く・・・。と、とりあえずその辺を歩いてみるか」テクテク
かなえ「色々あるから、ちゃんと周りを見て歩いた方がいい」
フェリシア「う、うん・・・」
フェリシア「あっ、おもちゃ屋の福袋! 中身は、デカゴンボールのフル・・・フル・・・まあいいや、これにしよ―――」
かなえ「・・・・・・」ジーッ
フェリシア「―――う、あ、や、やっぱやめようかな・・・。み、店は他にもあるからじっくり考えた方がいいんだよな・・・?」
かなえ「ん」
フェリシア「あっ、こっちの店にもデカゴンボールあるっ! ミニフィギアだっ! よしっ、これにしよ―――」
かなえ「・・・・・・」ジーッ
フェリシア「―――う、う〜ん・・・ど、どうしようかな・・・?」
かなえ「・・・・・・」
フェリシア(な、なんだよ〜、かなえ・・・。ずっとオレの事黙って睨みつけてきて・・・)
フェリシア(もしかして、オレにおもちゃなんか買うなって言いたいのか・・・?)
フェリシア(おもちゃがダメだったらなにを買えばいいんだよ・・・? 参考書とかか・・・? うあっ、そんなのぜってー、イヤだ! せっかくのお年玉なんだから普段買えないものを買いてーよっ・・・!)
フェリシア「うう・・・・」
・・・・・キィン
フェリシア(っ?! 魔女の反応!)
かなえ「ん・・・。新年早々厄介な・・・」
---------------
フェリシア「くぉらぁ! 出てこい魔女!」
フェリシア「オレが・・・オレが・・・ぜってーにぶっ潰してやる!」
フェリシア「ふーー・・・ふーー・・・」
かなえ「待てフェリシア・・・! ここの結界は何か嫌な予感がする・・・! 一人で進まないで一旦退いた方が―――」
フェリシア「うるせー!! 魔女魔女魔女どこだあああ! りゃあっああああ!」ブゥゥン!
ガーンッッ!
かなえ「ぐっ・・・あっ・・・!?」
かなえ(フェリシアのハンマーの衝撃がこっちにまで・・・) 血タラッ....
11 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 21:12:27.04 ID:IgUGHyAB0
魔女「・・・・?!」
フェリシア「居たっ!」
かなえ「っ?! まずい、あの魔女は・・・!」
フェリシア「魔女は一匹残らず潰してやるんだぁあああッ!!」グアッ!
ドガーンッ!
かなえ「くっ・・・また・・・・」 血タラー....
フェリシア「よっしゃぶっ潰したあああ!! ・・・あ、あれっ?!」
魔女「・・・!!!!」 (ダメージカット
フェリシア「な、なんだこいつ・・・! オレのハンマーを食らってもピンピンしてやがる?!
かなえ「その魔女は打撃に耐性がある! あたしたちじゃ相性が悪すぎる! みふゆじゃないと倒せない! 一旦退こう!」
魔女「・・・!!!!」 (カウンター
フェリシア「ぎゃあっ?!」
かなえ「フェリシア!」
使い魔「「「菫wp*新習元几q!!」」」ザシュザシュ
フェリシア「あっ・・・ぐあっ・・・や、やめ・・・やめ・・・て・・・・」
かなえ「フェリシア!! っ・・・! ・・・この・・・!」ゴゴゴゴ...
魔女「・・・・????」
かなえ「このヤロォォオオッ!」バッ
魔女「・・・!!!!」 (ダメージカット
かなえ「テメェの汚ねぇクソ穴にぃ・・・!」ガンッ! (ダメージカット無視
魔女「・・・?!?!?!」 (カウンタ-
かなえ「手ぇ突っ込んで・・・!!」ズボボッ (カウンター無効
魔女「!!!!!!!」
かなえ「奥歯バラバラにしてやるッッ!! このクズがああああッッ!!!!!!」バキバキバキバキンッ!!!
魔女「!!! ・・・!! ・・・! ・・・・・・・・・・・・・・」シュゥゥ.....
フェリシア「はぁ・・・はぁっ・・・」
フェリシア(かなえが魔女を倒した・・・? う、ウソだろ・・・オレのハンマーも効かない魔女だったのに・・・。強い・・・・・)
かなえ「フェリシア!」
フェリシア(ひっ、お、怒られる?! 一人で進むなって言われたのに、オレ、無視して突っ走ってやられたから・・・!)
フェリシア「はぁっ、はぁっ・・・・」
かなえ「フェリシア・・・良かった・・・生きてる・・・」
フェリシア「え・・・」
フェリシア(あ、あれ・・・? 怒られない・・・?)
12 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 21:16:38.80 ID:IgUGHyAB0
かなえ「ひどいケガだ。立てる?」
フェリシア「う・・・ん・・・む、無理・・・立てない・・・・」
かなえ「分かった。あたしが調整屋まで抱きかかえて運ぶ」ダキッ
フェリシア「あっ・・・ご、ごめん・・・」
かなえ「気にしなくていい」
かなえ「・・・・・」テクテク ....血タラッ
フェリシア(・・・・かなえもケガしてる。でも、魔女からの攻撃は受けてなかったはず。あっ、もしかして・・・)
フェリシア「か、かなえ・・・」
かなえ「ん?」
フェリシア「も、もしかして・・・オレのせいでケガした・・・?」
かなえ「別に・・・」
フェリシア「わ、悪ぃ・・・。オレ、魔女を見ると頭に血が上って・・・・」
かなえ「・・・・・・」
フェリシア「やちよからはもっと周りを見るようにって、言われてるんだけど・・・なかなかできなくて・・・」
かなえ「・・・・・・」
フェリシア「ホント・・・ごめん・・・・」
かなえ「・・・・・・」
13 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 21:17:30.94 ID:IgUGHyAB0
かなえ「・・・・あたしも、苦手だ。戦いの中で周りを見るのは」
フェリシア「えっ・・・?」
かなえ「あたしは小さい頃からずっと一人で戦ってきた。だから協力して戦うのは、息詰まる」
フェリシア「そっか・・・。それでいつも一人で魔女狩りしてるんだな・・・」
かなえ「ん。フェリシアは強い。一人で勝てる自信があるのなら、無理に周りに合わせず、フェリシアも一人で戦い続ければいい、と思う、あたしは」
フェリシア「そ、そうかな・・・?」
かなえ「ん。でも、どうしたって一人じゃ勝てない相手はいる。相手の強さを見極めるのは大事。勝てない時だけ、仲間を頼ればいい」
かなえ「フェリシアが勝てない相手は、あたしが倒す。あたしが倒せない相手は、やちよとみふゆが倒す。そういう仲間のあり方も、いいって、思ってる」
フェリシア「う、うん・・・・」
フェリシア「・・・・・」
フェリシア(一人で突っ走るオレのこの性格のせいで、今まで色んなやつから怒られて嫌われてきたけど・・・)
フェリシア(かなえはそんなオレの事を否定しないで認めてくれた。かなえって優しいやつだったんだ)
フェリシア(それにかなえはずっと一人で戦ってきたんだな。かなえってオレと似てる気がする。だから共感してくれたのかな・・・?)
フェリシア(でも、強さだけはかなえの方がずっと上だ。そんなかなえが、いざってときはオレのことを助けてくれるって、思うと安心する)
フェリシア(今も、強いかなえに抱きかかえられていると、すげー安心できるし)
フェリシア「・・・・なあ、かなえ」
かなえ「ん?」
フェリシア「オレ、かなえみたいに強くなりたい・・・」
かなえ「ん・・・・・」
フェリシア「お年玉の使い道、決めたぞ。オレ、調整屋で調整して、強くなる・・・!」
かなえ「ん、いいと思う」
フェリシア「おうっ・・・!」ニコッ
14 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 22:18:01.68 ID:IgUGHyAB0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やちよ「さて」
やちよ「夕食も終わって、みんなの分のお茶を淹れたから、ゆっくりしましょ」
かなえ「ん」
さな「あの、かなえさん。みかん剥きました。食べますか?」ピトッ
みふゆ「ん〜。さなさんがお年玉で揃えてくれたコースター、やっぱりいいですねえ。華やかで」
フェリシア「だなっ! オレたちの仲間感があるよなっ!」
かなえ「・・・・・・・・」
みふゆ「あらあら? かなえさん、なんだかソワソワしていませんか?」
かなえ「えっ?」
やちよ「ほんとにね。何か私たちに言いたいことがあるの?」
かなえ「何も・・・?」
みふゆ「へえ、なるほどなるほど。今度学校でライブがあるんですね?」
かなえ「あ・・・」
やちよ「ギターの腕もようやくそれなりに仕上がってきたので?」
かなえ「うっ・・・」
みふゆ「みんなに見せても恥ずかしくないくらいになったと思うから?」
かなえ「む・・・・」
やちよ「そのライブに私たちを招待してくれると?」
かなえ「やちよ・・・みふゆ・・・・分かってて・・・・・・」
15 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 22:19:50.14 ID:IgUGHyAB0
みふゆ「まあっ! ようやくですかっ。かなえさんのギターを聞けるのをずっと楽しみにしてたんですよ。絶対に行きますねっ」
さな「かなえさんのライブなら私も行きたいですっ!」
フェリシア「おうっ、オレもオレもっ!」
やちよ「それじゃ、私たち全員で行かせてもらうわ。いいわよね? かなえ」
かなえ「あ・・・・ん・・・・・あ、あ・・・・あり、がとう」
やちよ「ふふっ」ニコッ
かなえ「・・・・・・・・///」
---------------
ザワザワ... ガヤガヤ...
フェリシア「おー、結構人いんなー」
やちよ「そうね、思ったより結構しっかりしたライブをやるのね」
さな「学校の体育館なのに、暗いし、人が多くて、ちょっと怖いです・・・」
みふゆ「それだけ本格的なんですよ。この雰囲気でワタシはより楽しみになってきましたよ」
パッ
やちよ「あっ、照明が付いた。始まるみたいよ」
フェリシア「おおっ! かなえがいるぞっ! 一番前の真ん中だっ!」
やちよ「えっ?! ギターだけじゃなくてボーカルもやるのかなえっ?!」
かなえ「・・・・・・・」ジャカジャ〜ン
〜♪ 〜♪
\\わああっ//
\\きゃ〜っ!//
さな「ぴゃっ?! すっごい大きな音・・・・!」
みふゆ「観客が一気に盛り上がりました! すごいですねっ!」
かなえ「・・・・・・・」ジャン ジャン
かなえ「・・・すぅっ」
かなえ「僕は点 〜♪」
かなえ「世界に独り立ち貫くために鋭利で醜く手を染めていく 〜♪」
かなえ「引っ張り上げられた染まった手 自分で洗い流せとぶつけられた言葉が僕を崩していく 〜♪」
16 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 22:21:18.26 ID:IgUGHyAB0
\\うおおっ!//
\\きゃああああっ!//
みふゆ「きゃ〜っ! ステキー! かなえさん抱いてーっ!!」
やちよ「かなえーっ! かっこいいわよーっ!」フリフリ (10倍ダンス
さな「わっ、わあっ///」
フェリシア「すげーーーっ!!」
かなえ「1点、独りで突き刺す 〜♪」
かなえ「2点、ふたりで切り裂く 〜♪」
かなえ「3点、角が取れ初めて 〜♪」
かなえ「4点、身を寄り添い合い繋がって 〜♪」
かなえ「5点、共に駆ける 〜♪」
かなえ「手を繋ぐだけで 円に向かって丸くなって こんなに未来への道のりが優しく感じられるとは思わなかった 〜♪」
かなえ「ありがとう 〜♪」
---------------
かなえ「・・・・・・・」
やちよ「やっほ、かなえ」
かなえ「やちよ」
やちよ「学校の人捕まえてかなえの居場所を聞いちゃった」
かなえ「ん・・・・。みんなは?」
やちよ「もう結構遅くなっちゃったから、みふゆが二葉さんとフェリシアを連れて帰ったわ」
かなえ「そう・・・」
やちよ「ライブ良かったわよ。みんな喜んでいたわ」
かなえ「ん・・・。ありがとう。来てくれて」
やちよ「ふふっ。フェリシアなんかは、ギターがかっこよかったからって、かなえにギター教えてもらうんだー、って言ってたわよ」
かなえ「そ、それは、困る・・・。まだ、人に教えられるほど、上手くない・・・」
やちよ「そんな風には見えなかったけど。でも、そう思うなら、一緒に練習するとかでもいいじゃないかしら」
かなえ「それなら・・・まあ・・・」
17 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 22:27:07.04 ID:IgUGHyAB0
かなえ「・・・・・・・・」
やちよ「ギター。見てたの?」
かなえ「ん。これは、あたしが変わった証だから」
かなえ(1音、1音、指で弾いて音を空気に滑らせていくと、張り詰めていた心の弦は緩んで、気持ち良く音を立てている気がする)
かなえ(静かになった教室で、夕日に照らされながら、風に心地良く髪を撫でられて穏やかになった心が、それを証明している)
かなえ「争いごとばかりで荒んでいたあたしはもういない。だから振り払って見せる。どれだけ過去が追いかけてきても。未来への道は拓けたから」
やちよ「まあっ、詩人ね。作詞の方もうまくなっちゃって。そうそう、さっきのライブなんだけど、あれって要は私たちへのラブコールでしょ? それをギターに語らせてくれちゃって、私ドキドキしちゃった」
かなえ「バカッ、そんなんじゃ・・・。でも、ありがとう」
やちよ「あら? 私、別に何もしてないわよ。かなえが自分で自分の道を見つけた結果でしょ」
かなえ「ん・・・。ありがとう」
やちよ「ふふっ」
やちよ「私はそろそろ帰るけど、かなえはまだここにいる?」
かなえ「いやっ、あたしも帰る」
やちよ「そう。それじゃ一緒に帰りましょう。みかづき荘に」
かなえ「ん」
18 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 23:02:43.95 ID:IgUGHyAB0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
かなえ「んんっ・・・・・」タッタッタッ
かなえ(練習が延びて学校出るの遅くなった。今日はフェリシアと一緒にギターを勉強しようと思ってたのに)
かなえ(早く帰らないと)
かなえ(・・・・あっ、そういえば、水名女学院の箏曲部の人から、ピックを忘れているって、連絡があったっけ。ちょっと水名に寄って取りに行こう)
かなえ「・・・・・」タッタッタッ
かなえ「・・・・んっ?」
かなえ(なんか落ちてる。なんだこれ?)ヒョイ
かなえ(下着・・・?)
< ようやく見つけました! 下着泥棒!
かなえ「んっ・・・?」クルッ
明日香「ややっ?! なんという悪辣な人相! そしてなによりその手に持っている下着! 間違いありません! あなたが水名女学院で女生徒の下着の窃盗を働いた下着泥棒ですねっ!」
かなえ「はっ・・・? 何言ってるんだアンタ・・・」
明日香「問答無用! そこに直れーっ!」ズバッ
かなえ「なっ?!」サッ
かなえ(疾い! 素人じゃない・・・!)
明日香「むむっ! 今の一刀に反応しましたか! さては腕に覚えがあるとみました! ならば手加減はしませんっ!」
かなえ「やめろっ・・・! 話を聞け・・・!」
明日香「狼藉者に貸す耳などありません! さぁ、神妙にお縄に付きなさい!」
かなえ(まずい・・・! こいつは丸腰じゃやり過ごせない・・・! 仕方ない、変身するっ・・・!)パァァ
明日香「なんと?! 魔法少女でしたか! 魔法少女の奇跡の力を悪事に使うとは不届き千万! 私が正義の鉄槌を下します!」パァァ
かなえ(こいつも魔法少女?!)
19 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 23:34:35.55 ID:IgUGHyAB0
莉愛「こっちの方から大きな音がしたけど・・・。竜城さ〜ん? 何かあったの〜?」
明日香「あっ、莉愛先輩! ついに追い詰めました! 下着泥棒です!」
莉愛「へびあっ?! そこのあなた! あなたが手に持っているのは私のパンツじゃないっ!」
かなえ「なっ・・・?! ま、待てっ、これは落ちているのを拾っただけで―――」
沙優希「はわわっ・・・あなたが下着泥棒さんですかぁ〜???」
かなえ「違うっ!」
麻友「下着泥棒さん! 莉愛ちゃんのパンツを早く私に返してください! 私にっ!」
かなえ「知るかこんなものっ!」ポイッ
莉愛「きゃーっ?! 私のパンツをまるでバナナの皮を捨てるみたいに投げないでっ!」
明日香「気を付けてください皆さん! この泥棒はかなり腕が立ちます! 取り押さえるのは一筋縄ではいきませんっ!」
莉愛「分かったわ・・・! この女の敵ッッ! 容赦しないわっ! 麻友さん! 史乃さん! 行くわよっ!」パァァ
麻友「はいっ!」パァァ
沙優希「お覚悟ぉ〜! ですーっ!」パァァ
かなえ(魔法少女が4人・・・?! 全員あたしに襲い掛かってくるのか・・・?)
かなえ(手加減できないな・・・。少し、心配・・・。あたし、ケンカばっかりで戦い方が荒いから・・・)
明日香「私は竜真流薙刀術師範代! 竜城明日香! いざ真剣勝負です!」
明日香「竜真流奥義・・・・土竜!!」ブワッ
かなえ「なっ?! クソッ!」
かなえ(真剣勝負と言っておきながら四対一! しかもいきなり土埃を巻き上げて目つぶしか?! 姑息な・・・!!)
かなえ(どうする・・・? この土埃に紛れて一旦退くか・・・? いや、ダメだ、あの薙刀使いの目は欺けないっ、すぐに追い付かれる・・・・!)
明日香「莉愛先輩っ! 今ですっ!」
莉愛「ええっ! お逝きなさいっ! ベラッ! スピーーーーナッ!!」バシュゥン
かなえ「ぐっ・・・?!」 ....チッ
かなえ(飛び道具か・・・! 今のは掠った程度だけど、連発されたらまずい・・・!)
莉愛「今の当たりましたか?!」
明日香「分かりません! とにかく撃ちまくってください!」
莉愛「分かったわ! ベラッ―――」
かなえ(戦い方が荒いからって、相手の心配をしている場合じゃない・・・! 正面から突撃する・・・!)ダッ
明日香「わっ?!」
かなえ「もらった!」グワッ...
麻友「攻撃しないでくださーいっ!!」
かなえ「・・・うっ?!」ピタッ
かなえ(なんだっ?! 魔法かっ?! 抵抗できない・・・!)
20 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 23:41:04.28 ID:IgUGHyAB0
明日香「そこまでですっ不届き者! 我が流派の真髄、お見せしますっ!」ヒュンヒュン
かなえ(ダメだっ、防げないっ―――)
明日香「ツァァアアッッ!!」ドシュゥゥ!
ガキンッ!!
明日香「んくっ??!! 薙刀が何かに弾かれたっ?!」
< そりゃぁぁぁぁぁ!
ドガンッ!!
明日香「のわぁぁぁぁぁ!?!?」(吹っ飛ばされ
莉愛「竜城さんっ?!」
明日香「な、なんですかっ?! 急に何か大きいものに叩かれたような・・・!」
明日香「ああっっ!! あなた方は・・・!」
さな「大丈夫ですかかなえさんっ!」
かなえ「さ、さな・・・? フェリシアも・・・。どうしてここに?」
フェリシア「今日はギター教えてくれるって約束したのになかなか帰ってこないから、探しに来たんだよっ!」
明日香「これはどういうことですかっ! フェリシアさん! それにさなさんまでっ!」
フェリシア「オマエらこそかなえになにしてんだーっ! ガルルルルルッ!!!」
明日香「さなさんなら知っているはずです! 水名女学院で下着の窃盗があったことを! その犯人がその人です!」
さな「かなえさんがそんなことするはずがありません!! 何かの間違いですっ!!!」
明日香「うっ・・。普段おとなしいさなさんがあんなに声を荒げるなんて・・・」
明日香「ですが、関係ありません! 証拠は挙がっているのですから! それより何故その人をかばったのですかっ! その人はさなさんとフェリシアさんのなんなのですかっ!」
フェリシア「かなえはオレたちの仲間だ!」
明日香「なるほど、そういうことですか・・・。以前より多方から素行の悪さを聞いてはいましたが・・・。やはり悪は悪を引き寄せてしまうものなのですね・・・」
明日香「ならば致し方ありません! あなた方全員をこの場で成敗させていただきます! もう無事に帰れると思わないでください!!」シャキン
21 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 23:46:41.21 ID:IgUGHyAB0
かなえ「っ・・・・・」
かなえ(まただ・・・)
かなえ(またあたしを取り囲む世界が腕を掴んで離さない・・・)
かなえ(また・・・奪う・・・あたしの友達を・・・)
かなえ(みかづき荘の暖かさに触れて・・・音楽に出会って・・・変われたと思ったのに・・・! やっぱり悪意はあたしを逃がさない・・・!)
かなえ(忘れた頃に追い付いてくる・・・。そしてどこまでも追いかけてくる・・・!)
かなえ「・・・・クソッ・・・クソッ!」
かなえ「待てっ! やめろ! やめてくれっ! こいつらはあたしの仲間じゃない!」
フェリシア「かなえっ?!」
かなえ「こいつらは関係ない! 巻き込むな! 戦いたいのならあたしだけにしろっ!!」
さな「何言っているんですかかなえさん! 私たちは仲間―――」
かなえ「違うっ!」
さな「ぴゃっ?!」ビクッ
かなえ「・・・・あたしは昔からこうなんだ。美化委員の後輩・・・バンドメンバー・・・。あたしに良くしてくれ人はみんな、あたしのせいでひどい目に遭う・・・」
かなえ「そんなのはもう嫌なんだ! さな! フェリシア! あたしに構わないでどっかに行ってくれ! そしてもうあたしには近づくな―――」
フェリシア「うるせーーーッッ!!!!!!! かなえはオレの仲間だァァアアッ!!!!!!!!!!!!!!」
かなえ「なっ?!」
フェリシア「何回でも何百回でもっ、大声で言ってやる! かなえはオレの仲間だああああああああ!!!!」
かなえ「や・・・やめろ・・・っ!」
さな「やめません! ひどい目に遭うって言うのなら何回でも遭ってみせますっ! かなえさんの側に居られないことの方がひどい事です!」
かなえ「さ、さな・・・・」
フェリシア「そうだぞ! 早くこんなヤツらぶっ潰してオレにギター教えてくれよっ!」
かなえ「フェリシア・・・・」
明日香「もうっ! ごちゃごちゃと喧しいです! あなた方は仲間なんですか違うんですかっ!? 私に裁かれたい人だけ前に出てください!」
フェリシア「かなえ! 三人で戦うぞっ!」
かなえ「そ、それは・・・。あたし、戦いでは誰かと動きを合わせるのは苦手だから・・・連携は・・・・・」
フェリシア「そんなのに気にしないで思いっきりやれ! オレだって強くなってるんだぞ! ちょっとぐらいかなえに叩かれても大丈夫だ! それにかなえも強いからオレのハンマーくらい大丈夫だろっ!」
さな「私も! 頑丈さだけには自信がありますので大丈夫ですっ! 背中は任せてください!」
かなえ「二人とも・・・!」
かなえ(そうだっ・・・あたしはもう決めたんだ。どれだけ過去が追いかけてきても振り払って見せるって・・・!)
かなえ「ああっ、分かった・・・! フェリシア、さな! 頼むっ!」グッ...
かなえ(背中を任せる安心感・・・。心が落ち着く・・・。初めてだこんなの・・・。今までで一番力が出せそうだ・・・!)
22 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 23:51:12.42 ID:IgUGHyAB0
明日香「あっ、うっ・・・」
明日香(な、なんですか・・・。三人からいきなりとてつもない覇気が現れました・・・・。啖呵を切った手前恥ずかしいですが・・・こ、これは・・・ちょっと・・・負けそう・・・・)タジッ...
莉愛「た、竜城さん・・・? 私たち、本当にこの三人を相手にするの・・・?」
沙優希「はわわっ・・・」
麻友「ほわわっ・・・」
月夜「あっ、いたいた。竜城さ〜ん」
かなえ(新手かっ?! ・・・・あっ、いや、あの子は確か)
明日香「月夜先輩! ちょうど良いところに来ていただけました! どうか私たちの―――」
月夜「下着泥棒が無事捕まったので伝えに来たでございます」
明日香「―――加勢をしてくだs・・・・・・はいっ?」
月夜「学院からこっちの方向に逃げてきた泥棒が、この先で待ち伏せていた警察に御用になりましたでございます。持っていたバックに女生徒の下着がたくさん入っていたので間違いないでしょう」
月夜「あっ、そこに落ちている下着も、泥棒が逃げるときに落とした物でございますねきっと」
麻友「そうなんですかあ。それじゃ、この下着は私が預かっておきますね」ヒョイ
月夜「あらっ、雪野さんではありませんか。この前はどうも。あっ、これ、忘れ物のピックでございます」
かなえ「あっ、ん、ありがとう」
明日香「月夜先輩? その人と知り合いなんですか?」
月夜「はい。今度、箏曲部とこちらの雪野さんのバンドとで合同ライブをするのでございます。この前はその練習を学院で一緒にしました」
月夜「和洋折衷が生み出す新しい音はとても新鮮でした。合同ライブ楽しみでございますね、雪野さん」
かなえ「ん」
明日香「えっ・・・。と、ということは・・・こちらの方は下着泥棒ではない・・・?」
月夜「何を言ってるでございますかっ! 雪野さんはとても親切な方でございます。下着泥棒扱いなんてしたら私が許さないでございますっ!」
明日香「はっ、はい、すみませんでございますっ!」
かなえ「・・・・・・」
明日香「あっ・・・うっ・・・その・・・・・」
かなえ「・・・・・・」
明日香「も、申し訳ございません〜〜!! 私の早合点で雪野さんにはご迷惑を!」
かなえ「この落とし前、どうつけてくれるの?」
明日香「腹を切って! 自害します〜っ!」
かなえ「ん、手伝う・・・」
明日香「はっ、あっ、な・・・」
沙優希「不肖この史乃沙優希めが介錯仕りますぅ〜」
明日香「ううっ・・・ううっ・・・・!!」
さな「あ、あの、かなえさん・・・。竜城さんって・・・押しが強くて、ちょっと怖い人だけど・・・。悪い人じゃぁないので・・・・」
かなえ「ん。さながそういうなら、今回は見逃す」
明日香「さなさん! 命の恩人・・・!」
23 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/13(木) 23:55:50.07 ID:IgUGHyAB0
---------------
みかづき荘
みふゆ「今度かなえさんと合同ライブをする箏曲部に、ワタシの後輩の子がいるんですけど、その子、水名の家の生まれで大変みたいなんですよ。特にお婆さんがとても厳しいらしくて、あれもやりなさい、これもやりなさいで、休む暇もないとか」
やちよ「そういうみふゆも水名の家で何かと大変じゃない? なにより薬学部は勉強が大変そう。だから家の事は私が全部やるから、みふゆは勉強に集中してね」
みふゆ「うふふっ、ワタシは幸せ者ですねっ。こんなにできるお嫁さんを持てたんですからっ♪」
やちよ「その水名のお婆さんみたいに、あれもやりなさい、これもやりなさいなんて、私は言わないわよ。私は私のおばあちゃんみたいに優しい人になれるようがんばるわ」
フェリシア「たっだいまぁ!」
さな「ただいまです」
かなえ「ただいま」
やちよ「おかえり、三人とも・・・・って、きゃああ?! あなたたちなんでそんなに汚れてるのよっ!!」
フェリシア「あ〜? あー、さっき明日香が撒いた土被ったからな〜。それより喉乾いた。なんか飲もー」ズカズカ
やちよ「待って待って待ちなさい! あちこち歩かないで家が汚れるから! まずはお風呂行きなさいお風呂!!」
フェリシア「んだよ〜メンドくせー。ま、いいか。かなえ、さな、風呂入ろ〜」
かなえ「ん」
さな「はいっ」
みふゆ「ん〜? かなえさん、何かいいことありました?」
かなえ「え、な、なんで」
みふゆ「とっても嬉しそうな顔をしていたから」
かなえ「そ、そう・・・? まあ・・・」
みふゆ「ふふっ、三人とも泥だらけになるまで遊んで帰ってくるなんて、もうすっかり仲良しさんですねっ」
かなえ「ん・・・そう、かも・・・・・」
かなえ「・・・・・・・///」テレッ
やちよ「みふゆっ! なにぼさっとしてるのよっ! 早く三人が歩いて汚した床を拭いてっ! それが終わったら服の泥も落としてあげてっ!」
みふゆ「ええっ?! さっき家の事はしなくていいって言ったのにっ! ひどいっ! 優しくないっ! いじわるやっちゃん!」
24 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/14(金) 00:00:26.31 ID:zlrxVPJL0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やちよ「さて」
やちよ「今日は2月14日ね」
かなえ「ん・・・・・」
みふゆ「どうしたんですかやっちゃん? 思わせぶりに今日の日付を言うなんて。今日はなんかの日でしたっけ?」
やちよ「そう。何かの日なのよ。えーっと確か・・・。煮干しの日だったかしら?」
みふゆ「なーに言ってるんですかやっちゃん。ふんどしの日ですよ」
やちよ「あら? そうだったかしら。でもなんか違う気がするのよ」
みふゆ「そーですねー。なーんか違う気がしますねー。かなえさんは何か知りませんか?」
かなえ「・・・・・・・・・・・・・・・」
かなえ「・・・・ヴァ・・・バレンタインデー」ボソッ
みふゆ「あーっ! そーでしたー! 今日はバレンタインデー!」
やちよ「女性が想い人にチョコレートを贈る日の事ね・・・!」
さな(バレンタインデー・・・。あまりいい思い出がない・・・。前の家に居たことを思い出しちゃうから嫌な日だなあ・・・)
フェリシア(バレンタインデー・・・。一応・・・やちよたちには感謝してるから、チョコくらい贈りたかったけど・・・。でも、チョコの作り方とかわかんねーし・・・。売っているのをそのまま渡すのもなんかなあ・・・・)
みふゆ「はー。誰かワタシの事を好きな人がいませんかねー」チラッチラッ
やちよ「そうねえ。私今すっごくチョコが食べたい気分なのよねー。どこかにいないかしらー、私のことが好きでチョコをあげたい人〜」チラッチラッ
かなえ「・・・・・・・・・・・・・・・」
25 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/14(金) 00:07:07.77 ID:zlrxVPJL0
かなえ「あ・・・・あっ、あたし、が、チョコ・・・あ、あ、あげる。・・・みんなに」ボソボソ
やちよ「まあっ、本当にっ! うれしいわ〜かなえーっ」ニッコニコ
みふゆ「かなえさんっ、だ〜いすきっ!」ダキッ
かなえ「ん・・・・・・」
かなえ「これ、やちよに」
やちよ「ふふっ、ありがとう。頂くわね」
かなえ「こっちはフェリシアに」
フェリシア「えっ?! マジで?! くれんの?! よっしゃー!」
かなえ「さなにも」
さな「えっ?! 私もですか・・・?! わあっ、ありがとうございますっっ!!」
かなえ「い、一応・・・。手作りした・・・。初めてやったから・・・形も変だし、味も変だと、思う・・・。無理して食べないで、いらなかったら捨てて・・・」
さな「ふふ、猫さんの形のチョコだあ。ふふ、ふふ、バレンタインデーってこんなに楽しい日だったなんて知らなかったあ、ふふふふ」ニコニコ
フェリシア「もぐもぐ、うおーっ、うめーっ! もぐもぐ、んっ? かなえなんか言ったか?」モグモグ
かなえ「・・・・な、なんでもない」
みふゆ「うふふっ。みんな幸せそうですねえ。ささ、かなえさんワタシにもチョコくーださいなっ」
かなえ「みふゆのは・・・ない・・・」
みふゆ「ええっ?! なんでですかあ?!」
かなえ「あたしがチョコを作っている横で・・・散々つまみ食いしていたから・・・」
みふゆ「つまみ食いじゃなくて、味見ですよ! あ・じ・み!」
やちよ「みふゆは最近、生活だけじゃなくてお腹もだらしなくなってるんだから少しは我慢なさい」
みふゆ「そんなっ!? ひどいですよーっ! 勉強には糖分が必要なんですから、ワタシにもチョコください〜っ!」
やちよ「それにしても、かなえって本当に丸くなったわよねえ」
かなえ「え、そう・・・?」
みふゆ「ああ、はい、それは思いますねえ。こうやってワタシが後ろからいきなり抱き着いても平然としていますし。ちょっと前なら、『だまし討ちをされた事がある』って理由で、後ろに立っただけで過敏に反応していたのに」
かなえ「それは・・・ん・・・・。最近は・・・気が付いたらさなが側に居ることが多くて・・・。急に大声出すと驚かせちゃうから・・・」
やちよ「ふふっ、それだけ私たちに馴染んでくれたってことよね。かなえは私たちにとって掛け替えのない仲間だわ。これはお返しのホワイトデーはしっかりしたものにしないとね」
さな「あっ、はい、そうですね。特にやちよさんとみふゆさんは大変そうですよね」
やちよ「大変って?」
さな「かなえさんはお二人のためになら命を燃やす程の覚悟がある方なので、そんな方に感謝の気持ちを伝えるお返しは―――」
かなえ「さっ、さな・・・! それは・・・」アセアセッ
さな「あっ・・・! ご、ごめんなさい・・・! これって秘密でしたよね・・・! あ、あのっ・・・! ウソです! 今のはウソです! あっ、で、でも、かなえさんのお二人に対しての情熱的な想いはウソじゃなくて、本当で、あっ、いや、ウソなんですけど本当で・・・えと、あのあのあの・・・!」シドロモドロ
みふゆ「かなえさん・・・! この前のライブもそうですけど、かなえさんって本当にワタシたちの事が好きなんですね・・・!」
やちよ「あらやだ。私、顔が熱くなってきちゃった。チョコにお酒でも入っていたのかしら」
かなえ「ああもう・・・!」
かなえ「・・・・・・・・・・//////」カァッ
かなえ「でも、本当に・・・・。ありがとう。さなも、フェリシアも」
かなえ「そして、やちよとみふゆ・・・」
かなえ「ありがとう・・・あたしを未来に連れてきてくれて・・・・!」
26 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/14(金) 00:10:43.13 ID:zlrxVPJL0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
桜子「 |―――以上が、知古辣屋零号店のウワサが仕入れた雪野かなえの可能性| 」
桜子「 |雪野かなえのバレンタインデーとそれに至るまでの日々に、起きたかもしれない色んな出来事の可能性| 」
やちよ「かなえ・・・」
みふゆ「かなえさん・・・貴女は本当に・・・・」
ねむ「よくやったね桜子。桜子のおかげで僕の魔力をほとんど使わないでウワサの力を引き出せたよ。偉いね」
桜子「 |うん、頑張った。もっと褒めて| 」
ねむ「さて、これで知りたい事は知れたかな? みふゆ、やちよお姉さん」
やちよ「ええ、十分すぎるほどよ。ありがとう、柊さん、桜子さん」
桜子「 |ひとつ疑問。やちよとみふゆは結局何が知りたかったの?| 」
やちよ「そうね・・・。一言で言うと、かなえの本音、かしら・・・」
桜子「 |本音?| 」
やちよ「かなえとメルが亡くなって、私はずっと罪悪感で圧し潰されそうだった。私の願いのせいで二人を死へ導いてしまったと思っていたから」
やちよ「だけれど、いろはと出会って、ずっと見ることができなかったかなえとメルの遺品を見たら、二人から『未来に進んで』と言われた気がして、私は再び前に進むことができた」
やちよ「でもね・・・。ある時ふと思ってしまったのよ・・・。『未来に進んで』と言われた気がしたのは、私の罪悪感を払しょくするための妄想で、かなえやメルの想いを都合のいいように解釈していたんじゃないかって・・・。二人は本当は私のことを恨んでいたんじゃないかって・・・」
みふゆ「そんなことは絶対にありません。かなえさんは、ワタシたちのために『命を燃やす程の覚悟がある』と言っていました。それは嘘偽りのないかなえさんの本音です。そうですよね、ねむ?」
ねむ「今視た可能性は、あったかもしれない可能性を示している」
ねむ「生前の雪野かなえが『命を燃やししてでも恩返しをしたい』という気持ちを抱いていなければ、それを発言する可能性は生まれない」
ねむ「従ってあれは、紛れもなく生前の雪野かなえの本音で相違ないよ」
みふゆ「かなえさんは自分で進むべき道を選んだんです。それがやっちゃんを守るという事だったんです。それを果たしたかなえさんは、やっちゃんのことを恨んでなんかいません。むしろ誇りながら旅立ったんです」
みふゆ「だから・・・もういいんですよ、やっちゃん。かなえさんの事で自分を責めないでください、これからもずっと」
みふゆ「そして、かなえさんに守ってもらったその命を大事にして、未来に進んでください。かなえさんはそれを望んでいます」
やちよ「そうね、分かったわ・・・。それを知ることができて良かった・・・本当に・・・。これで私はもっと進めるわ。未来へ・・・」
やちよ「ありがとう・・・かなえ・・・ありがとう・・・」ウルッ...
ねむ「同じような結果になると思うけど、続けて安名メルの可能性も視ていく?」
やちよ「ええ、お願いするわ」
おわり
27 :
◆LXjZXGUZxjdx
[sage saga]:2020/02/14(金) 00:12:18.80 ID:zlrxVPJL0
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