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【安価】で異世界なろう転生
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/21(火) 16:11:10.86 ID:0kqM2NC8O
俺の名は男。
至って普通のアニメやゲームといったサブカル大好きボーイの高校2年生。
クラスカーストで言えば底辺に位置するが、それなりに楽しく過ごしている。
日頃から主人公という物に憧れていた俺は、赤信号の横断歩道へボールを取りに出た少年を、大型トラックに轢かれそうになった少年を、飛び出して救ってしまった。
身体中に言葉に出来ない程の痛みを感じた瞬間、その痛みは消えた。
何故かは分からない。視界は真っ暗、意識はある。
目を開きたいが開けない。いや、開いているかもしれない。
一体俺はどうなってしまったのか、もしかして死んでいるのだろうか。
男「……?」
闇の中、丁度顔の前にホログラムの様な長方形の画面が映し出される。
日本語で何か書いてあるが、何だろうこれは。
だが、見覚えはある。
例えるならそう、ゲームでいうステータス画面だ。
男「なになに…」
男のステータス
安価下
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1579590670
2 :
こんな感じ?
[sage]:2020/01/21(火) 16:18:40.44 ID:6O63GEHh0
生命 0/45
精神 42/50
体力 11
技術 11
感性 18
知力 17
幽体
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/21(火) 16:35:30.10 ID:wFeK3sUFO
生命 0/45
精神 42/50
体力 11
技術 11
感性 18
知力 17
幽体
男「なるほど」
一瞬生命力が0で何事かと思いきや、今の俺は幽体。
死んだって事か。
まぁそうだよな、あんな大型トラックに轢かれりゃそうだ。
新しいゲームや今期のアニメに触れられないのは残念だが、俺はそこまで悲観しない。
残された家族や友人が悲しむだろうが、俺はあの少年を救った。
誇らしいし、カッコよく死ねた……とは建前で、この今俺に起きてる現象。
まさかとは思うが、俺の知識が合っているならば、これは。
男「異世界への転生…」
なによりこのステータス画面がその証拠。
異世界転生物の序盤はこういったステータス画面を見る作品が多いからな。
見た感じ平凡。いやそれ以下かもしれないステータスだがきっと……ほらあれだ、スキルとかもあるだろうし。
どっかに書いてないかな。
男のスキル
安価下
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/21(火) 16:38:45.46 ID:HpUQ7Xbx0
実体化(異世界では幽霊のため)
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/21(火) 17:54:51.67 ID:mOcxCN8qO
男「……実体化」
え?それだけ?
ますます異世界転生する流れには間違い無さそうだけど、これで異世界を生き抜くの?
ステータス9999とか超絶怒涛の魔法とか……そういうの無いの?
てか実体化自体も使い方わかんないし、どうしたら良いんだ。
?「聞こえますか?男さん」
男「は、はい?え?誰ですか?」
?「聞こえているのですね。して…貴方にはこれから、とある世界を救って頂きます」
男「(やっぱりだ)」
?「あまり、驚かないのですね。では、すぐにお送りします」
男「あ!ちょっと待った!異世界を救うのは良いんですけど、ひとつ相談が!」
?「何でしょう?」
男「えっと、俺のステータスが貧弱過ぎるんですけど……何か女神的な力とか加護とか……貰えたりしないですかね?」
?「……なるほど」
男に授ける物、スキル等
安価下
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/21(火) 18:07:27.13 ID:kcwvr11C0
攻略本(ただしラスボスの正体など大事な所はぼかされている)
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/21(火) 21:13:46.57 ID:Frmq3dmIO
幽霊なら霊丸撃てるようになれ
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/21(火) 21:28:56.59 ID:TrARNAc5O
?「ひとつ…とある本を授けます。必ず貴方の役に立ちますので、有効にお使い下さい」
男「本?魔導書?あ、やっぱ魔法ならこの精神力ってのを使うんですか?」
?「ご武運を」
ちょっと待ってと手を伸ばすと、自分の手が見えた。
いつの間にか俺は知らない場所に転送…いや、転生されていた。
見た感じ教会らしき所の空中に俺は居る。
下を見れば多からず少なからずの人達が祈りを捧げていた。
男「(いきなりだな、ほんとに)」
俺の真下にはいかにもな魔法陣が敷かれており、これは察するに召喚の義だろう。
つまりここでスキルを使えば俺が英雄、または勇者として爆誕するという展開だ。
そうとなれば話は早い、早速使おうじゃないか。
男「……どうやって使うんだ?」
ただの一般人だった俺にスキルの使い方なんか分かるはずもない。
謎の声の主め…そういうとこだぞ。
男「あ、そうだ」
そういえば本を貰った筈だ。俺の役に立つと言うなら、そこに何か書かれていてもおかしくはない。
先程から俺の隣でフワフワと分厚い本が浮いているが、恐らくこれが貰ったという魔導書だ。
男「どれどれ……【攻略本】……え?」
何だこれは?攻略本?とてもじゃないが魔導書には見えないぞ。
最初のページを開くと目次が大量に書かれている。
異世界の歩き方、スキルの使い方、魔物図鑑etc.....数えたらキリがない。
物凄く文句を言いたいが、あまり時間もかけてられないな。
スキルの使い方のページを開き、しっかりと読み込む。
男「よし……」
精神力という曖昧な概念を意識して声に出せば発動するみたいだ。
男「実体化」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/21(火) 21:43:41.65 ID:TrARNAc5O
魔法陣を見ながら呟いたら、急に地面が近くなった。
そしてこの、地に立っている感覚、身体が在るという実感、どうやら成功したみたいだ。
視線を前に向けると、皆跪いていた。
神父「ようこそ、勇者様。貴方様の降臨を、我々は待ち望んでおりました」
男「…………」
ここは俺の事を誰一人として知らない世界。
普段の俺を誰も知らないのだ。
つまり、最初が肝心。
どういった態度で今後やっていこうか。
1 いつも通り
2 謙虚に
3 偉そうに
4 自由安価
安価下
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/21(火) 21:44:34.88 ID:+vUCcHowo
2
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/21(火) 22:22:46.38 ID:zrAYageu0
幽体ということは物理攻撃とか壁とかすり抜けられるならなかなか便利なのでは
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/22(水) 01:26:53.56 ID:tHbViWRO0
攻略本とかどう考えてもチート能力なんだけど、それでも転スラと比べると完全下位互換というね。なろう小説は魔境やでほんま。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/22(水) 14:44:30.60 ID:WPSzylAGO
ここは謙虚にいこう。勇者って言っても特別な力や超人的な能力がある訳でもないしな。
それにこの攻略本…どの程度役に立つかは分からないが、何も無いよりはマシだな。
男「あ、どうも…」
「「オォォォーーッ!!」」
突然の歓声に吃驚してしまう。この世界での勇者ってのはこんなにも期待されているのか。
神父「お許し下さい勇者様。我々は貴方様の顕現を待ち望んでおりました故…騒がしくて申し訳ありません」
男「あ、頭を上げて下さい。俺は大丈夫ですよ」
俺に期待を寄せられれば寄せられるだけ、自分の能力の低さに引け目を感じてしまう。
持ち上げられる事に縁が無かった俺には非常に気まずい。
神父「ありがとうございます。早々で申し訳無いのですが、この私めにご同行願えますでしょうか?」
男「はい、いいですよ」
一刻も早くこの場から離れたい。視線が刺さるという表現をここまで実感するのは初めてだ。
━━━━━
俺が神父に案内されたのは、城の玉座の間。
城なんて写真でしか見た事ないが、生は迫力が違う。
案内された部屋の玉座に腰掛けるのは、見るからに王様と分かる風貌のビゲモジャのおじさん。
神父「勇者様。この方が我が国、光の都の王で御座います。では、私はこれで…失礼致します」
男「はい、ありがとうございます」
神父は俺と王様に一礼すると、玉座の間を後にする。
とはいえ勝手が分からないので、とりあえず王様に向かって跪いて頭を垂らす。
王様「よい。堅苦しいのは無しだ、勇者よ。頭を上げよ」
男「はい」
王様「うむ。改めて歓迎するぞ、勇者。貴殿が何故此処へ召喚されたのか…そこから話そう」
男「あ、自分が転s……召喚されたのは、この世界を救う為です王様」
王様「神父から聞いたのか?その通りだ」
話長そうだし、分かってる事はちゃちゃっと答えてしまおう。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/22(水) 15:14:44.16 ID:WPSzylAGO
王様「ならば話は早い。魔王の復活により、この世界再び危機へと陥っておる。勇者よ、魔王討伐…頼まれてくれるか」
男「勿論です、その為に来ましたから」
王様「うむ。それと…だ。貴殿かからすれば見知らぬ世界、一人では何かと不安もあるだろう。2人程旅のお供として同行させよう」
男「ありがとうございます」
酒場で仲間を集めるみたいな感じかと思ったけど、手間が省けたな。
2人か、どんなやつが来るんだろう。
王様「うむ。呼んで参れ」
護衛兵「はっ!」
王様は玉座の脇に居た兵士に指示を出し、兵士は扉へと駆けていく。
それから2分くらい経って先程の兵士が帰ってきた。
兵士「連れて参りました!どうぞ、お入り下さい!」
男「お…」
同行させる2人
【種族】
【職業】
【性別】
【強さ】
安価下
安価下2
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/22(水) 15:28:36.72 ID:zgxZy0zzo
【種族】人間
【職業】侍
【性別】男
【強さ】集団の賊を一人で撃退出来る
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/22(水) 15:57:53.78 ID:vdPP8n7Ao
【種族】人間
【職業】シスター
【性別】女
【強さ】祈りを捧げて魔物の魂を浄化する程度(直接戦闘できる能力はない)
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/22(水) 21:25:05.54 ID:tHbViWRO0
この二人に関することも攻略本に赤裸々に書いてるんやろうなぁ
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/23(木) 13:34:39.83 ID:FHhmQRdJO
中に入ってきたのは着崩した和服に刀を腰に差している男。
もう1人は修道女の様な服に、少し大きめの十字架を手に持った女。
2人は入るなり俺を一瞥すると、その場で片膝をつく。
王様「紹介しよう。刀使いの冒険者、侍と光教会司祭の娘、シスター。この2人を同行させよう」
男「あ、ありがとうございます」
王様「うむ。して、今後についての話になるが───
━━━━━
王様から仲間を2人あてがって貰った後、俺は城の一室で休憩している。
あの後王様から聞いた話では、魔王に対抗する為に四大精霊と契約を行わなければならないらしい。
四大精霊は各都に居る姫と契約していて、その契約をこちらへ更新するという話だ。
勇者の俺にはその適正があるらしいが、ステータスを見た感じそんなものは無いと思ったが…。
まぁ適正があると、この世界の住人が言うのならそうなんだろう。
他には軍資金を貰ったが、贅沢をしなければ3人で半年は持つ金額だそうだ。
ゲームなら装備買ったら無くなる程度の軍資金を貰うのが定番だが、やはりこれはゲームとは違うね。
出発は明日からとなっている為、今日は自由行動が可能だ。
何をする?
1 観光
2 攻略本を読む
3 待機している仲間の部屋に行く
4 自由安価
安価下
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/23(木) 14:58:14.42 ID:aoXGnUNTO
4 壁に埋まったまま実体化したらどうなるか実験
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/23(木) 16:34:30.99 ID:d5FZ6G6Q0
えぇ・・・
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/23(木) 17:12:22.95 ID:FHhmQRdJO
もう一度ステータスでも確認しておくか。
ええと、ステータスの出し方は…
攻略本を開き、該当するページへと飛ぶ。
開いてみると出し方ではなく、そこにステータスが書かれているではないか。
ただ分厚い本の為、その都度探すのは面倒だな。
俺はステータスのページに折り目を付けて、今後開きやすいように細工をする。
栞があれば良いんだが、まぁこれでも十分だ。
見た所ステータスもこれと言って変化は……
男「ん?」
いや、変化はしている。
俺の状態を示していた項目が幽体から実体になっているのと、精神力が大分減っている。
俺が実体化してからは数時間は経過している筈だ。
これがバフ系ならば一定時間で幽体に戻ってもおかしくない。
もしかして切り替え型なのか?つまりは反対の幽体化が必要なのではないか。
俺は目次へと戻り、スキルのページへと飛ぶ。
俺の勘が当たっているならば幽体化がある筈だ。
探している最中、俺はこの攻略本の凄さに驚かされる。
共通する魔法の他、個人が所有するスキル、固有スキルまでもが網羅されているのだ。
正直ここを見ているだけでも厨二心が刺激されて堪らないのだが、これは後後の楽しみにしておこう。
男「…あ。あるじゃん」
見つけた、幽体化。
このスキルは高位魔術のひとつで、本来ならば実体化と並行して覚える魔法らしい。
俺は特殊なせいなのか、実体化しか持ち合わせていない。
この世界にレベルを上げてスキルを覚えるという概念があるかは分からないが、この先覚えられなければ幽体には戻れないみたいだな。
まぁいつでも幽体実体切り替えられたら普通に考えて強いよな。
いや、転生なんだからそれくらいしてくれても良いのになーとは思うが言っても仕方の無い事。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/23(木) 17:54:55.54 ID:dX07zI3Bo
ってことは攻略本持ってるだけの雑魚じゃねえかこいつ
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/23(木) 17:57:42.53 ID:FHhmQRdJO
コンコン
お?誰か来たようだ。
ベットから腰を上げ、扉を開ける。
男「あ、君は…」
「やっほー勇者様、さっきぶりだね」
扉を開けた先には、シスターという修道女が立っていた。
修道女という職は、温厚でお淑やかなイメージを持っていたんだが、この子はどうやら当てはまりそうに無い。
シスター「入っていい?」
男「あ、うん。どうぞ」
シスターを部屋へと入れて扉を閉める。
何しに来たんだろうか。
男女が密室で2人きり、何も起きない筈もなく。
シスター「…あのね」
男「え?なに?」
シスター「実は…最初見た時から、気になってたんだよね」
男「え?えっ!?」
おいおいマジかよ、いきなり来る?展開はえーなおい!
俺はまだ君の事何も知りませんけど??
まぁ据え膳食わぬは男の恥とも言うし俺的にはやぶさかではないていうかなんていうかねぇ!
シスター「あれ…見てもいい?」
男「……あれ?」
シスターの指の先、それはベットに置かれた攻略本に向いていた。
なんだよ気になってたってそっちかよ!
でも残念だったな!それはえっちな本じゃ無いんだよ!
シスター「だめ?」
1 良いよ
2 企業秘密だ
3 取引だ
4 自由安価
安価下
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/23(木) 18:01:39.23 ID:LdYbWH+DO
1
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/23(木) 18:59:37.61 ID:d5FZ6G6Q0
いいんかーい
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/24(金) 14:53:26.57 ID:P9ioZkcEO
男「良いよ」
シスター「やった、ありがとー」
期待から大分外れたけど、シスターの笑顔が可愛かったのでそれで良しとする。
シスター「………?」
不思議そうな顔をして攻略本をパラパラと捲り続けるシスター。
目当てのページが見つからないのかな?
シスター「ねぇ、勇者様」
男「ん?」
シスター「何でこれ…全部白紙なの?」
男「え?白紙?」
そんな馬鹿な。俺はシスターの側に寄って攻略本を覗き込む。
そこには白紙なんかではなく、普通に文字や挿絵が描かれている。
男「白紙じゃないよ?ほら、いっぱい書いてある」
シスター「え…?私には何も見えないけど…」
男「マジで?」
つまりは攻略本は俺にしか見えない?
これは転生者の特権みたいなもんなのかな。まぁ確かに色々と赤裸々に書いてあるしな、この世界の人が見たらたまげてしまう内容かもしれない。
シスター「勇者様にしか見えないんだー残念だなー」
男「そうみたいだね。あ、読んであげようか?」
見えないならば俺が読めば良い。
我ながら気の利いた男よ。
シスター「聞きたい聞きたい!でも、これって何の本なの?」
男「あー…」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/24(金) 14:58:15.89 ID:P9ioZkcEO
攻略本って言っても伝わらなさそうだしな、何て言えば良いんだ。
ゲームの攻略本みたいになんでも書いてあるしなー…ん?
そうか、そのまま伝えれば良いのか。
男「この世界の事なら何でも書いてあるよ。何が知りたい?」
シスター「え、この世界の事を何でも?」
男「そうそう。俺もまだ全部読んだ訳じゃないけどね」
シスター「今日の晩御飯もわかるの?」
男「ごめん、それは書いてないと思う…」
シスター「えー!何でも書いてあるんじゃなかったの?」
男「何て言うか、そういうんじゃなくてね…もっとこう、知りたい事?みたいな。何か無い?知りたい物とか」
シスター「知りたい物ー?……んー…あ、えー…でもわかるかなー…」
何でもというのは逆に難しいのはわかる。何食べたいからの何でもいい、みたいな。
顎に拳を置いて、シスターはぶつぶつと唸っている。
シスター「…あのね、勇者様」
男「?」
シスター「私の将来とか…わかるかなぁ?」
男「いやぁそれも…」
いや待てよ、攻略本には人物紹介があったはずだ。
将来かは分からないが、何かしら書いてあるかもしれないな。
男「あるかは分からないけど、見てみるね」
シスター「ほんとに?お願い!」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/24(金) 15:24:22.76 ID:P9ioZkcEO
目次を確認した後、人物紹介へと飛ぶ。
名前順になっていて、人物紹介は1ページ丸々使った設定資料みたいなものだ。
シスターの行までパラパラと捲る。
そして、今目の前に居る子とそっくりの設定資料を見つけた。
光教会に務める司祭の娘。
修道女としての振る舞いが苦手で、いつも司祭からは怒られている。
食事全てスイーツで良いと豪語するくらいの甘党。
この世界では珍しいとされる治癒魔法を使い、勇者を手助ける。
戦闘能力は皆無に等しいが、アンデットや不死の魔物に対しては浄化と称した神聖術を使える。
前回の勇者に同行して命を落とした母は聖女が呼ばれる存在であり、シスターもまた聖女の血を引いている。
適正の無い勇者に代わり──────代償として────。
男「……?」
シスター「手が止まってるけど、あったの?」
男「あ、いや…」
不自然に文字間に空白がある。何かしら書いてあったんだろうが、これでは読めない。
というかこれ…伝えて良いのか?
シスター「勇者様?」
1 伝える
2 ごめん、書いてなかった
3 それよりケーキでも食べに行かない?
4 自由安価
安価下
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/24(金) 15:26:12.13 ID:mKJ5WVnJo
1
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/24(金) 16:36:42.84 ID:P9ioZkcEO
undefined
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 13:02:23.89 ID:/STiq4KJO
見た感じ本人なら知っていそうな部分もあるし、話しても問題ないかな。
俺は先程黙読した部分をシスターに教えた。
シスター「それって、私が聖女って事?」
男「そうなるよね。シスターは聖女なんだ」
シスター「えぇ!凄くない!?私聖女だって!」
男「う、うん?凄いね」
シスター「聖女だよ!!」
男「いでで!わかってるって!」
シスター「んふふ…」
男「な、なんだよ…」
コンコン
男「あれ、また誰か来た。ちょっと待ってて」
シスター「はーい!」
次は誰かな、なんて思って扉を開ける。
そこには祭服を着た中年の男性、俺は直感でシスターの父親だとわかった。ここへ来た理由も単純明快。
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 13:32:01.34 ID:/STiq4KJO
男「あちらに」
祭司「えっ…あ!やっぱりここに居たか!馬鹿娘が!」
シスター「げっ」
苦虫を噛み潰したような顔で父親を睨む娘。
祭司は俺に一礼してから中へと入り、ずかずかとシスターの元へと行く。
祭司「明日から発つというのにお前まだ荷造り済んでないだろ!すみません勇者様!何か失礼を…すぐに連れ戻します!」
男「いえいえ、特に何も」
シスター「失礼なんてそんな事しないよ!荷造りだって後でやろうと思ってたし…」
祭司「言い訳はいい!行くぞ!」
祭司はシスターの修道服の襟首を掴み、ずいずいとシスターを引きずる。
シスター「いやぁ〜〜!勇者様助けてぇ〜!」
男「また明日ね〜」
シスター「うらぎりものぉぉ!」
引きずられて行くシスターに俺は手を合わせ、特に意味もなく黙祷した。
─────
翌日。
軽く朝食を済ませた後、正門で侍とシスターが待っているというので俺は軽い手荷物を持って正門へと急いだ。
男「ごめーん、お待たせー!」
シスター「おはよー勇者様…」
シスターに元気が無い、あの後こってりと絞られたんだろうなぁ。
侍「応、来たな勇者」
男「あ、どうも。たしか…侍さんですよね。男です、宜しくお願いします」
侍「あー!硬っ苦しいのは無し無し!これから共に旅する仲間なんだから、もっと気楽に行こうぜ?」
男「あ、じゃあ……わかった。改めて宜しく、侍」
侍「そうそう!それで良い!」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 13:44:53.79 ID:/STiq4KJO
もっと怖い人かと思ったけど全然そんな事は無くて少し安心した。
侍「っと、その前に少し良いか?勇者」
男「ん?」
侍「ほれ」
侍は腰に差していた刀を俺に向かって放り投げてくる。
吃驚したが、なんとか落とさずにキャッチした。
シスター「ちょっと!危ないじゃん!勇者様が怪我したらどーすんのよ!」
侍「おーそりゃ悪かった。でも取っただろ?」
シスター「それは結果ー!」
男「それより何で俺に刀を?」
侍「旅立つ前に、俺と少し腕試ししようぜ」
シスター「は」
男「え…」
侍「やっぱ勇者って言うからには、さぞ腕が立つんだろ?仲間の力量を知る上でも大事な事だしな、良いだろ?」
シスター「……」
侍「この娘っ子も見たいってよ、勇者」
シスター「や、別にそんなんじゃ…」
そんなチラチラ俺を見られても困る。
侍「別に本気でやる訳じゃねぇさ、軽くだよ軽く」
1 戦う
2 戦わない
3 自由安価
安価下
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/25(土) 13:47:54.87 ID:MR1pre/nO
3、慎重に戦う
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 15:25:31.53 ID:/STiq4KJO
男「…確かに侍の言う通り、仲間の実力を知っておくのは大事だね」
侍「どうやら…やってくれるみたいだな?話が分かる奴で良かったぜ。そうと決まりゃあ場所を移そう、ここじゃ目立つからな」
男「わかった、案内して」
俺達は正門を抜け、都の外へと出た。
少し歩いて人気の無い辺り、言うてもだだっ広い草原の適当な場所でやる事にした。
何事もやってみなくては分からない。
刀なんて使った事も持つのも初めてだし、少し慎重に行こう。
侍「ここら辺で良いだろ。さぁ、早速始めようぜ」
男「…ふぅー」
分かっては居たが、緊張する。ろくすっぽ喧嘩もしないような平和な生活をしていた俺に、これから斬り合いをしろと言うのだ。
だが、今更引けない。平常心だ、平常心。
呼吸を整え、俺は某漫画の真似をして居合いの構えに移行する。
それに呼応する様に、侍も刀を抜いて、だらりと垂らして構える。
侍「"それ"…使えんのか?」
男「……」
シスター「頑張って勇者様ー!」
俺が構えを取ってから数十秒。
互いに動かず、いや俺は動けないだけだけども。
お見合いが続いている。
侍「どうした?来て良いんだぜ?」
男「はは…ちょっとね」
来て良いと言われても、踏み込む勇気が無いよ。
下手に動くより、まずは様子見だ。
侍「ま、来ないならこっちから行くぜ」
語尾を聞き取ると同時に侍は俺に向かって駆けてくる。
よくある高速移動とかでは無いが、見えない訳じゃないが、とにかく……速い。
男「くっ──!」
1 ビビって適当に斬りまくる
2 飛天●●流
3 よく見て、避けてみる
4 自由安価
安価下
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/25(土) 15:31:35.13 ID:WoEG5S4z0
トンファーキック
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/25(土) 15:34:17.26 ID:iaNJ2uwPo
4
刀投げつけて飛びかかる
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/25(土) 15:46:32.97 ID:oHaPRbCc0
寸止めしてくれないと普通に斬られそう
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 19:15:55.35 ID:/STiq4KJO
正攻法じゃダメだ。理由は分からないが俺の勘がそう言っている。
相手の意表を突く、それなら──。
俺はタイミングを合わせて、構えのまま右足で前蹴りを繰り出す。
トンファーキックならぬイアイキックじゃい。が、意表を突いたつもりの攻撃虚しく足は空を突く。というか侍が消えた。
男「消え──」
侍「まさか蹴ってくるとはねぇ」
男「なっ!?」
背後から侍の声がして、咄嗟に振り向く。
侍は薄ら笑いを浮かべながら顎をさすっている。
いつの間に移動したんだ?全く見えなかったぞ。
侍「ほら、チャンスだぜ?」
侍は挑発しているのか、刀をしまって両手を挙げている。
流石に力量は測られただろうが、このまま終わるのは癪だ。
一太刀でも浴びせてやる!
男「オラァァ!」
もはや構えは崩れ、俺は刀を抜いて上段で襲いかかる。
侍は俺のその様を見て、また笑った。
シスター「勇者様!?」
─────
後頭部には柔らかい感触。おでこ辺りを誰かに撫でられていて、俺は目を覚ます。
男「ん…」
シスター「あ、起きた!勇者様!大丈夫?」
男「あれ…俺…」
ついさっきまで侍と勝負していた筈なのに、何でシスターに膝枕されて……膝枕…だと…?
侍「よう、やっと起きたか」
男「……一体何が?」
シスター「覚えてないの?」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 20:43:06.16 ID:/STiq4KJO
男「うん。何が起きたの?」
シスター「あのおっさんが刀を飛ばしたの!」
侍「おい、俺はおっさんじゃねぇ。まだ20代前半だ」
男「刀を飛ばすって?」
侍「今のは嬢ちゃんの言い方が悪ぃ。要は鍔を弾いたのさ、こうやってな」
侍は刀を立てて親指で鍔を弾くと、刀が数センチ上へと上がる。
シスター「そう。それが勇者様の顎に当たっちゃって…」
男「なるほど、それで気を失ったって訳か」
侍「加減したつもりだったんだけどな、打ち所が悪かったみてぇだ。すまん!」
男「いやいや、俺が弱いから…」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 22:44:28.05 ID:/STiq4KJO
侍「そうだなぁ、確かに俺が抱いてた期待からは大分外れてたな」
男「だよね…」
侍「なに、気に病むことはねぇさ。弱ぇなら強くなりゃ良いだけの事。お前次第という訳よ」
男「俺次第…」
シスター「大丈夫!勇者様なら強くなるよ!絶対!私が保証する!」
男「はは、言い切ってくれるね。でも…ありがとう」
侍「どんなモンでも磨きゃぁ光る。積み上げたモンは裏切らねぇ。だから、頑張ろうぜ」
男「ありがとう。頑張ってみるよ」
異世界転生者としての補正で今後強くなる可能性は捨てられないけど、それを抜きにしても俺は強くなろうと心に決めた。
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 22:45:14.07 ID:/STiq4KJO
侍「さてと、少し動いたら腹減っちまったな。嬢ちゃん!野営の準備くらいあるんだろう?飯にしようぜメシ!」
シスター「あるけど…てかおっさん荷物少なすぎ!勇者様のサポートするのが私達の役目でしょーが」
侍「おっさんじゃねぇ!」
─────
設営後。
シスターは魔道具を使って調理をし、もらう事になり基礎体力や筋力作りをしている。
侍「それが限界かー?」
男「はぁ…はぁ…もう、無理ぃ…」
侍「まぁ、平均ってとこだな。教えるのは構わねぇんだが、勇者はまだ身体が出来てないからな。戦いを覚える前に、まずは基盤を作らねぇと話にならん。技術はその後だ」
男「はぁ…が、頑張ります…」
シスター「ほらーそこまでー!ご飯出来たよー!」
侍「おー!今行くー!」
筋トレから解放され、少し安堵する。
強くなりたいと言ったとはいえ、やはりキツイ物はキツイ。
悲鳴を上げる筋肉に無理をいわせ、突っ伏した身体を起こして用意された椅子へ座った。
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/25(土) 22:46:38.99 ID:/STiq4KJO
簡素な物になるかと思った食事だが、思いの他しっかりとした飯だった。
大皿の上に肉や野菜に米、缶詰とかスープみたいな物と思っていたからこれは嬉しい。
侍「美味そうだなぁ!中々やるな、嬢ちゃん」
シスター「別にこれくらい…」
男「でもほんと美味しそうだよ。普段から作ってるの?」
シスター「うん、普段からお父さんの分も作ってたから」
男「へぇ、偉いねー」
シスター「自然とそういう風になっちゃっただけだから。でも褒められると嬉しいね、えへへ…」
侍「ここに酒がありゃ最高だったんだけどな、あるか?」
シスター「ない」
侍「ぐぅ…残念だ」
男「あ、そういえば今ってどこに向かってるの?」
シスター「風の都だね。5日くらいあれば着くかなー」
男「へぇ5日……5日!?近いのに?」
侍「足があれば話は別だが、徒歩だからな」
男「そうかぁ…そういうもんなのか…」
シスター「途中から魔物の出現頻度も上がるから気を付けようね勇者様」
男「魔物……うん、気を付けよう」
侍「心配すんな、魔物からは俺が守ってやる。安心していい」
男「うん。侍が頼りだよ今は」
シスター「ちゃんと勇者様守るんだよ。怪我させたらご飯抜きだからね」
侍「ははは!そりゃあ命懸けで守らんとな!」
その後も他愛ない会話が続き、歩を進めて陽が落ちてきた。
今夜は道中にあった森の中へ入り、そこで野宿する事になった。
食事を済ませ、朝までは自由行動だ。
何かする
安価下
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/25(土) 22:49:38.04 ID:Oih+5yxQo
攻略本で何が出るか調べる
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/26(日) 05:18:19.35 ID:P+bZFFJF0
やはり謎多き攻略本を俺が攻略しなくては。
この世界の事をゲームの攻略本の様に書いてくれているが、とてもじゃないが読み切れる量ではない。
余談になるがこの本、厚さの割には全然軽い。
昨日シスターから重くないの?と言われて初めて気が付いた。
これもあの神様の計らいかね。
そうと決めたら天幕の中へと入って攻略本を取り出す。
今回は適当に開いた場所を読む事にしよう。
男「さぁ、何が出るかな」
開いた内容
安価下
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/26(日) 05:40:48.11 ID:Q21vrTLQo
スタッフインタビュー
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/26(日) 06:07:02.31 ID:QDpOuiOo0
スタッフwww
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/26(日) 07:24:15.45 ID:weAb4RHqo
制作陣いるのは草
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/26(日) 14:56:14.64 ID:P+bZFFJF0
男「……なにこれ?」
●神界情報処理局業務の実態へ迫る!
私:
本日は宜しくお願いします。早速なんですが『攻略本』が完成した時のお気持ちは?
?:
そうですねー、幻界の情報を集めるのにスタッフ騒動員で掻き集めましたから、騒々しかったけど楽しかったね(笑)
普段と違う事するから疲れちゃった(笑)
私:
普段と違う事とは?
?:
私達局員の仕事って転生者に『神託(アンカー)』を渡す事なんですけど、基本的には超人的な能力や最高位の魔術を使えるとかが多くてですね、こういった『物』を渡すというのは初めてでしたね。
私:
大変だったんですね。でも、能力とかでは無ければ転生者は辛くないですか?
?:
本来ならとても辛いです。ですが私達の作った『神託』というのは、リアルタイムで転生者の思考や行動の強制、或いは能力の覚醒、臨機応変に対応しています。
序盤は苦しいかもしれませんが、物語が進むにつれて転生者は強くなる様に設定してあります。
私:なるほど。では管理している幻界のバグ、『魔王』の処理は完璧という訳ですね。
?:
そうですね、攻略本の手順通りに働いてくれれば問題無く除去出来ます。
ただ『神託』というのは気まぐれなので、実際はどう転ぶか私達にもわかりません(笑)
局員はあくまで『傍観者』ですからね、悪い流れでも手を出せないのはもどかしいです。
私:
まさに『神の気まぐれ』ですね。本日はありがとうございました。
男「……ゲームかな?」
攻略本らしいっちゃらしいけど、こんな物まであるとは。
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/26(日) 16:19:43.98 ID:QDpOuiOo0
意外とノリの軽い天界であった・・・・・・なろうだと普通か
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/27(月) 15:03:15.75 ID:wAJWBosNO
他にもあるけど、一体何人関わってるんだろうか。
天界だの幻界だの神託だのと、聞き慣れない単語もあるし。
結局その日は、寝るまでスタッフインタビューなる物を読み耽る事になった。
─────
3日後。
俺達は今、広大な森の中に居る。
ここを抜けなければ風の都へと行けないらしい。
侍「見ろ、魔物の足跡だ。ここでの野営は魔物に襲われる可能性が高くなるからな、気ぃ付けろよ」
男「りょーかい」
シスター「出てきちゃったらパパパーってやっつけちゃってよね」
侍「応。何かあったらすぐに──しっ!」
先頭を歩く侍が警戒しろという合図を出す。
俺は何も感じられないが、魔物が近いのだろう。
侍「そこの茂みに隠れるぞ」
無言で頷き、指示された茂みへと入る。
数秒後、進行方向の脇から魔物の群れが現れた。
数にして5匹、それぞれ手には槍を持っている。
侍「コボルトか。奴ら、強くはないが知恵があるのが厄介だぞ」
シスター「弱いんでしょ?倒しちゃえば?」
侍「倒すのは簡単だが、1匹でも逃げられたら後々面倒なんだ」
シスター「そうなの?でもこんなとこで足止め食らいたくないし」
男「侍なら普通にやれそうだけど…」
侍「魔物の群れってのには役割があってだな、1匹でも逃がした日にゃ倍の数で報復に来るだろうよ。奴らは匂いを追えるからな」
男「なるほど。野宿の危険性が高まるのか」
侍「そういう事」
安価下
1 殺っちまおう
2 やり過ごそう
3 自由安価
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/27(月) 15:20:28.95 ID:McaisyIN0
3 コボルトの魔物ランクとステータスとドロップするアイテムと経験値を2人に聞いて(攻略本使ってもいい)お得そうならやる。割りにあってなさそうならやりすごす。
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/27(月) 15:32:08.13 ID:McaisyIN0
なろうっぽい要素羅列したけど、そんな設定ないならないでもいいよ。
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/28(火) 12:56:43.84 ID:8vh+K5SvO
男「…こっちにはまだ気付いてないんだよね?」
侍「ああ。それがどうした?」
なら…と呟き俺は攻略本を取り出す。勿論開くのは魔物図鑑と書いてある所だ。
シスター「え、何でこんな時に本呼んでるの…」
男「……」
侍「何か考えがあるんだろうさ。それにしたって本当に白紙にしか見えないよな。どんな仕掛けなんだ?」
男「俺にもその辺はさっぱりで──あった」
魔物図鑑からコボルトの項目を発見。
●コボルト
ランク:E
生命:50
精神:5
体力:25
技術:5
感性:30
知力:30
経験値:70
弱点:炎
主要ドロップ:
汚れた細槍、ボロ布のマント
レアドロップ:
コボルトの首飾り
概要:
森に住処を作り、縄張りに入った人間を攻撃する犬頭が特徴の小人族。
群れで行動する習性があり、腕にスカーフを巻いたコボルトはリーダー兼、戦闘から離脱して増援を呼ぶ役割を持つ。
男「なるほどね」
こうやって見ると本当にゲームの攻略本見てる気分になるな。
経験値があるって事はレベルの概念もある?書いてないけど。
少なくとも基礎値は俺より高いって事は、1匹でも倒せば俺自身の成長は見込めそうだ。
問題はパーティとしての経験値があるか、だ。
俺自身が倒さなくてはならないのなら、1匹どうにかして倒してみたいな。
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/28(火) 12:59:28.27 ID:8vh+K5SvO
男「侍」
侍「どうした?」
男「あいつら、倒してみよう」
シスター「え?やり過ごした方が良くない?」
侍「別に構わないが、良いんだな?」
男「うん。腕にスカーフ巻いた奴を最初に狙って、それで何とかなるから」
侍「ほう?」
シスター「大丈夫なの?逃げられたらやばいんでしょ?」
男「そこは侍を信じるよ」
侍「任せときな。確実に1匹仕留めるなんざ造作もない。念の為に勇者も刀持っときな」
侍は差している刀を俺に渡す。
男「ありがとう。でも…使わない事を祈るよ」
シスター「本当に?本当に大丈夫?」
侍「おいおい、とんだ心配性だな嬢ちゃんは」
侍はシスターの頭をポンポンと叩き、静かに茂みから出る。
刀を抜き、重心を落として刺突の構えを取る。
侍「見とけよ勇者、これが"技"だ」
重心が前に傾いたと思ったその瞬間、侍の姿が消えた。
いや、消えた訳では無い。初動が速すぎて目で追えなかったのだ。
群れへ目をやると既に1匹、スカーフを巻いたコボルトが絶命していた。
その一撃でコボルトは1匹が残って他は散り散りに逃げるが、侍はそれを許さない。
2.3匹目をすぐに斬り伏せ、反対へ逃げた2匹を追う。
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/28(火) 13:00:23.35 ID:8vh+K5SvO
男「すげぇ…あっという間に倒しちゃってる」
シスター「い、言うだけはあるね…」
視界から消え、見えない所で戦っている侍の心配は先程の戦闘を見て心配は無くなった。
ガサガサ!
男「え?」
シスター「何の音──」
俺達の後ろの茂みから音──と思った時には遅い、こちらへ向かってコボルトが飛び出して来た。
だが好都合だ。先程侍が倒しても変化は起きなかった。つまりは俺が倒さないと駄目だ。
この1匹、何としてでも倒す。
シスター「きゃぁぁ!」
男「シスター下がって!」
俺はシスターの前に立ち、刀を抜く。
勢いを殺さずに直進してくるコボルトの気迫に負けそうになるが、ここで怖気付く訳にはいかないんだ。
コボルトは勢いのまま、細槍を繰り出してきた。
展開安価
安価下
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/28(火) 13:26:20.58 ID:6DnQeh3bO
運良く回避し咄嗟の反撃がクリティカル
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/28(火) 13:31:51.15 ID:8vh+K5SvO
安価早くくれるのに、いつも亀レスですまん
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/28(火) 14:08:12.24 ID:8vh+K5SvO
狙いは腹。大丈夫、避けれる。避けるのは簡単。
…なのに、俺の頭によぎるのは『死』という一文字。
殺意の込められた一撃に足が竦んでしまっているのだ。
男「う、うわあああっ!」
恐怖に呑み込まれ目を閉じてしまい、無我夢中で刀を振る。
コボルト「グギ……!」
男「えっ…」
何が起こったか分からないが、俺はコボルトの一撃を避けていて、振り下ろした刀はコボルトの首に深く食い込んでいる。
次第にコボルトの抵抗が弱くなり、そのまま地に伏せる。
倒したのか…?俺が?
シスター「や、やった…!倒した!凄いよ勇者様ー!」
男「う、うん…」
生き物を斬る感触の気持ち悪さよりも、倒したという高揚感に支配されていく。
やったんだ…俺が、倒したんだ…。
拳を握り締め、勝利を噛み締める。
男「ん……何だこの感覚…」
身体の奥底から何かを感じる。
次第にその感覚は消え失せ、よく分からないなリフレッシュした様な気分になり、力が湧いてくる。
男「(もしかして…レベルが上がった?)」
俺は身体の感覚を確かめ、攻略本を取り出す。
シスター「勇者様?どうしたの?」
男「ちょっとね」
俺は折り目を付けたステータス画面を開いた。
侍に鍛えられているおかげか、体力の数値が元より上がっている。
安価下
生命 45/45→?
精神 50/50→
??体力 15→?
技術 11→?
感性 18→?
知力 17→?
スキル:
『実体化』『安価下2』
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/28(火) 14:28:47.51 ID:6DnQeh3bO
>>58
ええんやで
ステはコンマの数だけ増える感じかな
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/01/28(火) 14:45:47.94 ID:8vh+K5SvO
説明不足だった、すまん
安価下は好きな数値に書き換えてもらってOK
安価下2は新しいスキル
改めて
ステータス上昇安価下
新スキル安価下2
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/28(火) 14:53:05.47 ID:qYjpA9Pv0
+6、+6、+2、+1、+6 実際に1D6でダイス振って決めた。
毎日しっかり投稿してくれてるし無問題よ。
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