【ロマサガRS】吟遊詩人「聖夜の舞台、ネズミの詩とクリスマス」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/03(金) 13:04:48.22 ID:ml6qOgwo0
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吟遊詩人「──これより語るは聖夜の一幕」

吟遊詩人「誰も彼もが心躍らせ、弾む笑顔で夜空を見上げ、邪なるものは空に消ゆ……」

吟遊詩人「空飛ぶソリを駆る英雄のうたは皆々が知る通り。なれば、人知れず討ち払われた
     悪にこそ、今宵は焦点を当てましょう」

吟遊詩人「始まりは、女神と謳われし乙女の願い。
     さぁ、精霊よ!この詩を唄い終えられるよう、我に力を与えよ──」



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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/03(金) 13:07:41.14 ID:ml6qOgwo0
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【ひと月前、クラウディウス家の御屋敷・その一室】


トーマス「──お芝居、ですか」

ミューズ「はい。それならばきっと、子供たちも喜んでくれるでしょう?」

トーマス「ええ。勿論聖夜に相応しい、良い試みだと思います。……ですが、」

ミューズ「……現状に、そんな余裕が有るのか、と仰りたいのでしょう。……当然、その懸念も理解しています」

ミューズ「この一年、余りに色々な事が起こり過ぎました。四魔貴族の襲来、バンガードの強奪。魔塔は日を定めず出現し……、押し寄せる脅威は後を経ちません」

ミューズ「ですが、だからこそ……。この地に生きる人々に喜びを届ける助けがしたいのです。勝手な願いである事は重々承知の上。どうか、お力添えを頂けませんか?」

シャール「……私からもお願いしたい、トーマス。これは我が主たっての希望。私も、叶えられるならば砕身を厭わない覚悟だ。しかし、この身一つではどうしても足りず……」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/03(金) 13:09:28.27 ID:ml6qOgwo0

トーマス「……頭をあげて下さい、ミューズ様、シャールさん。我がベント家と縁深い、クラウディウス家の願いでもあるのです。私で良ければ、勿論。喜んで力になりましょう」

ミューズ「嗚呼。良かった! 有り難うございます、トーマス様。頼もしい協力者を得られて、わたくし達も一安心ですわ」

トーマス「頼りにして頂けて光栄です、ミューズ様。……しかし、実を言うと私もそういった催物は初めてで、うまく助けになれるかどうか……」


バァン!!

フルブライト23世「話は聞かせてもらった!!」ドン!

タチアナ「もらったよ!」ドン!!

トーマス「うわっ!ビックリした」

シャール「人が居る部屋に入る時はノックをしては如何か、フルブライト殿」

フルブライト「ぐうの音も出ない正論ですな!」

ミューズ「まぁ、フルブライト様、それにタチアナ様も! 驚きましたわ。何故、此処に?」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/03(金) 13:10:52.13 ID:ml6qOgwo0

フルブライト「いや何、たまたま当代のクラウディウス家当主に招かれていた折、面白そうな話が聞こえていたのでつい、聞き耳を。そこのタチアナ嬢も一緒にね」

タチアナ「途中からだけど、バッチリ聞いてたよ! お芝居するんでしょ? 楽しそう! わたしも手伝う!」

フルブライト「そして是非、この私にもお手伝いを申し付けていただきたく。構いませんかな? ミューズ様」

ミューズ「ええ、勿論、喜んで! 心強いですわ、フルブライト様、タチアナ様! 嗚呼、なんとお礼を言えば良いのか……」

フルブライト「お礼などと、滅相もない。商人は商機を逃さない、というだけですよ。話を聞いている内に浮かんだ芝居の運営計画を、是非……」

タチアナ「……商機? もしかして、みんなからお金を取る気!? 信じらんないケチ!守銭奴!!銭ゲバ!!」

フルブライト「なんとでも言いたまえ! 銭ゲバにあらずんば商人にあらず、だ! それに、なにも私も、己の懐を満たす為に提案をする訳ではないさ。先ずは私の案を──」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/03(金) 13:11:45.50 ID:ml6qOgwo0


【数十分後】

フルブライト「──と、運営の話はここまでです。後を任せて頂けるならば、裏方に必要な人物には、私自ら声を掛けに行きましょう」

ミューズ「まぁ、助かりますわ! それにしても、流石はフルブライト商会の会長。その手腕も、鮮やかなものですわね」

フルブライト「今の世においては、何代も前に席を譲った身ですがね。さぁ、決める事はまだまだ山ほど。演者なども、まだ決まっていないのでしょう?」

タチアナ「そもそも、演目はなぁに? それはもう決まっているの?」

ミューズ「ええ。実は、なんの劇にするかはもう決めているのです。きっと、タチアナ様もご存じのものですわ」

タチアナ「そうなの? って言うと……」

シャール「……『くるみ割り人形』だ」

トーマス「くるみ割り人形……。人形の国に招かれた少女がネズミの王を退け、くるみ割り人形に変えられた王子と、その愛する王女を救う聖夜の物語、ですね」

タチアナ「人形の国を救った女の子は、人形達の色んな踊りで歓迎されて、最後には幸せな気持ちでクリスマスの朝に目を覚ますんだよね! うん、あれならきっと、ぴったり!」

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/03(金) 13:12:35.14 ID:ml6qOgwo0



フルブライト「ならば、美しい王女はミューズ様が演じるべきでしょう。希望の象徴は華やかであればあるほど良い」

ミューズ「およしになって、フルブライト様。……ですが、言い出した者の責任は負うつもりです。わたくしに務まるのならば、心を込めて演じましょう」

フルブライト「決まりですな。では、次は……」

シャール「……演者を募るのならば、私が塔士や異界の者達に声を掛けて回ろう。元より、他の役には立たない身だ。それくらいは……」

タチアナ「え? なに言ってるの? 王女さまがミューズ様なら、王子さまはシャールなんでしょ?」

シャール「……………いや、何を馬鹿な事を……」


クルッ

フルブライト(小声)「……いいんですかな? ここでシャール殿が役を降りれば、舞台の上で別の男とミューズ様が結ばれる情景を目の当たりにする羽目になるのでは?」ゴニョゴニョ

シャール「……………………………………。いや、しかし…………」

トーマス(小声)「主たっての希望ならば砕身を厭わない覚悟なのでは?」ゴニョゴニョ

シャール「トーマス、君もか……」

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