【艦これ】提督「クール鎮守府」

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136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/27(月) 22:58:44.03 ID:FAXWS6J90
周りとの誤解が解ける前にグラーフと良い仲になりそうな雰囲気
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/01/28(火) 22:42:33.29 ID:6wugWPMJ0
??「>>136また仲間を失うのね……残念だけど仕方ないわね」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/29(水) 00:10:31.86 ID:RaZHHozJO
ところで霧のヒュウガはパッションに含まれますか?
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/29(水) 14:00:43.27 ID:bU3TlsQko
姉のイセがパッションで妹はキュート
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/29(水) 21:43:56.63 ID:Oj3UBjnjO
>>1です。レスありがとうございます
演習に参加できるのは6人までですが、せっかく書き込んでもらったので全員拾ってみます
今から設定を練るので時間はかかりますが、次回更新をお待ちください
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/29(水) 22:07:31.27 ID:iPUpGslWo
おっけーまってまーす
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/29(水) 22:29:41.76 ID:09t9Tw060
乙 無茶せずにね
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 21:12:04.17 ID:k+CrdaI7O
冒頭が書き上がったので投下します
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 21:22:44.59 ID:k+CrdaI7O


―― とある鎮守府 正門前 ――



  バタン  ブロロロロロ...



那智「……ふぅ、ようやく着いたか」

加賀「随分と時間がかかったわね」

不知火「仕方ありません。県を3つも跨ぐような距離でしたから」

グラーフ「しかしなぜバス移動なんだ? 私は一度シンカンセンとやらに乗ってみたかった……」シュン

霰「グラーフさん……元気、出して」

響「仮にも私たちは軍の最重要機密と同列の扱いなんだ。公共交通機関を使うわけにはいかないさ」

那智「それに、バスに揺られての長旅も悪くなかっただろう?」

不知火「フネである私たちがバスに乗って移動するなど、それだけで貴重な体験でした」

グラーフ「それはそうだが……ん? Admiralはどうした?」

不知火「司令ですか? そういえば姿が見当たりませんね……」キョロキョロ

提督「………ここだ」スッ

不知火「あっ、司令。一体どこに――ッ!?」ゾクッ



提督「………………」ゴゴゴゴゴ



不知火(こ、この気迫……司令に一体何が……!?)

那智(ほう……敵地に着いて早々、戦意に満ち溢れているようだな!)

グラーフ(いかん、今日は遠足で来たのではなかった……どうやら私は気が緩んでいたようだ)

加賀(さすがね、提督。ついさっきまで旅行気分でいた皆の気が引き締まったようだわ)





提督(………ぎぼぢわ゛るい゛)

提督(バス酔いして近くの茂みで吐いていたなどとは言えない……)

提督(う゛っ……イカン! 気を緩めたらまた吐きそうだ……!)


145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 21:35:05.23 ID:k+CrdaI7O


???「Hoi! 私たちの鎮守府へようこそ!」

???「待ってたわよ、不知火!」



那智「ん? どうやら出迎えのようだが……」

不知火「! 貴女は……陽炎姉さん!」



デ・ロイテル「長旅おつかれ〜。でもって今日はよろしくねっ!」キラッ☆

陽炎「久しぶりね! 元気してた?」

不知火「陽炎姉さんこそ、相変わらず元気そうですね」

グラーフ「なんだ、不知火と……えーと」

陽炎「陽炎よ。よろしくね、外人さん!」

グラーフ「ああ、よろしく。不知火とカゲロウは姉妹なのか?」

不知火「はい。私は陽炎型駆逐艦の2番艦で、姉さんは名前の通り1番艦です」

陽炎「以前は一緒の鎮守府に所属してたんだけど、転属やら何やらでここ数年は会えてなかったのよねー」ギュッ

不知火「……あの、姉さん。離してください」

陽炎「え〜、久々に会えたんだし、少しぐらいスキンシップさせてくれたっていいじゃない!」ダキツキ

不知火「はぁ……仕方ありません。少しだけですよ」

グラーフ(と言いつつ満更でもなさそうだな)フフッ


146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 21:43:41.51 ID:k+CrdaI7O


デ・ロイテル「ん? もしかしてアナタは……げげっ! あの時の重巡!?」

那智「そういう貴様は……たしかデストロイア、だったか?」

デ・ロイテル「デ・ロイテルよ! 駆逐艦でも怪獣でもないしっ!」

那智「あ、ああ。すまん」

デ・ロイテル「もうっ! ……けどいいわ。こうして再会したのも何かの縁よね。仲良くしましょ?」ニコッ

那智「……ふっ、そうだな。スラバヤでの戦いで連合軍の指揮を執る貴様の勇姿は今でも鮮明に覚えているぞ」スッ

デ・ロイテル「ほんと!? へへーん、そう言ってもらえると嬉しいわ!」ガシッ

那智「今日は貴様たちと戦えるのを楽しみにしている」ガシッ





陽炎「――ところで、貴方が不知火たちの司令官?」

提督「ああ……今日はよろしく頼む」ゴゴゴゴゴ


陽炎(す、凄い気迫ね……不知火にも負けず劣らずって感じだわ)

デ・ロイテル(やっばーい! 何だか怖そうな人かも……)


提督(……ダメだ、吐き気が収まらん)ゴゴゴゴゴ

提督(艦娘同士交流を深めるのは構わんが、とりあえず中に案内してくれ! でもって少し休ませてくれ!)ゴゴゴゴゴ


陽炎「た、立ち話もなんだし、とりあえず鎮守府の中を案内するわね!」

デ・ロイテル「じゃあ改めて――」コホン



陽炎&デ・ロイテル「「パッション鎮守府へようこそ!!」」


147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 21:56:38.56 ID:k+CrdaI7O


―― パッション鎮守府 廊下 ――



陽炎「――と、いうわけで、この鎮守府には総勢10名の艦娘が所属してるの」

不知火「10名ですか。私たちも人のことは言えませんが、随分と小規模ですね」

陽炎「仕方ないわよ。まだ設立されて1年ちょっとの駆け出し鎮守府だもの」

デ・ロイテル「でもでも、所属してる子たちはみーんな個性的で面白い人ばっかりなんだから!」

響(それは鎮守府を運営する上で重要なことなんだろうか……?)


陽炎「もちろん個性的なだけじゃなく、全員実力者ぞろいよ?」

加賀「……この辺りの海域には、近年になって深海棲艦が多数出没するようになったと聞いています」

陽炎「ええ。だからこそ、こうして鎮守府が設立されたの。でも艦娘の人数にも限りはあるし……」

デ・ロイテル「あまり大人数をこの鎮守府に移籍させるわけにはいかなかったから、各地から実力者を少数集めて、いわば先遣隊としてこの鎮守府に配属させたってわけ」

陽炎「だから必然的に、ここには全国各地の猛者たちが集ってるのよ」

デ・ロイテル「いわゆる少数精鋭ってやつ?」

不知火「なるほど……となれば、今日の演習も一筋縄では行かないでしょうね、司令」

提督「……うむ、そうだな」ゴゴゴゴゴ

提督(早く……早く休憩させてくれぇ!)


148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:13:02.33 ID:k+CrdaI7O


???「あっ! お客さん発見なのね!」タタタタッ――ダキッ!



提督(ん? 誰かがこちらに駆けて―――なッ!?)ヨロッ

加賀・不知火「!?」

陽炎「あっ! こらイク! いきなり抱き着いたりしたら駄目じゃない!」

伊19「へへー、お客さんなんて久しぶりなのね! 貴方が今日演習する鎮守府の提督さん?」スリスリ

提督「あ、ああ。その通りだ」

伊19「へー……よく見るとなかなかのイケメンさんなのね!」ギューッ

伊19「けどそんなコワイ顔してちゃダメなの! ほら、笑って笑って!」ムギュ

提督「ひょ、ひょら! ひゃめにゃいか!」ホッペタツネラレ‐

提督(うおおおおぉぉぉぉ!! 頼むから今は大人しくさせてくれぇ!!)

提督(あまり揺らされると吐き気が……うぷっ)

提督(くそっ、揺らすのはその胸だけにしろってんだよ……!)


陽炎「ちょ、ちょっとアンタ! いくらなんでも失礼でしょうが!」ヒキハガシ

伊19「ぶー! もっと遊びたいの!」プンプン

陽炎「あのねぇ、この人たちは遊びに来たわけじゃないのよ?」

陽炎「ほら! 私は皆を執務室まで案内しなくちゃいけないから、さっさとどっか行った!」シッシッ

伊19「イケズなの! もうっ、あとでもっと遊んで貰うのねー!」タタタタッ



陽炎「まったく……あの、ごめんなさい。イクにも悪気はないんだけど……」

提督「い、いや、構わん。少し驚いたがな」

提督(いざ離れられると少し口惜しい気もするな……さきほどの柔らかい感触をもっと味わっておくべきだった)クッ!

提督(……ん? あれ……酔いが収まっている、だと……!?)

提督(ついさっきまであんなに気持ち悪かったのに……もしや、イクの過剰なスキンシップにより酔いが消え去ったのか!?)

提督(性欲の高まりが、気分の悪さを上回ったとでも!?)

提督(なんてことだ……まさかおっぱいに酔い覚ましの効果があったとは!!)

提督(思えば異性に抱き着かれるなんて生まれて初めてだが、衣服越しでもおっぱいの感触が伝わってくるとはな……)

提督(ふふふ、感謝するぞイク! 二重の意味でな!)フフフ



デ・ロイテル(あれだけ失礼なことをされたのに、嫌な顔一つせず笑ってる……?)

陽炎(厳しそうな人に見えたけど、意外と心は広いみたいね)ホッ

加賀・不知火(………………)←なんだか面白くない


149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:18:41.32 ID:k+CrdaI7O


???「Hi! 陽炎、ロイテル、Guestの案内ご苦労さま!」



デ・ロイテル「あっ、アイオワ! はろー!」フリフリ

陽炎「アイオワさんこそ、昼食の準備お疲れ様です!」

アイオワ「Thank you! まったく、Guestの分の昼食も用意してくれだなんて、Admiralも急に言わないでほしいわ!」

陽炎「まぁ食事当番は交代制ですし……」

デ・ロイテル「たまたま今日の当番がアイオワだったんだから、仕方ないよー」

アイオワ「You're right.(それもそうね) ところで、アナタたちが今日の演習相手かしら?」

加賀「はい、よろしくお願いします……しかし驚きました」

アイオワ「What?」

加賀「まさかアメリカ史上最高の軍艦とも謳われた貴女が着任しているとは」

グラーフ「カゲロウがここの鎮守府は強者揃いだと言っていたが、どうやら本当のようだ」

アイオワ「Oh! そう言ってもらえると嬉しいわ。えーっと……」


加賀「正規空母、加賀です。どうぞよろしく」

グラーフ「同じく正規空母のグラーフ・ツェッペリンだ。海外艦同士、仲良くしよう」

那智「重巡洋艦、那智だ」

不知火「駆逐艦、不知火です」

響「響だよ、不死鳥の通り名もあるよ」

霰「……霰、です」

アイオワ「アラ、レ……? Oh! Dr.SLUMP!? ニッポンのComicは私も好きよ!」

霰「……んちゃ、とかは言いません」


150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:24:30.28 ID:k+CrdaI7O


アイオワ「それから……Youが彼女たちのAdmiral?」

提督「ああ」


提督(デカァァァァァいッ! 説明不要!)

提督(さきほどのイクも凄かったが、こちらも負けてはいない!)

提督(むしろ谷間が強調されている分、視覚的な刺激はアイオワの方が上か……?)

提督(……今日は来て良かった)グッ!


アイオワ「MeがIowa級戦艦Name Ship、アイオワよ。Nice to meet you!」

提督「こちらこそ。よろしく頼む」

提督(元気で明るくて社交的で、まるで俺の理想としていた艦娘じゃないか!)

提督(デ・ロイテルにせよイクにせよ、ここの子たちは皆フレンドリーでいいなぁ……)

提督(うちの子たちも見た目や実力では負けていないと思うが、いかんせん親しみやすさが無い)

提督(まぁそれは提督である俺に威厳やらコミュ力やらが足りていないせいだが………泣きそう)



デ・ロイテル(イクにからまれていた時は笑ってたのに、今は何だか辛そうな顔をしている……?)

陽炎(やっぱり日本の軍人としては、かつての敵国であるアメリカの軍艦に対して思うところがあるのかしら……)


151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:29:06.32 ID:k+CrdaI7O


―― パッション鎮守府 執務室前 ――



陽炎「――着いたわ。ここが執務室よ」


提督(ようやく向こうの提督とご対面か)

提督(所属している艦娘たちの性格から鑑みて、恐らく提督も明るくて快活な人物なんだろう)

提督(毎日艦娘たちと楽しいリア充生活を送っているんだろうな……くっ、羨ましすぎる!)


陽炎「司令、入るわよ」

???「……あぁ」



  ガチャ



パッション提督「ようこそ……私がこの鎮守府の提督、です……」ゲッソリ   ※以下、Pa提督と表記

提督(!?)

提督(な、なんだ? この覇気のまるで感じられない人物は?)


提督「ほ、本日はお招き頂き、ありがとうございます!」ビシッ

Pa提督「こちらこそ……はるばるお越し頂き、ありがとうございます……」ゲッソリ

Pa提督「演習は午後……ヒトゴーマルマルからの開始を予定していますので……どうぞそれまではお寛ぎください」

提督「お、お気遣いありがとうございます」

提督(何だかやつれているようだし、色々と大丈夫なのか、この人は?)

提督(常にスマイルの絶えないナイスガイを予想していたのだが……一体なぜこれほどまで憔悴して――)


152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:33:58.77 ID:k+CrdaI7O


???「執務室にいっちばーん!」ドアバァーン!!

???「ああもうっ! 白露速すぎー!」ドタドタ



提督「?」

Pa提督「こ、こら! ノックをしてから静かにドアを開けるよう、いつも言ってるだろう……!」


白露「えぇー? 細かいことは気にしない気にしないっ!」

舞風「怒っちゃやーですよぉ、提督ぅ!」

Pa提督「まったく……それよりほら、皆さんに挨拶しなさい」

白露「わわっ! もしかして今日の演習相手の人たち? 初めまして、白露型1番艦、白露だよ!」ビシッ

舞風「どもどもー! 陽炎型駆逐艦、舞風です! ……って不知火姉さん!?」

不知火「あら、舞風も所属していたの。相変わらず騒がしいわね」

舞風「それが私の取り得ですから! っていうか陽炎姉さん、不知火姉さんが来るって知ってたんなら教えてよー!」

陽炎「ふふっ、ごめんごめん。せっかくだしサプライズにしようと思って。でも久々に姉妹が3人も揃ったわね!」ギュッ

不知火「ね、姉さん……! 先程も言いましたがあまりベタベタしすぎないでくれませんか」

陽炎「えー? そんな寂しいこと言わないの! ほらっ、舞風もこっち来なさい!」

舞風「わわっ、何だかちょっと恥ずかしいけど……まぁいっか! よぉ〜し、せっかくだし再会を祝して踊りましょう! それ、ワン、ツー♪」

不知火「ちょ、ちょっと! 舞風まで……!」アタフタ

陽炎「あははっ! それ、ワン、ツー♪」


153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:38:28.34 ID:k+CrdaI7O


白露「いいなー、陽炎も舞風も……ていとくぅー、私も妹たちに会いたいよー!」

Pa提督「そんなこと言われてもな……そ、それより、近海警備の報告を頼む」

白露「はーい! えっとねぇ――」



???「お姉はどこ!?」ドアバァーー-ン!!



提督(!? 今度はなんだ?)

Pa提督「ち、千代田。お前までドアを……」


千代田「そんなことより千歳お姉は? 今度こそ千歳お姉に会えたの!?」ガシッ、ユッサユッサ

Pa提督「お、落ち着け! 肩を揺らすな……!」ガックンガックン

白露「あー……ごめんね千代田さん。今回の出撃でも千歳さんには会えなかったよ」

千代田「そ、そんなぁ……!」

Pa提督「ほ、ほら! 分かったら手を離s「提督!!」

千代田「私がここに配属されてからもう396日も経つのに、未だに千歳お姉に会えないってどういうこと!?」

Pa提督「どういうことと言われても……ドロップも建造も運次第なんだ、仕方がないだろう……?」

千代田「そ・れ・で・も! 毎日毎日出撃してるのに一向に出会えないなんておかしいでしょ?!」

千代田「はっ! ……ま、まさか提督、お姉のことを隠してるんじゃないでしょうね?!」ユッサユッサ

Pa提督「は!? な、何を訳の分からんことを……!」ガックンガックン

千代田「本当はとっくの昔にお姉は着任してるのに、私に会わせないよう隠してるんでしょ!?」

千代田「それで……それできっと、毎晩隠し部屋で千歳お姉と……い、いやぁぁぁあああぁぁぁぁ!!」ブンブン!

Pa提督「お、落ち着けぇ! 落ち着いてくれええぇぇぇ!!」ガクンガクン!

Pa提督「ア、アイオワ! 千代田を何とかしてくれぇ!」ガクンガクン!


アイオワ「もう、しょうがないわね! 千代田、少し落ち着いて! Calm down!」ガシッ

千代田「離してアイオワさん! 千歳お姉が、千歳お姉がぁ!!」ウワァァァン!

アイオワ「とりあえず、食堂にでも連れて行くわね。また後で会いましょ! Bye!」

千代田「千歳お姉! 千歳お姉ぇぇぇぇ......!!」ズルズル...


154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 22:43:02.37 ID:4Apk2hwP0
このパッション提督禿げてるからヅラ被ってそう
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:43:33.48 ID:k+CrdaI7O


Pa提督「ふぅ……すみません、見苦しいところをお見せしました……」グッタリ

提督「い、いえ。何というか、大変ですね……」

Pa提督「ハハハ……千代田も普段は優しくていい子なんですが、姉である千歳のこととなると、たまに暴走気味になってしまって……」ゲッソリ

白露「でも姉妹に会えなくて辛いっていう気持ち、わかるわかるー!」

デ・ロイテル「あっ、白露! それひょっとして私のマネ?」

白露「あっ、わかるー?」

デ・ロイテル「わかるわかるー!」

白露&デ・ロイテル「「やっばーい、ウケる―!」」キャハハハハ!


Pa提督「はぁ……」アタマカカエ

提督(に、賑やかすぎるのも考え物だな……)←ちょっと引いてる





陽炎「ところで司令、もう正午になるけど」

Pa提督「ん、ああ……そろそろ昼食にしようか。皆さんの分も用意してありますので、食堂へどうぞ」

提督「ありがとうございます」

響「たしかアイオワさんが食事の用意をしてくれたって言ってたよね」

陽炎「ええ。ああ見えてあの人、料理が得意なのよ?」

那智「ほう、人は見かけによらないな」

グラーフ「アメリカ艦の手料理か……楽しみだな、加賀」

加賀「はい。流石に気分が高翌揚します」ワクワク


156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/31(金) 22:50:27.13 ID:k+CrdaI7O
今回はここまで
ついでにパッション鎮守府の簡単なキャラ設定でも




Pa提督……苦労人。疲れが取れるからという理由で、☆マークの入った謎のドリンクを常飲しているが入手ルートは不明

陽炎……しっかり者の長女。パッション鎮守府の秘書艦を務めており、駆逐艦ながら周囲からの人望は厚い

デ・ロイテル……新進気鋭のオランダ軽巡。史実では那智(と羽黒)の魚雷が原因で沈んでいる。コミュ力の高さは鎮守府随一

伊19……悪戯っ子。悪意はないが、性知識に乏しいまま過剰なスキンシップを取ろうとしてくるので性質が悪い(下半身のタチは良くなる)

アイオワ……アメリカが誇る大戦艦。陽炎が日常生活におけるリーダーなら、アイオワは戦闘におけるリーダー。燃費が悪いのが玉に瑕

白露……何でも一番に拘る駆逐艦。同じ駆逐艦かつ長女でもある陽炎や、波長の合うデ・ロイテルと仲が良い

舞風……陽炎と不知火の妹。じっとしていることが苦手で、よく皆にダンスを披露している

千代田……普段はマトモだが定期的に暴走する。チトセニウムの摂取量が不足しているのが原因と考えられている(大本営調べ)




残りの面々は次回登場予定です
週1〜2回ある休みの日に一気に書くスタイルなので、次の更新は早ければ1週間以内に。それでは


157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 23:09:02.06 ID:GLw36b9Oo
おつおつ
提督はお互い相手が羨ましいだろうなぁ
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 01:44:20.31 ID:p3AwM1Li0
乙 ちひろが明石と裏で手を組んでるのか...
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 05:27:35.14 ID:0+igw6CO0

パッ督がんがれ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 08:37:00.28 ID:mnoz0zsyO
乙。
逆だとまだ概ね上手く回るやつや、オー人事オー人事
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 12:23:50.40 ID:0rHl8acgO

陽炎型が揃って心なしかぬいぬいの表情が緩んでそう
そういや舞風とアイオワが同鎮守府に居るのね
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/02/03(月) 03:43:15.86 ID:NYnf1Zppo

書き込むときメール欄に「saga」を入れると高揚が高翌揚にならなくなるよ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/03(月) 20:08:05.33 ID:AIPdfgk+0
Pa提はハゲてないのか

スタドリ流出してんぞ何ヤってんだよちひろ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/03(月) 20:29:39.25 ID:IbDPXHarO
ちっひ「売れて金になるならそれで結構」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/03(月) 21:17:58.72 ID:/kyWWbXD0
>>164
高速修復材ってもしかして...
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/03(月) 21:23:47.67 ID:2jnBdfpDO
鬼!悪魔!ちひろ!
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 22:21:47.82 ID:tsUUFcNLO
お待たせしました。投下します
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 22:28:35.10 ID:tsUUFcNLO


―― パッション鎮守府 食堂 ――



白露「いぇーい! 食堂に一番乗りー!」キャッホー!

Pa提督「いちいち騒ぎ立てるんじゃない、まったく……」ハァ

Pa提督「すみません、騒がしい鎮守府で……」ペコリ

提督「なぁに、賑やかでいいじゃないですか」ハハハ

提督(少し喧しい気もするが、毎日がお通夜みたいなウチと比べたら……)

Pa提督「いやはや、お恥ずかしい……」

Pa提督(反面そちらの鎮守府の子たちは落ち着きがあって羨ましいですね……)


提督・Pa提督(いいなぁ……)






加賀「ここが食堂ですか」ウキウキ

グラーフ「何やら美味そうな匂いが漂ってくるな」ワクワク

不知火「先に向かったアイオワさんと千代田さんの姿が見当たりませんが」キョロキョロ

陽炎「きっと調理場じゃないかしら? 様子を見てくるから先にテーブルに……ってあれは――」



???「えへへ〜♪ もう1本開けちゃお〜っと」キュポン


陽炎「ポ、ポーラさん!? 昼間っから何やってんの!?」

ポーラ「ん〜? カゲロウさんも一緒に飲みますぅ〜?」エヘヘ

陽炎「うわっ酒クサっ! もうっ! 今日は午後から演習だから、あれほどお酒は飲んじゃダメって言ったじゃない!」

ポーラ「だいじょーぶ〜。ポーラ、お酒が入ってても戦えますっ!」ビシッ

陽炎「そういう問題じゃなくて……ああもう、司令も何とか言ってよ!」

Pa提督「今度はどうした……ってポーラ!? お前一体何を……!」

ポーラ「え〜? 何って、演習前の景気づけですよぉ♪」

Pa提督「こ、ここにある酒全部飲んだのか!?」

デ・ロイテル「うわぁ……そこら中に瓶が転がってるんだけど」

舞風「2本や3本じゃきかないですね、こりゃ」


169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 22:33:17.51 ID:tsUUFcNLO


Pa提督「お、お前……今日が演習だって分かってるよな……?」

ポーラ「もっちろん! イタリア重巡のいいとこぉ、見せちゃいますよぉ〜♪」ニヘラ

Pa提督「いいとこ見せる前に醜態を晒してどうする……!」

Pa提督「ていうかこんなに大量の酒どこから………はっ!? まさかお前……」

ポーラ「キッチンの戸棚の奥に捨ててあったんでぇ、勿体ないと思ってもらっちゃいました〜」ヒック

Pa提督「捨ててあったんじゃない! 保管しておいたんだよ!! ああ……俺のコレクションが……」ガックリ




不知火「……どなたか存じませんが、何というか……凄い方ですね」

響「あんなに幸せそうにお酒を飲む人は見たことが無いな」

響(ところでウォッカは無いのかな?)キョロキョロ

那智「向こうの提督が言うように、これから演習だというのに酒に溺れるとは、軍人として感心できんな」フン

那智(あれも、それも、あっちに転がっている瓶も……どれも滅多に手に入らない貴重な物ばかりではないか!)ゴクリ...

提督(酒、か……いかん、先日のアレ※を思い出してまた気分が……)ウップ


※那智との飲み会(という名の拷問)


170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 22:34:10.08 ID:tsUUFcNLO
デ・ロイテル「ねぇ提督、落ち込むのも分かるけどお客さんを待たせてるし、ひとまずお昼にしましょ?」

舞風「そうですよぉ。飲んじゃった物は仕方ないですし」

白露「私お腹すいたー!」

Pa提督「……ああ、そうだな」ドヨーン

Pa提督「重ね重ねすみません……今食事の用意をしますので……」

提督「は、はい……」

提督(何だか気の毒になってきたな……)

Pa提督「おーいアイオワ。食事の準備をしてくれ」



アイオワ「――Hi! お待たせ! Me特製、アメリカンランチを召し上がれ!」

加賀「こ、これが……」

グラーフ「アイオワ特製のアメリカ料理……!」



 ・ピザバーガー(約8000kcal)

 ・シカゴピザ(約3800kcal)

 ・チーズステーキ(約2500kcal)

 ・チーズケーキシェイク(約2000kcal)



一同(…………豚のエサかな?)
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 22:39:51.99 ID:tsUUFcNLO


アイオワ「さぁ! 遠慮しないでドンドン食べてね☆」

Pa提督「お、おい……いくらなんでも高カロリーすぎやしないか?」

アイオワ「Huh? この後演習でしょ? これぐらい食べておかなきゃPowerが出ないわ!」

Pa提督「戦艦の燃費を基準にして考えるな! 見ろ、皆さんもドン引きして――」チラッ


加賀「素晴らしいですね、さすがは世界一の大国です」モグモグ

グラーフ「ああ。この豪快さは日本やドイツも見習わねばな」ムシャムシャ


Pa提督(えぇ……)

陽炎(そういや空母の燃費も戦艦並だったわね……)

提督(加賀のあんな幸せそうな顔は初めて見るな……)




加賀「……ですが1つだけ」

アイオワ「?」

加賀「ご馳走になっておきながら厚かましいことは承知の上で、1つだけ言わせてもらいますと……」










加賀「ピザとチーズが被ってしまっています」

アイオワ「Oh! それもそうだわ!」ウッカリ

一同(そこ!?)


172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 22:47:49.20 ID:tsUUFcNLO


デ・ロイテル「と、とりあえず私たちも食べよっか!」

陽炎「まぁ、カロリーはともかく味は悪くなさそうだしね……」

Pa提督「仕方ない……各自、適度に量を調節して食べるように」

白露「はーい! どれから食べよっかなー」



不知火「司令、私たちもいただきましょう」

提督「そ、そうだな。たまにはこういう食事も悪くないか」

霰「……凄い、チーズの量」

響「こっちのピザも厚みが通常の倍くらいあるよ」ハラショー

那智「いくら演習で体を動かすとはいえ、ほどほどにしておかねば無駄にバルジが付きそうだ……」

提督(確かに。演習で体を動かさない俺は余計に太りそうだな……)




千代田「――あ、あのっ!」

提督「? 君は先ほどの……たしか、千代田だったか?」

千代田「は、はい。その……さっきは取り乱したりしてごめんなさい!」ガバッ

提督「!? あ、頭を上げてくれ……! 別に私は何もされていないぞ」

千代田「そうだけど……初対面なのに目の前で見苦しいところを見せてしまって……」シュン

提督(ああ、さっきのアレか。たしかに少しビックリしたが……)

提督「別に気にしてはいない。誰にでも落ち着きを失う時はあるだろう」

千代田「そう言ってもらえると助かり……ます」ホッ



提督(…………ふむ)

提督(この千代田という艦娘、さっきは慌ただしくて気付かなかったが………デカいな)

提督(イクやアイオワといった分かりやすいデカさに目が眩んでいたが、千代田の持つソレも相当なボリュームと見た!)キラーン

提督(情緒不安定なところもあるが、根は素直でいい子のようだし……)

提督(……せっかく遠方まで来たんだ。少しぐらい他所の艦娘とお近付きになってもバチは当たらないはず!)

提督(そう! これはあくまでコミュニケーションの一環! 鎮守府同士の交流を深めるために必要なプロセス!)


173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 22:55:02.41 ID:tsUUFcNLO


提督「……さっき、姉がどうとか言っていたな」

千代田「えっ? あっ、はい」


提督(先程の騒ぎようから察するに、千代田は姉に対する好意が尋常ではないようだ)

提督(で、あれば――)


提督「ふむ。君があそこまで夢中になる女性だ。きっと素晴らしい艦娘なのだろう」

千代田「!」

提督(よしっ、手応えアリ! ふふふ、自分の好きな人物を褒められて喜ばないやつはいまい!)

提督(この調子で姉のことを褒め倒し、気を良くさせたところで『――るの?』……えっ?)

千代田「千歳お姉に……興 味 が あ る の ?」ジロッ


 <◎> <◎>


提督(ヒエッ……!)

千代田「ねえ、お姉のことがそんなに気になる……?」

提督「い、いや! 気になるというわけではなく、ただ単に褒めただけで……」

千代田「もし……もしそっちの鎮守府にお姉が着任することになったとして」

千代田「お姉に色目を使ったり、手を出そうものなら――」



千代田「 ゆ る さ な い か ら 」ジロッ


提督「」





千代田「……ふぅ、さてと。私もお昼にしよっかな。貴方たちも遠慮せずに食べていってね」

提督「ハイ」

千代田「それから、午後の演習ではよろしくね! じゃあまた」フリフリ

提督「アア、マタアトデ」フリフリ

提督「………………」

提督「…………」



提督(……ちょっとちびった)ガクブル


174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 23:04:46.76 ID:tsUUFcNLO


???「――ああーっ!!」

???「提督! 一体何をしているんですか!」


Pa提督「!? お、お前たちは……」ビクッ


長良「執務室にいないから、どこへ行ったのかと思ったら……」

大鳳「どうして勝手にご飯を食べているんですか!」




グラーフ「何やらまた騒がしいな」

加賀「おや、貴女は……」

大鳳「? もしかして……加賀さん、ですか?」

加賀「ええ。そういう貴女は……大鳳さん、だったかしら」

大鳳「はい! 誉れ高い一航戦である加賀さんにお会いでき、光栄です」ビシッ

加賀「ありがとう。私も会えて嬉しいわ」

グラーフ「加賀、彼女を知っているのか?」

加賀「はい。私の後輩とでも言いますか……日本の最新鋭空母である大鳳さんです」


大鳳「初めまして、装甲空母の大鳳です」

グラーフ「ドイツ製航空母艦、グラーフ・ツェッペリンだ。よろしく頼む」

大鳳「ドイツの……聞いたことがあります! 何でも赤城さんの設計を参考にして建造されたとか……」

グラーフ「よく知っているな。私も日本の装甲空母のことは以前から耳にしていたが……そうか、貴女がタイホウか」

大鳳「私を知っているんですか?」

グラーフ「ああ。堅牢な装甲に覆われた、非常に打たれ強い艦だと聞いている。一度会ってみたかったんだ」

大鳳「わぁっ…! 何だか照れますね」

グラーフ「ふふっ、今日は良い戦いにしよう」スッ

大鳳「はい、よろしくお願いします!」ガシッ


175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 23:18:16.64 ID:tsUUFcNLO


大鳳「――さて」


大鳳「提督!!」

Pa提督「な、なんだ?」

大鳳「なんだ、じゃありません!」

長良「また走り込みをサボったでしょ!」



不知火「? 何の話をしているのでしょうか」

陽炎「あー……大鳳さんと長良さんは日課で毎朝走り込みをしてるんだけど、司令もそれに付き合わされてるのよ」

舞風「私もたまに付き合うけど、毎朝10キロ走るのはキツいよねぇ」タハハ

響「毎朝? 10キロ?」

霰「……すごい、です」



Pa提督「か、勘弁してくれ! この間付き合ったばかりじゃないか……!」

長良「この間って、もう5日も前の話でしょ!」

大鳳「いいですか提督。走り込みも筋トレも、継続しなければ意味が無いんですよ?」

長良「過度にやり過ぎるのは逆効果だけど、提督は私たちと違って普段体を動かさないんだから! ほら、立った立った!」

Pa提督「ま、待て! 今から昼飯を……」

長良「そんなカロリーの高そうな物を食べてからだと存分に動けませんよ!」ガシッ

大鳳「運動してお腹を空かせれば、その分ご飯も美味しく感じられます。さぁ行きましょう!」ガシッ

Pa提督「や、やめろ! やめてくれえええぇぇぇぇぇ………」ズルズル...




不知火「……引きずられていってしまいましたが」ポカーン

白露「大鳳さんと長良さんは健康マニアっていうか、トレーニングオタクだからねー」

舞風「流石に毎日はアレだけど……それもこれも提督の健康を思ってのことだし、いいんじゃない?」モグモグ

陽炎「はぁ……演習前にぶっ倒れなきゃいいけどね」


提督(……やっぱり、この鎮守府ヤバいんじゃないか?)


176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/07(金) 23:27:45.89 ID:tsUUFcNLO
今回はここまで
パッション鎮守府キャラ設定その2



ポーラ……酒と言ったらポーラ、ポーラと言ったら酒というぐらいの飲兵衛。ストッパーであるザラ姉さまが未着任のため無制限に飲みまくる

長良……運動マニア(主に走るのが好き) Pa提督やアイオワをよくジョギングに誘っている(そのおかげでアイオワは太らずに済んでいる)

大鳳……筋トレマニア。『ダンベル何キロ持てる?』という質問に対し「トンの間違いでは?」と素で返したのはあまりにも有名



次回も1週間以内に更新できたらいいです
それでは
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/07(金) 23:55:29.25 ID:LeHBqcnP0
トンは無理だろjk
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/08(土) 00:01:40.98 ID:oteMb/z40
(頭が)パッション
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/08(土) 00:03:10.43 ID:jSPZAkf8o
おつー
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/08(土) 02:06:43.46 ID:y7bjI/pq0

>>177
大鳳16万馬力だしいけるんじゃない?まあこれ基準にしちゃったらグラーフは20万馬力で大鳳を上回っちゃうけど...
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/08(土) 09:57:57.29 ID:4VJgimsco



毎日10kmとか、せめて提督には自転車使わせてやろうよ
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/08(土) 18:52:50.22 ID:y7bjI/pq0
>>181
ランなら10kmだがバイクなら40km、スイムなら1.5kmだぞ
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/09(日) 12:42:38.24 ID:czGtdfQG0
10kmくらいなら週二くらいでやると丁度いいわ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 19:59:08.55 ID:8bifDXqFO
投下します
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:05:49.45 ID:8bifDXqFO

――
――――
――――――




―― パッション鎮守府 第1会議室 ――


Pa提督「……では、これより……演習の、メンバー発表を、行う……」グッタリ




白露「……ねぇ、アレ大丈夫なの?」ヒソヒソ

千代田「いつにも増してツラそうなんだけど」ヒソヒソ

陽炎「そりゃまぁ食事抜きで10kmマラソンやらされたらああなるでしょうよ……」ヒソヒソ

舞風「あれだけ走った後じゃあ食事も喉を通らないよねぇ」ヒソヒソ

デ・ロイテル「それ以前に向こうの空母2人がほとんど食べ尽くしちゃってて、提督の分は残ってなかったけどね……」ヒソヒソ

大鳳・長良(少しやり過ぎたかしら……)←戦犯


ポーラ「てーとくぅ〜、そんなんじゃ演習にも勝てませんよ〜♪」ニヘラ〜

伊19「ほらほら、しっかりするのね!」バシン! バシン!

Pa提督「わ、分かったから背中を叩くんじゃない……!」イテテ...




Pa提督「……コホン」

Pa提督「では、確定している5人のメンバーを発表する」キリッ


一同「!」ザッ


デ・ロイテル(皆の空気が変わった……!)

陽炎(何だかんだ決めるとこは決めるのよね、うちの司令は)フフッ


186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:08:42.24 ID:8bifDXqFO


Pa提督「まず……旗艦、アイオワ!」

アイオワ「Yes sir!」



Pa提督「続いて……イク!」

伊19「はいなのー!」



Pa提督「大鳳! 千代田!」

大鳳「はっ!」ビシッ

千代田「はい!」



Pa提督「ポーラ!」

ポーラ「えぇ〜?」グデーン




Pa提督「以上5名が確定メンバーだ。残る1名はバランスを考慮して駆逐艦にしたいが……」

陽炎「だったら舞風を推薦するわ」

舞風「えっ、私?」キョトン

Pa提督「ふむ……理由を聞こうか」

陽炎「まぁ凄い個人的な理由だけど……成長した妹同士の戦いが見てみたいのよ」

Pa提督「妹同士というと……向こうの鎮守府にいる不知火のことか?」

陽炎「ええ。私自身が相手してあげるのも悪くないけど、せっかくなら舞風と不知火の戦いを見てみたいなって」


舞風「不知火姉さんとかぁ……うん、私はオッケーです!」

千代田「あら、やる気満々じゃない」

舞風「はい! 強くなった私の姿を不知火姉さんにも見せてあげたいなーって!」

Pa提督「……白露はそれでいいか?」

白露「うーん……ほんとは参加したかったけど、今回は舞風に譲ってあげる!」

陽炎「悪いわね、白露」

白露「いいっていいって! 同じ長女として陽炎の気持ちも分かるし」

白露「その代わり、もし今度私の妹たちと演習する機会があったら譲ってね!」


Pa提督「よし、では6人目は舞風で決まりだな」


187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:12:15.85 ID:8bifDXqFO


長良「……ねぇ司令官。このメンバーに決めた理由を聞いてもいい?」

デ・ロイテル「私も聞きた〜い! ていうか参加したかったんだけどな〜」チラッ

Pa提督「分かった分かった。ちゃんと説明するから、それで今回は我慢してくれ」

デ・ロイテル「むー……理由次第かな」



Pa提督「まず、アイオワとイクをメンバーに採用した理由だが、相手側が“慣れていない”からだ」

長良「慣れていない?」

Pa提督「相手方の鎮守府はウチと同じで規模が小さく、所属している艦娘の人数も少ない」

Pa提督「事前に得た情報では、戦艦と潜水艦が1人も着任していないらしい」

Pa提督「ゆえに戦艦と潜水艦に関する知識が少なく、身内での演習もできないことから対処法も心得ていないはずだ」

Pa提督「つまり、戦艦や潜水艦と戦うことには“慣れていない”と踏んで、2人の採用を決めた」


陽炎「なるほどね。確かに普段から戦っている艦種よりも、戦い慣れていない艦種を相手にする方が厄介だもの」

Pa提督「ああ。特に潜水艦との戦いには対潜に特化した装備とそれなりの経験が必要だからな」

千代田「ふーん。つまり、相手の苦手な艦種で迎え撃つってことね」

デ・ロイテル「……なんかちょっとズルくない?」

Pa提督「そう思われても仕方がない。だが、何事も勝ちに拘るのが私の信条でな。お前たちもそうだろう?」

デ・ロイテル「まっ、そうよねー」

長良「やるからには勝たないと!」フンス

大鳳「相手の弱点を突くのは戦の定石です。それに、事前の情報収集も立派な戦略の一つかと」

Pa提督「そういうことだ。2人とも、やってくれるか?」


アイオワ「OK! 戦艦の火力と装甲を見せてあげるわ!」

伊19「イクも潜水艦の怖さをた〜っぷり教えてあげるのね!」ニヒヒッ


188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:16:10.51 ID:8bifDXqFO


Pa提督「次に、大鳳と千代田を採用した理由だが、これは単純に制空争いで負けないためだ」

陽炎「相手側には加賀さんとグラーフさんがいるしね」

長良「こっちも空母を2人ぶつけないと、制空権を取られて空からの攻撃に対し無防備になる、か」

Pa提督「ああ。特に加賀の艦載機搭載数は空母随一と聞くからな。大鳳か千代田のどちらか1人だけでは太刀打ちできんだろう」

大鳳「グラーフさんの実力も未知数ですし、航空戦力は多いに越したことはないでしょう」


千代田「それは分かったけど……私は軽空母よ? 相手は2隻とも正規空母だし、ちょっと分が悪くない?」

Pa提督「確かに正規空母と軽空母とでは基礎スペックに若干の差はあるかもしれない」

Pa提督「……だが私は、お前が加賀や大鳳たちに劣っているとは思わない」

千代田「!」

Pa提督「それとも……正規空母を相手にする自信が無いか?」

千代田「だっ、誰も自信が無いだなんて言ってないわよ! フン! そこまで言うならやってあげるわ!」///

Pa提督「よし、その意気だ」ハハ





白露「千代田さん、少し照れてない?」ヒソヒソ

デ・ロイテル「正規空母に劣ってるとは思わないって言われたのが嬉しかったんじゃない?」ヒソヒソ

陽炎(千歳さんのことしか頭にないと思ってたけど……もしかして意外と司令のことを……)ムムッ


189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:19:54.70 ID:8bifDXqFO


大鳳「私も軽空母が正規空母より下だとは思いません。ですが、私たちが真っ向から挑んだところで優位に立てるでしょうか?」

長良「そうよね。軽空母だとかは関係なく、2対2じゃ制空権を確実に奪い取るのは難しい気がするけど……」

デ・ロイテル「良くて拮抗……相手に制空権を取らせないことはできても、こっちも同じく制空権は取れないんじゃない?」

Pa提督「確かに、普通に航空戦を仕掛けたところでジリ貧だろう」


Pa提督「そこで……2人には“アレ”をやってもらう」

大鳳・千代田「!」


陽炎(なるほどね。確かに“アレ”なら加賀さんたちとも互角以上に戦えるかも)

アイオワ(久々に大鳳たちの“アレ”が見られるなんて……フフッ、楽しみね!)


Pa提督「……どうだ? 頼めるか?」

大鳳「……分かりました。千代田さん、頑張りましょう!」

千代田「ええ。私の背中、大鳳さんに預けるから!」

Pa提督「制空争いの負けはそのまま演習の負けに繋がる。逆も然り、だ。……2人とも頼んだぞ」

大鳳・千代田「「はい!」」


190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:26:24.65 ID:8bifDXqFO


Pa提督「そしてポーラを採用した理由も、制空争いをより有利にするためだ」


Pa提督「先程も述べたが、戦闘において制空権の確保は非常に重要だ」

Pa提督「制空権さえ確保してしまえば空からの攻撃を警戒する必要が無くなり、対空砲火を捨てて砲撃戦に専念できる」

Pa提督「純粋な砲撃戦になれば、火力・装甲・射程の優れたアイオワを擁するこちら側が圧倒的に有利だ」

Pa提督「それに制空権が取れれば『弾着観測射撃』が使用可能になり、ますますアイオワが戦いやすくなる」

Pa提督「あらゆる点を考慮しても、制空権を取ることにはメリットが多い」


陽炎「それは分かるけど、どうしてそれがポーラさんを採用することに繋がるの?」

Pa提督「簡単な話だ。相手の空母をより倒しやすくするためだよ」

Pa提督「装甲空母を除いた全ての空母に共通する弱点として、中破すると艦載機を発艦できない、という点が挙げられる」

Pa提督「大破や轟沈判定までは追い込めずとも、中破にさえしてしまえばこちらのものだ」

Pa提督「であれば、より少ない手数で相手を中破させられる、火力の高い艦が望ましい」


長良「それで私やロイテルのような軽巡よりも、火力の高い重巡のポーラさんを採用したってこと?」

デ・ロイテル「理屈はわかるけど、私だって火力には自信あるんだから!」

Pa提督「単純な火力だけの問題じゃない。一番の理由は……射程距離だ」


Pa提督「ロングレンジでの戦いを得意とする空母を倒すためには、こちらにも長射程の攻撃手段が多数欲しい」

Pa提督「同じ空母である大鳳と千代田の艦載機、アイオワの大口径主砲、そして……ポーラが持つ“あの装備”」


Pa提督「203mm/53連装砲」


Pa提督「イタリア製の、数少ない長射程の中口径主砲」

Pa提督「装備するだけなら軽巡でも可能だが、元々この装備を所持していたポーラの方が扱いには長ける」


Pa提督「空母を一撃で中破させ得る火力と、長距離からでも相手を狙えるフィット装備」

Pa提督「これがポーラを採用した理由だ」





Pa提督「と、いうわけで……頼んだぞ、ポーラ!」キリッ

ポーラ「う〜ん、ポーラちょっと気分が悪くてぇ〜……辞退してもいいですか〜?」グデーン

Pa提督「」


191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:29:25.91 ID:8bifDXqFO


Pa提督「だ、だからあれほど演習前に飲むなと言ったのに……!」

ポーラ「ごめんなさい〜。また今度ぉ頑張りますから〜」エヘヘ

Pa提督「ダメだ、今さら編成を変えられん! 何とか頑張って出てくれ!」

ポーラ「えぇ〜。そう言われてもぉ、無理なものはむーりぃー」ダラーン


Pa提督「お、お前なぁ……」

アイオワ「全く、仕方ないわねぇ」

アイオワ「ポーラ! もし演習で勝てたら、1週間好きなだけお酒を飲んでもいいそうよ!」

Pa提督「はぁ!?」

ポーラ「ホントですかぁ!?」ガバッ

Pa提督「ま、待て! そんなこと一言も……」

ポーラ「ポーラ、頑張りますっ! 空母でも重巡でも、バンバンやっつけちゃいますよぉ〜!」キラキラ


Pa提督「お、おいポーラ!」

白露「提督、こうなった以上諦めたら?」

アイオワ「やる気になってくれたんだし、別にいいじゃない」

Pa提督「他人事だと思って……大体1週間飲み放題って、その酒は誰が用意するんだ?」

長良「そりゃあもちろん」

デ・ロイテル「提督でしょ?」

Pa提督「ですよねチクショウ!!」







Pa提督「はぁ……演習前なのに、もう疲れた……」グッタリ

大鳳「大丈夫ですか? やはり日々の鍛錬が足りていないのでは……」

長良「おっ、なら明日からは+3kmいっときます?」

Pa提督「いやぁ元気が有り余って仕方ないなぁ! 演習ガンバルゾ!」ハハハ

陽炎(やれやれ、先が思いやられるわね……)ハァ

Pa提督(……早く終わらせて休みたい……)ガクッ



――――――
――――
――


192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:32:55.51 ID:8bifDXqFO


―― 第2会議室(クール鎮守府一行の控え室) ――



提督(……さて)

提督(今から演習前の作戦会議なわけだが)チラッ




加賀「……………」

グラーフ「……………」

那智「……………」

不知火「……………」

響「……………」

霰「……………」




提督(……こえぇよ)

提督(戦いの前だからだろうか、いつにも増して全員殺気立ってやがる……!)ブルッ




加賀・グラーフ(夕食も楽しみです(だな))

那智(夜には酒も出るのだろうか……)

霰(……………)←特に何も考えてない


193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:36:38.73 ID:8bifDXqFO


提督(こいつらは全員、見た目や雰囲気通りの武人気質だ)

提督(那智やグラーフはもちろん、響や霰でさえ遊びと称して日々サバゲーに明け暮れる始末)

提督(演習とはいえ、こと戦闘に関しては一切手を抜くつもりなど無いだろう)

提督(そんな連中が、もし演習で負けたらどうなる……?)



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

那智『……負けたのは、貴様の指示が悪かったせいだぞ』チッ

加賀『元々期待していなかったとはいえ、何ですかあの穴だらけの作戦は?』ハァ...

不知火『不知火を本気で怒らせたわね……』ギロッ

響『〇ね』

霰『むしろ〇す』

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




提督(……………)








提督(勝 た ね ば)


提督(勝って、生き残らねば……!)ガタガタ


194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:40:50.71 ID:8bifDXqFO


提督(俺は提督! 俺は首席! 俺は優秀!)

提督(考えろ! 考えて、考えて、考え尽くせ!)

提督(灰色の脳細胞を総動員し、ありとあらゆる策を捻り出すんだ!)グヌヌヌ...



加賀(提督が……)

不知火(いつにも増して真剣な表情を……!)ゴクリ

那智(やつの気迫と、この戦いに対する熱意が伝わってくるようだ……!)

グラーフ(これは期待に応えねば、な)フッ



提督(嫌だ! まだ死にたくない! 提督を辞めたくない!)

提督(……いかん、ネガティブになるな! 発想を逆転させろ!)

提督(そう、ピンチはチャンス! これはチャンスなんだ!)

提督(もしこの戦いで俺の策が見事にハマり、大勝利を収めたとしよう)

提督(そうすればきっと――)



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

加賀『提督、見事な指揮でした』

那智『今回の勝利は……貴様のおかげだな』フッ

グラーフ『見直したぞ、Admiral!』

不知火『今までの非礼をお許しください。今後とも、ご指導ご鞭撻、よろしくお願いします!』ビシッ

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





提督(こ れ だ !)

提督(俺はこの戦いを乗り越えて、実力でこいつらを従えてみせる……!)


195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:46:00.81 ID:8bifDXqFO


提督「……では、これより作戦会議を始める」

一同「!」


提督「まずは編成についてだが……旗艦は加賀に任せたい」

提督「艦載機による広範囲の視野を持ち、冷静に状況分析のできるお前がリーダーに打ってつけだ」

提督「……頼めるか?」

加賀「ええ。鎧袖一触よ、心配いらないわ」キリッ




提督「そして、グラーフには加賀と一緒に制空権の確保に尽力してもらいたい」

提督「向こうも恐らく空母2隻が出てくるだろうからな」

提督「装備に関しては……また後で指示を出す」

グラーフ「了解した。私に任せておけ」キリッ




提督「那智は駆逐艦に指示を出しつつ、敵の巡洋艦クラスの相手をしてくれ」

提督「本来なら軽巡を組み込んで、小規模な水雷戦隊を編成したいところだが……うちには軽巡がいないからな」

提督「役目が多く、相当な負荷がかかるポジションだが……やれるか?」

那智「愚問だな。那智の戦、見ていてもらおうか!」キリッ




提督「不知火、響、霰の3人には、対空砲火と対潜警戒を頼む」

提督「俺の予想が正しければ、恐らく潜水艦……イクが出てくるはずだ」

提督「役割はある程度分担してもらうが、状況に応じて臨機応変にも動いてほしい」

不知火「分かりました」ビシッ

響「勝ってみせるよ」

霰「頑張り、ます」



提督「よし、では詳しい作戦とそれぞれの装備について説明する――」



――――――
――――
――


196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/14(金) 20:50:05.56 ID:8bifDXqFO


――
――――
―――――――



提督「――という作戦で行く」

提督「……異論はないか?」



一同「……………」シーン



加賀(……相手の鎮守府にどのような艦娘が所属しているかは、今日ここに来てから初めて知ったはず)

加賀(にも関わらず、向こうの艦種や編成を考慮したうえで、これほどの作戦を短時間で立案するなんて……)

加賀(何でしょうか……気分が高揚します……!)



不知火(……司令)

不知火(必ずや、司令の期待に応えてみせます)

不知火(それに陽炎姉さんや舞風にも、いいところを見せないとね)



提督(……つ、疲れた)

提督(頭を捻りすぎて知恵熱が出そうだ……)

提督(だがやれるだけのことはやった。あとは……こいつら次第だ)




提督「では…………必ず勝つぞ!」

一同「はい!!」



――――――
――――
――


197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/14(金) 20:52:05.06 ID:8bifDXqFO
今回はここまで
提督たちはやればできる子(という設定)


次回からはようやく演習です
戦闘描写は初めて書くので時間がかかるかもですがお待ちください
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/14(金) 21:59:00.05 ID:lfp7Nuc7O
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/14(金) 22:09:09.82 ID:iwkGXaD0o
おつおつ
モチベーションが最悪なのにパフォーマンスが落ちないとかかクッソ優秀じゃないか…
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/14(金) 22:53:27.06 ID:LdxkKHbtO


対潜はシフト組めてるとしても問題はアイオワか
高速発揮時の射撃精度が悲惨らしいとは言え、あの火力・射程・装甲で加賀よりも速いとか米帝クオリティ恐るべし
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/15(土) 10:03:45.08 ID:ECjw+2LGO
どんだけステータス異常食らっても生きている限り最高のパフォーマンスを発揮するのが帝国軍人の誇りぞ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/15(土) 20:06:12.44 ID:dlt4CjZR0
Cu提督がどんなステータス異常食らってるか楽しみだ
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 10:24:33.98 ID:ssKdCrqKo
待ってる
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 10:54:44.17 ID:nxS/CkZu0
舞風舞ってる
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/17(火) 21:06:50.87 ID:FP/NGIHk0
エタ?
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/19(木) 22:55:10.54 ID:Tf9fLR0iO
申し訳ありません。>>1です
仕事が繁忙期なのとリアイベ(艦これ)とが重なって更新が停滞しています
途中までは書き上がっており、書き続ける意志はありますので今しばらくお待ち頂ければ幸いです・・・
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/19(木) 22:57:20.60 ID:uYfl6xcq0

無理強いはしないが酉とかあったらなと思う
208 : ◆wI6nKiwnSc :2020/03/29(日) 23:20:15.86 ID:W7gHD0u4O
>>207
ご指摘ありがとうございます。酉付けました

経過報告になりますが、数日中には投下できそうです
待ってくれている方は申し訳ありません
209 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 21:48:16.00 ID:5DABnN68O
お待たせしました。再開します
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/02(木) 21:50:04.28 ID:5FgaGw6po
うおおお!
待ってた!
211 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 21:54:38.86 ID:5DABnN68O


―― パッション鎮守府 母港 ――



Pa提督「――ではこれより、ルールの説明と確認を行います」


Pa提督「今回はより実戦に近い形式を取るため、鎮守府近海全域を使った広範囲演習となります」

Pa提督「全員にマップを配布しますので各自確認していただき、指定範囲から離脱することのないようご注意ください」

Pa提督「万が一指定範囲からの離脱が確認された場合は、その時点で失格となります」

Pa提督「演習に参加しない長良とロイテルを監視役および審判として派遣しますので、各員は彼女たちの判定に従ってください」

Pa提督「当然ですが、厳正かつ公平な判定をお約束します。2人とも、頼んだぞ」

デ・ロイテル「ちゃーんとフェアなジャッジをするから安心してね!」

長良「私たちにお任せください!」



Pa提督「事前にお伝えしたように、演習開始時刻はヒトゴーマルマルです」

Pa提督「現時刻がヒトヨンフタマルですので、開始時刻までにそれぞれの初期位置へ移動をお願いします」

Pa提督「なお、互いの初期位置が分からないようにするため、各チームの旗艦はクジを引いていただき、そこに書かれている座標へ移動してください」

提督(なるほど、初期位置はランダムで決まるということか)

提督(となれば純粋な戦闘力だけでなく、いかに素早く敵を見つけ出すかという索敵力も問われることとなる)

提督(先程も言っていたが、かなり実戦に近い形式だな……)



Pa提督「ではクジ引きを行いますので、各チームの旗艦は前へ」

アイオワ「OK!」

加賀「はい」


――――
――


212 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:02:23.51 ID:5DABnN68O

――
――――



Pa提督「――どちらかの艦隊全員が轟沈判定を受けるか、指定時刻に達した時点で演習は終了です」

Pa提督「指定時刻はヒトキュウマルマル。それまでに決着がつかなかった場合は、その時点での各被害状況や残存している人数によって判定を行います」



Pa提督「それでは、各チームはクジに書かれている座標まで移動を開始してください」


――――――
――――
――




【クール艦隊】


加賀「……指定されたポイントに到着しました」

響「肉眼では陸地がほとんど見えないね」

グラーフ「これだけ離れていれば沿岸部に流れ弾が飛んでいくこともないだろう」

不知火「ですね。周りを気にせず戦えます」

那智「さて、時刻は……ヒトヨンゴーマルか。皆、装備の最終点検を済ませておこう」

霰「了解、です」







【パッション艦隊】

アイオワ「――Stop! 目的のポイントに到着したわ」

舞風「よーし! 準備体操準備体操っと」イッチニー

ポーラ「お酒……飲み放題……」ブツブツ

大鳳(大丈夫かしら……?)



213 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:08:31.86 ID:5DABnN68O


―― パッション鎮守府 モニタールーム ――



Pa提督「こちらがモニタールームになります」

Pa提督「演習の様子は長良とロイテルに持たせたカメラを通じて、このモニターに映し出されます」

Pa提督「どうぞ、あちらの席にお掛けください」

提督「これはどうも」





Pa提督「……間もなく開始時刻ですね」

提督「ええ」

Pa提督「………………」

提督「………………」



Pa提督「…………あいつらは」ボソッ

提督「?」

Pa提督「あいつらは……ご覧になられた通り、喧しくて落ち着きが無く、上官に対する敬意も感じられない問題児ばかりです」

Pa提督「ですが……間違いなく強い」

Pa提督「出会ってまだ1年と少しですが、こと戦闘においてはあいつらのことを信頼しています」

Pa提督「……貴方はどうですか?」

Pa提督「自分の艦娘たちを、信頼していますか?」


提督「……………」

提督(俺は……)



 加賀『……いえ、これが私の仕事ですので』



提督(俺は、あいつらのことを……)



 不知火『こちらの書類ですが、計算に誤りがあります』



提督(信頼……しているのか……?)


214 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:15:15.49 ID:5DABnN68O



『ええ。鎧袖一触よ、心配いらないわ』

                      『今後とも、ご指導ご鞭撻、よろしくです』


 『そうこなくてはな! よし、今夜ばかりは私も飲ませてもらおう!』


        『ふふっ、分かっている。貴官でもそのように狼狽えたりするのだな』


『……私たちと遊ぶのは、やっぱり嫌?』


                  『勝ってみせるよ』





提督「…………分かりません」

Pa提督「…………」

提督「恥ずかしながら……彼女たちと良好な関係を築けているとは思えません」

提督「彼女たちが何を考えているのか、私に対してどう思っているのか、分からない時が多々あります」

提督「……ですが」

提督「ですが、これだけははっきりと言えます」




提督「彼女たちに、勝ってほしい――」


提督「私自身が勝ちたいというのではなく、“彼女たちに”勝ってほしいと」


提督「そう思えるくらいには、彼女たちのことを想っています」



――――――
――――
――

215 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:21:05.08 ID:5DABnN68O



    カチッ、カチッ、

  14:59:50



加賀「間もなく開始時刻です。準備はいいかしら」



    カチッ、カチッ、

  14:59:52



那智「ああ。偵察機の発艦準備、整っている!」



    カチッ、カチッ、

  14:59:55



アイオワ「さあ、私の火力、見せてあげるわ……!」



    カチッ、カチッ、

  14:59:58



大鳳「………………」スゥー、ハァー



     カチッ

  15:00:00




=== 演習 開始!! ===


216 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:32:07.64 ID:5DABnN68O
※ここから先は戦闘描写のため、地の文が入ります
※作者は軍事ネタに詳しくないため、どこかおかしい表現や描写があるかもしれませんがご容赦ください

↓↓↓






【クール艦隊】


加賀「偵察機、発艦始め!」

那智「了解!」


加賀の号令と共に、那智の艤装から偵察機が発艦させられる。
零式水上偵察機と呼ばれる、もっともオーソドックスな水上偵察機だ。


加賀「今回、私とグラーフさんは航空戦に注力するため、艦上偵察機を装備していません」

加賀「どちらが先に敵の位置を掴めるかは、貴女の偵察機にかかっているわ」

那智「心得た!」


艦娘の艤装には“スロット”と呼ばれる、装備を搭載するためのスペースが3〜5ヵ所備わっている。
そして、スロット1ヵ所につき1種類の装備しか積むことができないというのが艦隊運用における常識だ。

故にどのスロットにどの装備を搭載するかによって、戦局は大きく左右されることとなる。
装備の組み合わせや搭載数次第で、試合が始まる前から半分以上は勝敗が着くといっても過言ではない。


今回、クール鎮守府を率いる提督は制空権の奪取と航空戦における火力を最優先とし、空母の貴重なスロットを攻撃機と戦闘機に割いていた。
“彩雲”と呼ばれる優れた艦上偵察機を装備して索敵能力を伸ばすという手もあったが、そうなると1つのスロットが偵察機で埋まってしまい、その分攻撃機と戦闘機の積める数が少なくなってしまう。
提督はそれを嫌ったのだ。




提督(……しかし、那智の装備できる零式水上偵察機は性能面で艦上偵察機に大きく劣る)

提督(もし相手の空母が艦上偵察機を装備していた場合、索敵能力では大きく差を付けられることになるが……)



217 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:36:38.65 ID:5DABnN68O


【パッション艦隊】


千代田「――見つけた」


偵察機越しに伝わってきた情報に、千代田の口角が僅かに上がる。


千代田「彩雲から得た情報によると、敵艦隊までの距離およそ30000。まだこちらには気付いてないみたい」


彩雲。
航空母艦と一部の航空戦艦のみが装備できる、高性能な艦上偵察機。
クール鎮守府の提督が危惧した通り、那智の零式水偵を性能面で遥かに凌ぐ偵察機が、千代田には搭載されていた。


千代田「さて……どうする?」

アイオワ「もちろん先制攻撃よ! 優先目標はAircraft carrier! カガとグラーフ!」

大鳳「了解しました。攻撃機、発艦始め!」

伊19「それじゃあ私も行ってくるのね〜」


大鳳が大量の攻撃機を空に向けて発艦させる。
と同時に、潜水艦である伊19も敵艦隊に向けて潜航を開始した。


アイオワ「初撃が肝心よ。ここでどれだけ痛手を負わせられるかで、今後の展開が決まってくるわ」

アイオワ「……まぁ、展開がどうなるにせよ、結果は私たちのVictoryで揺るがないけどネ☆」



――――
――


218 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:42:46.35 ID:5DABnN68O


那智「――! 何かが来る! 6時の方向!」


那智の放った偵察機が、迫りくる敵の航空隊の姿を捉える。
距離にしておよそ5000。
もう間もなく敵の攻撃圏内に入ろうとしていた。


那智「くっ! すまん、発見が遅れた!」

グラーフ「仕方がない。どうやら敵空母は艦上偵察機を装備しているようだ」

不知火「ここまで早く発見されたということは、恐らくそのようですね……!」


本来、那智のような重巡が得意とするのは砲雷撃戦であり、艦載機の扱いには精通していない。
水上偵察機と艦上偵察機の性能差。
そして重巡と空母という艦種の違い。
これだけのハンデの中、攻撃を受ける前に敵の航空隊に気付けただけでも賞賛モノだろう。


加賀「――迎え撃ちます。グラーフさん、発艦の用意を!」

グラーフ「了解した!」

加賀「響、霰は対空砲火に専念。不知火と那智は周囲を警戒しつつ前進を。こちらからも仕掛けます!」

一同「了解!」


219 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:47:30.70 ID:5DABnN68O


大鳳「――気付かれたみたいね……でも、もう遅いわ」

大鳳「艦攻隊、艦爆隊、攻撃開始!」


大鳳の指示を受けて、艦載機から大量の魚雷と爆弾がばら撒かれる。
加賀たちは未だ発艦動作の途中であり、その一瞬の隙を狙った絶妙なタイミングでの攻撃。

着水した魚雷は海を掻き分けて猛進し、上空で放たれた爆弾は周囲一帯に雨を降らせるが如く落下していく。


加賀「――っ! 総員、回避行動を!」

グラーフ「くっ! まだ発艦の途中だというのに……!」


襲い来る猛攻をギリギリのところで回避していく加賀たち。
発艦動作を中断し、回避に専念していなければ被弾していたかもしれない。
加賀による咄嗟の指示で開幕早々に損害を受けるという事態は免れたが、未だ攻撃の手は止まず、加賀もグラーフも艦載機を発艦できないでいた。


響「好き勝手はさせないよ!」

霰「霰、行きます……!」


高角砲と対空機銃を装備した響と霰が、敵艦載機に対空砲火を浴びせていく。

しかし――


響「……っ! 数が多すぎる!」

霰「動きも、速い……!」


まるで弾道と弾道の間を縫うかのように、ひらりひらりと攻撃を躱される。
流石に全ては回避しきれず、数機が対空砲火によって落とされていくが――
全体の数からしたらほんの僅かであり、とても損害を与えたとは言えないレベルの戦果だ。

だが、敵艦載機が対空砲火に対する回避行動を取ったおかげで、加賀たちにもほんの少しの余裕が生まれる。


加賀「今です! 発艦始め!」

グラーフ「了解!」


ようやく加賀たちの艦載機が空に向かって解き放たれる。
2人の元から飛び立った機種は艦上戦闘機と呼ばれる、敵艦載機を撃ち落とすことを目的とした機体だ。


加賀「ひとまずこの攻撃を凌ぎます! 私とグラーフさんは艦戦による迎撃を、響たちは引き続き対空砲火に専念してください!」

グラーフ「分かった! フォッケウルフの力、思い知れ!」

響「こっちも了解だよ!」


220 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 22:53:51.93 ID:5DABnN68O


大鳳「……敵の艦戦が出てきました。千代田さん、お願いします」

千代田「了解。もう間もなく到着するわ」


先制攻撃には成功したものの、まだ敵艦隊にダメージを与えられてはいない。
その上、こちらの初撃を回避した相手には反撃の兆候も見られる。

――だというのに、大鳳と千代田には焦りの色が全く見られなかった。


大鳳「さて、ここからが私たちの本領発揮よ……」

千代田「えぇ。そろそろ本気を出しちゃおっかな!」



――――――
――――
――




加賀「! 敵の艦戦を確認しました!」

グラーフ「数は27……いや、30!」

加賀「制空権を取られるわけにはいきません! 敵攻撃機の迎撃と並行して、敵艦戦の撃墜もお願いします!」

グラーフ「了解した!」


敵攻撃機の対処に当たっていた艦戦のうち、およそ半数が新たに飛来した敵艦戦を迎え撃つため航空隊から分離する。

艦攻、艦爆、艦戦。

上空は敵と味方の艦載機が入り乱れる、激戦区と化しつつあった――


221 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 23:03:45.46 ID:5DABnN68O


―― モニタールーム ――


提督(……先手を打たれてしまったか)

提督(やはりこちらも彩雲を積んでおくべきだったか? ……いや、ここを耐え凌ぎさえすれば勝機はある)


提督(相手は彩雲にスロットを1つ割いている分、艦攻や艦爆の搭載数は少なくなっている)

提督(つまり、数少ない攻撃機を雑に扱うことはできないはずだ。もし攻撃機を全機撃墜されてしまえば、攻撃手段を失うからな)

提督(故に撃墜されることを恐れて攻め方も慎重になり、攻めるにも攻めきれないはず)

提督(この初撃を耐え、なるべく多くの敵攻撃機を落とすことができれば……)





Pa提督(……流石にやりますね)

Pa提督(大鳳の先制攻撃を受けてなお、誰一人小破すらしていないとは)

Pa提督(……ですが、ここからが本番です)

Pa提督(大鳳と千代田の“十八番”をお見せしましょう……!)


222 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 23:15:49.29 ID:5DABnN68O


加賀(……おかしい)


最初に違和感に気が付いたのは加賀だった。


加賀(相手の艦戦の動きが洗練されすぎている……!)


艦戦同士の空中戦。
いわゆるドッグファイトと呼ばれる戦闘を先程から繰り広げているのだが、こちらの撃墜数に比べて、相手の撃墜数の方が僅かにリードしている。


加賀(おまけに敵攻撃機の雷撃と爆撃も一向に止む気配がない……)

加賀(それどころか、こちらに撃墜されることを一切恐れていないかのように、深いところまで突っ込んでくる……!)


敵は彩雲にスロットを割いている分、攻撃機や艦戦の搭載数は少なくなっているはず。
そのため相手は少ない攻撃機を粗末に扱うことができず、慎重かつローリスクローリターンな攻撃しか仕掛けてこない。
また、艦戦の数もこちらと同等かそれ以下のはずなので、制空争いで負けることはないだろう――

それが提督の判断であったはずだ。
しかし、現実はどうだろうか?

敵の攻撃機はこちらの艦戦による迎撃を恐れず、果敢に猛攻を繰り返し、

敵の艦戦は数で勝るこちらの艦戦に打ち勝ちつつある。


加賀(くっ! 一体なぜ……!?)


現存する空母たちの中でもトップクラスの練度と実績を誇る加賀。
その加賀の目から見ても、敵の艦載機の扱いは見事というほかない。

いくら自分でも、ここまで軽快なドッグファイトを披露しつつ、それと同時に攻撃機による正確無比な攻撃を行えるかどうか――


加賀(……『同時に』? ………まさか!?)


223 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 23:22:42.67 ID:5DABnN68O


空母の扱う艦載機には、いくつかの種類が存在する。


周囲の偵察を行い、敵を発見することを主な役目とする艦上偵察機。

敵の艦載機を撃ち落とすことで、制空争いに打ち勝つための艦上戦闘機。

魚雷を搭載し、敵にダメージを与えることに特化した艦上攻撃機。

艦上攻撃機とは違い上空からの攻撃手段を持ち、陸地への攻撃も可能とする艦上爆撃機。


空母はこれらの艦載機を同時に、並行して扱うことが求められる。


Pa提督(……しかし、それは左手で文字を書きながら、右手でキーボードを打つようなもの)


攻撃機の操作だけに気を取られていては艦戦の操作が疎かになり、敵機に撃墜されてしまう。
かといって艦戦の操作だけに気を取られていては攻撃の手が休まることとなり、相手に反撃の隙を与えてしまう。
そうならないためには、並行して複数の艦載機を操作する必要があるのだ。


Pa提督(当然、それは簡単なことではない)

Pa提督(異なる種類の艦載機を同時に複数扱おうとすれば、どこかで必ず綻びが生じる)


艦戦によるドッグファイトの最中には攻撃機の動きが緩慢になり、
攻撃機による雷撃や爆撃の最中には艦戦の軌道が単調になる。
それは致し方ないことであり、どれだけ訓練を積んだところで完璧にこなすことは不可能と言われている。


Pa提督(訓練を重ねたところで、脳の数が増えるわけでもない)

Pa提督(空母の脳は他の艦種や人間のものに比べて、物事を並列処理することに長けているとは聞くが……)

Pa提督(それでもやはり限界はある)


空母が艦載機を運用する上で必ず突き当たる課題。
それが、艦載機の並列操作によって生じる操作制度の低下であった。


224 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 23:29:51.05 ID:5DABnN68O


Pa提督(――だがもし、異なる種類の艦載機を並列操作する必要がなかったら)

Pa提督(2つの操作を同時に行うよりは1つの操作に専念した方が、より精度は高くなる)


それは至極当然のこと。
左手で文字を書き、右手でキーボードを打つような真似をすれば、書き損じやタイプミスも発生するだろう。
しかし、まず先に文字を書き終えてから、次に両手でキーボードを操作すれば。
同時に2つの作業を消化することはできないものの、それぞれの作業の精度は格段に増す。

二兎を追う者は一兎をも得ず……ではないが、一兎を追うことに集中した方が、より確実に成果を得られるのは明白だ。


Pa提督(攻撃機と戦闘機を同時に運用すれば、それぞれの精度はどうしても落ちてしまう)

Pa提督(ならば最初から、どちらか1つしか運用しなければいい)


大鳳には艦攻と艦爆を搭載し、攻撃に専念させ、

千代田には艦戦と偵察機を搭載し、索敵と制空に専念させる。

本来、異なる種類の艦載機をバランス良く積むのが最善とされているところを敢えてそうせず、1つのことに特化させる戦術。


Pa提督(――艦戦キャリア)


ほとんどのスロットに艦戦を搭載し、制空権の確保に全神経を注ぐ艦隊運用方法。
千代田が今行なっているのは、正にそれであった。


Pa提督(制空権の確保は千代田に任せきっている分、大鳳には攻撃機しか搭載していない)

Pa提督(大鳳は敵の艦戦を気にすることなく攻撃に専念でき、千代田は攻撃に参加することなく敵機の撃墜にのみ集中できる)

Pa提督(これこそが、大鳳と千代田が得意とする戦術……!)


225 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 23:35:21.64 ID:5DABnN68O


千代田(……圧倒してる! 私が、あの加賀さんたちを相手に……!)


自身の操る艦載機が、加賀たちの艦戦を1機、また1機と墜としていく。
その様を見ながら、千代田は確かな手応えと言い知れぬ高翌揚感を得ていた。


千代田(正規空母を2人同時に、それもあの“一航戦の加賀”を相手にして、互角以上に戦えている……!)


正規空母と軽空母。
同じ航空母艦とはいえ、その間には決して埋められない数値上の差が存在している。

かつて千代田は、自身の上位互換とも呼べるスペックを持った正規空母に対し、少なからず劣等感を抱いていた。

火力、耐久、対空値、搭載数

全てにおいて完全に劣っているわけではないにせよ、総合的に見れば軽空母より正規空母の方が優れているのは明らかだ。
対潜攻撃手段を持っていたり、燃費が良いというメリットも存在するが、戦力として見たときに正規空母には決して敵わない――


千代田(それは仕方のないこと……そう思ってた)


思っていた―――が、千代田は諦めきれなかった。

搭載数で劣るのであれば、より艦載機の扱いを洗練させる。
そうすることで被撃墜数を減らし、継戦能力を底上げすればいい。

火力で敵わないのであれば、火力に左右されない艦戦の扱いを極める。
そうすることで、敵空母の攻撃機を撃墜し火力を削ぎ落としてしまえばいい。

ステータスという数値の差は努力で埋めることはできないが、実戦の勝敗は数値だけでは決まらない――

千代田はそう信じて、これまで鍛錬を続けてきたのであった。


千代田(――千歳お姉、提督、見てて!)

千代田(今日ここで加賀さんたちを倒して、軽空母が正規空母の下位互換じゃないってことを証明して見せるから……!)


226 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 23:45:28.87 ID:5DABnN68O


加賀「――恐らく相手は、攻撃に専念する役と制空権を確保する役とで、完全に役割を分担しているのでしょう」

加賀「そうでなければ、ここまで精密に艦載機を動かすことなどできないはずです!」

グラーフ「なるほどな……だが」

加賀「ええ……」


しかしそれは諸刃の剣でもある。

片方が攻撃機のみを、もう片方が艦戦と偵察機のみしか装備していなかった場合。
攻撃役の空母が倒されてしまえば空からの攻撃手段を一切失うこととなり、ダメージレースで優位に立てなくなる。
逆に艦戦を装備している空母が戦闘不能になってしまえば、敵の艦載機を撃墜する術が無くなり、制空権を喪失してしまう。


加賀(なんてリスキーな……!)


先にも述べたように、艦攻、艦爆、艦戦といった異なる種の艦載機をバランス良く搭載するのが、空母を運用する上で最善と言われている。
その最大の理由は、リスクの分散にあった。


加賀(もし仮に、私が中破して艦載機の発艦ができなくなったとしても、艦攻・艦爆・艦戦を全て搭載したグラーフさんが残っていれば、攻撃手段も制空権も完全には失わずに済む)

加賀(でも相手は……もし大鳳さんか千代田さんのどちらか片方がやられてしまえば、その時点で航空戦における敗北は免れない)

加賀(それを承知の上でこんな戦法を取ってくるということは……よほど自分の腕と、お互いのことを信頼しているようね)



攻撃役は艦戦を積んでいない以上、相手の艦戦に対抗する術を持たない。
にも拘わらず果敢に攻撃を繰り返せるのは、相方が敵の艦戦を撃ち落とし、自身を守ってくれると信じているから――


大鳳(……流石、千代田さんね。こちらの攻撃機を狙ってくる艦戦を、正確かつ優先して撃墜してくれている)



制空権の確保を担う役は攻撃機を積んでいない以上、相手の艦娘を攻撃する術を持たない。
にも拘わらず敵機の撃墜にのみ専念できるのは、自分が攻撃できずとも相方が敵を全て倒してくれると信じているから――


千代田(……相変わらず大鳳さんの攻撃は苛烈ね。私の分まで、たーっぷりお見舞いしてあげて!)


自分が身を守らずとも、相方が守ってくれる。
自分が敵を倒せずとも、相方が倒してくれる。

そんな信頼があってこそ、初めて成立しうる戦法であった。


227 : ◆wI6nKiwnSc :2020/04/02(木) 23:47:54.66 ID:5DABnN68O
今回はここまで
これからも花粉症とコロナと5月病に気を付けつつ、投稿を続けていきたいと思います
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 00:13:43.32 ID:w1SplNOto
お疲れ様
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 00:38:47.66 ID:lJYVIFBW0
おつです
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 01:10:40.37 ID:FTriu2UIo

まさかの流星拳法
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/30(土) 00:10:05.57 ID:h5b1lOJC0
まさかの二か月間近...
232 : ◆wI6nKiwnSc :2020/06/12(金) 20:31:26.71 ID:bm6s7vQZO
出張から帰投したのでひっそりと再開します
233 : ◆wI6nKiwnSc :2020/06/12(金) 20:35:52.16 ID:bm6s7vQZO


不知火「――加賀さん! グラーフさん!」ダッ

那智「待て不知火! 戻ったところでどうにもならん!」


敵陣に斬り込むべく前進していた不知火だったが、敵の攻撃に翻弄される仲間の姿を目にし、思わず足を止め振り返ってしまう。
しかし、そんな行動を随伴していた那智に咎められた。


那智「対空機銃も持たない私たちが駆け付けたところで焼け石に水だ!」

那智「私たちが今取れる最善手は、加賀たちが耐えている間に敵に接近し、それを討つことだろう!」

不知火「っ……! 了解、しました……!」


助けに行きたくなる衝動をぐっと堪え、不知火は前を向きなおす。
確かに那智の言う通り、あの場に戻ったところで自分にできることはほとんどないだろう。
それよりも、一刻も早く敵を見つけ出して反撃に転じなければ、このまま一方的に攻撃され続け大勢が決してしまう。


不知火(艦載機の飛来してくる方角から考えて、敵はこの先に潜んでいるはず……!)


味方を救うためにも、一分一秒でも早く敵の位置を割り出さなければ――
そのためには、先程から上空を通り過ぎていく敵艦載機の軌跡を頼りにするほかない。


不知火(敵の航空部隊はいずれも南南東から飛来している。このまま進めば肉眼でも敵影を捉えられるはず……)


キッと目を細め、敵がいるであろう方向を睨みつける。
おおよその位置に目星を付けた不知火が、敵艦隊に到達すべく更に加速したところで――




 ドゴォォォォン!!




「あぐっ……!!」




後方から、大きな爆発音と仲間の悲鳴が挙がった。

234 : ◆wI6nKiwnSc :2020/06/12(金) 20:41:09.48 ID:bm6s7vQZO





響「――霰!!」

霰「ぅ……まだ、大丈夫……っ!」ボロッ


突如として攻撃を受けた霰。
どうやら脚部に被弾したらしく、バランスを崩して海面に片膝をついている。
心配した響が駆け寄ろうとしたが、気丈にもそれを制し、自らの力で何とか立ち上がった。


グラーフ「霰! 大丈夫か!?」

霰「平気……魚雷が、片足に接触しただけ」

響「いや普通に大ごとじゃないか! 損傷はそこまで酷くないみたいだけど……」


見ると、左足に装着された艤装からプスプスと黒煙が上がっている。
だが航行に支障はないらしく、損傷度合で言えば小破といったところか。



霰(……おかしい)

霰(敵艦載機から放たれた魚雷の数は、ちゃんと把握できてたはず)

霰(絶対に当たらない位置にいて、警戒も緩めてなかった、のに……)


先程から猛攻を受けてはいるが、敵の優先目標は加賀とグラーフの2人らしく、霰と響を狙って魚雷が飛んでくることはほぼ無かった。
それでも加賀たちを狙った攻撃が逸れ、流れ弾が飛んでくる可能性はあったので、警戒を怠らず周囲をよく見ていたのだが……


235 : ◆wI6nKiwnSc :2020/06/12(金) 20:46:39.70 ID:bm6s7vQZO


霰「……さっきの魚雷、どこから飛んできたか、分かる?」

響「いや……敵の艦攻は加賀さんたちに殺到していたし、少なくとも霰に向けて魚雷を放つ瞬間は見てないよ」


霰「…………私の見間違い、かもだけど」

響「?」

霰「さっき、攻撃が当たる直前に……一瞬だけ、魚雷の姿が見えた」

霰「一瞬だったし、水面下だから、はっきり見えたわけじゃない、けど……魚雷のサイズが大きかった、気がする」


自身を襲った謎の魚雷。
ほんの一瞬だけ視界に捉えられたその姿は、敵艦載機から放たれるソレと比べて若干大きいように感じられた。


響「艦攻の放つ魚雷より大きいものとなると……まさか、酸素魚雷?」


酸素魚雷。
空気ではなく純酸素を燃料の酸化剤に用いた魚雷で、その威力と射程距離は通常の魚雷を遥かに上回る。
おまけに排出されるガスの量も少なく、その成分も水に溶けやすいことから、魚雷が通った航跡――雷跡も残りにくいため、敵に発見されづらいという利点も併せ持つ。

しかしその反面、サイズが大きく重量も嵩んでしまうため、艦載機には搭載できないのだが……


響(サイズが大きく、当たる直前まで気付かなかったことも考えると、酸素魚雷である可能性が高い)

響(けど、あれを装備できるのは巡洋艦クラスか潜水艦のみ…………潜水艦!?)


浮上する一つの可能性。

どこからか放たれた酸素魚雷。
しかし周りを見渡しても、魚雷を撃ったであろう敵艦隊の姿は見当たらない。
となると――


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