高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「クリスマスのお散歩を」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:36:26.28 ID:RtuS42tb0
――おしゃれなカフェ。つまりは、いつものカフェ――

北条加蓮「いつもの定食なのに、なんだかすごく美味しい……」

高森藍子「ほら、頑張った後のご飯だからじゃないですか?」

加蓮「そうなのかな?」

藍子「ふふ、きっとそうですよっ。加蓮ちゃん、すっごく頑張ったんですから。……あむっ」

加蓮「あむあむ……ふうっ。白ご飯が美味しく感じるのは大人の証、とかお父さんが言ってたなぁ」

藍子「今の加蓮ちゃんは、大人の加蓮ちゃんですね♪」

加蓮「子供にプレゼントを配るサンタが子供だったら変だもんねっ」

藍子「……確かにっ」


加蓮「…………ところでなんでいつものカフェなのよ」

藍子「ええっ、いまさら!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1577248586
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:37:06.92 ID:RtuS42tb0
レンアイカフェテラスシリーズ第100話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「違うことを試してみるカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「12月中ごろのカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「寒い冬のカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「灰を被っていた女の子のお話」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:38:36.80 ID:RtuS42tb0
前回のあらすじ:12月25日の朝、加蓮と藍子は病院で子供達にプレゼントを配ってあげました。お昼からは、一緒にクリスマス探しです!


「「ごちそうさまでした。」」

加蓮「分かった」

藍子「ふぇ?」

加蓮「藍子は私を他のカフェに連れて行きたくないんだ」

藍子「……へ?」

加蓮「私が最近ちょっとカフェのこと詳しくなって、カフェマスター藍子ちゃんとしての立場が危ういから、私に教えたくないんだ」

藍子「え、えっ? ……ええっ!?」

加蓮「あ、違う?」

藍子「違いますよ!?」

加蓮「そっか。じゃあ店員さんとグルになって、加蓮ちゃんをここに何度も来させようっていう陰謀――」

藍子「それも違いますからね!?」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:39:05.81 ID:RtuS42tb0
藍子「加蓮ちゃん、体だけじゃなくて、こう、大きなLIVEが終わった後って感じで疲れているみたいだったから。いつもの場所の方が落ち着くかなぁ、って……」

藍子「疲れている時に初めての場所に行ったら、余計疲れちゃうかな? って、思ったんです」

藍子「だから、陰謀とか……そういうつもりじゃないですっ」

加蓮「……くくく」

藍子「……あ」

加蓮「知ってるー♪」

藍子「…………」ブスー

加蓮「ほっぺた膨らませても可愛いだけだよー? ……目はちょっと怖いけど」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:39:36.80 ID:RtuS42tb0
加蓮「いつも色々考えてくれるよね。ありがと。だけど最後のは余計な気遣いだよ?」

藍子「最後の?」

加蓮「疲れている時に初めての、ってヤツ。疲れてる時だからこそ、そういうのでテンション上げたくならない?」

加蓮「いつも食べてないお菓子を選んだり、髪型を変えてリフレッシュしてみたり」

藍子「あ〜」

加蓮「ちょっと違う場所にも行ってみたかったな?」

藍子「……ま、まだまだこれからですから。本番は、この後ですっ」

加蓮「ふふっ」

藍子「加蓮ちゃんは、試せる髪型がいっぱいあるから、リフレッシュもできそうですねっ」

加蓮「うらやましい?」

藍子「実は、ちょっぴり?」

加蓮「そっかそっか♪」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:40:06.44 ID:RtuS42tb0
加蓮「加蓮ちゃんのヘアメイク術〜お出かけの気分転換から暗い気分のリフレッシュまで〜……」

加蓮「……やめた。なんかキャッチコピーがおばさんくさい」

藍子「そうですか……? 私は行ってみたいなって思いましたよ」

加蓮「それは身内贔屓ってヤツだよ。それか、藍子がおばさんくさいか」

藍子「そうなんでしょうか……って、だから、私と加蓮ちゃんは同い年ですっ」

加蓮「知ってるー。さて、このままだといつもみたいにのんびりしちゃうから……」

藍子「もう行きますか?」

加蓮「行こっか。外は寒そうだし、途中で暖かい飲み物でも買って――」

藍子「そう言うと思って、既に店員さんに注文済みです♪」

加蓮「おっ?」

藍子「レジまで行きましょ?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:41:06.16 ID:RtuS42tb0
加蓮「店員さん。めりくりー」

藍子「めりくり〜♪」

加蓮「藍子。今のもっかい」

藍子「えっと……めりくり?」

加蓮「違う違う。もっとこう、ふんわりって感じ」

藍子「め、めりくりっ」

加蓮「違うってば。ゆるふわはどこに置いてきたのよ! 藍子からゆるふわを取ったら何が残るの!?」

藍子「そこまで言わなくてもっ。それに……今日は、ゆるふわは最初から封印してきました!」

加蓮「え?」

藍子「ほら、午前も午後も、いろいろ歩いたり、やることがいっぱいあるって分かっていましたから……」

藍子「だから今日は、ゆるふわは封印ですっ」

加蓮「……確かにいつもよりてきぱきしてるけど、封印してるようには見えないなぁ。店員さんはどう思う?」

藍子「……? あ、あの、店員さん……? どうして、目を合わせてくれないんですか……?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:41:36.31 ID:RtuS42tb0
加蓮「ところで、藍子が飲み物がどうって言ってたけど――」

加蓮「キッチンの方に行っちゃった。……あ、戻ってきた」

加蓮「なるほどー。紙コップ入りのだね。この前も渡してくれたヤツ」

藍子「加蓮ちゃんの疲れがとれるよう、うんと甘いココアを淹れてもらいましたっ」

加蓮「お持ち帰り、新しく始めるの? ……ふうん。とりあえずやってみる感じなんだ」

藍子「思いついたことを、とりあえずやってみるのって、いいですよね。もしかしたら、みなさん喜んで注文されるかも?」

加蓮「冬は絶対重宝するよね。夏もかな? じゃ、ありがとね店員さん。ほら藍子、行こ――」

藍子「ああっ、待って。お金、お金……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:42:05.93 ID:RtuS42tb0
――外――

藍子「いいですか、加蓮ちゃん」テクテク

藍子「ただ歩くだけをお散歩とは言えないんです。色々な場所に行くために、準備をして、下調べもして」テクテク

藍子「それで初めて、お散歩をしたって言えるんですっ」

加蓮「うんうん」

藍子「今日も、ばっちり計画を立ててきちゃいましたからね。行きたいところがあったら、どんどん言ってくださいっ」

藍子「おすすめのお店のリストなんかも作ったんですよ。お母さんと相談して完成させたのが、これです!」ジャーン

加蓮「相変わらず用意ばっちりー。何、藍子ってそういうタイプだっけ。あの看護師さんにでも影響された?」

藍子「ひょっとしたら……そうかも?」

加蓮「そっか」テクテク

藍子「……え、あ、あれっ? 加蓮ちゃん、どうしてちょっぴり早歩きに……ま、待ってっ」パタパタ

加蓮「別にー」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:42:37.18 ID:RtuS42tb0
加蓮「じゃあさ、ちょっと「歩いてみたい!」って思い立った時はどうするの? そういう時も、ばっちり準備するの?」

藍子「そういう時は――」

藍子「なりゆきですね。それもまた、お散歩ですっ」

加蓮「うん。よかった。藍子は藍子だった」(隣に並んで歩調を遅くする)

藍子「???」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:43:06.29 ID:RtuS42tb0
藍子「看護師さん、撮った写真のうち何枚かを、私にも送ってくれるそうです」

加蓮「藍子の分も?」

藍子「はい。現像して、事務所の方に写真を送ってもらえるみたいなので……。その時は加蓮ちゃん、一緒に見ましょうね♪」

加蓮「……そ、それ事務所で見るのやめない?」

藍子「えっ?」

加蓮「いやほら……やってる時はなんとも思わなかったけどさ、後から考え直してみたら……ちょおっと私のキャラじゃなかったかなー、なんて」

藍子「あはは……。加蓮ちゃん、すごくお姉ちゃんっぽかったですもんね」

藍子「でも、送られてくるのは動画ではなくて写真ですよ。あの時の加蓮ちゃんがぜんぶ知られちゃうことは、ないと思いますっ」

加蓮「……写真をダシに何もかも喋りまくる誰かさんがいるからなー」テクテク

藍子「また早歩きにっ。そんな、ぜんぶを喋ったりしませんよ〜」パタパタ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:43:36.80 ID:RtuS42tb0
藍子「あ、猫さんっ」

加蓮「猫だ。首輪……は、ついてないね」

藍子「野良猫さんでしょうか。でも、見ない顔の猫さん……。新しい方かな?」

加蓮「アンタこの辺の野良猫事情を全部把握してんの? ……あっ、私の足元に来た」

加蓮「こらー? 私は何も持ってないよー? 鼻をこすりつけても何も出ないってばっ」

藍子「ふふっ。加蓮ちゃんから、美味しそうな匂いがしてるのかも?」

加蓮「してないってば……」

藍子「じ〜」

加蓮「こらっ。靴を舐めようとすんなっ」

藍子「じぃ〜」

加蓮「……何?」

藍子「加蓮ちゃんって、おいしいのかな〜って……」

加蓮「……………………」テクテクテクテク

藍子「冗談、冗談ですからっ」パタパタ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:44:06.24 ID:RtuS42tb0
――大通り――

藍子「クリスマスを、さがすぞ〜っ」

加蓮「…………」

藍子「……そ、そこは、お〜っ、って言ってください」

加蓮「いや……。急に言われても。そういうのは事前に言ってくれないと」

藍子「ごほん。では、加蓮ちゃん。さがすぞ〜って言ったら、お〜っ、って言ってくださいね」

藍子「クリスマスを、さがすぞ〜っ」

加蓮「…………」

藍子「加蓮ちゃんっ!!!」

加蓮「わあっ。そこまでマジギレされるとは思わなかった」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:44:39.16 ID:RtuS42tb0
藍子「……」プクー

加蓮「もう。ごめんごめん。ごめんってば」

藍子「……」プクー

加蓮「っと、信号だね。んー……じゃあ、とりあえずそこのコンビニから行ってみよっか」

藍子「……。……コンビニ?」

加蓮「基本中の基本。コンビニには、クリスマス限定スイーツがあるでしょ?」

藍子「あ〜……。確かに、それは盲点でした」

加蓮「でしょ?」

藍子「……ふふっ」

加蓮「む。もうちょっと悔しがりなさいよ」

藍子「だって、……なんだか嬉しくって♪ 加蓮ちゃんが、私の気づかなかったことに気づいてくれたことが、なんだか嬉しくて。えへへっ」

加蓮「……あはは。すーぐ機嫌が変わる」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:45:06.77 ID:RtuS42tb0
藍子「加蓮ちゃん。私、外で待っていてもいいですか?」

加蓮「外で?」

藍子「はい。一緒に選ぶのも楽しいですけれど、加蓮ちゃんが何を選んでくるかなって、予想しながら待つ時間もとっても楽しいから……」

加蓮「えー、微妙にプレッシャー。じゃあ行ってくるね? あ、ココア持ってて」ハイ

藍子「行ってらっしゃいっ」ウケトル
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/25(水) 13:45:36.41 ID:RtuS42tb0
――コンビニ――

<らっしゃせー

加蓮「さて……」

加蓮「……そういえば変装とかしてないけど大丈夫かな。しかも私は話題になっちゃってるかもしれないし」

加蓮「なんて。さすがに自意識過剰かなっ」

加蓮「最悪服でも買うか、サングラスとか伊達メガネとか即興で買って変装すれば――」<ブルッブルッ

加蓮「……」ガサゴソ

加蓮「……"眼鏡魔神さんからメッセージが届いています"」

加蓮「未読無視」
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