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【たぬき】小日向美穂「令和狸合戦ぽんぽこひなた 〜さらわれたPさんを追え〜」
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1 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:31:29.75 ID:hoAtpnXu0
モバマスより小日向美穂(たぬき)の事務所のSSです。
独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。
前作です↓
【たぬき】前川みく「女子寮の開かずの間?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574089785/
最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1576423889
2 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:32:08.83 ID:hoAtpnXu0
はんにんは たぬ
3 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:32:37.11 ID:hoAtpnXu0
美穂「ど、どうしてこんなことに……」
卯月「一体誰が……?」
響子「そんな……プロデューサーさんが……」
P「」チーン
三人「毛まみれになって、温泉に浮かんでる……っ!!」
4 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:33:50.37 ID:hoAtpnXu0
◆◆◆◆
事の発端は地方ライブでした。
私達ピンクチェックスクールは、愛媛県は松山市の道後温泉に宿泊していました。
あちこちの観光地に旅行客がなだれ込む中、温泉街に更なる繁盛を見込んで、旅館協同組合が私達を呼んでくれたのでした。
ちなみにどうして私達なのかというと、「なんとなくティンと来た」からだそうです。
「――みんなーーっ! ありがとーーーーーっ!!」
というわけで、とっても久しぶりな感じのするP.C.Sのステージ!
卯月ちゃん響子ちゃんと並ぶ舞台はとってもキラキラしていて、もちろんライブは大盛り上がり。
愛媛のお客さんや遠方から来てくれたお客さん達みんなで、楽しくて可愛いステージを大成功させられましたっ。
……という感じに本番は終わったんですけど、問題はその後に起こったんです。
5 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:35:18.43 ID:hoAtpnXu0
〇
ライブ本番を乗り越えた後は、みんなでゆっくり温泉観光ができました。
プロデューサーさんの計らいでライブ後の二日をオフにして貰っちゃったんです。
一日ここでゆっくりして、翌日電車でのんびり帰る……という流れです。
これには私びっくりしちゃって、ほんとにいいんですかって聞いたらプロデューサーさんは、
「三人ともいつも頑張ってくれてるから、ご褒美だ。みんなには内緒だぞ?」
ですって。えへへ。
道後温泉は昔ながらの風情溢れる温泉街で、ハイカラ通りと呼ばれるアーケードには観光客がいっぱい歩いていました。
中には浴衣の人もいたりして、冬の寒さに温泉の湯気がほんのり絡む独特な空気でした。
「あ、ほら見て美穂ちゃん。たぬきさん!」
6 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:37:37.36 ID:hoAtpnXu0
と卯月ちゃんが指し示す先には、信楽焼のたぬきが鎮座していました。
「美穂ちゃん、こっちにもありますっ」
響子ちゃんは壁に書かれた立派なたぬきの絵を指差しました。
そう、たぬきです。
なんでも愛媛はたくさんのたぬき伝説が残る地らしくて、あちこちの神社や史跡にたぬきの曰くがあります。
もちろん観光地の道後温泉もたぬき推しで、お店の軒先に信楽焼があったりイラストがあったりと、まるで本物がいるようなにぎやかさです。
「なんとなく親近感があるかも……」
たぬきなので。
組合さんが私達に声をかけてくれたのも、なんとなくそういうたぬっとした感じがセンサーに引っかかったからなのかもしれません。
みんなへのお土産を選んだり、正面入り口の坊ちゃん電車やからくり時計を見物したりして日中は街を楽しみました。
夕方になる頃にお宿に戻って、お夕飯の前にゆっくり温泉で温まろうということになり……。
そこで、ある事件が……。
7 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:38:34.18 ID:hoAtpnXu0
◆◆◆◆
――露天風呂
カポーン
卯月「はぁぁ〜〜っ……気持ちいい〜♡」
美穂「ぽこぉ〜……」フニャー
響子「美穂ちゃんが溶けてる!」
美穂「とけてないよぉ〜……」フニャニャー
卯月「あははっ。美穂ちゃんお饅頭さんみたい♪」プニプニ
響子「どれどれ……あ、ほんとだ。ほっぺたぷにすべ!」プニュプニュ
美穂「ふにゅにゅ。もーやめてよーっ」プニー
卯月「きゃーっ♪」
パシャパシャ キャッキャ…
8 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:39:53.68 ID:hoAtpnXu0
響子「――そういえば、プロデューサーさんはお風呂に入れたんでしょうか?」
美穂「ここ、時間帯で男湯と女湯が入れ替わるらしいもんね。さっきまでは男湯だったみたいだけど……」
卯月「でも、出てきたところ、見てないよね?」
響子「もうお部屋に戻った後なんでしょうか。ちゃんと休めてるといいんだけど……」
美穂「ふふっ。響子ちゃん、心配?」
響子「そりゃあ心配ですっ。だってライブのセッティングから何から、ずーっと働きづめだったし」
響子「帰ってもお仕事があるんですからっ。こんな時くらい、体を癒してくれなきゃ!」
美穂「大丈夫だよっ。出発前に、たまにはゆっくり温泉に浸かるか〜って言ってたし」
美穂「きっと今頃は、お部屋でのんびりしてるんじゃないかなぁ?」
響子「そうだといいなぁ。いつもはシャワーで済ませそうな人だから……」
卯月「もし一緒に入れれば、背中を流したりしてあげたいのにねっ♪」
響子「い!?」
美穂「いっしょに!!?」
卯月「え? ……あ、あれ? あ! いや、そそそそそういう意味じゃなくてぇ!」
卯月「あうぅ〜……肩たたきと同じ感覚で言っちゃった……」
美穂(む、娘目線……)
響子(かわいいけど、卯月ちゃんは自分の破壊力をもっと自覚した方がいい気がします……!)
9 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:41:14.43 ID:hoAtpnXu0
美穂「でも、プロデューサーさんほんとにどうしてるんだろ。ゆっくり休めてればいいんだけど」
響子「あとでお部屋にお邪魔してみましょうか?」
卯月「うんっ! お菓子も持っていって、明日どうするかとかたくさんお話して――」
バシャーーーーーーーーンッ!!!
美穂「ぽこっ!?」
卯月「きゃあ!?」
響子「な、なに……!?」
シーン…………
美穂「い、今、なにかお湯に落ちた…………よね?」
響子「あそこの岩の影、ですよね……」
10 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:42:46.53 ID:hoAtpnXu0
…………
卯月「ちょっと、見てみる……?」
美穂「大丈夫? 危なくない……?」
響子「今のところは静かみたいですけど、何かの事故だったりしたら……」
三人「「「…………」」」
美穂「きょ、距離を取って回り込んでみよう。私はこっち行くねっ」
響子「じゃあ私はそっちを……」
卯月「私はあっちから近付いてみるね……!」ワクワク
チャプ チャプ……
美穂「じゃあ、せーーーのっ」
バッ!!
11 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:43:16.01 ID:hoAtpnXu0
P「」プカー…
三人「「「ぷ、プロデューサーさん!!?」」」
――そんなわけで、冒頭に戻るのでした。
12 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:44:00.40 ID:hoAtpnXu0
〇
卯月「か……完全に、気絶してる……ね」
P「」チーン
美穂「い、一体何があったんだろう……!?」
P「」チーン
響子「と、とにかくっ、お風呂から出してあげましょう! このままだと風邪引いちゃいます!」
美穂「そ、そうだね! 外まで運んで、服を着せてあげて……は、運んで……」
P「」 ←温泉なので全裸
13 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:44:42.06 ID:hoAtpnXu0
卯月「よいしょっ、よいしょ……っ!」ズリズリ
美穂「み、見ないように見ないように……っ」ズリズリ
響子「あ、ぁ。わぁ〜……」マジマジ
美穂「響子ちゃーんっ!?」
響子「はっ!? ななな何も見てませんっ!?」ワタワタ
14 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:46:00.79 ID:hoAtpnXu0
〇
―― 脱衣所
卯月「な、なんとか連れてこられたね〜……」ヒィフゥ
美穂「浴衣を着て……ぷ、プロデューサーさんにも着せて……っと」
P「」チーン
響子「いまだに目覚める気配がありませんね……」
美穂「何があったんだろう。それにこの、たくさんの毛」ヒトツマミ
美穂「くんか、くんか。ふすふす……」
美穂「――――たぬきの毛!!」カッ
卯月「美穂ちゃん!?」
響子「どうしてこんなことを!?」
美穂「私じゃないよぅ!!」ポコーッッ
15 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:47:02.68 ID:hoAtpnXu0
◆◆◆◆
とにかく、プロデューサーさんを介抱しよう。
私たちのお部屋は広めですから、お布団が余分にあります。
プロデューサーさんをお部屋に運びながら、私はあることを思い出していました。
出発前夜、寮で晩ご飯を食べてる時、確か紗枝ちゃんは、こう言いました。
「あんじょう気を付けなはれ、美穂はん」
「? 気を付けるって……どうして?」
「四国へ行かはるんやったら、油断しぃひん方がええ。あそこは昔からたぬきの楽園と言われとりますさかい」
熊本の出身とはいえ、私も一介の化け狸。四国が世に言う「たぬ聖地」であることは知っています。
隠神刑部、太三郎禿狸、金長一門……世に名だたる有名狸の本拠地。サッカーで言えばブラジル、カレーで言えばインドな地なのです。
「あそこの化け動物の勢力図は、たぬきがほとんどを占めとりますよって……」
16 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:48:12.23 ID:hoAtpnXu0
シチューを一口ほおばって、周子ちゃんが疑問を呈します。
「なにそれ。そんなにたぬきまみれなの? 狐とかうさぎはいないん?」
「狐は追い出されてしもうたんどすっ」
ポンッ!
と、紗枝ちゃんの頭にきつねみみが。
珍しく怒っちゃってるみたいです。こんな紗枝ちゃん初めて見た……。
「たぬきが弘法大師様と手ぇを組んで、四国に鉄の橋がかかるまでいうて、狐をあの地から放逐してもうたんよっ」
「でも瀬戸大橋かかったじゃん。もうオッケーってことじゃないん?」
「今さら戻ったかて四国はたぬき王国やっ。狐がのこのこ戻ったところで、簀巻きにされて瀬戸内に放り投げられるんがオチどす!」
17 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:49:05.41 ID:hoAtpnXu0
「確かに、四国にはたくさんのたぬきさんがいるって聞いてます。中にはすっごく化け力の強いたぬきさんもいるとか……」
サラダのレタスをさふさふ齧りながら、智絵里ちゃん。
神使のうさぎさんである智絵里ちゃんは、全国各地の化け動物事情に詳しいみたいでした。
「だけど悪さをするとか、人間さんを化かすとかっていう話は聞きません。大丈夫じゃないでしょうか……?」
「どうだかっ。外様のたぬきが来たと知れたら、縄張りを守るために何をしでかすかわかりまへんえ」
ぷんぷん紗枝ちゃん。狐的には、四国のたぬきには思うところがあるみたい。
だけど私的には、そんなに怖いことはないのかも、と思ったり。
むしろちょっとだけ楽しみだったり……向こうのたぬきにもご挨拶できたらいいなぁ、なんて。
18 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:49:54.08 ID:hoAtpnXu0
それは、冬毛のたぬきのようにモフモフゆるく、お砂糖みたいに甘い考えだったのかもしれません。
この出来事は、四国の地で起こる、大きいようで小さく、小さいようで大きい、たぬき大騒ぎの序章に過ぎなかったのですから……。
19 :
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]:2019/12/16(月) 00:50:39.62 ID:hoAtpnXu0
一旦切ります。
誕生日当日に投稿してさえいればセーフのはず……はず……
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/16(月) 02:56:08.05 ID:uAcBKCQDO
乙。そしてお祝いしなけりゃアウト
四国で狸……久川姉妹かな
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/16(月) 14:01:44.17 ID:cN1yXAsSO
八百八狸
その頭目の刑部狸
22 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:24:10.87 ID:Y57bHTMC0
◆◆◆◆
【プロデューサー】
「くぅ……くぅ……」
「すー……すー……」
「ん〜ぅ〜……プロデューサーさぁん……」
「――――はッッ!!?」
23 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:29:43.56 ID:Y57bHTMC0
目が覚めれば、深夜だった。
え、どこここ。
俺は確か露天風呂に入って……それから……それから……なんだっけ?
電気の消えた客室。俺が荷物を置いた一〜二人用の和室より二回りは広い。
敷き詰められた布団の上に、浴衣姿の美穂や卯月や響子がばらばらに寝転がっていて……。
………………???
ちょっと状況を整理しよう。
うん。できん。
24 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:32:18.32 ID:Y57bHTMC0
枕元にあったスマホを見ると、午前零時ちょっと過ぎ。
……え〜〜っと待てよ? 冷静になれ? どこで記憶が途絶えた?
それはもちろん、入浴中だ。この隠れ家的旅館の露天風呂に入っていて、気を失って……。
……そうか。
美穂たちが俺を見つけて、こうして引き揚げてくれたんだな。
状況から考えるとそうとしか思えない。まさかこんな形で負担をかけてしまうなんて……。
ん? その状態から回収されたってことは俺その時アレじゃない??
………………。
………………………………。
やめるか考えるの。
25 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:34:12.31 ID:Y57bHTMC0
「んむにゃ……へぅ〜……」
「ぷろりゅーさ……ちゃんと……たべ……」
「すぴー……ぷー……ぽこぉ〜……」
三人とも熟睡している。
傍にはお湯(冷めてる)を張ったタライに濡れタオル、ポカリに風邪薬など各種お薬、果物にエビオス(?)と、病人看病フルコース……。
俺を必死に介抱してくれようとしたんだろう。スマホや財布などの私物も回収して……。
それで、耐えきれなくなって次々寝落ちしちゃったってところか。
……余計な心配をかけてしまった。本当に優しい子たちだ。
本来の主役は彼女らで、明日からは楽しいオフが待っていたっていうのに。
起こすのは忍びないが、もう心配ないってことだけは伝えておかなければ。俺はすぐそばで寝転がっている美穂の体を揺さぶる。
「お〜い、美穂。美穂」
「はにゅ……ん〜……」
「……熟睡してるな。なあ美穂、美――」
「旦那様」
26 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:35:19.04 ID:Y57bHTMC0
窓が開いていた。
気付かなかった。座敷の奥、広縁の向こうにある大窓が全開になっている。
午前零時の夜空はひどく澄み、凍えるほどの風の果てに、煌々と輝く温度の無い月がある。
その光を背にして、獣がちょこんと座っていた。
広縁にずらり、みっしり。月の逆光でよくは見えないが、そのたぬっとしたフォルムには見覚えがある。
「…………たぬきか?」
「いかにも。我らは伊予国久万山を本拠としまするたぬきの一党にございます」
「何の用だ? いや、そもそも旦那様って何のことだ? 俺は――」
「委細承知しております。我々は、旦那様をお迎えに来たのです」
…………はぁ?
27 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:36:12.53 ID:Y57bHTMC0
「おい待て、説明が足りてないぞ。どういうことだ? というかまず窓閉めろよ! 三人が寒くて起きちゃうだろ!」
「ご心配なさらず。その娘らは、朝が来るまで起きませぬ。そのように化かしましたゆえ」
途端に、こいつらの見え方が変わる。
「この子たちに何をした」
「ご心配ですか」
「質問をしてるのはこっちだ」
「そう目くじらを立てなさるな。ただ眠ってもらっているだけです。私どもとしては、人の子二人にも、たぬき一匹にも、なんの害意もございません」
ただ――
と言い添えて、たぬきはヒゲをぴくっと動かす。
「旦那様が、どうしてもお嫌と仰られるのであれば、お約束はできませぬ」
とんだ狸野郎だな。
要するに、最初から選択肢なんて無かったと言いたいんだろう。
28 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:37:06.93 ID:Y57bHTMC0
前には居並ぶたぬきの群れ。後ろには眠る担当アイドル。
いずれろくな事態ではないのだろうが……。
「……俺がついて行けばいいんだな?」
「賢明な判断にございます。さすがは旦那様。当家の次代を担うに相応しいお人柄」
ぽこぽん、ぽこぽん、ぽこぽん。
たぬきのお囃子に合わせて、豪勢な籠が用意されてあった。
空は恐ろしいくらいの冬晴れ。氷の月と星がちかちかまたたいて目に痛いほどの夜だった。
「……なあ、ひとつ聞いていいか? その旦那様ってなんなんだ? 次代ってのもさっぱりなんだが……」
「おや、お忘れでございますか。私どもが旦那様を迎えに来た理由は、ただひとつ――」
29 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:37:38.65 ID:Y57bHTMC0
「旦那様を、当家に婿入りさせるためにございますよ」
30 :
◆DAC.3Z2hLk
[saga]:2019/12/20(金) 00:38:22.84 ID:Y57bHTMC0
一旦切ります。
微速更新すみません。年内に完結できるといいな……
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/20(金) 02:20:08.10 ID:akqntUBDO
?「ダメ、完結させて」
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