勇者「魔王封印するつもりがミスって殺してしまった。俺はもうダメかもしれない」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 00:52:37.92 ID:PuNeAhkJO
勇者「……」

勇者「いややべえよ」

勇者「どうすんだよこれ」

勇者「魔王死んだら勇者とか厄ネタまっしぐら」

勇者「みんなに命狙われて殺されるに決まってる」

勇者「先祖代々わざわざ魔王封印してきたのってそういうことだろ絶対」

勇者「やらかしマン惨状〜!wwwwwwwwww」

勇者「笑えねえよ[ピーーー]ぞ」

勇者「俺はもう駄目かもしれない」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1575388357
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 01:04:07.39 ID:PuNeAhkJO
勇者「……」

勇者「言い訳をさせてくれ」

勇者「俺は弱らせてから封印しようと思ってたんだよ」

勇者「でも魔王強すぎて加減する余裕なかったんだよ」

勇者「素でクソ強いのに封印耐性?魔法無効?回復不可?」

勇者「いやラスボスがやっちゃダメでしょそういうメタは」

勇者「なんなのあいつ。マジでなんなの」

勇者「……」

勇者「前向きに生きよう」

勇者「まあ俺多分殺されるんですけどね」

勇者「ハハッ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 01:43:04.50 ID:PuNeAhkJO
戦士「っ…勇者、やったのか」

勇者「あ、はい戦士さん。怪我大丈夫ですか?」

勇者(戦士さん。魔王城直前の町で防衛部隊の隊長やってた人。人…ゴリラ…?頭いいし物理がパワーでタイマン張ったら死。妻帯者だから家族人質に取られたら多分躊躇いなく殺しに来る。やばい)

魔法使い「痛ぅ…あー、私生きてる…?」

勇者「ちゃんと生きてますよ魔法使いさん。強化魔法ありがとうございました」

勇者(魔法使いさん。樹海に住んでたエルフのハーフ。魔法どころか近接もできる。さっき知った。遠近中万能とか勝てる要素なし。研究資金とかレアな触媒とか欲しがってたし命令されたら普通に殺しにきそう。やばい)

僧侶「勇者様、終わりましたね。これで、全部…」

勇者「そうですね。僧侶さんもお疲れ様でした」

勇者(僧侶さん。世界でたった一人の聖女様。魔王の魔法直撃してもピンピンしてるし魔法の威力もえげつない。回復も補助もできるからなす術なく死。宗教家だしむしろ率先して殺しにきそう。やばい)

勇者「詰んだ」

戦士「?」

勇者「ナンデモナイデス」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/04(水) 10:36:32.11 ID:kJ2xe8umo
続けて
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 12:58:13.60 ID:PuNeAhkJO
戦士「それじゃ…帰ろう。魔法使い、リレミトは使えるか?」

魔法使い「魔翌力空っぽって言ったでしょ。僧侶は?」

僧侶「すみません、私も…」

勇者(もしこのまま帰ったとしよう)

勇者(そしたら王様、教会、民衆、軍、犯罪者ギルド、魔女同盟、その他エトセトラから命を狙われるのは間違いない)

勇者(そりゃメガンテみたいな人間がその辺散歩してたら邪魔だし何より怖いもん。気持ちは分かる。俺だってそうする)

勇者(というか、困ったことにこの三人もその中のどれかに所属してるんだよな)

勇者(つまり三体一で襲われる)

勇者(死ィ〜!wwwwww)

勇者(もうここで闇討ちするか?)
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 13:36:41.38 ID:PuNeAhkJO
勇者(落ち着け。冷静になれ)

勇者(この三人死なせたらそれこそそれぞれの勢力に狙われることになるだろ。だから必死こいて死なないようにやってきたんじゃねえか)

勇者(ただでさえキツいのに大義なんて与えちゃったらもうどうしようもなくなる)

勇者(…でももうこんなチャンスねえよなぁ…)

勇者(魔王になすりつければ…いけるか…?)

僧侶「勇者様もそれでよろしいでしょうか?」

勇者「ん、え?あ、はい。何がですか?」

魔法使い「何を上の空で考えてるんだか。戦士、もっかい言ってあげて」

戦士「王都に帰るためにも、まず俺の街で休んで疲れを取らないか?そう裕福じゃないが、できる限りの歓迎は約束するぞ」

勇者「いいですね。そうしましょう。戦士さんの奥さんにも挨拶しておきたいですしね」

勇者(俺も疲れてるし、とりあえずそこで休んでから色々考えよう)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 20:50:15.81 ID:PuNeAhkJO
勇者(悩んでるうちに街に着いちまった…)

兵士A「勇者様!よくぞ戻られました!隊長もご無事で何よりです!」

兵士B「空が晴れるのをこの目で見ました。私の生きているうちに日の光を拝むことが出来るとは…思わず泣いてしまいましたよ」

僧侶「勇者様が魔王の魂を滅したからでしょうか…?」

勇者(あっ、バッ!?)

兵士A「おおお!それは真ですか!我が王国の因縁をついに!」

兵士B「このことを一刻も早く国王に!」

勇者(やばいやばいやばい!王様に伝わるのも時間の問題じゃねえかこれやばい!)

勇者「あ、あ〜いや、断言は出来ないというか、実は生きてる可能性がなくもなく…」

兵士A「何を仰いますか!あなたほどの方が!」

戦士「すまない。話はまた後にしてくれ。みんな疲れているのでな」

魔法使い「そうして。私もう限界」

勇者(ざっけんなお前ら)

戦士「宿の部屋を三人分用意出来るか?」

兵士B「既に。宴の準備も筒がなく進んでおります」

戦士「助かる。勇者、俺は家へ行くがお前達はどうする?」

勇者(   )

勇者「じゃあ…ハイ自由行動で。俺は宿で報告書書いてますんで」

魔法使い「私も宿で寝てるから。時間なったら起こして…」

僧侶「私は少し…教会の方に」

戦士「分かった。宴の時間になったら部下を向かわせよう」

勇者「……」

勇者(オワタ)
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 21:03:24.51 ID:PuNeAhkJO
勇者「盗聴水晶なーし。盗撮水晶なーし」

勇者「……」

勇者「ああああああああやばいやばいやばいやばいやばいいいいいいいいい!」

勇者「魔王死んだら勇者いらねえって王様が思わない可能性!!」

勇者「なんと!!!0パーセント!!!」

勇者「そりゃそうだよ!!俺だってそう思うわボケ!!」

勇者「それもこれも全部アイツらのせいだよ!!!やっぱ闇討ちしとくべきだったじゃねえか俺の馬鹿野郎!!!」

勇者「どうする!?逃げるかもう!?」

勇者「どこに!?!?!?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 21:43:00.51 ID:PuNeAhkJO
勇者「王都が駄目だとして、故郷はどうだ?あんなど田舎、それに母さんなら信用…」

勇者「いや… 母さんだって人の子だ。報奨金でもつけられたら秒で売るに決まってる。人間だもの」

勇者「教会はどうだ。あそこは生命至条主義だ。王国民のほとんどが信者だから国王だって無碍には…」

勇者「馬鹿か。魔王殺した勇者なんてそれ自体が宗教みたいなもんだ。神の代わりに俺を崇めるアホが出てもおかしくないし、それくらい連中だって分かってるはずだ」

勇者「大体僧侶だって疲れてるのに教会に行ったのは何故だ?このタイミングだ。怪しいなんてもんじゃない」

勇者「他は…エルフの森?あいつら人間嫌いだし、王国との国交も断絶してる。逃げ込めばバレないかも…」

勇者「…ないな。俺の首で王国に恩売れるし、そもそもトラブルの種を迎え入れるわけがない」

勇者「最後に…王国軍。英雄として歓迎してくれる可能性もなくは…」

勇者「うん、ねえわ。普通に邪魔だし、もう用済みだし。しかもなんか王様口約束で姫様と結婚とか言っちゃってたし。あれ絶対冷静になってから後悔するパターンでしょ…馬鹿じゃねえのあのジジイ…」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 22:30:19.82 ID:wr5K7f8a0
コンコン

勇者「はい…どうぞ…」

僧侶「勇者様。今お時間よろしいですか?」

勇者「!?」ガタッ

僧侶「ゆ、勇者様…?」

勇者(落ち着け。まだ僧侶の魔翌力は空のはず。大丈夫、大丈夫…)

勇者「何でもないです。何か用ですか?」

僧侶「その…お話がしたいんです。二人きりで」勇者「ヒッ」

僧侶「ひ?」

勇者「いやほんとなんでもないです…なんでも…」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:24:10.61 ID:yrytASdTO
勇者「それで話って?」

僧侶「これまでの感謝と、これから先のことです」

僧侶「勇者様は、この聖書を諳んじるしか能のない世間知らずの小娘に何くれとなく良くしてくださいました」

僧侶「特に出会った頃など…よく見捨てずにいてくれたと思うばかりです」

勇者「ああ…確かに昔の僧侶さんはちょっとアレでしたもんね」

僧侶「あ、アレ扱い…反論の余地もないですけど…」

勇者(力もないのに綺麗事ばかりほざく足手まとい。一人旅だったからほんっとにイラついたんだよなぁ)

勇者「スライム殺したら半日説教かますわ、旅の資金をど田舎の貧乏教会に全額喜捨するわ。ああ、野宿が怖くて眠れないせいでやたらラリホーの掛かりが良かったりもしましたっけ」

僧侶「ううっ…!どの節も本当にご迷惑お掛けしました…」

勇者「別に。僧侶さん変わりましたし。今となっては思い出話です」

勇者(まぁ聖女としては非常にアレだから隠した方がいいとは思うけど)

僧侶「こ、こほん。その、私の黒歴史は置いておいてですね」

僧侶「勇者様の言う通り、この魔王討伐という大任を通して私は変われたと思います。その感謝を直接言いたかったんです」

ありがとうございました
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:25:43.58 ID:yrytASdTO
>>11はミス
勇者「それで話って?」

僧侶「これまでの感謝と、これから先のことです」

僧侶「勇者様は、この聖書を諳んじるしか能のない世間知らずの小娘に何くれとなく良くしてくださいました」

僧侶「特に出会った頃など…よく見捨てずにいてくれたと思うばかりです」

勇者「ああ…確かに昔の僧侶さんはちょっとアレでしたもんね」

僧侶「あ、アレ扱い…反論の余地もないですけど…」

勇者(力もないのに綺麗事ばかりほざく足手まとい。一人旅だったからほんっとにイラついたんだよなぁ)

勇者「スライム殺したら半日説教かますわ、旅の資金をど田舎の貧乏教会に全額喜捨するわ。ああ、野宿が怖くて眠れないせいでやたらラリホーの掛かりが良かったりもしましたっけ」

僧侶「ううっ…!どの節も本当にご迷惑お掛けしました…」

勇者「別に。僧侶さん変わりましたし。今となっては思い出話です」

勇者(まぁ聖女としては隠した方がいいとは思うけど)

僧侶「こ、こほん。その、私の黒歴史は置いておいてですね」

僧侶「勇者様の言う通り、この魔王討伐という大任を通して私は変われたと思います。その感謝を直接言いたかったんです」

僧侶「――ありがとうございました。私の勇者様」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:41:57.53 ID:yrytASdTO
勇者「はい。どういたしまして。こちらこそありがとうございました」

勇者「で、もう一つの方は?」

僧侶「…あの、反応軽くないですか?普通そんなさらっと流します?」

勇者「実は照れてるんです。心配しなくてもちゃんと受け取りましたよ。それで?」

僧侶「いいですけど…」

僧侶「もうひとつ、これから先のことです」

僧侶「魔王が死んで平和になった世界で、勇者様はどうされるおつもりですか?」

勇者「…どこなりで普通に生きていくつもりですよ。誰の迷惑にもならないように」

僧侶「勇者様さえよければ、私と一緒に来てくださいませんか?」

勇者「……」

勇者「は?」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:58:54.66 ID:yrytASdTO
僧侶「魔王の魂が消滅したことで、私の神託の聖女としての役目は終わりました」

僧侶「もちろん教会に戻れば役目は再び与えられるでしょうが…恐らくはお飾り」

僧侶「世界中を歩いて回ったんです。そんな味気ない余生はごめん被ります」

僧侶「だから再び旅に出ようかと。今度は純粋な人助けのために」

勇者「その旅に…ついて来いと?」

僧侶「はい。役目を終えた者同士、共に歩いては頂けませんか?」

勇者「……」

勇者「返事、急ぎですか?」

僧侶「いいえ。どうかよくよく考えてくださいね」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/05(木) 03:12:47.60 ID:yrytASdTO
……

勇者「……」

勇者「行ったか」

勇者「まさか直で殺害予告されるとは」

勇者(神託の聖女の役目=勇者の手助け。それが終わって、お飾り=安全な仕事は刺激がなくて嫌だ)

勇者(んで国民にとっての脅威は、長年恐怖の対象だった魔王殺した勇者=俺で間違いない)

勇者(そいつらを助ける=不安を取り除く。それには勇者を生き返らせることができる教会が、勇者が本当に死んだって証明する必要がある)

勇者(そのために必要なのは…)

勇者「俺の首…」

勇者「一緒に来てくださいってのはつまり…」

勇者「晒し首…」

勇者「ヒェッ…」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 03:14:52.35 ID:yrytASdTO
ここまで
ゆっくりやってきます
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 03:23:35.44 ID:FEATjqswo

穿ち過ぎだろと思いながら読んでたけどこうも言い重ねられると勇者が正しい気がしてきた…?
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 09:53:04.93 ID:qdsc8zBdo
おつおつ
一人目だったんだね
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 11:49:12.73 ID:NudQFFVoO
楽しみにしてる
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 12:11:28.02 ID:Z2BXF3jkO
実は昔から活躍した勇者は行方不明になってる的な噂とかあるのかもな
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 12:24:25.06 ID:ejltWdyKo
乙です
期待
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 14:22:07.54 ID:KnIMfDecO
【酒場】

勇者「それでは魔王の死を祝して(ファック)――乾杯!」

『『『『『乾杯!!!』』』』』

勇者(戦士さんの言うささやかな歓迎とは街で一番デカい酒場を貸し切ってのパーティらしい。全然ささやかじゃねえ)

勇者(まあこれだけ人の目があるなら命の危険はないだろ。王様もこんな早く命令飛ばしはしないだろうし)

勇者(故に気をつけるのは僧侶さん。いや僧侶。奴は敵だ。気を抜いたら死ぬと思え)

勇者(奴は料理がクソほど出来ん。だというのに調理場に入るのが見えた。十中八九料理に何か混ぜたはず。手をつけるのはやめておこう)

勇者(逆にここで俺に料理を勧めてくる奴は敵の可能性が高い。いい機会だ、ここで全員炙り出してやる…!)

兵士A「あれ、勇者様。全然食べてなくないっすか?」

勇者「つい話す方に熱中してしまいまして」

兵士A「あ、ならよければ俺が取ってきますよ!勇者様は座っててください!」

勇者「それなら魔法使いさんにしてあげてください。あの人も疲れてましたから」

兵士A「任されましたっす!」

勇者(こいつはただのお人好し。とはいえ軍人だし四捨五入して敵で)

兵士B「勇者様。こちら我が家の秘蔵酒です。ぜひ一口目は勇者様に」

勇者「ありがとうございます。下戸なので、舐める程度に」

勇者(酒精で判断力を鈍らせるつもりだな?馬鹿め、ひっかかるか)

僧侶「勇者様、勇者様。これ、心を込めて作りました。食べて頂けますか…?」

勇者「二フラム」ジュッ

僧侶「え…」

僧侶「!?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 14:55:21.02 ID:o0zJs57IO
ニフラム効くって毒やんけ!
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 15:44:24.52 ID:KnIMfDecO
勇者(僧侶め、まさか本当に料理で殺しに来るとは。やはり油断ならん…というか二フラム効く料理って一体…?)

勇者(とはいえ流石に暗殺は素人らしいな。盛るならもう少し上手く盛れよ。あんなゲロみたいなの魔物でも食わんぞ)

勇者(しかし…くそう。他のは普通に美味しそうだなぁ。俺も食べてえなあ。最後食ったの朝だし…)

勇者(みんなが食ってるやつだったら…大丈夫なはず…)

勇者(いや、我慢…我慢だ…誰が敵か分からないんだ。いのちをだいじに…)

勇者(よし、そろそろ抜け出してもいい頃か)

勇者「すみません。少し夜風に当たってきます。俺のことは気にせず楽しんでくださいね」

兵士A「ウェーイ!!勇者様ウェーイウェーイ!!」

勇者([ピーーー])

勇者「それじゃ俺はこれで」魔法使い「私も行くわ」

勇者「へ?」

魔法使い「ほら行くわよ勇者様」

勇者「アッハイ」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 16:10:10.98 ID:KnIMfDecO
魔法使い「この街に悪いところが一つあるとしたら、それは寒さね。お酒が入ってなければ出歩く気も起きないわ…」

勇者「エルフって割りかし南方の種族ですもんねえ」

魔法使い「今度一族のババア共でも連れて来ようかしら。ふふ、まとめてあの世に送れそう」

勇者「あはははは」

魔法使い「うふふふふふ」

勇者「…はあ。で、話は?」

魔法使い「飲み直しましょ。あそこうるさい」

勇者「ああお金ですか。渡しとくので適当にどうぞ。じゃあ俺はこれで…」

魔法使い「逃げんな。金なんて一言も言ってないでしょ。何なら私が奢ってあげるから付き合いなさい」

勇者「えッ!?(銭ゲバ糞外道の)魔法使いさんが!?」

魔法使い「ええ、ええ。あなたが私をどう思ってるかよーく分かりました。これは徹底的に話し合う必要があるわねそうよね勇者様」

勇者「拒否権どこ…ここ…?」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/06(金) 12:47:34.68 ID:D+R53rdyO
【宿】

魔法使い「まさかどこも臨時休業だとは…」

勇者「(俺以外には)仮にもめでたい日ですからねえ」

魔法使い「そのめでたい日に宅飲みって嘘でしょ…私たち立役者なのに…?」

勇者「まあまあ。あ、何で乾杯します?」

魔法使い「私たちの永遠の愛で」

勇者「はいじゃあそれで。乾杯」

魔法使い「うっわ面白くなーい。ほんとつっまんない男ねえ。なに?隙見せたら死ぬ病気?」

勇者(そうだよクソが)

勇者「言っても魔法使いさんも隙見せてくれないでしょ。うちじゃ僧侶さんくらいじゃないですか?」

魔法使い「あの子がああなのは勇者様の前だけじゃない?他所じゃちゃんとしてるし」

勇者(畜生、最初から口封じするつもりだったってことかよ…)

勇者(魔法使いさん、もしかしてそれを伝えるために…?)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 13:11:14.17 ID:D+R53rdyO
勇者(…いや!腹減ってると考えが浅くなる。気を許しちゃダメだ…)

勇者「そういえば、どうして今日は俺を誘ってくれたんですか?ひとり酒お好きでしょ」

魔法使い「それ本気で言ってるの?自分の胸に聞いてみなさいな」

勇者「身に覚えはありませんけど…」

魔法使い「――じゃあ、どうして今日は料理どころか飲み物ひとつ口をつけてないのかしら」

勇者「お腹が減ってなくて」

魔法使い「下手な嘘はやめなさい」

勇者「ああ。じゃあアレです。魔王の呪い。今後一生人前で食べ物が食べられないとか、そんなの」

魔法使い「…ふざけてるの?」

勇者「逆に聞きますけど、俺が何も食べなくて魔法使いさんに何か不利益ありますか?」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 13:41:13.53 ID:D+R53rdyO
魔法使い「へえ。そういうこと言うんだ。…そういうこと言うんだ!!」

勇者「……」

魔法使い「不利益!?ええそうよ不利益よ!あなたがそんな調子じゃどんな高級酒も不味くて飲めたもんじゃない!」

魔法使い「仲間が明らかにおかしくて、それを心配するのはそんなにおかしいこと!?」

魔法使い「私を助けてくれた人の力になりたいと思うのが、そんなに信じられない!?」

魔法使い「何とか言え、勇者!!」

勇者「……」

勇者「はい。すみませんでした」

勇者「魔法使いさんの心配はちゃんと受け取って――」

魔法使い「ッ!」

魔法使い「――ふざけるなぁッ!!」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 13:55:23.45 ID:D+R53rdyO
勇者「ホイミ」

勇者「素手で仮にも勇者の頬骨折るとは。警戒解いてたら殺されてたかもしれん」

勇者「なんかゴチャゴチャいいこと言ってたが、結果だけ見れば実にシンプル」

勇者「魔法使いは俺に毒入りの料理を食わせようとして、失敗して逆上した」

勇者「わざわざ挑発して怒らせた甲斐があったってもんだ」

勇者「理由は…僧侶に金でも握らされたか?それとも最初からそのつもりで?」

勇者(考えてみたらいくらハーフとはいえあんな排斥されたりしないだろ。俺の同情を引く作戦だったのかも)

勇者「それかとりあえず俺を殺しといて、後でどこかの勢力と交渉するつもりだったのかもな。今後の展開考えたら殺しといて損はないし」

勇者「ともかく魔法使いも敵だな。今後は一層警戒して接そう」

勇者「仲間の三分の二が敵だったなんて偶然じゃ考えられん。戦士さんも危険だ。明日探ってみよう」

勇者「……」

勇者「腹減ったな。ビスケット残ってたっけ」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/06(金) 14:07:00.66 ID:xIyOpjquO
勇者「……」

勇者「朝か」

勇者(結局一睡も出来なかった。夜が怖くて寝られないとか僧侶を笑えねえや)

勇者「今日は午前までゆっくりして、午後に王都に戻るって話だったな」

勇者「…戦士さんに会いに行くか。どうせ敵だろうけど」

勇者(今のうちに慣れとかないとな。これから先死ぬまで続くんだから)



【戦士の家】

戦士「勇者か。出発の準備は出来ているのか?」

勇者「はい。戦士さんはやっぱりこの街に留まるんですか?」

戦士「家も家族もこの街にあるからな。離れる理由がない」

勇者「勿体ない。王都に行けば勲章や褒賞貰えるのに。一生遊んで暮らせますよ?」

戦士「不要だよ。欲しくて戦ったわけじゃない。お前もだろう?」

勇者「過ぎたるは何とやらですからね。権力闘争とか怖くて怖くて」

戦士「全くだ」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/06(金) 20:15:52.69 ID:gmlVr0Y6o
読んでる
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/06(金) 22:39:02.19 ID:w8KbyF190
戦士「ところで勇者。魔法使いと何かあったのか?」

勇者「昨夜、少し口論に。それが?」

戦士「酷く荒れていた。仲直りは出来そうか?」

勇者「うーん、どうでしょうね。彼女次第ですから、こればかりは俺じゃ何とも」.

戦士「そうか。しかし、お前がそこまでの喧嘩をするとは少し意外だな」

勇者「意外って。別に魔法使いさんは普通の女の子ですよ。喧嘩くらいするでしょう」

戦士「そうじゃない。俺が言っているのは勇者、お前のことだ」

勇者「俺…?」
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