モバP「誕生日ありがとう」

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1 : ◆qEJgO2U6bM :2019/12/02(月) 22:10:20.60 ID:+gQWi5aPO
P「マストレさん」

マ「うん?」

マ「やあ。珍しいな。誰もいない時間にトレーニングルームを覗きに来るなんて」

P「お疲れさまです」

P「まあ。…ほら、マストレさんがいるじゃないですか」

マ「む」

マ「…なにか、それこそ、珍しい言い回しだな。喜多見のことか?」

P「…えっと、ええ。まあ」

マ「それなら」

マ「順調だよ。バースデーライブにはバッチリ仕上がる」

P「はい。それは、柚の様子を見ていれば」

マ「そうか。では何を」

P「あの…その」

P「誕生日プレゼント、何がいいと思います?」

マ「は?」


※マはマスタートレーナーさん略称

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1575292220
2 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:12:20.50 ID:RlTzER0rO
P「すいません、こんな仕事の関係ないような」

マ「いや、まあ、…貴方の場合、関係ないこともないかと思うが…」

マ「なぜ私に」

P「その、ここしばらく柚と一番一緒にいたのはマストレさんかなと」

P「それで、なにか欲しいとか、やりたいとか、心当たりがないかと思いまして」

マ「ふむ…」
3 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:13:03.33 ID:RlTzER0rO
マ「…………」

P「あ、いや、とくになければ大丈夫なんですが」

マ「プロデューサー殿」

P「はい」

マ「走るか」

P「はい?」

マ「いやまあこの場で済むものにするか。じゃあスクワット。姿勢」

P「え、あの」

マ「姿勢を取れ!」

P「いたい」

P「は、はい」

マ「はじめっ」

P「なんですかこれ」

マ「数を数えるッ」

P「…いち、に…ぐふ」
4 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:13:55.49 ID:RlTzER0rO
マ「独り言だから数えているように。あのなあ」

P「…ご、…ろく、なな…」

マ「細かい気遣いは立派だよ。プロデューサー殿の感心するところだ。アイドルたちに慕われているのも納得がいく」

P「…じゅういち、じゅうに…」

マ「が、それはないだろう。私が喜多見と一番一緒にいた、は」

マ「もっと自信を持て。喜多見のことを一番知っていて、一番見て来たのは誰だ?」

P「…じゅうはち…」

P「……それは、分かって、分かっているつもり、なんですけど。じゅうきゅう」

マ「うむ」

P「ただ…。マストレさんから、柚は…喜多見柚というアイドルは、どういう風に見えますか?」

マ「…………そうだな」
5 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:15:14.32 ID:RlTzER0rO
マ「強いアイドルだ」

マ「ひたむきとも、がむしゃらともつかない。楽しむことを楽しむことだけ考えていて、」

マ「そして輝く。ある意味、無敵のアイドルだと思っている」

P「同感です」

P「でもそれって、俺たち周りのスタッフにもそうなんですよね」

マ「うん?」

P「アイドル喜多見柚にはなかなか隙がないんですよ。普段は、まあ、隙だらけなんですけど」

P「…なんというか、その…、ときどき、不安になるといいますか…」

マ「…ああ、なるほどな。そういうことか」
6 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:15:53.33 ID:RlTzER0rO
マ「…………」

マ「…とりあえず100回やるか」

P「あれっいま何気なくやめられたと思ったのに」

マ「その手は喜多見がもう使っているから通用せんぞ」

P「そんな」

マ「ははは」

マ「……。まあ、なんだ」
7 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:16:58.30 ID:RlTzER0rO
マ「プロデューサー殿の言い分も分かるがな。分かるが」

マ「その上で私が言えるのは、自分で考えろってことだ」

P「う……それは、まあ…」

マ「ふふ。しっかりするんだな。ほら、今日は一緒に100回やってやろう」

P「ど、どうも?」

マ「いちッにッさんッしッ」

P「はやいですはやいです」

マ「はははっ」
8 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:19:24.19 ID:RlTzER0rO
・・・・・

P「ぐふ…足が」

P(自分で考えろ、か…おっしゃるとおり)

P(だけど、なにか…プレゼントを渡して、お祝いを伝えて、…喜んでくれて)

P(それで本当にいいのかな…なんだろう)

P「なんだろうなあ」

比奈「なにブツブツ言ってんスか?」

P「かくかくしかじか」

比奈「ふむふむ。それでライブにゲスト登場予定のアタシたちの」

仁奈「サプライズお祝いでごぜーますね!」

楓「その打合せと、個人的なプレゼントのご相談。ということですね」

P「ですです」

比奈「いやそりゃまあプレゼントは」

楓「自分で考えろ」ニコ

仁奈「でごぜーますね」コクコク

P「あれっみんなつめたい」

比奈「あのっスねえ」
9 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:20:14.62 ID:RlTzER0rO
比奈「柚はなにをあげても、どうお祝いしても、きっと喜んでくれまス」

P「うん、そうなんだよ。だからこうやって相談して」

楓「プロデューサー」
10 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:22:32.34 ID:RlTzER0rO
楓「プレゼントって、欲しいものが欲しいわけではないんですよ」

P「??それは…」

仁奈「ごさんこーばかりに仁奈があげるのはですね」ゴソモフ

比奈「仁奈ちゃんそれもうはみ出て見えてるっス」ユズノモフモフ

仁奈「はっ」

楓「なぞなぞです」
11 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:25:43.66 ID:RlTzER0rO
楓「第二問」

P「あれっまだ答え」

楓「たぶん、プロデューサーは」

楓「サプライズで登場した私たちが、柚ちゃんのお祝いをしたときの反応が想像できますよね?」

P「…まあ」

楓「そのときの柚ちゃんはどんな気持ちでしょう?」

P「…それは、」

仁奈「はい!きっとうれしー」

比奈「はい仁奈ちゃんストップっスよー」

仁奈「もごもふ」

楓「…」ニコ

楓「プロデューサーはこのかんたんななぞなぞを解けないのと同じです」

P「……あの、えっと」

楓「以上です」

P「おわった」

比奈「お疲れさまでしたー。仁奈ちゃん晩ごはんなにがいいっスか?」

仁奈「好きなのでいいでごぜーますか!わーい」

P「あれー…みんなつめたい…」
12 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:26:42.76 ID:RlTzER0rO
・・・・・

P「…」

P(…マストレさんも、みんなも、言うとおり)

P「お疲れさま」

柚「どさーっ。うーんっ疲れたっ楽しかった!」

比奈「お疲れさまでス」

楓「おーつかーれーさーまー」

仁奈「楓おねーさん。おうたがもれちまってるでごぜーます」

楓「はっ」

柚「ケーキだ!」

比奈「ふふ。ステージで出したのとは別っスよ!みんなの手作りっスよ!」

柚「テヅクリ!」スゴイ

P(うれしそうだ)
13 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:27:18.25 ID:RlTzER0rO
柚「ふー」

仁奈「わー」パチパチ

楓「わー」

柚「へへっ。みんなアリガトー」

比奈「プレゼントもあるっスよ。はい。これはアタシから」

柚「えっ。なにかなっなにかなー♪」ガサゴソ

P「……」
14 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:28:38.54 ID:RlTzER0rO
・・・・・


柚「Pサン?」

P「はっ」

柚「わ。びっくりした」

P「あ、ごめん」

柚「いいえっ」

柚「もうみんな先に行っちゃったよ。ほら、アタシたちも行こう?」

P「あ…。そっか」

P「…、ごめん、ライブで疲れてるのは柚の方なのに」

柚「??うん。疲れた」
15 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:29:40.78 ID:RlTzER0rO
柚「けど楽しかったよ!最高!」

柚「人生で一番の誕生日だったカモ!だった!」ニパッ

P「…。…」

P「…はは…。かも、だった、って…あはは」

柚「すごい笑うね!」

P「可笑しいからな」

柚「おかしいかな?」ハテ
16 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:30:24.76 ID:RlTzER0rO
P「あ、分かった」

柚「ン?」

P「柚」

P「誕生日おめでとう」

柚「ン」

柚「えへへ。アリガト」

P「これ。プレゼント。それから」

柚「わあなんだろ。うんっそれから」
17 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:31:51.74 ID:RlTzER0rO
P「ありがとう」

P「…って、言いたかったんだ。俺」

柚「…………」

柚「…アリガト。えっと、どういたしまして。こちらこそ」

柚「へへ、へへへ。それはその、照れるカナ」

P「うん。俺も」

柚「や」

柚「一緒だ。よかった」

P「うん」
18 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:32:45.75 ID:RlTzER0rO
柚「開けていい?」

P「うん」

柚「…キーホルダーだ。柚子マーク。かわいい」

P「初めて柚と会った場所の近くで買ったんだ」

柚「おー」

柚「大事にする」

P「ありがとう」

柚「えへへっ。どういたしましてっ」
19 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:33:20.93 ID:RlTzER0rO
柚「じゃあ、行こっか。みんな待ってるよ!」

P「そうだな」

柚「…」

柚「ねえPサン」

P「うん?」

柚「…」ヘヘ

柚「嬉しかった。ありがとう」

柚「カモじゃなくて、最高の誕生日になった!」ニパー

P「ん…うん。よかった」

柚「うんっ。へへ」
20 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:33:58.13 ID:RlTzER0rO
仁奈「あ」

仁奈「Pと柚おねーさん!もーふ、待ちくたびれやがりましたよ!」

P「もーふて。もーだろ」

柚「ごめんね仁奈チャン。おまたせー」

P「じゃあ、みんな送るよ。いま車回してくるから」

楓「はい」

楓「…プロデューサー、そのキーホルダー…おニューですね。ニュッキですね」

P「ええ、まあ。ニュッキ?」

楓「ニュッキ」

柚「あ、ホントだ。…わあ」

比奈「柚ファン仕様っスか」

P「まあな」

柚「てれ」

楓「…」

比奈「…」

楓・比奈「ふふ」

P「なんですか」

楓・比奈「なんでもー」

柚「てれてれ」
21 : ◆qEJgO2U6bM [saga]:2019/12/02(月) 22:34:38.87 ID:RlTzER0rO
比奈「じゃあ事務所に戻ってもういっかいお祝いしまス?」

P「じゃあってなんだよ」

楓「じゃあ、いいですね」

P「じゃあってなんですか?」

柚「やりたいやりたい!」

仁奈「やりたいです!」

P「…」

P「…じゃあ、しょうがないな」

柚「わーい」

楓「わーい」

比奈「ケーキ、追加で買って行きましょうか」

P「そうだな」

P「よし。柚、好きなのなんでも買ってもいいぞ」

楓「本当ですか?」

P「楓さんちがいます」

柚「本当!?わーい。アリガトー」

P「こちらこそ」


・・・・おしまい
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