【たぬき】前川みく「女子寮の開かずの間?」

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1 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:09:45.28 ID:E7gBVku20

 モバマスより小日向美穂(たぬき)の事務所のSSです。
 独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。


 前作です↓
【たぬき】成宮由愛「たぬき事務所の絵日記」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1572790915/

 最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1574089785
2 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:10:46.51 ID:E7gBVku20

  ―― ある土曜日 女子寮


響子「うんしょ、うんしょ……っと」ヨタヨタ

響子「はぁ、今日特売だからって買いすぎちゃったなぁ。お、重い……」

響子「でも、お野菜もお肉も安かったしっ。これでみんなにおいしいカレーを作れると思えばっ」フンス


  ポトッ

  コロコロ〜……


響子「あ、タマネギが……!」


  コロコロコロ…………


響子「わっとっと、待って〜……!」

3 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:11:17.19 ID:E7gBVku20

響子「……あれ? この部屋、いつもは閉まってるはずじゃ……」

響子「開いてる……よね」


響子「う〜ん。タマネギが入っていっちゃったし、放っておくわけにも……」

響子「えと、きっと物置か何かですよね。ちょっと拾いに入るだけなら大丈夫大丈夫っ」


響子「お邪魔しま〜す……」キィ

4 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:16:55.47 ID:E7gBVku20

  ◆◆◆◆

 〜 しばらくして 〜


美穂「響子ちゃんがいない……」

みく「あれぇ? みく達が戻る頃には、お買い物済ませてるって言ってたのに」

美穂「何か用事でもあったのかなぁ?」

みく「でも靴は置いてなかった?」

美穂「あ、そうだったね。おトイレかなぁ……?」


美穂「――って、あれ?」

美穂「ね、ねぇみくちゃん! これ見て!」


 【廊下に置きっぱの買い物袋】デーン


みく「これって……」

美穂「響子ちゃんの……だよね?」

みく「おかしい……おかしいにゃ。響子チャンが買ったばっかの食材を冷蔵庫にも入れずにほったらかしにしてるわけないにゃっ」

美穂「なんだか急に何かがあって、慌ててどこか行っちゃった感じ……だよね」

5 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:17:57.46 ID:E7gBVku20

みく「ちょっと待ってて、みく電話かけてみるから」


  プルルルルルルルル
  プルルルルルルルル

  プッ

  オカケニナッタデンワバンゴウハ デンゲンカハイッテイナイカ デンパノトドカナイトコロニ……


みく「繋がんない……そんなことって……」

美穂「わ、私においを辿ってみる!」


  ポンッ!


美穂「くん、くんくんっ。ふすふす、ぽこぽこっ……」タヌキ

美穂「ぽこ?」

美穂「ぽ、ぽこ……!」

みく「何かわかった?」

6 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:23:33.59 ID:E7gBVku20

  ポンッ!


美穂「響子ちゃんと、それからタマネギのにおいが、こっちからあっちに続いてるの」

みく「廊下の突き当たり?」

美穂「うん。それで多分、ドアの向こうまで……」

みく「あのドアの向こうって、つまり……」


美穂・みく「女子寮の、開かずの間……!!」

7 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:25:14.05 ID:E7gBVku20

  ◆◆◆◆


『開かずの間』については、みくもほんとのとこはよく知らない。
 だってみくが来た頃からそこは開かずの間だったし、ってことは、みくが入る以前の入寮者……つまり芳乃チャン一人の頃からそうだったわけで。

 芳乃チャンが言うには……


「お気になさることはありませぬー。悪しきものではありませぬゆえー」


 ……とのこと、だったの。

 実際に開けようとしてみても、何かがつっかえてるのか、それともくっついてるのかで扉はビクともしなかった。
 まあでも、開かなくて困ることはなかったし……。
 芳乃チャンが言うなら大丈夫なんだろうってことで、そこは「開かずの間」として、後から入るみんなにも説明しといたんだ。


 ……中に何があるかは、知らないまんま。

8 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:26:14.92 ID:E7gBVku20

   〇

  〜 女子寮 リビング 〜


美穂「まだ電話繋がらない?」

みく「……うん」プルルル……

美穂「私、見てくる。放っておけないよ!」

みく「ま、待って! 待って美穂チャン!」

みく「一人や二人で行くのは危ないと思うにゃ。何があるかはわからないけど、でも、今までずっと開かなかったわけだし……」

みく「それが今になって開いたってことは……芳乃チャンや茄子さん案件じゃないかな、って……」

美穂「それはそうかもしれないけど、確かみんなは――」


9 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:27:28.54 ID:E7gBVku20


 楓&茄子 : 大分で温泉ロケ
 芳乃&紗枝 : 都内某所の神社でイベント
 智絵里&まゆ : 同じく都内某所で握手会
 美玲&小梅 : バラエティ番組出演中
 LiPPS : フェスイベント中
 イヴ&菜帆 : 日本全国お菓子めぐり企画
 こずえ : 謎

 ……etc : みんな仕事中

 P : フェス限紗枝が引けなかった


みく「……他の主力が誰もいねーにゃ!!!」クワッ

10 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:28:51.82 ID:E7gBVku20

美穂「うん……私、やっぱりあの中に入って確かめてみるよ」

美穂「みくちゃんはここでみんなの連絡を待っててくれる?」

みく「ここで……って、美穂チャン一人であの中に入るの!?」

美穂「大丈夫っ。私だって、色んなピンチを乗り越えてきたんだから!」

美穂「それに響子ちゃんがあの中にいるかもって思うと、いてもたってもいられないよ!」

みく「だけど……!」

美穂「心配しないで。それにみくちゃんが残ってくれないと、外に連絡を取る子がいなくなっちゃう」

美穂「ここは私に任せて欲しいなっ。ねっ、寮長!」

みく「……!」


みく「……わかったにゃ。でも一つ条件があるの」

みく「みくの仕事用の携帯に、ずっと通話繋げっぱなしにしててくれる?」

美穂「そっか。そっちで状況を確かめて、自分用のスマホで外に連絡を取ればいいもんね!」

11 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:34:10.05 ID:E7gBVku20

   〇


美穂『みくちゃん、聞こえる? 今扉の前にいるよ』

みく「感度良好にゃ。こっちはL〇NEでPチャンにメッセ送ってるとこ」

みく「既読はまだつかないけど……仕事中だもんね」

美穂『私はこのまま入ってみるね……!』


   『キッ…… キィィイ……』


美穂『わ、ほんとに開いた……!!』

みく「気を付けてね! 何があるかわかんないにゃ!」

美穂『うん! わぁ……中、暗いなぁ』


美穂『あ。これ……階段?』

みく「階段?」

美穂『たぶん、地下に繋がると思うんだけど……ここって地下室あったんだ……』

12 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:35:24.29 ID:E7gBVku20


   『トン トン トン……』


美穂『どこまで降りるんだろう。暗い……ほとんどなんにも見えないよ』

みく「美穂チャン、大丈夫?」

美穂『うん(ザザッ)まだ(ザッ)何(ザザーッ)……(ザ)あ(ザザザザザ)……れ?』

みく「え? よく聞こえないにゃ! 今どこにいるの? 何か見える? 響子チャンは?」

美穂『(ザザーーーッッ)(ザ)(ザザザッ)ぁ!(ザザザ)れって、もしか(ザザザ……)』

みく「美穂チャン!? どうしたの!? 返事して!!」


美穂『(ザザザザザザ――――)ぽこ(ザザッ) (ザ)   (ザッ…………)』


   プツン…………


みく「美穂チャン!! 美穂チャーーーーンッ!!!」


13 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:36:22.24 ID:E7gBVku20


 ――通話が、切れて。


 ――美穂チャンまで、帰ってこなくなった。

14 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:39:18.87 ID:E7gBVku20


みく「響子チャンだけじゃなくて、美穂チャンまで……」

みく「あそこには何があるの? 美穂チャンは何を見たのにゃ……!?」

みく「……しっかり、しっかりしなきゃ」

みく「みくは寮長……ここの寮長なんだから……っ!」


みく「……うぅ」

みく「どうしよぉ……芳乃チャン……Pチャぁン……っ」


15 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:40:14.10 ID:E7gBVku20

  ◆◆◆◆

  〜 回想 〜


みく「みくが、寮長?」

P「そう。この寮も人が増えてきたし、まとめ役がいないとな」

みく「でも芳乃チャンの方が先輩だし、年長ならイヴチャンだって……」

芳乃「みなで話し合い、決めたのでしてー」

イヴ「私たちはちょっとぼんやりしてますから〜」

みく「二人とも……いやぼんやりしてるって自分で言う?」

響子「この中でふさわしいのは、みくちゃんだなぁって♪」

美穂「うんっ。みくちゃんならしっかりしてるし、責任感も強いから!」

こずえ「みくー……えらいー……」

輝子「フヒ……頼っても、いい……?」

小梅「あの子も……一番、それがいいって……」

16 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:41:25.49 ID:E7gBVku20


P「ということなんだ。みくさえ良ければ、頼みたいんだが……どうだ?」

みく「…………しょ」

みく「しょぉ〜〜がないにゃあ! そこまで言われたら、引き受けるもやぶさかでないにゃっ!」

P「おお、やってくれるか!」

芳乃「ふふー。頼もしい限りでしてー」

みく「みんなの期待に応えなきゃね! みく、寮長やるにゃ!」


一同『よろしく、寮長!』


  パチパチパチ……


  〜 回想おわり 〜

17 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:42:22.11 ID:E7gBVku20

  ◆◆◆◆


みく「…………」メルメル


  『Pチャン、お疲れ様』

  『お仕事中何度もごめんなさい。実は今、ちょっと大変なことになってます』

  『美穂チャンと響子チャンが、行方不明になりました』

  『今、女子寮です。女子寮の開かずの間が開いてて、二人ともそこに入っていきました』

  『みくも、今から様子を見に行こうと思います』

  『でも、危ないとも思います』

  『だけど、二人に何かあったら大変だから』


  『もしみくも戻らなかったら、その時は、』


  『その時は、     』


18 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:43:14.12 ID:E7gBVku20


みく「…………あーもーーーっ!! こんなのみくらしくないにゃあっ!!」ポーイッ

みく「こんなとこでメソメソしてらんないもん! みくは寮長なんだからっ!」

みく「開かずだかナマズだか知らないけど、大事な大事な寮生に手を出したらどうなるか!」

みく「前川寮長が、教えてやるのにゃーっ!!」


  ドタンバタン ガチャガチャ…


19 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:44:19.53 ID:E7gBVku20

みく「……完成! フルアーマーみくにゃん!!」


 フルアーマーみくにゃん:
 領内の掃除用具・虫取り網・各種ホビーや猫グッズで固めた前川みく最終形態だ!
 寮の緊急事態にのみ解禁される! 強い! そして可愛い!


みく「待ってて美穂チャン、響子チャン! とつげきーーーーーーっ!!!」


みく「…………っと、確か階段があるっていうから慎重にいくのにゃ」ソローリソローリ

20 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:46:24.98 ID:E7gBVku20

  ◆◆◆◆


 ちょっとびっくりするほど長い階段を降りて。
 みくが床? を踏んだのは、5分も下ってからのことだったの。

「ほ、ほんとに真っ暗にゃ……」

 持ってきた懐中電灯の光が、暗闇のずっと奥まで伸びてる。
 こういう時、ネコチャンだったら見えたのかもしれないけど。

「美穂チャーーーーーンっ!! 響子チャーーーーーーーーンっっ!?」

 思いっきり声を張り上げてみたけど、声は遠く遠く反響して、消えた。
 かなり広い空間みたい。ちょっとした講堂というか、体育館くらいはあるかもしれない。女子寮の地下にこんな場所があったなんて……。

「聞こえてたら返事してーーーーっ!! 誰かいないにゃーーーーーーっ!!?」

 はぁ、はぁ…………なーんにも返ってこない。
 仕方ないにゃ。とにかく進むだけ進んで、この空間の全容を確かめなきゃ……ていうか電気のスイッチとか無いにゃ?

「えと、こういう時はとにかく壁を探して、壁伝いに移動するのがいいって……」

 何かの本で読んだ、ような。
 そろーり、そろーりと手を突き出して、探り探り進む。
 懐中電灯は足元を照らしているはずなのに、やっぱり真っ暗。というか黒くて、床があるとしても木目さえ見えない。

 かつーん……がちゃん。かつーん……がちゃん。

 足音が響いて、フルアーマーみくにゃんの装備が揺れる音も響く。
 な……何がいるのかわからないけど、どっからでもかかってこいにゃ。
 みく達の寮で好き勝手するヤツなんて、寮長パワーでネコミミまみれにしてやるのにゃ……!

21 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:47:57.45 ID:E7gBVku20

 ――ぴとっ。

 と、手先が何かに触れて。

「にゃっ!?」

 一瞬びっくりしちゃったけど、多分それが壁なんだと思う。
 硬くも柔らかくもなくて、冷たいんだか温かいんだかわからない感触……。
 とにかくこれで外周には着いたんだと思って、ちょっとだけホッとした。

 待っててね、美穂チャン、響子チャン……。


 ぽちっ。


「…………『ぽちっ』?」


22 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:48:35.88 ID:E7gBVku20


 指先が、なんか押した。
 次の瞬間。


 ばかんっ!!


「うにゃっ!!?」

 足元が開いて、まるでクイズ番組のボッ〇ュートみたいに……


「に゙ゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


 みくは、落っこちちゃった。


23 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:49:33.81 ID:E7gBVku20

  ◆◆◆◆


???「――――すか?」

???「――――あのー、生きてマス?」

みく「うにゃ……ぁ……」

???「動いた。生きてはいるんだ」

???「起きてください、みくサン。――前川みくサン」


みく「にゃっ!!?」ビクーン


???「あ、どもデス。やっと起きた」


24 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:50:24.16 ID:E7gBVku20

みく「え、え!? ここどこ!? ひょっとして天国!? みく死んじゃった!?」

???「いや、死後の世界じゃないんで」

みく「い、嫌にゃーっ! 天国がこんなに真っ暗なんてぇ! せめてもっとかわいくてネコチャンいっぱいの空間が良かったにゃあーっ!!」

???「#パニックなっとる #おちつけ」

みく「え? あれ? ……えっ?」


みく「…………誰?」


25 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:52:13.58 ID:E7gBVku20


???「えっと。とりあえずここは天国じゃないのと、自分怪しい者じゃないってのだけ把握してくれれば」

みく「そ、そんなこと言われても……???」

???「……あ、そっか。そっちは知らないんだっけ」



あきら「砂塚あきらデス。#基本ROM専 #やっと出番? #予想外だけど」


26 : ◆DAC.3Z2hLk [sage saga]:2019/11/19(火) 00:52:51.68 ID:E7gBVku20
一旦切ります。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/19(火) 03:44:13.55 ID:8JcMqiRno
一旦乙
あきら登場か
この様子だと茄子さんに飼われたサメではないよねw
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/19(火) 05:05:48.87 ID:Nvq4EueDO




……美穂と響子が触手攻めにあっているのを想像してしまった
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/19(火) 05:24:01.30 ID:Q15Oh+yM0
開かずの扉にサメ…天岩戸…五十嵐響子…

おのれたぬき
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