高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「お互いを待つカフェで」

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24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/17(日) 19:05:14.64 ID:i6ln0z2d0
>>23 最後の行の後半部分、一部だけ修正させてください。申し訳ございません。
誤:「――私は、そうじゃないのかって思います。」
正:「――私は、そうじゃないのかなって思います。」


色々な方が愛してくれて、それを加蓮ちゃんが受け止めて、そうしたらまた加蓮ちゃんを愛する方が増える。そうやってどんどん広がっていく幸せの中に、今、加蓮ちゃんはいるんだって思います。
……両腿が、ちょっと熱くなっちゃった。
こらえきれずに笑い声。舌で舐める下唇は、さっきよりもほんのり甘い。嬉しい、って言葉が頭の中を駆け回って、身体の外にまで飛び出ようとします。
でも、さすがに相手もいないのに1人で言い続けてしまったら変な人なので、がんばってこらえましょう。

幸せが増えた加蓮ちゃん。
笑顔が増えて、可愛くなった加蓮ちゃん。
前に向かって歩き続けている彼女の姿を、ずっとずっと見ていたい。
広がっていく世界の隅々まで見渡して、もっと笑っていてほしいな――
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/17(日) 19:05:43.27 ID:i6ln0z2d0
1つだけ。

ファンレターをしまってから、スマートフォンもかばんのポケットへ入れて。残ったココアを、口の中でたっぷり味わってから飲み干して。最後に、開きっぱなしだったノートを閉じようとして、またなんとなく思いつきました。
右下のはしっこのスペース。ちょっと前、学校の授業中なのに落書きをしてしまったのと、同じ場所に加蓮ちゃんの顔をさっと描きます。
ただし、笑顔の加蓮ちゃんではなく……目を細め、眉を少し垂らし、悲しげな笑顔を浮かべる加蓮ちゃんの顔を。

1つだけ、気になること……気になること? う〜ん。というよりも、そうなのかな? って思うこと……疑問に思うことがあります。

今の加蓮ちゃん――愛されることにちょっとずつ慣れていく加蓮ちゃんは、それと比例して可愛くなっていっています。それは間違いありません。
でも、加蓮ちゃんはもっと前から可愛くて、そして1人の女の子なんです。
昔は……色々な気持ちを閉じ込めて、世界を恨んでいたかもしれない、灰をかぶった女の子。
だけど今の加蓮ちゃんは、最初からどこかにいたような気がします。

今なら。今の加蓮ちゃんなら……向かい合えるんじゃないかな。

あの子が灰色の牢獄と喩える、昔の――
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/17(日) 19:06:17.37 ID:i6ln0z2d0
加蓮「お待たせっ」

藍子「……あっ。加蓮ちゃん。こんにちは♪」

加蓮「ごめんね遅くなって? こんにちは、藍子。……って、なんか考え事?」

藍子「ふふ、ちょっとだけ。加蓮ちゃんを待っている間に、加蓮ちゃんのことを考えていました」

加蓮「えー私のこと? なになに――いやごめん、なんかそれ聞かない方がいいことな気が……。でも気になる……。藍子が私のどんな悪口を思い浮かべてたのか――」

藍子「悪口じゃないですっ。確かに、いつもはあまり考えないことかもしれませんけれど、悪口ではないです!」

加蓮「ふふっ。なんてね。店員さーんっ。こんにちは。ココア1つお願いー」


ひとかけらの雲は、加蓮ちゃんがやってくるのと同時に散っていきました。店員さんとのやり取りでもまた笑顔が増えた加蓮ちゃんを見て、思わず頬を緩めながら――
私は、ファンレターをまた取り出しながら、テーブルに広げていきました。


藍子「加蓮ちゃん。これ、ファンの方から頂いたファンレターなんですけれど。ほら、ここ。ここっ」

加蓮「おー、相変わらず順調じゃん……え、待って、なんか私の名前入ってんだけど。これ藍子宛てのだよね?」

藍子「そうなんですよ〜。最近、私のファンレターによく、加蓮ちゃんの名前が入るようになって――」


心の奥底から生まれたちいさな思いつきは、石ころの下へ。

私がお話したり、加蓮ちゃんがお話したり、そんな時間がまた始まります。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/17(日) 19:06:53.86 ID:i6ln0z2d0


【おしまい】

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