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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 557 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/14(水) 22:42:07.53 ID:IfnGNAR60
- 「申し訳ない」
関羽は悄然として、頭(こうべ)を垂れる。実際期待外れもいいところである。それは彼女が一番認識している。だから、誰も彼女を責めない。
「いや、愛紗はひとつも悪くないさ。こちらの言い分を聞かない相手が悪いんだ」
「そうだよー。愛紗ちゃんはなにも気にすることはないよ」
口々に関羽を慰めるその言葉がかえって苛(さいな)むのだ。
結果が全て。それは過ぎし日に先達に受けた薫陶。あの、涼州の快男児が関羽に示したもの。
そして、手札を切ることすら叶わなかったのだ。その、忸怩たる思い。様々な要因が関羽を苛む。
――そう、玉璽と七星刀である。今、手札として活かさなければどうするのだ、と。
言葉にできない。だが、差し迫った焦燥さえ感じるのだ。取り返しがつかないのではないか、と感じるくらいに。
◆◆◆
「しかし、宦官だけじゃなくて皇甫嵩や劉協までも、かあ。
徹底しているなあ」
北郷一刀は思う。その道は血を流し過ぎているのではないか、と。
そして、血と恐怖で漢朝を掌握する存在の異名を呟く。
「魔王、か……」
きっと、向かい合うことになるであろう。そう、思う。
絶対に、相容れないであろう。そして、決意を新たにする。
「魔王、ね」
頑張らないと、と気を引き締める。いかに手元に張飛や関羽といった豪傑。そして諸葛亮や鳳統という軍師がいても、だ。
「皆が笑って暮らせる世の中の為に、だな」
◆◆◆
「あっけないもの、だな」
公孫賛は誰ともなく呟く。
今頃は董卓、賈駆、王允の処刑が淡々と執行されているはずだ。
裏事情を知る身としては思う所がないではないのだが、致し方ない。致し方ないというのが本音だ。頭を一つ振って気合いを入れる。
ヨシ、と声も高らか。配下にハイタッチで気合いが更に高まる。
戦後処理が終われば新体制の発表だ。なんでも皇甫嵩や劉協といった、新体制でも中枢に据えられたはずの人材が喪われているそうな。
青写真が無に帰り、組閣は難航しているらしい。
とはいえ、公孫賛はそれどころではない。なんとなれば、組閣に先んじて幽州の州牧として任命されることが通知されたのだ。
抜擢と言っていいだろう。地方の一軍閥でしかなかった公孫が太守になっただけでもとんでもないことではあるのだ。それが州牧だ。
中華で十三しかないその席に座り、責を果たすかと思うと乾いた笑いしか出ない。
いや、だからといってそれを返上なぞするつもりはない。今まで尽くしてくれていた部下たちには大いに報いてやらばければ。
そう決意する公孫賛ではあるがその顔色は冴えない。なんとなれば、彼女を補佐する韓浩から面談の申し込みがあったのである。
「話がある」ときたのだ。
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