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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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447 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/31(月) 21:35:18.43 ID:RrruOudU0
「な、にを。わた、しは。
漢朝の、た、めに」

抗う李儒の髪を掴み、倒れ伏していた顔を上に上げる。

「そりゃあ、ご立派なことだな。だがな、そんなことはどうでもいいのさ」

吐き捨てる。

「長かった。長かったぞ。こうして、お前と向き合える場。
俺がどれだけ逢いたかったか。少しは分かって欲しいってもんさ、李儒さんよぉ」

くつくつ、と笑う紀霊に不吉なものを感じて李儒は。

「ま、待ちなさい。落ち着きなさい。わ、私を殺しても何も解決しないわよ。
そ、それに私は役に立つわよ。ねえ、それに、何でも言うこと聞くから。だから」

必死に媚を売る李儒に、いっそ穏やかと言っていい口調で紀霊は言う。

「何でも、って言ったか」

暫し瞑目し、食いしばった口からもたらされたのは、ただ一言。

「死、以外に貴様の出来ることはなさそうだな」

「ひ!嫌!死にたくない!逝きたくない!
た、助けて!お願い!」

お前が、手にかけた人たちは皆そう思っていたろうよ。

「光射す世界に、汝の闇黒、棲まう場所無し――。
 渇かせてやろうか、飢えさせてやろうか。それとも永劫に痛み付けてやろうか。
色々考えていたがな。何も残さず無に還れ」

三尖刀を、一閃。
そしてこの日初めて紀家の白装束が朱く染まる。

「お見事。本懐を果たした気分はいかがかな」

「知るかよ。クソッタレな気分だよ」

だが、それでも。

「姐さんや雷薄。それに気のいいあいつら。みんな、死んだんだ。死んだんだぞ。
みんな死んじまったんだぞ!
それなのにさ、彼奴がのうのうと生きているなんて、おかしいだろう?
ああ、そうだな。気分爽快ってやつ。それを、多少の泥で濁らせたらこんなもんかな」

これで、前に進めるというもの。
嘯(うそぶ)く紀霊に笑みを一つ。それにしかめ面で紀霊が言う。

「何か文句でもあったら言っとけ。
 言いづらいなら七乃なり風にでも言っとけ。
 ため込んで、我慢して。それで、いいことなんてあんましないからな」

はあ、と遠い目をする紀霊に張郃は表情を改める。

「いえ、この身。
いかようにも使い潰してくだされば、と思いました、が。
 取り敢えず、どのようにお伝えしましょうか」

そうだな、と。暫し考えて。

「今回は、俺の私情で動いたところが大きいからなあ。
 まあ、いいや。」

紀霊は、笑う。

「復讐するは、我にあり」

その言葉を伝えられた彼女らは、共に微笑んだ。
その笑みの違いは、対面した張郃のみが知ることである。
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